有価証券報告書-第157期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(業績等の概要)
(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、前連結会計年度より続く新型コロナウイルス感染症が拡大する中、各国の政策対応や、ワクチン接種などにより一部には回復の兆しも見られましたが、第二波、第三波や変異ウイルスの出現等の影響もあり、厳しい状況が続きました。
事業別では、映像事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりデジタルカメラ市場は一時的に大幅な需要減少が見られましたが、下半期以降に急速な回復が見られました。精機事業においては、FPD関連分野は中小型パネル用、大型パネル用、いずれも設備投資は堅調に推移しました。半導体関連分野の設備投資は回復基調となりました。ヘルスケア事業においては、バイオサイエンス分野及び眼科診断分野ともに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、市況は総じて低調に推移しましたが、第3四半期以降は持ち直しの動きが見られました。
当社グループでは、2019年5月に発表した中期経営計画のもと、持続的・中長期的な企業価値向上を実現すべく、各種施策にまい進しました。
まず、映像事業の構造改革に取り組むとともに、生産・販売体制再編、要員の最適化と成長領域へのリソースシフトによる既存事業の収益力強化及びコスト改革に努めました。また、新たな収益の柱の創出に向け、材料加工事業を拡大すべく、光を使った独自性の高い製品の開発・販売に努める一方、アライアンス、M&Aの可能性を探索しました。加えて、新型コロナウイルス感染症拡大への対策として、事業の現地化や業務のデジタル化に取り組みました。さらに、ガバナンス体制の強化のため、取締役会の多様性拡大、実効性強化にも努めました。
このような状況の下、当社グループの連結業績は、売上収益は4,512億23百万円、前期比1,397億88百万円(23.7%)の減収、営業損失は562億41百万円(前期は67億51百万円の営業利益)、税引前損失は453億42百万円、(前期は118億64百万円の税引前利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失は344億97百万円(前期は76億93百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。
セグメント情報は次のとおりです。
なお、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 6 事業セグメント (1) 報告セグメントの概要 (報告セグメントの変更に関する事項)」に記載のとおり、当連結会計年度より報告セグメントに変更があり、以下の前期比較においては、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しています。
① 映像事業
レンズ交換式デジタルカメラは、フルサイズミラーレスカメラ「Z 7Ⅱ」「Z 6Ⅱ」の販売が好調に推移しました。また、ミラーレスカメラ用交換レンズのラインナップを拡充させ、プロ・趣味層向け中高級機の拡販に努めました。
しかしながら、市場の縮小傾向に加えて新型コロナウイルス感染症拡大の影響による需要低迷もあり、販売台数は減少しました。
これらの結果、当事業の売上収益は1,502億18百万円、前期比33.5%減、固定資産の減損損失や構造改革関連費用を計上したこともあり、営業損失は357億79百万円(前期は171億53百万円の営業損失)となりました。
② 精機事業
FPD露光装置分野は、2020年7月から据付作業を再開し、全体としては販売台数が増加したものの、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う渡航制限等の影響により、第10.5世代プレートサイズ対応装置の販売台数が減少し、減収減益となりました。
半導体露光装置分野では、主要顧客の投資一巡等の影響もあり、販売台数が減少し、減収となりました。また一部装置等の棚卸資産廃棄・評価損及び固定資産の減損損失を計上したこともあり、減益となりました。
これらの結果、当事業の売上収益は1,847億77百万円、前期比24.6%減、営業利益は14億円、前期比97.1%減となりました。
③ ヘルスケア事業
バイオサイエンス分野、眼科診断分野ともに新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、上半期は事業全体として減収となりましたが、眼科診断分野が好調で過去最高の売上を計上したことにより、通期では増収となりました。
これらの結果、当事業の売上収益は628億48百万円、前期比1.3%増となり、いずれの分野でも収益性改善が進みましたが、固定資産の減損を計上したことにより、営業損失は30億91百万円(前期は24億55百万円の営業損失)となりました。
④ 産業機器・その他
産業機器事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う顧客の投資抑制や販売活動の制約により減収となりましたが、経費の抑制に努めたほか、前期にはのれんの減損を計上したこともあり、増益となりました。
デジタルソリューションズ事業では、光学部品・光学コンポーネントやエンコーダの販売が好調に推移し、増収となりました。
カスタムプロダクツ事業では、宇宙関連が増収となりましたが、固体レーザーは減収となりました。
この結果、これらの事業等を含む売上収益は533億81百万円、前期比8.1%減、また、国内生産拠点の映像事業に関連する固定資産の減損損失や子会社の土壌改良費用を計上したことにより、営業損失は26億26百万円(前期は18億95百万円の営業利益)となりました。
(注) 事業別の営業損益には、当社グループ内取引において生じた損益を含んでおります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前損失の計上や前受金の減少、仕入債務及びその他の債務の減少、法人所得税の支払があった一方、減価償却費及び償却費280億27百万円、減損損失260億54百万円の計上に加え、売上債権及びその他の債権の減少、棚卸資産の減少により、49億66百万円の収入(前年同期は164億19百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が169億65百万円、無形資産の取得による支出が61億34百万円あった一方、投資有価証券の売却による収入が387億54百万円あったことにより180億24百万円の収入(前年同期は212億81百万円の支出)となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入が198億94百万円あった一方、リース負債の返済による支出、配当金の支払、社債の償還による支出により49億91百万円の支出(前年同期は727億39百万円の支出)となりました。
また、現金及び現金同等物に係る換算差額は97億66百万円の増加となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ277億65百万円増加し、3,517億98百万円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は製造者販売価格によって算出し、付属品仕入額を含み、消費税等は含んでおりません。
(2) 受注状況
当連結会計年度における受注残高は、次のとおりであります。
なお、精機事業を除いては見込生産を主としておりますので記載を省略しております。
(注) 金額には、消費税等は含んでおりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社グループは、主要な顧客グループであるIntel Corporation及びそのグループ会社に対し、精機事業及び産業機器・その他において、前連結会計年度に107,347百万円(総販売実績に占める割合:18.2%)、当連結会計年度に53,230百万円(総販売実績に占める割合:11.8%)の販売をしております。
2.金額には、消費税等は含んでおりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上や、グループ内の会計基準統一による経営基盤の強化を目指し、2017年3月期有価証券報告書における連結財務諸表からIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.見積り及び判断の利用」をご参照ください。
(2) 財政状態の分析
当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べて161億44百万円減少し、9,897億37百万円となりました。これは主に、現金及び現金同等物が277億65百万円、保有する株式の時価上昇等により非流動資産に含まれるその他の金融資産が70億22百万円それぞれ増加した一方、有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産が260億29百万円、売上債権及びその他の債権が148億79百万円、棚卸資産が107億70百万円それぞれ減少したためです。
当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べて131億10百万円減少し、4,510億11百万円となりました。これは主に、社債の発行により社債が198億円94百万円増加した一方、社債の償還により社債が100億円、前受金が127億84百万円、仕入債務及びその他の債務が82億41百万円それぞれ減少したためです。
当連結会計年度末における資本の残高は、前連結会計年度末に比べて30億34百万円減少し、5,387億26百万円となりました。これは主に、在外営業活動体の換算差額の増加や保有する株式の時価上昇等によりその他の資本の構成要素が253億69百万円増加した一方、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上や剰余金の配当処分により利益剰余金が285億96百万円減少したためです。
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(3) 経営成績の分析
当連結会計年度における売上収益は4,512億23百万円(前連結会計年度は5,910億12百万円)となり、1,397億88百万円の減収となりました。映像事業はミラーレスカメラは拡販によりボディ・レンズともに販売台数を伸ばし増収も、市場縮小に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により全体としては販売台数が大幅に減少し、756億76百万円の減収となりました。精機事業は、FPD露光装置の販売台数自体は増加したものの、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う渡航制限等の影響により、第10.5世代プレートサイズ対応装置の販売台数が減少、また半導体露光装置の販売は主要顧客の投資一巡に加え、一部顧客で新型コロナウイルス感染症拡大の影響による装置納入や受注遅延もあり、装置販売台数が大幅に減少し、602億52百万円の減収となりました。
売上原価は主に精機事業において、今後の活用見込の精査や設備転用等を実施した結果、253億92百万円の棚卸資産廃棄・評価損を計上したものの、映像事業におけるレンズ交換式デジタルカメラ及びコンパクトデジタルカメラの販売台数減少や精機事業における第10.5世代プレートサイズ対応のFPD露光装置及び半導体露光装置の販売台数減少により、736億60百万円減の2,953億18百万円(前連結会計年度は3,689億78百万円)となりました。
販売費及び一般管理費は売上収益の減収に伴い、また広告宣伝費及び販売促進費等の抑制に努めた結果、243億59百万円減の1,813億39百万円(前連結会計年度は2,056億98百万円)となりました。
その他営業収益は、前連結会計年度に計上した遊休地の売却に伴う土地売却益が減少したこと等により、30億84百万円減の33億63百万円となりました。その他営業費用は、減損損失259億31百万円や構造改革関連費用43億43百万円を計上し、341億70百万円となりました。将来における中長期の事業環境の動向や新型コロナウイルス感染症拡大を始めとする様々な事業活動への影響を勘案した将来キャッシュ・フローの予測に基づき、減損判定を実施した結果、映像事業、精機事業、ヘルスケア事業、産業機器・その他において、減損損失が発生しました。また、映像事業において、持続可能なビジネスモデルへの転換を図るため、生産・販売拠点の再編、要員最適化を進めた結果、産業機器・その他において、生産拠点の再編を実施した結果、割増退職金等の構造改革関連費用が発生しました。
これらの結果、営業損失は562億41百万円(前連結会計年度は67億51百万円の営業利益)となり、629億92百万円の減益となりました。
また、金融収益として、投資先であるBerkeley Lights, Inc. (本社:米国)が新規株式公開を行ったことに伴う有価証券評価益57億96百万円等を計上したものの、629億92百万円の営業減益が大きく影響し、453億42百万円の税引前当期損失(前連結会計年度は118億64百万円の税引前当期利益)となり、572億6百万円の減益となりました。
親会社の所有者に帰属する当期損失は法人所得税費用マイナス108億32百万円の計上により344億97百万円(前連結会計年度は76億93百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。なお、当社グループの課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を、またセグメント別の分析は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要) (1)業績」をそれぞれご参照ください。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、一定の財務健全性の確保を前提に置きながら、投資資本の運用効率を重視し、持続的な成長のために資本コストを上回る収益が見込める投資(設備投資、研究開発、М&A等)に資金を活用することで企業価値の最大化を実現すると同時に、安定的な株主還元を実施することで株主の要求にも応えることを資本管理の方針としております。
運転資金や設備投資資金については、現在保有する現金や預金に加え、営業キャッシュ・フローを源泉とした資金で賄うことを原則としております。また、国内外のグループ会社が保有する資金をグローバル・キャッシュ・マネージメント・システムにより効率的に管理し、各グループ会社の運転資金や設備投資資金のため、グループ内の資金を有効活用しております。
なお、当社は市場の混乱や、当社が事業を遂行する上でのリスクに晒されているため、こうした要因が資金繰りを圧迫する事態への備えとして十分な手元流動性(現預金、コミットメントライン等)の確保に努めており、新型コロナウイルス感染症拡大影響等による事業環境の急激な変化を前提としても当面安定的な経営が可能な状態にあります。
当社グループの資金状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますとおり、当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは49億66百万円の収入となり、投資活動によるキャッシュ・フローは180億24百万円の収入であったため、229億90百万円のプラスのフリー・キャッシュ・フローとなりました。また、有利子負債を控除したネットキャッシュ残高は2,041億70百万円になりました。
なお、当連結会計年度後1年間の設備投資計画は370億円を予定しており、主に生産能力の最適化と設備の維持・更新を図るためのものであります。また、当連結会計年度後1年間の研究開発投資は620億円を予定しております。当該設備投資及び研究開発投資の資金は、主に営業キャッシュ・フローを源泉とした資金の範囲で賄うことを予定しております。設備投資計画の詳細につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却当の計画」をご参照ください。
以上の記載事項のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月29日)現在において判断したものであります。また、分析に記載した実績値は百万円未満を四捨五入して記載しております。
(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、前連結会計年度より続く新型コロナウイルス感染症が拡大する中、各国の政策対応や、ワクチン接種などにより一部には回復の兆しも見られましたが、第二波、第三波や変異ウイルスの出現等の影響もあり、厳しい状況が続きました。
事業別では、映像事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりデジタルカメラ市場は一時的に大幅な需要減少が見られましたが、下半期以降に急速な回復が見られました。精機事業においては、FPD関連分野は中小型パネル用、大型パネル用、いずれも設備投資は堅調に推移しました。半導体関連分野の設備投資は回復基調となりました。ヘルスケア事業においては、バイオサイエンス分野及び眼科診断分野ともに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、市況は総じて低調に推移しましたが、第3四半期以降は持ち直しの動きが見られました。
当社グループでは、2019年5月に発表した中期経営計画のもと、持続的・中長期的な企業価値向上を実現すべく、各種施策にまい進しました。
まず、映像事業の構造改革に取り組むとともに、生産・販売体制再編、要員の最適化と成長領域へのリソースシフトによる既存事業の収益力強化及びコスト改革に努めました。また、新たな収益の柱の創出に向け、材料加工事業を拡大すべく、光を使った独自性の高い製品の開発・販売に努める一方、アライアンス、M&Aの可能性を探索しました。加えて、新型コロナウイルス感染症拡大への対策として、事業の現地化や業務のデジタル化に取り組みました。さらに、ガバナンス体制の強化のため、取締役会の多様性拡大、実効性強化にも努めました。
このような状況の下、当社グループの連結業績は、売上収益は4,512億23百万円、前期比1,397億88百万円(23.7%)の減収、営業損失は562億41百万円(前期は67億51百万円の営業利益)、税引前損失は453億42百万円、(前期は118億64百万円の税引前利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失は344億97百万円(前期は76億93百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。
セグメント情報は次のとおりです。
なお、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 6 事業セグメント (1) 報告セグメントの概要 (報告セグメントの変更に関する事項)」に記載のとおり、当連結会計年度より報告セグメントに変更があり、以下の前期比較においては、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しています。
① 映像事業
レンズ交換式デジタルカメラは、フルサイズミラーレスカメラ「Z 7Ⅱ」「Z 6Ⅱ」の販売が好調に推移しました。また、ミラーレスカメラ用交換レンズのラインナップを拡充させ、プロ・趣味層向け中高級機の拡販に努めました。
しかしながら、市場の縮小傾向に加えて新型コロナウイルス感染症拡大の影響による需要低迷もあり、販売台数は減少しました。
これらの結果、当事業の売上収益は1,502億18百万円、前期比33.5%減、固定資産の減損損失や構造改革関連費用を計上したこともあり、営業損失は357億79百万円(前期は171億53百万円の営業損失)となりました。
② 精機事業
FPD露光装置分野は、2020年7月から据付作業を再開し、全体としては販売台数が増加したものの、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う渡航制限等の影響により、第10.5世代プレートサイズ対応装置の販売台数が減少し、減収減益となりました。
半導体露光装置分野では、主要顧客の投資一巡等の影響もあり、販売台数が減少し、減収となりました。また一部装置等の棚卸資産廃棄・評価損及び固定資産の減損損失を計上したこともあり、減益となりました。
これらの結果、当事業の売上収益は1,847億77百万円、前期比24.6%減、営業利益は14億円、前期比97.1%減となりました。
③ ヘルスケア事業
バイオサイエンス分野、眼科診断分野ともに新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、上半期は事業全体として減収となりましたが、眼科診断分野が好調で過去最高の売上を計上したことにより、通期では増収となりました。
これらの結果、当事業の売上収益は628億48百万円、前期比1.3%増となり、いずれの分野でも収益性改善が進みましたが、固定資産の減損を計上したことにより、営業損失は30億91百万円(前期は24億55百万円の営業損失)となりました。
④ 産業機器・その他
産業機器事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う顧客の投資抑制や販売活動の制約により減収となりましたが、経費の抑制に努めたほか、前期にはのれんの減損を計上したこともあり、増益となりました。
デジタルソリューションズ事業では、光学部品・光学コンポーネントやエンコーダの販売が好調に推移し、増収となりました。
カスタムプロダクツ事業では、宇宙関連が増収となりましたが、固体レーザーは減収となりました。
この結果、これらの事業等を含む売上収益は533億81百万円、前期比8.1%減、また、国内生産拠点の映像事業に関連する固定資産の減損損失や子会社の土壌改良費用を計上したことにより、営業損失は26億26百万円(前期は18億95百万円の営業利益)となりました。
(注) 事業別の営業損益には、当社グループ内取引において生じた損益を含んでおります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前損失の計上や前受金の減少、仕入債務及びその他の債務の減少、法人所得税の支払があった一方、減価償却費及び償却費280億27百万円、減損損失260億54百万円の計上に加え、売上債権及びその他の債権の減少、棚卸資産の減少により、49億66百万円の収入(前年同期は164億19百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が169億65百万円、無形資産の取得による支出が61億34百万円あった一方、投資有価証券の売却による収入が387億54百万円あったことにより180億24百万円の収入(前年同期は212億81百万円の支出)となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入が198億94百万円あった一方、リース負債の返済による支出、配当金の支払、社債の償還による支出により49億91百万円の支出(前年同期は727億39百万円の支出)となりました。
また、現金及び現金同等物に係る換算差額は97億66百万円の増加となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ277億65百万円増加し、3,517億98百万円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) (百万円) | 前期比(%) |
| 映像事業 | 108,040 | △32.5 |
| 精機事業 | 119,274 | △17.2 |
| ヘルスケア事業 | 24,391 | △21.4 |
| 産業機器・その他 | 43,262 | 14.5 |
| 合計 | 294,967 | △20.9 |
(注) 金額は製造者販売価格によって算出し、付属品仕入額を含み、消費税等は含んでおりません。
(2) 受注状況
当連結会計年度における受注残高は、次のとおりであります。
なお、精機事業を除いては見込生産を主としておりますので記載を省略しております。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) (百万円) | 前期比(%) |
| 精機事業 | 189,365 | △25.3 |
| 合計 | 189,365 | △25.3 |
(注) 金額には、消費税等は含んでおりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) (百万円) | 前期比(%) |
| 映像事業 | 150,218 | △33.5 |
| 精機事業 | 184,777 | △24.6 |
| ヘルスケア事業 | 62,848 | 1.3 |
| 産業機器・その他 | 53,381 | △8.1 |
| 合計 | 451,223 | △23.7 |
(注)1.当社グループは、主要な顧客グループであるIntel Corporation及びそのグループ会社に対し、精機事業及び産業機器・その他において、前連結会計年度に107,347百万円(総販売実績に占める割合:18.2%)、当連結会計年度に53,230百万円(総販売実績に占める割合:11.8%)の販売をしております。
2.金額には、消費税等は含んでおりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上や、グループ内の会計基準統一による経営基盤の強化を目指し、2017年3月期有価証券報告書における連結財務諸表からIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.見積り及び判断の利用」をご参照ください。
(2) 財政状態の分析
当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べて161億44百万円減少し、9,897億37百万円となりました。これは主に、現金及び現金同等物が277億65百万円、保有する株式の時価上昇等により非流動資産に含まれるその他の金融資産が70億22百万円それぞれ増加した一方、有形固定資産、使用権資産、のれん及び無形資産が260億29百万円、売上債権及びその他の債権が148億79百万円、棚卸資産が107億70百万円それぞれ減少したためです。
当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べて131億10百万円減少し、4,510億11百万円となりました。これは主に、社債の発行により社債が198億円94百万円増加した一方、社債の償還により社債が100億円、前受金が127億84百万円、仕入債務及びその他の債務が82億41百万円それぞれ減少したためです。
当連結会計年度末における資本の残高は、前連結会計年度末に比べて30億34百万円減少し、5,387億26百万円となりました。これは主に、在外営業活動体の換算差額の増加や保有する株式の時価上昇等によりその他の資本の構成要素が253億69百万円増加した一方、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上や剰余金の配当処分により利益剰余金が285億96百万円減少したためです。
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(3) 経営成績の分析
当連結会計年度における売上収益は4,512億23百万円(前連結会計年度は5,910億12百万円)となり、1,397億88百万円の減収となりました。映像事業はミラーレスカメラは拡販によりボディ・レンズともに販売台数を伸ばし増収も、市場縮小に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により全体としては販売台数が大幅に減少し、756億76百万円の減収となりました。精機事業は、FPD露光装置の販売台数自体は増加したものの、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う渡航制限等の影響により、第10.5世代プレートサイズ対応装置の販売台数が減少、また半導体露光装置の販売は主要顧客の投資一巡に加え、一部顧客で新型コロナウイルス感染症拡大の影響による装置納入や受注遅延もあり、装置販売台数が大幅に減少し、602億52百万円の減収となりました。
売上原価は主に精機事業において、今後の活用見込の精査や設備転用等を実施した結果、253億92百万円の棚卸資産廃棄・評価損を計上したものの、映像事業におけるレンズ交換式デジタルカメラ及びコンパクトデジタルカメラの販売台数減少や精機事業における第10.5世代プレートサイズ対応のFPD露光装置及び半導体露光装置の販売台数減少により、736億60百万円減の2,953億18百万円(前連結会計年度は3,689億78百万円)となりました。
販売費及び一般管理費は売上収益の減収に伴い、また広告宣伝費及び販売促進費等の抑制に努めた結果、243億59百万円減の1,813億39百万円(前連結会計年度は2,056億98百万円)となりました。
その他営業収益は、前連結会計年度に計上した遊休地の売却に伴う土地売却益が減少したこと等により、30億84百万円減の33億63百万円となりました。その他営業費用は、減損損失259億31百万円や構造改革関連費用43億43百万円を計上し、341億70百万円となりました。将来における中長期の事業環境の動向や新型コロナウイルス感染症拡大を始めとする様々な事業活動への影響を勘案した将来キャッシュ・フローの予測に基づき、減損判定を実施した結果、映像事業、精機事業、ヘルスケア事業、産業機器・その他において、減損損失が発生しました。また、映像事業において、持続可能なビジネスモデルへの転換を図るため、生産・販売拠点の再編、要員最適化を進めた結果、産業機器・その他において、生産拠点の再編を実施した結果、割増退職金等の構造改革関連費用が発生しました。
これらの結果、営業損失は562億41百万円(前連結会計年度は67億51百万円の営業利益)となり、629億92百万円の減益となりました。
また、金融収益として、投資先であるBerkeley Lights, Inc. (本社:米国)が新規株式公開を行ったことに伴う有価証券評価益57億96百万円等を計上したものの、629億92百万円の営業減益が大きく影響し、453億42百万円の税引前当期損失(前連結会計年度は118億64百万円の税引前当期利益)となり、572億6百万円の減益となりました。
親会社の所有者に帰属する当期損失は法人所得税費用マイナス108億32百万円の計上により344億97百万円(前連結会計年度は76億93百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。なお、当社グループの課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を、またセグメント別の分析は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要) (1)業績」をそれぞれご参照ください。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、一定の財務健全性の確保を前提に置きながら、投資資本の運用効率を重視し、持続的な成長のために資本コストを上回る収益が見込める投資(設備投資、研究開発、М&A等)に資金を活用することで企業価値の最大化を実現すると同時に、安定的な株主還元を実施することで株主の要求にも応えることを資本管理の方針としております。
運転資金や設備投資資金については、現在保有する現金や預金に加え、営業キャッシュ・フローを源泉とした資金で賄うことを原則としております。また、国内外のグループ会社が保有する資金をグローバル・キャッシュ・マネージメント・システムにより効率的に管理し、各グループ会社の運転資金や設備投資資金のため、グループ内の資金を有効活用しております。
なお、当社は市場の混乱や、当社が事業を遂行する上でのリスクに晒されているため、こうした要因が資金繰りを圧迫する事態への備えとして十分な手元流動性(現預金、コミットメントライン等)の確保に努めており、新型コロナウイルス感染症拡大影響等による事業環境の急激な変化を前提としても当面安定的な経営が可能な状態にあります。
当社グループの資金状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますとおり、当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは49億66百万円の収入となり、投資活動によるキャッシュ・フローは180億24百万円の収入であったため、229億90百万円のプラスのフリー・キャッシュ・フローとなりました。また、有利子負債を控除したネットキャッシュ残高は2,041億70百万円になりました。
なお、当連結会計年度後1年間の設備投資計画は370億円を予定しており、主に生産能力の最適化と設備の維持・更新を図るためのものであります。また、当連結会計年度後1年間の研究開発投資は620億円を予定しております。当該設備投資及び研究開発投資の資金は、主に営業キャッシュ・フローを源泉とした資金の範囲で賄うことを予定しております。設備投資計画の詳細につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却当の計画」をご参照ください。
以上の記載事項のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月29日)現在において判断したものであります。また、分析に記載した実績値は百万円未満を四捨五入して記載しております。