四半期報告書-第121期第2四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/08/07 15:39
【資料】
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【項目】
47項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
売上高
(百万円)
営業利益又は
営業損失(△)
(百万円)
経常利益又は
経常損失(△)
(百万円)
親会社株主に
帰属する
四半期純利益又は
親会社株主に
帰属する
四半期純損失(△)
(百万円)
EBITDA
(百万円)
2020年12月期
第2四半期連結累計期間
417,812△3,436△6,353△21,37613,764
2019年12月期
第2四半期連結累計期間
564,64768,98067,96552,45295,980
増減率△26.0%△85.7%
外貨増減率△24.5%
実質増減率△24.7%

当第2四半期連結累計期間(2020年1月1日~2020年6月30日)の景況感は、新型コロナウイルス感染症の拡大によりグローバルで経済活動が停滞し、企業収益や雇用情勢の悪化等による消費マインドの低下など、厳しい状況が続いています。国内化粧品市場は、消費者の外出自粛、小売店の臨時休業、緊急事態宣言解除後も続く時短営業等による来店客数減に加え、日本政府による約100の国や地域を対象とした査証の無効化などの入国制限、国際航空便の減便要請の継続等により、インバウンド需要も大きく影響を受けました。海外化粧品市場は、感染症拡大に伴い、中国やその他アジア地域は2月から、欧米では3月から急激に減速しました。中国では、3月下旬以降、感染者数増加に歯止めがかかり、外出制限が緩和されたこと等から4月以降、市況が回復に転じています。 資生堂グループは2015年に、100年先も輝き続ける企業となるため中長期戦略VISION 2020 をスタートさせました。日本発のグローバルビューティーカンパニーとして競争に勝ち抜くため、全ての活動をお客さま起点とし、グローバルでブランド価値向上に取り組んでいます。 当期は、VISION 2020 の最終年度ですが、大変厳しい経営環境となっています。そうした環境下にあっても、事業・ブランドの選択と集中を進め、持続的成長に向けてグローバルブランドへの投資は継続し、年間の費用をゼロベースで見直しながら、業績回復に向けた対応策の策定及び実行に取り組んでいます。 当第2四半期連結累計期間の売上高は、全ての地域で新型コロナウイルス感染症拡大の影響、特に、4~5月における各市場のロックダウンの本格化を受け、現地通貨ベースで前年比24.5%減、米州における米国会計基準(ASC 第606号)の適用影響及び2019年の基幹情報システムの導入に伴う先行出荷影響、事業買収影響等を除く実質ベースでは前年比24.7%減となりました。円換算後では、前年比26.0%減の4,178億円となりました。 営業利益は、市場環境の急速な悪化を受けコスト削減に取り組んでいるものの、売上減に伴う差益減や減産に伴う工場生産性の悪化などにより、34億円の損失となりました。 親会社株主に帰属する四半期純利益は、営業損失に加え、休業中の従業員給与、店舗・工場維持費等、新型コロナウイルス感染症にかかる特別損失を計上したことなどから、214億円の損失となりました。 当第2四半期連結累計期間における財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは、1米ドル=108.2円、1ユーロ=119.2円、1中国元=15.4円です。
各報告セグメントの経営成績は次のとおりです。なお、報告セグメントの区分方法の変更については「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照ください。
① 日本事業
日本事業は、新型コロナウイルス感染症拡大により、緊急事態宣言を受けた外出自粛に伴う消費マインドの低下に加え、宣言解除後も続く小売店の時短営業や来店客数減等の影響も受け、プレステージブランドやコスメティクスブランドを中心に減収となりました。これに加え、訪日外国人旅行者の大幅な減少により、インバウンド需要も激減しました。 以上のことから、売上高は前年比31.9%減の1,505億円となりました。前期の「フェルゼア」、「エンクロン」のブランド譲渡影響等を除いた実質ベースでは前年比31.8%減となりました。営業利益は、徹底したコスト削減に取り組んだものの、売上減に伴う差益減やプロダクトミックスの悪化などにより、前年比87.5%減の52億円となりました。
② 中国事業
中国事業は、新型コロナウイルス感染症拡大により、1月後半から大きな影響を受けていましたが、3月下旬以降の感染者数減少を受けて、現在ではほぼ全ての小売店が営業を再開するなど、中国本土を中心に、全セグメントの中で最も早く回復傾向が見られ、プレステージブランドを中心に第2四半期連結会計期間の売上高はプラス成長に転じました。中でも投資を強化しているEコマースは、特にプレステージブランドにおいて、大きく成長しました。 以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比2.9%減、円換算後では前年比7.1%減の1,000億円となりました。営業利益は、売上減に伴う差益減、計画に対しては抑制しているもののマーケティング投資の増加などにより、前年比57.4%減の77億円となりました。
③ アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業では、引き続きブランドの展開拡大やEコマースの強化に取り組みましたが、タイや台湾等を中心に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けました。一方、ベトナムは影響が比較的小さく、5月以降は、回復の兆しが見られました。 以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比26.6%減、円換算後では前年比27.8%減の262億円となりました。営業利益は前年の32億円に対し、売上減に伴う差益減などにより、6億円の営業損失となりました。
④ 米州事業
米州事業では、3月以降の新型コロナウイルス感染症拡大による都市封鎖や外出制限、小売事業者のチャプター11(米連邦破産法11条)の申請増加等の影響を受けました。一方、厳しい市場環境の中でもEコマースが引き続き伸長している「Drunk Elephant」は好調に推移しました。 以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比40.9%減、円換算後では前年比42.1%減の367億円となりました。米州における米国会計基準(ASC第606号)の適用影響及び2019年の基幹情報システムの導入に伴う先行出荷影響、米国スキンケアブランド「Drunk Elephant」買収影響等を除く実質ベースでは、前年比45.2%減となりました。営業損失は、売上減に伴う差益減に加え、買収に伴うのれん償却費の費用増などにより、前年に対し154億円増の186億円となりました。
⑤ 欧州事業
欧州では、ロシア、イギリスを除くほぼ全ての市場で小売店が営業を再開しました。また、市場全体でEコマースが大きく伸長する中、当社のEコマースは市場を上回って伸長し、特に「SHISEIDO」のスキンケアが好調に推移しました。しかし、全体としては、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を大きく受けました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比24.4%減、円換算後では前年比27.5%減の350億円となりました。営業損失は、売上減に伴う差益減などにより、前年に対し49億円増の99億円となりました。
⑥ トラベルリテール事業
トラベルリテール事業(空港免税店等での化粧品・フレグランスの販売)は、国際線の大幅減便に伴うグローバルでの中国人旅行者の大幅減少等の影響を受けました。一方、比較的堅調な韓国の市中免税店に加え、中国海南島への国内旅行者が増加したことなどにより、中国の市中免税店でもモメンタムの回復傾向が見られました。多くのブランドが減収となった中、前年同期は一部商品の品切れ等により出荷水準が低調だった「クレ・ド・ポー ボーテ」のほか、カウンターの展開を拡大した「IPSA」や「ANESSA」などが伸長しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比17.5%減、円換算後では前年比19.0%減の517億円となりました。営業利益は、売上減に伴う差益減や在庫増に伴う原価悪化などにより、前年比56.0%減の75億円となりました。
⑦ プロフェッショナル事業
プロフェッショナル事業は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛や、ヘアケア、スタイリング剤、ヘアカラー剤やパーマ剤などを販売しているヘアサロンの休業等の影響を受け、売上高は現地通貨ベースで前年比20.4%減、円換算後では前年比22.1%減の56億円となりました。営業利益は、売上減に伴う差益減などにより、前年比93.1%減の0.1億円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、当連結会計年度期首残高975億円に比べ98億円減少し、877億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純損失(224億円)に減価償却費(301億円)などの非資金費用、売上債権の減少(374億円)があった一方、仕入債務の減少(354億円)、たな卸資産の増加(156億円)、賞与引当金の減少(128億円)などにより、前年同期に比べ370億円減少の163億円の支出となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出(384億円)、無形固定資産の取得による支出(92億円)などにより、前年同期に比べ134億円増加の499億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額(120億円)などがあった一方、長期借入れによる収入(500億円)、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの増加(253億円)などにより、前年同期と比べ355億円増加の583億円の収入となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
有価証券報告書(2020年3月25日提出)の記載から重要な変更はありません。なお、当期はVISION 2020 の最終年度であるため、現在、次期中期経営戦略の策定に取り組んでいます。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
有価証券報告書(2020年3月25日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、133億円(売上高比3.2%)です。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 従業員数
当第2四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(7) 生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の実績は次の通りです。
① 生産実績
当第2四半期連結累計期間における生産実績は、新型コロナウイルス感染症拡大により、前年同期比で減少しています。当第2四半期連結累計期間における生産実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)増減率(%)
日本事業--
中国事業1,349△36.7
アジアパシフィック事業1,811△6.1
米州事業12,407△32.3
欧州事業13,569△24.6
トラベルリテール事業--
プロフェッショナル事業--
その他82,294△1.4
合計111,431△10.0

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しています。
2 金額は製造原価によっています。
3 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
② 受注状況
当社グループ製品については受注生産を行っていません。また、OEM(相手先ブランドによる生産)等による受注生産を一部実施しているものの金額は僅少です。
③ 販売実績
当第2四半期連結累計期間における販売実績は、新型コロナウイルス感染症拡大により、減少しています。なお、販売実績については、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」及び「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照ください。
(8) 主要な設備
① 主要な設備の状況
当第2四半期連結累計期間において、主要な設備に著しい変動はありません。
② 設備の新設、改修等の計画
前連結会計年度末において計画していた当連結会計年度の設備投資の金額は、第2四半期連結累計期間末において下表のとおり変更しています。
セグメントの名称当連結会計年度の
投資予定金額
(百万円)
設備等の主な内容、目的
変更前変更後
日本事業17,10010,900店舗設備等のマーケティング投資、ソフトウエア投資
中国事業12,0007,600店舗設備等のマーケティング投資
アジアパシフィック事業5,1004,000店舗設備等のマーケティング投資、ソフトウエア投資
米州事業9,7005,500店舗設備等のマーケティング投資、工場設備投資
欧州事業6,6005,000店舗設備等のマーケティング投資、工場設備投資
トラベルリテール事業2,6001,800店舗設備等のマーケティング投資
プロフェッショナル事業200200ソフトウエア投資
その他92,30057,000生産設備の改修・更新、工場の建設、ソフトウエア投資
合計145,60092,000

(注) 有形固定資産、無形固定資産(のれん、商標権等を除く)及び長期前払費用への投資です。金額には消費税等は
含まれていません。
③ 除却等の計画
該当事項はありません。
(9) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
2020年12月期の通期連結業績予想につきましては、不確定要素が多く、影響額について見極めることが非常に困難なため未定としておりましたが、現時点で入手可能な情報や足元の業績推移に基づき算定し、公表することといたしました。なお、今回の業績予想においては、ウィズコロナの社会・経済活動が今後主要国において継続されると想定し、さらなる新型コロナウイルス感染症拡大による、日本での緊急事態宣言発令や、各国におけるロックダウンの可能性は織り込んでいません。前提となる主な通期平均為替レートは、1米ドル=108.0円、1ユーロ=120.7円、1中国元=15.3円を想定しています。
売上高営業利益経常利益又は
経常損失(△)
親会社株主に
帰属する
当期純利益又は
親会社株主に
帰属する
当期純損失(△)
1株当たり
当期純利益又は
1株当たり
当期純損失(△)
2020年度予想百万円百万円百万円百万円円 銭
953,0000△6,500△22,000△55.08
2019年度実績1,131,547113,831108,73973,562184.18


(10) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金調達と流動性マネジメント
資金調達と流動性マネジメントの基本方針は、有価証券報告書(2020年3月25日提出)の記載から変更ありません。なお、当第2四半期連結会計期間末現在において、金融機関と締結しているコミットメントライン契約の未使用額1,000億円を含む当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えています。
② 格付け
ムーディーズ・ジャパン株式会社より取得している2020年7月31日現在の発行体格付けはA2(見通し:安定的)となっています。
③ 資産及び負債・純資産
総資産は、新型コロナウイルス感染症拡大による売上減に伴う流動資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ469億円減の1兆1,719億円となりました。負債は、運転資金の調達を目的とした短期借入などによる増加の一方で、仕入減に伴う流動負債の減少があり、結果として88億円減の6,921億円に、純資産は、利益剰余金の減少及び為替換算調整勘定の減少などにより380億円減の4,798億円となりました。 また、自己資本に対する有利子負債の割合を示すデット・エクイティ・レシオは0.70倍となりました。