有価証券報告書-第50期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/26 15:30
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界の経済情勢は、米国経済は引き続き堅調に推移いたしましたが、欧州におきましては、英国や仏国の政治不安の影響から成長ペースが鈍化し、また中国におきましては、年度後半にかけて米国との貿易摩擦の影響による景気の減速感が顕在化するなど、全体としては先行きの不透明感が強まりました。
わが国経済におきましては、企業収益や雇用・所得環境の改善が継続し、緩やかな景気拡大基調を維持しているものの、不安定な海外情勢の影響により、景気の下振れに注意が必要な状態となりました。
プリント配線板業界におきましては、技術革新の進展に伴い新技術や新製品の開発が進み、カーエレクトロニクス関連市場やIoT関連市場を中心に市場は拡大傾向にあります。しかしながら、銅を中心とした原材料価格の高止まりが収益に影響し、また企業の海外生産シフトの影響による国内市場の縮小化や競争激化は継続しており、業界全体としては厳しい状況が続いております。
このような状況のなか当社グループは、プリント配線板事業におきましては、市場が拡大するカーエレクトロニクス関連の受注は堅調に推移し、健康機器・産業機器向け等の電子応用関連の受注も好調に推移いたしましたが、価格競争が厳しい通信・事務機器関連におきましては選別受注を実施したことから受注が減少いたしました。生産活動では「『品質』で、社会に貢献する」を経営方針とし、更なる品質力及び製造力の強化に取り組みました。新基板の開発につきましては、配線を目で見ることができない透明フレキシブル基板(SPET-MM)や、直ぐに暖まる車載向け透明ヒーターフィルムの販売を当連結会計年度より開始し、主にカーエレクトロニクスの市場を拡大すべく取り組みました。検査機・ソリューション事業につきましては、プリント配線板外観検査機(VISPERシリーズ)は海外市場を中心に販売活動を展開し、また各種ソリューションビジネス商品は取り扱いラインナップを更に充実して、国内市場を中心に販売数を伸ばしました。
この結果、当連結会計年度における売上高は28,632百万円となり、前連結会計年度に比べ110百万円(0.4%)の増収となりました。
営業損益につきましては、売上高は増収となったものの、原材料価格高騰の影響や製品仕入高の増加により製造原価率が上昇した結果、362百万円の営業利益となり前連結会計年度に比べ75百万円(△17.3%)の減益となりました。
経常損益につきましては、持分法による投資利益は増加したものの、営業利益が減益となったことや為替相場の変動に伴い前年同期に発生した為替差益が為替差損に転換した結果、275百万円の経常利益となり、前連結会計年度に比べ239百万円(△46.5%)の減益となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、経常利益が減益となったこと、また過年度法人税等の計上や当連結会計年度も繰延税金資産の一部を取り崩すことになった結果、前年同期比では281百万円減益となる226百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。
(プリント配線板事業)
プリント配線板事業につきましては、カーエレクトロニクス関連の受注は堅調に推移し、電子応用関連の受注も好調に推移いたしましたが、価格競争が厳しい通信・事務機器関連におきましては選別受注を実施したことから受注が減少した結果、売上高は27,571百万円となり、前連結会計年度に比べ31百万円(0.1%)の増収となりました。損益面につきましては、売上高は増収となったものの、年度前半にかけてUSドルに対する中国元のレートが元高で推移したことに加え、原材料価格の高騰の影響、製品仕入高の増加等により製造原価率が上昇した結果、308百万円の営業利益となり、前連結会計年度に比べ50百万円(△14.0%)の減益となりました。
(検査機・ソリューション事業)
検査機・ソリューション事業につきましては、各種ソリューションビジネス商品が国内市場を中心に売り上げが伸びた結果、売上高は1,026百万円となり、前連結会計年度に比べ94百万円(10.2%)の増収となりました。損益面につきましては、売上高は増収となったもののプリント配線板外観検査機が海外での価格競争激化の影響で利益率が低下した結果、81百万円の営業利益となり、前連結会計年度に比べ3百万円(△3.8%)の減益となりました。
また、財政状態につきましては次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、21,997百万円(前連結会計年度末比256百万円減)となりました。その内訳は、流動資産が12,140百万円(前連結会計年度末比119百万円減)、固定資産が9,856百万円(前連結会計年度末比136百万円減)であり、主な増減要因は次のとおりであります。
流動資産につきましては、受取手形及び売掛金が56百万円、電子記録債権が63百万円、製品が334百万円、仕掛品が78百万円増加いたしましたが、現金及び預金が573百万円減少したことによるものであります。固定資産につきましては、無形固定資産が51百万円、投資その他の資産が81百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、18,846百万円(前連結会計年度末比313百万円増)となりました。その内訳は、流動負債が13,525百万円(前連結会計年度末比96百万円増)、固定負債が5,320百万円(前連結会計年度末比216百万円増)であり、主な増減要因は次のとおりであります。
流動負債につきましては、支払手形及び買掛金が127百万円、その他が553百万円減少いたしましたが、電子記録債務が355百万円、短期借入金が433百万円増加したことによるものであります。固定負債につきましては、退職給付に係る負債が25百万円、その他が80百万円減少しましたが、長期借入金が347百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、3,150百万円(前連結会計年度末比569百万円減)となりました。主な増減要因は、利益剰余金が296百万円、為替換算調整勘定が235百万円減少したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は1,863百万円となり、前連結会計年度末と比べて573百万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは805百万円の獲得となり、前連結会計年度末と比べて204百万円の獲得増加となりました。その主な増減要因は、当連結会計年度は、税金等調整前当期純利益が223百万円減益となりましたが、仕入債務の増減額が448百万円増加したことや、売上債権の増減額が221百万円減少したことにより、資金流出が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における投資活動によるキャッシュ・フローは1,735百万円の流出となり、前連結会計年度末と比べて333百万円の流出増加となりました。その主な増減要因は、当連結会計年度では、有形固定資産の取得による支出が320百万円増加したことや、補助金の受取額が29百万円減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における財務活動によるキャッシュ・フローは425百万円の獲得となり、前連結会計年度末と比べて568百万円の獲得減少となりました。その主な増減要因は、当連結会計年度では、短期借入金の純増減額が394百万円増加しましたが、長期借入れによる収入が571百万円減少したことや、長期借入金の返済による支出が200百万円増加したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度におけるプリント配線板事業の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
生産高(百万円)前年同期比(%)
片面プリント配線板15597.8
両面プリント配線板15,432134.2
多層プリント配線板9,230109.4
合計24,818123.5

(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「検査機・ソリューション事業」については、社内生産を行っていないため記載を省略しております。
b. 受注実績
当連結会計年度におけるプリント配線板事業の受注実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
受注高
(百万円)
前年同期比
(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比
(%)
片面プリント配線板15579.5957.5
両面プリント配線板14,575100.21,64691.8
多層プリント配線板10,46697.81,12883.3
その他1,30799.484154.3
合計26,50599.02,86989.1

(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「その他」の欄には、「プリント配線板事業」における片面・両面・多層プリント配線板以外の品目が含まれております。
4 受注実績においては、「プリント配線板事業」が大部分を占めるため、「検査機・ソリューション事業」についての記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
販売高(百万円)前年同期比(%)
プリント配線板事業
片面プリント配線板16281.7
両面プリント配線板14,722100.8
多層プリント配線板10,69298.6
その他1,993105.6
27,571100.1
検査機・ソリューション事業955106.9
その他104118.9
合計28,632100.4

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「プリント配線板事業」については、品目別に示しております。
4 プリント配線板事業「その他」の欄には、「プリント配線板事業」における片面・両面・多層プリント配線板以外の品目が含まれております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度の経営成績は、当社主力のプリント配線板事業において、市場が拡大するカーエレクトロニクス関連の受注は堅調に推移し、健康機器・産業機器向け等の電子応用関連が好調に推移したものの、価格競争が厳しい通信・事務機器関連は選別受注を実施したことから受注が減少いたしました。この結果、売上高は28,632百万円(前連結会計年度比0.4%増)と前連結会計年度と比較して110百万円の増収となりました。
(売上原価)
売上高は増収となったものの、原材料価格高騰に伴う製造原価の増加、また製品仕入高も増加となったことにより、売上原価は24,269百万円(前連結会計年度比0.7%増)と前連結会計年度と比較して178百万円増加いたしました。また、売上総利益は4,363百万円(前連結会計年度比1.6%減)と前連結会計年度と比較して68百万円減少いたしました。
(営業損益)
原材料価格高騰に伴う製造原価の増加や製品仕入高の増加により売上総利益が減少したこと、また販売費及び一般管理費も微増となったことにより、当連結会計年度の営業利益は362百万円(前連結会計年度比17.3%減)と前連結会計年度と比較して75百万円の減益となりました。
(営業外損益)
中国にある海外子会社が国からの技術補助金を受領したこと、持分法による投資利益が増加したことなどにより、営業外収益は365百万円(前連結会計年度比16.9%増)となりました。一方、支払利息の増加や為替差損の発生により営業外費用は452百万円(前連結会計年度比92.0%増)となりました。この結果、営業外損益の純額は前連結会計年度と比較して163百万円減少いたしました。この結果、当連結会計年度の経常利益は275百万円(前連結会計年度比46.5%減)となり、前連結会計年度と比較して239百万円の減益となりました。
(特別損益)
当連結会計年度につきましては、受取保険金が前連結会計年度に比べ減少したことにより特別利益は111百万円減少いたしました。一方、当連結会計年度は災害による損失の発生がなかったことから特別損失は127百万円減少し、特別損益の純額は前連結会計年度と比較して16百万円増加いたしました。この結果、税金等調整前当期純利益は250百万円(前連結会計年度比47.2%減)となり、前連結会計年度と比較して223百万円の減益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、過年度法人税を計上することになったことや繰延税金資産を一部取り崩すこととなった結果、226百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となり、前連結会計年度と比較して281百万円の減益で、赤字転換となりました。
③ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び検討内容
セグメントごとの財政状態につきましては、当社は報告セグメントに資産を分配していないため、記載を省略しております。
また、経営成績の状況に関する認識及び検討内容につきましては、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであり、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資金需要)
当社グループの運転資金の主たるものは、当社グループの製品製造に必要な原材料及び外注加工費のほか、製造経費、販売費及び一般管理費の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは、給料手当等の人件費及び製品送達にかかわる運賃荷造費であります。
また、設備資金としてプリント配線板の生産設備に対する設備投資がありますが、その重要性、緊急性を充分に勘案し、必要なものに絞り設備投資を実施しております。
(財務政策)
当社グループは、主にプリント配線板の製造販売事業を行うための設備投資計画や販売計画に照らし、必要な資金(主に長期性の銀行借入)を調達しております。一時的な余資は安全性の高い金融資産で運用し、また、短期的な運転資金を1年以内返済の銀行借入によって調達しております。
なお、事業展開で必要とされる資金需要に対する安定的、効率的な資金調達手段の確保及び資金調達の柔軟性・機動性の向上を図るために、シンジケート方式によるコミットメント期間付タームローン契約を締結しております。