有価証券報告書-第43期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の解除等から、社会経済活動の正常化と景気の持ち直しが見られました。一方で、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化などにより、エネルギー価格及び原材料価格の上昇が続いております。また、米国金利の高止まりが継続しており、景気減速のリスクや円安ドル高傾向の継続が懸念されております。また、世界経済についても、各国の政策等による持ち直しが期待されるなか、米欧のインフレ抑制と成長の両立、中国経済の持続的成長の回復には依然として不透明な状況が継続しております。
当社グループと関連の深い建築・土木市場においては、官公庁工事はここ数年の高水準を維持、民間設備投資はコロナ禍から回復しつつありますが、一方でエネルギー価格及び原材料価格の高止まりによるコスト増や建設現場における労働者不足が大きな影響を及ぼしております。アジア・アフリカにおける現地経済活動も新型コロナウイルス感染症拡大前の状況に戻ってきております。
このような経営環境のもと当社グループでは、2023年5月に公表した「中期経営計画2023-2025」において、2030年度を見据え、既存事業の土台固めのため生産を含めたサプライチェーンの効率化等を図るとともに、未来に向けた種まきのための実行体制を編成し、施策を確実に実施する体制としております。また、「中期経営計画2020-2022」の中で取り組んでおりました戦略的資源投入につきましては、エネルギー関連事業は次なる研究ステージに進み、海外関連では新たな事業の展開に着手するなど、新しい事業分野への足掛かりを固めるための先行投資を更に強化してまいりました。これらにより、エスイーグループとして持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでおります。また、昨今の原材料価格の上昇に対しては、営業部門と生産部門の連携により調達を最適化するとともに販売価格への転嫁を進めるなど計画利益の確保に努めております。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ9億38百万円増加し264億32百万円となりました。内訳は、流動資産が前連結会計年度末に比べ3億26百万円増加し175億57百万円、有形固定資産が前連結会計年度末に比べ5億66百万円増加し74億10百万円、無形固定資産が前連結会計年度末に比べ28百万円減少し1億53百万円、投資その他の資産が前連結会計年度末に比べ75百万円増加し13億11百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べ3億42百万円増加し154億8百万円となりました。内訳は、流動負債が前連結会計年度末に比べ1億59百万円減少し98億80百万円、固定負債が前連結会計年度末に比べ5億2百万円増加し55億28百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末に比べ5億96百万円増加し110億24百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度は、建設用資機材の製造・販売事業において高速道路リニューアル関連の耐震金物の案件が増加したこと及び補修・補強工事業において期中に受注・消化した案件が増加したことなどにより、売上高は264億74百万円(前期比4.0%増)と増収となりました。
利益面では、人件費・経費等の増加がありましたが、建設用資機材の製造・販売事業において原材料価格上昇分の価格転嫁が順調に進んだこと及び補修・補強工事業において受注案件の中で増額が認められたことにより、営業利益13億64百万円(前期比2.1%増)、経常利益は為替差損の発生により13億73百万円(前期比0.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は工場移転による補助金の受け入れがあったことで9億69百万円(前期比11.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(建設用資機材の製造・販売事業)
この事業では、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」への対応が進められているなか、橋梁更新工事や豪雨災害などの対策工事が進められております。
そのようななか、当連結会計年度におきましては、高速道路リニューアル関連において、鉄鋼製品分野等の耐震金物の案件が増加したことやケーブル製品分野の納入が順調に推移したことにより増収となりました。利益面では、人件費・経費の販管費等が増加した一方で、原材料価格上昇分の価格転嫁が順調に進んだことにより、増益となりました。
この結果、この事業の売上高は128億83百万円(前期比6.8%増)、営業利益11億55百万円(前期比27.6%増)となりました。
(建築用資材の製造・販売事業)
この事業では、建築金物分野の内装関連は依然として新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が残っており民間設備投資の意欲は低い状況となっておりますが、一方では仮設建材の販売及び鉄骨工事分野が関連する首都圏の都市再開発におけるビルやマンション等の工事が活発になっております。
そのようななか、当連結会計年度におきましては、建築金物分野において、大型都市開発の案件を中心とした工事が概ね順調に推移しましたが、鉄骨工事分野において、従来売上を牽引してきた一部の地場案件が減少したことにより、建築用資材の製造・販売事業全体としての売上高はほぼ横ばいとなりました。利益面では、販管費の増加分をカバーできず、減益となりました。
この結果、この事業の売上高は104億56百万円(前期比0.3%増)、営業利益5億28百万円(前期比18.7%減)となりました。
(建設コンサルタント事業)
この事業では、アフリカ諸国をはじめ、アジア圏・大洋州地域等の各国において、道路・橋梁建設や設備機材整備等のプロジェクトに関わるコンサルタント事業を展開しております。特にフランス語圏のアフリカ諸国では強みをもっており、数多くの実績を残してきております。また、新規分野として国内外におけるBIM/CIM関連技術を活用した業務への参画を目指しております。
当連結会計年度におきましては、独立行政法人国際協力機構(JICA)からの期中受注・消化案件数が縮小したこと及び設計原価にかかる外注費及び販管費の増加により、減収減益となりました。
この結果、この事業の売上高は7億46百万円(前期比3.8%減)、営業損失は18百万円(前期は営業利益33百万円)となりました。
(補修・補強工事業)
この事業では、社会インフラ老朽化対策における橋梁、トンネルの補修・補強工事を推し進めております。国土強靱化対策等が進捗しており、受注環境は引き続き良好に推移しております。
当連結会計年度におきましては、期中受注・消化した案件が増加したことにより、増収となりました。また、予定通り進捗している工事の中で増額や利益率改善等、利益確保に努め、増益となりました。
この結果、この事業の売上高は23億87百万円(前期比9.5%増)、営業利益2億66百万円(前期比42.7%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が14億22百万円(前期比3.1%増)や、有形固定資産の取得による支出が11億7百万円あったことなどにより、前連結会計年度末に比べ7億20百万円増加し、当連結会計年度末には51億16百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、21億14百万円の収入(前連結会計年度末は6億37百万円の支出)となりました。主な資金の増加は、税金等調整前当期純利益が14億22百万円、減価償却費及びのれん償却額が7億5百万円、棚卸資産の減少額が3億75百万円、主な資金の減少は、法人税等の支払額が3億94百万円、売上債権の増加額が1億78百万円、仕入債務の減少額が1億8百万円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、11億45百万円の支出(前連結会計年度末は6億56百万円の支出)となりました。主な資金の減少は、有形固定資産の取得による支出が11億7百万円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2億54百万円の支出(前連結会計年度末は7億49百万円の収入)となりました。主な資金の増加は、長期借入れによる収入が19億90百万円、主な資金の減少は、長期借入金の返済による支出14億69百万円、配当金の支払額3億90百万円、短期借入金の減少額2億90百万円などであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ9億38百万円増加しましたが、その内訳は、流動資産が3億26百万円の増加、固定資産が6億12百万円の増加となっております。
流動資産の増加は、現金及び預金が7億20百万円増加したことが主因であり、現金及び預金の増加は、未払消費税を主としたその他流動負債が1億79百万円増加したこと、未収入金を主としたその他流動資産が1億74百万円減少したこと、更に借入金を2億30百万円増加させたことにより、手元資金を一時的に厚めに保有することになったことによるものです(*)。
固定資産のうち、工場設備のリニューアル・増強をはじめとする有形固定資産の増加が5億66百万円となっております。いずれも企業価値の維持・向上に資する前向きな長期の投資であり、親会社株主に帰属する当期純利益と株主配当金の支払い等による純資産の増加額5億96百万円と見合っており、調達構造として問題ないものです。
資産の残高ベースのリスク許容度(リスク資産に対して十分なエコノミック・キャピタルを有しているか)については、有形固定資産と投資有価証券の合計額76億77百万円に対し、自己資本(純資産-非支配株主持分)が109億84百万円あることにより、リスク資産に対するバッファー(エコノミック・キャピタル)は十分にある状態になっていると考えております。また、有利子負債は、前連結会計年度末59億19百万円から1億55百万円増加し、自己資本比率は40.7%から0.8ポイント増加し41.6%となり、D/Eレシオは0.57から0.02低下し0.55となりました。当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益の増益により積み上がった内部留保は、財務内容の健全性の向上に寄与するものとなったと判断しております。
(*)運転資本(売上債権+棚卸資産-仕入債務)は、57億89百万円から57億57百万円と32百万円減少しました。
(単位:百万円)
リスクバッファーとしての自己資本が問題のない水準と考えられる一方で、資本の効率性の観点では、財務レバレッジを上げる余地についての分析も必要と考えております(後述「資本効率の持続的な向上」の項をご参照下さい)。当連結会計年度末での財務レバレッジは2.43であり、前連結会計年度末の2.42から0.01増加しております。今後実際に機動的な資金調達(大型の設備投資やM&A)を実施していくためには、平時には有利子負債による調達余地を残しておく必要があり、外部格付機関が発表している格付別財務指標を鑑みれば自己資本比率は望ましい水準の範囲内と考えております。従って、財務レバレッジを現時点で大きく引き上げることは優先度としては高くなく、当連結会計年度末の水準は妥当な水準と考えております。
2)経営成績
前連結会計年度との比較では下記のように分析しております。
連結売上高は10億22百万円増加しました。セグメント別の内訳は、建設コンサルタント事業のセグメントで29百万円減少しましたが、建設用資機材の製造・販売事業のセグメントにおいて8億15百万円と大きく増加したことに加え、補修・補強工事業のセグメントにおいて2億7百万円増加しました。増加の主な要因は、建設用資機材の製造・販売事業の高速道路リニューアル関連の鉄鋼製品分野などの案件増加とケーブル製品分野の納入が順調に推移したこと及び補修・補強工事業において期中に受注・消化した案件が増加したことなどによるものです。
連結売上総利益は5億3百万円増加し、売上高総利益率は0.9%増加しました。増加の主な要因は、建設用資機材の製造・販売事業において原材料価格上昇分の価格転嫁が順調に推移したこと及び補修・補強工事業において受注案件の中で増額が認められたことなどによるものです。
販売費及び一般管理費は、販売運賃が増加したこと、研究開発費が増加したこと、人員を強化したことなどにより4億75百万円の増加となりました。
以上の結果、営業利益は28百万円の増加、経常利益は2百万円の減少、親会社株主に帰属する当期純利益は99百万円増加となりました。
当連結会計年度は、「中期経営計画2023-2025」の初年度に当たります。2023年5月12日公表の連結業績予想比では下記のように分析しております。
当連結会計年度の売上高は4億61百万円の計画超過で終わりました。セグメント別では、主要セグメントである建設用資機材の製造・販売事業が83百万円の未達となりましたが、その他のセグメントは建築用資材の製造販売事業が牽引し合計で5億45百万円の超過達成となりました。計画超過の大きな要因は、建築用資材の製造・販売事業で建築金物分野の大型都市開発案件の工事が順調に進捗したことや補修・補強工事業で期中受注・消化した案件が増加したことなどによるものです。
連結売上総利益は1億80百万円の超過、売上高総利益率は計画を0.2%上回りました。建設用資機材の製造・販売事業において原材料上昇分の価格転嫁が順調に進捗したことが計画超過の主な要因です。
販売費及び一般管理費は、計画では戦略的な先行投資を大胆に実施していくことを織り込み、前連結会計年度比で8億80百万円増加する計画でしたが、販売運賃が想定以上に発生しなかったこと、人材の採用が予定通り進まなかったこと等により前連結会計年度比4億75百万円の増加に止まり、期初予想比では4億4百万円少なくなりました。その中には戦略的な先行投資の位置付けである報告セグメントに帰属しない研究開発部門の人件費・経費の未達1億19百万円が含まれております。
以上の結果、連結営業利益は期初予想比5億85百万円の超過となりました。期初予想比大幅増益とは言え、戦略的な先行投資の研究開発及び人材の調達が遅れるなど、将来を見据えた先行投資の面では課題を残す結果となりました。
(単位:百万円)
(※)2023年5月公表
各セグメント別の課題解決状況を踏まえた分析は以下の通りです。
(建設用資機材の製造・販売事業)
国土強靭化、高速道路耐震化、インフラ老朽化対応のため需要の拡大が続くと予想し、その需要を確実に売上高に結びつける営業活動を実施しました。その結果、高速道路リニューアル関連の鉄鋼製品分野等の耐震金物の案件増加とケーブル製品分野の納入が順調に推移したことにより前期比で増収となりました。
増益要因については、人件費・経費の販管費等が増加した一方で、原材料価格上昇分の価格転嫁が順調に進んだことなどによるものです。
以上により、当連結会計年度の売上高は前期比8億15百万円の増収、期初予想比83百万円の減収となりました。営業利益は前期比2億50百万円、期初予想比3億72百万円の増益となりました。
今後につきましては、ケーブル製品分野及び鉄鋼製品分野等において良好な事業環境が続くと思われ、今後も確実に成果に結びつけていくこと、実施した先行投資を確実に事業基盤の強化に結びつけていくことが必要となります。また、中期経営計画の課題である需要拡大及び製品の多品種化への製造面での対応、新商品・新製品の開発にも引き続き取り組んでいく計画です。
なお、翌連結会計年度においては、良好な事業環境が継続しておりますため既存事業は良好に推移すると想定しております。費用面では引き続き戦略的な資源投入に注力していくことや販管費の期ずれ計上等を踏まえ、当連結会計年度より増収減益を想定しております。
(建築用資材の製造・販売事業)
鉄骨工事分野において、従来売上を牽引してきた一部の地場案件が減少しましたが、建築金物分野において大型都市開発の案件を中心とした工事が概ね順調に推移し、売上高は前期比29百万円、期初予想比4億10百万円の増収となりました。
その結果、営業利益は期初予想比64百万円の増益となりましたが、販管費の増加をカバーできず前期比1億21百万円の減益となりました。
翌連結会計年度は、鉄骨工事の減少が見込まれるため減収を想定しておりますが、価格転嫁や営業活動の効率化に取り組むことで増益を想定しております。
(建設コンサルタント事業)
当事業では、新型コロナウイルス感染症の影響により海外現地活動が制限されておりましたが、現在は解除されております。当連結会計年度につきましては、独立行政法人国際協力機構(JICA)からの期中受注・消化案件が縮小したことにより、売上高は前期比では29百万円、期初予想比1億53百万円の減収となりました。加えて、設計原価にかかる外注費及び販管費の増加により、営業利益は前期比52百万円、期初予想比95百万円の減益となりました。
独立行政法人国際協力機構(JICA)以外からの案件受注の増加、海外コンサルタント会社との連携及びBIM/CIM適用事業支援業務への本格参入を引き続き推進していきます。
(補修・補強工事業)
国を挙げての社会インフラ老朽化対応により需要は拡大しており、環境面では良好な状況が続いておりますが、採算を重視した選別受注を行っております。当連結会計年度は、期中受注・消化した案件が増加したことにより、売上高は前期比2億7百万円、期初予想比2億87百万円の増収となりました。
利益面では、選別受注による採算向上があったものの、工事中断の影響で遅れていた工事の原価上昇により、営業利益は前期比79百万円、期初予想比98百万円の増益となりました。
本事業は、規模の拡大は人材の数に制約されるため、採用活動と工事職員のスキルアップを強化することにより、案件消化体制の強化を図ります。また、地場企業への営業強化と元請受注の拡充を図ってまいります。
以上の4つの報告セグメントのセグメント利益の合計額は、連結財務諸表上の営業利益と一致しません。差異は調整額となりますが、調整額のうち特に大きな金額となっているのが、報告セグメントに帰属しない研究開発部門の人件費・経費です。公共投資の予算規模に大きな影響を受ける建設資機材の製造・販売事業に代わる収益事業を創造していくため、当社グループは、研究開発に特に注力しております。当連結会計年度の実績は5億31百万円、売上高の2.0%となっております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、基礎営業キャッシュ・フロー(営業キャッシュ・フローから運転資本の増減を除いたもの)と資産売却により合計18億87百万円のインフローに対し、投資(ほとんどが製造設備等に対する固定資産投資)11億68百万円と株主還元(配当金)3億90百万円に配分しました。余剰額3億28百万円、運転資本の減少により生じた2億50百万円及び有利子負債の増加による1億36百万円により、現金及び現金同等物等は7億14百万円増加しました。
中期経営計画の初年度において、企業価値向上のための設備投資等に重点的に投資した後においても、フリーキャッシュ・フロー(ここでは、運転資本と定期預金の増減を含まず、株主還元への配分後)はプラスになりました。翌連結会計年度においても、キャッシュのインフローを成長投資に重点的に配分していく方針であります。
(百万円)
b.財務戦略
資本コストや株価を意識した経営が求められるなか、当連結会計年度に財務戦略を見直し、財務フレームワークを刷新しました。
経営資本の適正配分により、将来キャッシュ・フローの創出力と資本効率を高め、持続的な成長と企業価値の向上を資する財務運営を目指します。
当社グループの企業価値の持続的な向上を図っていく財務運営の基本方針は、以下の通りです。
・資本コストを上回るキャッシュ・リターンの確保
・財務の健全性と成長投資を両立させる投下資本のコントロール(最適資本構成)
・キャッシュ・フロー・アロケーション
(資本コストを上回るキャッシュ・リターンの確保)
・企業価値を真に向上させるには、会計上の利益を積み上げるだけでなく、フリーキャッシュ・フローの創出力を高める必要があり、利益の質の向上を意識していきます。
・具体的には、キャッシュ・フローの源泉となる利益については、既存事業の資産収益性による評価を実施し、成長投資を除いたベースで資本コストを上回るリターンを得ているかを見ていきます。ただし、中期経営計画の初期の段階では、そのためのシステムの構築にも注力するため、徐々に精度と運用面を整えていくこととなります。
・事業利益による営業キャッシュ・フローの創出だけではなく、運転資本の効率化等も意識し、キャッシュ・フローの最大化を目指します。
・現預金は、資本コストがかかっている投下資本の運用先でもあり、資産効率性に大きな影響を与えます。今回の財務フレームワークの刷新において、適正な現預金の水準についても一定の目線を設定することとしました。
(適正な現預金の水準)
・現預金の保有目的は、「定常的資金」と「突発的資金」とに分けて考えております。更に「突発的資金」は「突発的な大規模投資資金(突然の大型投資資金需要にも対応しうる資金)」と「突発的な危機対応資金(突然の不測の事態にも困らないだけの安全資金)」に分けられます。
・「定常的資金」は、日々の運転資金として保有すべき現預金と定めており、連結売上高の月商をもとに決めております。この部分については、グループ企業間でのキャッシュ・マネジメント・システムの運用を開始しており、資金の効率性は向上していると考えております。
・「突発的資金」は、「突発的な大規模投資資金」と「突発的な危機対応資金」を合わせて定額を設定しております。「危機対応」と「大規模な投資」は同時に発生することは稀有であること、別々に金額を設定すると多額の現預金が必要となることより、オールタナティブな資金として設定しました。
・当連結会計年度では、この運用を開始したばかりであり、今後この目線を運用しながら、適正な現預金の水準の実現を図っていきたいと考えております。
(運転資本)
・営業キャッシュ・フローの水準は、毎年運転資本の増減に大きく左右される状況となっております。より適切な管理を目指し、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮も含め、方向性を見出していきたいと考えております。「中期経営計画2023-2025」では、サプライチェーンの最適化を目指していくことになっており、将来的には運転資本の圧縮にも効果を期待しております。
(財務の健全性と成長投資を両立させる投下資本のコントロール(最適資本構成))
・最適資本構成は、事業リスクに見合う有利子負債/自己資本の構成比であり、成長戦略をバランスシートでどう支えるか、成長投資を財務の観点からどう規律付けるか、デット・キャパシティをどのようにコントロールするかは、最適資本構成の水準によって決まってくると考えております。
・今回の財務フレームワークでは、想定格付、事業リスクを踏まえた必要自己資本の水準より、最適資本構成としてのD/Eレシオの目線を設定しました。
・当連結会計年度のD/Eレシオは0.55となっており、目線に沿った運用がなされていると評価しております。
(キャッシュ・フロー・アロケーション)
・当社グループは、「中期経営計画2023-2025」の期間を、「2030ビジョン」のありたい姿実現に向けて、既存事業の土台を盤石にしつつ、未来に向けた種まきをする期間と位置づけており、中期経営計画期間中に獲得したキャッシュ・フローは重点的に成長投資に配分していきます。
・また、新規事業を立上げるための投資は、大規模な投資に耐えうるよう「中期経営計画2023-2025」の期間中は、デット・キャパシティをある程度維持していくことを考えており、今回設定したD/Eレシオ、自己資本比率の目線を沿うかたちで財務の健全性を向上させていく予定です。
・ただし、M&A等により突発的に資金が必要になった場合や新規事業が予定より早く立ち上がる場合等には、その後のキャッシュ・フローを慎重に精査した上で、D/Eレシオの一時的な大幅悪化を許容する場合もあります。
・キャッシュのアロケーションとしての株主還元につきましては、安定配当を重視してまいります。
(株主還元)
・株主還元・配当政策は経営の最重要課題の一つと認識しております。直接的な利益還元(配当)と成長投資による中長期的な株価上昇によるトータルリターンの向上を基本としています。「中期経営計画2023-2025」においても、これまでの中期経営計画の方針を踏襲し、中長期の成長に向けた投資を優先し、長期に亘る成長を確実に配当還元する方針としております。配当につきましては、短期の業績に左右されず、株主資本の成長に合わせ配当金額が増加する株主資本配当率(*)を配当の水準を決定する際の指標としていきます。具体的には、株主資本配当率3.5%を目安としていきます。
(*)株主資本配当率=配当金総額÷期末株主資本(新株式払込金を除く)×100
(当連結会計年度の資本効率の状況)
・中長期的な企業価値向上を実現するために、資本効率の向上が不可欠だと考えており、当社グループは連結財務諸表における自己資本当期純利益率(ROE)を「中期経営計画2023-2025」の終了時には5%超とすることを重要な経営指標として掲げております。「中期経営計画2023-2025」は、発電事業をはじめ将来の飛躍的な成長のための研究開発の先行投資が大きく、ROEは大きく低下します。ただし、既存事業でのROEは9%超となると試算しております。当該水準は既存事業に割り振られる株主資本コストを上回る水準と考えております。
・当連結会計年度末のROEは、9.1%と前連結会計年度末の8.6%より増加しました。売上高当期純利益率(ROS)の増加が要因です。ROEの改善のためにはROSの向上が必要と考えており、財務運営としては、投資を急ぐあまり総資産回転率が悪化したり、有利子負債が平時に極端に増えることのないよう今回設定した目線に基づいて運営していく必要がある(財務レバレッジを大きく上げる段階にはない)と考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
当社グループの連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績や入手可能な情報に基づいておりますが、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の解除等から、社会経済活動の正常化と景気の持ち直しが見られました。一方で、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化などにより、エネルギー価格及び原材料価格の上昇が続いております。また、米国金利の高止まりが継続しており、景気減速のリスクや円安ドル高傾向の継続が懸念されております。また、世界経済についても、各国の政策等による持ち直しが期待されるなか、米欧のインフレ抑制と成長の両立、中国経済の持続的成長の回復には依然として不透明な状況が継続しております。
当社グループと関連の深い建築・土木市場においては、官公庁工事はここ数年の高水準を維持、民間設備投資はコロナ禍から回復しつつありますが、一方でエネルギー価格及び原材料価格の高止まりによるコスト増や建設現場における労働者不足が大きな影響を及ぼしております。アジア・アフリカにおける現地経済活動も新型コロナウイルス感染症拡大前の状況に戻ってきております。
このような経営環境のもと当社グループでは、2023年5月に公表した「中期経営計画2023-2025」において、2030年度を見据え、既存事業の土台固めのため生産を含めたサプライチェーンの効率化等を図るとともに、未来に向けた種まきのための実行体制を編成し、施策を確実に実施する体制としております。また、「中期経営計画2020-2022」の中で取り組んでおりました戦略的資源投入につきましては、エネルギー関連事業は次なる研究ステージに進み、海外関連では新たな事業の展開に着手するなど、新しい事業分野への足掛かりを固めるための先行投資を更に強化してまいりました。これらにより、エスイーグループとして持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでおります。また、昨今の原材料価格の上昇に対しては、営業部門と生産部門の連携により調達を最適化するとともに販売価格への転嫁を進めるなど計画利益の確保に努めております。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ9億38百万円増加し264億32百万円となりました。内訳は、流動資産が前連結会計年度末に比べ3億26百万円増加し175億57百万円、有形固定資産が前連結会計年度末に比べ5億66百万円増加し74億10百万円、無形固定資産が前連結会計年度末に比べ28百万円減少し1億53百万円、投資その他の資産が前連結会計年度末に比べ75百万円増加し13億11百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べ3億42百万円増加し154億8百万円となりました。内訳は、流動負債が前連結会計年度末に比べ1億59百万円減少し98億80百万円、固定負債が前連結会計年度末に比べ5億2百万円増加し55億28百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末に比べ5億96百万円増加し110億24百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度は、建設用資機材の製造・販売事業において高速道路リニューアル関連の耐震金物の案件が増加したこと及び補修・補強工事業において期中に受注・消化した案件が増加したことなどにより、売上高は264億74百万円(前期比4.0%増)と増収となりました。
利益面では、人件費・経費等の増加がありましたが、建設用資機材の製造・販売事業において原材料価格上昇分の価格転嫁が順調に進んだこと及び補修・補強工事業において受注案件の中で増額が認められたことにより、営業利益13億64百万円(前期比2.1%増)、経常利益は為替差損の発生により13億73百万円(前期比0.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は工場移転による補助金の受け入れがあったことで9億69百万円(前期比11.5%増)となりました。
| 2023年3月期 | 2024年3月期 | 前期比 | 公表期初予想 | 実績と予想 の差異 | ||
| 売上高 (百万円) | 25,452 | 26,474 | +1,022 | 26,013 | +461 | |
| 営業利益 (百万円) | 1,336 | 1,364 | +28 | 779 | +585 | |
| 営業利益率 (%) | 5.3% | 5.2% | △0.1 | 3.0% | 2.2 |
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(建設用資機材の製造・販売事業)
この事業では、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」への対応が進められているなか、橋梁更新工事や豪雨災害などの対策工事が進められております。
そのようななか、当連結会計年度におきましては、高速道路リニューアル関連において、鉄鋼製品分野等の耐震金物の案件が増加したことやケーブル製品分野の納入が順調に推移したことにより増収となりました。利益面では、人件費・経費の販管費等が増加した一方で、原材料価格上昇分の価格転嫁が順調に進んだことにより、増益となりました。
この結果、この事業の売上高は128億83百万円(前期比6.8%増)、営業利益11億55百万円(前期比27.6%増)となりました。
(建築用資材の製造・販売事業)
この事業では、建築金物分野の内装関連は依然として新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が残っており民間設備投資の意欲は低い状況となっておりますが、一方では仮設建材の販売及び鉄骨工事分野が関連する首都圏の都市再開発におけるビルやマンション等の工事が活発になっております。
そのようななか、当連結会計年度におきましては、建築金物分野において、大型都市開発の案件を中心とした工事が概ね順調に推移しましたが、鉄骨工事分野において、従来売上を牽引してきた一部の地場案件が減少したことにより、建築用資材の製造・販売事業全体としての売上高はほぼ横ばいとなりました。利益面では、販管費の増加分をカバーできず、減益となりました。
この結果、この事業の売上高は104億56百万円(前期比0.3%増)、営業利益5億28百万円(前期比18.7%減)となりました。
(建設コンサルタント事業)
この事業では、アフリカ諸国をはじめ、アジア圏・大洋州地域等の各国において、道路・橋梁建設や設備機材整備等のプロジェクトに関わるコンサルタント事業を展開しております。特にフランス語圏のアフリカ諸国では強みをもっており、数多くの実績を残してきております。また、新規分野として国内外におけるBIM/CIM関連技術を活用した業務への参画を目指しております。
当連結会計年度におきましては、独立行政法人国際協力機構(JICA)からの期中受注・消化案件数が縮小したこと及び設計原価にかかる外注費及び販管費の増加により、減収減益となりました。
この結果、この事業の売上高は7億46百万円(前期比3.8%減)、営業損失は18百万円(前期は営業利益33百万円)となりました。
(補修・補強工事業)
この事業では、社会インフラ老朽化対策における橋梁、トンネルの補修・補強工事を推し進めております。国土強靱化対策等が進捗しており、受注環境は引き続き良好に推移しております。
当連結会計年度におきましては、期中受注・消化した案件が増加したことにより、増収となりました。また、予定通り進捗している工事の中で増額や利益率改善等、利益確保に努め、増益となりました。
この結果、この事業の売上高は23億87百万円(前期比9.5%増)、営業利益2億66百万円(前期比42.7%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が14億22百万円(前期比3.1%増)や、有形固定資産の取得による支出が11億7百万円あったことなどにより、前連結会計年度末に比べ7億20百万円増加し、当連結会計年度末には51億16百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、21億14百万円の収入(前連結会計年度末は6億37百万円の支出)となりました。主な資金の増加は、税金等調整前当期純利益が14億22百万円、減価償却費及びのれん償却額が7億5百万円、棚卸資産の減少額が3億75百万円、主な資金の減少は、法人税等の支払額が3億94百万円、売上債権の増加額が1億78百万円、仕入債務の減少額が1億8百万円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、11億45百万円の支出(前連結会計年度末は6億56百万円の支出)となりました。主な資金の減少は、有形固定資産の取得による支出が11億7百万円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2億54百万円の支出(前連結会計年度末は7億49百万円の収入)となりました。主な資金の増加は、長期借入れによる収入が19億90百万円、主な資金の減少は、長期借入金の返済による支出14億69百万円、配当金の支払額3億90百万円、短期借入金の減少額2億90百万円などであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 建設用資機材の製造・販売事業 (千円) | 14,172,871 | 2.74 |
| 建築用資材の製造・販売事業 (千円) | 6,617,379 | △2.22 |
| 建設コンサルタント事業 (千円) | - | - |
| 補修・補強工事業 (千円) | - | - |
| 合計 (千円) | 20,790,250 | 1.11 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
| 建設用資機材の製造・販売事業 | 12,275,942 | 5.78 | 2,190,065 | △21.71 |
| 建築用資材の製造・販売事業 | 8,924,382 | △13.45 | 625,344 | △71.02 |
| 建設コンサルタント事業 | 294,381 | △58.77 | 884,156 | △33.85 |
| 補修・補強工事業 | 2,084,071 | 15.73 | 639,172 | △32.22 |
| 合計 | 23,578,777 | △3.49 | 4,338,737 | △40.03 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 建設用資機材の製造・販売事業 (千円) | 12,883,385 | 6.76 |
| 建築用資材の製造・販売事業 (千円) | 10,456,749 | 0.28 |
| 建設コンサルタント事業 (千円) | 746,806 | △3.79 |
| 補修・補強工事業 (千円) | 2,387,892 | 9.49 |
| 合計 (千円) | 26,474,833 | 4.02 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ9億38百万円増加しましたが、その内訳は、流動資産が3億26百万円の増加、固定資産が6億12百万円の増加となっております。
流動資産の増加は、現金及び預金が7億20百万円増加したことが主因であり、現金及び預金の増加は、未払消費税を主としたその他流動負債が1億79百万円増加したこと、未収入金を主としたその他流動資産が1億74百万円減少したこと、更に借入金を2億30百万円増加させたことにより、手元資金を一時的に厚めに保有することになったことによるものです(*)。
固定資産のうち、工場設備のリニューアル・増強をはじめとする有形固定資産の増加が5億66百万円となっております。いずれも企業価値の維持・向上に資する前向きな長期の投資であり、親会社株主に帰属する当期純利益と株主配当金の支払い等による純資産の増加額5億96百万円と見合っており、調達構造として問題ないものです。
資産の残高ベースのリスク許容度(リスク資産に対して十分なエコノミック・キャピタルを有しているか)については、有形固定資産と投資有価証券の合計額76億77百万円に対し、自己資本(純資産-非支配株主持分)が109億84百万円あることにより、リスク資産に対するバッファー(エコノミック・キャピタル)は十分にある状態になっていると考えております。また、有利子負債は、前連結会計年度末59億19百万円から1億55百万円増加し、自己資本比率は40.7%から0.8ポイント増加し41.6%となり、D/Eレシオは0.57から0.02低下し0.55となりました。当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益の増益により積み上がった内部留保は、財務内容の健全性の向上に寄与するものとなったと判断しております。
(*)運転資本(売上債権+棚卸資産-仕入債務)は、57億89百万円から57億57百万円と32百万円減少しました。
(単位:百万円)
| 資産 | 負債 | |||||||||||||
| 2023年 | 2024年 | 増減 | 2023年 | 2024年 | 増減 | |||||||||
| 3月末 | 3月末 | 3月末 | 3月末 | |||||||||||
| 25,493 | 26,432 | (主な内訳) | 15,065 | 15,408 | (主な内訳) | |||||||||
| +720 | 現金及び預金 | +230 | 借入金 | |||||||||||
| △174 | 未収入金を主とした その他流動資産 | +179 | その他流動負債 | |||||||||||
| +493 | 電子記録債権 | △143 | 電子記録債務 | |||||||||||
| △69 | 商品及び製品 | △20 | 支払手形及び 買掛金 | |||||||||||
| △91 | 仕掛品 | △163 | ||||||||||||
| △214 | 原材料及び貯蔵品 | +342 | ||||||||||||
| △314 | 受取手形、売掛金 及び契約資産 | 純資産 | ||||||||||||
| △195 | 2023年 | 2024年 | 増減 | |||||||||||
| 3月末 | 3月末 | |||||||||||||
| +373 | 建物及び構築物-純額 | 10,428 | 11,024 | (主な内訳) | ||||||||||
| +329 | 機械装置及び運搬具-純額 | +969 | 親会社株主帰属 当期純利益 | |||||||||||
| △87 | 建設仮勘定 | △392 | 株主配当金支払い | |||||||||||
| +615 | ||||||||||||||
| +938 | +596 | |||||||||||||
リスクバッファーとしての自己資本が問題のない水準と考えられる一方で、資本の効率性の観点では、財務レバレッジを上げる余地についての分析も必要と考えております(後述「資本効率の持続的な向上」の項をご参照下さい)。当連結会計年度末での財務レバレッジは2.43であり、前連結会計年度末の2.42から0.01増加しております。今後実際に機動的な資金調達(大型の設備投資やM&A)を実施していくためには、平時には有利子負債による調達余地を残しておく必要があり、外部格付機関が発表している格付別財務指標を鑑みれば自己資本比率は望ましい水準の範囲内と考えております。従って、財務レバレッジを現時点で大きく引き上げることは優先度としては高くなく、当連結会計年度末の水準は妥当な水準と考えております。
2)経営成績
前連結会計年度との比較では下記のように分析しております。
連結売上高は10億22百万円増加しました。セグメント別の内訳は、建設コンサルタント事業のセグメントで29百万円減少しましたが、建設用資機材の製造・販売事業のセグメントにおいて8億15百万円と大きく増加したことに加え、補修・補強工事業のセグメントにおいて2億7百万円増加しました。増加の主な要因は、建設用資機材の製造・販売事業の高速道路リニューアル関連の鉄鋼製品分野などの案件増加とケーブル製品分野の納入が順調に推移したこと及び補修・補強工事業において期中に受注・消化した案件が増加したことなどによるものです。
連結売上総利益は5億3百万円増加し、売上高総利益率は0.9%増加しました。増加の主な要因は、建設用資機材の製造・販売事業において原材料価格上昇分の価格転嫁が順調に推移したこと及び補修・補強工事業において受注案件の中で増額が認められたことなどによるものです。
販売費及び一般管理費は、販売運賃が増加したこと、研究開発費が増加したこと、人員を強化したことなどにより4億75百万円の増加となりました。
以上の結果、営業利益は28百万円の増加、経常利益は2百万円の減少、親会社株主に帰属する当期純利益は99百万円増加となりました。
当連結会計年度は、「中期経営計画2023-2025」の初年度に当たります。2023年5月12日公表の連結業績予想比では下記のように分析しております。
当連結会計年度の売上高は4億61百万円の計画超過で終わりました。セグメント別では、主要セグメントである建設用資機材の製造・販売事業が83百万円の未達となりましたが、その他のセグメントは建築用資材の製造販売事業が牽引し合計で5億45百万円の超過達成となりました。計画超過の大きな要因は、建築用資材の製造・販売事業で建築金物分野の大型都市開発案件の工事が順調に進捗したことや補修・補強工事業で期中受注・消化した案件が増加したことなどによるものです。
連結売上総利益は1億80百万円の超過、売上高総利益率は計画を0.2%上回りました。建設用資機材の製造・販売事業において原材料上昇分の価格転嫁が順調に進捗したことが計画超過の主な要因です。
販売費及び一般管理費は、計画では戦略的な先行投資を大胆に実施していくことを織り込み、前連結会計年度比で8億80百万円増加する計画でしたが、販売運賃が想定以上に発生しなかったこと、人材の採用が予定通り進まなかったこと等により前連結会計年度比4億75百万円の増加に止まり、期初予想比では4億4百万円少なくなりました。その中には戦略的な先行投資の位置付けである報告セグメントに帰属しない研究開発部門の人件費・経費の未達1億19百万円が含まれております。
以上の結果、連結営業利益は期初予想比5億85百万円の超過となりました。期初予想比大幅増益とは言え、戦略的な先行投資の研究開発及び人材の調達が遅れるなど、将来を見据えた先行投資の面では課題を残す結果となりました。
(単位:百万円)
| 2024年3月期 | ||||||||
| (実績) | 2023年3月比 | 期初予想(*)比 | ||||||
| 売上高 | 26,474 | 1,022 | 461 | |||||
| 建設用資機材 | 12,883 | 815 | △83 | |||||
| 上記以外 | 13,591 | 207 | 545 | |||||
| 売上総利益 | 7,182 | 503 | 180 | |||||
| 売上高総利益率 | 27.1% | 0.9% | 0.2% | |||||
| 先行投資(研究開発) | 531 | 137 | △119 | |||||
| 販売管理費 | 5,817 | 475 | △404 | |||||
| 営業利益 | 1,364 | 28 | 585 | |||||
| 売上高営業利益率 | 5.2% | △0.1% | 2.2% | |||||
| 経常利益 | 1,373 | △2 | 573 | |||||
| 売上高経常利益率 | 5.2% | △0.2% | 2.1% | |||||
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 | 969 | 99 | 509 | |||||
| 売上高当期純利益率 | 3.7% | 0.2% | 1.9% | |||||
| 建設用資機材の 製造・販売事業 | 売上高 | 12,883 | 815 | △83 | ||||
| 営業利益 | 1,155 | 250 | 372 | |||||
| 利益率 | 9.0% | 1.5% | 2.9% | |||||
| 建築用資材の 製造・販売事業 | 売上高 | 10,456 | 29 | 410 | ||||
| 営業利益 | 528 | △121 | 64 | |||||
| 利益率 | 5.1% | △1.2% | 0.4% | |||||
| 建設コンサルタント事業 | 売上高 | 746 | △29 | △153 | ||||
| 営業利益 | △18 | △52 | △95 | |||||
| 利益率 | ― | ― | ― | |||||
| 補修・補強工事業 | 売上高 | 2,387 | 207 | 287 | ||||
| 営業利益 | 266 | 79 | 98 | |||||
| 利益率 | 11.2% | 2.6% | 3.2% | |||||
(※)2023年5月公表
各セグメント別の課題解決状況を踏まえた分析は以下の通りです。
(建設用資機材の製造・販売事業)
国土強靭化、高速道路耐震化、インフラ老朽化対応のため需要の拡大が続くと予想し、その需要を確実に売上高に結びつける営業活動を実施しました。その結果、高速道路リニューアル関連の鉄鋼製品分野等の耐震金物の案件増加とケーブル製品分野の納入が順調に推移したことにより前期比で増収となりました。
増益要因については、人件費・経費の販管費等が増加した一方で、原材料価格上昇分の価格転嫁が順調に進んだことなどによるものです。
以上により、当連結会計年度の売上高は前期比8億15百万円の増収、期初予想比83百万円の減収となりました。営業利益は前期比2億50百万円、期初予想比3億72百万円の増益となりました。
今後につきましては、ケーブル製品分野及び鉄鋼製品分野等において良好な事業環境が続くと思われ、今後も確実に成果に結びつけていくこと、実施した先行投資を確実に事業基盤の強化に結びつけていくことが必要となります。また、中期経営計画の課題である需要拡大及び製品の多品種化への製造面での対応、新商品・新製品の開発にも引き続き取り組んでいく計画です。
なお、翌連結会計年度においては、良好な事業環境が継続しておりますため既存事業は良好に推移すると想定しております。費用面では引き続き戦略的な資源投入に注力していくことや販管費の期ずれ計上等を踏まえ、当連結会計年度より増収減益を想定しております。
(建築用資材の製造・販売事業)
鉄骨工事分野において、従来売上を牽引してきた一部の地場案件が減少しましたが、建築金物分野において大型都市開発の案件を中心とした工事が概ね順調に推移し、売上高は前期比29百万円、期初予想比4億10百万円の増収となりました。
その結果、営業利益は期初予想比64百万円の増益となりましたが、販管費の増加をカバーできず前期比1億21百万円の減益となりました。
翌連結会計年度は、鉄骨工事の減少が見込まれるため減収を想定しておりますが、価格転嫁や営業活動の効率化に取り組むことで増益を想定しております。
(建設コンサルタント事業)
当事業では、新型コロナウイルス感染症の影響により海外現地活動が制限されておりましたが、現在は解除されております。当連結会計年度につきましては、独立行政法人国際協力機構(JICA)からの期中受注・消化案件が縮小したことにより、売上高は前期比では29百万円、期初予想比1億53百万円の減収となりました。加えて、設計原価にかかる外注費及び販管費の増加により、営業利益は前期比52百万円、期初予想比95百万円の減益となりました。
独立行政法人国際協力機構(JICA)以外からの案件受注の増加、海外コンサルタント会社との連携及びBIM/CIM適用事業支援業務への本格参入を引き続き推進していきます。
(補修・補強工事業)
国を挙げての社会インフラ老朽化対応により需要は拡大しており、環境面では良好な状況が続いておりますが、採算を重視した選別受注を行っております。当連結会計年度は、期中受注・消化した案件が増加したことにより、売上高は前期比2億7百万円、期初予想比2億87百万円の増収となりました。
利益面では、選別受注による採算向上があったものの、工事中断の影響で遅れていた工事の原価上昇により、営業利益は前期比79百万円、期初予想比98百万円の増益となりました。
本事業は、規模の拡大は人材の数に制約されるため、採用活動と工事職員のスキルアップを強化することにより、案件消化体制の強化を図ります。また、地場企業への営業強化と元請受注の拡充を図ってまいります。
以上の4つの報告セグメントのセグメント利益の合計額は、連結財務諸表上の営業利益と一致しません。差異は調整額となりますが、調整額のうち特に大きな金額となっているのが、報告セグメントに帰属しない研究開発部門の人件費・経費です。公共投資の予算規模に大きな影響を受ける建設資機材の製造・販売事業に代わる収益事業を創造していくため、当社グループは、研究開発に特に注力しております。当連結会計年度の実績は5億31百万円、売上高の2.0%となっております。
| 2020年 3月期 | 2021年 3月期 | 2022年 3月期 | 2023年 3月期 | 2024年 3月期 | 増減 | 増減率 | |
| 報告セグメントに帰属しない 研究開発部門の人件費・経費(百万円) | 336 | 346 | 353 | 394 | 531 | 137 | 34.8% |
| 売上高比率 (%) | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 2.0 | ― | ― |
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、基礎営業キャッシュ・フロー(営業キャッシュ・フローから運転資本の増減を除いたもの)と資産売却により合計18億87百万円のインフローに対し、投資(ほとんどが製造設備等に対する固定資産投資)11億68百万円と株主還元(配当金)3億90百万円に配分しました。余剰額3億28百万円、運転資本の減少により生じた2億50百万円及び有利子負債の増加による1億36百万円により、現金及び現金同等物等は7億14百万円増加しました。
中期経営計画の初年度において、企業価値向上のための設備投資等に重点的に投資した後においても、フリーキャッシュ・フロー(ここでは、運転資本と定期預金の増減を含まず、株主還元への配分後)はプラスになりました。翌連結会計年度においても、キャッシュのインフローを成長投資に重点的に配分していく方針であります。
(百万円)
| 2023年3月期 | 2024年3月期 | ||||
| 基礎営業キャッシュ・フロー | 1,123 | 1,864 | |||
| 資産処分等 | 314 | 22 | |||
| ①インフロー | 1,437 | 1,887 | |||
| 投資 | 固定資産 | △951 | △1,163 | ||
| 有価証券他 | △20 | △5 | |||
| △972 | △1,168 | ||||
| 株主還元 | △420 | △390 | |||
| ②アウトフロー | △1,393 | △1,559 | |||
| ③ネット資金(①+②) | 44 | 328 | |||
| ④運転資本 | △1,761 | 250 | |||
| ⑤有利子負債 | 1,170 | 136 | |||
| ⑥現金及び現金同等物、定期預金等からの調達 | △546 | 714 | |||
b.財務戦略
資本コストや株価を意識した経営が求められるなか、当連結会計年度に財務戦略を見直し、財務フレームワークを刷新しました。
経営資本の適正配分により、将来キャッシュ・フローの創出力と資本効率を高め、持続的な成長と企業価値の向上を資する財務運営を目指します。
当社グループの企業価値の持続的な向上を図っていく財務運営の基本方針は、以下の通りです。
・資本コストを上回るキャッシュ・リターンの確保
・財務の健全性と成長投資を両立させる投下資本のコントロール(最適資本構成)
・キャッシュ・フロー・アロケーション
(資本コストを上回るキャッシュ・リターンの確保)
・企業価値を真に向上させるには、会計上の利益を積み上げるだけでなく、フリーキャッシュ・フローの創出力を高める必要があり、利益の質の向上を意識していきます。
・具体的には、キャッシュ・フローの源泉となる利益については、既存事業の資産収益性による評価を実施し、成長投資を除いたベースで資本コストを上回るリターンを得ているかを見ていきます。ただし、中期経営計画の初期の段階では、そのためのシステムの構築にも注力するため、徐々に精度と運用面を整えていくこととなります。
・事業利益による営業キャッシュ・フローの創出だけではなく、運転資本の効率化等も意識し、キャッシュ・フローの最大化を目指します。
・現預金は、資本コストがかかっている投下資本の運用先でもあり、資産効率性に大きな影響を与えます。今回の財務フレームワークの刷新において、適正な現預金の水準についても一定の目線を設定することとしました。
(適正な現預金の水準)
・現預金の保有目的は、「定常的資金」と「突発的資金」とに分けて考えております。更に「突発的資金」は「突発的な大規模投資資金(突然の大型投資資金需要にも対応しうる資金)」と「突発的な危機対応資金(突然の不測の事態にも困らないだけの安全資金)」に分けられます。
・「定常的資金」は、日々の運転資金として保有すべき現預金と定めており、連結売上高の月商をもとに決めております。この部分については、グループ企業間でのキャッシュ・マネジメント・システムの運用を開始しており、資金の効率性は向上していると考えております。
・「突発的資金」は、「突発的な大規模投資資金」と「突発的な危機対応資金」を合わせて定額を設定しております。「危機対応」と「大規模な投資」は同時に発生することは稀有であること、別々に金額を設定すると多額の現預金が必要となることより、オールタナティブな資金として設定しました。
・当連結会計年度では、この運用を開始したばかりであり、今後この目線を運用しながら、適正な現預金の水準の実現を図っていきたいと考えております。
(運転資本)
・営業キャッシュ・フローの水準は、毎年運転資本の増減に大きく左右される状況となっております。より適切な管理を目指し、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮も含め、方向性を見出していきたいと考えております。「中期経営計画2023-2025」では、サプライチェーンの最適化を目指していくことになっており、将来的には運転資本の圧縮にも効果を期待しております。
(財務の健全性と成長投資を両立させる投下資本のコントロール(最適資本構成))
・最適資本構成は、事業リスクに見合う有利子負債/自己資本の構成比であり、成長戦略をバランスシートでどう支えるか、成長投資を財務の観点からどう規律付けるか、デット・キャパシティをどのようにコントロールするかは、最適資本構成の水準によって決まってくると考えております。
・今回の財務フレームワークでは、想定格付、事業リスクを踏まえた必要自己資本の水準より、最適資本構成としてのD/Eレシオの目線を設定しました。
・当連結会計年度のD/Eレシオは0.55となっており、目線に沿った運用がなされていると評価しております。
(キャッシュ・フロー・アロケーション)
・当社グループは、「中期経営計画2023-2025」の期間を、「2030ビジョン」のありたい姿実現に向けて、既存事業の土台を盤石にしつつ、未来に向けた種まきをする期間と位置づけており、中期経営計画期間中に獲得したキャッシュ・フローは重点的に成長投資に配分していきます。
・また、新規事業を立上げるための投資は、大規模な投資に耐えうるよう「中期経営計画2023-2025」の期間中は、デット・キャパシティをある程度維持していくことを考えており、今回設定したD/Eレシオ、自己資本比率の目線を沿うかたちで財務の健全性を向上させていく予定です。
・ただし、M&A等により突発的に資金が必要になった場合や新規事業が予定より早く立ち上がる場合等には、その後のキャッシュ・フローを慎重に精査した上で、D/Eレシオの一時的な大幅悪化を許容する場合もあります。
・キャッシュのアロケーションとしての株主還元につきましては、安定配当を重視してまいります。
(株主還元)
・株主還元・配当政策は経営の最重要課題の一つと認識しております。直接的な利益還元(配当)と成長投資による中長期的な株価上昇によるトータルリターンの向上を基本としています。「中期経営計画2023-2025」においても、これまでの中期経営計画の方針を踏襲し、中長期の成長に向けた投資を優先し、長期に亘る成長を確実に配当還元する方針としております。配当につきましては、短期の業績に左右されず、株主資本の成長に合わせ配当金額が増加する株主資本配当率(*)を配当の水準を決定する際の指標としていきます。具体的には、株主資本配当率3.5%を目安としていきます。
(*)株主資本配当率=配当金総額÷期末株主資本(新株式払込金を除く)×100
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | ||
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | (百万円) | 1,614 | 870 | 969 |
| 株主資本 | (百万円) | 9,839 | 10,320 | 10,897 |
| 1株当たり配当金 | (円) | 14 | 13 | 13 |
| 配当金総額 | (百万円) | 421 | 392 | 392 |
| 配当性向(連結) | (%) | 26.1 | 45.1 | 40.5 |
| 株主資本配当率 | (%) | 4.28 | 3.80 | 3.60 |
(当連結会計年度の資本効率の状況)
・中長期的な企業価値向上を実現するために、資本効率の向上が不可欠だと考えており、当社グループは連結財務諸表における自己資本当期純利益率(ROE)を「中期経営計画2023-2025」の終了時には5%超とすることを重要な経営指標として掲げております。「中期経営計画2023-2025」は、発電事業をはじめ将来の飛躍的な成長のための研究開発の先行投資が大きく、ROEは大きく低下します。ただし、既存事業でのROEは9%超となると試算しております。当該水準は既存事業に割り振られる株主資本コストを上回る水準と考えております。
・当連結会計年度末のROEは、9.1%と前連結会計年度末の8.6%より増加しました。売上高当期純利益率(ROS)の増加が要因です。ROEの改善のためにはROSの向上が必要と考えており、財務運営としては、投資を急ぐあまり総資産回転率が悪化したり、有利子負債が平時に極端に増えることのないよう今回設定した目線に基づいて運営していく必要がある(財務レバレッジを大きく上げる段階にはない)と考えております。
| (%、倍) | |||||||
| 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | ||||
| 自己資本当期純利益率(ROE) | 純利益/自己資本 | 7.4 | 17.3 | 8.6 | 9.1 | ||
| 売上高当期純利益率(ROS) | 純利益/売上高 | 2.8 | 6.7 | 3.4 | 3.7 | ||
| 総資産回転率(分母平均) | 売上高/総資産 | 1.00 | 1.02 | 1.04 | 1.02 | ||
| 財務レバレッジ | 総資産/自己資本 | 2.67 | 2.53 | 2.42 | 2.43 | ||
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
当社グループの連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績や入手可能な情報に基づいておりますが、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。