四半期報告書-第120期第3四半期(平成31年1月1日-令和1年9月30日)

【提出】
2019/11/11 15:41
【資料】
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【項目】
33項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
親会社株主に
帰属する
四半期純利益
(百万円)
1株当たり
四半期純利益
(円)
2019年12月期第3四半期
連結累計期間
846,625103,324100,71872,458181.42
2018年12月期第3四半期
連結累計期間
805,760101,412102,66364,000160.23
増減率5.1%1.9%△1.9%13.2%13.2%
外貨増減率7.2%
実質増減率7.7%

当第3四半期連結累計期間(2019年1月1日~2019年9月30日)の国内における景況感は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費に持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調が続きました。国内化粧品市場は、10月の消費税増税前の駆け込み需要もあり回復基調が継続するとともに、全体として増加傾向が続く訪日外国人によるインバウンド需要もあり、堅調に推移しました。海外化粧品市場は、国によりばらつきがみられる欧州は弱い成長にとどまり、メイクアップのマイナス成長が続いた米州も低調に推移しました。一方、中国を含むアジアでは、香港などでの厳しい市場環境による影響があったものの、全体としては堅調に成長しました。
資生堂グループは2015年に、100年先も輝き続ける企業となるため中長期戦略VISION 2020 をスタートさせました。日本発のグローバルビューティーカンパニーとして競争に勝ち抜くため、全ての活動をお客さま起点とし、グローバルでブランド価値向上に取り組んでいます。
当期は、VISION 2020 の第2フェーズである後半3カ年の2年目であり、成長加速のための新戦略の実行に取り組んでいます。成長をけん引するプレステージブランドやメイド・イン・ジャパンのコスメティクス・パーソナルケアブランドにマーケティング投資を集中するとともに、デジタルマーケティングやイノベーション創出への投資強化も進めています。加えて、課題であるサプライチェーンの基盤構築、米州・欧州の収益性向上に取り組んでいます。本年10月に当社は、“Clean”市場においてミレニアルやGeneration Zと呼ばれる若年層を含む幅広いお客さまから高い支持を得ているスキンケアブランド「Drunk Elephant」の買収を発表しました。「SHISEIDO」や「クレ・ド・ポーボーテ」などの日本発ブランドに、グローバルで大きな需要のポテンシャルを有する米国発の同ブランドを加えることにより、主力であるプレステージ・スキンケア事業をさらに強化・発展させるとともに、米州事業の収益基盤を強化します。
当第3四半期連結累計期間の売上高は、現地通貨ベースで前年比7.2%増、円換算後では、前年比5.1%増の8,466億円となりました。アメニティグッズ事業等の撤退影響を除く実質ベースでは、前年比7.7%増となりました。
営業利益は、マーケティングや研究開発、人材への投資を強化する一方、売上増に伴う差益増等により、前年比1.9%増の1,033億円となりました。また、売上高営業利益率は12.2%と2桁の収益性を継続しています。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、税金費用の減少などにより前年比13.2%増の725億円となりました。
なお、第3四半期連結累計期間の売上高、営業利益、親会社株主に帰属する四半期純利益は過去最高となりました。
当第3四半期連結累計期間における財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは、1米ドル=109.2円、1ユーロ=122.7円、1中国元=15.9円です。
各報告セグメントの経営成績は次のとおりです。なお、報告セグメントの区分方法の変更については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
①日本事業
日本事業では、集中的にマーケティング投資を強化している“肌3分野”が好調を継続し、スキンケア商品をリニューアルした「クレ・ド・ポー ボーテ」や、「アルティミューン」の目もと用美容液、ファンデーションが好調な「SHISEIDO」、化粧水・乳液やしわ改善クリーム等が貢献している「エリクシール」が消費税率増税前の駆け込み需要もあり、引き続き高い成長性を確保しました。加えて、アジア全域でのクロスボーダーマーケティングの強化により拡大するインバウンド需要を確実に獲得した一方で、円高の影響や中国の電子商取引法施行に伴うインバウンドのバイヤー需要の減少、天候不順の影響もありました。以上のことから、売上高は前年比3.1%増の3,507億円となりました。アメニティグッズ事業等の撤退影響を除いた実質前年比は4.3%増となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増や費用の効率運用などにより、前年比6.2%増の760億円となりました。
②中国事業
中国事業では、「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「イプサ」、「NARS」などのプレステージブランドが高成長を持続しました。これに加え、コスメティクスブランドではメイド・イン・ジャパンブランドの「エリクシール」や「アネッサ」が引き続き大きく伸長しました。香港でのデモによる影響等があったものの、中国本土における引き続き高い消費者需要により、売上高は現地通貨ベースで前年比18.3%増、円換算後では前年比12.8%増の1,585億円となりました。営業利益は、ソーシャルメディアなどへのデジタルマーケティング投資を強化している一方、売上増に伴う差益増などにより、前年比2.0%増の239億円となりました。
③アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業では、不透明な経済環境の中で、「SHISEIDO」、「LAURA MERCIER」などのプレステージブランドが好調を継続したことに加え、「エリクシール」や「アネッサ」が大きく伸長したことなどにより、売上高は現地通貨ベースで前年比7.1%増、円換算後では前年比3.4%増の537億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増があった一方、マーケティング投資の強化などにより、前年比23.3%減の55億円となりました。
④米州事業
米州事業では、売上高は、現地通貨ベースで前年比0.1%減、円換算後で前年比1.1%減の935億円となりました。ブランド別では、収益性が低い直営店の閉鎖などの構造改革を継続している「bareMinerals」の売上が前年を下回りましたが、「SHISEIDO」や「クレ・ド・ポー ボーテ」などのプレステージスキンケアブランドが成長を継続したほか、フレグランスブランドの「Dolce&Gabbana」が新製品の投入などにより、好調に推移しました。営業損失は組織強化に伴う費用増などにより、前年に対し17億円増の113億円となりました。米州事業を機能別に分けると、米州における販売事業(コマーシャルベース)、グローバルで展開するメイクアップのブランドホルダー機能、メイクアップ、デジタル、テクノロジーの価値創造拠点となる“センター・オブ・エクセレンス”(注)機能を持ち、これらのグローバル機能の戦略的投資も負担しています。今後は、「bareMinerals」の構造改革や新たに買収した「Drunk Elephant」の展開強化を通じて収益性を改善していきます。
⑤欧州事業
欧州事業では、「SHISEIDO」や「NARS」などのプレステージブランドが成長を継続したことや、フレグランスで「narciso rodriguez」や新製品を投入した「Dolce&Gabbana」が伸長したことなどにより、売上高は現地通貨ベースで前年比8.3%増、円換算後では前年比1.5%増の762億円となりました。売上増に伴う差益増などにより、営業損失は前年に対し13億円減の34億円となりました。欧州事業を機能別に分けると、欧州における販売事業(コマーシャルベース)、フレグランスのブランドホルダー機能、フレグランスの“センター・オブ・エクセレンス”機能を持ち、これらのグローバル機能の戦略的投資も負担しています。今後は、フレグランスに加え、スキンケアの展開を加速しながら売上を拡大することで収益性を改善していきます。
⑥トラベルリテール事業
トラベルリテール事業では、供給体制が整ってきた中でアジアを中心に「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「アネッサ」などがけん引し、売上高は現地通貨ベースで前年比17.9%増、円換算後では前年比16.0%増の780億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年比18.3%増の177億円となりました。
⑦プロフェッショナル事業
プロフェッショナル事業では、引き続き中国が好調に推移し、売上高は現地通貨ベースで前年比6.7%増、円換算後では前年比4.4%増の110億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年比8.1%増の4億円となりました。
(注) “センター・オブ・エクセレンス”とは、スキンケアは日本、メイクアップ、デジタル、テクノロジーは米州、フレグランスは欧州といった、各カテゴリーにおいてグローバルで最先端の地域が、当社のグローバルな戦略立案・商品開発をリードする体制のことです。
(2) 経営方針・経営戦略等
有価証券報告書(2019年3月26日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
有価証券報告書(2019年3月26日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、228億円(売上高比2.7%)です。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 従業員数
当第3四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(6) 生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績について著しい変動はありません。
(7) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の重要な異動又は前連結会計年度末において計画中であったものに著しい変更はありません。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
有価証券報告書(2019年3月26日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(9) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金調達と流動性マネジメント
資金調達と流動性マネジメントの基本方針は、有価証券報告書(2019年3月26日提出)の記載から変更ありません。なお、当第3四半期連結会計期間末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えています。
② 格付け
2019年10月31日現在の債券格付けの状況(長期/短期)は以下のとおりです。
ムーディーズS&P
長期A2(見通し:安定的)A-(見通し:ポジティブ)
短期P-1A-2

③ 資産及び負債・純資産
総資産は、売上高増加に伴うたな卸資産の増加や、国内工場やグローバルイノベーションセンターへの設備投資及び第1四半期連結会計期間からIFRS第16号「リース」を適用したことなどにより、前連結会計年度末に比べ707億円増の1兆803億円となりました。負債は、支払手形及び買掛金が減少した一方、長期借入金やリース債務などの有利子負債の増加により286億円増の5,698億円に、純資産は、利益剰余金の増加などにより420億円増の5,105億円となりました。
また、自己資本に対する有利子負債の割合を示すデット・エクイティ・レシオは0.31倍となりました。