四半期報告書-第122期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)

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2021/08/03 15:09
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43項目
文中における将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日(2021年6月30日)現在において判断したものです。以下の文中において、当第1四半期連結会計期間を当第1四半期、前年同四半期連結会計期間を前年同期、前連結会計年度を前年度と省略して記載しております。
なお、当第1四半期よりセグメント情報の変更を行っています。詳細は、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりです。
(1)経営成績の分析(当第1四半期)
①損益の状況
(単位:億円)
2020年度2021年度前年同期比
第1四半期第1四半期増減率(%)
売上収益8,0278,019△8△0.1
営業利益22233711451.5
(営業利益率)(2.8%)(4.2%)(1.4%)
税引前四半期利益25939513652.6
四半期利益(親会社所有者帰属)1812415933.0

売上収益は8,019億円と、前年同期比8億円の減収です。この中には、欧州や北米で実施した低採算ビジネスの再編や、前年の携帯電話販売代理店事業の譲渡による減収影響が131億円含まれており、これらの再編影響を除くと123億円の増収となりました。ユビキタスが前年のテレワーク対応需要の反動などの影響で減収となりましたが、テクノロジーソリューションが国内サービスや5G基地局などで増収となったことに加え、世界的な半導体需要の高まりを受けて電子部品が好調に推移しました。
営業利益は337億円と、前年同期比114億円の増益です。ユビキタスが前年のテレワーク需要の反動で減益となりましたが、ソリューション/SIや運用・保守サービスを中心に採算性の改善が進んだほか、5G基地局や電子部品の増収効果などが寄与しました。
税引前四半期利益は395億円と、営業利益の増加などにより前年同期比136億円の増益となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は241億円と、前年同期比59億円の増益となりました。
②セグメント情報
(単位:億円)
2020年度
第1四半期
2021年度
第1四半期
前年同期比増減率
(%)
テクノロジーソリューション
売上収益6,8356,870340.5
営業利益1331703627.2
(営業利益率)(2.0%)(2.5%)(0.5%)
ソリューション・サービス
売上収益3,9413,986451.1
営業利益186201148.0
(営業利益率)(4.7%)(5.0%)(0.3%)
システムプラットフォーム
売上収益1,4691,408△61△4.2
営業利益49793060.3
(営業利益率)(3.4%)(5.7%)(2.3%)
海外リージョン
売上収益1,7101,772613.6
営業利益△372260-
(営業利益率)(△2.2%)(1.3%)(3.5%)
共通
売上収益△286△296△10-
営業利益△64△133△69-
ユビキタスソリューション
売上収益726538△188△25.9
営業利益3516△18△53.7
(営業利益率)(4.8%)(3.0%)(△1.8%)
デバイスソリューション
売上収益68381012718.7
営業利益5315197180.9
(営業利益率)(7.9%)(18.6%)(10.7%)
全社消去
売上収益△217△20017-
連結
売上収益8,0278,019△8△0.1
営業利益22233711451.5
(営業利益率)(2.8%)(4.2%)(1.4%)

a テクノロジーソリューション
テクノロジーソリューションの売上収益は6,870億円と、前年同期比で0.5%の増収となりました。営業利益は170億円と、前年同期比で36億円の増益です。
ソリューション・サービスの売上収益は3,986億円と、前年同期比で1.1%の増収となりました。金融ビジネスや通信キャリア向けのサービスを中心に増収です。営業利益は201億円と、前年同期比で14億円の増益となりました。ソリューション/SIや運用、保守サービスでシステム開発やデリバリー、サポート業務の変革を進め採算性を改善した一方で、サービスビジネス強化に向けた投資も実行しています。
システムプラットフォームの売上収益は1,408億円と、前年度比で4.2%の減収となりました。前年同期に計上した富岳の売上収益の反動影響により全体として減収となりましたが、富岳を除いたサーバやストレージ等のシステムプロダクトは増収です。また、ネットワークビジネスで5G基地局などの通信インフラに対する需要が継続し、国内、海外ともに増収となりました。営業利益は79億円と、前年同期比で30億円の増益です。ネットワークビジネスの増収効果や、採算性の改善により増益となりました。
海外リージョンの売上収益は1,772億円と、前年同期比で3.6%の増収となりました。この中には欧州の低採算国や北米プロダクトビジネスの事業再編による減収影響と、ユーロを中心に為替が円安に推移したことによる増収影響が含まれており、これらを除くとほぼ前年並みの売上収益です。営業利益は22億円と、前年同期比で60億円の増益です。これまで実施してきたビジネスモデル変革の効果が現れ、採算性の改善や費用効率化が進みました。
テクノロジーソリューション共通の営業利益は133億円のマイナスと、前年同期比で69億円の費用増となりました。社内DXや働き方変革などの自らの変革に向けた投資が含まれています。
b ユビキタスソリューション
ユビキタスソリューションの売上収益は538億円と、前年同期比で25.9%の減収となりました。営業利益は16億円と、前年同期比で18億円の減益です。前年の第3四半期に携帯販売代理店事業を譲渡した影響や前年のテレワーク需要の反動などにより、減収減益となりました。
c デバイスソリューション
デバイスソリューションの売上収益は810億円と、電子部品を中心に、前年同期比で18.7%の増収となりました。営業利益は151億円と、前年同期比で97億円の増益です。増収効果に加えて、操業が改善し採算性が好転しました。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資産、負債及び資本の状況
(単位:億円)
2020年度末2021年度
第1四半期末
前年度末比
資産31,90230,338△1,563
負債16,43314,742△1,690
資本(純資産)15,46915,595126
親会社所有者帰属持分(自己資本)14,50114,58886
(自己資本比率)(45.5%)(48.1%)(2.6%)

親会社所有者帰属持分を資産で除した自己資本比率は、当第1四半期末で48.1%と前年度末から2.6%上昇しました。
②キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)
2020年度
第1四半期
2021年度
第1四半期
前年同期比
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー1,4881,920431
Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー△100△290△190
Ⅰ+Ⅱ フリー・キャッシュ・フロー1,3881,629241
Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー△238△689△451
Ⅳ 現金及び現金同等物の四半期末残高5,6965,76568

営業活動によるキャッシュ・フローは1,920億円のプラスです。利益の増加に加え、売掛金の回収や税金費用の支払減もあり、前年同期比で431億円の収入増となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは290億円のマイナスです。電子部品関連や社内DXを中心に投資を実施したこと等により、前年同期比で190億円の支出増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは689億円のマイナスです。社債の償還や自己株の取得により前年同期比で451億円の支出増となりました。
(3)新型コロナウイルス感染症の影響に関する分析
新型コロナウイルス感染症の収束時期は不透明な状況にありますが、グローバルな経済活動は徐々に回復するものと想定しています。一方、当社グループの経営成績等に対しては、一部の国・地域や事業では新型コロナウイルス感染症の影響が継続する可能性がありますが、業績への重要な影響はないと考えています。
(4)経営方針及び対処すべき課題等
①経営方針及び対処すべき課題
当社グループは、社会における存在意義、パーパスを「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界を
より持続可能にしていくこと」と定めております。すべての事業活動をこのパーパス実現のための活動として取り組んでおり、そのためには、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持続的に向上させることが重要と考えております。
<市場環境>当社グループをとりまく市場環境については、従来型の基幹システムなどの既存IT市場は、緩やかに縮小してい
くと予測されています。一方で、レガシーシステムのリプレイスメントやモダナイゼーションへの投資は堅調に増えると予測されています。さらに、AI(人工知能)やデータ活用などデジタル化に向けた投資は、市場のニーズに加え新型コロナウイルスの感染拡大に起因する社会システムや生活様式の変化に対応するため、今後さらに拡大すると想定されています。
このような状況のもと、当社グループは、ますます需要が高まる企業のDX(デジタルトランスフォーメーショ
ン)を牽引し、社会課題の解決に貢献する企業への変革を目指します。そのため、取締役会および独立役員会議などの場で議論を重ね、2022年度を最終年度とする経営方針を策定し、2020年7月に発表いたしました。
<経営方針概要>当社グループは、経営方針の達成に向け「価値創造」と「自らの変革」に取り組んでおります。
「価値創造」では、お客様の事業の変革や成長に貢献する事業領域を「For Growth」と定め、これを成長分野と
位置付けて、規模と収益性の両方を伸ばしていきます。また、お客様のIT基盤の安定稼働への貢献と品質向上に取り組む領域を「For Stability」と定め、一層の効率化を推し進めて利益率を高めていきます。
「価値創造」において、次の施策を進めてまいります。
グローバルビジネス戦略の再構築として。グローバル共通のポートフォリオに沿って、重点アカウントの選定や
オファリングの拡充を行うとともに、リージョン間、各ビジネスグループとリージョン間の連携を一層進めてまいります。世界8か国に展開しているグローバルデリバリーセンターについては、グローバル全体でサービスデリバリーの標準化および最適化を促進するなどサービスモデルの見直しを行うとともに、効率化によるコスト競争力の強化を図ってまいります。
日本国内での課題解決力の強化として、日本の社会課題解決やデジタル化に貢献するための体制強化を進めてお
ります。2020年10月に発足した富士通Japan株式会社は、2021年4月1日より11,000人体制で本格的に始動しました。日本市場における当社グループの窓口を一本化し、コンサルティングからサポートまでをワンストップで提供してまいります。また、全国を6つのエリアに分け、各エリアに本部を設置しました。長年日本市場において様々な業種、地域のお客様のIT化を担ってきたノウハウやリソースといった強みを活かしながら、エリアの特性に応じた活動を行ってまいります。
人々のウェルビーイングを実現するため、未来の社会をデザインしその実装に必要なエコシステムの形成や最先
端テクノロジーの開発までを行う未来社会&テクノロジー本部を、2021年4月1日付で、約350人体制で新設しました。すでにいくつかの自治体と、デジタルテクノロジーを活用した新たな取り組みの実用化に向けて準備を進めております。日本における取り組みで得た知見を、グローバルに展開してまいります。
お客様事業の一層の安定化にも、継続して取り組んでまいります。
当社グループ全体でソリューション・サービスのデリバリー機能を強化していくことで、生産性の改善や利益率
の向上を図ってまいります。グローバルデリバリーセンターの活用拡大のため、日本固有の商習慣やニーズをオフショアに適したかたちに整備する、ジャパン・グローバルゲートウェイを2020年11月に設立しました。内製化を徹底しスキルの向上を図るとともに、標準化を行い、品質と生産性を向上させてまいります。
グループ各社に分散していた強みを集約し、当社グループの総合力を強化したスピード感のある再編を実行する
ことで、重複投資の抑制や費用削減などを進め、コスト効果も創出いたします。2021年4月に、国内SIグループ会社11社を本体に、4社を富士通Japan株式会社に統合しました。各社の保有するデリバリー機能を、ジャパン・グローバルゲートウェイに集約するなどの機能再編を行ってまいります。
品質管理とリスクマネジメントの強化のため、2020年11月1日付で、社長直下の組織において、品質管理機能を
強化した組織編成を行うとともに、全社リスクマネジメント室を新設しました。併せて、重大なシステム障害の抑止に向けて全社的な点検を実施するためのプロジェクトを立ち上げ、活動を開始しています。お客様事業の一層の安定化に向けて、お客様IT基盤の安定稼働と品質向上に取り組んでまいります。
お客様のDXのベストパートナーとなることを目指し、フロント強化としてデザイン思考でお客様の潜在ニーズを
掘り起こし、お客様との共感を通じてDXをリードするビジネスプロデューサーの育成を進めております。すでに、日本国内で約3,700人が育成プログラムを受講しており、さらに拡大を図ってまいります。
DXをテーマに、お客様や異なる強みを持つ企業との共創も進めております。新型コロナウイルス感染症治療薬の
開発を目的とした新会社や、製造業のDXを実現するクラウドサービスを提供する新会社などを設立しました。2020年4月に始動したRidgelinez株式会社は、当社と異なる独自のDXビジネスや、人事制度などを推進しております。すでに、約300社の多様なお客様に対し、DX実現に向けたコンサルティングサービスを展開しております。
当社グループは、パーパスの実現に向け、社会課題を起点にお客様と共にその解決に取り組みながら成長してい
くために、今後注力していく7つの重点分野を定めました。2030年に誰も取り残されないサステナブルな世界を実現するために取り組むべき課題や求められていることについて、社会全体を業種横断のクロスインダストリーな市場「Vertical Areas」として捉え、まずは「Sustainable Manufacturing」「Consumer Experience」「Healthy
Living」「Trusted Society」の4つの分野に注力してまいります。お客様のDXを支えるためのテクノロジーやソリューションを「Horizontal Areas」として整備し、「Digital Shift」「Business Application」「Hybrid IT」の3分野に注力してまいります。これら7つの分野に、中長期的に経営リソースを集中させ、取り組んでまいります。
一方、「自らの変革」として、お客様のDXのパートナーとなるべく、当社グループ自身のDXのため、人員、体制
の強化も含めた社内変革を進めております。
データに基づいたスピーディな経営判断を行うデータドリブン経営の実現のため、プロセスやシステムの刷新を
進めており、これを全社横断型で進めるOne Fujitsuの取り組みを開始しました。また、2020年7月1日に発足した全社DXプロジェクト「フジトラ」を中心に、企業カルチャーや社員のマインドまでを含めた変革を進めています。DX企業にふさわしい働き方やマインドを醸成するため、新たな人事制度やオフィス環境を整備する「Work Life
Shift」を推進しており、自身の取り組みで得た知見をベースに、お客様の働き方改革の支援にも着手しております。
これらの施策の実行にあたり、必要となる投資を積極的に行ってまいります。サービス・オファリングの開発、M&Aをはじめとした外部への投資、将来を見据えたDXビジネス拡大のための戦略的な投資に加え、高度人材の獲得や、社内人材・システムの強化のための投資を実行してまいります。
非財務面での取り組みも強化してまいります。当社グループの掲げるパーパスの実現には、当社グループ自身の
サステナブルな成長が必須であり、そのためには当社グループを取り巻くすべてのステークホルダーとの信頼関係を築くことが必要と考えております。その観点から、お客様からの信頼を示す「ネット・プロモーター・スコア」と、社員との結びつきを示す「従業員エンゲージメント」を非財務指標と定めます。また、組織、カルチャーの変革の進捗を、経済産業省が推進する「DX推進指標」を用いて客観的に測定し、継続的な改善に取り組んでまいります。
財務面の経営目標として、2022年度には、本業のテクノロジーソリューションで売上収益3兆5千億円、連結営業
利益率10%の達成を目指してまいります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界規模で各産業において様々な影響が出ています。一方で、新
たな生活様式となり、より人を中心にデータが複雑につながっていく中、当社グループは、デジタルテクノロジーと多様な業種への実績・知見を活かし、安心で利便性の高い社会づくりに貢献していきます。
②財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第1四半期において、当社が定める当該基本方針について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当社グループでは、人・企業・地域・もの・データなどを安心・安全につなぎ、様々なデータを活用して起こりう
る未来を予測することで問題を未然に予防し、人々をエンパワーし続けることが、持続可能な世界の実現のために不
可欠だと考えています。
そのために、ヒューマンセントリックなテクノロジーを開発・提供することを通して、直面する社会課題(イシュ
ー)の解決に貢献し、世界の持続可能性に大きなインパクトを与えることを重要な技術戦略に位置付けております。
そして、デジタル技術とデータを駆使して革新的なサービスやビジネスプロセスの変革をもたらす、DX(デジタル
トランスフォーメーション)企業として、イノベーションが絶えず生まれるために必要な先端テクノロジー開発に取
り組んでおります。
当社グループの事業は、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリュ
ーション」の各セグメントにより構成されており、上記の研究開発方針のもと、それぞれの分野ごとに研究開発活動
を行っております。「テクノロジーソリューション」では、次世代のサービス、サーバ、ネットワーク等に関する研
究開発を行っております。「デバイスソリューション」では、電子部品(半導体パッケージ及び電池)等の各種デバ
イス製品及び関連技術に関する研究開発を行っております。また、当第1四半期における研究開発費の総額は、247億円です。
(6)従業員数
当第1四半期末における当社の従業員数は、前年度末から4,074名増加し36,100名となりました。これは主として、
2021年4月1日付で、当社の民需分野の準大手・中堅中小企業向け、自治体向け、医療、教育、地域農林水産機関向け及び地域メディア向けソリューションビジネス並びにサービス/プロダクト関連事業を富士通Japan株式会社に承継させる吸収分割を実施したことによる従業員数の減少はあったものの、同日付で、株式会社富士通研究所及び国内SI系グループ会社11社を当社に吸収合併したことに伴い、テクノロジーソリューションの従業員数が増加したことによるものです。
(7)主要な設備
当社は、2021年4月1日付で、株式会社富士通研究所を当社に吸収合併しました。これにより、当第1四半期におい
て、株式会社富士通研究所が保有していた設備は当社の設備となりました。また、当第1四半期において、新規のリース資産として以下の設備を取得しました。
会社名及び事業所名(所在地)設備の内容帳簿価額
(百万円)
提出会社Fujitsu Kawasaki Tower
(川崎市幸区)
その他設備24,267