四半期報告書-第122期第1四半期(令和3年1月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/05/14 14:53
【資料】
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【項目】
45項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
親会社株主に帰属する
四半期純利益
又は
四半期純損失(△)
(百万円)
EBITDA
(百万円)
2021年12月期第1四半期244,01110,88413,854△1,52731,538
2020年12月期第1四半期226,8936,4966,0521,40224,005
増減率7.5%67.6%128.9%31.4%

外貨増減率6.0%

(注)EBITDAには、特別損失に計上した「新型コロナウイルス感染症による損失」に含まれる減価償却費
及び「減損損失」を含めています。
当第1四半期連結累計期間(2021年1月1日~2021年3月31日)の景況感は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりグローバルで経済活動が停滞し、企業収益や雇用情勢の悪化等による消費マインドの低下など、厳しい状況が続きました。国内化粧品市場は、緊急事態宣言下での小売店の時短営業や外出自粛等による来店客数減に加え、訪日外国人旅行者等の大幅減少に伴い、インバウンド需要も大きく影響を受けました。海外化粧品市場は、一部の国・地域では持ち直しの動きがみられるものの、全体としては新型コロナウイルスの感染症拡大の影響が継続しており、特にメイクアップ市場は厳しい状況が続きました。一方で、中国では経済活動が回復し、化粧品市場も引き続き成長しました。
資生堂グループは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う市場変化を踏まえて策定した中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」を当期よりスタートさせ、スキンビューティー領域をコア事業とする抜本的な経営改革を実行しています。外部環境が急激に変化する中、これまでの売上拡大による成長重視から、収益性とキャッシュ・フロー重視の戦略へと転換し、スキンビューティーカンパニーとしての基盤を構築します。
当期は、WIN 2023実現に向けた“変革と次への準備”の年であり、事業ポートフォリオの再構築を中心とした構造改革に加えて、デジタルトランスフォーメーション、在庫縮減等の財務基盤の強化に取り組んでいます。
当第1四半期連結累計期間の売上高は、日本を除いた全ての地域で成長し、現地通貨ベースで前年比6.0%増、円換算後では前年比7.5%増の2,440億円となりました。戦略的に投資強化を進めているスキンビューティーブランドが成長をけん引し、Eコマースもプレステージを中心に引き続き伸長しました。
営業利益は、売上増に伴う差益増に加え、マーケティング投資や経費等において市場環境の変化に合わせた適切なリソースアロケーションを行ったことなどにより、前年比67.6%増の109億円となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、構造改革等を除く既存ビジネスベースでは138億円となったものの、DOLCE&GABBANA S.R.L.とのライセンス契約解消(一部は労使協議後確定)に伴う商標権の減損損失を計上したことなどから、15億円の損失となりました。
なお、EBITDAベースでは12.9%と二桁のマージンを継続しました。
当第1四半期連結累計期間における財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは、1米ドル=106.6円、1ユーロ=127.9円、1中国元=16.4円です。
各報告セグメントの経営成績は次のとおりです。なお、報告セグメントの区分方法の変更については「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
① 日本事業
日本事業では、コロナ禍で変化したお客さまニーズを捉え、スキンビューティー領域を中心とした商品を強化しました。また、専門店のEコマースプラットフォーム「Omise+」を3月よりスタートさせたほか、ライブコマースやWEBカウンセリングを強化するなど、得意先と協働して店頭とオンラインの融合に取り組み、多くのお客さまとの接点を拡大しました。これにより、Eコマース売上は前年を上回って成長しました。一方、新型コロナウイルス感染症再拡大により、緊急事態宣言を受けた小売店の時短営業や外出自粛に伴う消費マインドの低下等の影響を受けました。加えて、訪日外国人旅行者等の大幅な減少により、インバウンド需要も減少しました。
以上のことから、売上高は前年比12.1%減の753億円となりました。営業利益は、徹底したコスト削減に取り組んだものの、売上減に伴う差益減などにより、前年比37.0%減の49億円となりました。
② 中国事業
中国事業では、前年同期は新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けましたが、当期はオフライン・オンラインともに力強く成長し、2019年対比でも成長を加速しました。「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「イプサ」などスキンビューティーブランドを中心にマーケティング投資を強化し、婦人節や資生堂中国40周年のプロモーションも好調に推移しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比41.1%増、円換算後では前年比46.8%増の653億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増があった一方、一部、原価悪化や、マーケティング投資強化などにより、前年比62.7%減の20億円となりました。
③ アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業では、一部の国・地域では新型コロナウイルスの感染拡大の影響が続きましたが、全体としては回復の兆しが見られ、台湾など主要マーケットでシェアを拡大したほか、ベトナムやシンガポールは二桁成長しました。また、各地域の主要Eコマースプラットフォーマーでの展開強化により、Eコマース売上は「SHISEIDO」などがけん引し倍増しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比6.4%増、円換算後では前年比9.6%増の165億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年比35.8%増の14億円となりました。
④ 米州事業
米州では、新型コロナウイルスの感染拡大により、特にオフラインチャネルとメイクアップカテゴリーが大きな影響を受けました。その中で、「NARS」はバーチャル新店舗をオープンさせるなどデジタルマーケティングを強化し、前年を上回りました。また、プロモーションを強化した「SHISEIDO」やフレグランスも好調に推移しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比6.8%増、円換算後では前年比4.6%増の244億円となりました。営業損失は、売上増に伴う差益増に加え、人件費効率化や償却費用の減少などにより、前年に対し30億円減の61億円となりました。
⑤ 欧州事業
欧州事業では、新型コロナウイルス感染拡大の影響が続きましたが、「クレ・ド・ポー ボーテ」や「Drunk Elephant」の展開拡大を進めました。また、オンラインカウンセリングやデジタルプロモーションの強化により、Eコマース売上は引き続き大きく伸長しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比12.3%増、円換算後では前年比19.6%増の244億円となりました。営業損失は、売上増に伴う差益増に加え、マーケティング投資の効率化などにより、前年に対し56億円減の9億円となりました。
⑥ トラベルリテール事業
トラベルリテール事業(空港・市中免税店等での化粧品・フレグランスの販売)は、国際線の大幅減便に伴うグローバルでの旅行者の減少等の影響を受けました。一方、中国海南島では国内旅行者数が引き続き増加していることから、店舗数の拡大やプロモーションの強化等を実施しました。また、「イプサ」や「エリクシール」などの店頭カウンターの展開強化に取り組んだことなどにより、アジアでは前年を上回る成長となりました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比2.5%増、円換算後では前年比0.7%増の280億円となりました。営業利益は、アジアでの売上増に伴う差益増があった一方、国内免税事業の減益などにより、前年比5.1%減の47億円となりました。
⑦ プロフェッショナル事業
プロフェッショナル事業は、ヘアサロン向けのヘアケア、スタイリング剤、ヘアカラー剤やパーマ剤などの技術商材を日本、中国、アジアパシフィックで販売しています。当期は、一部の国・地域では新型コロナウイルスの感染拡大の影響が続きましたが、ヘアサロンへの来店客数の回復やEコマースでのプロモーション強化などにより、売上高は現地通貨ベースで前年比23.0%増、円換算後では前年比25.4%増の36億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年比639.7%増の4億円となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
有価証券報告書(2021年3月25日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
有価証券報告書(2021年3月25日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、57億円(売上高比2.3%)です。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 従業員数
当第1四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(6) 生産、受注及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績について著しい変動はありません。
(7) 主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の重要な異動又は前連結会計年度末において計画中であったものに著しい変更はありません。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
2021年12月期の通期連結業績予想に関しては、既存ビジネスでの売上高・利益について有価証券報告書(2021年3月25日提出)の記載から変更はありませんが、パーソナルケア事業譲渡・合弁事業化に伴う下期の売上高、営業利益減少影響、及び事業譲渡後のパーソナルケア商品の製品供給を譲渡先新会社に対して継続する影響を織り込み、売上高は330億円減額し1兆670億円、営業利益は80億円減額し270億円とそれぞれ予想数値を修正します。
親会社株主に帰属する当期純利益については、上記事業に関わる株式譲渡益等を特別利益として870億円計上する一方、DOLCE&GABBANA S.R.L.とのライセンス契約解消に伴う商標権の減損損失等を特別損失として350億円を計上すること、また欧州において組織最適化に向けた構造改革を実施すること等から、前回予想を240億円増額し355億円となる見込みです。
前提となる主な通期平均為替レートは、1米ドル=105円、1ユーロ=127円、1中国元=16円を想定しています。
売上高営業利益経常利益親会社株主に
帰属する
当期純利益
又は
親会社株主に
帰属する
当期純損失(△)
1株当たり
当期純利益
又は
1株当たり
当期純損失(△)
2021年度予想百万円百万円百万円百万円円 銭
1,067,00027,00027,00035,50088.87
2020年度実績920,88814,9639,638△11,660△29.19

(9) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金調達と流動性マネジメント
資金調達と流動性マネジメントの基本方針は、有価証券報告書(2021年3月25日提出)の記載から変更ありません。なお、当第1四半期連結会計期間末現在において、金融機関と締結しているコミットメントライン契約の未使用額1,000億円を含む当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えています。
② 格付け
ムーディーズ・ジャパン株式会社より取得している2021年4月30日現在の発行体格付けはA2(見通し:ネガティブ)となっています。
③ 資産及び負債・純資産
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、DOLCE&GABBANA S.R.L.とのライセンス契約解消に伴う商標権の減少の一方、工場設備等への投資による有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ78億円増の1兆2,120億円となりました。負債は、工場設備関連の支払いに伴う流動負債の減少などにより43億円減の6,934億円に、純資産は、為替換算調整勘定の増加などにより121億円増の5,187億円となりました。また、自己資本に対する純有利子負債の割合を示すNet D/Eレシオは0.41倍となりました。