有価証券報告書-第82期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態および経営成績の状況
a. 財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて9,760百万円(4.6%)増加し、221,057百万円となりました。これは、その他流動資産が9,216百万円、有価証券(譲渡性預金)が6,000百万円、原材料及び貯蔵品が2,711百万円増加し、売掛金が3,538百万円、電子記録債権が1,783百万円、現金及び預金が1,548百万円減少したこと等によります。なお、その他流動資産の増加には、当社の連結子会社であるビントン・スチール社のVinton Steelプロジェクト向けIRB(産業歳入債)に関連して、信託契約に基づき受託者が管理する信託口座に預託された資金9,668百万円が含まれます。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて10,539百万円(7.4%)増加し、152,070百万円となりました。これは、機械装置及び運搬具が7,872百万円、建物及び構築物が3,284百万円、退職給付に係る資産が2,480百万円増加し、建設仮勘定が4,337百万円、繰延税金資産が497百万円減少したこと等によります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて20,300百万円(5.8%)増加し、373,127百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて582百万円(0.6%)減少し、102,677百万円となりました。これは、1年内償還予定の社債が10,000百万円、支払手形及び買掛金が2,503百万円、電子記録債務が1,319百万円増加し、短期借入金が9,414百万円、その他流動負債が2,928百万円、未払法人税等が2,095百万円減少したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて11,230百万円(27.8%)増加し、51,642百万円となりました。これは、長期借入金が10,618百万円増加したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて10,648百万円(7.4%)増加し、154,319百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて9,651百万円(4.6%)増加し、218,808百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を9,864百万円計上し、退職給付に係る調整累計額が1,388百万円、為替換算調整勘定が1,284百万円、非支配株主持分が978百万円増加した一方で、利益剰余金の配当により3,911百万円減少したこと等によります。
この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べて199円59銭増加し、4,870円38銭となりました。また、自己資本比率は、前連結会計年度末の57.5%から56.7%となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度における当社グループの連結売上高は前期対比7,743百万円(2.4%)減収の315,106百万円、連結営業利益は同1,634百万円(10.7%)増益の16,967百万円、連結経常利益は同466百万円(3.0%)増益の16,211百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、同926百万円(8.6%)減益の9,864百万円となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
国内鉄鋼事業
当事業部門については、国内の建設・物流現場での人手不足による建設工事の遅延・見直しや資材価格高騰などの影響により、建設鋼材需要は低調に推移しました。そうした状況のもと、当社の製品出荷量も前期対比7.1万トン減少し、138.0万トンとなりました。価格面では、原材料(鉄スクラップ)価格は、通期では前期対比3.5千円(7.4%)下落しましたが、第4四半期においては、円安の進行に加え、中東情勢の緊迫化を背景とした国際市況の変動等の影響によって輸出価格が上昇し、国内価格も急騰しました。当社は製品価格の引き上げに努めたものの、需要環境の影響などから通期で同7.6千円(7.4%)下落し、売買価格差(製品価格と原材料価格の差異)は同4.0千円(7.3%)縮小しました。
以上の結果、売上高は前期対比17,075百万円(12.0%)減収の125,527百万円、営業利益は同6,107百万円(35.2%)減益の11,258百万円となりました。
海外鉄鋼事業
当事業部門については、ベトナムおよび北米(米国・カナダ)にて鉄鋼事業を展開しており、いずれも決算期は12月です。
ベトナムにおいては、経済成長重視の政策に転換した政府によるインフラ投資を中心に、年度を通じて旺盛な鋼材需要が続きました。南北拠点ともに製品出荷量は前期対比増加したほか、従前からのコスト削減策の効果も相まって、全拠点で営業黒字を計上しました。また、北部拠点で2025年6月に稼働を開始した新圧延工場では立ち上げが順調に進み、概ね計画通りの生産・販売を記録しました。
北米においては、堅調な鋼材需要のもと、米国拠点では設備老朽化による操業上の課題に対処しながらの生産が続きました。通期では前期に続き赤字を計上しましたが、下期には操業の安定化や製品市況の上昇などにより営業黒字を計上しました。カナダ拠点では、利益率の高い細物鉄筋の拡販等により、前期を上回る利益を計上しました。
以上の結果、売上高は前期対比9,973百万円(5.9%)増収の178,988百万円、営業利益は同7,856百万円増益(前期は1,713百万円の営業損失)の6,143百万円となりました。
環境リサイクル事業
当事業部門については、医療廃棄物処理分野において厳しい競合環境が続く中、下期は産業廃棄物処理分野における大型の個別案件の寄与により業績が改善しましたが、処理量の減少に伴うコスト増などの影響により、売上高は前期対比298百万円(4.8%)減収の5,945百万円、営業利益は同127百万円(18.9%)減益の546百万円となりました。
その他
当事業部門については、ベトナムでの港湾事業や国内およびベトナムでの鋳物事業などを行っています。売上高は前期対比342百万円(6.9%)減収の4,646百万円となり、営業利益は同23百万円(5.1%)減益の425百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて8,306百万円増加し、46,359百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、24,730百万円の収入となりました。収支の主な内訳は、税金等調整前当期純利益15,145百万円、減価償却費7,877百万円、売上債権の減少額4,800百万円、棚卸資産の増加額2,088百万円、仕入債務の増加額3,961百万円、退職給付に係る資産の増加額1,352百万円、利息の支払額2,320百万円、法人税等の支払額5,976百万円等によります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、15,433百万円の支出となりました。収支の主な内訳は、定期預金等の預入による支出24,956百万円、定期預金等の払戻による収入28,788百万円、有形固定資産の取得による支出17,942百万円等によります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,303百万円の支出となりました。収支の主な内訳は、短期借入金の純減額7,535百万円、長期借入れによる収入5,725百万円、長期借入金の返済による支出5,061百万円、社債の発行による収入9,947百万円、配当金の支払額3,911百万円等によります。
③生産、受注および販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 金額は、製造原価によっています。
b. 受注実績
当社グループの販売実績のうち、見込生産形態によるものが大半を占めるため記載を省略しています。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
3 当連結会計年度における阪和興業株式会社への販売実績は総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しています。
主要な原材料価格および販売価格の変動については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
2026年度(2027年3月期)を最終年度とする中期経営計画「NeXuSⅡ 2026」の2年目となる当連結会計年度においては、国内鉄鋼事業における減益の影響があったものの、海外鉄鋼事業の収益改善により、全体としては当連結会計年度中に修正した利益目標を達成しました。
最終年度については、「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(P.10)の項でも記載のとおり、利益面では最終年度目標との間に乖離が生じている状況ですが、出荷量については最終目標に近付きつつあり、将来に向けた収益基盤の強化は、一定程度進めることができました。
当連結会計年度の国内鉄鋼事業については、建設工事の工期の遅れ・長期化の影響による出荷量の減少に加え、円安や中東情勢を背景にスクラップ価格の上昇幅が拡大し、売買価格差が縮小したことを主因として、前期対比減収減益となりました。当社は国内の鉄筋トップメーカーとして製品価格の引き上げを進め、市況の改善に努めましたが、年度末近くになっての原材料価格の急騰には、当連結会計年度中には追い付くことができませんでした。一方で、当社のブランド戦略の軸である「エシカルスチール」の認知度向上を図りつつ販促活動を展開し、当会計年度は7,000トンを受注しました。中長期的に鋼材需要の減退が想定される国内市場において、将来に向けた当社独自の取り組みを進めています。
海外鉄鋼事業については、ベトナム・北米ともに前期の赤字から大幅増益となる61億円の営業利益を計上することができました。ベトナムでは、競争環境は依然として厳しいものの、経済成長重視に方針を転じたベトナム政府によるインフラ投資にけん引される形で、ベトナム国内の鋼材需要は本格的に回復し、旺盛な状況が続きました。各拠点では出荷量の増加とそれに伴う稼働率の改善効果、継続的に取り組んできたコスト削減の成果などにより、南北ともに黒字を計上しました。加えて、北部のベトナム・イタリー・スチール社では、ハイフォン工場で建設を進めていた新圧延工場が2025年6月に完成し、その後も順調に稼働しています。ベトナム事業は、当社がこれまで行ってきた投資の効果が顕在化しつつあり、収益基盤は改善に向かっています。
北米では、米国拠点の設備老朽化に起因する生産不調に対し、日本からの技術支援や操業指導により、次第に生産が安定しつつある状態です。通期では赤字が残ったものの、下期には黒字に転換し、堅調な鋼材需要のもと、当連結会計年度末時点では黒字基調となっています。成長戦略として位置付けている、同拠点での製鋼工場新設・圧延工場大幅リニューアル計画は、2027年10月の製鋼圧延一貫での生産開始を目指し、建設を進めています。カナダ拠点については、利益率の高い細物鉄筋の販売が好調であり、引き続き堅調に推移しています。海外鉄鋼事業については、中期経営計画の最終年度の利益目標を超過達成する見通しであり、米国における大型設備投資の進捗が今後の業績に影響を与える要因の一つと認識しています。
環境リサイクル事業については、医療廃棄物処理分野における競合先との価格競争の継続に加え、排出元のリサイクル意識の変化により、廃棄物の受託量そのものが減少傾向にあるという厳しい状況にあります。そうした環境下において、当社が得意とする難処理廃棄物、例えば近年で受入量が増加しているフロン等の処理や、大手ゼネコンと協働して行っている、鉛等の有害物質が付着した金属廃棄物の収集・処理の拡大に向けた取り組みを進めています。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しています。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりです。
(注)1.各指標の算出は以下の算式を使用しています。
- 自己資本比率:自己資本/総資産
- 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
- キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
- インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
3.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
4.2022年3月期については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオを記載していません。
b. 資本の財源および資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは原材料である鉄スクラップ、合金鉄等の副資材の購入費用、その他製造費用、販売費および一般管理費等の営業費用です。
投資を目的とした資金需要は製造設備の更新等の設備投資、M&Aによる株式取得等によるものです。
当社グループは、原材料価格と製品販売価格の市況変動に対応可能な事業資金を安定的に確保することを基本方針としています。
短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の投資資金は金融機関からの長期借入および社債の発行を基本としています。
また、経営基盤である財務の健全性や経営の透明性を高めるとともに、資金調達の多様化や安定化を図り、経営環境の変化に対応した機動的な資金調達を可能にするため、当社は株式会社日本格付研究所から格付けを取得しており、本報告書提出時点において、格付は「A-(見通し:安定的)」となっています。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しています。
③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されています。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。
当社グループは、特に次の重要な会計方針が、財政状態および経営成績に大きな影響を及ぼすと考えています。
固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損の検討にあたり、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会))および「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号)等を適用しています。将来、企業収益が大幅に低下する場合、経済環境の著しい悪化および市場価格の著しい下落等により、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態および経営成績の状況
a. 財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて9,760百万円(4.6%)増加し、221,057百万円となりました。これは、その他流動資産が9,216百万円、有価証券(譲渡性預金)が6,000百万円、原材料及び貯蔵品が2,711百万円増加し、売掛金が3,538百万円、電子記録債権が1,783百万円、現金及び預金が1,548百万円減少したこと等によります。なお、その他流動資産の増加には、当社の連結子会社であるビントン・スチール社のVinton Steelプロジェクト向けIRB(産業歳入債)に関連して、信託契約に基づき受託者が管理する信託口座に預託された資金9,668百万円が含まれます。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて10,539百万円(7.4%)増加し、152,070百万円となりました。これは、機械装置及び運搬具が7,872百万円、建物及び構築物が3,284百万円、退職給付に係る資産が2,480百万円増加し、建設仮勘定が4,337百万円、繰延税金資産が497百万円減少したこと等によります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて20,300百万円(5.8%)増加し、373,127百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて582百万円(0.6%)減少し、102,677百万円となりました。これは、1年内償還予定の社債が10,000百万円、支払手形及び買掛金が2,503百万円、電子記録債務が1,319百万円増加し、短期借入金が9,414百万円、その他流動負債が2,928百万円、未払法人税等が2,095百万円減少したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて11,230百万円(27.8%)増加し、51,642百万円となりました。これは、長期借入金が10,618百万円増加したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて10,648百万円(7.4%)増加し、154,319百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて9,651百万円(4.6%)増加し、218,808百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を9,864百万円計上し、退職給付に係る調整累計額が1,388百万円、為替換算調整勘定が1,284百万円、非支配株主持分が978百万円増加した一方で、利益剰余金の配当により3,911百万円減少したこと等によります。
この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べて199円59銭増加し、4,870円38銭となりました。また、自己資本比率は、前連結会計年度末の57.5%から56.7%となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度における当社グループの連結売上高は前期対比7,743百万円(2.4%)減収の315,106百万円、連結営業利益は同1,634百万円(10.7%)増益の16,967百万円、連結経常利益は同466百万円(3.0%)増益の16,211百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、同926百万円(8.6%)減益の9,864百万円となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
国内鉄鋼事業
当事業部門については、国内の建設・物流現場での人手不足による建設工事の遅延・見直しや資材価格高騰などの影響により、建設鋼材需要は低調に推移しました。そうした状況のもと、当社の製品出荷量も前期対比7.1万トン減少し、138.0万トンとなりました。価格面では、原材料(鉄スクラップ)価格は、通期では前期対比3.5千円(7.4%)下落しましたが、第4四半期においては、円安の進行に加え、中東情勢の緊迫化を背景とした国際市況の変動等の影響によって輸出価格が上昇し、国内価格も急騰しました。当社は製品価格の引き上げに努めたものの、需要環境の影響などから通期で同7.6千円(7.4%)下落し、売買価格差(製品価格と原材料価格の差異)は同4.0千円(7.3%)縮小しました。
以上の結果、売上高は前期対比17,075百万円(12.0%)減収の125,527百万円、営業利益は同6,107百万円(35.2%)減益の11,258百万円となりました。
海外鉄鋼事業
当事業部門については、ベトナムおよび北米(米国・カナダ)にて鉄鋼事業を展開しており、いずれも決算期は12月です。
ベトナムにおいては、経済成長重視の政策に転換した政府によるインフラ投資を中心に、年度を通じて旺盛な鋼材需要が続きました。南北拠点ともに製品出荷量は前期対比増加したほか、従前からのコスト削減策の効果も相まって、全拠点で営業黒字を計上しました。また、北部拠点で2025年6月に稼働を開始した新圧延工場では立ち上げが順調に進み、概ね計画通りの生産・販売を記録しました。
北米においては、堅調な鋼材需要のもと、米国拠点では設備老朽化による操業上の課題に対処しながらの生産が続きました。通期では前期に続き赤字を計上しましたが、下期には操業の安定化や製品市況の上昇などにより営業黒字を計上しました。カナダ拠点では、利益率の高い細物鉄筋の拡販等により、前期を上回る利益を計上しました。
以上の結果、売上高は前期対比9,973百万円(5.9%)増収の178,988百万円、営業利益は同7,856百万円増益(前期は1,713百万円の営業損失)の6,143百万円となりました。
環境リサイクル事業
当事業部門については、医療廃棄物処理分野において厳しい競合環境が続く中、下期は産業廃棄物処理分野における大型の個別案件の寄与により業績が改善しましたが、処理量の減少に伴うコスト増などの影響により、売上高は前期対比298百万円(4.8%)減収の5,945百万円、営業利益は同127百万円(18.9%)減益の546百万円となりました。
その他
当事業部門については、ベトナムでの港湾事業や国内およびベトナムでの鋳物事業などを行っています。売上高は前期対比342百万円(6.9%)減収の4,646百万円となり、営業利益は同23百万円(5.1%)減益の425百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて8,306百万円増加し、46,359百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、24,730百万円の収入となりました。収支の主な内訳は、税金等調整前当期純利益15,145百万円、減価償却費7,877百万円、売上債権の減少額4,800百万円、棚卸資産の増加額2,088百万円、仕入債務の増加額3,961百万円、退職給付に係る資産の増加額1,352百万円、利息の支払額2,320百万円、法人税等の支払額5,976百万円等によります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、15,433百万円の支出となりました。収支の主な内訳は、定期預金等の預入による支出24,956百万円、定期預金等の払戻による収入28,788百万円、有形固定資産の取得による支出17,942百万円等によります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,303百万円の支出となりました。収支の主な内訳は、短期借入金の純減額7,535百万円、長期借入れによる収入5,725百万円、長期借入金の返済による支出5,061百万円、社債の発行による収入9,947百万円、配当金の支払額3,911百万円等によります。
③生産、受注および販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 国内鉄鋼事業(百万円) | 101,077 | 88.3 |
| 海外鉄鋼事業(百万円) | 144,250 | 106.3 |
| 環境リサイクル事業(百万円) | 4,825 | 98.0 |
| その他(百万円) | 3,809 | 98.0 |
| 合計(百万円) | 253,961 | 98.0 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 金額は、製造原価によっています。
b. 受注実績
当社グループの販売実績のうち、見込生産形態によるものが大半を占めるため記載を省略しています。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 国内鉄鋼事業(百万円) | 125,527 | 88.0 |
| 海外鉄鋼事業(百万円) | 178,988 | 105.9 |
| 環境リサイクル事業(百万円) | 5,945 | 95.2 |
| その他(百万円) | 4,646 | 93.1 |
| 合計(百万円) | 315,106 | 97.6 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| 阪和興業株式会社 | 32,920 | 10.2 | - | - |
3 当連結会計年度における阪和興業株式会社への販売実績は総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しています。
主要な原材料価格および販売価格の変動については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
2026年度(2027年3月期)を最終年度とする中期経営計画「NeXuSⅡ 2026」の2年目となる当連結会計年度においては、国内鉄鋼事業における減益の影響があったものの、海外鉄鋼事業の収益改善により、全体としては当連結会計年度中に修正した利益目標を達成しました。
最終年度については、「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(P.10)の項でも記載のとおり、利益面では最終年度目標との間に乖離が生じている状況ですが、出荷量については最終目標に近付きつつあり、将来に向けた収益基盤の強化は、一定程度進めることができました。
当連結会計年度の国内鉄鋼事業については、建設工事の工期の遅れ・長期化の影響による出荷量の減少に加え、円安や中東情勢を背景にスクラップ価格の上昇幅が拡大し、売買価格差が縮小したことを主因として、前期対比減収減益となりました。当社は国内の鉄筋トップメーカーとして製品価格の引き上げを進め、市況の改善に努めましたが、年度末近くになっての原材料価格の急騰には、当連結会計年度中には追い付くことができませんでした。一方で、当社のブランド戦略の軸である「エシカルスチール」の認知度向上を図りつつ販促活動を展開し、当会計年度は7,000トンを受注しました。中長期的に鋼材需要の減退が想定される国内市場において、将来に向けた当社独自の取り組みを進めています。
海外鉄鋼事業については、ベトナム・北米ともに前期の赤字から大幅増益となる61億円の営業利益を計上することができました。ベトナムでは、競争環境は依然として厳しいものの、経済成長重視に方針を転じたベトナム政府によるインフラ投資にけん引される形で、ベトナム国内の鋼材需要は本格的に回復し、旺盛な状況が続きました。各拠点では出荷量の増加とそれに伴う稼働率の改善効果、継続的に取り組んできたコスト削減の成果などにより、南北ともに黒字を計上しました。加えて、北部のベトナム・イタリー・スチール社では、ハイフォン工場で建設を進めていた新圧延工場が2025年6月に完成し、その後も順調に稼働しています。ベトナム事業は、当社がこれまで行ってきた投資の効果が顕在化しつつあり、収益基盤は改善に向かっています。
北米では、米国拠点の設備老朽化に起因する生産不調に対し、日本からの技術支援や操業指導により、次第に生産が安定しつつある状態です。通期では赤字が残ったものの、下期には黒字に転換し、堅調な鋼材需要のもと、当連結会計年度末時点では黒字基調となっています。成長戦略として位置付けている、同拠点での製鋼工場新設・圧延工場大幅リニューアル計画は、2027年10月の製鋼圧延一貫での生産開始を目指し、建設を進めています。カナダ拠点については、利益率の高い細物鉄筋の販売が好調であり、引き続き堅調に推移しています。海外鉄鋼事業については、中期経営計画の最終年度の利益目標を超過達成する見通しであり、米国における大型設備投資の進捗が今後の業績に影響を与える要因の一つと認識しています。
環境リサイクル事業については、医療廃棄物処理分野における競合先との価格競争の継続に加え、排出元のリサイクル意識の変化により、廃棄物の受託量そのものが減少傾向にあるという厳しい状況にあります。そうした環境下において、当社が得意とする難処理廃棄物、例えば近年で受入量が増加しているフロン等の処理や、大手ゼネコンと協働して行っている、鉛等の有害物質が付着した金属廃棄物の収集・処理の拡大に向けた取り組みを進めています。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しています。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりです。
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | |
| 自己資本比率 | 51.9% | 53.2% | 54.9% | 57.5% | 56.7% |
| 時価ベースの自己資本比率 | 18.5% | 20.7% | 29.6% | 23.2% | 27.0% |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | - | 523.9% | 387.0% | 215.6% | 387.9% |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ | - | 8.1倍 | 6.9倍 | 13.5倍 | 10.7倍 |
(注)1.各指標の算出は以下の算式を使用しています。
- 自己資本比率:自己資本/総資産
- 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
- キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
- インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
3.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
4.2022年3月期については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオを記載していません。
b. 資本の財源および資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは原材料である鉄スクラップ、合金鉄等の副資材の購入費用、その他製造費用、販売費および一般管理費等の営業費用です。
投資を目的とした資金需要は製造設備の更新等の設備投資、M&Aによる株式取得等によるものです。
当社グループは、原材料価格と製品販売価格の市況変動に対応可能な事業資金を安定的に確保することを基本方針としています。
短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の投資資金は金融機関からの長期借入および社債の発行を基本としています。
また、経営基盤である財務の健全性や経営の透明性を高めるとともに、資金調達の多様化や安定化を図り、経営環境の変化に対応した機動的な資金調達を可能にするため、当社は株式会社日本格付研究所から格付けを取得しており、本報告書提出時点において、格付は「A-(見通し:安定的)」となっています。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しています。
③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されています。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。
当社グループは、特に次の重要な会計方針が、財政状態および経営成績に大きな影響を及ぼすと考えています。
固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損の検討にあたり、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会))および「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号)等を適用しています。将来、企業収益が大幅に低下する場合、経済環境の著しい悪化および市場価格の著しい下落等により、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。