四半期報告書-第120期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/02/05 16:01
【資料】
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【項目】
19項目
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日(2019年12月31日)現在において判断したものです。
以下の文中において、当第3四半期連結累計期間を当第3四半期累計、当第3四半期連結会計期間を当第3四半期、前年同四半期連結累計期間及び前年同四半期連結会計期間を前年同期、前連結会計年度を前年度と記載しております。
(1)経営成績の分析(当第3四半期累計)
①損益の状況
(単位:億円)
2018年度2019年度前年同期比
第3四半期累計第3四半期累計増減率(%)
売上収益28,11827,520△598△2.1
営業利益6651,21454982.6
(営業利益率)(2.4%)(4.4%)(2.0%)
税引前四半期利益9131,34543247.3
四半期利益(親会社所有者帰属)51499948494.1

売上収益は27,520億円と、前年同期比598億円の減収となりました。国内サービスとユビキタスが大きく伸長しましたが、デバイス事業の再編や為替が円高に推移したことなどによる影響で前年同期から減収です。
営業利益は1,214億円と、前年同期比549億円の増益となりました。前年同期に計上した退職給付制度変更に関する利益や事業譲渡益の反動減がありましたが、国内サービスなどで増収効果や採算性の改善がみられ、全体では増益です。
税引前四半期利益は1,345億円と、前年同期比432億円の増益となりました。前年同期に計上したPC事業譲渡に伴う持分法投資利益の反動減がありましたが、営業利益が増益となったことなどにより、全体では増益です。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は999億円と、税引前四半期利益の増加などにより前年同期比484億円の増益となりました。
②セグメント情報
(単位:億円)
2018年度2019年度前年同期比
第3四半期累計第3四半期累計増減率(%)
売上収益テクノロジーソリューション21,73422,1203851.8
ユビキタスソリューション3,6844,25657215.5
デバイスソリューション3,9722,462△1,509△38.0
その他/消去又は全社△1,272△1,319△46-
連結計28,11827,520△598△2.1

営業利益テクノロジーソリューション6681,525857128.3
ユビキタスソリューション△206278485-
デバイスソリューション49△60△109-
その他/消去又は全社154△529△684-
連結計6651,21454982.6

a テクノロジーソリューション
売上収益は22,120億円と、前年同期比1.8%の増収となりました。国内サービスが大きく伸長し、増収です。
営業利益は1,525億円と、前年同期比857億円の増益となりました。国内サービスの増収効果に加えて、サービス、システムプラットフォームともに採算性が好転し、増益です。
b ユビキタスソリューション
売上収益は4,256億円と、前年同期比15.5%の増収となりました。為替が円高に推移したことによる減収影響がありましたが、国内を中心にWindows7のサポート期限終了に対応した買換え需要に支えられ、増収となりました。
営業利益は278億円と、前年同期比485億円の増益となりました。増収影響に加え、メモリ等のキーデバイスの市況価格低下によるコストダウン効果により採算性が好転し、増益です。
c デバイスソリューション
売上収益は2,462億円と、前年同期比38.0%の減収となりました。前年同期に売却した半導体販売子会社及び電子部品事業子会社が連結対象外となった影響などにより、減収です。
営業利益は60億円の損失と、前年同期比109億円の減益となりました。国内工場の再編費用の計上に加えて、為替が円高に推移した影響などにより、減益です。
d その他及び消去又は全社
営業利益は529億円の損失と、前年同期比684億円の悪化となりました。前年同期に計上した退職給付制度の変更やPC事業の売却による一時的な利益がなくなった影響などによります。

(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資産、負債及び資本の状況
(単位:億円)
2018年度末2019年度
第3四半期末
前年度末比
資産31,04831,149100
負債18,51217,989△523
資本(純資産)12,53613,160623
親会社所有者帰属持分(自己資本)11,32012,089769
(自己資本比率)(36.5%)(38.8%)(2.3%)

親会社所有者帰属持分を資産で除した自己資本比率は、当第3四半期末で38.8%と前年度末から2.3%上昇しました。
②キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)
2018年度
第3四半期累計
2019年度
第3四半期累計
前年同期比
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー1632,1672,004
Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー171△445△616
Ⅰ+Ⅱ フリー・キャッシュ・フロー3341,7221,387
Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー△1,023△834189
Ⅳ 現金及び現金同等物の四半期末残高3,8355,0511,215

営業活動によるキャッシュ・フローは2,167億円のプラスと、前年同期比2,004億円の収入増となりました。前年度第4四半期の売上水準が高くその売掛金の回収が進んだことに加え、今期の売上水準も高く推移し、プラスとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは445億円のマイナスと、前年同期比616億円の収入減となりました。当期は国内サービスを中心に前年とほぼ同水準の投資を行いましたが、前年同期に計上した持ち合い株式の売却や中国関連会社の譲渡に関する収入がなくなったことなどによる影響により、マイナスとなりました。
(3)経営方針及び対処すべき課題等
①経営方針及び対処すべき課題
当社グループは、常に変革に挑戦し続け、快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献し、豊かで夢のある未来を世界中の人々に提供することを企業理念としております。そのためには、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持続的に向上させることが重要と考えております。
<市場環境>当社グループをとりまく市場環境については、従来型の基幹システムなどの既存IT市場は、今後緩やかに縮小していくと予測されています。一方で、レガシーシステムのリプレイスメントや、効率化のためのモダナイゼーション(注1)への投資は堅調に増えると予測されています。さらに、AI(人工知能)やデータ活用、IoT(モノのインターネット)など、デジタル化に向けた投資は、今後急速に拡大すると想定されています。
このような状況のもと、当社グループは、ますます需要が高まる企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)(注2)を牽引し、社会課題の解決に貢献する「DX企業」への変革を目指します。そのため、取締役会および独立役員会議などの場で議論を重ねて新たな経営方針を策定し、2019年9月に発表いたしました。
<経営方針概要>今後は、AI、データ活用などのテクノロジーをベースとしたDXビジネスと、DXに必要なクラウド移行などのモダナイゼーションとを合わせて「デジタル領域」とし、これを成長させていきます。
デジタル領域においては、次の施策を進めてまいります。
DXビジネスを加速するため、これに特化したコンサルティング会社を設立します。経営戦略および各業種に特化したコンサル、ソリューションをベースとしたコンサルなど、様々な切り口で企画・提案を行い、社内外から最適なサービス・製品を用いてテクノロジーを実装し、ワンストップで提供してまいります。
そして、DXを支えるテクノロジーとして、コンピューティング、AI、5Gネットワーク、サイバーセキュリティ、クラウド、データマネジメント、IoTの7つを重点技術領域として定め、リソースを集中し強化してまいります。また、テクノロジーの強化に加え、ビジネス機会創出と新事業を推進するための投資を実行します。コーポレートベンチャーキャピタルやベンチャー企業への投資、M&Aへの投資も適宜行ってまいります。
併せて、当社グループのDXを加速するため、社内プロセスや情報インフラの刷新を行い、社内改革を実行してまいります。
当社グループが強い顧客基盤を持つ従来型ITビジネスについては、一層の効率化を推し進めるとともに、商談機会を確実に獲得することで、利益を確保してまいります。
海外ビジネスについては、成長軌道に載せるためのビジネスモデル変革に引き続き取り組んでおり、特に欧州は、NWE(Northern & Western Europe)およびCEE(Central & Eastern Europe)の2リージョンに分け、それぞれに責任者を置いて機動的にビジネスを展開してまいります。
また、非財務面での取り組みも強化してまいります。当社グループは、SDGs(Sustainable Development Goals)(注3)を経営の中心に据えて取り組んでおります。これまでも責任ある企業として、世界各地域において、それぞれテーマに沿って活動しておりましたが、今後は、グローバルに統一したテーマのもと、活動を進めてまいります。人権や多様な価値観、心身ともに健康であることを目指すウェルビーイング、地球環境、倫理・コンプライアンス、コミュニティ活動などのカテゴリーごとに目標を定め、社会課題の解決に取り組むとともに、グローバルに持続的な成長を目指してまいります。
上記の施策を推し進め、グローバルでの競争力を高めながら、DX企業への積極的な変革に取り組んでまいります。中期経営目標として、2022年度には、本業のテクノロジーソリューションにその他全社消去を加味した値として、売上高3兆5千億円、連結営業利益率10%の達成を目指してまいります。
<コンプライアンスへの取り組み>なお、当社グループは、企業価値の維持・向上の観点から、コンプライアンスを含む内部統制体制の構築および運用を経営の最重要事項の一つと認識し、FUJITSU Wayの「行動規範」に則り、その徹底を図っております。コンプライアンスに関する取り組みの一層の強化も対処すべき課題と位置づけ、今後も、継続して取り組んでまいります。
(注)1.現状の資産を活用しながら、変化対応力を備え、先進技術を素早く活用できるシステムへ変革していくこと。
2.デジタル技術とデータを駆使して革新的なサービスやビジネスプロセスの変革をもらたすもの。
3.2015年に国連で採択された国際社会が環境や社会、経済活動を未来に向けて持続可能とするための世界共通の開発目標。
②財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、企業価値を向上させることが、結果として買収防衛にもつながるという基本的な考え方のもと、企業価値向上に注力しているところであり、現時点で特別な防衛策は導入しておりません。
当社に対して買収提案があった場合は、取締役会は、当社の支配権の所在を決定するのは株主であるとの認識のもと、適切な対応を行います。
(4)研究開発活動
当社グループでは、デジタルテクノロジーにより、「人」「企業」「システム」「プロセス」「データ」などが複雑かつ無限につながる社会において、あらゆる局面で求められる信頼「Trust」を確保することを重要な技術戦略に位置付けております。そして、このデジタル時代のTrustの実現と共に、デジタル技術とデータを駆使して革新的なサービスやビジネスプロセスの変革をもたらす、DX(デジタルトランスフォーメーション)企業を目指し、イノベーションが絶えず生まれるために必要な先端テクノロジー開発に取り組んでおります。
当社グループの事業は、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の各セグメントにより構成されており、上記の研究開発方針のもと、それぞれの分野ごとに研究開発活動を行っております。「テクノロジーソリューション」では、次世代のサービス、サーバ、ネットワーク等に関する研究開発を行っております。「ユビキタスソリューション」では、ユビキタス社会に不可欠な製品及び技術に関する研究開発を行っております。「デバイスソリューション」では、LSI、電子部品(半導体パッケージ及び電池)等の各種デバイス製品及び関連技術に関する研究開発を行っております。また、当第3四半期累計における研究開発費の総額は、904億円です。
(5)従業員数
当社の従業員数は、前年度末から1,738名増加し、当第1四半期末において33,565名となりました。これは、テクノロジーソリューションにおいて、2019年4月1日付けで富士通エフ・アイ・ピー株式会社のデータセンターサービス事業を当社に承継させる吸収分割を実施したことなどによるものです。また、当第3四半期末における当社の従業員数は32,645名となりました。
なお、従業員数は就業人員(当社グループ(当社及び連結子会社)からグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)です。
(6)主要な設備
当社は、2019年4月1日付けで富士通エフ・アイ・ピー株式会社(以下、FIP)のデータセンターサービス事業を当社に承継させる吸収分割を実施しました。これにより、FIPが保有していたアウトソーシング設備は当社の設備となりました。
また、当社の国内連結子会社である富士通セミコンダクター株式会社(以下、FSL)は、2019年10月1日付けでユナイテッド・マイクロエレクトロニクス・コーポレーション(以下、UMC)との合弁運営の300mm半導体製造会社である三重富士通セミコンダクター株式会社(以下、MIFS)の全株式をUMCに譲渡しました。これにより、当第3四半期累計において、MIFSが保有していた半導体製造設備は当社グループにおける主要な設備ではなくなりました。
なお、IFRS第16号の適用による影響については、「第4 経理の状況 要約四半期連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しています。