有価証券報告書-第74期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/21 16:12
【資料】
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【項目】
162項目
(業績等の概要)
(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、米中間の通商問題などの影響により、景気の下振れに一部警戒感があるものの、比較的安定した成長が継続しました。
米国では税制改革による企業収益の増加により、雇用拡大や個人所得の改善を受け、景気は堅調に推移しました。欧州においては、個人消費を中心とした内需の拡大により、景気の回復が続きました。また、日本については、企業収益や雇用、所得環境の改善が続き、緩やかな回復基調で推移しました。中国やその他新興国では、堅調な輸出を背景に景気は良好に推移しました。
しかしながら、英国のEU離脱問題や中国経済の見通しに対する懸念など、当社を取り巻く環境は、依然として先行きが不透明な状況で推移しました。
このような状況のなか、2018年のグローバル四輪車販売は暦年で94,790千台(前年比0.5%減)と微減となりました。米国は金利上昇、販売奨励金の調整があったものの、SUVの販売好調により暦年で17,334千台(前年比0.6%増)と2年ぶりに前年を上回りました。中国は米中間の通商問題、減税終了等があり、暦年で28,081千台(前年比2.8%減)と28年ぶりに前年を下回りました。欧州は堅調に推移していたものの、新排ガス規制導入により販売が鈍化し、暦年で15,624千台(前年比0.1%減)と5年ぶりに減少となりました。
日本においては、5,260千台(前年度比1.2%増)と3年連続の増加となりました。登録車は3,337千台(前年度比0.1%減)で2年連続の減少となったものの、軽自動車は新車効果により1,923千台(前年度比3.4%増)と2年連続の増加となり、全体の伸びを支えました。
一方、グローバル二輪車販売は、最大市場であるインドでの10年連続の増加に牽引され堅調に推移しました。
日本においては、原付第二種の大幅な増加はあったものの、メインの原付第一種の減少により、全体で335千台(前年度比4.0%減)と5年連続で前年度を下回りました。
このような環境のなか、当社グループの連結売上高は333,278百万円(前期比13.9%減)、連結営業利益は、材料費及び不具合対応費用の高止まりに加え、米中貿易摩擦による追加関税の影響により、10,956百万円(前期比42.6%減)、連結経常利益は、10,711百万円(前期比46.6%減)となりました。また、米国集団民事訴訟の和解金と繰延税金資産の取崩し等により、親会社株主に帰属する当期純損失は、7,021百万円(前期は6,528百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。なお、前連結会計年度は、欧州を除く海外の連結子会社13社につきまして、決算日を3月31日へ変更し、15か月決算で連結損益計算書を作成しております。
事業の種類別セグメント情報は次のとおりであります。
輸送用機器関連事業は、中国の自動車生産減少に伴い、売上高は316,953百万円(前期比14.8%減)となりました。また、不具合対応費用等の発生で、営業利益は9,814百万円(前期比45.5%減)となりました。
情報サービス事業は、公共分野や民間分野の受注拡大と収益構造の改善に取り組み、売上高は15,514百万円(前期比11.3%増)、営業利益は768百万円(前期比9.1%増)となりました。
その他事業は、売上高は6,933百万円(前期比9.9%増)、営業利益は394百万円(前期比16.1%増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当社は、現在及び将来の事業活動のための適切な水準の流動性の維持及び機動的・効率的な資金の確保を財務活動の基本的な方針とし、連結営業利益計画の達成と、営業キャッシュ・フローの確保を優先に活動しております。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ18,182百万円減少し、当連結会計年度末には58,096百万円となりました。
なお、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは、30,643百万円のマイナス(前期は19,281百万円のマイナス)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、6,157百万円(前期比12.6%増)となりました。この主な要因は、減価償却費17,328百万円と、たな卸資産の増加額7,075百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、33,374百万円(前期は19,876百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、8,154百万円(前期は16,385百万円)となりました。これは主に長期借入れによる収入によるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
輸送用機器関連事業(百万円)305,91584.7
情報サービス事業(百万円)12,908109.1
その他事業(百万円)3,75089.3
合計(百万円)322,57485.5

(注) 1.金額は販売価格に換算しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
輸送用機器関連事業312,55184.110,62099.7
情報サービス事業13,582123.12,785105.6
その他事業2,25497.044286.5
合計328,38885.313,848100.3

(注) 1.金額は販売価格に換算しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
輸送用機器関連事業(百万円)316,37085.2
情報サービス事業(百万円)13,157111.2
その他事業(百万円)3,75089.3
合計(百万円)333,27886.1

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
本田技研工業㈱22,6005.823,0846.9


(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、期末日における資産、負債及び会計期間における収益、費用に影響する見積りや仮定を使用する必要があり、製品保証引当金、賞与引当金等がこれに当たります。これらは、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項に記載されております。
(2) 財政状態の分析
(資産・負債・純資産)
当連結会計年度における資産の合計は、334,679百万円(前連結会計年度は337,269百万円)となり、2,590百万円減少しました。流動資産は186,962百万円となり11,073百万円減少し、固定資産は147,717百万円となり8,483百万円増加しました。
流動資産は、現金及び預金が17,357百万円減少したことが主な要因です。
固定資産は、建設仮勘定が11,366百万円増加したことが主な要因です。
当連結会計年度における負債の合計は261,941百万円(前連結会計年度は254,038百万円)となり、7,902百万円増加しました。流動負債は124,652百万円となり14,841百万円減少し、固定負債は137,288百万円となり22,743百万円増加しました。
流動負債は、短期借入金が6,358百万円減少したことが主な要因です。
固定負債は、長期借入金が18,921百万円増加したことが主な要因です。
当連結会計年度における純資産の合計は、72,738百万円(前連結会計年度は83,231百万円)となり、10,492百万円減少しました。これは利益剰余金が9,051百万円減少したことが主な要因です。
(3) 経営成績の分析
(売上高・営業利益)
当連結会計年度における連結業績は、中国の自動車生産の減少で売上は減少しました。売上高は333,278百万円(前連結会計年度は387,186百万円)となり、53,907百万円減少となりました。利益につきましては、不具合対応費用等の高止まりと、米中貿易摩擦による追加関税の影響で、営業利益は10,956百万円(前連結会計年度は19,103百万円)となり、8,146百万円減少しました。
(経常利益)
当連結会計年度は、営業外収益で3,260百万円となり、281百万円減少しました。主に受取配当金504百万円と持分法による投資利益966百万円になります。営業外費用は3,505百万円となり、915百万円増加しました。主に支払利息1,651百万円と為替差損982百万円の発生により、経常利益は10,711百万円で前期比9,343百万円減少しました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は、和解金3,526百万円と固定資産除却損1,445百万円を特別損失として計上し、税金等調整前当期純利益は3,853百万円(前連結会計年度は9,127百万円)となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純損失は7,021百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失6,528百万円)となり、前期比492百万円の減少となりました。
(4) 資金の財源及び資金の流動性についての分析
当社の営業活動によるキャッシュ・フローは、主に製品を生産するための原材料や部品調達の支出と、製造費用や販売費及び一般管理費に計上する費用に資金を消費しております。また、設備投資資金は、生産設備を取得し生産体制の構築や情報システムの整備等に支出しております。これらの必要資金は、利益と減価償却費の内部資金により賄うことを基本方針としております。
当連結会計年度におきましては、量産設備増強等の設備投資を継続的に実施したことで、金融機関からの借入れによる資金調達をいたしました。当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度の76,278百万円から18,182百万円減少し、58,096百万円となりました。また、流動比率は150.0%となり前連結会計年度に比べ8.0%増加しました。