四半期報告書-第122期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)
文中における将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日(2021年12月31日)現在において判断したものです。以下の文中において、当第3四半期連結累計期間を当第3四半期累計、当第3四半期連結会計期間を当第3四半期、前年同四半期連結累計期間及び前年同四半期連結会計期間を前年同期、前連結会計年度を前年度と省略して記載しております。
なお、第1四半期連結会計期間よりセグメント情報の変更を行っています。詳細は、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりです。
(1)経営成績の分析(当第3四半期累計)
①損益の状況
売上収益は2兆5,435億円と、前年同期比173億円の増収です。この中には、欧州や北米で実施した低採算ビジネスの再編や、前年の携帯電話販売代理店事業の譲渡による減収影響が含まれており、これらの再編影響を除くと501億円の増収となりました。テクノロジーソリューションは減収となりました。5G基地局を中心としたネットワークの増加に加え為替が円安に推移した影響がありましたが、半導体や電子部品の部材調達が遅延した影響を受けました。ユビキタスでは前年のテレワーク対応需要及びGIGAスクール商談の反動などの影響で減収となりましたが、世界的な半導体需要の高まりを受けてデバイスソリューションが継続して好調に推移しました。
営業利益は1,466億円と、前年同期比90億円の減益です。前年の事業譲渡に関する反動を中心とした特殊事項による影響が76億円含まれております。
税引前四半期利益は1,584億円と、前年同期比56億円の減益となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,242億円と、北米事業再編に伴う税金費用の負担減により前年同期比98億円の増益となりました。
②セグメント情報
a テクノロジーソリューション
テクノロジーソリューションの売上収益は2兆1,509億円と、前年同期比で0.4%の減収となりました。営業利益は814億円と、前年同期比で164億円の減益です。
ソリューション・サービスの売上収益は1兆2,830億円と、前年同期比で1.1%の減収となりました。システム開発中心にサービスビジネスは上半期に引き続き堅調に推移しましたが、ハード一体型ビジネスのマイナスが影響しております。また、営業利益は通常費用の削減、採算性改善を進めたものの、減収影響に加え、成長投資の影響により減益となりました。
システムプラットフォームの売上収益は4,309億円と、前年同期比で2.5%の減収となりました。部材供給遅延に加え、前年の公共向け大口商談の反動減を受けております。営業利益は216億円と、前年同期比で33億円の増益です。収入と同様の理由により減益はありましたが、前年のビジネスモデル変革費用の負担減を含めた費用効率化により増益となりました。
海外リージョンの売上収益は5,389億円と、前年同期比で2.2%の増収となりました。この中には欧州プロダクト販売中心に部材による減収影響もありましたが、為替が円安に推移したことによる増収影響が含まれております。営業利益は167億円と、前年同期比で90億円の改善です。これまで実施してきたビジネスモデル変革の効果が現れたのに加え、欧州での事業譲渡に関する利益を含んでおります。
テクノロジーソリューション共通の営業利益は519億円のマイナスと、前年同期比で243億円の費用増となりました。社内DXや働き方変革などの自らの変革に向けた投資が含まれています。
b ユビキタスソリューション
ユビキタスソリューションの売上収益は1,774億円と、前年同期比で24.0%の減収となりました。営業利益は57億円と、前年同期比で307億円の減益です。前年の第3四半期に携帯販売代理店事業を譲渡した影響及びテレワーク需要、GIGAスクール商談の反動などにより、減収減益となりました。
c デバイスソリューション
デバイスソリューションの売上収益は2,770億円と、前年同期比で29.4%の増収となりました。営業利益は594億円と、前年同期比で381億円の増益です。半導体需要の高まりを受けて増収となったことに加え、操業改善により採算性が引き続き好転しました。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資産、負債及び資本の状況
親会社所有者帰属持分を資産で除した自己資本比率は、当第3四半期末で49.0%と前年度末から3.5%上昇しました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは1,944億円のプラスです。前年同期比で49億円の収入減となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは850億円のマイナスです。前年の事業譲渡収入の影響を受けたことと、電子部品関連やオフィス環境の刷新に対する投資を実施したこと等により、前年同期比で437億円の支出増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,652億円のマイナスです。自己株の取得を中心に前年同期比で183億円の支出増となりました。
(3)新型コロナウイルス感染症の影響に関する分析
新型コロナウイルス感染症の収束時期は不透明な状況にありますが、グローバルな経済活動は徐々に回復するものと想定しています。一方、当社グループの経営成績等に対しては、一部の国・地域や事業では新型コロナウイルス感染症の影響が継続する可能性がありますが、業績への重要な影響はないと考えています。
(4)経営方針及び対処すべき課題等
①経営方針及び対処すべき課題
当社グループは、社会における存在意義、パーパスを「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」と定めております。すべての事業活動をこのパーパス実現のための活動として取り組んでおり、そのためには、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持続的に向上させることが重要と考えております。
<市場環境>当社グループをとりまく市場環境については、従来型の基幹システムなどの既存IT市場は、緩やかに縮小していくと予測されています。一方で、レガシーシステムのリプレイスメントやモダナイゼーションへの投資は堅調に増えると予測されています。さらに、AI(人工知能)やデータ活用などデジタル化に向けた投資は、市場のニーズに加え新型コロナウイルスの感染拡大に起因する社会システムや生活様式の変化に対応するため、今後さらに拡大すると想定されています。
このような状況のもと、当社グループは、ますます需要が高まる企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を牽引し、社会課題の解決に貢献する企業への変革を目指します。そのため、取締役会および独立役員会議などの場で議論を重ね、2022年度を最終年度とする経営方針を策定し、2020年7月に発表いたしました。
<経営方針概要>当社グループは、経営方針の達成に向け「価値創造」と「自らの変革」に取り組んでおります。
「価値創造」では、お客様の事業の変革や成長に貢献する事業領域を「For Growth」と定め、これを成長分野と位置付けて、規模と収益性の両方を伸ばしていきます。また、お客様のIT基盤の安定稼働への貢献と品質向上に取り組む領域を「For Stability」と定め、一層の効率化を推し進めて利益率を高めていきます。
「価値創造」において、次の施策を進めてまいります。
グローバルビジネス戦略の再構築として、グローバル共通のポートフォリオに沿って、重点アカウントの選定やオファリングの拡充を行うとともに、リージョン間、各ビジネスグループとリージョン間の連携を一層進めてまいります。世界8か国に展開しているグローバルデリバリーセンターについては、グローバル全体でサービスデリバリーの標準化および最適化を促進するなどサービスモデルの見直しを行うとともに、効率化によるコスト競争力の強化を図ってまいります。
日本国内での課題解決力の強化として、日本の社会課題解決やデジタル化に貢献するための体制強化を進めております。2020年10月に発足した富士通Japan株式会社は、2021年4月1日より11,000人体制で本格的に始動しました。日本市場における当社グループの窓口を一本化し、コンサルティングからサポートまでをワンストップで提供してまいります。また、全国を6つのエリアに分け、各エリアに本部を設置しました。長年日本市場において様々な業種、地域のお客様のIT化を担ってきたノウハウやリソースといった強みを活かしながら、エリアの特性に応じた活動を行ってまいります。
人々のウェルビーイングを実現するため、未来の社会をデザインしその実装に必要なエコシステムの形成や最先端テクノロジーの開発までを行う未来社会&テクノロジー本部を、2021年4月1日付で、約350人体制で新設しました。すでにいくつかの自治体と、デジタルテクノロジーを活用した新たな取り組みの実用化に向けて準備を進めております。日本における取り組みで得た知見を、グローバルに展開してまいります。
お客様事業の一層の安定化にも、継続して取り組んでまいります。
当社グループ全体でソリューション・サービスのデリバリー機能を強化していくことで、生産性の改善や利益率の向上を図ってまいります。グローバルデリバリーセンターの活用拡大のため、日本固有の商習慣やニーズをオフショアに適したかたちに整備する、ジャパン・グローバルゲートウェイを2020年11月に設立しました。内製化を徹底しスキルの向上を図るとともに、標準化を行い、品質と生産性を向上させてまいります。
グループ各社に分散していた強みを集約し、当社グループの総合力を強化したスピード感のある再編を実行することで、重複投資の抑制や費用削減などを進め、コスト効果も創出いたします。2021年4月に、国内SIグループ会社11社を本体に、4社を富士通Japan株式会社に統合しました。各社の保有するデリバリー機能を、ジャパン・グローバルゲートウェイに集約するなどの機能再編を行ってまいります。
品質管理とリスクマネジメントの強化のため、2020年11月1日付で、社長直下の組織において、品質管理機能を強化した組織編成を行うとともに、全社リスクマネジメント室を新設しました。併せて、重大なシステム障害の抑止に向けて全社的な点検を実施するためのプロジェクトを立ち上げ、活動を開始しています。お客様事業の一層の安定化に向けて、お客様IT基盤の安定稼働と品質向上に取り組んでまいります。
また、情報管理や情報セキュリティに関する機能を再構築するべく、2021年10月1日付で専任のCISOを任命するとともに、情報セキュリティ本部を設置しました。情報管理に関する規程が厳格に運用されるように、監査のあり方も含めて強化を図ってまいります。
お客様のDXのベストパートナーとなることを目指し、フロント強化としてデザイン思考でお客様の潜在ニーズを掘り起こし、お客様との共感を通じてDXをリードするビジネスプロデューサーの育成を進めております。すでに、日本国内で約3,700人が育成プログラムを受講しており、さらに拡大を図ってまいります。
DXをテーマに、お客様や異なる強みを持つ企業との共創も進めております。新型コロナウイルス感染症治療薬の開発を目的とした新会社や、製造業のDXを実現するクラウドサービスを提供する新会社などを設立しました。2020年4月に始動したRidgelinez株式会社は、当社と異なる独自のDXビジネスや、人事制度などを推進しております。すでに、約300社の多様なお客様に対し、DX実現に向けたコンサルティングサービスを展開しております。
当社グループは、パーパスの実現に向け、社会課題を起点にお客様と共にその解決に取り組みながら成長していくために、今後注力していく7つの重点分野を定め、新たな事業ブランド「Fujitsu Uvance」として2021年10月に発表しました。2030年に誰も取り残されないサステナブルな世界を実現するために取り組むべき課題や求められていることについて、社会全体を業種横断のクロスインダストリーな領域「Vertical Areas」として捉え、まずは「Sustainable Manufacturing」「Consumer Experience」「Healthy Living」「Trusted Society」の4つの分野に注力してまいります。お客様のDXを支えるためのテクノロジーやソリューションを「Horizontal Areas」として整備し、「Digital Shifts」「Business Applications」「Hybrid IT」の3分野に注力してまいります。これら7つの分野に、中長期的に経営リソースを集中させ、取り組んでまいります。
一方、「自らの変革」として、お客様のDXのパートナーとなるべく、当社グループ自身のDXのため、人員、体制の強化も含めた社内変革を進めております。
データに基づいたスピーディな経営判断を行うデータドリブン経営の実現のため、プロセスやシステムの刷新を進めており、これを全社横断型で進めるOne Fujitsuの取り組みを開始しました。また、2020年7月1日に発足した全社DXプロジェクト「フジトラ」を中心に、企業カルチャーや社員のマインドまでを含めた変革を進めています。DX企業にふさわしい働き方やマインドを醸成するため、新たな人事制度やオフィス環境を整備する「Work Life
Shift」を推進しており、自身の取り組みで得た知見をベースに、お客様の働き方改革の支援にも着手しております。
これらの施策の実行にあたり、必要となる投資を積極的に行ってまいります。サービス・オファリングの開発、M&Aをはじめとした外部への投資、将来を見据えたDXビジネス拡大のための戦略的な投資に加え、高度人材の獲得や、社内人材・システムの強化のための投資を実行してまいります。
非財務面での取り組みも強化してまいります。当社グループの掲げるパーパスの実現には、当社グループ自身のサステナブルな成長が必須であり、そのためには当社グループを取り巻くすべてのステークホルダーとの信頼関係を築くことが必要と考えております。その観点から、お客様からの信頼を示す「ネット・プロモーター・スコア」と、社員との結びつきを示す「従業員エンゲージメント」を非財務指標と定めます。また、組織、カルチャーの変革の進捗を、経済産業省が推進する「DX推進指標」を用いて客観的に測定し、継続的な改善に取り組んでまいります。
財務面での経営目標として、2022年度には、本業のテクノロジーソリューションで売上収益3兆5千億円、連結営業利益率10%の達成を目指してまいります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界規模で各産業において様々な影響が出ています。一方で、新たな生活様式となり、より人を中心にデータが複雑につながっていく中、当社グループはデジタルテクノロジーと多様な業種への実績・知見を活かし、安心で利便性の高い社会づくりに貢献していきます。
②財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期累計において、当社が定める当該基本方針について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期累計において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。また、当第3四半期累計における研究開発費の総額は、769億円です。
(6)従業員数
当第3四半期末における当社の従業員数は、前年度末から4,191名増加し36,217名となりました。これは主として、2021年4月1日付で、当社の民需分野の準大手・中堅中小企業向け、自治体向け、医療、教育、地域農林水産機関向けおよび地域メディア向けソリューションビジネスならびにサービス/プロダクト関連事業を富士通Japan株式会社に承継させる吸収分割を実施したことによる従業員数の減少はあったものの、同日付で、株式会社富士通研究所および国内SI系グループ各社11社を当社に吸収合併したこと、ならびに2021年10月1日付で、富士通関西中部ネットテック株式会社、富士通九州ネットワークテクノロジーズ株式会社、株式会社富士通コンピュータテクノロジーズおよび富士通ミドルウェア株式会社を当社に吸収合併したことに伴い、テクノロジーソリューションの従業員数が増加したことによるものです。
(7)主要な設備
当社は、2021年4月1日付で、株式会社富士通研究所を当社に吸収合併しました。これにより、当第3四半期累計において、株式会社富士通研究所が保有していた設備は当社の設備となりました。また、当第3四半期累計において、新規のリース資産として以下の設備を取得しました。なお、2021年10月の「Fujitsu Uvance」の始動にあわせ、事業所名を「Fujitsu Kawasaki Tower」から「Fujitsu Uvance Kawasaki Tower」に変更しました。
なお、第1四半期連結会計期間よりセグメント情報の変更を行っています。詳細は、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりです。
(1)経営成績の分析(当第3四半期累計)
①損益の状況
(単位:億円) | ||||
2020年度 | 2021年度 | 前年同期比 | ||
第3四半期累計 | 第3四半期累計 | 増減率(%) | ||
売上収益 | 25,262 | 25,435 | 173 | 0.7 |
営業利益 | 1,557 | 1,466 | △90 | △5.8 |
(営業利益率) | (6.2%) | (5.8%) | (△0.4%) | |
税引前四半期利益 | 1,640 | 1,584 | △56 | △3.4 |
四半期利益(親会社所有者帰属) | 1,143 | 1,242 | 98 | 8.6 |
売上収益は2兆5,435億円と、前年同期比173億円の増収です。この中には、欧州や北米で実施した低採算ビジネスの再編や、前年の携帯電話販売代理店事業の譲渡による減収影響が含まれており、これらの再編影響を除くと501億円の増収となりました。テクノロジーソリューションは減収となりました。5G基地局を中心としたネットワークの増加に加え為替が円安に推移した影響がありましたが、半導体や電子部品の部材調達が遅延した影響を受けました。ユビキタスでは前年のテレワーク対応需要及びGIGAスクール商談の反動などの影響で減収となりましたが、世界的な半導体需要の高まりを受けてデバイスソリューションが継続して好調に推移しました。
営業利益は1,466億円と、前年同期比90億円の減益です。前年の事業譲渡に関する反動を中心とした特殊事項による影響が76億円含まれております。
税引前四半期利益は1,584億円と、前年同期比56億円の減益となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,242億円と、北米事業再編に伴う税金費用の負担減により前年同期比98億円の増益となりました。
②セグメント情報
(単位:億円) | |||||||
2020年度 | 2021年度 | 前年同期比 | 増減率 | ||||
第3四半期累計 | 第3四半期累計 | (%) | |||||
テクノロジーソリューション | |||||||
売上収益 | 21,590 | 21,509 | △80 | △0.4 | |||
営業利益 | 979 | 814 | △164 | △16.8 | |||
(営業利益率) | (4.5%) | (3.8%) | (△0.7%) | ||||
ソリューション・サービス | |||||||
売上収益 | 12,970 | 12,830 | △140 | △1.1 | |||
営業利益 | 994 | 949 | △45 | △4.5 | |||
(営業利益率) | (7.7%) | (7.4%) | (△0.3%) | ||||
システムプラットフォーム | |||||||
売上収益 | 4,420 | 4,309 | △111 | △2.5 | |||
営業利益 | 183 | 216 | 33 | 18.4 | |||
(営業利益率) | (4.1%) | (5.0%) | (0.9%) | ||||
海外リージョン | |||||||
売上収益 | 5,274 | 5,389 | 115 | 2.2 | |||
営業利益 | 77 | 167 | 90 | 116.1 | |||
(営業利益率) | (1.4%) | (3.1%) | (1.7%) | ||||
共通 | |||||||
売上収益 | △1,075 | △1,019 | 56 | - | |||
営業利益 | △275 | △519 | △243 | - | |||
ユビキタスソリューション | |||||||
売上収益 | 2,335 | 1,774 | △560 | △24.0 | |||
営業利益 | 364 | 57 | △307 | △84.2 | |||
(営業利益率) | (15.6%) | (3.2%) | (△12.4%) | ||||
デバイスソリューション | |||||||
売上収益 | 2,141 | 2,770 | 629 | 29.4 | |||
営業利益 | 213 | 594 | 381 | 178.6 | |||
(営業利益率) | (10.0%) | (21.5%) | (11.5%) | ||||
全社消去 | |||||||
売上収益 | △805 | △619 | 185 | - | |||
連結 | |||||||
売上収益 | 25,262 | 25,435 | 173 | 0.7 | |||
営業利益 | 1,557 | 1,466 | △90 | △5.8 | |||
(営業利益率) | (6.2%) | (5.8%) | (△0.4%) |
a テクノロジーソリューション
テクノロジーソリューションの売上収益は2兆1,509億円と、前年同期比で0.4%の減収となりました。営業利益は814億円と、前年同期比で164億円の減益です。
ソリューション・サービスの売上収益は1兆2,830億円と、前年同期比で1.1%の減収となりました。システム開発中心にサービスビジネスは上半期に引き続き堅調に推移しましたが、ハード一体型ビジネスのマイナスが影響しております。また、営業利益は通常費用の削減、採算性改善を進めたものの、減収影響に加え、成長投資の影響により減益となりました。
システムプラットフォームの売上収益は4,309億円と、前年同期比で2.5%の減収となりました。部材供給遅延に加え、前年の公共向け大口商談の反動減を受けております。営業利益は216億円と、前年同期比で33億円の増益です。収入と同様の理由により減益はありましたが、前年のビジネスモデル変革費用の負担減を含めた費用効率化により増益となりました。
海外リージョンの売上収益は5,389億円と、前年同期比で2.2%の増収となりました。この中には欧州プロダクト販売中心に部材による減収影響もありましたが、為替が円安に推移したことによる増収影響が含まれております。営業利益は167億円と、前年同期比で90億円の改善です。これまで実施してきたビジネスモデル変革の効果が現れたのに加え、欧州での事業譲渡に関する利益を含んでおります。
テクノロジーソリューション共通の営業利益は519億円のマイナスと、前年同期比で243億円の費用増となりました。社内DXや働き方変革などの自らの変革に向けた投資が含まれています。
b ユビキタスソリューション
ユビキタスソリューションの売上収益は1,774億円と、前年同期比で24.0%の減収となりました。営業利益は57億円と、前年同期比で307億円の減益です。前年の第3四半期に携帯販売代理店事業を譲渡した影響及びテレワーク需要、GIGAスクール商談の反動などにより、減収減益となりました。
c デバイスソリューション
デバイスソリューションの売上収益は2,770億円と、前年同期比で29.4%の増収となりました。営業利益は594億円と、前年同期比で381億円の増益です。半導体需要の高まりを受けて増収となったことに加え、操業改善により採算性が引き続き好転しました。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資産、負債及び資本の状況
(単位:億円) | ||||
2020年度末 | 2021年度 第3四半期末 | 前年度末比 | ||
資産 | 31,902 | 31,155 | △746 | |
負債 | 16,433 | 14,731 | △1,701 | |
資本(純資産) | 15,469 | 16,424 | 955 | |
親会社所有者帰属持分(自己資本) | 14,501 | 15,255 | 754 | |
(自己資本比率) | (45.5%) | (49.0%) | (3.5%) |
親会社所有者帰属持分を資産で除した自己資本比率は、当第3四半期末で49.0%と前年度末から3.5%上昇しました。
②キャッシュ・フローの状況
(単位:億円) | |||
2020年度 第3四半期累計 | 2021年度 第3四半期累計 | 前年同期比 | |
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,994 | 1,944 | △49 |
Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー | △412 | △850 | △437 |
Ⅰ+Ⅱ フリー・キャッシュ・フロー | 1,581 | 1,093 | △487 |
Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー | △1,468 | △1,652 | △183 |
Ⅳ 現金及び現金同等物の四半期末残高 | 4,690 | 4,276 | △413 |
営業活動によるキャッシュ・フローは1,944億円のプラスです。前年同期比で49億円の収入減となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは850億円のマイナスです。前年の事業譲渡収入の影響を受けたことと、電子部品関連やオフィス環境の刷新に対する投資を実施したこと等により、前年同期比で437億円の支出増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,652億円のマイナスです。自己株の取得を中心に前年同期比で183億円の支出増となりました。
(3)新型コロナウイルス感染症の影響に関する分析
新型コロナウイルス感染症の収束時期は不透明な状況にありますが、グローバルな経済活動は徐々に回復するものと想定しています。一方、当社グループの経営成績等に対しては、一部の国・地域や事業では新型コロナウイルス感染症の影響が継続する可能性がありますが、業績への重要な影響はないと考えています。
(4)経営方針及び対処すべき課題等
①経営方針及び対処すべき課題
当社グループは、社会における存在意義、パーパスを「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」と定めております。すべての事業活動をこのパーパス実現のための活動として取り組んでおり、そのためには、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持続的に向上させることが重要と考えております。
<市場環境>当社グループをとりまく市場環境については、従来型の基幹システムなどの既存IT市場は、緩やかに縮小していくと予測されています。一方で、レガシーシステムのリプレイスメントやモダナイゼーションへの投資は堅調に増えると予測されています。さらに、AI(人工知能)やデータ活用などデジタル化に向けた投資は、市場のニーズに加え新型コロナウイルスの感染拡大に起因する社会システムや生活様式の変化に対応するため、今後さらに拡大すると想定されています。
このような状況のもと、当社グループは、ますます需要が高まる企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を牽引し、社会課題の解決に貢献する企業への変革を目指します。そのため、取締役会および独立役員会議などの場で議論を重ね、2022年度を最終年度とする経営方針を策定し、2020年7月に発表いたしました。
<経営方針概要>当社グループは、経営方針の達成に向け「価値創造」と「自らの変革」に取り組んでおります。
「価値創造」では、お客様の事業の変革や成長に貢献する事業領域を「For Growth」と定め、これを成長分野と位置付けて、規模と収益性の両方を伸ばしていきます。また、お客様のIT基盤の安定稼働への貢献と品質向上に取り組む領域を「For Stability」と定め、一層の効率化を推し進めて利益率を高めていきます。
「価値創造」において、次の施策を進めてまいります。
グローバルビジネス戦略の再構築として、グローバル共通のポートフォリオに沿って、重点アカウントの選定やオファリングの拡充を行うとともに、リージョン間、各ビジネスグループとリージョン間の連携を一層進めてまいります。世界8か国に展開しているグローバルデリバリーセンターについては、グローバル全体でサービスデリバリーの標準化および最適化を促進するなどサービスモデルの見直しを行うとともに、効率化によるコスト競争力の強化を図ってまいります。
日本国内での課題解決力の強化として、日本の社会課題解決やデジタル化に貢献するための体制強化を進めております。2020年10月に発足した富士通Japan株式会社は、2021年4月1日より11,000人体制で本格的に始動しました。日本市場における当社グループの窓口を一本化し、コンサルティングからサポートまでをワンストップで提供してまいります。また、全国を6つのエリアに分け、各エリアに本部を設置しました。長年日本市場において様々な業種、地域のお客様のIT化を担ってきたノウハウやリソースといった強みを活かしながら、エリアの特性に応じた活動を行ってまいります。
人々のウェルビーイングを実現するため、未来の社会をデザインしその実装に必要なエコシステムの形成や最先端テクノロジーの開発までを行う未来社会&テクノロジー本部を、2021年4月1日付で、約350人体制で新設しました。すでにいくつかの自治体と、デジタルテクノロジーを活用した新たな取り組みの実用化に向けて準備を進めております。日本における取り組みで得た知見を、グローバルに展開してまいります。
お客様事業の一層の安定化にも、継続して取り組んでまいります。
当社グループ全体でソリューション・サービスのデリバリー機能を強化していくことで、生産性の改善や利益率の向上を図ってまいります。グローバルデリバリーセンターの活用拡大のため、日本固有の商習慣やニーズをオフショアに適したかたちに整備する、ジャパン・グローバルゲートウェイを2020年11月に設立しました。内製化を徹底しスキルの向上を図るとともに、標準化を行い、品質と生産性を向上させてまいります。
グループ各社に分散していた強みを集約し、当社グループの総合力を強化したスピード感のある再編を実行することで、重複投資の抑制や費用削減などを進め、コスト効果も創出いたします。2021年4月に、国内SIグループ会社11社を本体に、4社を富士通Japan株式会社に統合しました。各社の保有するデリバリー機能を、ジャパン・グローバルゲートウェイに集約するなどの機能再編を行ってまいります。
品質管理とリスクマネジメントの強化のため、2020年11月1日付で、社長直下の組織において、品質管理機能を強化した組織編成を行うとともに、全社リスクマネジメント室を新設しました。併せて、重大なシステム障害の抑止に向けて全社的な点検を実施するためのプロジェクトを立ち上げ、活動を開始しています。お客様事業の一層の安定化に向けて、お客様IT基盤の安定稼働と品質向上に取り組んでまいります。
また、情報管理や情報セキュリティに関する機能を再構築するべく、2021年10月1日付で専任のCISOを任命するとともに、情報セキュリティ本部を設置しました。情報管理に関する規程が厳格に運用されるように、監査のあり方も含めて強化を図ってまいります。
お客様のDXのベストパートナーとなることを目指し、フロント強化としてデザイン思考でお客様の潜在ニーズを掘り起こし、お客様との共感を通じてDXをリードするビジネスプロデューサーの育成を進めております。すでに、日本国内で約3,700人が育成プログラムを受講しており、さらに拡大を図ってまいります。
DXをテーマに、お客様や異なる強みを持つ企業との共創も進めております。新型コロナウイルス感染症治療薬の開発を目的とした新会社や、製造業のDXを実現するクラウドサービスを提供する新会社などを設立しました。2020年4月に始動したRidgelinez株式会社は、当社と異なる独自のDXビジネスや、人事制度などを推進しております。すでに、約300社の多様なお客様に対し、DX実現に向けたコンサルティングサービスを展開しております。
当社グループは、パーパスの実現に向け、社会課題を起点にお客様と共にその解決に取り組みながら成長していくために、今後注力していく7つの重点分野を定め、新たな事業ブランド「Fujitsu Uvance」として2021年10月に発表しました。2030年に誰も取り残されないサステナブルな世界を実現するために取り組むべき課題や求められていることについて、社会全体を業種横断のクロスインダストリーな領域「Vertical Areas」として捉え、まずは「Sustainable Manufacturing」「Consumer Experience」「Healthy Living」「Trusted Society」の4つの分野に注力してまいります。お客様のDXを支えるためのテクノロジーやソリューションを「Horizontal Areas」として整備し、「Digital Shifts」「Business Applications」「Hybrid IT」の3分野に注力してまいります。これら7つの分野に、中長期的に経営リソースを集中させ、取り組んでまいります。
一方、「自らの変革」として、お客様のDXのパートナーとなるべく、当社グループ自身のDXのため、人員、体制の強化も含めた社内変革を進めております。
データに基づいたスピーディな経営判断を行うデータドリブン経営の実現のため、プロセスやシステムの刷新を進めており、これを全社横断型で進めるOne Fujitsuの取り組みを開始しました。また、2020年7月1日に発足した全社DXプロジェクト「フジトラ」を中心に、企業カルチャーや社員のマインドまでを含めた変革を進めています。DX企業にふさわしい働き方やマインドを醸成するため、新たな人事制度やオフィス環境を整備する「Work Life
Shift」を推進しており、自身の取り組みで得た知見をベースに、お客様の働き方改革の支援にも着手しております。
これらの施策の実行にあたり、必要となる投資を積極的に行ってまいります。サービス・オファリングの開発、M&Aをはじめとした外部への投資、将来を見据えたDXビジネス拡大のための戦略的な投資に加え、高度人材の獲得や、社内人材・システムの強化のための投資を実行してまいります。
非財務面での取り組みも強化してまいります。当社グループの掲げるパーパスの実現には、当社グループ自身のサステナブルな成長が必須であり、そのためには当社グループを取り巻くすべてのステークホルダーとの信頼関係を築くことが必要と考えております。その観点から、お客様からの信頼を示す「ネット・プロモーター・スコア」と、社員との結びつきを示す「従業員エンゲージメント」を非財務指標と定めます。また、組織、カルチャーの変革の進捗を、経済産業省が推進する「DX推進指標」を用いて客観的に測定し、継続的な改善に取り組んでまいります。
財務面での経営目標として、2022年度には、本業のテクノロジーソリューションで売上収益3兆5千億円、連結営業利益率10%の達成を目指してまいります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界規模で各産業において様々な影響が出ています。一方で、新たな生活様式となり、より人を中心にデータが複雑につながっていく中、当社グループはデジタルテクノロジーと多様な業種への実績・知見を活かし、安心で利便性の高い社会づくりに貢献していきます。
②財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期累計において、当社が定める当該基本方針について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期累計において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。また、当第3四半期累計における研究開発費の総額は、769億円です。
(6)従業員数
当第3四半期末における当社の従業員数は、前年度末から4,191名増加し36,217名となりました。これは主として、2021年4月1日付で、当社の民需分野の準大手・中堅中小企業向け、自治体向け、医療、教育、地域農林水産機関向けおよび地域メディア向けソリューションビジネスならびにサービス/プロダクト関連事業を富士通Japan株式会社に承継させる吸収分割を実施したことによる従業員数の減少はあったものの、同日付で、株式会社富士通研究所および国内SI系グループ各社11社を当社に吸収合併したこと、ならびに2021年10月1日付で、富士通関西中部ネットテック株式会社、富士通九州ネットワークテクノロジーズ株式会社、株式会社富士通コンピュータテクノロジーズおよび富士通ミドルウェア株式会社を当社に吸収合併したことに伴い、テクノロジーソリューションの従業員数が増加したことによるものです。
(7)主要な設備
当社は、2021年4月1日付で、株式会社富士通研究所を当社に吸収合併しました。これにより、当第3四半期累計において、株式会社富士通研究所が保有していた設備は当社の設備となりました。また、当第3四半期累計において、新規のリース資産として以下の設備を取得しました。なお、2021年10月の「Fujitsu Uvance」の始動にあわせ、事業所名を「Fujitsu Kawasaki Tower」から「Fujitsu Uvance Kawasaki Tower」に変更しました。
会社名および事業所名(所在地) | 設備の内容 | 帳簿価格 (百万円) | |
提出会社 | Fujitsu Uvance Kawasaki Tower (川崎市幸区) | その他の設備 | 24,267 |