四半期報告書-第121期第3四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2020年1月1日~2020年9月30日)の景況感は、新型コロナウイルス感染症の拡大によりグローバルで経済活動が停滞し、企業収益や雇用情勢の悪化等による消費マインドの低下など、厳しい状況が続いています。国内化粧品市場は、緊急事態宣言による小売店の臨時休業、同解除後も続く時短営業等による来店客数減に加え、昨年9月の消費税増税前の駆け込み需要の反動影響も受けました。また、日本政府による約150の国や地域を対象とした査証の無効化などの入国制限、国際航空便減便の継続等により、インバウンド需要も大きく影響を受けました。さらに海外化粧品市場は、感染症拡大に伴い、中国やその他アジア地域は2月から、欧米では3月から急激に減速しました。新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は、夏場に一時落ち着きが見られましたが、欧米を中心に9月以降再び増加に転じており、経済活動を制限する施策が再度強化される中、厳しい環境が継続しています。一方、中国では、3月下旬以降、感染者数増加に歯止めがかかり、外出制限が緩和されたこと等から4月以降、市況が回復に転じています。
資生堂グループは2015年に、100年先も輝き続ける企業となるため中長期戦略 VISION 2020 をスタートさせました。日本発のグローバルビューティーカンパニーとして競争に勝ち抜くため、全ての活動をお客さま起点とし、グローバルでブランド価値向上に取り組んでいます。
当期は、VISION 2020の最終年度ですが、上記のとおり大変厳しい経営環境となっています。そうした環境下にあっても、事業・ブランドの選択と集中を進め、持続的成長に向けてグローバルブランドへの投資は継続し、年間の費用をゼロベースで見直しながら、業績回復に向けた対応策の策定及び実行に取り組んでいます。
当第3四半期連結累計期間の売上高は、全ての地域で新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、現地通貨ベースで前年比21.8%減、米州における米国会計基準(ASC第606号)の適用影響及び事業買収影響等を除く実質ベースでは前年比22.5%減となりました。円換算後では、前年比22.8%減の6,537億円となりました。一方、当第3四半期連結会計期間では、注力しているスキンケアカテゴリーに加え、中国でのプレステージブランドやアジア地域におけるトラベルリテール、Eコマースにおける成長が貢献し、実質ベースで前年比18.4%減と第2四半期から売上モメンタムは回復しています。
営業利益は、市場環境の急速な悪化を受けコスト削減に取り組んでいるものの、売上減に伴う差益減や減産に伴う工場生産性の悪化、在庫適正化に向けた管理強化に伴う在庫評価額の見直しなどにより、前年比91.4%減の89億円となりました。四半期毎では、第2四半期連結会計期間が99億円の営業損失であったのに対し、上記注力領域の成長に加え、全社での徹底した費用効率化により当第3四半期連結会計期間では、123億円の営業利益となり、利益は大きく回復しました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、営業減益に加え、休業中の従業員給与、店舗・工場維持費等、新型コロナウイルス感染症にかかる特別損失を計上したことなどから、137億円の損失となりました。
当第3四半期連結累計期間における財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは、1米ドル=107.5円、1ユーロ=120.8円、1中国元=15.4円です。
各報告セグメントの経営成績は次のとおりです。なお、報告セグメントの区分方法の変更については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
①日本事業
日本事業は、Eコマースが二桁成長を継続している一方、新型コロナウイルス感染症拡大により、緊急事態宣言による小売店の臨時休業、同解除後も続く時短営業等による来店客数減に加え、昨年9月の消費増税前の駆け込み需要の反動の影響も受け、プレステージブランドやプレミアムブランドを中心に減収となりました。これに加え、訪日外国人旅行者の大幅な減少により、インバウンド需要も激減しました。
以上のことから、売上高は前年比32.3%減の2,268億円となりました。営業利益は、徹底したコスト削減に取り組んだものの、売上減に伴う差益減やプロダクトミックスの悪化に加え、在庫適正化に向けた管理強化に伴う在庫評価額の見直しなどにより、前年比94.5%減の36億円となりました。
②中国事業
中国事業は、新型コロナウイルス感染症拡大により、1月後半から大きな影響を受けていましたが、3月下旬以降の感染者数減少を受けて、現在ではほぼ全ての小売店が営業を再開するなど、中国本土を中心に、全セグメントの中で最も早く回復傾向が見られ、プレステージブランドを中心に売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大前の前年を上回りました。中でも投資を強化しているEコマースは、特にプレステージブランドにおいて、当第3四半期連結会計期間では、40%を超える成長となりました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースでは全セグメント中で唯一増加し、前年比0.6%増、円換算後では前年比2.2%減の1,550億円となりました。営業利益は、計画に対しては抑制しているもののマーケティング投資の増加などにより、前年比52.5%減の114億円となりました。
③アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業では、引き続きブランドの展開拡大やEコマースの強化に取り組みましたが、韓国やタイ等を中心に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けました。一方、ベトナムは同影響が比較的小さく、当第3四半期累計でも前年を大きく上回って推移しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比18.7%減、円換算後では前年比19.3%減の433億円となりました。営業利益は前年比60.9%減の21億円となりました。
④米州事業
米州事業では、3月以降の新型コロナウイルス感染症拡大による都市封鎖や外出制限、小売事業者のチャプター11(米連邦破産法11条)の申請増加等の影響を受けました。一方、「Drunk Elephant」は既存店舗の落ち込みはあったものの、Eコマースが70%を超える成長となったことから、堅調な実績となりました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比27.5%減、円換算後では前年比28.8%減の658億円となりました。米州における米国会計基準(ASC第606号)の適用影響及び米国スキンケアブランド「Drunk Elephant」買収影響等を除く実質ベースでは、前年比35.2%減となりました。営業損失は、売上減に伴う差益減に加え、買収に伴うのれん償却費の費用増などにより、前年に対し113億円増の198億円となりました。
⑤欧州事業
欧州では、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は、夏場に一時落ち着きが見られましたが、9月以降、再び増加に転じており、夜間外出禁止等、経済活動を制限する施策が再度強化されつつあります。そのような中、化粧品市場は、全体でEコマースが大きく伸長しており、当社のEコマースは、さらに市場を上回って伸長、特に「SHISEIDO」のスキンケアが好調に推移しました。しかし、全体としては、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を大きく受けました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比19.7%減、円換算後では前年比20.9%減の602億円となりました。営業損失は、売上減に伴う差益減などにより、前年に対し51億円増の85億円となりました。
⑥トラベルリテール事業
トラベルリテール事業(空港免税店等での化粧品・フレグランスの販売)は、国際線の大幅減便に伴うグローバルでの旅行者の大幅減少等の影響を受けました。一方、中国海南島への国内旅行者、韓国市中免税・オンラインが引き続き高水準で推移したことなどにより、アジアではお客様購買ベースで50%を超える成長となりました。多くのブランドが減収となった中、「クレ・ド・ポー ボーテ」のほか、カウンターの展開を拡大した「IPSA」や「ANESSA」などが伸長しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比18.1%減、円換算後では前年比19.3%減の756億円となりました。営業利益は、売上減に伴う差益減や在庫増に伴う償却関連費用の増加などにより、前年比51.7%減の120億円となりました。
⑦プロフェッショナル事業
プロフェッショナル事業は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛や、ヘアケア、スタイリング剤、ヘアカラー剤やパーマ剤などを販売しているヘアサロンの休業等の影響を受け、売上高は現地通貨ベースで前年比16.5%減、円換算後では前年比17.7%減の90億円となりました。営業利益は、売上減に伴う差益減などにより、前年比38.0%減の3億円となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
有価証券報告書(2020年3月25日提出)の記載から重要な変更はありません。なお、当期はVISION 2020の最終年度
であるため、現在、次期中期経営戦略の策定に取り組んでいます。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
有価証券報告書(2020年3月25日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、200億円(売上高比3.1%)です。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 従業員数
当第3四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(6) 生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の実績は次のとおりです。
①生産実績
当第3四半期連結累計期間における生産実績は、新型コロナウイルス感染症拡大により、前年同期比で減少しています。当第3四半期連結累計期間における生産実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しています。
2 金額は製造原価によっています。
3 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
②受注状況
当社グループ製品については受注生産を行っていません。また、OEM(相手先ブランドによる生産)等による受注生産を一部実施しているものの金額は僅少です。
③販売実績
当第3四半期連結累計期間における販売実績は、新型コロナウイルス感染症拡大により、減少しています。なお、販売実績については、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」及び「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照ください。
(7) 主要な設備
①主要な設備の状況
当第3四半期連結累計期間において、主要な設備に著しい変動はありません。
②設備の新設、改修等の計画
前連結会計年度末において計画していた当連結会計年度の設備投資の金額は、第3四半期連結累計期間末において下表のとおり変更しています。
(注) 有形固定資産、無形固定資産(のれん、商標権等を除く)及び長期前払費用への投資です。金額には消費税等は
含まれていません。
③除却等の計画
該当事項はありません。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
日本市場での消費マインドの冷え込みは想定以上に大きく、さらに欧米では新型コロナウイルス感染症拡大傾向とそれに伴う移動規制等に厳しさが増しています。こうした中、当第3四半期連結会計期間の売上高は、8月に公表した通期連結業績予想での想定を下回りました。第4四半期連結会計期間も市場回復の遅れが一定程度継続することを考慮して、通期の売上高予想を以下のとおり下方修正します。
利益については、売上減に伴う粗利益減があるものの、全社的なコスト削減を引き続き徹底することで営業利益は前回見通し「0」を実質維持する見込みです。一方、2021年の事業基盤強化に向けて日本事業の在庫適正化、米州事業の構造改革等に迅速に取り組むことから、以下のとおり修正します。
前提となる主な通期平均為替レートは、1米ドル=107.1円、1ユーロ=121.9円、1中国元=15.4円を想定しています。
(9) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金調達と流動性マネジメント
資金調達と流動性マネジメントの基本方針は、有価証券報告書(2020年3月25日提出)の記載から変更ありません。なお、当第3四半期連結会計期間末現在において、金融機関と締結しているコミットメントライン契約の未使用額1,000億円を含む当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えています。
②格付け
ムーディーズ・ジャパン株式会社より取得している2020年10月31日現在の発行体格付けはA2(見通し:安定的)となっています。
③資産及び負債・純資産
総資産は、新型コロナウイルス感染症拡大による売上減に伴う流動資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ468億円減の1兆1,720億円となりました。負債は、運転資金の調達を目的とした借入や社債発行などに伴い増加した一方で、仕入減に伴う流動負債の減少があり、結果として104億円減の6,906億円に、純資産は、利益剰余金の減少及び為替換算調整勘定の減少などにより364億円減の4,814億円となりました。
また、自己資本に対する有利子負債の割合を示すデット・エクイティ・レシオは0.71倍となりました。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 経常利益 (百万円) | 親会社株主に 帰属する 四半期純利益 又は 親会社株主に 帰属する 四半期純損失(△) (百万円) | EBITDA (百万円) | |
2020年12月期 第3四半期連結累計期間 | 653,675 | 8,906 | 5,568 | △13,668 | 43,400 |
2019年12月期 第3四半期連結累計期間 | 846,625 | 103,324 | 100,718 | 72,458 | 144,821 |
増減率 | △22.8% | △91.4% | △94.5% | ― | △70.0% |
外貨増減率 | △21.8% | ||||
実質増減率 | △22.5% |
当第3四半期連結累計期間(2020年1月1日~2020年9月30日)の景況感は、新型コロナウイルス感染症の拡大によりグローバルで経済活動が停滞し、企業収益や雇用情勢の悪化等による消費マインドの低下など、厳しい状況が続いています。国内化粧品市場は、緊急事態宣言による小売店の臨時休業、同解除後も続く時短営業等による来店客数減に加え、昨年9月の消費税増税前の駆け込み需要の反動影響も受けました。また、日本政府による約150の国や地域を対象とした査証の無効化などの入国制限、国際航空便減便の継続等により、インバウンド需要も大きく影響を受けました。さらに海外化粧品市場は、感染症拡大に伴い、中国やその他アジア地域は2月から、欧米では3月から急激に減速しました。新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は、夏場に一時落ち着きが見られましたが、欧米を中心に9月以降再び増加に転じており、経済活動を制限する施策が再度強化される中、厳しい環境が継続しています。一方、中国では、3月下旬以降、感染者数増加に歯止めがかかり、外出制限が緩和されたこと等から4月以降、市況が回復に転じています。
資生堂グループは2015年に、100年先も輝き続ける企業となるため中長期戦略 VISION 2020 をスタートさせました。日本発のグローバルビューティーカンパニーとして競争に勝ち抜くため、全ての活動をお客さま起点とし、グローバルでブランド価値向上に取り組んでいます。
当期は、VISION 2020の最終年度ですが、上記のとおり大変厳しい経営環境となっています。そうした環境下にあっても、事業・ブランドの選択と集中を進め、持続的成長に向けてグローバルブランドへの投資は継続し、年間の費用をゼロベースで見直しながら、業績回復に向けた対応策の策定及び実行に取り組んでいます。
当第3四半期連結累計期間の売上高は、全ての地域で新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、現地通貨ベースで前年比21.8%減、米州における米国会計基準(ASC第606号)の適用影響及び事業買収影響等を除く実質ベースでは前年比22.5%減となりました。円換算後では、前年比22.8%減の6,537億円となりました。一方、当第3四半期連結会計期間では、注力しているスキンケアカテゴリーに加え、中国でのプレステージブランドやアジア地域におけるトラベルリテール、Eコマースにおける成長が貢献し、実質ベースで前年比18.4%減と第2四半期から売上モメンタムは回復しています。
営業利益は、市場環境の急速な悪化を受けコスト削減に取り組んでいるものの、売上減に伴う差益減や減産に伴う工場生産性の悪化、在庫適正化に向けた管理強化に伴う在庫評価額の見直しなどにより、前年比91.4%減の89億円となりました。四半期毎では、第2四半期連結会計期間が99億円の営業損失であったのに対し、上記注力領域の成長に加え、全社での徹底した費用効率化により当第3四半期連結会計期間では、123億円の営業利益となり、利益は大きく回復しました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、営業減益に加え、休業中の従業員給与、店舗・工場維持費等、新型コロナウイルス感染症にかかる特別損失を計上したことなどから、137億円の損失となりました。
当第3四半期連結累計期間における財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは、1米ドル=107.5円、1ユーロ=120.8円、1中国元=15.4円です。
各報告セグメントの経営成績は次のとおりです。なお、報告セグメントの区分方法の変更については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
①日本事業
日本事業は、Eコマースが二桁成長を継続している一方、新型コロナウイルス感染症拡大により、緊急事態宣言による小売店の臨時休業、同解除後も続く時短営業等による来店客数減に加え、昨年9月の消費増税前の駆け込み需要の反動の影響も受け、プレステージブランドやプレミアムブランドを中心に減収となりました。これに加え、訪日外国人旅行者の大幅な減少により、インバウンド需要も激減しました。
以上のことから、売上高は前年比32.3%減の2,268億円となりました。営業利益は、徹底したコスト削減に取り組んだものの、売上減に伴う差益減やプロダクトミックスの悪化に加え、在庫適正化に向けた管理強化に伴う在庫評価額の見直しなどにより、前年比94.5%減の36億円となりました。
②中国事業
中国事業は、新型コロナウイルス感染症拡大により、1月後半から大きな影響を受けていましたが、3月下旬以降の感染者数減少を受けて、現在ではほぼ全ての小売店が営業を再開するなど、中国本土を中心に、全セグメントの中で最も早く回復傾向が見られ、プレステージブランドを中心に売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大前の前年を上回りました。中でも投資を強化しているEコマースは、特にプレステージブランドにおいて、当第3四半期連結会計期間では、40%を超える成長となりました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースでは全セグメント中で唯一増加し、前年比0.6%増、円換算後では前年比2.2%減の1,550億円となりました。営業利益は、計画に対しては抑制しているもののマーケティング投資の増加などにより、前年比52.5%減の114億円となりました。
③アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業では、引き続きブランドの展開拡大やEコマースの強化に取り組みましたが、韓国やタイ等を中心に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けました。一方、ベトナムは同影響が比較的小さく、当第3四半期累計でも前年を大きく上回って推移しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比18.7%減、円換算後では前年比19.3%減の433億円となりました。営業利益は前年比60.9%減の21億円となりました。
④米州事業
米州事業では、3月以降の新型コロナウイルス感染症拡大による都市封鎖や外出制限、小売事業者のチャプター11(米連邦破産法11条)の申請増加等の影響を受けました。一方、「Drunk Elephant」は既存店舗の落ち込みはあったものの、Eコマースが70%を超える成長となったことから、堅調な実績となりました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比27.5%減、円換算後では前年比28.8%減の658億円となりました。米州における米国会計基準(ASC第606号)の適用影響及び米国スキンケアブランド「Drunk Elephant」買収影響等を除く実質ベースでは、前年比35.2%減となりました。営業損失は、売上減に伴う差益減に加え、買収に伴うのれん償却費の費用増などにより、前年に対し113億円増の198億円となりました。
⑤欧州事業
欧州では、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は、夏場に一時落ち着きが見られましたが、9月以降、再び増加に転じており、夜間外出禁止等、経済活動を制限する施策が再度強化されつつあります。そのような中、化粧品市場は、全体でEコマースが大きく伸長しており、当社のEコマースは、さらに市場を上回って伸長、特に「SHISEIDO」のスキンケアが好調に推移しました。しかし、全体としては、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を大きく受けました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比19.7%減、円換算後では前年比20.9%減の602億円となりました。営業損失は、売上減に伴う差益減などにより、前年に対し51億円増の85億円となりました。
⑥トラベルリテール事業
トラベルリテール事業(空港免税店等での化粧品・フレグランスの販売)は、国際線の大幅減便に伴うグローバルでの旅行者の大幅減少等の影響を受けました。一方、中国海南島への国内旅行者、韓国市中免税・オンラインが引き続き高水準で推移したことなどにより、アジアではお客様購買ベースで50%を超える成長となりました。多くのブランドが減収となった中、「クレ・ド・ポー ボーテ」のほか、カウンターの展開を拡大した「IPSA」や「ANESSA」などが伸長しました。
以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比18.1%減、円換算後では前年比19.3%減の756億円となりました。営業利益は、売上減に伴う差益減や在庫増に伴う償却関連費用の増加などにより、前年比51.7%減の120億円となりました。
⑦プロフェッショナル事業
プロフェッショナル事業は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛や、ヘアケア、スタイリング剤、ヘアカラー剤やパーマ剤などを販売しているヘアサロンの休業等の影響を受け、売上高は現地通貨ベースで前年比16.5%減、円換算後では前年比17.7%減の90億円となりました。営業利益は、売上減に伴う差益減などにより、前年比38.0%減の3億円となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
有価証券報告書(2020年3月25日提出)の記載から重要な変更はありません。なお、当期はVISION 2020の最終年度
であるため、現在、次期中期経営戦略の策定に取り組んでいます。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
有価証券報告書(2020年3月25日提出)の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、200億円(売上高比3.1%)です。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 従業員数
当第3四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(6) 生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の実績は次のとおりです。
①生産実績
当第3四半期連結累計期間における生産実績は、新型コロナウイルス感染症拡大により、前年同期比で減少しています。当第3四半期連結累計期間における生産実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 増減率(%) |
日本事業 | - | - |
中国事業 | 3,130 | △6.2 |
アジアパシフィック事業 | 2,890 | 1.6 |
米州事業 | 19,917 | △24.6 |
欧州事業 | 19,282 | △25.0 |
トラベルリテール事業 | - | - |
プロフェッショナル事業 | - | - |
その他 | 120,455 | △4.6 |
合計 | 165,676 | △10.3 |
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しています。
2 金額は製造原価によっています。
3 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
②受注状況
当社グループ製品については受注生産を行っていません。また、OEM(相手先ブランドによる生産)等による受注生産を一部実施しているものの金額は僅少です。
③販売実績
当第3四半期連結累計期間における販売実績は、新型コロナウイルス感染症拡大により、減少しています。なお、販売実績については、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」及び「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照ください。
(7) 主要な設備
①主要な設備の状況
当第3四半期連結累計期間において、主要な設備に著しい変動はありません。
②設備の新設、改修等の計画
前連結会計年度末において計画していた当連結会計年度の設備投資の金額は、第3四半期連結累計期間末において下表のとおり変更しています。
セグメントの名称 | 当連結会計年度の 投資予定金額 (百万円) | 設備等の主な内容、目的 | |
変更前 | 変更後 | ||
日本事業 | 17,100 | 10,000 | 店舗設備等のマーケティング投資、ソフトウエア投資 |
中国事業 | 12,000 | 8,400 | 店舗設備等のマーケティング投資、ソフトウエア投資 |
アジアパシフィック事業 | 5,100 | 3,900 | 店舗設備等のマーケティング投資、ソフトウエア投資 |
米州事業 | 9,700 | 4,700 | 店舗設備等のマーケティング投資、工場設備投資 |
欧州事業 | 6,600 | 4,900 | 店舗設備等のマーケティング投資、工場設備投資 |
トラベルリテール事業 | 2,600 | 1,400 | 店舗設備等のマーケティング投資 |
プロフェッショナル事業 | 200 | 200 | ソフトウエア投資 |
その他 | 92,300 | 57,500 | 生産設備の改修・更新、工場の建設、ソフトウエア投資 |
合計 | 145,600 | 91,000 |
(注) 有形固定資産、無形固定資産(のれん、商標権等を除く)及び長期前払費用への投資です。金額には消費税等は
含まれていません。
③除却等の計画
該当事項はありません。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
日本市場での消費マインドの冷え込みは想定以上に大きく、さらに欧米では新型コロナウイルス感染症拡大傾向とそれに伴う移動規制等に厳しさが増しています。こうした中、当第3四半期連結会計期間の売上高は、8月に公表した通期連結業績予想での想定を下回りました。第4四半期連結会計期間も市場回復の遅れが一定程度継続することを考慮して、通期の売上高予想を以下のとおり下方修正します。
利益については、売上減に伴う粗利益減があるものの、全社的なコスト削減を引き続き徹底することで営業利益は前回見通し「0」を実質維持する見込みです。一方、2021年の事業基盤強化に向けて日本事業の在庫適正化、米州事業の構造改革等に迅速に取り組むことから、以下のとおり修正します。
前提となる主な通期平均為替レートは、1米ドル=107.1円、1ユーロ=121.9円、1中国元=15.4円を想定しています。
売上高 | 営業利益 又は 営業損失(△) | 経常利益 又は 経常損失(△) | 親会社株主に 帰属する 当期純利益 又は 親会社株主に 帰属する 当期純損失(△) | 1株当たり 当期純利益 又は 1株当たり 当期純損失(△) | |
2020年度予想 | 百万円 | 百万円 | 百万円 | 百万円 | 円 銭 |
915,000 | △10,000 | △15,000 | △30,000 | △75.10 | |
2019年度実績 | 1,131,547 | 113,831 | 108,739 | 73,562 | 184.18 |
(9) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金調達と流動性マネジメント
資金調達と流動性マネジメントの基本方針は、有価証券報告書(2020年3月25日提出)の記載から変更ありません。なお、当第3四半期連結会計期間末現在において、金融機関と締結しているコミットメントライン契約の未使用額1,000億円を含む当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えています。
②格付け
ムーディーズ・ジャパン株式会社より取得している2020年10月31日現在の発行体格付けはA2(見通し:安定的)となっています。
③資産及び負債・純資産
総資産は、新型コロナウイルス感染症拡大による売上減に伴う流動資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ468億円減の1兆1,720億円となりました。負債は、運転資金の調達を目的とした借入や社債発行などに伴い増加した一方で、仕入減に伴う流動負債の減少があり、結果として104億円減の6,906億円に、純資産は、利益剰余金の減少及び為替換算調整勘定の減少などにより364億円減の4,814億円となりました。
また、自己資本に対する有利子負債の割合を示すデット・エクイティ・レシオは0.71倍となりました。