四半期報告書-第123期第2四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
なお、当社グループは当第1四半期連結会計期間より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前第2四半期連結累計期間および前連結会計年度の数値もIFRSベースに組み替えて比較分析を行っています。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
(注) 1 コア営業利益は、営業利益から構造改革に伴う費用・減損損失等、非経常的な要因により発生した損益(非経常項目)を除いて算出しています。
2 EBITDAは、コア営業利益に、減価償却費(使用権資産の減価償却費を除く)を加算しています。
3 売上高における実質増減率は、当第2四半期連結累計期間・前第2四半期連結累計期間におけるすべての事業譲渡影響および譲渡に係る移行期間中のサービス提供に関わる影響(以下、事業譲渡影響)を除いて計算しています。
当第2四半期連結累計期間(2022年1月1日~2022年6月30日)における世界経済は、全体としてはワクチン接種の進展に伴い経済社会活動の正常化が進む一方で、中国の上海を中心としたロックダウンや、ウクライナ紛争の長期化、資源・エネルギー価格の高騰、金融資本市場の大幅な変動等、先行き不透明な状況が継続しました。
国内化粧品市場は、行動制限の緩和により緩やかな回復は見られたものの、化粧品に対する消費意欲回復の遅れ、幅広い分野での値上げに伴う節約志向の高まりなどを受け、厳しい市場環境が継続しました。海外化粧品市場は、中国では、上海を中心としたロックダウンによる店舗営業活動の制限やサプライチェーンの混乱等の影響を受け、厳しい市場環境となりました。一方、欧米では、経済活動の再開が本格化するとともに消費の回復が継続し、化粧品市場も全カテゴリーで力強く成長しました。
当社グループは、企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」のもと、環境問題やダイバーシティ&インクルージョンの実現といった社会課題解決に向けたイノベーションに積極的に取り組み、2030年のビジョン「美の力を通じて“人々が幸福を実感できる”サステナブルな社会の実現」を目指しています。
2021年にコロナ禍の難局に対応する中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」を策定し、当社の強みを活かしたスキンビューティー領域への注力、事業ポートフォリオの再構築や、欧米事業を中心とした収益性改善などを通じて、より収益性とキャッシュ・フローを重視した経営へと抜本的な改革を進めてきました。2年目となる当期は、「再び成長軌道へ」の年と位置付け、グローバルブランドの成長促進やDXの加速・進展等に取り組んでいます。
当第2四半期連結累計期間の売上高は、トラベルリテール事業、米州事業、欧州事業、アジアパシフィック事業において、力強い成長を実現しました。注力しているスキンビューティーブランド「クレ・ド・ポー ボーテ」や主力メイクアップブランド「NARS」が大きく伸長し、成長をけん引しました。一方、市場の回復が遅れた日本や、感染再拡大・ロックダウンの影響を大きく受けた中国では前年を下回りました。
その結果として、売上高は前年比0.4%減の4,934億円、現地通貨ベースでは前年比7.4%減、事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比0.8%減となりました。
コア営業利益は、構造改革を通じた固定費の低減や機動的なコストマネジメントを推進したものの、日本、中国での売上減に伴う差益減やパーソナルケア事業譲渡の影響等により、前年比23.9%減の175億円となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年に「DOLCE&GABBANA」のライセンス契約解消に伴う構造改革費用および商標権の減損損失を計上したことなどから、前年に対し444億円改善の162億円と黒字転換を果たしました。
なお、EBITDAベースでは、8.7%のマージンとなりました。
当第2四半期連結累計期間における連結財務諸表項目(収益および費用)の主な為替換算レートは、1ドル=123.0円、1ユーロ=134.3円、1中国元=19.0円です。
各報告セグメントの経営成績は次のとおりです。なお、報告セグメントの区分方法の変更については「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記(5. 事業セグメント)」をご参照ください。
① 日本事業
日本事業では、コロナ禍で変化したお客さまニーズを捉え、スキンビューティー領域でのさらなるブランド価値強化、商品イノベーションによる愛用者基盤の拡大に取り組みました。創業150周年を記念したプロモーションや、スキンビューティーブランド「SHISEIDO」や「クレ・ド・ポー ボーテ」などへの戦略的投資を継続的に強化し、ブランド愛用者数を着実に増加させました。また、太陽の光を美容効果のある「美肌光」に変換する「サンデュアルケア技術」を搭載した新商品を発売するなど、イノベーションを通じて、お客さまへ新たな価値を提供しました。加えて、前年に引き続き、得意先との協働を通じたライブコマースやWebカウンセリングも強化し、Eコマース売上は成長を継続しました。
一方、市場は、3月末のまん延防止等重点措置解除以降、緩やかな回復は見られたものの、マスク着用の常態化や幅広い分野での値上げに伴う節約志向の高まりなどを受け、厳しい環境が継続しました。
以上のことから、売上高は前年比17.4%減の1,157億円、事業譲渡影響を除く実質ベースでは、前年比2.3%減となりました。コア営業損失は、経費効率化を進めたものの、売上減による差益減、パーソナルケア事業譲渡に伴う減益のほか、ブランド価値の強化および需要喚起に向けたマーケティング投資などにより、前年に対し155億円悪化の74億円となりました。
② 中国事業
中国事業では、主要プラットフォームへの展開拡大、「618」Eコマースプロモーションなどへの戦略的投資を継続し、Eコマース売上は成長を継続しました。特に、「NARS」は力強い成長によりランキングが大幅に上昇し、シェアを拡大しました。一方、感染再拡大・上海を中心としたロックダウンに伴う厳しい行動制限等から、来店客数減少・サプライチェーンの混乱等の影響を大きく受けました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比29.3%減、円換算後では前年比19.7%減の1,157億円となりました。事業譲渡影響を除く実質ベースでは、前年比14.2%減となりました。コア営業損失は、売上減による差益減、持続的成長に向けたマーケティング投資の継続などにより前年に対し43億円悪化の20億円となりました。
③ アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業では、台湾など、一部の国・地域で回復に遅れが見られましたが、韓国・東南アジアを中心に力強い成長を実現しました。また、主要Eコマースプラットフォームへの展開強化、デジタル活用によるお客さま接点の拡大を継続することで、アジア全体のEコマースはシェアを拡大しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比5.1%減、円換算後では前年比2.8%増の314億円となりました。事業譲渡影響を除く実質ベースでは、前年比9.1%増となりました。コア営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年比48.3%増の24億円となりました。
④ 米州事業
米州事業では、新型コロナウイルス感染症による影響の緩和と経済活動の正常化に伴い、化粧品市場は全カテゴリーで成長を継続しました。その中でも、特に「NARS」は、新商品の好調さやデジタルマーケティング強化を通じたEコマースの力強い成長により、シェアを大幅に拡大しました。また、北米アンバサダーを新たに起用するなど現地ニーズをとらえたプロモーションを強化した「クレ・ド・ポー ボーテ」も好調に推移しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比3.7%減、円換算後では前年比9.5%増の590億円、事業譲渡影響を除く実質ベースでは、前年比10.9%増となりました。コア営業利益は、売上増に伴う差益増に加え、構造改革を通じた固定費削減などにより、前年に対し56億円改善の37億円と黒字に転換しました。
⑤ 欧州事業
欧州事業では、新型コロナウイルス感染症による影響の緩和に伴い、化粧品市場は全カテゴリーにおいて成長が継続しました。需要の回復を確実に捉え、「クレ・ド・ポー ボーテ」や「NARS」、「narciso rodriguez」などのプレステージブランドが力強い成長を実現しました。また、近年注目されている「コンシャスビューティー」に着目し、植物由来成分で体の内外からすこやかな美しさを目指すスキンケアブランド「Ulé」を5月よりフランスで販売を開始し、お客さまへ新たな価値を提供しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比4.8%増、円換算後では前年比8.4%増の557億円、事業譲渡影響を除く実質ベースでは、前年比4.5%増となりました。コア営業利益は、売上増に伴う差益増に加え、構造改革を通じた商標権償却負担減など固定費削減により、前年に対し26億円改善の26億円と黒字に転換しました。
⑥ トラベルリテール事業
トラベルリテール事業(空港・市中免税店などでの化粧品・フレグランスの販売)は、引き続き国際線の大幅減便に伴うグローバルでの旅行者数減少などの影響を受けたものの、中国海南島を中心に「SHISEIDO」や「クレ・ド・ポー ボーテ」、「イプサ」、「NARS」などのプレステージブランドが力強く成長しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比19.8%増、円換算後では前年比35.1%増の779億円、事業譲渡影響を除く実質ベースでは、前年比18.3%増となりました。コア営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年比95.2%増の170億円となりました。
⑦ プロフェッショナル事業
プロフェッショナル事業は、ヘアサロン向けのヘアケア、スタイリング剤、ヘアカラー剤やパーマ剤などの技術商材を日本、中国、アジアパシフィックで販売しています。当期は、中国では感染再拡大に伴う影響があったものの、ヘアサロンへの来店客数の回復やEコマース展開強化などにより、売上高は現地通貨ベースで前年比2.3%増、円換算後では前年比8.1%増の78億円となりました。コア営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年比60.7%増の12億円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、当連結会計年度期首残高1,565億円に比べ456億円減少し、1,109億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益(256億円)に減価償却費及び償却費(379億円)などの非資金費用があった一方、法人所得税の支払額(487億円)、営業債務の減少(256億円)、営業債権の増加(56億円)、棚卸資産の増加(52億円)などにより、前年同期に比べ1,047億円支出は増加し、307億円の支出となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入(113億円)があった一方、有形固定資産の取得による支出(191億円)、無形資産の取得による支出(144億円)、定期預金の預入による支出(115億円)などにより、前年同期に比べ240億円支出は減少し、253億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの増加(489億円)があった一方、リース負債の返済による支出(159億円)、社債の償還による支出(150億円)、配当金の支払額(120億円)などにより、前年同期に比べ453億円増加の13億円の収入となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
有価証券報告書(2022年3月25日提出)の記載から重要な変更または新たな発生はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
有価証券報告書(2022年3月25日提出)の記載から重要な変更または新たな発生はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、125億円(売上高比2.5%)です。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 従業員数
当第2四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(7) 生産、受注及び販売の実績
当第2四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績について著しい変動はありません。
(8) 主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の重要な異動または前連結会計年度末において計画中であったものに著しい変更はありません。
(9) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社は2022年12月期の上半期に、日本国内の化粧品市場の回復の遅れや、中国上海を中心としたロックダウンの影響等を大きく受けました。足元の市場環境を踏まえて、下半期以降、主に日本および中国の市場前提の見直しを行うとともに、中長期成長に向けたブランド価値を強化するためのマーケティング投資や人財投資を実施する予定です。これらを織り込み、売上高は50億円減額し1兆700億円、コア営業利益は220億円減額し400億円と、それぞれ予想数値を修正します。
加えて、税引前利益および親会社の所有者に帰属する当期利益については、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記(13. 後発事象)」に記載のとおり、2022年12月期において当該事業譲渡に伴う減損損失等140億円程度を見込んでいることなどから、前回予想に対し、税引前利益は275億円減額し412億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は185億円減額し255億円となる見込みです。なお、本業績予想の修正に伴う2022年12月期の配当予想に変更はありません。
前提となる主な通期平均為替レートは、1米ドル=128円、1ユーロ=135円、1中国元=19円を想定しています。
1.2022年12月期 IFRSによる通期連結業績予想(2022年1月1日~2022年12月31日)
(注)1. 2021年度実績については、IFRSによる金額を記載しています。
2. コア営業利益は、営業利益から構造改革に伴う費用・減損損失等、非経常的な要因により発生した損益(非経常項目)を除いて算出しています。
(10) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金調達と流動性マネジメント
資金調達と流動性マネジメントの基本方針は、有価証券報告書(2022年3月25日提出)の記載から変更ありません。なお、当第2四半期連結会計期間末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えています。
② 格付け
ムーディーズ・ジャパン株式会社より取得している2022年6月30日現在の発行体格付けはA3(見通し:安定的)となっています。
③ 資産及び負債・純資産
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前年の事業譲渡に伴う法人税や配当金の支払いなどによる現金及び現金同等物の減少の一方で、円安による在外営業活動体の換算差額が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ414億円増の1兆3,424億円となりました。負債は、運転資本を使途とする短期借入金が増加した一方で、未払法人所得税の減少、賞与の支払いに伴う流動負債の減少などにより230億円減の7,158億円となりました。資本は、在外営業活動体に関連した為替換算の影響などにより644億円増の6,266億円となりました。
また、自己資本に対する現預金を除いた有利子負債(リース負債除く)の割合を示すネットデット・エクイティ・レシオは0.11倍となりました。
なお、当社グループは当第1四半期連結会計期間より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前第2四半期連結累計期間および前連結会計年度の数値もIFRSベースに組み替えて比較分析を行っています。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
売上高 (百万円) | コア営業利益 (百万円) | 営業利益 (△は損失) (百万円) | 税引前 四半期利益 (△は損失) (百万円) | 親会社の 所有者に 帰属する 四半期利益 (△は損失)(百万円) | EBITDA (百万円) | |
2022年12月期第2四半期 | 493,399 | 17,539 | 16,979 | 25,611 | 16,246 | 43,059 |
2021年12月期第2四半期 | 495,365 | 23,038 | △21,179 | △20,650 | △28,113 | 48,592 |
増減率 | △0.4% | △23.9% | ― | ― | ― | △11.4% |
外貨増減率 | △7.4% |
実質増減率 | △0.8% |
(注) 1 コア営業利益は、営業利益から構造改革に伴う費用・減損損失等、非経常的な要因により発生した損益(非経常項目)を除いて算出しています。
2 EBITDAは、コア営業利益に、減価償却費(使用権資産の減価償却費を除く)を加算しています。
3 売上高における実質増減率は、当第2四半期連結累計期間・前第2四半期連結累計期間におけるすべての事業譲渡影響および譲渡に係る移行期間中のサービス提供に関わる影響(以下、事業譲渡影響)を除いて計算しています。
当第2四半期連結累計期間(2022年1月1日~2022年6月30日)における世界経済は、全体としてはワクチン接種の進展に伴い経済社会活動の正常化が進む一方で、中国の上海を中心としたロックダウンや、ウクライナ紛争の長期化、資源・エネルギー価格の高騰、金融資本市場の大幅な変動等、先行き不透明な状況が継続しました。
国内化粧品市場は、行動制限の緩和により緩やかな回復は見られたものの、化粧品に対する消費意欲回復の遅れ、幅広い分野での値上げに伴う節約志向の高まりなどを受け、厳しい市場環境が継続しました。海外化粧品市場は、中国では、上海を中心としたロックダウンによる店舗営業活動の制限やサプライチェーンの混乱等の影響を受け、厳しい市場環境となりました。一方、欧米では、経済活動の再開が本格化するとともに消費の回復が継続し、化粧品市場も全カテゴリーで力強く成長しました。
当社グループは、企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」のもと、環境問題やダイバーシティ&インクルージョンの実現といった社会課題解決に向けたイノベーションに積極的に取り組み、2030年のビジョン「美の力を通じて“人々が幸福を実感できる”サステナブルな社会の実現」を目指しています。
2021年にコロナ禍の難局に対応する中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」を策定し、当社の強みを活かしたスキンビューティー領域への注力、事業ポートフォリオの再構築や、欧米事業を中心とした収益性改善などを通じて、より収益性とキャッシュ・フローを重視した経営へと抜本的な改革を進めてきました。2年目となる当期は、「再び成長軌道へ」の年と位置付け、グローバルブランドの成長促進やDXの加速・進展等に取り組んでいます。
当第2四半期連結累計期間の売上高は、トラベルリテール事業、米州事業、欧州事業、アジアパシフィック事業において、力強い成長を実現しました。注力しているスキンビューティーブランド「クレ・ド・ポー ボーテ」や主力メイクアップブランド「NARS」が大きく伸長し、成長をけん引しました。一方、市場の回復が遅れた日本や、感染再拡大・ロックダウンの影響を大きく受けた中国では前年を下回りました。
その結果として、売上高は前年比0.4%減の4,934億円、現地通貨ベースでは前年比7.4%減、事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比0.8%減となりました。
コア営業利益は、構造改革を通じた固定費の低減や機動的なコストマネジメントを推進したものの、日本、中国での売上減に伴う差益減やパーソナルケア事業譲渡の影響等により、前年比23.9%減の175億円となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年に「DOLCE&GABBANA」のライセンス契約解消に伴う構造改革費用および商標権の減損損失を計上したことなどから、前年に対し444億円改善の162億円と黒字転換を果たしました。
なお、EBITDAベースでは、8.7%のマージンとなりました。
当第2四半期連結累計期間における連結財務諸表項目(収益および費用)の主な為替換算レートは、1ドル=123.0円、1ユーロ=134.3円、1中国元=19.0円です。
各報告セグメントの経営成績は次のとおりです。なお、報告セグメントの区分方法の変更については「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記(5. 事業セグメント)」をご参照ください。
① 日本事業
日本事業では、コロナ禍で変化したお客さまニーズを捉え、スキンビューティー領域でのさらなるブランド価値強化、商品イノベーションによる愛用者基盤の拡大に取り組みました。創業150周年を記念したプロモーションや、スキンビューティーブランド「SHISEIDO」や「クレ・ド・ポー ボーテ」などへの戦略的投資を継続的に強化し、ブランド愛用者数を着実に増加させました。また、太陽の光を美容効果のある「美肌光」に変換する「サンデュアルケア技術」を搭載した新商品を発売するなど、イノベーションを通じて、お客さまへ新たな価値を提供しました。加えて、前年に引き続き、得意先との協働を通じたライブコマースやWebカウンセリングも強化し、Eコマース売上は成長を継続しました。
一方、市場は、3月末のまん延防止等重点措置解除以降、緩やかな回復は見られたものの、マスク着用の常態化や幅広い分野での値上げに伴う節約志向の高まりなどを受け、厳しい環境が継続しました。
以上のことから、売上高は前年比17.4%減の1,157億円、事業譲渡影響を除く実質ベースでは、前年比2.3%減となりました。コア営業損失は、経費効率化を進めたものの、売上減による差益減、パーソナルケア事業譲渡に伴う減益のほか、ブランド価値の強化および需要喚起に向けたマーケティング投資などにより、前年に対し155億円悪化の74億円となりました。
② 中国事業
中国事業では、主要プラットフォームへの展開拡大、「618」Eコマースプロモーションなどへの戦略的投資を継続し、Eコマース売上は成長を継続しました。特に、「NARS」は力強い成長によりランキングが大幅に上昇し、シェアを拡大しました。一方、感染再拡大・上海を中心としたロックダウンに伴う厳しい行動制限等から、来店客数減少・サプライチェーンの混乱等の影響を大きく受けました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比29.3%減、円換算後では前年比19.7%減の1,157億円となりました。事業譲渡影響を除く実質ベースでは、前年比14.2%減となりました。コア営業損失は、売上減による差益減、持続的成長に向けたマーケティング投資の継続などにより前年に対し43億円悪化の20億円となりました。
③ アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業では、台湾など、一部の国・地域で回復に遅れが見られましたが、韓国・東南アジアを中心に力強い成長を実現しました。また、主要Eコマースプラットフォームへの展開強化、デジタル活用によるお客さま接点の拡大を継続することで、アジア全体のEコマースはシェアを拡大しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比5.1%減、円換算後では前年比2.8%増の314億円となりました。事業譲渡影響を除く実質ベースでは、前年比9.1%増となりました。コア営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年比48.3%増の24億円となりました。
④ 米州事業
米州事業では、新型コロナウイルス感染症による影響の緩和と経済活動の正常化に伴い、化粧品市場は全カテゴリーで成長を継続しました。その中でも、特に「NARS」は、新商品の好調さやデジタルマーケティング強化を通じたEコマースの力強い成長により、シェアを大幅に拡大しました。また、北米アンバサダーを新たに起用するなど現地ニーズをとらえたプロモーションを強化した「クレ・ド・ポー ボーテ」も好調に推移しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比3.7%減、円換算後では前年比9.5%増の590億円、事業譲渡影響を除く実質ベースでは、前年比10.9%増となりました。コア営業利益は、売上増に伴う差益増に加え、構造改革を通じた固定費削減などにより、前年に対し56億円改善の37億円と黒字に転換しました。
⑤ 欧州事業
欧州事業では、新型コロナウイルス感染症による影響の緩和に伴い、化粧品市場は全カテゴリーにおいて成長が継続しました。需要の回復を確実に捉え、「クレ・ド・ポー ボーテ」や「NARS」、「narciso rodriguez」などのプレステージブランドが力強い成長を実現しました。また、近年注目されている「コンシャスビューティー」に着目し、植物由来成分で体の内外からすこやかな美しさを目指すスキンケアブランド「Ulé」を5月よりフランスで販売を開始し、お客さまへ新たな価値を提供しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比4.8%増、円換算後では前年比8.4%増の557億円、事業譲渡影響を除く実質ベースでは、前年比4.5%増となりました。コア営業利益は、売上増に伴う差益増に加え、構造改革を通じた商標権償却負担減など固定費削減により、前年に対し26億円改善の26億円と黒字に転換しました。
⑥ トラベルリテール事業
トラベルリテール事業(空港・市中免税店などでの化粧品・フレグランスの販売)は、引き続き国際線の大幅減便に伴うグローバルでの旅行者数減少などの影響を受けたものの、中国海南島を中心に「SHISEIDO」や「クレ・ド・ポー ボーテ」、「イプサ」、「NARS」などのプレステージブランドが力強く成長しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比19.8%増、円換算後では前年比35.1%増の779億円、事業譲渡影響を除く実質ベースでは、前年比18.3%増となりました。コア営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年比95.2%増の170億円となりました。
⑦ プロフェッショナル事業
プロフェッショナル事業は、ヘアサロン向けのヘアケア、スタイリング剤、ヘアカラー剤やパーマ剤などの技術商材を日本、中国、アジアパシフィックで販売しています。当期は、中国では感染再拡大に伴う影響があったものの、ヘアサロンへの来店客数の回復やEコマース展開強化などにより、売上高は現地通貨ベースで前年比2.3%増、円換算後では前年比8.1%増の78億円となりました。コア営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年比60.7%増の12億円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、当連結会計年度期首残高1,565億円に比べ456億円減少し、1,109億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益(256億円)に減価償却費及び償却費(379億円)などの非資金費用があった一方、法人所得税の支払額(487億円)、営業債務の減少(256億円)、営業債権の増加(56億円)、棚卸資産の増加(52億円)などにより、前年同期に比べ1,047億円支出は増加し、307億円の支出となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入(113億円)があった一方、有形固定資産の取得による支出(191億円)、無形資産の取得による支出(144億円)、定期預金の預入による支出(115億円)などにより、前年同期に比べ240億円支出は減少し、253億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの増加(489億円)があった一方、リース負債の返済による支出(159億円)、社債の償還による支出(150億円)、配当金の支払額(120億円)などにより、前年同期に比べ453億円増加の13億円の収入となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
有価証券報告書(2022年3月25日提出)の記載から重要な変更または新たな発生はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
有価証券報告書(2022年3月25日提出)の記載から重要な変更または新たな発生はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、125億円(売上高比2.5%)です。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 従業員数
当第2四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(7) 生産、受注及び販売の実績
当第2四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績について著しい変動はありません。
(8) 主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の重要な異動または前連結会計年度末において計画中であったものに著しい変更はありません。
(9) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社は2022年12月期の上半期に、日本国内の化粧品市場の回復の遅れや、中国上海を中心としたロックダウンの影響等を大きく受けました。足元の市場環境を踏まえて、下半期以降、主に日本および中国の市場前提の見直しを行うとともに、中長期成長に向けたブランド価値を強化するためのマーケティング投資や人財投資を実施する予定です。これらを織り込み、売上高は50億円減額し1兆700億円、コア営業利益は220億円減額し400億円と、それぞれ予想数値を修正します。
加えて、税引前利益および親会社の所有者に帰属する当期利益については、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記(13. 後発事象)」に記載のとおり、2022年12月期において当該事業譲渡に伴う減損損失等140億円程度を見込んでいることなどから、前回予想に対し、税引前利益は275億円減額し412億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は185億円減額し255億円となる見込みです。なお、本業績予想の修正に伴う2022年12月期の配当予想に変更はありません。
前提となる主な通期平均為替レートは、1米ドル=128円、1ユーロ=135円、1中国元=19円を想定しています。
1.2022年12月期 IFRSによる通期連結業績予想(2022年1月1日~2022年12月31日)
売上高 | コア営業利益 | 税引前利益 | 親会社の所有 者に帰属する 当期利益 | 基本的 1株当たり 当期利益 | |
前回発表予想(A) | 百万円 | 百万円 | 百万円 | 百万円 | 円 銭 |
1,075,000 | 62,000 | 68,700 | 44,000 | 110.13 | |
今回修正予想(B) | 1,070,000 | 40,000 | 41,200 | 25,500 | 63.83 |
増減額 (B-A) | △5,000 | △22,000 | △27,500 | △18,500 | ― |
増減率(%) | △0.5% | △35.5% | △40.0% | △42.0% | ― |
(ご参考) 2021年度実績 | 1,009,966 | 42,553 | 99,111 | 46,909 | 117.43 |
(注)1. 2021年度実績については、IFRSによる金額を記載しています。
2. コア営業利益は、営業利益から構造改革に伴う費用・減損損失等、非経常的な要因により発生した損益(非経常項目)を除いて算出しています。
(10) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金調達と流動性マネジメント
資金調達と流動性マネジメントの基本方針は、有価証券報告書(2022年3月25日提出)の記載から変更ありません。なお、当第2四半期連結会計期間末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えています。
② 格付け
ムーディーズ・ジャパン株式会社より取得している2022年6月30日現在の発行体格付けはA3(見通し:安定的)となっています。
③ 資産及び負債・純資産
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前年の事業譲渡に伴う法人税や配当金の支払いなどによる現金及び現金同等物の減少の一方で、円安による在外営業活動体の換算差額が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ414億円増の1兆3,424億円となりました。負債は、運転資本を使途とする短期借入金が増加した一方で、未払法人所得税の減少、賞与の支払いに伴う流動負債の減少などにより230億円減の7,158億円となりました。資本は、在外営業活動体に関連した為替換算の影響などにより644億円増の6,266億円となりました。
また、自己資本に対する現預金を除いた有利子負債(リース負債除く)の割合を示すネットデット・エクイティ・レシオは0.11倍となりました。