有価証券報告書-第202期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/28 13:14
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境は改善基調で推移し、全体としては緩やかな景気回復が続きました。また、海外では米国が底堅く推移し、中国をはじめとする新興国では景気に持ち直しの動きが見られました。
このような状況の中、半導体製造装置向け製品の需要が高水準で推移した高機能製品部門と2016年12月末に子会社が増加した自動車部品部門を中心に売上高が増加したため、当社グループの売上高は、前連結会計年度に対し9.5%増の1,974億95百万円となりました。
一方、利益面では、営業利益が213億57百万円、経常利益が218億4百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が149億56百万円と前連結会計年度と比較し、それぞれ9.0%、10.4%、11.5%の増加となりました。
当連結会計年度のセグメント別売上高の状況は以下のとおりです。
プラント向け工事・販売については、建設工事需要を取り込んだ工事部門が堅調に推移したため、売上高は前連結会計年度対し7.5%増の563億86百万円となりました。
工業製品については、ふっ素樹脂製品、無機断熱材、環境製品等の需要が堅調に推移したため、売上高は前連結会計年度に対し5.7%増の437億60百万円となりました。
高機能製品については、半導体製造装置向け関連製品の需要が高水準で推移したため、売上高は前連結会計年度に対し26.2%増の245億64百万円となりました。
自動車部品については、北米を中心に海外需要が堅調に推移する中、2016年12月末に連結子会社化した㈱APJが売上に寄与したため、売上高は前連結会計年度に対し15.9%増の438億12百万円となりました。
建材については、巻付け耐火被覆材の需要が増加しましたが、フロア工事は完成計上する案件が少なかったため、売上高は前連結会計年度に対し1.0%減の289億71百万円となりました。
当連結会計年度末における財政状態は以下のとおりです。
当連結会計年度末における総資産は、投資有価証券が42億72百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して218億39百万円増加の1,978億39百万円となりました。
当連結会計年度末における負債は、未成工事受入金が48億58百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して100億24百万円増加の881億33百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金が111億81百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して118億15百万円増加の1,097億5百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して26億99百万円減少し264億99百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額64億73百万円等によって、181億22百万円と前連結会計年度と比べ収入が66億76百万円(26.9%)の減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出123億0百万円等によって、143億70百万円と前連結会計年度と比べ支出が37億53百万円(35.3%)の増加となりました。
財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払額37億69百万円等によって、62億21百万円と前連結会計年度と比べ支出が12億55百万円(25.3%)の増加となりました。

③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
工業製品32,193+6.1
高機能製品17,146+20.3
自動車部品33,183+18.4
建材8,247+1.4
合計90,771+12.4

(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前年同期比(%)受注残高
(百万円)
前年同期比(%)
プラント向け工事・販売61,324+9.025,242+24.3
工業製品(注)345,743+9.05,816+51.7
高機能製品(注)427,166+28.66,132+73.7
自動車部品43,726+14.21,385△5.9
建材29,182△0.66,900+3.2
合計207,143+10.845,476+26.9

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度において、工業製品の受注残高が58億16百万円と前連結会計年度と比較し、51.7%の増加となりました。これは、ふっ素樹脂製品、環境製品の需要が増加したことによります。
4.高機能製品の受注残高が61億32百万円と前連結会計年度と比較し、73.7%の増加となりました。これは、半導体・液晶製造装置向け関連製品の需要が増加したことによります。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
プラント向け工事・販売56,386+7.5
工業製品43,760+5.7
高機能製品24,564+26.2
自動車部品43,812+15.9
建材28,971△1.0
合計197,495+9.5

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%以上の相手先がないため省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
当社グループは、貸倒引当金、完成工事補償引当金、たな卸資産、固定資産、有価証券、繰延税金資産、退職給付に係る資産および負債等に関する見積りに当たっては、過去の実績や状況から合理的と考えられる要因に基づき行っており、また見積りおよび判断に対して継続して評価を行っております。
なお、見積りにつきましては不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
a. 貸倒引当金
当社グループは債権の貸倒等による損失額を見積り、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化した場合等には、追加の引当が必要になる可能性があります。
b. 完成工事補償引当金
当社グループは、施工した工事のアフターサービス費用の見積額を完成工事補償引当金に計上しております。費用の見積りは過去の実績に基づいておりますが、実際発生額が見積りと異なる場合は追加の損失計上が必要になる可能性があります。
c. たな卸資産
当社グループは、一定期間販売実績のないたな卸資産および収益性の低下したたな卸資産について評価損を計上しております。実際の将来需要や市場状況が現在より急激に変化した場合、追加の評価減が必要になる可能性があります。
d. 固定資産の減損
当社グループは、減損処理の必要な固定資産については、適時に減損損失の計上を行っていますが、将来の市況の悪化等により追加の減損損失計上が必要になる可能性があります。
e. 有価証券の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客および金融機関の有価証券を保有しております。保有する有価証券については、必要な減損処理を適時に実施してきておりますが、将来の株式市況悪化、または投資先の業績不振等により減損処理が必要になる可能性があります。
f. 繰延税金資産
繰延税金資産の計上に当たっては、将来の課税所得の十分性等につき慎重に検討しておりますが、繰延税金資産の全部または一部を回収できないと判断した場合は、その取崩しが必要になる可能性があります。
g. 退職給付に係る資産及び負債
当社グループの退職給付に係る資産及び負債は、主に数理計算を基礎に算出されております。数理計算上の差異等については将来にわたり規則的に認識されるため、将来期間における退職給付費用及び債務に影響を及ぼします。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
売上高については、半導体製造装置向け製品の需要が高水準で推移した高機能製品部門と2016年12月末に子会社が増加した自動車部品部門を中心に売上高が増加したため、当社グループの売上高は前連結会計年度に対し9.5%増の1,974億95百万円となりました。
売上原価については、売上高が増加したことにより前連結会計年度に対し141億99百万円(10.5%)増加し1,495億45百万円となりました。売上原価率については、エネルギーコストや原材料価格の高騰により前連結会計年度に対し0.7ポイント悪化し、75.7%となりました。また、販売費及び一般管理費については、人件費等の増加により、前連結会計年度に対し11億76百万円(4.6%)増加の265億92百万円となりました。
営業利益については、売上高の増加により、前連結会計年度に対し17億56百万円(9.0%)増加の213億57百万円となり、営業利益率は10.8%となりました。
営業外収益については、主に受取賃貸料の増加により前連結会計年度に対し60百万円(5.5%)増加の11億58百万円となりました。また、営業外費用については、主に為替差損の減少により前連結会計年度に対し2億30百万円(24.5%)減少の7億10百万円となりました。
上記の結果、経常利益については218億4百万円となり、前連結会計年度に対し20億47百万円(10.4%)の増益となりました。
特別利益については、固定資産を売却したことにより、前連結会計年度に対し46百万円増加の55百万円となりました。また、特別損失については、前連結会計年度に対し1億18百万円減少の6億35百万円となりました。これは主に前連結会計年度において熊本地震による災害損失2億7百万円を計上したことによるものであります。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は149億56百万円となり、前連結会計年度に対し15億47百万円(11.5%)の増益となりました。また、ROEについては14.5%となり、中期経営計画で目標としている10%以上を維持しております。
b. 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金が26億28百万円減少しましたが、投資有価証券が42億72百万円、未成工事支出金が41億98百万円、建物及び構築物(純額)が40億51百万円、建設仮勘定が26億7百万円、完成工事未収入金が21億69百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して218億39百万円増加の1,978億39百万円となりました。
当連結会計年度末における負債は、未払金が1億94百万円減少しましたが、未成工事受入金が48億58百万円、支払手形及び買掛金が39億31百万円、繰延税金負債が12億27百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して100億24百万円増加の881億33百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、自己株式の取得により20億23百万円減少しましたが、利益剰余金が111億81百万円、その他有価証券評価差額金が16億61百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して118億15百万円増加の1,097億5百万円となりました。
c. キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して26億99百万円減少し264億99百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は181億22百万円(前年同期は247億98百万円の獲得)となりました。
これは、法人税等の支払額64億73百万円、未成工事支出金の増加41億77百万円、売上債権の増加31億55百万円、たな卸資産の増加22億31百万円等により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益212億25百万円、未成工事受入金の増加48億49百万円、減価償却費48億0百万円、仕入債務の増加30億84百万円等により資金が増加したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は143億70百万円(前年同期は106億17百万円の支出)となりました。
これは、有形固定資産の取得による支出123億0百万円、子会社株式の取得による支出16億93百万円等により資金が減少したことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は62億21百万円(前年同期は49億65百万円の支出)となりました。
これは、配当金の支払額37億69百万円、自己株式の純増加額20億23百万円等により資金が減少したことによります。
d. 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(資金需要)
運転資金のうち主なものは、当社グループの製品製造のための原材料購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いによるものです。
設備投資資金需要については、今後成長が見込まれる事業分野を中心に生産設備の増強によるものであります。
(財務政策)
運転資金及び設備投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローから得られる資金、社債の発行及び金融機関からの借入れにより資金を調達しております。