有価証券報告書-第203期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/27 14:54
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「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出や生産の一部に弱さや企業収益の改善に足踏みが見られる中、雇用環境は改善基調で推移し、全体としては緩やかな景気回復が続きました。また、海外では米国経済は着実に回復を続け、新興国においても緩やかな景気回復の動きが続いている一方、中国では景気の緩やかな減速が見られ、通商問題や金融市場の動向等によっては、景気が下振れするリスクも見込まれます。
このような状況の中、石油精製・石油化学向けの需要が堅調に推移したプラント向け工事・販売部門と巻付け 耐火被覆材の需要が高水準で推移した建材部門を中心に売上高が増加したため、当社グループの売上高は、前連結会計年度に対し9.1%増の215,495百万円となりました。
一方利益面では、営業利益が22,629百万円、経常利益が23,171百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が15,861百万円と前連結会計年度と比較し、それぞれ6.0%、6.3%、6.0%の増加となりました。
なお、一部の連結子会社については、決算期を変更したことで当連結会計年度の連結累計期間が15か月となり、売上高・利益ともに増加しています。
当連結会計年度のセグメント別売上高の状況は以下のとおりです。
プラント向け工事・販売については、石油精製・石油化学向けの需要が堅調に推移する中、船舶工事の大型建設案件を計上したため、売上高は前連結会計年度に対し19.4%増の67,298百万円となりました。
工業製品については、シール材、ふっ素樹脂製品、無機断熱材の需要が堅調に推移したことに加え、環境製品の需要が高水準で推移したため、売上高は前連結会計年度に対し6.3%増の46,509百万円となりました。
高機能製品については、第3四半期連結累計期間までは半導体製造装置の需要が堅調に推移しましたが、当第4四半期連結会計期間では減速したため、売上高は前連結会計年度に対し1.2%増の24,870百万円となりました。
自動車部品については、国内および海外需要が前期並みに推移したこと、および一部の連結子会社の決算期変更に伴う増額影響があったことにより、売上高は前連結会計年度に対し2.7%増の45,001百万円となりました。
建材については、巻付け耐火被覆材およびフロア工事の需要が堅調に推移したため、売上高は前連結会計年度に対し9.8%増の31,816百万円となりました。
当連結会計年度末における財政状態は以下のとおりです。
当連結会計年度末における総資産は、建物及び構築物(純額)が3,641百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して9,967百万円増加の206,426百万円となりました。
当連結会計年度末における負債は、社債(1年内償還予定の社債を含む)が4,200百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して1,898百万円増加の88,652百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金が11,760百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して8,068百万円増加の117,774百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して1,231百万円増加し27,730百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額6,874百万円等によって、15,833百万円と前連結会計年度と比べ収入が2,288百万円(12.6%)の減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出11,432百万円等によって、11,818百万円と前連結会計年度と比べ支出が2,551百万円(17.8%)の減少となりました。
財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払額4,266百万円等によって、4,197百万円と前連結会計年度と比べ支出が2,023百万円(32.5%)の減少となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
工業製品37,588+16.8
高機能製品18,088+5.5
自動車部品35,578+7.2
建材9,629+16.8
合計100,884+11.1

(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前年同期比(%)受注残高
(百万円)
前年同期比(%)
プラント向け工事・販売66,707+8.824,651△2.3
工業製品46,382+1.45,689△2.2
高機能製品(注)321,768△19.93,031△50.6
自動車部品45,105+3.21,489+7.5
建材32,549+11.57,632+10.6
合計212,514+2.642,494△6.6

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.高機能製品の受注残高が3,031百万円と前連結会計年度と比較し、50.6%の減少となりました。これは、前連結会計年度の半導体製造装置向け関連製品の需要が高水準で推移していたこと、また、生産能力を増強したことによります。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
プラント向け工事・販売67,298+19.4
工業製品46,509+6.3
高機能製品24,870+1.2
自動車部品45,001+2.7
建材31,816+9.8
合計215,495+9.1

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%以上の相手先がないため省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
当社グループは、貸倒引当金、完成工事補償引当金、たな卸資産、固定資産、有価証券、繰延税金資産、退職給付に係る資産および負債等に関する見積りに当たっては、過去の実績や状況から合理的と考えられる要因に基づき行っており、また見積りおよび判断に対して継続して評価を行っております。
なお、見積りにつきましては不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
a. 貸倒引当金
当社グループは債権の貸倒等による損失額を見積り、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化した場合等には、追加の引当が必要になる可能性があります。
b. 完成工事補償引当金
当社グループは、施工した工事のアフターサービス費用の見積額を完成工事補償引当金に計上しております。費用の見積りは過去の実績に基づいておりますが、実際発生額が見積りと異なる場合は追加の損失計上が必要になる可能性があります。
c. たな卸資産
当社グループは、一定期間販売実績のないたな卸資産および収益性の低下したたな卸資産について評価損を計上しております。実際の将来需要や市場状況が現在より急激に変化した場合、追加の評価減が必要になる可能性があります。
d. 固定資産の減損
当社グループは、減損処理の必要な固定資産については、適時に減損損失の計上を行っていますが、将来の市況の悪化等により追加の減損損失計上が必要になる可能性があります。
e. 有価証券の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客および金融機関の有価証券を保有しております。保有する有価証券については、必要な減損処理を適時に実施してきておりますが、将来の株式市況悪化、または投資先の業績不振等により減損処理が必要になる可能性があります。
f. 繰延税金資産
繰延税金資産の計上に当たっては、将来の課税所得の十分性等につき慎重に検討しておりますが、繰延税金資産の全部または一部を回収できないと判断した場合は、その取崩しが必要になる可能性があります。
g. 退職給付に係る資産および負債
当社グループの退職給付に係る資産および負債は、主に数理計算を基礎に算出されております。数理計算上の差異等については将来にわたり規則的に認識されるため、将来期間における退職給付費用および債務に影響を及ぼします。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
売上高については、石油精製・石油化学向けの需要が堅調に推移したプラント向け工事・販売部門と巻付け 耐火被覆材の需要が高水準で推移した建材部門を中心に売上高が増加したため、当社グループの売上高は、前連結会計年度に対し18,000百万円(9.1%)増加の215,495百万円となりました。
売上原価については、売上高が増加したことにより前連結会計年度に対し15,324百万円(10.2%)増加し164,869百万円となりました。売上原価率については、エネルギーコストや原材料価格の高騰により前連結会計年度に対し0.8ポイント悪化し、76.5%となりました。また、販売費及び一般管理費については、人件費等の増加により、前連結会計年度に対し1,403百万円(5.3%)増加の27,996百万円となりました。
営業利益については、売上高の増加により、前連結会計年度に対し1,272百万円(6.0%)増加の22,629百万円となり、営業利益率は10.5%となりました。
営業外収益については、主に受取賃貸料の増加により前連結会計年度に対し397百万円(34.3%)増加の1,556百万円となりました。また、営業外費用については、主に為替差損の増加により前連結会計年度に対し303百万円(42.7%)増加の1,014百万円となりました。
上記の結果、経常利益については23,171百万円となり、前連結会計年度に対し1,366百万円(6.3%)の増益となりました。
特別利益については、補助金収入等により、前連結会計年度に対し61百万円増加の116百万円となりました。また、特別損失については、前連結会計年度に対し178百万円減少の456百万円となりました。これは主に前連結会計年度において設備休止損失275百万円を計上したことによるものであります。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は15,861百万円となり、前連結会計年度に対し904百万円(6.0%)の増益となりました。また、ROEについては14.0%となり、中期経営計画で目標としている10%以上を維持しております。
b. 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、投資有価証券が3,098百万円減少しましたが、建物及び構築物(純額)が3,641百万円、機械装置及び運搬具(純額)が3,169百万円、電子記録債権が3,099百万円、原材料及び貯蔵品が2,017百万円、商品及び製品が1,545百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して9,967百万円増加の206,426百万円となりました。
当連結会計年度末における負債は、短期借入金及び長期借入金が2,005百万円減少しましたが、社債(1年内償還予定の社債を含む)が4,200百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して1,898百万円増加の88,652百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、自己株式の取得により2,010百万円、その他有価証券評価差額金が1,100百万円、為替換算調整勘定が770百万円減少しましたが、利益剰余金が11,760百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して8,068百万円増加の117,774百万円となりました。
c. キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比較して1,231百万円増加し27,730百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は15,833百万円(前年同期は18,122百万円の獲得)となりました。
これは、法人税等の支払額6,874百万円、売上債権の増加4,191百万円、たな卸資産の増加3,588百万円等により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益22,832百万円、減価償却費5,760百万円、未成工事支出金の減少1,609百万円等により資金が増加したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は11,818百万円(前年同期は14,370百万円の支出)となりました。
これは、有形固定資産の取得による支出11,432百万円、無形固定資産の取得による支出476百万円等により資金が減少したことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は4,197百万円(前年同期は6,221百万円の支出)となりました。
これは、社債の発行による収入7,949百万円等により資金が増加しましたが、配当金の支払額4,266百万円、短期借入金の返済による支出4,005百万円、社債の償還による支出3,800百万円等により資金が減少したことによります。
d. 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(資金需要)
運転資金のうち主なものは、当社グループの製品製造のための原材料購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いによるものです。
設備投資資金需要については、今後成長が見込まれる事業分野を中心に生産設備の増強によるものであります。
(財務政策)
運転資金及び設備投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローから得られる資金、社債の発行及び金融機関からの借入れにより資金を調達しております。