有価証券報告書-第143期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/25 15:02
【資料】
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【項目】
168項目
[1]業績等の概要
(1) 業績
世界経済は一部に弱さが見られ、通商問題や新興国を中心とした為替の動向など不透明な事業環境が継続しました。また、当社グループの主要市場であるエネルギーや素材関連市場においては、原油価格の推移やその需給バランスなどを背景に、資源開発関連に対する投資の動きが見られつつある事業環境となりました。
このような事業環境の中で、当社グループは、2018年度(当期)を初年度とし2020年度までの3か年を対象とする中期経営計画「Transformation 2020」に基づき、持続可能な社会を実現する事業の確立を目指して「既存事業の変革」、「新事業とビジネスモデル変革への挑戦」、「グループ全体最適による生産性向上」の3つの変革に取り組みました。また、これらすべての変革の基盤として、デジタル技術を最大限に活用する「デジタルトランスフォーメーション」を価値創造の駆動力として「成長機会の創出」と「成長基盤の確立」に努めました。
この結果、当連結会計年度における当社グループの業績及びセグメント別の業績は以下のとおりとなりました。
<連結>売上高 4,037億11百万円 (前期比 △0.7% 28億78百万円減)
営業利益 345億94百万円 (前期比 5.8% 18億89百万円増)
経常利益 367億70百万円 (前期比 10.3% 34億28百万円増)
親会社株主に帰属する当期純利益 284億46百万円 (前期比 32.4% 69億64百万円増)
<制御事業>売上高 3,647億74百万円 (前期比 0.4% 14億84百万円増)
営業利益 339億70百万円 (前期比 11.8% 35億73百万円増)
<計測事業>売上高 228億70百万円 (前期比 2.7% 6億10百万円増)
営業利益 19億39百万円 (前期比 △23.4% 5億93百万円減)
<航機その他事業>売上高 160億66百万円 (前期比 △23.6% 49億73百万円減)
営業利益 △13億15百万円 (前期比 - 10億89百万円減)
(2) キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ98億64百万円増加し、857億円1百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益384億28百万円に対し、プラス要因である減価償却費161億26百万円等と、マイナス要因である売上債権の増加157億33百万円及びたな卸資産の増加90億17百万円、法人税等116億64百万円等の調整の結果、214億10百万円の収入(前年同期比105億70百万円の収入減)となりました。売上債権の増加は、主として手元資金の状況を考慮し債権流動化を停止したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、国内子会社株式の売却収入80億27百万円があったものの、有形固定資産の取得及び無形固定資産の取得などにより、40億88百万円の支出(前年同期比25億59百万円の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより69億88百万円の支出(前年同期比154億40百万円の支出減)となりました。
[2]生産、受注及び販売の状況
(1) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額
(百万円)
前期比(%)
制御事業364,774100.4
計測事業22,870102.7
航機その他事業15,13375.1
合計402,77899.3

(注)1.金額は販売価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 受注状況
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高
(百万円)
前期比(%)
制御事業393,646109.7242,962113.4
計測事業22,938102.44,257105.0
航機その他事業15,38781.26,83944.6
合計431,972107.9254,059108.8

(注)上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額
(百万円)
前期比(%)
制御事業364,774100.4
計測事業22,870102.7
航機その他事業16,06676.4
合計403,71199.3

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2.総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
[3]経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、本項の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は会計方針の選択・適用、また、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し
合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
<連結>当連結会計年度における当社グループの業績は、前期比で減収増益となりました。売上高は、新興国通貨を中心とした円高および航機その他事業の国内子会社株式を譲渡した影響等により、28億78百万円減少し4,037億11百万円となりました。一方、営業利益は販管費の減少などにより、前期比で18億89百万円増加し345億94百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期にのれん等減損損失を計上したこともあり、前期比で69億64百万円増加し284億46百万円となりました。
また、セグメント別の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、次のとおりです。
<制御事業>制御事業の売上高は、新興国通貨を中心とした円高の影響を受けた一方、既設設備の生産性向上に向けた課題解決と運用・保守を中心としたビジネスなどが底堅く推移した結果、前期比で14億84百万円増加し3,647億74百万円となりました。また、営業利益は、売上高がほぼ前期並みとなったなかで、貸倒引当金計上の減少等により、前期比で35億73百万円増加し339億70百万円となりました。
<計測事業>計測事業は、売上高は前期比で6億10百万円増加し228億70百万円と堅調でしたが、バイオ関連事業の確立に向けた先行投資の影響などにより、営業利益は前期比で5億93百万円減少し19億39百万円となりました。
<航機その他事業>航機その他事業は、国内子会社株式の譲渡等の影響による減収に加え、粗利率低下により、売上高は前期比で49億73百万円減少し160億66百万円、営業損失は前期比で10億89百万円損失が増加し13億15百万円の損失と、どちらも前期を下回る結果となりました。
②当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
『第2[事業の状況] 2[事業等のリスク]』に記載のとおりです。
③当社グループの資本の財源及び資金の流動性
a. 資金調達、流動性管理
当社グループは、資金調達における安全性、資金効率化及び調達コストの抑制を図ることを基本方針とし、資金調達を実施しています。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、十分な流動性を確保していると考えています。
b. 資産、負債、純資産
当連結会計年度末の総資産は、受取手形及び売掛金、たな卸資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ254億97百万円増加し4,701億14百万円となりました。また、負債合計は、短期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ80億50百万円増加し1,739億63百万円となりました。純資産は、利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ174億46百万円増加し2,961億50百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.5ポイント上昇し、61.7%となりました。
c. キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、『第2[事業の状況] 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] [1]業績等の概要 (2)』に記載のとおりです。
中期経営計画TF2020では、利益成長及び資本効率向上により、オーガニックフリー・キャッシュ・フロー850億円以上(3年間累計)(*)を創出します。創出したキャッシュを中長期的な企業価値の最大化に向けたM&Aやアライアンスを含む資本性成長投資(戦略投資)に優先的に配分しながら、積極的な配当還元の向上も図ります。
(*)オーガニックフリー・キャッシュ・フロー = フリー・キャッシュ・フロー + 資本性成長投資(戦略投資700億円:3年間累計)
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、『第2[事業の状況] 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]』に記載のとおり、収益性の向上とさらなる変革に向けて、2018年度を開始年度とする中期経営計画TF2020を策定しています。
また、当社グループが目指す経営指標等については、『第2[事業の状況] 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (3) 経営環境と目標とする経営指標』に記載のとおりです。
引き続き、TF2020の戦略を確実に実行し事業価値を向上させることで「企業価値の最大化」に取り組んでまいります。