四半期報告書-第122期第2四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/08/06 14:26
【資料】
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【項目】
47項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
売上高
(百万円)
営業利益
又は
営業損失(△)
(百万円)
経常利益
又は
経常損失(△)
(百万円)
親会社株主に
帰属する
四半期純損失(△)
(百万円)
EBITDA
(百万円)
2021年12月期
第2四半期連結累計期間
507,68723,01228,052△17,27838,880
2020年12月期
第2四半期連結累計期間
417,812△3,436△6,353△21,37613,764
増減率21.5%182.5%
外貨増減率17.7%

(注)EBITDAには、特別損失に計上した「新型コロナウイルス感染症による損失」に含まれる減価償却費
及び「減損損失」を含めています。
当第2四半期連結累計期間(2021年1月1日~2021年6月30日)の景況感は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりグローバルで経済活動が停滞し、企業収益や雇用情勢の悪化等による消費マインドの低下など、厳しい状況が続きました。国内化粧品市場は、緊急事態宣言下での小売店の時短営業や外出自粛等による来店客数減に加え、訪日外国人旅行者等の減少に伴い、インバウンド需要も影響を受けました。海外化粧品市場は、全体としては新型コロナウイルス感染症拡大の影響が継続しているものの、欧米を中心にワクチン接種の普及が進み、厳しい状況が続いていたメイクアップカテゴリーを含め回復基調となりました。
資生堂グループは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う市場変化を踏まえて策定した中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」を当期よりスタートさせ、スキンビューティー領域をコア事業とする抜本的な経営改革を実行しています。外部環境が急激に変化する中、これまでの売上拡大による成長重視から、収益性とキャッシュ・フロー重視の戦略へと転換し、スキンビューティーカンパニーとしての基盤を構築します。
当期は、WIN 2023実現に向けた“変革と次への準備”の年であり、事業ポートフォリオの再構築を中心とした構造改革に加えて、デジタルトランスフォーメーション、在庫縮減等の財務基盤の強化に取り組んでいます。
当第2四半期連結累計期間の売上高は、現地通貨ベースで前年比17.7%増、円換算後では前年比21.5%増の5,077億円となりました。事業環境が厳しい日本の低調なモメンタムを、中国や欧米を中心とした海外事業の成長でカバーしました。さらに、戦略的に投資強化を進めているスキンビューティーブランドが成長をけん引し、Eコマースもプレステージを中心に引き続き伸長しました。
営業利益は、売上増に伴う差益増に加え、マーケティング投資や経費等において市場環境の変化に合わせた適切なコストマネジメントを実施したことなどにより、前年より264億円増の230億円となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、DOLCE&GABBANA S.R.L.とのライセンス契約解消(一部は労使協議後確定)に伴う特別損失を計上したことなどから、173億円の純損失となりました。上記を含む構造改革等を除く既存ビジネスベースでは246億円の純利益となりました。
なお、EBITDAは前年より251億円増の389億円、マージンは7.7%となりました。
当第2四半期連結累計期間における財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは、1米ドル=108.0円、1ユーロ=129.9円、1中国元=16.7円です。
各報告セグメントの経営成績は次のとおりです。なお、報告セグメントの区分方法の変更については「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照ください。
① 日本事業
日本事業では、コロナ禍で変化したお客さまニーズを捉え、スキンビューティー領域への戦略的投資を強化し、スキンケアやベースメイクなどのカテゴリーにおいてシェアを拡大しました。また、ライブコマースやWebカウンセリングを強化するなど、得意先と協働して店頭とオンラインの融合に取り組み、多くのお客さまとの接点を創出しました。これにより、Eコマース売上は前年を上回って成長しました。一方、新型コロナウイルス感染症再拡大により、緊急事態宣言下での小売店の時短営業や外出自粛に伴う消費マインドの低下、来店客数の減少等の影響を受けました。
以上のことから、売上高は前年比1.1%減の1,488億円となりました。営業利益は、海外向け輸出事業の売上増に伴う差益増に加え、デジタルメディア投資強化に伴う費用効率化や徹底したコストマネジメントなどにより、前年比92.3%増の92億円となりました。
② 中国事業
中国事業では、オフライン・オンラインともに力強く成長し、2019年対比でも成長を加速しました。「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」などスキンビューティーブランドを中心にマーケティング投資を強化しました。特に、「618」Eコマースプロモーションでは主要ブランドでランキングが上昇するなど好調に推移し、シェアを拡大しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比34.6%増、円換算後では前年比44.1%増の1,441億円となりました。営業利益は、一部、原価悪化等により前年比98.9%減の1億円となりました。なお、当社の管理ベースでは、売上増に伴う差益増などにより、前年を上回る利益率となりました。
③ アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業では、一部の国・地域で新型コロナウイルス感染拡大の影響が続きましたが、全体としては回復の兆しが見られ、主要マーケットでシェアを拡大しました。また、各地域の主要Eコマースプラットフォームでの展開強化により、Eコマース売上は「SHISEIDO」などプレステージブランドがけん引し大きく成長しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比13.8%増、円換算後では前年比19.8%増の313億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年に対し18億円増の12億円となりました。
④ 米州事業
米州では、新型コロナウイルス感染拡大の影響は続いていますが、ワクチン接種の普及に伴い、回復が遅れていたメイクアップを含め、化粧品市場のモメンタムが改善しました。その中で、「NARS」はバーチャル新店舗をオープンさせるなどデジタルマーケティングを強化し、シェアを拡大しました。また、プロモーションを強化した「SHISEIDO」やフレグランスも好調に推移しました。
前年のロックダウンに伴う物流センター操業停止の反動影響もあり、売上高は現地通貨ベースで前年比46.3%増、円換算後では前年比46.7%増の539億円となりました。営業損失は、売上増に伴う差益増に加え、販売事業での固定費削減による収益性改善が寄与したことなどにより、前年に対し97億円減の91億円となりました。
⑤ 欧州事業
欧州では、新型コロナウイルス感染拡大の影響が続いていますが、ワクチン接種の普及に伴い、スキンケアやフレグランスを中心に市場は回復基調となりました。その中で、「クレ・ド・ポー ボーテ」や「Drunk Elephant」の展開拡大に加え、オンラインカウンセリングやデジタルプロモーションの強化によりEコマース売上が引き続き大きく伸長するなど、需要回復を捉え確実に成長しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比35.0%増、円換算後では前年比47.1%増の514億円となりました。営業損失は、売上増に伴う差益増に加え、販売事業での収益性改善が寄与したほか、デジタルメディア投資強化に伴う費用効率化などにより、前年に対し95億円減の3億円となりました。
⑥ トラベルリテール事業
トラベルリテール事業(空港・市中免税店等での化粧品・フレグランスの販売)は、国際線の大幅減便に伴うグローバルでの旅行者の減少等の影響を受けました。一方、中国海南島では国内旅行者数が引き続き増加していることから、店舗数の拡大やSNS等を通じたデジタルコミュニケーションの強化を実施したことなどにより、アジアでは前年を大きく上回る成長となりました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比11.6%増、円換算後では前年比12.0%増の579億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年比10.7%増の83億円となりました。
⑦ プロフェッショナル事業
プロフェッショナル事業は、ヘアサロン向けのヘアケア、スタイリング剤、ヘアカラー剤やパーマ剤などの技術商材を日本、中国、アジアパシフィックで販売しています。当期は、一部の国・地域では新型コロナウイルスの感染拡大の影響が続きましたが、ヘアサロンへの来店客数の回復やEコマースでのプロモーション強化などにより、売上高は現地通貨ベースで前年比27.6%増、円換算後では前年比32.0%増の74億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年に対し7億円増の7億円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、当連結会計年度期首残高1,363億円に比べ137億円減少し、1,227億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純損失(165億円)に減価償却費(310億円)、減損損失(189億円)などの非資金費用、構造改革費用(234億円)、たな卸資産の減少(126億円)、売上債権の減少(76億円)があった一方、構造改革費用の支払額(107億円)、法人税等の支払額(38億円)、新型コロナウイルス感染症による損失の支払額(28億円)、返品調整引当金の減少額(25億円)、仕入債務の減少(20億円)などにより、前年同期に比べ842億円増加の678億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出(532億円)、無形固定資産の取得による支出(86億円)があった一方、投資不動産の売却による収入(79億円)などにより、前年同期に比べ16億円支出は増加し、514億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの減少(151億円)、配当金の支払額(80億円)、リース債務の返済による支出(53億円)、非支配株主への配当金の支払額(37億円)などにより、前年同期に比べ941億円減少の358億円の支出となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
有価証券報告書(2021年3月25日提出)の記載から重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
有価証券報告書(2021年3月25日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、120億円(売上高比2.4%)です。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 従業員数
当第2四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(7) 生産、受注及び販売の実績
当第2四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績について著しい変動はありません。
(8) 主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の重要な異動又は前連結会計年度末において計画中であったものに著しい変更はありません。
(9) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当第2四半期連結累計期間の実績は、日本における緊急事態宣言の影響等厳しい事業環境の中、海外事業で市場回復を捉え確実に成長を実現したほか、コロナ禍を機会に変え、適切なコストマネジメントや固定費削減などにより収益基盤を強化しました。その結果、売上高、営業利益については想定を上回りました。加えて、事業ポートフォリオの再構築を中心とした構造改革、DXの推進、在庫縮減等のキャッシュマネジメント強化などトランスフォーメーションについては、計画通り進捗しています。
今後の市場環境については、ワクチン接種の普及に伴う経済活動の本格回復が期待される一方、全世界における新型コロナウイルス変異株の拡大、ロックダウンや外出自粛による制約・景気後退リスクなど不透明な経済環境の中で、現時点ではその動向及び影響額について見極めることが非常に困難な状況となっています。
上記を鑑み、連結業績予想については、第122期第1四半期の四半期報告書に記載した以下の見通しからの修正はありません。現在、様々なシナリオに基づき、今後の外部環境や市場動向、当社事業に対する影響を検証していますが、さらに慎重に見極め、然るべきタイミングで業績見通しを改めて公表します。
売上高営業利益経常利益親会社株主に
帰属する
当期純利益又は
親会社株主に
帰属する
当期純損失(△)
1株当たり
当期純利益又は
1株当たり
当期純損失(△)
2021年度予想百万円百万円百万円百万円円 銭
1,067,00027,00027,00035,50088.87
2020年度実績920,88814,9639,638△11,660△29.19

(10) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金調達と流動性マネジメント
資金調達と流動性マネジメントの基本方針は、有価証券報告書(2021年3月25日提出)の記載から変更ありません。なお、当第2四半期連結会計期間末現在において、金融機関と締結しているコミットメントライン契約の未使用額1,000億円を含む当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えています。
② 格付け
ムーディーズ・ジャパン株式会社より取得している2021年7月31日現在の発行体格付けはA2(見通し:ネガティブ)となっています。
③ 資産及び負債・純資産
総資産は、工場設備等への投資による有形固定資産の増加の一方、DOLCE&GABBANA S.R.L.とのライセンス契約解消に伴う商標権の減少などにより、前連結会計年度末に比べ655億円減の1兆1,387億円となりました。負債は、上記契約解消に伴う長期未払金の減少などにより602億円減の6,374億円に、純資産は、利益剰余金の減少などにより53億円減の5,013億円となりました。また、自己資本に対する純有利子負債の割合を示すNet D/Eレシオは0.39倍となりました。