四半期報告書-第119期第2四半期(平成30年7月1日-平成30年9月30日)

【提出】
2018/10/31 15:11
【資料】
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【項目】
14項目
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日(2018年9月30日)現在において判断したものです。
以下の文中において、当第2四半期連結累計期間を当第2四半期(累計)、当第2四半期連結会計期間を当第2四半期、前年同四半期連結累計期間及び前年同四半期連結会計期間を前年同期、前連結会計年度を前年度と記載しております。
(1)経営成績の分析(当第2四半期(累計))
①損益の状況
(単位:億円)
2017年度2018年度前年同期比
第2四半期累計第2四半期累計増減率(%)
売上収益19,23218,345△886△4.6
営業利益280952672240.2
(営業利益率)(1.5%)(5.2%)(3.7%)
税引前四半期利益5931,17257897.5
四半期利益(親会社所有者帰属)43481137686.6

売上収益は1兆8,345億円と、前年同期比886億円の減収となりました。携帯電話事業の再編及び個人向けPCが連結売上の対象外となった影響をあわせたユビキタス事業再編による減収影響があったほか、ネットワークプロダクト及びLSIが減収となりましたが、国内サービスが増収となりました。
営業利益は952億円と、前年同期比672億円の増益となりました。ユビキタス事業再編による減収影響や前年度に計上しましたニフティ株式会社のコンシューマ事業譲渡益がなくなった影響があった一方で、退職給付制度変更に関する利益及びPC事業ならびに半導体販売会社の譲渡損益を計上しております。
税引前四半期利益は1,172億円と、前年同期比578億円の増益となりました。前年度に計上しました富士電機株式会社との株式持合い見直しに伴う株式売却益273億円がなくなった影響がありましたが、営業利益の増益のほか、PC事業譲渡に伴う株式再評価による影響などにより、持分法による投資利益が前年同期比126億円増加しました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は811億円と、税引前四半期利益の増益などにより前年同期比376億円の増益となりました。
②セグメント情報
(単位:億円)
2017年度2018年度前年同期比
第2四半期累計第2四半期累計増減率(%)
売上収益テクノロジーソリューション14,10314,091△12△0.1
ユビキタスソリューション3,2062,452△753△23.5
デバイスソリューション2,7942,641△153△5.5
その他/消去又は全社△872△83932-
連結計19,23218,345△886△4.6

営業利益テクノロジーソリューション448478306.7
ユビキタスソリューション107△20△128-
デバイスソリューション7322△50△68.9
その他/消去又は全社△349472821-
連結計280952672240.2

a テクノロジーソリューション
売上収益は1兆4,091億円と、ほぼ前年同期並みとなりました。ネットワークプロダクトが国内向け携帯電話基地局を中心に減収となりましたが、国内サービスが増収となりました。
営業利益は478億円と、前年同期比30億円の増益となりました。ネットワークプロダクトの減収影響がありましたが、国内サービスの増収効果があり、増益となりました。
b ユビキタスソリューション
売上収益は2,452億円と、前年同期比23.5%の減収となりました。ユビキタス事業再編による減収影響を除くと、増収となりました。パソコンが法人向けを中心に伸長した影響がありました。
営業利益は20億円の損失と、前年同期比128億円の減益となりました。ユビキタス事業再編による減収影響を除くと、増益となりました。法人向けパソコンの増収効果がありました。
c デバイスソリューション
売上収益は2,641億円と、前年同期比5.5%の減収となりました。スマートフォン向け製品の所要が低調に推移しLSIは減収となりました。
営業利益は22億円と、前年同期比50億円の減益となりました。減収影響などによります。
d その他及び消去又は全社
営業利益は472億円と、前年同期比821億円の改善となりました。退職給付制度変更及びPC事業譲渡による一時的な利益計上がありました。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資産、負債及び資本の状況
(単位:億円)
2017年度末2018年度
第2四半期末
前年度末比
資産31,21530,782△432
負債19,16617,904△1,262
資本(純資産)12,04912,878829
親会社所有者帰属持分(自己資本)10,87711,669791
(自己資本比率)(34.8%)(37.9%)(3.1%)

親会社所有者帰属持分を資産で控除した自己資本比率は、四半期利益の計上などにより当第2四半期末で37.9%と前年度末から3.1%上昇しました。
②キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)
2017年度
第2四半期累計
2018年度
第2四半期累計
前年同期比
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー547462△84
Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー△35310364
Ⅰ+Ⅱ フリー・キャッシュ・フロー193473279
Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー69△539△609
Ⅳ 現金及び現金同等物の四半期末残高4,1284,490361

営業活動によるキャッシュ・フローは462億円のプラスと、前年同期比84億円の収入減となりました。前年の利益に対する税金費用の支出増などがありました。
投資活動によるキャッシュ・フローは10億円のプラスと、前年同期比364億円の支出減となりました。PC事業譲渡による収入や昨年まで関係会社であった中国の一般株式の売却による収入などがあったほか、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が減少しました。
(3)経営方針及び対処すべき課題等
①経営方針及び対処すべき課題
当第2四半期(累計)においては、当社グループが定めている経営方針、対処すべき課題等について重要な変更はありませんが、本年10月26日の経営方針進捗レビューにおいて、今後の方針について一部見直しを行い、以下のとおり発表しました。
当社グループは、2015年10月に発表しました経営方針の下、経営資源をテクノロジーソリューションに集中する「形を変える」取り組みが順調に進んできたことから、今後は経営目標である「営業利益率10%以上」の進捗をテクノロジーソリューションに全社費用を加味したベースでのご報告とし、2022年度での達成を目指します。また、「海外売上比率50%以上」という目標は、2022年度までの経営目標からは一旦外し、海外については、より強固な収益体質の構築を優先します。なお、今後、収益力強化を目的とした「質を変える」取り組みにより集中し、さらなる成長を目指すため、以下の施策を策定しました。
1つ目は、国内ビジネスの営業改革です。当社の国内グループが擁する1万人超の営業人員の配置を見直し、重点分野へのパワーシフトを行います。また、テクノロジーの変化、市場の変化に対応した専門営業の強化をさらに推進し、従来のアカウント営業とのシナジーを高め、マーケットニーズの早期取り込み及び商品デリバリーのスピードアップを図ってまいります。これにより、国内市場における圧倒的な事業基盤の確立を目指します。
2つ目は、事業の強化です。①統一戦略によるグローバル商品開発、②自前主義からの脱却、③市場特性にあったスピーディなサービス提供、④グローバルに競争力のある人材の獲得・育成を事業の基本方針とし、国内外において、サービスインテグレーションビジネスの強化やクラウド、デジタルビジネスといった商品力を強化してまいります。また、個別ビジネスの施策として、グローバル視点でのネットワークビジネスの強化やEMEIAビジネスの利益率改善に向け、抜本的な構造改革を実施いたします。
上記の取り組みを推進していくため、新たなグローバル体制の構築を目指します。各リージョンにおいて、事業部門や研究開発部門、マーケティング部門の戦略的な配置、また、適材適所な人員配置など、グローバルな組織の最適化に取り組むことにより、世界中のお客様に価値あるサービスをスピーディに提供する枠組みを整備してまいります。
②財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、企業価値を向上させることが、結果として買収防衛にもつながるという基本的な考え方のもと、企業価値向上に注力しているところであり、現時点で特別な買収防衛策は導入しておりません。
当社に対して買収提案があった場合は、取締役会は、当社の支配権の所在を決定するのは株主であるとの認識のもと、適切な対応を行います。
(4)研究開発活動
当社グループの事業は、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の各セグメントにより構成されており、それぞれの分野ごとに研究開発活動を行っております。「テクノロジーソリューション」では、次世代のサービス、サーバ、ネットワーク等に関する研究開発を行っております。「ユビキタスソリューション」では、ユビキタス社会に不可欠な製品及び技術に関する研究開発を行っております。「デバイスソリューション」では、LSI、電子部品(半導体パッケージ及び電池)等の各種デバイス製品及び関連技術に関する研究開発を行っております。
当社グループでは、ICTを活用することによってどのようにイノベーションを起こし、これまでとは違う未来を創り出していくかについての考えを「Fujitsu Technology and Service Vision」としてまとめています。研究開発からお客様へのアプローチ、そして製品・サービスの提供に至るすべての事業活動をこのビジョンにもとづいて実行しています。このビジョンの中心的な考えとして、Human Centric Innovationというコンセプトを2014年に発表しました。これは先進技術で人をエンパワーする(力を与える)ことによって、ビジネスや社会のイノベーションを生み出す新たなアプローチです。
イノベーションは、人々の創造性、情報から導かれるインテリジェンス、そしてモノやインフラのつながり、という3つの要素を組み合わせることによって実現することができます。それぞれの要素は、人、情報、インフラストラクチャーという3つの経営資源に対応しています。
当社グループの研究開発活動は、この3つの要素に沿って行われており、当第2四半期における主な研究開発活動の成果は、以下のとおりです。また、当第2四半期(累計)における研究開発費の総額は、675億円です。
・企業や個人から入手したデータの出所や加工履歴といったデータの成り立ちを示す来歴情報が確認でき、安心してデータの利活用ができるブロックチェーン拡張技術「ChainedLineage(チェーンドリネージュ)」を開発しました。センサーやスマートフォンなど、多種多様なデバイスが生み出す膨大なデータを活用して新サービスを創出する機運が高まっており、業種業界を超えたデータ流通の信頼性向上に貢献します。
・様々な現場で増え続けるデータを高速処理するために、データを蓄積している分散ストレージシステム上で、本来のストレージ機能を動かしつつデータ処理を行う技術「Dataffinic Computing(データフィニックコンピューティング)」を開発しました。監視カメラ映像や車センサーデータ、さらにゲノムデータなど、大量データの高速かつ効率的な活用により、ビジネス革新やイノベーション創出を加速します。
・学習に必要な量のデータを十分に取得できない場合でも高精度な判断を可能にする機械学習技術「Wide Learning」を開発しました。医療やマーケティング、金融などでAIの活用が進んでいますが、分析データの量が少ない、あるいは、データに偏りがあると分析精度に影響します。本技術は全てのデータ項目の組合せパターンを即座に生成・分析することで、高精度な判断を可能にしました。この技術により、判断の根拠となるデータが少ない医療などの現場でも、信頼性の高いAIの活用が可能になります。
・創薬では大規模な組合せ最適化問題の解決が必要ですが、従来のコンピューティング技術では実用的な時間で解ける規模に限界がありました。今回、コンピューティングアーキテクチャー「デジタルアニーラ」において、大規模な組合せ最適化問題を高速に処理する問題分割技術を開発しました。これにより、30Kビット規模の計算が必要な中分子創薬の分子の安定構造探索問題が解け、半年かかるシミュレーション時間を数日に短縮することが可能になります。
・データセンター間の増大する通信量に対応する光波長多重システムを開発しました。これにより、既存機器を活用して複数の波長帯域を一つの光ケーブルで送受信でき、超大容量の光伝送が可能になります。5Gや8Kの普及、動画配信、SNSなど、データセンターが処理するデータ量が増大し続けています。本技術は光ファイバーの追加投資なく大量データの高速通信を可能とし、試作したシステムでは従来の3倍の伝送容量拡大の原理を確認しました。
・理化学研究所(理研)革新知能統合研究センターがん探索医療研究チーム、理研AIP-富士通連携センター、昭和大学医学部からなる共同研究グループは、AIを用いて胎児の心臓異常をリアルタイムに自動検知するシステムを開発しました。今回開発したシステムを用いることで、検査者間の画像認識力や超音波プローブの走査技術などの診断技術の差異を埋め、胎児の診断を支援するとともに、早急に治療が必要な重症かつ複雑な先天性心疾患の見落としを防ぐことが期待できます。
(5)主要な設備
当社は、ユビキタスソリューションにおいて、2018年5月2日付で富士通クライアントコンピューティング株式会社の株式を譲渡したことにより、同社は当社の連結子会社から持分法適用関連会社となりました。これにより、同社に係る設備は当社の主要な設備ではなくなりました。