四半期報告書-第119期第1四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)

【提出】
2018/08/02 15:43
【資料】
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【項目】
14項目
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日(2018年6月30日)現在において判断したものです。
以下の文中において、当第1四半期連結会計期間及び当第1四半期連結累計期間を当第1四半期、前年同四半期連結累計期間を前年同期、前連結会計年度を前年度と記載しております。
(1)経営成績の分析(当第1四半期)
①損益の状況
(単位:億円)
2017年度2018年度前年同期比
第1四半期第1四半期増減率(%)
売上収益9,2268,676△549△6.0
営業利益49795746-
(営業利益率)(0.5%)(9.2%)(8.7%)
税引前四半期利益74970895-
四半期利益(親会社所有者帰属)21727706-

売上収益は8,676億円と、前年同期比549億円の減収となりました。携帯電話事業の再編及び個人向けPCが連結売上の対象外となった影響をあわせたユビキタス事業再編による減収影響があったほか、ネットワークプロダクトを中心にシステムプラットフォーム及びLSIが減収となりました。
営業利益は795億円と、前年同期比746億円の増益となりました。ネットワークプロダクト及びLSIの減収影響があったほか、ユビキタス事業再編による減収影響や昨年度に計上しましたニフティ株式会社のコンシューマ事業譲渡益がなくなった影響がありましたが、退職給付制度変更に関する利益及びPC事業譲渡益を計上しております。
税引前四半期利益は970億円と、前年同期比895億円の増益となりました。営業利益の増益のほか、持分法による投資利益が前年同期比111億円増加しました。PC事業譲渡に伴う株式再評価による影響などによります。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は727億円と、税引前四半期利益の増益などにより前年同期比706億円の増益となりました。
②セグメント情報
(単位:億円)
2017年度2018年度前年同期比
第1四半期第1四半期増減率(%)
売上収益テクノロジーソリューション6,7266,643△83△1.2
ユビキタスソリューション1,5401,153△386△25.1
デバイスソリューション1,3531,313△40△3.0
その他/消去又は全社△394△433△39-
連結計9,2268,676△549△6.0

営業利益テクノロジーソリューション5240△11△22.4
ユビキタスソリューション551△53△97.1
デバイスソリューション347△27△79.3
その他/消去又は全社△92746839-
連結計49795746-

a テクノロジーソリューション
売上収益は6,643億円と、前年同期比1.2%の減収となりました。国内サービスは堅調に推移しましたが、ネットワークプロダクトが国内向け携帯電話基地局を中心に減収となりました。
営業利益は40億円と、前年同期比11億円の減益となりました。国内サービスの増収効果はありましたが、ネットワークプロダクトの減収影響があり、減益となりました。
b ユビキタスソリューション
売上収益は1,153億円と、前年同期比25.1%の減収となりました。ユビキタス事業再編による減収影響を除くと、増収となりました。パソコンが法人向けを中心に伸長した影響がありました。
営業利益は1億円と、前年同期比53億円の減益となりました。ユビキタス事業再編による減益影響を除くと、増益となりました。法人向けパソコンの増収効果があったほか、円高による米国ドル建の部材調達価格の低下効果がありました。
c デバイスソリューション
売上収益は1,313億円と、前年同期比3.0%の減収となりました。電子部品はPCや製造装置向けの物量の増加により増収となりましたが、スマートフォン向け製品の所要が低調に推移しLSIは減収となりました。
営業利益は7億円と、前年同期比27億円の減益となりました。減収影響などによります。
d その他及び消去又は全社
営業利益は746億円の利益と前年同期比839億円の改善となりました。退職給付制度変更及びPC事業譲渡による一時的な利益計上がありました。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資産、負債及び資本の状況
(単位:億円)
2017年度末2018年度
第1四半期末
前年度末比
資産31,21530,564△650
負債19,16618,032△1,133
資本(純資産)12,04912,532483
親会社所有者帰属持分(自己資本)10,87711,349471
(自己資本比率)(34.8%)(37.1%)(2.3%)

親会社所有者帰属持分を資産で控除した自己資本比率は、四半期利益の計上などにより当第1四半期末で37.1%と前年度末から2.3%上昇しました。
②キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)
2017年度
第1四半期
2018年度
第1四半期
前年同期比
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー8161,046229
Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー△314188502
Ⅰ+Ⅱ フリー・キャッシュ・フロー5021,235732
Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー96△434△531
Ⅳ 現金及び現金同等物の四半期末残高4,4475,341893

営業活動によるキャッシュ・フローは1,046億円のプラスと、前年同期比229億円の収入増となりました。退職給付制度変更にあわせて退職給付信託資産が当社に返還された影響などがありました。
投資活動によるキャッシュ・フローは188億円のプラスと、前年同期比502億円の支出減となりました。有形固定資産の取得による支出は前年同期並みとなりましたが、PC事業譲渡による収入や昨年まで関係会社であった中国の一般株式の売却による収入などがありました。
(3)経営方針及び対処すべき課題等
①経営方針及び対処すべき課題
当第1四半期において、当社グループが定めている経営方針、対処すべき課題等について重要な変更はありませんが、その内容は以下のとおりです。
当社グループは、常に変革に挑戦し続け、快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献し、豊かで夢のある未来を世界中の人々に提供することを企業理念としております。そのためには、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持続的に向上させることが重要と考えております。
情報機器やネットワークの高度化を背景に、社会や経済の至るところでICTの活用が広がり、従来の業界の枠組みを超えた新たなビジネスが生まれるなど、市場構造の変革が進んでおります。消費者の行動が変化し、またグローバルな競争が加速する中で、企業において新しいテクノロジーをビジネスの変革や競争優位の確保に活かす動きが高まっています。また、防災、エネルギー、環境、医療など、社会の抱える様々な課題を解決し豊かな社会の実現に貢献することが、ICTの新たな役割として期待されています。
このような環境下において、当社グループは、テクノロジーソリューションを中核とした真のサービスカンパニーになることを目指しております。2015年10月に発表しました経営方針において、①つながるサービスにフォーカスした「ビジネスモデル変革」により、競争力を高めること、②「デジタル・イノベーション」の可能性の追求を目指した人材・体制の強化、そして③それらを「グローバル」に実行することを掲げました。こうした自らの改革を進め、お客様のビジネスを支えるとともに、豊かな社会の実現に向け、ICTを通じて貢献してまいります。これに向けて、ビジネス及び社会におけるイノベーションを通じてICTの活用領域を拡大するとともに、グローバルでのビジネス拡大を進めてまいります。
当社グループは経営目標として(ⅰ)営業利益率10%以上、(ⅱ)フリー・キャッシュ・フロー1,500億円以上、(ⅲ)自己資本比率40%以上、(ⅳ)海外売上比率50%以上を設定しております。「ビジネスモデル変革」を通じて、当社グループの形と質を転換することにより、さらなる成長を追求しております。
現在の進捗として、事業ポートフォリオ変革を中心とした「形を変える」取り組みは一定の成果を上げておりますが、収益力強化を目指す「質を変える」取り組みは十分な成果の享受に至っていない状況です。
収益力の強化に向け、IoT時代に向けた新しいデジタルテクノロジーを活かしたビジネスモデル創出に取り組んでまいります。
グローバルでのビジネス拡大に向けては、統一的なグローバル戦略のもと、各国や地域の市場特性をより深く理解した上で、ビジネスの成長に努めてまいります。
また、IoT時代に向けますます重要となるネットワークビジネスにつきましても、5G等の大きな環境の変化に十分対応できるよう、事業の強化に努めてまいります。
加えて、お客様本業分野の商談獲得を目指し、お客様の事業や業界に対して深く入っていくための知見の獲得に取り組んでまいります。
更に、これらの実現に向け、次世代技術の研究開発やデジタル変革実現へ向けた先行投資にも引き続き注力してまいります。
以上のような課題を不断の努力を積み重ねることにより解決し、快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献できるグローバルな企業として、お客様や社会から信頼されるよう一層の自己革新を図ってまいります。
なお、当社グループは、企業価値の維持・向上の観点から、コンプライアンスを含む内部統制体制の構築及び運用を経営の最重要事項の一つと認識し、FUJITSU Wayの「行動規範」に則り、その徹底を図っております。コンプライアンスに関する取り組みの一層の強化も対処すべき課題と位置づけ、今後も、継続して取り組んでまいります。
②財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、企業価値を向上させることが、結果として買収防衛にもつながるという基本的な考え方のもと、企業価値向上に注力しているところであり、現時点で特別な防衛策は導入しておりません。
当社に対して買収提案があった場合は、取締役会は、当社の支配権の所在を決定するのは株主であるとの認識のもと、適切な対応を行います。
(4)研究開発活動
当社グループの事業は、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の各セグメントにより構成されており、それぞれの分野ごとに研究開発活動を行っております。「テクノロジーソリューション」では、次世代のサービス、サーバ、ネットワーク等に関する研究開発を行っております。「ユビキタスソリューション」では、ユビキタス社会に不可欠な製品及び技術に関する研究開発を行っております。「デバイスソリューション」では、LSI、電子部品(半導体パッケージ及び電池)等の各種デバイス製品及び関連技術に関する研究開発を行っております。
当社グループでは、ICTを活用することによってどのようにイノベーションを起こし、これまでとは違う未来を創り出していくかについての考えを「Fujitsu Technology and Service Vision」としてまとめています。研究開発からお客様へのアプローチ、そして製品・サービスの提供に至るすべての事業活動をこのビジョンにもとづいて実行しています。このビジョンの中心的な考えとして、Human Centric Innovationというコンセプトを2014年に発表しました。これは先進技術で人をエンパワーする(力を与える)ことによって、ビジネスや社会のイノベーションを生み出す新たなアプローチです。
イノベーションは、人々の創造性、情報から導かれるインテリジェンス、そしてモノやインフラのつながり、という3つの要素を組み合わせることによって実現することができます。それぞれの要素は、人、情報、インフラストラクチャーという3つの経営資源に対応しています。
当社グループの研究開発活動は、この3つの要素に対応した、以下のアクションアイテムに沿って行われており、当第1四半期における主な研究開発活動の成果は、以下のとおりです。また、当第1四半期における研究開発費の総額は、346億円です。
・日本酒造りを支援するAI予測モデルを用いて、旭酒造株式会社が製造・販売する日本酒「獺祭」の醸造を行う共同実証実験を開始しました。これは、過去に蓄積した醸造工程でのデータに基づき開発したAI予測モデルに対して、実際の日本酒の醸造工程を通じて予測情報を算出することにより、本AI予測モデルの妥当性について確認・検証を行うものです。日本酒醸造工程における最適なプロセスを支援する情報を提供することにより、日本酒造りのノウハウの見える化を行うことで「獺祭」の安定した供給・高品質の維持の実現を目指します。
・少ないデータでも学習可能なディープラーニングによる物体検出技術を開発しました。これにより、医療分野においては、医療画像から異常個所を検出する精度を向上させることが可能となり、腎生検画像からの糸球体の検出に適用した場合、従来の手法に比べ、人間と同等の見逃し率10%以下の条件下で2倍以上の精度向上が認められました。
・工場などの製造現場に設置されているIoTデバイスへのサイバー攻撃の影響を最小化するネットワーク制御技術を開発しました。IoTデバイスやネットワーク機器の接続関係を逐次、把握・管理することで、不審なふるまいをする通信を発見し、効率的に通信遮断を制御します。これにより、サイバー攻撃の影響を最小化し、IoTネットワークの安全運用を実現します。
・電子機器に多く含まれる部品の一つである磁性体の開発において、AIを活用し、エネルギー損失を最小にする形状を自動で設計する技術を開発しました。磁界をかけると磁気を帯びる性質を持つ物質である磁性体は、電子機器の電源内の電気エネルギーを蓄えるインダクタやEV用のモーターなど、様々な素子や機器で使われていますが、磁気によりエネルギーの一部が熱となって失われる磁気損失が課題でした。本技術により、コンピュータ上で磁気損失最小化のための試作開発自動化が可能となり、研究開発の大幅な効率化と、専門ノウハウなしでの形状設計の実現が期待されます。
・創薬向けの技術として、疾病の原因となるタンパク質と薬の候補となる化学物質が引き合う強さである結合強度を精度よく推定することで、新薬候補を効果的に創出する分子シミュレーション技術を開発しました。本技術では、従来技術では正確な算出が難しかった、結合強度の予測値に直結する化学物質のねじれ度合についても高精度での推定が可能となります。
(5)主要な設備
当社は、ユビキタスソリューションにおいて、2018年5月2日付で富士通クライアントコンピューティング株式会社の株式譲渡を実施したことにより、同社は当社の連結子会社から持分法適用関連会社となりました。これにより、当第1四半期連結会計期間において、同社に係る設備は当社の主要な設備ではなくなりました。