四半期報告書-第119期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/02/07 16:50
【資料】
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【項目】
14項目
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日(2018年12月31日)現在において判断したものです。
以下の文中において、当第3四半期連結累計期間を当第3四半期(累計)、当第3四半期連結会計期間を当第3四半期、前年同四半期連結累計期間及び前年同四半期連結会計期間を前年同期、前連結会計年度を前年度と記載しております。
(1)経営成績の分析(当第3四半期(累計))
①損益の状況
(単位:億円)
2017年度2018年度前年同期比
第3四半期累計第3四半期累計増減率(%)
売上収益29,26328,118△1,145△3.9
営業利益38566528072.7
(営業利益率)(1.3%)(2.4%)(1.1%)
税引前四半期利益72391318926.2
四半期利益(親会社所有者帰属)554514△39△7.2

売上収益は2兆8,118億円と、前年同期比1,145億円の減収となりました。携帯電話事業の再編及び個人向けPCが連結売上の対象外となった影響をあわせたユビキタス事業再編による減収影響があったほか、ネットワークプロダクト及びLSIが減収となりましたが、国内サービスが増収となりました。
営業利益は665億円と、前年同期比280億円の増益となりました。欧州のプロダクトビジネス再編を中心としてビジネスモデル変革費用を436億円計上したほか、ユビキタス事業再編による減収影響があった一方で、退職給付制度変更に関する利益及びPC事業ならびに半導体販売会社の譲渡損益を計上しております。
税引前四半期利益は913億円と、前年同期比189億円の増益となりました。前年度に計上しました富士電機株式会社との株式持合い見直しに伴う株式売却益273億円がなくなった影響がありましたが、営業利益の増益のほか、PC事業譲渡に伴う株式再評価による影響などにより、持分法による投資利益が前年同期比144億円増加しました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は514億円と、法人所得税費用の増加などにより前年同期比39億円の減益となりました。
②セグメント情報
(単位:億円)
2017年度2018年度前年同期比
第3四半期累計第3四半期累計増減率(%)
売上収益テクノロジーソリューション21,50421,7342301.1
ユビキタスソリューション4,8653,684△1,181△24.3
デバイスソリューション4,2113,972△239△5.7
その他/消去又は全社△1,318△1,27246-
連結計29,26328,118△1,145△3.9

営業利益テクノロジーソリューション744668△75△10.2
ユビキタスソリューション116△206△323-
デバイスソリューション11549△66△57.4
その他/消去又は全社△590154745-
連結計38566528072.7

a テクノロジーソリューション
売上収益は2兆1,734億円と、前年同期比1.1%の増収となりました。ネットワークプロダクトが国内向け携帯電話基地局を中心に減収となりましたが、国内サービスが増収となりました。
営業利益は668億円と、前年同期比75億円の減益となりました。国内サービスの増収効果はありましたが、ネットワークプロダクトの減収影響があったほか、欧州のプロダクトビジネス再編を中心としてビジネスモデル変革費用を244億円計上しました。
b ユビキタスソリューション
売上収益は3,684億円と、前年同期比24.3%の減収となりました。ユビキタス事業再編による減収影響を除くと、増収となりました。パソコンが法人向けを中心に伸長した影響がありました。
営業利益は206億円の損失と、前年同期比323億円の減益となりました。ユビキタス事業再編による減収影響があったほか、欧州のプロダクトビジネス再編を中心としてビジネスモデル変革費用を186億円計上しました。
c デバイスソリューション
売上収益は3,972億円と、前年同期比5.7%の減収となりました。スマートフォン向けLSIの所要が低調に推移した影響がありました。
営業利益は49億円と、前年同期比66億円の減益となりました。減収影響などによります。
d その他及び消去又は全社
営業利益は154億円と、前年同期比745億円の改善となりました。退職給付制度変更及びPC事業譲渡による一時的な利益計上がありました。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資産、負債及び資本の状況
(単位:億円)
2017年度末2018年度
第3四半期末
前年度末比
資産31,21529,921△1,293
負債19,16618,050△1,115
資本(純資産)12,04911,871△177
親会社所有者帰属持分(自己資本)10,87710,664△213
(自己資本比率)(34.8%)(35.6%)(0.8%)

親会社所有者帰属持分を資産で控除した自己資本比率は、当第3四半期末で35.6%と前年度末から0.8%上昇しました。
②キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)
2017年度
第3四半期累計
2018年度
第3四半期累計
前年同期比
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー709163△545
Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー△375171546
Ⅰ+Ⅱ フリー・キャッシュ・フロー3333341
Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー△323△1,023△700
Ⅳ 現金及び現金同等物の四半期末残高3,8893,835△53

営業活動によるキャッシュ・フローは163億円のプラスと、前年同期比545億円の収入減となりました。前年の利益に対する税金費用の支出増があったほか、第4四半期の大型商談に対する棚卸資産の増加などがありました。
投資活動によるキャッシュ・フローは171億円のプラスと、前年同期比546億円の支出減となりました。PC事業ならびに半導体販売会社の譲渡に伴う収入があったほか、持合いの解消を進めたことによる株式売却収入などがありました。
(3)経営方針及び対処すべき課題等
①対処すべき課題
2018年10月26日の経営方針進捗レビューにおいて、今後の方針について一部見直しを行い、以下のとおり発表しました。
当社グループは、2015年10月に発表しました経営方針のもと、経営資源をテクノロジーソリューションに集中する「形を変える」取り組みが順調に進んできたことから、今後は経営目標である「営業利益率10%以上」の進捗をテクノロジーソリューションに全社費用を加味したベースでのご報告とし、2022年度での達成を目指します。また、「海外売上比率50%以上」という目標は、2022年度までの経営目標からは一旦外し、海外については、より強固な収益体質の構築を優先します。なお、今後、収益力強化を目的とした「質を変える」取り組みにより集中し、さらなる成長を目指すため、以下の施策を策定しました。
1つ目は、国内ビジネスの営業改革です。当社の国内グループが擁する1万人超の営業人員の配置を見直し、重点分野へのパワーシフトを行います。また、テクノロジーの変化、市場の変化に対応した専門営業の強化をさらに推進し、従来のアカウント営業とのシナジーを高め、マーケットニーズの早期取り込み及び商品デリバリーのスピードアップを図ってまいります。これにより、国内市場における圧倒的な事業基盤の確立を目指します。
2つ目は、事業の強化です。①統一戦略によるグローバル商品開発、②自前主義からの脱却、③市場特性にあったスピーディなサービス提供、④グローバルに競争力のある人材の獲得・育成を事業の基本方針とし、国内外において、サービスインテグレーションビジネスの強化やクラウド、デジタルビジネスといった商品力を強化してまいります。また、個別ビジネスの施策として、グローバル視点でのネットワークビジネスの強化やEMEIAビジネスの利益率改善に向け、抜本的な構造改革を実施いたします。
上記の取り組みを推進していくため、新たなグローバル体制の構築を目指します。各リージョンにおいて、事業部門や研究開発部門、マーケティング部門の戦略的な配置、また、適材適所な人員配置など、グローバルな組織の最適化に取り組むことにより、世界中のお客様に価値あるサービスをスピーディに提供する枠組みを整備してまいります。
②財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、企業価値を向上させることが、結果として買収防衛にもつながるという基本的な考え方のもと、企業価値向上に注力しているところであり、現時点で特別な買収防衛策は導入しておりません。
当社に対して買収提案があった場合は、取締役会は、当社の支配権の所在を決定するのは株主であるとの認識のもと、適切な対応を行います。
(4)研究開発活動
当社グループの事業は、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の各セグメントにより構成されており、それぞれの分野ごとに研究開発活動を行っております。「テクノロジーソリューション」では、次世代のサービス、サーバ、ネットワーク等に関する研究開発を行っております。「ユビキタスソリューション」では、ユビキタス社会に不可欠な製品及び技術に関する研究開発を行っております。「デバイスソリューション」では、LSI、電子部品(半導体パッケージ及び電池)等の各種デバイス製品及び関連技術に関する研究開発を行っております。
当社グループでは、ICTを活用することによってどのようにイノベーションを起こし、これまでとは違う未来を創り出していくかについての考えを「Fujitsu Technology and Service Vision」としてまとめています。研究開発からお客様へのアプローチ、そして製品・サービスの提供に至るすべての事業活動をこのビジョンにもとづいて実行しています。このビジョンの中心的な考えとして、Human Centric Innovationというコンセプトを2014年に発表しました。これは先進技術で人をエンパワーする(力を与える)ことによって、ビジネスや社会のイノベーションを生み出す新たなアプローチです。
イノベーションは、人々の創造性、情報から導かれるインテリジェンス、そしてモノやインフラのつながり、という3つの要素を組み合わせることによって実現することができます。それぞれの要素は、人、情報、インフラストラクチャーという3つの経営資源に対応しています。
当社グループの研究開発活動は、この3つの要素に沿って行われており、当第3四半期における主な研究開発活動の成果は、以下のとおりです。また、当第3四半期(累計)における研究開発費の総額は、1,019億円です。
・顔の画像と手のひらの静脈で利用者本人を認証する生体認証融合技術を開発しました。決済端末やその近くに設置したカメラを使用して照合対象者の絞り込みを行うため、利用者は手のひらをセンサーにかざすだけでスムーズな決済が可能となります。100万人規模が利用する商業施設などで、IDカードやパスワードを使用すること無く、本人確認を手ぶらで素早くできるようになり、キャッシュレス社会の実現に貢献します。
・ショッピングモールやイベント会場、空港などの混雑につながる原因を、人間行動シミュレーションの結果から自動で分析する混雑原因発見技術を学校法人早稲田大学と共に開発しました。数千から数万件の人間の行動や経路の結果をある程度共通する項目でグルーピングし、少数の項目の組み合わせでその特徴を表現することで、混雑に関わった人間の行動や経路の特徴を抽出しやすくしました。これにより、様々な人の属性や行動パターンにあわせた混雑緩和の対策が可能となります。
・第5世代移動通信方式(以下、5G)では、電波エリアが小さい基地局を密に配置する必要があり、アンテナパネルについては、どこにでも設置可能なサイズヘの小型化が求められています。今回、1枚のアンテナパネルで4方向への同時通信を実現する、28GHz帯で世界最小サイズの装置を開発しました。これにより、これまで2枚以上必要だったアンテナパネルを、約13cm角のプリント板1枚に収めることができ、駅前やスタジアムなど人が多く集まる場所でも小型の基地局の設置による5Gの高速通信が可能になります。
・データセンターの空調設備の電力を29%削減する空調制御技術を開発しました。本技術は、温度と湿度の状況から外気の導入率を判断し、かつ各空調機がエリアごとにおよぼす冷却の影響度を測ることで最適な設定温度を算出します。今後、電力使用量の増大が見込まれるデータセンターの省電力化を実現し、地球温暖化防止に貢献します。
(5)主要な設備
当社は、ユビキタスソリューションにおいて、2018年5月2日付で富士通クライアントコンピューティング株式会社の株式を譲渡したことにより、同社は当社の連結子会社から持分法適用関連会社となりました。これにより、同社に係る設備は当社の主要な設備ではなくなりました。