有価証券報告書-第80期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/25 14:00
【資料】
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【項目】
178項目
(業績等の概要)
(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、緩やかな回復基調を維持しているものの、ロシア・ウクライナ戦争を機とした欧州での経済停滞の長期化、中国経済の減速や、米国新政権の誕生、地政学的なリスクやエネルギー価格の変動が影響を及ぼしました。国内においては、材料・エネルギー価格の上昇や円安に伴う物価上昇が続き、一時的な停滞感を強めたものの、年央以降は個人消費の復調や好調なインバウンド需要により回復基調を維持しました。
自動車業界におきましては、2024年のグローバル四輪車販売が暦年で88,637千台(前年比1.6%減)となりました。米国は、追加関税前の駆け込み需要により、暦年で15,977千台(前年比2.4%増)と2年連続で前年を上回りました。欧州は、暦年で12,964千台(前年比0.9%増)と2年連続で前年を上回りました。中国は、政府の買い替え補助金政策により、暦年で31,436千台(前年比4.5%増)と4年連続で前年を上回りました。日本においては、2024年度は4,576千台(前年度比1.1%増)と3年連続で前年を上回りました。登録車は2,948千台(前年度比1.5%増)と3年連続で増加、軽自動車は1,627千台(前年度比0.1%増)と2年ぶりに増加となりました。
また、グローバル二輪車販売は、最大市場であるインドが堅調な需要やインフラ投資などにより、暦年で19,543千台(前年比14.5%増)と4年連続で前年を上回りました。インドネシアは、暦年で6,333千台(前年比1.5%増)と4年連続で前年を上回りました。
日本は、原付第二種と軽二輪車の減少により、2024年度で320千台(前年度比15.1%減)と2年連続で前年を下回りました。
このような状況の下、当社グループにおきましては、中期経営計画(2023年度-2027年度)の2年目となり、重点施策である「モビリティ進化への対応」「経営基盤の強化」「財務体質の健全化」を、計画達成に向け引続き推進しております。
この結果、当連結会計年度の連結業績は、日本・中国エリアの四輪販売が低迷する一方、インド・インドネシアを中心とした二輪販売は堅調に推移したため、連結売上高は349,353百万円(前期比1.5%増)、連結営業利益は20,930百万円(前期比1.1%減)、連結経常利益は19,788百万円(前期比11.4%減)となりました。また、中国・トルコ拠点等で減損損失1,607百万円の計上があったため、税金等調整前当期純利益は18,091百万円(前期比2.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は11,864百万円(前期比13.7%減)となりました。
事業の種類別セグメント業績は次のとおりであります。
輸送用機器関連事業は、前述のとおり、売上高は323,344百万円(前期比0.0%増)、セグメント利益は18,160百万円(前期比2.4%減)となりました。
情報サービス事業は、車載系組込ソフトウエア開発支援業務、製造業向けAMOサービス※ などのITエンジニアリングサービスや警察向け及びガス事業者向けシステムの販売が堅調に推移したことから、売上高は22,486百万円(前期比23.7%増)となり、セグメント利益は2,165百万円(前期比18.1%増)となりました。
その他事業は、主に公共事業の売上増加により、売上高は7,660百万円(前期比18.9%増)となりましたが、セグメント利益は587百万円(前期比15.7%減)となりました。
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(2) キャッシュ・フロー
当社は、現在及び将来の事業活動のための適切な水準の流動性の維持及び機動的・効率的な資金の確保を財務活動の基本的な方針とし、連結営業利益計画の達成と、営業キャッシュ・フローの確保を優先に活動しております。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,348百万円減少し、当連結会計年度末は97,142百万円となりました。
なお、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは、31,141百万円のプラス(前期は36,267百万円のプラス)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、38,023百万円(前期比8.4%減)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益18,091百万円及び売上債権の減少1,428百万円、棚卸資産の減少3,684百万円、仕入債務の増加4,745百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、6,881百万円(前期は5,241百万円)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が8,785百万円となった一方、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が1,168百万円あったものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は、33,924百万円(前期は13,793百万円)となりました。この主な要因は、短期借入金及び長期借入金の返済による支出12,893百万円、自己株式の取得による支出20,096百万円によるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
前期比(%)
輸送用機器関連事業(百万円)320,81299.9
情報サービス事業(百万円)19,861125.7
その他事業(百万円)6,161117.9
合計(百万円)346,836101.4

(注) 金額は販売価格に換算しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)
輸送用機器関連事業327,473101.413,350147.9
情報サービス事業20,279125.13,21897.9
その他事業4,60276.496138.1
合計352,354102.117,530118.2

(注) 金額は販売価格に換算しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
前期比(%)
輸送用機器関連事業(百万円)322,844100.0
情報サービス事業(百万円)20,347125.5
その他事業(百万円)6,161118.0
合計(百万円)349,353101.5

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
当連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
本田技研工業㈱20,7906.021,1106.0


(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠し作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、資産、負債及び収益、費用等の額の算定に際して、過去の実績や状況を分析し、様々な要因を考慮して、その時点で最も合理的であると考えられる基準に基づいて見積りや判断を行っておりますが、実際の結果は、見積りに内在する不確実性があるため、これら見積り時の計上金額と大幅に異なる結果となる可能性があります。
連結財務諸表に関して、当社グループが認識している特に重要な会計方針は、以下のとおりです。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産は、主として将来の課税所得の見込みに基づき、回収可能性を慎重に検討し計上しております。回収の実現性が低いと判断した場合には、適正と考えられる金額へ減額する可能性があります。
(製品保証引当金)
製品保証引当金は、販売された製品のうち、返品による交換費用や再生産出来なくなった場合に発生する廃棄費用、さらに取引先において当社製品取り付け後に不具合が生じた場合に発生する取り外し工賃等に備えるため、過去3年間の製品保証費及び売上高から計算される平均返品率に基づき計上しております。また、発生額を個別に見積ることができる費用については、販売台数や販売単価、回収可能率に基づき見積額を試算し、計上しております。
当社及び連結子会社は、製品保証引当金が適切な金額かどうかを常に確認しており、発生が見込まれる製品保証関連費用について、必要かつ十分な金額を計上していると考えております。
実際に発生する製品保証関連費用は、それらの見積りと異なることがあり、製品保証引当金の計上が大きく修正される可能性があります。
(事業構造改善引当金)
事業構造改善引当金は、事業構造の改善に伴い発生することが見込まれる損失に備えるため、当連結会計年度末で合理的に見積ることが可能なものについて、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を計上しております。当該見積りには、事業構造改革に基づき実施する拠点統廃合により発生する設備移設等の業務移管関連費用及び割増退職金等の人件費見込みなどの仮定を用いております。
当社及び連結子会社は、発生が見込まれる事業構造改善費用について、必要かつ十分な金額を計上していると考えておりますが、当該見積り及び当該仮定について、事業戦略の見直しや外部環境の変化等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する事業構造改善引当金の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(固定資産の減損)
固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、資産グループに関連する営業損益、営業キャッシュ・フローの水準を基に減損の兆候の検討を行い、減損の兆候が認められる場合、減損損失を認識するかどうかの判定を行っております。判定の結果、当初想定した投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、固定資産の減損処理を行う可能性があります。
(2) 財政状態の分析
(資産・負債・純資産)
当連結会計年度における資産の合計は、333,534百万円(前連結会計年度は357,492百万円)となり、23,958百万円減少しました。流動資産は210,648百万円となり10,333百万円減少し、固定資産は122,886百万円となり13,624百万円減少しました。
流動資産の減少は、現金及び預金が4,332百万円、売掛金が3,365百万円、それぞれ減少したことが主な要因です。
固定資産の減少は、機械装置及び運搬具が7,735百万円、保有株式の時価評価等により投資有価証券が2,097百万円、それぞれ減少したことが主な要因です。
当連結会計年度における負債の合計は222,648百万円(前連結会計年度は234,911百万円)となり、12,263百万円減少しました。流動負債は152,281百万円となり16,293百万円減少し、固定負債は70,366百万円となり4,030百万円増加しました。
流動負債の減少は短期借入金が15,515百万円減少したことによるもので、固定負債の増加は長期借入金が3,015百万円増加したことによるものであり、これらは、金融機関への短期借入金返済及びシンジケートローン組成による短期借入金の長期借入金への借り換えが主な要因です。
当連結会計年度における純資産の合計は、110,886百万円(前連結会計年度は122,581百万円)となり、11,695百万円減少しました。これは利益剰余金が10,995百万円増加した一方、A種種類株式及びC種種類株式の買入消却等により資本剰余金が11,640百万円減少したことが主な要因です。
(3) 経営成績の分析
(売上高・営業利益)
当連結会計年度における連結業績は、日本・中国エリアの四輪販売が低迷する一方、インド・インドネシアを中心とした二輪販売は堅調に推移したため、売上高は349,353百万円(前連結会計年度は344,154百万円)となり、5,198百万円増加し、営業利益は20,930百万円(前連結会計年度は21,152百万円)となり、222百万円減少しました。
(経常利益)
当連結会計年度は、営業外収益が4,801百万円となり、506百万円減少しました。主なものは受取利息1,954百万円、受取配当金550百万円、持分法による投資利益535百万円になります。営業外費用は5,944百万円となり、1,827百万円増加しました。主なものは支払利息2,363百万円、為替差損1,224百万円、支払手数料586百万円、外国源泉税501百万円になります。経常利益は19,788百万円で、前期比2,556百万円の減少となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は、中国・トルコ拠点等で減損損失1,607百万円を計上した結果、2,913百万円の特別損失を計上しております。一方、子会社株式売却益419百万円等の計上もあり、税金等調整前当期純利益は18,091百万円(前連結会計年度は18,516百万円)となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は11,864百万円(前連結会計年度は13,741百万円)となり、前期比1,877百万円の減少となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の営業活動によるキャッシュ・フローは、主に製品を生産するための原材料や部品調達の支出と、製造費用や販売費及び一般管理費に計上する費用に資金を消費しております。また、設備投資資金は、生産設備を取得し生産体制の構築や情報システムの整備等に支出しております。これらの必要資金は、利益と減価償却費の内部資金により賄うことを基本方針としております。
当連結会計年度におきましては、2024年6月28日に第三者割当の方法によるD種種類株式発行により、総額100億円の出資を受けている他、2024年9月30日に取引金融機関との間のコミットメントライン契約150億円のコミットメント期間の期日更新をおこなっており、直近の資金繰りに支障は生じておりません。当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度の101,490百万円から4,348百万円減少し、97,142百万円となりました。また、流動比率は138.3%となり前連結会計年度に比べ7.2ポイント増加しました。