有価証券報告書-第115期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/26 13:37
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182項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)における世界経済は、中国経済が不動産不況や内需の停滞を背景に低迷が長期化しているものの、米国経済は良好な雇用・所得環境を背景に高成長を維持したほか、欧州経済もインフレ圧力の緩和を受け緩やかながらも回復基調となったこと等により、底堅い推移となりました。わが国経済につきましても、設備投資の拡大や実質賃金の回復による個人消費の持ち直し等により、緩やかな回復基調で推移しました。
このような状況のもと、当社グループの業績につきましては、中国経済不振の影響等はあったものの、チェーン事業の好調持続に加え、モビリティ事業が新規獲得案件の量産立ち上げ等により堅調に推移したこと、また円安の影響もあったこと等により、当連結会計年度の受注高は273,523百万円(前期比4.0%増)、売上高は279,193百万円(同4.6%増)となりました。
損益につきましても、営業利益は22,854百万円(同7.5%増)、経常利益は25,332百万円(同8.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は22,122百万円(同19.2%増)となりました。
上記の結果、当社グループが取り組んでおります5ヵ年計画「中期経営計画2025」における主要な財務KPI(①売上高:3,000~3,200億円、②営業利益率:9~11%、③ROE:8%以上、④配当性向:30%を基準とする)に対する進捗は、以下のとおりとなりました。
①売上高:2,791億円、②営業利益率:8.2%、③ROE:8.5%、④配当性向:37.6%(いずれも連結ベース)
※「中期経営計画2025」における非財務KPIに対する進捗は、当社ホームページ(URL:https://www.tsubakimoto.jp/)に掲載しておりますので、ご参照ください。
当社グループは、「長期ビジョン2030」に掲げた「2030年のありたい姿」の実現、および2021年度よりスタートさせた「中期経営計画2025」の達成に向けて、社会課題の解決に貢献するとともに、既存事業での収益力強化と持続的成長につながる新事業開発に引き続き注力してまいります。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
[チェーン]
チェーンにつきましては、日本、中国において販売が増加したことや、円安の影響などにより、前期比で増収となりました。
以上により、チェーンの受注高は92,779百万円(前期比5.4%増)、売上高は94,254百万円(同2.2%増)、日本における人件費の上昇や北米における売上減少等により営業利益は15,585百万円(同4.9%減)となりました。
[モーションコントロール]
モーションコントロールにつきましては、日本、米州、韓国・台湾において販売が増加したことなどにより、前期比で増収となりました。
以上により、モーションコントロールの受注高は22,391百万円(前期比5.3%増)、売上高は22,944百万円(同4.2%増)、営業利益は770百万円(同16.6%増)となりました。
[モビリティ]
モビリティにつきましては、日本、米州、欧州、韓国などの拠点において自動車エンジン用タイミングチェーンシステムなどの販売が増加したことなどにより、前期比で増収となりました。
以上により、モビリティの受注高は90,850百万円(前期比7.4%増)、売上高は91,179百万円(同7.8%増)、営業利益は8,287百万円(同6.0%増)となりました。
[マテハン]
マテハンにつきましては、米州における金属切屑搬送・クーラント処理装置や自動車業界向けシステム、日本における物流業界向けや自動車業界向けシステムの販売が増加したことなどにより、前期比で増収となりました。
以上により、マテハンの受注高は64,910百万円(前期比2.1%減)、売上高は68,106百万円(同4.4%増)、営業利益は1,247百万円(前期は1,165百万円の営業損失)となりました。
[その他]
その他の受注高は2,591百万円(前期比3.6%減)、売上高は2,709百万円(同1.2%減)、損益につきましては833百万円の営業損失(前期は944百万円の営業損失)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載をしております。
生産、受注および販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、当社グループ(当社および連結子会社)の製品は、主に受注生産でありますが、製品の一部につきましては、見込生産も行っております。
セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)
チェーン65,163△1.0
モーションコントロール22,7994.8
モビリティ105,1616.2
マテハン46,0142.0
その他116△37.6
合計239,2553.2

(注) 金額は販売価格で記載しております。
② 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)
チェーン92,7795.421,316△6.4
モーション
コントロール
22,3915.38,012△5.8
モビリティ90,8507.41,440△18.5
マテハン64,910△2.136,213△6.6
その他2,591△3.6517△18.6
合計273,5234.067,500△6.9

③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)
チェーン94,2542.2
モーションコントロール22,9444.2
モビリティ91,1797.8
マテハン68,1064.4
その他2,709△1.2
合計279,1934.6

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)
椿本興業株式会社27,45410.328,24710.1

(2) 財政状態
① 資産
資産は、その他の流動資産が1,437百万円増加した一方で、現金及び預金が9,375百万円減少したこと、保有株式の売却などにより投資有価証券が7,175百万円減少したこと、電子記録債権が2,656百万円減少したこと、商品及び製品の減少などにより棚卸資産が1,996百万円減少したことなどから、前連結会計年度末と比較して19,788百万円減少し、371,510百万円となりました。
② 負債
負債は、支払期間の短縮などにより電子記録債務が11,048百万円減少したこと、借入金が3,566百万円減少したこと、支払手形及び買掛金が2,308百万円減少したこと、繰延税金負債が1,974百万円減少したこと、営業外電子記録債務が1,494百万円減少したこと、未払法人税等が666百万円減少したことなどから、前連結会計年度末と比較して21,390百万円減少し、109,348百万円となりました。
③ 純資産
純資産は、その他有価証券評価差額金が6,171百万円減少したこと、自己株式が1,642百万円増加(純資産は減少)した一方で、利益剰余金が6,850百万円増加したこと、為替の変動により為替換算調整勘定が2,455百万円増加したことなどから、前連結会計年度末と比較して1,602百万円増加し、262,162百万円となりました。また、自己資本比率は、3.9ポイント改善し、69.9%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して11,338百万円減少し、63,316百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は21,297百万円となりました。これは、仕入債務が14,006百万円減少したこと、法人税等の支払に9,045百万円支出したこと、投資有価証券売却益を5,088百万円計上した一方で、税金等調整前当期純利益を30,167百万円計上したこと、減価償却費を14,211百万円計上したこと、売上債権が3,414百万円減少したこと、利息及び配当金の受取による3,075百万円の収入があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は11,834百万円となりました。これは、投資有価証券の売却による5,668百万円の収入があったこと、定期預金の払い戻しによる3,403百万円の収入があった一方で、設備投資代金の決済などに13,159百万円支出したこと、定期預金の預入のために5,237百万円支出したこと、関係会社株式の取得に2,094百万円を支出したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は21,655百万円となりました。これは、自己株式の取得に10,005百万円支出したこと、配当金の支払に6,984百万円支出したこと、借入金が3,677百万円減少したことなどによるものであります。
② 資金需要および資金調達の方法
当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループ製品の製造のための材料や部品の購入ならびに設備の増強、合理化および更新にかかる設備投資、企業買収によるものであります。
成長投資につきましては、2024年度は生産設備の増強、合理化および更新を中心に12,444百万円の設備投資を行い、研究開発費用は6,820百万円となりました。2025年度は新設、合理化および更新にかかる設備投資として24,817百万円を見込んでおります。設備投資計画の詳細については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
株主還元につきましては、株主重視の経営を目指す観点から、連結業績を反映した配当を基本方針とし、資金の状況、財務の状況等を総合的に勘案しながら連結配当性向35%を基準とした利益配分を目指しております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
当社グループは、運転資金および設備投資資金については、自己資金、金融機関からの借入および社債発行により資金を調達しております。
(4) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値が実際の結果と異なる可能性があります。
重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。