四半期報告書-第123期第1四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)
文中における将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日(2022年6月30日)現在において判断したものです。以下の文中において、当第1四半期連結会計期間を当第1四半期、前年同四半期連結会計期間を前年同期、前連結会計年度を前年度と省略して記載しております。
(1)経営成績の分析
①損益の状況
売上収益は8,188億円と、前年同期比168億円の増収です。この中には、部材供給遅延による減収影響278億円が含まれており、この影響を除くと447億円の増収となりました。テクノロジーソリューションは海外リージョンを中心に230億円の増収です。ユビキタスソリューションは部材供給遅延による影響を除くと前年並みでした。デバイスソリューションは昨年度から引き続き半導体需要の高まりにより231億円の増収と好調に推移しております。
営業利益は256億円と、前年同期比81億円の減益です。電子部品等の増収効果54億円やジャパン・グローバルゲートウェイ活用による開発効率化・生産性向上による増益66億円もありましたが、部材供給遅延による減収影響129億円や、買収した会社の一時的な費用を特殊事項として24億円が含まれております。
税引前四半期利益は383億円と、前年同期比12億円の減益となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は172億円と、前年同期比68億円の減益となりました。
②セグメント情報
a テクノロジーソリューション
テクノロジーソリューションの売上収益は6,822億円と、前年同期比で0.7%の減収となりました。営業利益は22億円と、前年同期比で147億円の減益です。
ソリューション・サービスの売上収益は3,884億円と、前年同期比で2.6%の減収となりました。営業利益は299億円と、前年同期比で97億円の増益です。エンタープライズ向けの増収に加え、ジャパン・グローバルゲートウェイの活用等による採算性が改善したことにより増益となりました。
システムプラットフォームの売上収益は1,327億円と、前年同期比で5.7%の減収となりました。営業利益は5億円と、前年同期比で74億円の減益です。
海外リージョンの売上収益は1,851億円と、前年同期比で4.5%の増収となりました。Europeは英国でのサービス契約の一部終息に伴い減収となりましたが、Americasとアジアパシフィックで増収となりました。営業利益は61億円の損失と、前年同期比で84億円の減益です。オーストラリアにおける買収案件でのM&A関連コストにより減益となりました。
テクノロジーソリューション共通の営業利益は219億円のマイナスと、前年同期比で86億円の費用増となりました。2024年度に稼働を予定しているOne ERPプロジェクトをはじめとした社内DXへの投資を行っております。
b ユビキタスソリューション
ユビキタスソリューションの売上収益は501億円と、前年同期比で7.0%の減収となりました。営業利益は31億円の損失と、前年同期比で47億円の減益です。部材供給遅延による減収や、プロダクトミックスの影響を受け減益となりました。
c デバイスソリューション
デバイスソリューションの売上収益は1,041億円と、前年同期比で28.5%の増収となりました。営業利益は264億円と、前年同期比で113億円の増益です。増収効果に加え、為替の影響により増益となりました。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資産、負債及び資本の状況
親会社所有者帰属持分を資産で除した自己資本比率は、当第1四半期末で50.3%と前年度末から2.6%上昇しました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは1,246億円のプラスです。前年同期比で673億円の収入減となりました。昨年度実施した拡大セルフプロデュースの加算金の支払いを行い収入減となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは584億円のマイナスです。デバイスソリューションで所要増に対応した設備投資の実施及び前年の株式売却収入の反動を受けました。
財務活動によるキャッシュ・フローは686億円のマイナスです。
(3)経営方針及び対処すべき課題等
①経営方針及び対処すべき課題
当社グループは、社会における存在意義、パーパスを「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」と定めております。すべての事業活動をこのパーパス実現のための活動として取り組んでおり、そのためには、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持続的に向上させることが重要と考えております。
<市場環境>当社グループをとりまく市場環境については、従来型の基幹システムなどの既存IT市場は、緩やかに縮小していくと予測されています。一方で、レガシーシステムのリプレイスメントやモダナイゼーションへの投資は堅調に増えると予測されています。さらに、AI(人工知能)やデータ活用などデジタル化に向けた投資は、市場のニーズに加え新型コロナウイルスの感染拡大に起因する社会システムや生活様式の変化への対応のためにも必要とされており、今後さらに拡大すると想定されています。
このような状況のもと、当社グループは、2022年度を最終年度とする経営方針に則り、ますます需要が高まる企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を牽引し社会課題の解決に貢献する企業への変革を目指して活動しております。
<経営方針概要>当社グループは、経営方針の達成に向け「価値創造」と「自らの変革」に取り組んでおります。
「価値創造」では、お客様の事業の変革や成長に貢献する事業領域を「For Growth」と定め、これを成長分野と位置付けて、規模と収益性の両方を伸ばしてまいります。同時に、お客様のIT基盤の安定稼働への貢献と品質向上に取り組む領域を「For Stability」と定め、一層の効率化を推し進めて利益率を高めてまいります。
「価値創造」において、次の施策を進めてまいります。
グローバルビジネス戦略の再構築として、引き続きグローバル共通のポートフォリオに沿って、重点アカウントの選定やオファリングの拡充を図っております。グローバルでの機動性をより高めていくため、2022年4月にリージョンの再編を行い、欧州の2リージョンを統合したEuropeリージョン、アジアとオセアニアを一体化したAsia Pacificリージョン、そしてAmericasリージョン、Japanリージョンの合計4リージョン体制としました。グローバルで市場を推進していくため、事業責任者のグローバルワイドでの最適配置にも着手しており、欧州にソリューションビジネス、北米にネットワークビジネスの責任者を配置しました。引き続き、市場性を見ながら最適な配置を行ってまいります。
日本国内での課題解決力の強化として、日本の社会課題解決やデジタル化に貢献するための体制強化を進めております。デザイン思考でお客様の潜在ニーズを掘り起こし、お客様との共感を通じてDXをリードするビジネスプロデューサー8,000人の研修を完了しており、このビジネスプロデューサーを中心に、商談スタイルを変革してまいります。持続可能なデジタル社会の実現に向け企業や自治体との連携も強化しており、引き続きエコシステムの拡大を目指し、こうした連携から得られる成果を最大限活用するとともに、社会インフラなどを中心に日本のDXを促進してまいります。
お客様事業の一層の安定化にも、継続して取り組んでまいります。
グローバルで統一された手法での開発を促進するため、サービスデリバリーの標準化及び最適化を行うとともに、効率化によるコスト競争力の強化を図っております。こうした手法で開発・デリバリーを行うグローバルデリバリーセンター(GDC)の人員数を2万人に増強するとともに、米Palantir Technologies Inc.のデータ分析プラットフォーム(Palantir社プラットフォーム)を活用した人的リソースのアサインメントの大幅効率化と有効活用を進めており、これをグローバルで統一し、活用を拡大してまいります。また、日本固有の商習慣やニーズを踏まえてデリバリーを標準化するJapan Global Gatewayと、GDCとの連携を進め、日本のお客様のグローバル化を一層後押ししてまいります。
品質管理とリスクマネジメントの強化については、Palantir社プラットフォームの活用や、AIによる分析を行い、品質低下の予兆を検知する取り組みを開始しております。リスク検知のためのダッシュボードの整備など、トラブルの未然防止の高度化を進めてまいります。また、情報管理や情報セキュリティに関する機能の強化として、専任のCISO(最高情報セキュリティ責任者)のもと情報管理に関する規程が厳格に運用されるように、監査のあり方も含めて強化を図ってまいります。
お客様のDXのベストパートナーとなるべく、お客様の事業や変革の達成をカスタマーサクセスと定義し、その実現に向けたサポートの強化に取り組んでおります。開発や営業機能を一体化した組織において、お客様サポートを一元的に担い中長期の視点でお客様とともに動くAccount General Managerを育成するとともに、社会課題の解決や、お客様のサステナブルな経営を支えるオファリングに一層注力してまいります。
2021年10月に発表した、サステナブルな世界を実現するための新事業ブランド「Fujitsu Uvance」については、本格的な始動に向け、2022年4月に1,000人規模のグローバルな専任組織を設置しました。市場をクロスインダストリーでとらえる「Vertical Areas」における「Sustainable Manufacturing」「Consumer Experience」「Healthy Living」「Trusted Society」の4分野と、お客様のDXを支えるためのテクノロジーやソリューション「Horizontal Areas」における「Digital Shift」「Business Application」「Hybrid IT」の3分野、合計7つを重点分野に定めております。これら7つの分野に対して、中長期的に経営リソースを集中させ、ソリューションの開発や提供体制の整備を進めてまいります。
一方、「自らの変革」として、当社グループ自身のDXのため、人員、体制の強化も含めた社内変革を進めております。
データドリブン経営の強化策として、データを活用してグループ全体の経営を高度化するOne Fujitsuプログラムを、全リージョン横断で推進しております。その一環として、2022年4月にOneCRMを始動させ、パイプラインマネジメントの統合とグローバルで統一した管理手法の導入を行いました。同じく4月に、グループ全体でERPを統合するOne ERP+が、英国及びアイルランドで先行稼働いたしました。グローバルでの稼働に向けて、引き続き準備を進めてまいります。また、全社DXプロジェクト「フジトラ」を中心に、企業カルチャーや社員のマインドまでを含めた全社員参加型の変革を進めております。グローバルで人材の流動性を高めるため、ポスティング制度の適用範囲拡大や、パーパス実現への貢献を評価するグローバル共通の評価制度「Connect」の幹部社員への適用及びジョブ型人事制度の一般社員への拡大などを進めてまいります。DX企業にふさわしい働き方やマインドを醸成する「Work Life Shift」では、従業員サーベイの結果に基づくデータ駆動型の施策を、グローバルで展開してまいります。また、自身の取り組みで得た知見をベースに、お客様の働き方改革も支援してもまいります。
施策の実行にあたり、必要となる投資を積極的に行ってまいります。サービス・オファリングの開発やM&Aをはじめとする外部への投資、将来を見据えたDXビジネス拡大のための戦略的な投資に加え、高度人材の獲得や社内の人材・システムの強化のための投資を実行してまいります。
非財務面での取り組みも強化してまいります。当社グループの掲げるパーパスの実現には、当社グループ自身のサステナブルな成長が必須であり、そのためには当社グループを取り巻くあらゆるステークホルダーとの信頼関係を築くことが必要と考えております。その観点から、お客様からの信頼を示す「ネット・プロモーター・スコア」、社員との結びつきを示す「従業員エンゲージメント」、そして、組織、カルチャーの変革の進捗を経済産業省が推進する「DX推進指標」を非財務分野における評価指標と定め、改善に取り組んでまいります。
財務面での経営目標として、2022年度には、テクノロジーソリューションで売上収益3兆2千億円、特殊事項を除いた本業で連結営業利益率10%の達成を目指してまいります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大においては、テレワークを中心とする新たな働き方へとシフトし、これをグローバルで継続しております。ビジネス面では、一部市場において回復の遅れが見られますが、DXへの需要が高い成長市場に注力してまいります。また、昨今のウクライナ情勢については、お客様へのサービス提供を安定的に継続するため、ロシアの当社拠点で提供していたサービスを順次他の拠点に移管するとともに、国連難民高等弁務官事務所への寄付や、社員によるボランティア活動を行っております。当社グループは、引き続き状況に応じて迅速な意思決定を行いながら、デジタルテクノロジーと、これまで培った多様な業種への実績・知見を活かし、安心で利便性の高い社会づくりに貢献していきます。
②財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第1四半期において、当社が定める当該基本方針について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当社グループでは、人・企業・地域・もの・データなどを安心・安全につなぎ、様々なデータを活用して起こりうる未来を予測することで問題を未然に予防し、人々をエンパワーし続けることが、サステナブルな世界の実現のために不可欠だと考えています。
そのために、ヒューマンセントリックなテクノロジーを開発・提供することを通して、直面する社会課題(イシュー)の解決に貢献し、世界の持続可能性に大きなインパクトを与えることを重要な技術戦略に位置付けております。
そして、デジタル技術とデータを駆使して革新的なサービスやビジネスプロセスの変革をもたらす、DX(デジタルトランスフォーメーション)企業として、イノベーションが絶えず生まれるために必要な先端テクノロジー開発に取り組んでおります。
当社グループの事業は、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の各セグメントにより構成されており、上記の研究開発方針のもと、それぞれの分野ごとに研究開発活動を行っております。「テクノロジーソリューション」では、次世代のサービス、サーバ、ネットワーク等に関する研究開発を行っております。「デバイスソリューション」では、電子部品(半導体パッケージ及び電池)等の各種デバイス製品及び関連技術に関する研究開発を行っております。また、当第1四半期における研究開発費の総額は、245億円です。
(1)経営成績の分析
①損益の状況
(単位:億円) | ||||
2021年度 第1四半期 | 2022年度 第1四半期 | 前年同期比 | ||
増減率(%) | ||||
売上収益 | 8,019 | 8,188 | 168 | 2.1 |
営業利益 | 337 | 256 | △81 | △24.1 |
(営業利益率) | (4.2%) | (3.1%) | (△1.1%) | |
税引前四半期利益 | 395 | 383 | △12 | △3.2 |
四半期利益(親会社所有者帰属) | 241 | 172 | △68 | △28.5 |
売上収益は8,188億円と、前年同期比168億円の増収です。この中には、部材供給遅延による減収影響278億円が含まれており、この影響を除くと447億円の増収となりました。テクノロジーソリューションは海外リージョンを中心に230億円の増収です。ユビキタスソリューションは部材供給遅延による影響を除くと前年並みでした。デバイスソリューションは昨年度から引き続き半導体需要の高まりにより231億円の増収と好調に推移しております。
営業利益は256億円と、前年同期比81億円の減益です。電子部品等の増収効果54億円やジャパン・グローバルゲートウェイ活用による開発効率化・生産性向上による増益66億円もありましたが、部材供給遅延による減収影響129億円や、買収した会社の一時的な費用を特殊事項として24億円が含まれております。
税引前四半期利益は383億円と、前年同期比12億円の減益となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は172億円と、前年同期比68億円の減益となりました。
②セグメント情報
(単位:億円) | ||||||
2021年度 第1四半期 | 2022年度 第1四半期 | 前年同期比 | 増減率 (%) | |||
テクノロジーソリューション | ||||||
売上収益 | 6,870 | 6,822 | △48 | △0.7 | ||
営業利益 | 170 | 22 | △147 | △86.5 | ||
(営業利益率) | (2.5%) | (0.3%) | (△2.2%) | |||
ソリューション・サービス | ||||||
売上収益 | 3,986 | 3,884 | △102 | △2.6 | ||
営業利益 | 201 | 299 | 97 | 48.7 | ||
(営業利益率) | (5.0%) | (7.7%) | (2.7%) | |||
システムプラットフォーム | ||||||
売上収益 | 1,408 | 1,327 | △80 | △5.7 | ||
営業利益 | 79 | 5 | △74 | △93.4 | ||
(営業利益率) | (5.7%) | (0.4%) | (△5.3%) | |||
海外リージョン | ||||||
売上収益 | 1,772 | 1,851 | 79 | 4.5 | ||
営業利益 | 22 | △61 | △84 | - | ||
(営業利益率) | (1.3%) | (△3.3%) | (△4.6%) | |||
共通 | ||||||
売上収益 | △296 | △241 | 54 | - | ||
営業利益 | △133 | △219 | △86 | - | ||
ユビキタスソリューション | ||||||
売上収益 | 538 | 501 | △37 | △7.0 | ||
営業利益 | 16 | △31 | △47 | - | ||
(営業利益率) | (3.0%) | (△6.2%) | (△9.2%) | |||
デバイスソリューション | ||||||
売上収益 | 810 | 1,041 | 231 | 28.5 | ||
営業利益 | 151 | 264 | 113 | 74.9 | ||
(営業利益率) | (18.6%) | (25.4%) | (6.8%) | |||
全社消去 | ||||||
売上収益 | △200 | △176 | 23 | - | ||
連結 | ||||||
売上収益 | 8,019 | 8,188 | 168 | 2.1 | ||
営業利益 | 337 | 256 | △81 | △24.1 | ||
(営業利益率) | (4.2%) | (3.1%) | (△1.1%) |
a テクノロジーソリューション
テクノロジーソリューションの売上収益は6,822億円と、前年同期比で0.7%の減収となりました。営業利益は22億円と、前年同期比で147億円の減益です。
ソリューション・サービスの売上収益は3,884億円と、前年同期比で2.6%の減収となりました。営業利益は299億円と、前年同期比で97億円の増益です。エンタープライズ向けの増収に加え、ジャパン・グローバルゲートウェイの活用等による採算性が改善したことにより増益となりました。
システムプラットフォームの売上収益は1,327億円と、前年同期比で5.7%の減収となりました。営業利益は5億円と、前年同期比で74億円の減益です。
海外リージョンの売上収益は1,851億円と、前年同期比で4.5%の増収となりました。Europeは英国でのサービス契約の一部終息に伴い減収となりましたが、Americasとアジアパシフィックで増収となりました。営業利益は61億円の損失と、前年同期比で84億円の減益です。オーストラリアにおける買収案件でのM&A関連コストにより減益となりました。
テクノロジーソリューション共通の営業利益は219億円のマイナスと、前年同期比で86億円の費用増となりました。2024年度に稼働を予定しているOne ERPプロジェクトをはじめとした社内DXへの投資を行っております。
b ユビキタスソリューション
ユビキタスソリューションの売上収益は501億円と、前年同期比で7.0%の減収となりました。営業利益は31億円の損失と、前年同期比で47億円の減益です。部材供給遅延による減収や、プロダクトミックスの影響を受け減益となりました。
c デバイスソリューション
デバイスソリューションの売上収益は1,041億円と、前年同期比で28.5%の増収となりました。営業利益は264億円と、前年同期比で113億円の増益です。増収効果に加え、為替の影響により増益となりました。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資産、負債及び資本の状況
(単位:億円) | ||||
2021年度末 | 2022年度 第1四半期末 | 前年度末比 | ||
資産 | 33,318 | 31,874 | △1,443 | |
負債 | 16,160 | 14,495 | △1,664 | |
資本(純資産) | 17,157 | 17,378 | 221 | |
親会社所有者帰属持分(自己資本) | 15,907 | 16,048 | 141 | |
(自己資本比率) | (47.7%) | (50.3%) | (2.6%) |
親会社所有者帰属持分を資産で除した自己資本比率は、当第1四半期末で50.3%と前年度末から2.6%上昇しました。
②キャッシュ・フローの状況
(単位:億円) | |||
2021年度 第1四半期 | 2022年度 第1四半期 | 前年同期比 | |
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,920 | 1,246 | △673 |
Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー | △290 | △584 | △294 |
Ⅰ+Ⅱ フリー・キャッシュ・フロー | 1,629 | 661 | △968 |
Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー | △689 | △686 | 3 |
Ⅳ 現金及び現金同等物の四半期末残高 | 5,765 | 4,904 | △860 |
営業活動によるキャッシュ・フローは1,246億円のプラスです。前年同期比で673億円の収入減となりました。昨年度実施した拡大セルフプロデュースの加算金の支払いを行い収入減となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは584億円のマイナスです。デバイスソリューションで所要増に対応した設備投資の実施及び前年の株式売却収入の反動を受けました。
財務活動によるキャッシュ・フローは686億円のマイナスです。
(3)経営方針及び対処すべき課題等
①経営方針及び対処すべき課題
当社グループは、社会における存在意義、パーパスを「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」と定めております。すべての事業活動をこのパーパス実現のための活動として取り組んでおり、そのためには、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持続的に向上させることが重要と考えております。
<市場環境>当社グループをとりまく市場環境については、従来型の基幹システムなどの既存IT市場は、緩やかに縮小していくと予測されています。一方で、レガシーシステムのリプレイスメントやモダナイゼーションへの投資は堅調に増えると予測されています。さらに、AI(人工知能)やデータ活用などデジタル化に向けた投資は、市場のニーズに加え新型コロナウイルスの感染拡大に起因する社会システムや生活様式の変化への対応のためにも必要とされており、今後さらに拡大すると想定されています。
このような状況のもと、当社グループは、2022年度を最終年度とする経営方針に則り、ますます需要が高まる企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を牽引し社会課題の解決に貢献する企業への変革を目指して活動しております。
<経営方針概要>当社グループは、経営方針の達成に向け「価値創造」と「自らの変革」に取り組んでおります。
「価値創造」では、お客様の事業の変革や成長に貢献する事業領域を「For Growth」と定め、これを成長分野と位置付けて、規模と収益性の両方を伸ばしてまいります。同時に、お客様のIT基盤の安定稼働への貢献と品質向上に取り組む領域を「For Stability」と定め、一層の効率化を推し進めて利益率を高めてまいります。
「価値創造」において、次の施策を進めてまいります。
グローバルビジネス戦略の再構築として、引き続きグローバル共通のポートフォリオに沿って、重点アカウントの選定やオファリングの拡充を図っております。グローバルでの機動性をより高めていくため、2022年4月にリージョンの再編を行い、欧州の2リージョンを統合したEuropeリージョン、アジアとオセアニアを一体化したAsia Pacificリージョン、そしてAmericasリージョン、Japanリージョンの合計4リージョン体制としました。グローバルで市場を推進していくため、事業責任者のグローバルワイドでの最適配置にも着手しており、欧州にソリューションビジネス、北米にネットワークビジネスの責任者を配置しました。引き続き、市場性を見ながら最適な配置を行ってまいります。
日本国内での課題解決力の強化として、日本の社会課題解決やデジタル化に貢献するための体制強化を進めております。デザイン思考でお客様の潜在ニーズを掘り起こし、お客様との共感を通じてDXをリードするビジネスプロデューサー8,000人の研修を完了しており、このビジネスプロデューサーを中心に、商談スタイルを変革してまいります。持続可能なデジタル社会の実現に向け企業や自治体との連携も強化しており、引き続きエコシステムの拡大を目指し、こうした連携から得られる成果を最大限活用するとともに、社会インフラなどを中心に日本のDXを促進してまいります。
お客様事業の一層の安定化にも、継続して取り組んでまいります。
グローバルで統一された手法での開発を促進するため、サービスデリバリーの標準化及び最適化を行うとともに、効率化によるコスト競争力の強化を図っております。こうした手法で開発・デリバリーを行うグローバルデリバリーセンター(GDC)の人員数を2万人に増強するとともに、米Palantir Technologies Inc.のデータ分析プラットフォーム(Palantir社プラットフォーム)を活用した人的リソースのアサインメントの大幅効率化と有効活用を進めており、これをグローバルで統一し、活用を拡大してまいります。また、日本固有の商習慣やニーズを踏まえてデリバリーを標準化するJapan Global Gatewayと、GDCとの連携を進め、日本のお客様のグローバル化を一層後押ししてまいります。
品質管理とリスクマネジメントの強化については、Palantir社プラットフォームの活用や、AIによる分析を行い、品質低下の予兆を検知する取り組みを開始しております。リスク検知のためのダッシュボードの整備など、トラブルの未然防止の高度化を進めてまいります。また、情報管理や情報セキュリティに関する機能の強化として、専任のCISO(最高情報セキュリティ責任者)のもと情報管理に関する規程が厳格に運用されるように、監査のあり方も含めて強化を図ってまいります。
お客様のDXのベストパートナーとなるべく、お客様の事業や変革の達成をカスタマーサクセスと定義し、その実現に向けたサポートの強化に取り組んでおります。開発や営業機能を一体化した組織において、お客様サポートを一元的に担い中長期の視点でお客様とともに動くAccount General Managerを育成するとともに、社会課題の解決や、お客様のサステナブルな経営を支えるオファリングに一層注力してまいります。
2021年10月に発表した、サステナブルな世界を実現するための新事業ブランド「Fujitsu Uvance」については、本格的な始動に向け、2022年4月に1,000人規模のグローバルな専任組織を設置しました。市場をクロスインダストリーでとらえる「Vertical Areas」における「Sustainable Manufacturing」「Consumer Experience」「Healthy Living」「Trusted Society」の4分野と、お客様のDXを支えるためのテクノロジーやソリューション「Horizontal Areas」における「Digital Shift」「Business Application」「Hybrid IT」の3分野、合計7つを重点分野に定めております。これら7つの分野に対して、中長期的に経営リソースを集中させ、ソリューションの開発や提供体制の整備を進めてまいります。
一方、「自らの変革」として、当社グループ自身のDXのため、人員、体制の強化も含めた社内変革を進めております。
データドリブン経営の強化策として、データを活用してグループ全体の経営を高度化するOne Fujitsuプログラムを、全リージョン横断で推進しております。その一環として、2022年4月にOneCRMを始動させ、パイプラインマネジメントの統合とグローバルで統一した管理手法の導入を行いました。同じく4月に、グループ全体でERPを統合するOne ERP+が、英国及びアイルランドで先行稼働いたしました。グローバルでの稼働に向けて、引き続き準備を進めてまいります。また、全社DXプロジェクト「フジトラ」を中心に、企業カルチャーや社員のマインドまでを含めた全社員参加型の変革を進めております。グローバルで人材の流動性を高めるため、ポスティング制度の適用範囲拡大や、パーパス実現への貢献を評価するグローバル共通の評価制度「Connect」の幹部社員への適用及びジョブ型人事制度の一般社員への拡大などを進めてまいります。DX企業にふさわしい働き方やマインドを醸成する「Work Life Shift」では、従業員サーベイの結果に基づくデータ駆動型の施策を、グローバルで展開してまいります。また、自身の取り組みで得た知見をベースに、お客様の働き方改革も支援してもまいります。
施策の実行にあたり、必要となる投資を積極的に行ってまいります。サービス・オファリングの開発やM&Aをはじめとする外部への投資、将来を見据えたDXビジネス拡大のための戦略的な投資に加え、高度人材の獲得や社内の人材・システムの強化のための投資を実行してまいります。
非財務面での取り組みも強化してまいります。当社グループの掲げるパーパスの実現には、当社グループ自身のサステナブルな成長が必須であり、そのためには当社グループを取り巻くあらゆるステークホルダーとの信頼関係を築くことが必要と考えております。その観点から、お客様からの信頼を示す「ネット・プロモーター・スコア」、社員との結びつきを示す「従業員エンゲージメント」、そして、組織、カルチャーの変革の進捗を経済産業省が推進する「DX推進指標」を非財務分野における評価指標と定め、改善に取り組んでまいります。
財務面での経営目標として、2022年度には、テクノロジーソリューションで売上収益3兆2千億円、特殊事項を除いた本業で連結営業利益率10%の達成を目指してまいります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大においては、テレワークを中心とする新たな働き方へとシフトし、これをグローバルで継続しております。ビジネス面では、一部市場において回復の遅れが見られますが、DXへの需要が高い成長市場に注力してまいります。また、昨今のウクライナ情勢については、お客様へのサービス提供を安定的に継続するため、ロシアの当社拠点で提供していたサービスを順次他の拠点に移管するとともに、国連難民高等弁務官事務所への寄付や、社員によるボランティア活動を行っております。当社グループは、引き続き状況に応じて迅速な意思決定を行いながら、デジタルテクノロジーと、これまで培った多様な業種への実績・知見を活かし、安心で利便性の高い社会づくりに貢献していきます。
②財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第1四半期において、当社が定める当該基本方針について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当社グループでは、人・企業・地域・もの・データなどを安心・安全につなぎ、様々なデータを活用して起こりうる未来を予測することで問題を未然に予防し、人々をエンパワーし続けることが、サステナブルな世界の実現のために不可欠だと考えています。
そのために、ヒューマンセントリックなテクノロジーを開発・提供することを通して、直面する社会課題(イシュー)の解決に貢献し、世界の持続可能性に大きなインパクトを与えることを重要な技術戦略に位置付けております。
そして、デジタル技術とデータを駆使して革新的なサービスやビジネスプロセスの変革をもたらす、DX(デジタルトランスフォーメーション)企業として、イノベーションが絶えず生まれるために必要な先端テクノロジー開発に取り組んでおります。
当社グループの事業は、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の各セグメントにより構成されており、上記の研究開発方針のもと、それぞれの分野ごとに研究開発活動を行っております。「テクノロジーソリューション」では、次世代のサービス、サーバ、ネットワーク等に関する研究開発を行っております。「デバイスソリューション」では、電子部品(半導体パッケージ及び電池)等の各種デバイス製品及び関連技術に関する研究開発を行っております。また、当第1四半期における研究開発費の総額は、245億円です。