有価証券報告書-第145期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/23 15:30
【資料】
PDFをみる
【項目】
160項目
[1]業績等の概要
(1) 業績
世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う社会・経済活動の抑制等の影響による停滞が継続しており、依然として極めて不透明な状況となっています。
このような事業環境の中で、当社グループは、本年度(2021年3月期)が最終年度となる中期経営計画「Transformation 2020」に基づき、「既存事業の変革」、「新事業とビジネスモデル変革への挑戦」、「グループ全体最適による生産性向上」の3つの基本戦略を実行し、デジタル技術を活用しながら、「成長基盤の整備」とともに「成長機会の創出」に取り組みました。
この結果、当連結会計年度における当社グループの業績及びセグメント別の業績は以下のとおりとなりました。
なお、業績に関する分析については、『[3] 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 (1) 当連結会計年度の財務状況及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容』に記載のとおりです。
<連結>売上高 3,742億6百万円 (前期比 △7.5% 302億26百万円減)
営業利益 315億99百万円 (前期比 △11.2% 39億89百万円減)
経常利益 341億7百万円 (前期比 △6.0% 21億93百万円減)
親会社株主に帰属する当期純利益 192億19百万円 (前期比 30.9% 45億32百万円増)
<制御事業>売上高 3,421億34百万円 (前期比 △ 7.7% 284億15百万円減)
営業利益 315億20百万円 (前期比 △ 7.7% 26億38百万円減)
<計測事業>売上高 257億27百万円 (前期比 3.8% 9億50百万円増)
営業利益 11億49百万円 (前期比 △29.9% 4億89百万円減)
<航機その他事業>売上高 63億43百万円 (前期比 △30.3% 27億62百万円減)
営業利益 △10億69百万円 (前期比 - 8億60百万円減)
(2) キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ15億45百万円増加し、1,012億円4百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上等により、328億42百万円の収入(前期比17億9百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得等により、186億17百万円の支出(前期比4億35百万円の支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払やコマーシャル・ペーパーの償還等により、171億5百万円の支出(前期は、45億83百万円の収入)となりました。
[2]生産、受注及び販売の状況
(1) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額
(百万円)
前期比(%)
制御事業342,13492.3
計測事業25,727103.8
航機その他事業5,62068.4
合計373,48292.6

(注)1.金額は販売価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 受注状況
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高
(百万円)
前期比(%)
制御事業323,07583.7234,69494.8
計測事業25,66699.83,35196.0
航機その他事業7,086100.76,221120.8
合計355,82885.0244,26795.4

(注)上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額
(百万円)
前期比(%)
制御事業342,13492.3
計測事業25,727103.8
航機その他事業6,34369.7
合計374,20692.5

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2.総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
[3]経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、本項の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の財務状況及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
なお、当項目内において「FY18」「FY19」「FY20」は、それぞれ「2018年度(2019年3月期)」「2019年度(2020年3月期)」「2020年度(2021年3月期)」の略称です。
<連結>当連結会計年度における当社グループの業績は、COVID-19感染拡大や為替の変動影響などを受け、受注高、売上高、営業利益が前年比で減少しました。
売上のベースとなる受注高については、プロダクト関連ビジネスが堅調だったものの、前期比で628億34百万円減(△15.0%)となり、為替変動や子会社株式の譲渡の影響を除くと実質的には前期比で約526億円減(△12.7%)となりました。売上高は、前期比で302億26百万円減(△7.5%)の3,742億6百万円となり、為替変動や子会社株式の譲渡の影響を除くと実質的には前期比で約209億円減(△5.2%)となりました。これは、COVID-19感染拡大に伴う、移動制限によるプロジェクトの進捗遅延や今期受注減の影響等が顕在化したことによるものです。営業利益は、減収による減益要因が大きかった一方で、移動制限に伴う活動費用の減少や生産性向上施策でのコスト削減による販管費の減少などにより、前期比で39億89百万円減(△11.2%)の315億99百万円となりました。また、経常利益は前期比で21億93百万円減(△6.0%)の341億7百万円となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期にのれん等減損損失を計上した反動により、前期比で45億32百万円増(30.9%)の192億19百万円となりました。
0102010_007.png
また、セグメント別の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、次のとおりです。
<制御事業>制御事業の受注高は、COVID-19感染拡大や為替の変動影響などにより、前期比で628億38百万円減の3,230億75百万円(為替変動や子会社株式の譲渡の影響を除けば約528億円減)となり、売上高は同期比で284億15百万円減の3,421億34百万円(為替変動や子会社株式の譲渡の影響を除けば約192億円減)となりました。営業利益は、主に減収により、同期比で26億38百万円減の315億20百万円(為替変動や子会社株式の譲渡の影響を除けば約7億円減)となり、減収減益の結果となりました。
制御事業の地域別の受注高・売上高は、COVID-19感染拡大や為替変動の影響などにより全地域で厳しい受注環境の中、中国、中南米が健闘しました。特に、受注高については、中南米で鉄鋼等のマイニングに関するビジネスが堅調でした。
0102010_008.png
制御事業の業種別の受注高は、COVID-19感染拡大の影響や昨年度の大口プロジェクトを受注した反動によりエネルギー関連業種で減少しました。
0102010_009.png
<計測事業>計測事業は、売上高は前期比で9億50百万円増の257億27百万円と堅調でしたが、ライフイノベーション事業などにおける先行投資の影響等により、営業利益は前期比で4億89百万円減の11億49百万円となり、増収減益の結果となりました。
<航機その他事業>航機その他事業は、主にCOVID-19感染拡大に伴う経済活動制限による、航空関連機器需要の低迷などにより、売上高は前期比で27億62百万円減の63億43百万円となり、営業損失は前期比で8億60百万円損失が増加し10億69百万円の損失となり、減収減益の結果となりました。
セグメント別(制御事業・計測事業・航機その他事業)の受注高・売上高・営業利益トレンドは以下のとおりです。
0102010_010.png
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
<当社グループの資本の財源及び資金の流動性>a. 資金調達、流動性管理
当社グループは、成長性戦略投資の実行と安定的な事業運営を行うため、資本効率を高めつつ、事業運営に必要な流動性と多様な調達手段を確保することとしています。事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための戦略投資資金を、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく金融機関からの借入などの外部資金を有効に活用しています。資金調達にあたっては、安全性、資金効率化及び調達コストの抑制を図ることを基本方針としながら複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、十分な流動性を確保していると考えています。
b. 資産、負債、純資産
当連結会計年度末の総資産は、受取手形及び売掛金や投資有価証券が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ294億2百万円増加し5,190億81百万円となりました。また、負債合計は、長期借入金や未払金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ61億4百万円増加し2,043億10百万円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ232億98百万増加し3,147億70百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ1.0ポイント増加し、59.4%となりました。
0102010_011.png<キャッシュ・フロー>現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ15億45百万円増加し、1,012億円4百万円となりました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上等により、328億42百万円の収入(前期比17億9百万円の収入増)となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得等により、186億17百万円の支出(前期比4億35百万円の支出増)となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払やコマーシャル・ペーパーの償還等により、171億5百万円の支出(前期は、45億83百万円の収入)となりました。
0102010_012.png
2018年から2020年度までの中期経営計画 「Transformation 2020」では、利益成長及び資本効率向上により、オーガニックフリー・キャッシュ・フロー850億円以上(3年間累計)の創出を目指しました。この3年間で創出したオーガニックFCFは約688億円で、中長期的な企業価値の最大化に向けたM&Aやアライアンスを含む資本性成長投資(戦略投資)に約110億円を配分、配当還元の向上に努める中で株主還元に約265億円(配当性向:FY18:30.0%、FY19:61.8%、FY20:47.2%)を配分しました。
2021年から2023年までの中経営計画 「Accelerate Growth 2023」では、これまでの基本的な考え方に大きな変更はなく、事業を通じて創出したキャッシュは「中長期的な企業価値向上の最大化に向けた投資」に優先的に配分していきます。この考え方に基づき、資本性成長投資(戦略投資)としてM&A・アライアンスに700億円規模の成長投資枠を設けます。また、株主還元についても一定の財務基盤を確保することを前提に積極的な配当を行い、配当還元の向上を図ります。
成長戦略のための戦略投資および積極的な株主還元を実現するためには、それを支える財務基盤の維持も重要だと考えています。外部環境の急激な変化も含め、過去からの不連続なリスクを想定する中で、リスクが顕在化した場合でも「格付A格」を維持可能な株主資本水準を確保することを前提に、積極的な資金配分を行っていきます。
0102010_013.png
また、株主価値についてもこれまでの考え方から大きな変更はなく、株主資本コストを上回るTSR(株主総利回り)を実現し、中長期視点での株主価値の最大化を図っていきます。
成長投資により、「成長性」「収益性」を高め、さらにキャッシュフローを増大し、持続的な企業価値の向上を目指す中で、一定の財務基盤の確保を前提に積極的に配当還元の向上も図ります。
さらに、IR活動を通じて資本市場をはじめとするステークホルダーの皆様との対話を積極的に行うなかで、共通理解を深めるとともに、信頼の醸成を図り、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上も目指します。
0102010_014.png
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は会計方針の選択・適用、また、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、『第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)』に、会計上の見積りを行う上でのCOVID-19の影響に関する一定の仮定については、『第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)』に記載のとおりです。