四半期報告書-第120期第2四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

【提出】
2019/08/09 13:13
【資料】
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【項目】
34項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
親会社株主に
帰属する
四半期純利益
(百万円)
1株当たり
四半期
純利益
(円)
2019年12月期
第2四半期連結累計期間
564,64768,98067,96552,452131.33
2018年12月期
第2四半期連結累計期間
532,59671,11172,80747,666119.32
増減率6.0%△3.0%△6.7%10.0%10.1%
外貨増減率7.5%

当第2四半期連結累計期間(2019年1月1日~2019年6月30日)の国内における景況感は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費に持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調が続きました。国内化粧品市場も同様に回復基調が継続したことに加え、増加傾向が続く訪日外国人によるインバウンド需要もあり、堅調に推移しました。海外化粧品市場は、国によりばらつきがみられる欧州は弱い成長にとどまり、米州はメイクアップを中心にマイナス成長となりました。一方、中国やその他アジアでは堅調な成長が継続しました。
資生堂グループは2015年に、100年先も輝き続ける企業となるため中長期戦略VISION 2020 をスタートさせました。日本発のグローバルビューティーカンパニーとして競争に勝ち抜くため、全ての活動をお客さま起点とし、グローバルでブランド価値向上に取り組んでいます。
当期は、VISION 2020 の第2フェーズである後半3カ年の2年目であり、成長加速のための新戦略の実行に取り組んでいます。成長をけん引するプレステージブランドやメイド・イン・ジャパンのコスメティクス・パーソナルケアブランドにマーケティング投資を集中するとともに、デジタルマーケティングやイノベーション創出への投資強化も進めています。加えて、課題であるサプライチェーンの基盤構築、米州・欧州の収益性向上に取り組んでいます。
当第2四半期連結累計期間の売上高は、現地通貨ベースで前年比7.5%増、円換算後では、前年比6.0%増の5,646億円となりました。アメニティグッズ事業の撤退影響及び米州事業での基幹情報システムの導入に伴う先行出荷の影響を除く実質ベースでは、全てのリージョンで成長し、前年比7.3%増となりました。また、四半期毎では、第1四半期連結会計期間の実質ベースの売上高が前年比5.5%増であったのに対し、当第2四半期連結会計期間では、9.0%増となり、成長が加速しています。主に中国のお客さまを対象としてアジア全域でクロスボーダーマーケティングを戦略的に実施した中国・トラベルリテールが成長をけん引しました。
営業利益は、売上増に伴う差益増があった一方、マーケティングや研究開発、人材への投資を強化したことなどにより、前年比3.0%減の690億円となり、計画通り進捗しました。マーケティング投資は、デジタル関連への投資に集中しており、マーケティングROIは改善しています。また、売上高営業利益率は12.2%と2桁の収益性を継続しています。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、税金費用の減少などにより、前年比10.0%増の525億円となりました。
なお、第2四半期連結会計期間の売上高、営業利益、親会社株主に帰属する四半期純利益は過去最高となりました。
当第2四半期連結累計期間における財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは、1ドル=110.1円、1ユーロ=124.3円、1中国元=16.2円です。
各報告セグメントの経営成績は次のとおりです。なお、報告セグメントの区分方法の変更については「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
①日本事業
日本事業では、集中的にマーケティング投資を強化している“肌3分野”が好調を継続し、美容液「アルティミューン」がけん引した「SHISEIDO」や、「薬用 美白美容液ファンデ」を発売した「HAKU」、化粧水・乳液やしわ改善クリーム等が貢献している「エリクシール」が引き続き高い成長性を確保しました。加えて、アジア全域でのクロスボーダーマーケティングの強化により拡大するインバウンド需要を確実に獲得した一方で、円高や中国の電子商取引法施行に伴うインバウンドのバイヤー需要の減少や、春先からの天候不順の影響もありました。以上のことから、売上高は前年比0.5%増の2,319億円となりました。アメニティグッズ事業の撤退影響を除いた実質前年比は1.5%増となりました。営業利益は、マーケティングやブランド開発、人材への投資強化などにより前年比6.2%減の483億円となりました。
②中国事業
中国事業では、「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「イプサ」、「NARS」などのプレステージブランドが高成長を持続し、中国本土でのプレステージブランドの店頭売上は、前年比40%以上の伸びとなりました。これに加え、コスメティクスブランドではメイド・イン・ジャパンブランドである「エリクシール」や「アネッサ」が引き続き大きく伸長しました。以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比20.5%増、円換算後では前年比15.9%増の1,077億円となりました。当第2四半期連結会計期間の売上高は、現地通貨ベースの前年比が22.3%増となり、第1四半期連結会計期間から成長を加速しました。営業利益は、マーケティング投資を強化している一方、売上増に伴う差益増により、前年比15.2%増の180億円となりました。
③アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業では、「NARS」、「LAURA MERCIER」などのプレステージブランドが好調を継続したことに加え、「エリクシール」や「SENKA」が大きく伸長したことなどにより、売上高は現地通貨ベースで前年比12.0%増、円換算後では前年比8.8%増の363億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増があった一方、マーケティング投資の強化などにより、前年比29.1%減の32億円となりました。
④米州事業
米州事業では、基幹情報システムの導入に伴って、一部商品を先行出荷したことにより、売上高は現地通貨ベースで前年比8.4%増、円換算後では前年比8.9%増の641億円となりました。この特殊要因を除くと、実質外貨前年比は1.7%増でした。ブランド別では、収益性が低い直営店の閉鎖などの構造改革を継続している「bareMinerals」の売上が前年を下回りましたが、「SHISEIDO」や「NARS」などのプレステージブランドが成長を継続したほか、フレグランスブランドの「Dolce&Gabbana」が好調に推移しました。売上増に伴う差益増などにより、営業損失は前年に対し20億円減の53億円となりました。米州事業を機能別に分けると、米州における販売事業(コマーシャルベース)、グローバルで展開するメイクアップのブランドホルダー機能、メイクアップ、デジタル、テクノロジーの価値創造拠点となる“センター・オブ・エクセレンス”(注)機能を持ち、これらのグローバル機能の戦略的投資も負担しています。今後は、「bareMinerals」の構造改革を実現することで収益性を改善していきます。
⑤欧州事業
欧州事業では、「SHISEIDO」や「NARS」などのプレステージブランドが成長を継続したことや、フレグランスで「Dolce&Gabbana」や新製品が好調に推移した「narciso rodriguez」が伸長したことなどにより、売上高は現地通貨ベースで前年比9.0%増、円換算後では前年比2.9%増の482億円となりました。当第2四半期連結会計期間の売上高は、現地通貨ベースの前年比が12.0%増となり、第1四半期連結会計期間から成長を加速しました。売上増に伴う差益増などにより、営業損失は前年に対し0.2億円減の50億円となりました。欧州事業を機能別に分けると、欧州における販売事業(コマーシャルベース)、フレグランスのブランドホルダー機能、フレグランスの“センター・オブ・エクセレンス”機能を持ち、これらのグローバル機能の戦略的投資も負担しています。今後は、売上を拡大することで収益性を改善していきます。
⑥トラベルリテール事業
トラベルリテール事業では、アジアを中心に「SHISEIDO」、「NARS」、「アネッサ」などがけん引し、売上高は現地通貨ベースで前年比17.3%増、円換算後では前年比17.2%増の531億円となりました。当第2四半期連結会計期間の売上高は、現地通貨ベースの前年比が24.5%増となり、第1四半期連結会計期間から成長を加速しました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年比7.8%増の120億円となりました。
⑦プロフェッショナル事業
プロフェッショナル事業では、中国が好調に推移し、売上高は現地通貨ベースで前年比1.3%増、円換算後では前年比0.5%減の72億円となりました。営業利益は、マーケティング投資の強化などにより、前年比28.3%減の2億円となりました。
(注) “センター・オブ・エクセレンス”とは、スキンケアは日本、メイクアップ、デジタル、テクノロジーは米州、フレグランスは欧州といった、各カテゴリーにおいてグローバルで最先端の地域が、当社のグローバルな戦略立案・商品開発をリードする体制のことです。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、当連結会計年度期首残高1,118億円に比べ213億円減少し、905億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益(667億円)に減価償却費(268億円)などの非資金費用があった一方、法人税等の支払額(363億円)、たな卸資産の増加(226億円)、賞与引当金の減少(142億円)などにより、前年同期に比べ収入が186億円減少の207億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出(551億円)、無形固定資産の取得による支出(101億円)などにより、前年同期に比べ支出が371億円増加の633億円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額(101億円)、非支配株主への配当金の支払額(51億円)などがあった一方、長期借入れによる収入(440億円)などにより、前年同期と比べ収入が403億円増加の228億円の収入となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
有価証券報告書(2019年3月26日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
有価証券報告書(2019年3月26日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、157億円(売上高比2.8%)です。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 従業員数
当第2四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(7) 生産、受注及び販売の実績
当第2四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績について著しい変動はありません。
(8) 主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の重要な異動又は前連結会計年度末において計画中であったものに著しい変更はありません。
(9) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
有価証券報告書(2019年3月26日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(10) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金調達と流動性マネジメント
資金調達と流動性マネジメントの基本方針は、有価証券報告書(2019年3月26日提出)の記載から変更ありません。なお、当第2四半期連結会計期間末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えています。
② 格付け
2019年7月31日現在の債券格付けの状況(長期/短期)は以下のとおりです。
ムーディーズS&P
長期A2(見通し:安定的)A-(見通し:ポジティブ)
短期P-1A-2

③ 資産及び負債・純資産
総資産は、国内新工場やグローバルイノベーションセンターへの設備投資及び第1四半期連結会計期間からIFRS第16号「リース」を適用したことなどにより、前連結会計年度末に比べ596億円増の1兆693億円となりました。負債は、長期借入金の増加などにより227億円増の5,639億円に、純資産は、利益剰余金の増加などにより369億円増の5,054億円となりました。
また、自己資本に対する有利子負債の割合を示すデット・エクイティ・レシオは0.28倍となりました。