有価証券報告書-第106期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/23 15:01
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165項目
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
ア.一般経済情勢及び当社グループを取り巻く環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により緊急事態宣言が発令されるなど、第1四半期において大きく減速しました。その後は経済活動の再開が進められ、景気は秋まで緩やかに持ち直しが続いていましたが、感染再拡大を受けて年明け以降は停滞しました。
国内石油製品販売量は、航空便の運休・減便によるジェット燃料需要の大幅な減少に加えて、外出自粛の影響などによるガソリンの需要減により、全体で前年度を下回りました。
ドバイ原油価格は、OPECプラスの減産協議決裂に新型コロナウイルス感染拡大の影響が加わり、春先は急落しましたが、主要国の経済活動再開やOPECプラスの協調減産再開により持ち直し基調に転じ、6月以降は概ね40ドル/バレル前後で推移しました。11月以降は新型コロナウイルスワクチンの普及や米国経済回復への期待、OPECプラスの減産合意等を受けて上昇基調で推移しました。この結果、平均価格では前期比15.8ドル/バレル下落の44.5ドル/バレルとなりました。
円の対米ドルレートは、上半期は概ね105円~108円のレンジで推移しましたが、その後は世界的なコロナウイルス感染者数の拡大により一時102円台まで円高が進行しました。2月以降は、米国経済の正常化への期待による長期金利の上昇を背景にドルが堅調に推移し、年度末にかけて一時110円台まで円安が進みました。その結果、平均レートは前期比2.6円/ドル下落し106.1円/ドルとなりました。
イ.業績
当社グループの当期の売上高は、原油価格の下落や販売数量の減少などにより、4兆5,566億円(前期比△24.6%)となりました。
売上原価は、3兆9,976億円(前期比△29.0%)となり、販売費及び一般管理費は、4,190億円(前期比+0.5%)となりました。
営業損益は、在庫評価影響が前年度の893億円の損失から75億円の利益に転じたことに加えて、燃料油セグメントにおける増益などにより、1,401億円(前期比+1,439億円)となりました。
営業外損益は、持分法投資損失の計上などにより、317億円(前期比△216億円)の損失となりました。その結果、経常損益は1,084億円(前期比+1,223億円)となりました。
特別損益は、長期貸付金評価損や資源事業における減損損失の計上などにより、438億円(前期比△405億円)の損失となりました。
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は、293億円(前期比+258億円)となり、非支配株主に帰属する当期純利益は3億円(前期比△85.2%)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損益は349億円(前期比+579億円)となりました。
ウ.事業の経過及び成果
セグメント別の事業の経過及び成果は以下のとおりです。
当社グループの決算期は、一部を除き、海外子会社が12月、国内子会社が3月であるため、当連結会計年度の業績については、海外子会社は2020年1月~12月期、国内子会社は2020年4月~2021年3月期について記載しています。
セグメント別売上高
(単位:億円)
前連結会計年度当連結会計年度増減
(2020年3月期)(2021年3月期)増減額増減率
燃料油48,21035,934△12,276△25.5%
基礎化学品4,5923,290△1,302△28.3%
高機能材3,9383,326△612△15.6%
電力・再生可能エネルギー1,2771,237△40△3.1%
資源2,4181,720△698△28.9%
その他・調整額2359+36+154.3%
合計60,45945,566△14,892△24.6%

セグメント別利益又は損失(△)
(単位:億円)
前連結会計年度当連結会計年度増減
(2020年3月期)(2021年3月期)増減額増減率
燃料油
(在庫評価影響除き)
△1,094
(△201)
1,021
(947)
+2,115
(1,147)

基礎化学品11934△85△71.5%
高機能材284130△154△54.3%
電力・再生可能エネルギー△5△173△168
資源41847△370△88.7%
その他49+5+125.8%
調整額11△66△77
合計
(在庫評価影響除き)
△262
(631)
1,003
(928)
+1,265
(+297)

(+47.2%)

(注)セグメント利益又は損失(△)は、セグメント別の営業損益と持分法投資損益の合計額です。
(ア)燃料油セグメント
日本のエネルギーセキュリティを支えるという社会的使命の下、国内サプライチェーンの競争力強化に取り組むとともに、持続的成長の実現に向け海外事業の確立に取り組みました。
国内製造供給においては、製油所・事業所間のネットワーク連携強化によるシナジー創出、設備・オペレーションの最適化、AI・IoTなど先進技術の活用による製油所信頼性の向上、物流の効率化に取り組みました。コロナ禍による激しい需要変動の中、製油所の稼働調整や製品の輸出入等の柔軟な需給対応を実施し、燃料油の安定供給に努めました。
国内販売においては、地域になくてはならないお客さま一人ひとりの暮らしと移動を支えるライフパートナーとしてSSを捉え、アポロSS・シェルSSで展開していた個人向けカーリース商品の良いところを融合した「らく楽リースオートフラット」の販売開始、予約管理システム「PIT in plus/SEIBIS」の拡大展開や、洗濯代行サービス「WASH TERRACE」、EV充電とカフェ併設の施設「Park&Charge」の実証店舗の立ち上げを行ないました。また、次世代モビリティサービスを手掛ける「㈱出光タジマEV」の設立や、介護事業を包括的に連携・サポートする仕組みづくりに取り組むQLCプロデュース㈱の株式を取得するなど新たな取り組みを加速しています。
海外においては、ベトナムのニソン製油所の安定操業に努めました。また、シンガポール現地法人の出光アジア(IDEMITSU INTERNATIONAL(ASIA) PTE. LTD.)を中心に海外拠点の事業拡充を進め、アジア・環太平洋地域等の海外成長市場における販売ネットワーク強化に努めました。
以上の結果、燃料油セグメントの売上高は、原油価格の下落に加えて、新型コロナウイルス感染拡大による上期の販売数量減少などにより3兆5,934億円(前期比△25.5%)となりました。セグメント損益は、前年度に大幅な損失となっていた在庫評価影響の解消や原油価格上昇に伴うタイムラグによる製品マージン改善などの増益要因が、持分法投資損失の増加や販売数量の減少などの減益要因を上回り1,021億円(前期比+2,115億円)となりました。なお、営業利益に含まれる在庫評価益は75億円です。
(イ)基礎化学品セグメント
徳山事業所では、ナフサ分解炉を従来比約30%の省エネルギー効果がある高効率型に更新し、基礎化学品事業の更なる収益基盤の強化に努めました。また全社横断的なワーキンググループを発足し、ケミカルリサイクルをはじめとするサーキュラーエコノミーに向けた検討を開始しています。
以上の結果、基礎化学品セグメントの売上高は、通関ナフサ価格が下落したことなどにより3,290億円(前期比△28.3%)となりました。セグメント損益は、パラキシレンの製品マージン縮小等により34億円(前期比△71.5%)となりました。
(ウ)高機能材セグメント
(潤滑油事業)
グローバルでの販売拡大に向けて、更なる海外展開と省エネ、省資源に貢献できる商品開発の推進に努めました。海外展開においては中国国内2か所目となる製造工場を開所し、商業運転を開始しました。また、新たなエンジンオイル規格(GF-6)に対応した商品や環境対応型高機能商品となる水溶性加工油を新開発しました。
(機能化学品事業)
自社技術を軸に、自動車、情報・通信向けエンジニアリングプラスチック、生活必需品、耐久消費財向け中間体等、高機能材の拡大に努めました。エンジニアリングプラスチック事業においては、マレーシアに第2SPS(シンジオタクチックポリスチレン)製造装置を建設し、当社オンリーワン技術であるSPS樹脂の生産規模を現状の2倍に引き上げることを決定しました。粘接着基材事業では、台湾FPCC社(Formosa Petrochemical Corporation)と共同で建設した水添石油樹脂(商品名:アイマーブ®)の生産装置が完成し、当年度に商業生産を開始しました。
(電子材料事業)
有機EL材料、酸化物半導体を軸に事業を展開するとともに、新規事業開発、新規用途開発に取り組みました。2018年に中国四川省内の成都に建設を開始した有機EL材料製造工場は、商業運転を開始しました。本拠点は日本、韓国に次ぐ当社第三の有機EL材料製造拠点となり、日中韓の3極体制を構築します。本拠点稼働開始後は、3つの工場合計の年間製造能力が22トンとなります。
(機能舗装材事業(高機能アスファルト事業))
コロナ禍の環境ではありましたが、国内のアスファルト需要は堅調に推移し、インフラ整備に対しての安定供給に努めるとともに、発注者ニーズに基づく商品開発や、他部門との共同でカーボンニュートラルの実現に向けた技術開発に取り組みました。また、海外事業においては、東南アジアにおける高機能アスファルト製造販売会社の設立に向け準備を開始しました。
(アグリバイオ事業)
世界の農産畜産物生産の効率化に貢献すべく、天然物由来の生物農薬・畜産資材の開発・販売に取り組みました。生物農薬の新規剤開発においては、㈱エス・ディー・エス バイオテック等と連携しながら取り組みを進め、天敵昆虫を利用した生物防除剤1剤の販売を開始しました。畜産分野では、米国で畜産資材1剤の販売を開始しました。
以上の結果、高機能材セグメントの売上高は、3,326億円(前期比△15.6%)となり、セグメント損益は、潤滑油事業における販売数量の減少やポリカーボネート市況低迷によるマージン低下などにより130億円(前期比△54.3%)となりました。
(エ)電力・再生可能エネルギーセグメント
「基盤事業の維持・拡大」、「国内外での再生可能エネルギー電源開発の促進」、「ソリューション事業の実証と展開」の3点を基本方針として取り組みました。1点目については、当社100%子会社である出光グリーンパワー㈱が、東京都の実施する「とちょう電力プラン」初の供給事業者に選定され、都内卒FIT電力を含む再生可能エネルギー100%の電力を都有施設へ供給するなど、取り組みを進めました。2点目については、米国にて3件の太陽光発電プロジェクトを完工するなど着実に取組みを進めました。また、3点目としては、将来の電気自動車の普及に備え、新たなサービスの開発も進めています。
以上の結果、電力・再生可能エネルギーセグメントの売上高は、1,237億円(前期比△3.1%)となりました。セグメント損益は、電力市況高騰による調達コストの増加及びソーラー事業における販売数量の減少と販売単価の下落などにより△173億円(前期比△168億円)となりました。
(オ)資源セグメント
(石油・天然ガス開発事業・地熱事業)
石油・天然ガス開発事業について、欧州ではノルウェー北部北海地域の既存の生産油田の安定生産、探鉱に成功した北部北海やバレンツ海域での油田開発に取り組みました。スノーレ油田では、追加開発プロジェクトによる生産を開始しました。またノルウェー事業の長期事業戦略および開発コスト低減を考慮し、バレンツ海鉱区権益の一部譲渡を行いました。一方ベトナム南部の海上鉱区プロジェクトでは、当社がオペレーターとなって天然ガス開発に取り組み、2020年11月から生産を開始しました。
地熱事業においては、既存発電所の安全操業に努めるとともに、秋田県湯沢市小安地域など国内での新規地熱事業の開発や海外への展開の検討を進めました。
石油・天然ガス開発事業・地熱事業の売上高は、原油価格下落の影響などにより329億円(前期比△32.6%)となり、セグメント損益は68億円(前期比△62.0%)となりました。
(石炭事業・その他事業)
オーストラリア及びインドネシアに展開する既存鉱山の競争力強化に向け、堅実な経営及び将来の環境変化に向けた遠隔自動採炭などの新技術の導入に向けたトライアル生産を開始しました。またブラックペレット(バイオマス燃料)の開発や石炭ボイラ制御最適化システムの販売を通じて、低炭素ソリューションの提供を進めるとともに、鉱山資産を活用した太陽光発電や揚水型水力発電の事業化検討など、環境負荷軽減・地域貢献に向けた取り組みも進めました。
石炭事業・その他事業の売上高は、1,390億円(前期比△27.9%)となりました。セグメント損益は、石炭価格の下落などにより△20億円(前期比△260億円)となりました。
以上の結果、資源セグメントの売上高は1,720億円(前期比△28.9%)、セグメント損益は47億円(前期比△88.7%)となりました。
(カ)研究開発及び新ビジネス開発
(全固体リチウムイオン電池向け固体電解質)
独自の製造技術を有する硫化リチウムを原料に、次世代電池である全固体リチウムイオン電池のキーマテリアルである固体電解質の研究・開発を行い、事業化に向けた取り組みを進めました。早期の事業化を実現すべく、千葉事業所内に小型量産設備を建設しています。2021年度上期に完工・稼働を開始する予定です。
② 財政状態の状況
要約連結貸借対照表
(単位:億円)
前連結会計年度
(2020年3月期)
当連結会計年度
(2021年3月期)
増減
流動資産15,50316,655+1,152
固定資産23,36622,889△477
資産合計38,86939,544+675
流動負債16,48416,213△271
固定負債10,38011,180+801
負債合計26,86427,393+529
純資産合計12,00612,151+146
負債純資産合計38,86939,544+675

ア.資産の部
当期末における資産合計は、原油価格の上昇によるたな卸資産の増加等により、3兆9,544億円(前期末比+675億円)となりました。
イ.負債の部
当期末における負債合計は、有利子負債の返済があったものの、原油価格の上昇により買掛債務が増加したこと等により、2兆7,393億円(前期末比+529億円)となりました。
ウ.純資産の部
当期末の純資産合計は、配当金の支払い417億円があった一方、親会社株主に帰属する当期純利益349億円の計上や非支配株主持分137億円の増加などにより、1兆2,151億円(前期末比+146億円)となりました。
以上の結果、自己資本比率は前期末の29.6%から当期末は29.1%(前期末比△0.5ポイント)となりました。また、当期末のネットD/Eレシオは1.0(前期末:1.0)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
要約連結キャッシュ・フロー計算書
(単位:億円)
前連結会計年度
(2020年3月期)
当連結会計年度
(2021年3月期)
営業活動によるキャッシュ・フロー△3271,705
投資活動によるキャッシュ・フロー△1,345△1,099
財務活動によるキャッシュ・フロー1,579△562
現金及び現金同等物に係る換算差額△9△32
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△10112
現金及び現金同等物の期首残高9071,293
連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の
増減額(△は減少)
4885
現金及び現金同等物の期末残高1,2931,310

当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,310億円となり、前期末に比べ、16億円増加しました。その主な要因は次のとおりです。
ア.営業活動におけるキャッシュ・フロー
原油の輸入価格の上昇に伴い必要運転資金は増加したものの、減価償却費や税金等調整前当期純利益などの資金増加要因により、1,705億円の収入となりました。
イ.投資活動におけるキャッシュ・フロー
主に製油所設備の維持更新投資や米国におけるメガソーラー発電事業への投資などによる有形固定資産の取得(1,211億円)により、1,099億円の支出となりました。
ウ.財務活動におけるキャッシュ・フロー
配当金の支払い(417億円)や有利子負債の返済などにより、562億円の支出となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
ア.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
燃料油1,612,88966.1
基礎化学品389,39676.2
高機能材212,73783.0
電力・再生可能エネルギー9,57759.0
資源120,80671.5
その他--
合計2,345,40869.1

(注)1.上記の金額は、製造会社は製品生産額、資源セグメントは販売金額によって記載をしています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
イ.受注実績
当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。
ウ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
燃料油3,593,39974.5
基礎化学品329,04471.7
高機能材332,59284.4
電力・再生可能エネルギー123,74596.9
資源171,97771.1
その他5,860254.3
合計4,556,62075.4

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.「主な相手先別の販売実績」に該当する販売相手先はないため、記載を省略しています。
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
4.各セグメントの販売実績は、外部顧客への売上高を記載しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績の分析
経営成績の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」における「イ.業績」及び「ウ.事業の経過及び成果」に記載しています。
② 資本の財源及び資金の流動性についての分析
ア.資金需要
当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いなどによるものです。営業費用の主なものは、人件費、物流費、作業費、研究開発費等です。
設備投資資金については、維持更新投資に加え、販売・供給体制の競争力強化を目的とした投資、成長分野・海外成長市場への進出による事業拡大のための投資、及び石油開発事業等における保有鉱区の安定生産継続と探鉱開発による埋蔵量確保に向けた投資等の需要があります。
イ.財務政策
当社グループは、中長期的な成長を維持するために必要な運転資金及び設備投資資金を、財務体質とのバランスを勘案しつつ、営業活動によるキャッシュ・フロー、借入、社債やコマーシャル・ペーパーの発行及び特定融資枠契約(コミットメントライン契約)の活用、更に資本増強等を効果的に組み合わせて調達していきます。
当連結会計年度末の短期借入金の残高は2,777億円、長期借入金(1年以内返済分を含む)の残高は6,941億円、社債(1年以内償還分を含む)の残高は1,200億円、コマーシャル・ペーパーの残高は1,880億円となりました。
なお、国内子会社は、当社が一括して資金調達し、子会社に融通するグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。また、海外子会社は、各々の子会社が現地通貨を借入にて調達するほか、子会社間のグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。
また、円滑な資金調達を行うため、当社は格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)の2社から格付けを取得しています。当連結会計年度末において当社の格付けはR&IがA(方向性:安定的)、JCRがA+(見通し:安定的)となっています。
(特定融資枠契約)
当社グループは、運転資金の効率的な調達や十分な流動性確保、また、災害発生時の円滑な資金調達のため、取引先銀行で作られるシンジケート団と2022年3月までの契約期間において短期借入を実行できる特定融資枠契約を締結し、機動的・安定的な資金調達が可能な体制を敷いています。当該契約の極度額は内貨で2,100億円であり、当連結会計年度末において同契約に係る借入残高はありません。また当社は、在外連結子会社3社と共同で、取引金融機関2行と特定融資枠契約を締結しています。当該契約の極度額は外貨で360百万米ドルであり、当連結会計年度末において同契約に係る借入残高はありません。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、レジリエントな事業ポートフォリオの実現を達成するため、自己資本利益率(ROE)、ネットD/Eレシオ、自己資本比率を主要な経営指標と考えています。
前期対比で変動した自己資本利益率(ROE)の主な改善要因は、以下のとおりです。
(ア)前年度に大幅な損失となっていた在庫評価影響の解消
(イ)燃料油セグメントにおける製品マージンの改善
当社グループの主要な経営指標のトレンドは次のとおりです。
2017年
3月期
2018年
3月期
2019年
3月期
2020年
3月期
2021年
3月期
自己資本利益率(ROE)(%)16.322.39.5-3.0
ネットD/Eレシオ(倍)1.60.91.01.01.0
自己資本比率(%)22.129.729.129.629.1

(注)1.各指標は、以下の計算式によって計算しています。
自己資本利益率(ROE):親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)
ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現預金及び短期運用有価証券)/(純資産-非支配株主持分)
自己資本比率:(純資産-非支配株主持分)/総資産
2.有利子負債は、短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及び長期借入金として連結貸借対照表に計上されている金額及びリース債務の金額を使用しています。
3.2020年3月期の自己資本利益率(ROE)については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載していません。
当社が2021年5月に公表した「中期経営計画の見直し(2020~2022年度)」における経営目標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題 (1)中期経営計画の見直し(2020~2022年度)」に記載しています。