訂正有価証券報告書-第119期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、株式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 3 重要な会計方針」に記載しております。
(2) 経営成績
当連結会計年度の世界経済は、前連結会計年度からの回復基調を維持し、全体として堅調に成長しました。日本、米国では、緩やかな経済成長が続いており、欧州もBrexit(英国のEU離脱)や自国主義の拡がりなどによる先行きの不透明感はあるものの、総じて堅調に推移しました。一方で、中国は米中貿易摩擦の影響が不安視されますが、他の新興国においては持ち直しの動きが見られます。
なお、主要通貨の平均為替レートは、対ドルは前連結会計年度とほぼ同水準で推移し、対ユーロは前連結会計年度と比べて若干の円高となりました。
そのような経済情勢の中で、当社グループの主力事業である事務機の需要は、前連結会計年度に引き続き、先進国での緩やかな需要の減少と、新興国での需要拡大が進みました。金額ベースでは、全需の8割を占めるA3複合機が先進国を中心に緩やかな減少が続くものの、A4複合機については、先進国、新興国いずれも需要の拡大が見込まれています。消耗品に関しては、金額ベースで先進国での緩やかな減少が見込まれる一方で、製品需要の拡大により新興国での拡大が見込まれています。また、オフィスにおける業務IT化の需要が全世界的に高まり、ITサービスに対する需要は堅調に拡大しました。
第19次中期経営計画(2017年4月~2020年3月:以下、19次中計)の2年目となる当連結会計年度は、成長戦略「リコー挑戦」を掲げ、将来の成長を確実なものにすべく、基盤事業であるオフィスプリンティング分野の収益力強化とともに、将来の新たな柱となる成長事業の拡大に取り組んでまいりました。同時に、成長戦略全体を支える経営基盤構築のため、事業管理体制の見直し、事業選別の徹底、コーポレート・ガバナンス改革などを進めるとともに、全員参加による業務プロセス改革に取り組んでまいりました。
基盤事業では、複写機・複合機の販売・保守サービス体制の見直し、生産拠点の統廃合、開発機種の絞り込み、RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)導入による業務プロセス改革などの施策と合わせて、構造改革効果の刈り取りを進めた結果、オフィスプリンティング分野の収益力は大幅に回復しました。成長事業については、オフィスサービス分野の順調な収益拡大が継続する中、オフィスサービス分野、産業印刷分野では事業拡大に向けたリソース獲得のため、戦略投資を実施しました。事業の選別においては、子会社であるリコーロジスティクス株式会社の株式を、物流を本業とするパートナー企業に譲渡し、パートナーとの連携によるSCM機能のさらなる強化を図りました。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ 2.4%減少し、20,132億円となりました。成長領域であるオフィスサービス分野、産業印刷分野、サーマル分野などが増収となったものの、オフィスプリンティング分野は、戦略的に推し進める採算重視販売による商談の絞り込みなどの影響により、海外を中心にハードウエアや関連消耗品等の売上高が減少しました。さらに、半導体及び物流子会社の株式譲渡に伴う連結子会社から持分法適用会社への移行、加えてリコーインドを連結範囲から除外したことなどに伴う減収が発生し、連結売上高は前年比減収となりました。なお、持分法適用会社への移行、連結除外影響及び為替を除く売上高では、前年比 0.4%の増加となりました。
地域別では、国内は企業の働き方改革推進に伴ってIT機器需要拡大や業種業務ソリューション・サービスなどの売上が拡大するなど、オフィスサービス分野を中心に堅調に推移し、前連結会計年度比増収となりました。米州、欧州・中東・アフリカはオフィスサービス分野、産業印刷分野などが成長したものの、オフィスプリンティング分野が減少し、前連結会計年度比減収となりました。その他地域は、オフィスプリンティング分野の減収とリコーインドの連結除外影響などによるオフィスサービス分野の減収により、前連結会計年度比減収となりました。
売上総利益は、前連結会計年度に比べ 3.0%減少し、7,668億円となりました。オフィスサービス事業の拡大による利益増加はあったものの、オフィスプリンティング分野において、前連結会計年度に実施した販売改革による減収影響が残ったことに加えて、採算性を重視した販売による商談の絞り込みによる販売台数減少、複合機の新製品投入前の製品販売減などに伴う影響を受けました。また、その他分野において、一部連結子会社の持分法適用会社への移行及び連結除外に伴う影響、さらに、産業印刷分野、サーマル分野での中国市場環境悪化の影響などにより、前連結会計年度比減益となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ 9.6%減少し、7,029億円となりました。構造改革効果の創出、業務プロセス改革による経費支出の抑制を進めた結果、前連結会計年度から減少となりました。
当連結会計年度は、構造改革費用として 193億円を計上しました。構造改革効果としては、施策を前倒して進めたことなどにより、469億円を創出しました。なお、当連結会計年度末時点で当社グループが保有するリコーインドに対する債権について回収不能と判断したことによる貸倒引当金繰入など、リコーインド関連費用として 149億円を計上しています。
その他の収益は、主に、リコーロジスティクス株式会社の株式譲渡益等の計上により、前連結会計年度に比べ大幅に増加しました。
のれんの減損は、前連結会計年度に計上した減損費用 1,458億円から大幅に減少しました。
以上の結果、営業損益は、前連結会計年度 1,156億円の営業損失から、当連結会計年度は、868億円の営業利益となりました。なお、構造改革費用、一過性収益などの特殊要因を除く営業利益としては 1,051億円(*1)となり、前連結会計年度と比べて実質的な収益力(稼ぐ力)の強化を着実に進めることができました。
*1 構造改革費用193億円、リコーインド関連費用149億円、減損損失27億円を除いた金額から、一過性収益186億円を引いた営業利益
金融収益及び金融費用は、支払利息、為替差損が減少したことにより、前連結会計年度に比べ損失が縮小しました。税引前損益は、前連結会計年度 1,241億円の損失から、当連結会計年度 839億円の利益となりました。
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期損益は、前連結会計年度 1,353億円の損失から、当連結会計年度は 495億円の利益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。 (単位:百万円)
| 前連結会計年度 自 2017年4月1日 至 2018年3月31日 | 当連結会計年度 自 2018年4月1日 至 2019年3月31日 | 増減 | |||||
| 金額 | (%) | 金額 | (%) | 金額 | (%) | ||
| オフィスプリンティング分野 | 売上高計 | 1,144,053 | 100.0 | 1,086,428 | 100.0 | △57,625 | △5.0 |
| 営業損益 | △44,306 | △3.9 | 117,999 | 10.9 | 162,305 | - | |
| オフィス サービス分野 | 売上高計 | 447,973 | 100.0 | 481,392 | 100.0 | 33,419 | 7.5 |
| 営業損益 | △25,617 | △5.7 | 14,739 | 3.1 | 40,356 | - | |
| 商用印刷分野 | 売上高計 | 185,933 | 100.0 | 185,292 | 100.0 | △641 | △0.3 |
| 営業損益 | 25,180 | 13.5 | 27,223 | 14.7 | 2,043 | 8.1 | |
| 産業印刷分野 | 売上高計 | 19,200 | 100.0 | 20,692 | 100.0 | 1,492 | 7.8 |
| 営業損益 | △2,250 | △11.7 | △7,127 | △34.4 | △4,877 | - | |
| サーマル分野 | 売上高計 | 61,458 | 100.0 | 66,368 | 100.0 | 4,910 | 8.0 |
| 営業損益 | 5,016 | 8.2 | 4,230 | 6.4 | △786 | △15.7 | |
| その他分野 | 売上高計 | 275,986 | 100.0 | 218,080 | 100.0 | △57,906 | △21.0 |
| 外部顧客向け | 204,746 | 173,056 | △31,690 | △15.5 | |||
| 営業損益 | 10,032 | 3.6 | 17,305 | 7.9 | 7,273 | 72.5 | |
上記にはファイナンス事業として以下が含まれております。 (単位:百万円)
| 前連結会計年度 自 2017年4月1日 至 2018年3月31日 | 当連結会計年度 自 2018年4月1日 至 2019年3月31日 | 増減 | |||||
| 金額 | (%) | 金額 | (%) | 金額 | (%) | ||
| ファイナンス 事業 | 売上高 | 149,252 | 100.0 | 159,192 | 100.0 | 9,940 | 6.7 |
| 営業損益 | 30,966 | 20.7 | 31,645 | 19.9 | 679 | 2.2 | |
a. オフィスプリンティング分野
オフィスプリンティング分野は、前連結会計年度からスタートした第19次中期経営計画において、従来の規模の拡大から利益重視の戦略に転換するとともに、戦略転換に伴う体制の最適化を図りながら、収益力強化と新たな価値提供創出に取り組んでいます。
当連結会計年度は、2019年1月に新世代複合機「RICOH IM Cシリーズ」を発売しました。企業のワークフローをサポートするサービスを、複合機に搭載された大型タッチパネルから、お客様がご自身で選択し、導入することが可能です。中小企業のお客様が簡単にクラウドサービスを利用できる環境を提供することで、企業のIT化を推進します。また、スマートフォンのように、お客様の機器導入後もリモートでファームウエアやソフトウエアがアップデートされ、常に最新の機能をお使いいただけます。
当連結会計年度のオフィスプリンティング分野の売上高は、前連結会計年度に比べ5.0%減少し 10,864億円となりました。戦略的に推し進める採算重視販売による商談の絞り込みなどにより、海外を中心に製品や関連消耗品等の売上が減少したことなどにより、前連結会計年度比減収となりました。営業損益は、前連結会計年度に計上したのれんなどの固定資産の減損損失がなくなったことに加えて、採算を重視した売価適正化と、構造改革効果創出による営業費用削減などを進めた結果、前連結会計年度 443億円の赤字から、当連結会計年度は 1,179億円の黒字となりました。
b. オフィスサービス分野
オフィスサービス分野は、全世界に広がる顧客基盤をベースに、お客様の働き方改革を支援するソリューション・サービスを提供するなど、オフィスのお客様への提供価値を高めることで事業成長を目指しています。
当連結会計年度は、中小企業のIT投資の需要を捉えつつオペレーションの効率化を進め、さらなる業務提携や資本提携を推進しました。当社グループが強みをもつオフィスの領域で、企業内ワークフローの変革やコミュニケーションの変革を行う従来のサービスに加え、企業間のワークフローをつなげる、あるいは現場にも領域を拡げて業務をデジタル化することで、オフィスと現場のワークフローをつなげるなど、提供価値の拡大を進めています。
当連結会計年度のオフィスサービス分野の売上高は、前連結会計年度に比べ 7.5%増加し 4,813億円となりました。国内において、企業の働き方改革推進などに伴うIT機器需要拡大や業種業務ソリューション及びITサービスなどの売上が伸長したことに加えて、米州でドキュメント管理サービスなどのお客様の業務支援を行うサービスが拡大したことなどにより、前連結会計年度比増収となりました。営業損益は、売上拡大と収益性の改善などの効果により、のれんなどの固定資産の減損損失を計上した前連結会計年度の 256億円の赤字から、当連結会計年度は 147億円の黒字となりました。
c. 商用印刷分野
商用印刷分野は、高画質や高生産性、幅広い用紙への対応力に加え、新たなビジネスを切り開く付加価値の高い印刷物を生産できる製品へのニーズが高まっており、市場の拡大が見込まれます。こうした商用印刷のお客様のニーズにお応えしながら、お客様のビジネスの拡大に貢献することで、事業の拡大を図っています。
当連結会計年度は、商用印刷のお客様に向けて、デジタル化・オンデマンド化を進める戦略製品として、「RICOH Pro C9210/C9200」「RICOH Pro VC70000」を新たに発売しました。「RICOH Pro C9210/C9200」は、商用印刷向けの生産機としての基本性能を追求したフラッグシップモデルであり、オフセット印刷に迫る滑らかな高画質に加え、色味調整や画像位置調整の作業を自動化し、印刷オペレーションの省力化と印刷品質の安定化を両立しました。「RICOH Pro VC70000」は、高生産性の実現によるお客様価値拡大、高画質化による適用用途の拡大、省スペースや低イニシャルコストによる導入のしやすさなどを実現しました。
当連結会計年度の商用印刷分野の売上高は、前連結会計年度に比べ 0.3%減少し 1,852億円となりました。下期から新製品の販売拡大が加速し始めたものの、上期において製品サイクルの端境期の影響などによる製品販売の減少などにより、前連結会計年度比減収となりました。営業損益は、新製品販売の拡大、消耗品の増加に加えて、販売費及び一般管理費が減少したことにより、前連結会計年度に比べ 8.1%増益となる 272億円となりました。
d. 産業印刷分野
産業印刷分野は、耐久性に優れ、様々なインクへの対応できるリコーのインクジェットヘッドを核として、産業向けの新たな市場・お客様の獲得を目指しています。さらに、3Dプリンターに代表されるアディティブマニュファクチャリング(積層造形)やバイオプリンティング(細胞積層)など、プリンティング技術を活用した新たな価値創造も可能になると考えています。
当連結会計年度は、成長戦略に基づき、積極的に買収や資本提携などを進めました。カラーゲート社の買収によりソフトウエア技術力を強化するとともに、エルエーシー社の買収により高粘度のインク塗装技術を獲得しました。
当連結会計年度の産業印刷分野の売上高は、前連結会計年度に比べ 7.8%増加し 206億円となりました。中国市場において、米中貿易摩擦の影響などによる中国市場でのインクジェットヘッドの販売鈍化の影響を受けたものの、欧米において主力のインクジェットヘッドの販売が堅調に拡大、また、新たな成長領域として取り組んでいる産業プリンターの販売も全世界で拡大したことなどにより、前連結会計年度年比増収となりました。
一方で、営業損益は、最大の市場である中国市場でのインクジェットヘッド販売減少の影響と、事業成長に向けた製品開発経費の増加、のれんなどの固定資産の減損損失計上等もあり、当連結会計年度は 71億円の営業損失となりました。
e. サーマル分野
サーマル分野は、eコマースの拡大による荷札ラベルの需要が全世界的に拡大するなど、需要が堅調に拡大する中で、当社グループが長年培ってきた材料技術などにより、耐熱性、耐擦過性、印字精細性、保存性などに優れたサーマルペーパーやリボンなどを提供し、事業を着実に拡大しています。また、独自に開発したレーザーにより非接触でラベルの書き換えを可能にした「リライタブルレーザーシステム」など新たな価値提供の拡大にも取り組んでいます。
当連結会計年度のサーマル分野の売上高は、国内外ともに売上が堅調に推移し、前連結会計年度に比べ 8.0%増加し 663億円となりました。営業損益は、原材料高騰の影響等による営業費用の増加などにより、前連結会計年度に比べ 15.7%減益となる、42億円となりました。
f. その他分野
その他分野は、「産業プロダクツ」、「Smart Vision」、その他の幅広い事業分野を含む「その他」から構成されています。当社グループの持つ技術力等を活かして、産業向けからコンシューマー向けまで幅広い製品・サービスを提供しています。
「産業プロダクツ」:光学技術や画像処理技術を活かした精密機器部品等を提供しています。
「Smart Vision」:360°カメラ、プロユースの一眼レフカメラ、防水・防塵・対衝撃性能に優れたアクションカメラ等ユニークで魅力的な製品を製造・販売しています。
「その他」:3Dプリンターの導入から運用を含めたソリューションの提供、脳磁計事業を中心とするメディカルイメージング(ヘルスケア)、環境技術や環境事業の創出など、新たな事業機会の拡大を行っています。また、関連会社が独自に事業拡大を行っている事業なども含まれています。
その他分野において、産業プロダクツ事業は、主に自動車業界に、Smart Vision事業は主に不動産業界に、当社グループの強みであるキャプチャリング技術や画像処理技術を活かした光学デバイスを提供し、顧客基盤を拡げています。Smart Visionでは、THETA 360.biz オフィシャルパートナープログラムを開始しました。360°カメラのビジネス用途を拡げた、不動産物件案内をバーチャルに行うアプリケーションが好評をいただいています。その他、ファイナンス事業などの関連会社による事業を営んでいます。
当連結会計年度のその他分野の外部顧客向け売上高は、前連結会計年度に比べ 15.5%減少し 1,730億円となりました。半導体及び物流子会社の株式売却に伴う連結子会社から持分法適用会社への移行影響により、前連結会計年度比減収となりました。連結子会社から持分法適用会社への移行影響を除くと、国内のファイナンス事業の堅調な拡大、産業プロダクツ事業の光学モジュールが自動車業界などに販売を拡大したことなどにより、実質的には増収となります。営業損益は、リコーロジスティクス株式会社の株式譲渡益を計上したことにより、前連結会計年度に比べ増益となる、173億円となりました。
| セグメント | 主な製品・サービス | |
| オフィスプリンティング分野 | 複合機・複写機・プリンター・印刷機・広幅機・FAX・スキャナ等機器、関連消耗品・サービス・サポート・ソフトウエア等 | |
| オフィスサービス分野 | パソコン・サーバー・ネットワーク関連機器、関連サービス・サポート・ソフトウエア、ドキュメント関連サービス・ソリューション等 | |
| 商用印刷分野 | カットシートPP(プロダクションプリンター)・連帳PP等機器、関連消耗品・サービス・サポート・ソフトウエア等 | |
| 産業印刷分野 | インクジェットヘッド・作像システム・産業プリンター等 | |
| サーマル分野 | サーマルペーパー、サーマルメディア等 | |
| その他分野 | 産業用光学部品・モジュール、電装ユニット、精密機器部品、デジタルカメラ、3Dプリント、環境、ヘルスケア、金融サービス等 | |
生産、受注及び販売の実績は、以下のとおりです。
① 生産実績
前連結会計年度及び当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、以下のとおりです。
| 事業の種類別セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自2017年4月1日 至2018年3月31日) (百万円) | 当連結会計年度 (自2018年4月1日 至2019年3月31日) (百万円) | 前年度比 (%) |
| オフィスプリンティング分野 | 1,073,530 | 1,012,119 | △5.7 |
| オフィスサービス分野 | 8,951 | 10,434 | 16.6 |
| 商用印刷分野 | 155,352 | 161,987 | 4.3 |
| 産業印刷分野 | 19,887 | 20,457 | 2.9 |
| サーマル分野 | 57,844 | 63,418 | 9.6 |
| その他分野 | 196,640 | 162,435 | △17.4 |
| 合計 | 1,512,204 | 1,430,850 | △5.4 |
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当社グループは見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。
③ 販売実績
前連結会計年度及び当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、以下のとおりです。
| 事業の種類別セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自2017年4月1日 至2018年3月31日) (百万円) | 当連結会計年度 (自2018年4月1日 至2019年3月31日) (百万円) | 前年度比 (%) |
| オフィスプリンティング分野 | 1,144,053 | 1,086,428 | △5.0 |
| オフィスサービス分野 | 447,973 | 481,392 | 7.5 |
| 商用印刷分野 | 185,933 | 185,292 | △0.3 |
| 産業印刷分野 | 19,200 | 20,692 | 7.8 |
| サーマル分野 | 61,458 | 66,368 | 8.0 |
| その他分野 | 204,746 | 173,056 | △15.5 |
| 合計 | 2,063,363 | 2,013,228 | △2.4 |
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%以上の主要な相手先はありませんので、記載を省略しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
インド販売子会社における不適切会計の経緯と対応、その後の状況について
1. 2018年度業績影響について
当連結会計年度において、当社のインドにおける販売子会社であるRicoh India Limited(以下、リコーインド)に関連して 149億円の損失を計上いたしました。
リコーインドは、2018年1月29日にインドNational Company Law Tribunal(会社法審判所)に対してインド破産倒産法(Insolvency and Bankruptcy Code)第10条に基づく会社更生手続開始の申立(*1)を行い、同年5月14日付けでその開始決定を受けておりました。
この決定に伴い会社法審判所によってモラトリアム(*2)が発令されるとともに、Resolution Professionalと呼ばれる管財人が任命され、当該管財人による管理下で、外部スポンサー候補から更生計画案を募っておりました。なお、リコーインドは、リコーグループが 73.6%を出資するインドの販売子会社ですが、リコーインドが会社更生手続きに入り管財人が任命されたことを受けて、2018年5月にリコーグループの連結の範囲から除外しております。
その後、2019年2月15日にリコーインドの債権者委員会は、複数社より提出された更生計画案の中から更生計画
案を選定し、承認しました。承認された更生計画案は管財人により会社法審判所に提出され、同所において、更生計画案の審議が行われております。
リコーインドの更生計画案は会社法審判所による承認がなされておりませんが、現段階でリコーグループが保有する同社に対する債権について全額を回収不能と判断したことにより、149億円の損失の計上となりました。
今後の法的手続きの状況によって最終的な金額が変更となる場合がありますが、情報開示が必要と判断される場合は、速やかに公表いたします。
*1 インド破産倒産法第10 条に基づく会社更生手続について
当該申立てを受けた会社法審判所により手続開始決定がなされると、管財人による財産管理が行われるとともに、債権者委員会による承認および会社法審判所による認可を目指して更生計画案の作成が行われる期間が設けられます。当該期間内に会社法審判所に更生計画案が提出されなかった場合その他インド破産倒産法所定の事由が発生した場合には、清算手続へと移行することとなります。
*2 モラトリアムについて
インド会社法審判所は、倒産処理手続開始決定と同時にモラトリアムを発令します。モラトリアム発令中は、債務者が占有する財産の所有者等による占有の回復、債務者に対する司法その他の手続き、担保権の実行、債務者の資産や権利の処分などの行為が禁止されます。モラトリアムは会社審判所による更生計画案の承認命令または清算命令が行われるまで継続されます。
2. これまでの経緯
リコーインドは、2015年度第1四半期(4月~6月)の決算報告を行った後、適切なコーポレート・ガバナンスの観点から会計監査人を変更いたしました。その後、同年度第2四半期(7月~9月)決算において、新会計監査人から一部社員による不正行為の兆候の指摘がリコーインド経営陣・同監査委員会に対してなされました。同社監査委員会は外部専門家を選任し社内調査を進めつつ、同社は、2016年4月13日にトップマネジメントを刷新して事業の運営体制を整え、提出が遅れていた2015年度第2四半期(7月~9月)の決算を2016年5月18日にボンベイ証券取引所に対して提出いたしました。
その後、リコーインドは不適切会計処理を継続調査し、2016年7月19日に修正結果を反映した同年度の損失見込みをリコーインドが公表するとともに、同日、リコーはインドの会社法審判所に対して、リコーインド事業再建のために増資の審査申請手続を開始しました。(増資実施同年10月15日)
また、当社としては、リコーインドの会長職にリコー本社執行役員を新たに派遣するなどし、新マネジメント体制の元、経理・財務機能の正常化、適切な会計報告の実施、再発防止策などの支援を行い、現地事業再建に努めてきました。そのような中で、リコーインドの主要取引先との取引関係が悪化し、その後、主要取引先との係争が表面化しました。
このような状況下で、当社としては、2017年4月から就任した社長山下のもと、グローバルで聖域なき構造改革を断行する「リコー再起動」の方針に基づき、リコーインドに対する支援に関して再検討した結果、グループ全体の損失を限定するために、現状のままでは今後追加の財務支援を行わないことを決定し、2017年10月27日に開示を行いました。同時に、こうしたリコーインドに関わる一連の事態を重く受け止め、代表取締役社長執行役員に加えて、取締役3名と執行役員1名の月額基本報酬の一部返上、前取締役社長執行役員の報酬一部返上などの処分を行いました。
その後、前述のとおりリコーインドは2018年1月29日にインド破産倒産法第10条に基づく会社更生手続開始の申立を行うことを決議し、インド会社法審判所に対して申立てを行いました。
リコーインドはこれまで、事業の再建に向けて経営陣の刷新、コスト削減などを進めてきましたが、同社の主要取引先との関係が悪化したことなどにより、契約の不履行や、取引先からの債権回収ができないなどの事態が発生していました。その後、債務が履行できない状態となったため、取引先、社員、少数株主ほかステークホルダーに最良の選択として会社更生手続き開始の申立てに至ったとしています。
当社といたしましては、インドにおいて当社製品・サービスをご利用いただいているお客様のサービスを低下させないために必要な措置を管財人と連携しながら講じるとともに、リコーインドの最大のサプライヤー、債権者かつ株主としてインド会社法審判所の判断を注視してまいりました。
2019年2月15日にリコーインドの債権者委員会は、複数社より提出された更生計画案の中から更生計画案を選定し、承認しました。承認された更生計画案は管財人により会社法審判所に提出され、同所において、更生計画案の審議が行われております。
以上の経緯の中で、当社は連結決算において、リコーインドに関連して、2016年度に 69億円、2017年度に 117億円、2018年度に 149億円の損失を計上いたしました。今回、当連結会計年度において追加損失の計上を行ったことにより、リコーグループの保有するリコーインド向け債権の全額に対して引当を計上済みとなります。
3. リコーインドにおける問題の要因について
インドはその他の新興国とは異なり、ITサービス中心に拡大しているマーケットであったため、地域の特性やビジネスモデルへの理解が十分ではなく、売上が伸長していた結果でビジネスが上手く推進できていると認識していました。その結果、急激な事業拡大を不自然な成長と認識できず、発覚が遅れました。
また、これまでは、海外販売子会社の管理について、本社より権限委譲された地域統括会社(4極:日本、米州、欧州、アジア)が主体となり、各地域の海外販売子会社を管理する体制となっていました。
その中で、リコーインドは海外子会社の中で唯一、現地で上場している子会社であり、インドの上場規則に則り、経営のガバナンス体制が整えられていました。それ故に、他の海外子会社とは異なり、地域統括会社によるチェックなどが甘くなっていた面もあったと認識しております。
さらに、リコーインドにおいては基幹業務システムが統一されていなかったため、不正の把握が難しい状態となっていました。また、内部通報制度においても、海外子会社から本社に直接通報する仕組みがありませんでした。
4. 再発防止に向けた取り組み
当社は、2017年10月に開示したとおり、リコーインドに対する財務支援方針変更の事態を厳粛に受け止め、グループガバナンス強化を目的とし、本社・地域統括会社・海外子会社との連携を軸とした、再発防止策に取り組んできました。
さらに、2018年1月に、リコーインドが会社更生手続開始の申立てを行ったことを踏まえて、事業運営及び組織強化の視点も加えた以下の再発防止策に取り組んでおります。
1) 事業管理強化
(ア) 中期経営計画や事業計画立案・承認時の、地域・事業の独自性を意識したリスク評価項目レビューの仕組み整備
(イ) 新興国のカントリーリスク、新規・成長事業のビジネスリスクに見合った子会社管理の実施
(ウ) 海外子会社の事業管理を強化し、購買プロセスをグローバルで標準化
(エ) 新しい事業領域における失敗事例・ベストプラクティスを水平展開する仕組みの構築
[進捗]
2018年度にリスク評価項目を設定し、レビューをする仕組みを構築いたしました。新興国におきましては、2017年度から直轄販売事業本部の下で、本社が直接管理しております。
また、2017年度に購買プロセスの運用標準を策定・運用を開始いたしました。さらに、2018年度には失敗事例・ベストプラクティスを展開するためのガイドラインを発行し、各販売会社が自社での運用制度の構築を完了しております。加えて、2018年度から投資委員会を設置し、投資案件についてもビジネスリスクに見合った子会社管理のための定期的なモニタリングを展開しております。
2) 経営管理強化
(ア) 地域統括会社と本社の関連会社主管管理部門、経理部門が一体となった海外子会社の管理強化
(イ) 本社機能が各国ごとの事業の実施状況を確認できる仕組みの構築
[進捗]
2017年度にバランスシート、キャッシュ・フロー等の財務諸表の各国の管理項目を設定し、月次レビューを実施する仕組を構築しました。さらに、事業ごとの売上明細を各販売会社別に可視化して共有する仕組みを構築し、運用しております。
3) 組織体制強化
(ア) 本社に販売会社の統括組織設置と、地域統括会社・販売会社との責任範囲・役割の再定義
(イ) 本社経理・財務機能の統合による、レポートラインと管理責任所在の明確化
[進捗]
2017年4月から極・販売会社を統括する販売本部と新興国地域を本社から管理する直轄販売事業本部を設置し、責任範囲・役割の再定義を実施いたしました。それに加え、2019年度からはCMO(Chief Marketing Officer)にレポートラインを統一しております。また、2018年4月より経理・財務機能を統合した経理法務本部を設置し、管理責任所在を明確にしております。
4) コンプライアンス強化
(ア) 海外子会社の現地幹部出向者に対して、事業管理や内部統制に重点を置いた役割や責任を明確にする教育の実施
(イ) アジア・パシフィック極への指名報酬委員会設置による、経営幹部の評価・監督の強化
(ウ) 内部通報制度のグループ各社での整備義務化と全従業員への周知徹底、及び、グループ全役職員が本社に直接通報できる内部通報共通窓口の設置
[進捗]
2017年度から幹部出向社員に赴任前教育を実施し、2018年度からは新規駐在者への同様の教育を実施しております。
2016年3月にアジア・パシフィック極に設置した指名報酬委員会にて、同極における経営幹部評価の手続きを強化いたしました。内部通報共通窓口に関しましても、2018年10月に多言語に対応した本社直通の窓口を設置し、運用を開始しております。
5) 監査強化
(ア) 取引内容のチェック強化など内部監査の実効性向上のために、グローバル監査チームによる内部監査を実施
(イ) 各海外子会社の会計監査人を、当社で採用している監査法人の系列に統一化し、海外子会社の会計監査人との連携を強化
6) ITガバナンス強化
アジア・パシフィック圏の基幹システムのアセスメント実施と、ITガバナンスが効いたシステム再構築
[進捗]
2018年度までに、アジア・パシフィック極の全9販売会社のITアセスメントを完了し、ITガバナンスを効
かせるためERPシステムの統一化に2019年から着手する予定です。
5. 今後に向けて
当社としては、インド会社法審判所の判断を尊重し、必要な手続きを進めてまいります。同時に、当社製品をお使いいただいているお客様へのサービスを低下させないことが引き続き極めて重要であると認識しており、サービス提供の継続、サービス品質の維持に最大限努めてまいります。
また、当社にとってインド市場は重要な市場であり、リコーの強みに特化した事業領域の見極めと最適な市場・
チャネル戦略の策定を行っていきます。今後の状況に関しましてご報告が必要な情報がございましたら、速やかにご報告します。
(3) 財政状態
総資産は、前連結会計年度末から 841億円増加し 27,251億円となりました。資産の部では、予定していたコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社の株式売却に伴い、その他の投資が減少したことに加えて、リコーロジスティクス株式会社の株式譲渡実施により、現金及び現金同等物が前連結会計年度末に比べ増加しました。たな卸資産は、第4四半期に投入した複合機の初期在庫形成と、米中貿易摩擦の影響や英国のEU離脱に備えた消耗品などの在庫積み増しなどにより増加しました。また、国内を中心としたファイナンス事業の継続的な拡大によりリース債権が増加し、その他の金融資産が増加となりました。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ 538億円増加し 17,061億円となりました。負債の部では、満期となった長期借入負債の返済を行うとともに相当分の借り換えを実施したことに加え、ファイナンス事業の拡大に伴って関連子会社による負債が増加したことから、社債及び借入金が前連結会計年度末に比べ増加しました。
資本の部では、当期利益の増加と、会計方針の変更による累積的影響等により利益剰余金が前連結会計年度末に比べ増加しました。結果として、親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末に比べ 230億円増加し 9,325億円となりました。株主資本比率は 34.2%と引き続き安全な水準を維持しています。
当社グループは、基盤事業の収益力強化と積極的な投資による新しい事業の成長を実現し、資本コストを上回るリターンの実現を図るとともに、持続的な企業価値の向上を目指しています。2019年度を最終年度とする19次中計においては、株主資本の有効活用を常に意識した経営を行い、中長期的な企業価値向上につながる成長戦略への投資にも留意しながら、資本効率の向上を目指しています。その指標として株主資本利益率(ROE)の目標値を定めており、2022年度には、ROE 9.0%以上を目標にしています。
19次中計の2年目となる当連結会計年度はROE 5.0%以上を目標として事業運営に取り組んでまいりました。基盤事業の収益力強化と新しい事業の成長、構造改革効果の前倒し創出などにより、親会社の所有者に帰属する当期利益が大きく増加し期初の見通しを上回ったことから、当連結会計年度のROE実績は 5.4%と、目標を上回って着地することができました。
(4) キャッシュ・フロー
当社グループでは、基盤事業の収益力強化によってキャッシュを創出し、創出したキャッシュを新しい事業に対して積極的に投資することにより、事業構造の転換と中長期的な成長の実現を目指しています。2019年度を最終年度とする19次中計においては、3年間合計のファイナンス事業を除くフリー・キャッシュ・フロー(FCEF)として1,000億円(*3)の創出を目指しています。さらに、次の中期経営計画期間の最終年度となる2022年度には、3年間合計のファイナンス事業を除くフリー・キャッシュ・フロー(FCEF)は2,500億円(*4)の創出を目指します。
*3 2017~2019年度の累計
*4 2020~2022年度の累計
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 283億円減少し 819億円の収入となりました。基盤事業であるオフィスプリンティング分野の収益力改善に加えて、オフィスサービス分野をはじめとする成長分野の利益増加などにより、当期利益が前連結会計年度から大きく増加しました。一方で、運転資本においては、第4四半期に投入した複合機の初期在庫形成と、米中貿易摩擦の影響や英国のEU離脱に備えた消耗品などの在庫積み増しなどにより、たな卸資産が前連結会計年度から増加となりました。当期利益の増加による収入増を、たな卸資産などの増加による支出増が上回った結果、営業活動によるキャッシュ・フローの収入は前連結会計年度比減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が 351億円減少し 459億円の支出となりました。生産設備の増強・更新などに伴う設備投資及びIT関連投資を継続的に進めたことに加えて、将来の成長にむけた事業買収なども実施しました。一方で、構造改革活動の結果として、子会社株式の譲渡などに伴う収入があり、前連結会計年度に比べて支出額が減少となりました。
以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計となるフリー・キャッシュ・フローは、構造改革活動による事業収益力(稼ぐ力)の強化、事業見直しなどにより、前連結会計年度から現金収入が 68億円増加し 360億円の収入となりました。ファイナンス事業の影響を除くフリー・キャッシュ・フローは、854億円の収入となり、2019年度までの3年間累計で 1,000億円を創出する目標に対して、2年間合計で1,513億円に達しており、順調に推移しています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 360億円増加し 424億円の収入となりました。負債については、満期となった長期借入負債の返済を行うとともに相当分の借り換えを実施しました。加えて、ファイナンス事業の拡大に伴う関連子会社による負債が増加しました。支払配当金は、業績状況とキャッシュ・フローの状況及び今後の成長に向けた投資を鑑み、期初に示した計画に基づいた配当金の支払いを実施しました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ 795億円増加し 2,400億円となりました。
当社グループの流動性と資本源泉は次のとおりです。
| 現金及び資産負債総合管理 |
事業発展に充分な資金流動性を確保し、堅固な財務体質を維持することが当社グループの方針です。この方針に従って、当社グループはここ数年、連結子会社が保有する流動性資金残高の効率的運用に努めてまいりました。その方策のひとつとして実施しているのが、各地域及びグローバルにおけるキャッシュマネジメントシステムの推進です。各地域にキャッシュマネジメントの要として設置している金融子会社を中心に地域内外のグループ企業間で手元流動性を有効活用するグループ内の資金融通の制度を構築、推進しております。この一環として、グローバルキャッシュプーリングシステムを導入し、グローバルベースでの更なる資金効率向上を実現しました。
また、当社グループは資産並びに負債の管理においてデリバティブを締結しております。為替変動が外貨建て資産と負債に与える潜在的な悪影響をヘッジするため、為替予約等を設定しており、金利の変動が金利支払によるキャッシュ・フローに与える潜在的な悪影響をヘッジするため、金利スワップ契約を結んでおります。当社グループはリスクの低減を目的として、定められた方針に従ってデリバティブを利用しております。自己売買、あるいは投機目的でデリバティブを利用しておらず、またレバレッジを効かせたデリバティブ取引も行っておりません。
| 資金源泉 |
当社グループは主に手元資金及び現金同等物、様々な信用枠及び社債の発行を組み合わせて資金を調達しております。流動性と資金源泉の必要額を判断する際、連結財政状態計算書の現金及び現金同等物の残高、並びに連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを重視しております。
当連結会計年度末において、現金及び現金同等物の残高は 2,400億円、信用枠は 6,753億円であり、そのうち未使用残高は 6,193億円でありました。当社は 1,500億円(信用枠 6,753億円の一部)のコミットメント・ラインを金融機関との間に設定しております。また、リコーリース株式会社は 500億円(信用枠 6,753億円の一部)のコミットメント・ラインを金融機関との間に設定しております。これらは信用枠の範囲内で、各国市場の金利で金融機関から借入が可能です。
当社及び一部の連結子会社は、コマーシャルペーパー発行、銀行借入及び社債の発行により資金を調達しております。当連結会計年度末において、一部の連結子会社が発行するコマーシャルペーパーの金利は 0.00%~3.50%、当社及び一部の連結子会社の銀行借入の金利は 0.08%~2.84%、社債の金利は 0.001%~7.30%です。また、当社グループはグローバルでキャッシュマネジメントシステムを活用しグループ資金を効率的に管理するとともに有利子負債残高を継続的に削減しております。
当社は大手格付機関(スタンダード・アンド・プアーズ・レーティング・サービス(以下「S&P」)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(以下「ムーディーズ」)、及び格付投資情報センター(以下「R&I」))から格付を取得しております。当連結会計年度末現在、当社の格付はS&Pが長期BBB+及び短期A-2、ムーディーズが短期P-3(金融子会社であるRicoh Finance CorporationのUSCPプログラム(信用補完付)に対する格付)、R&Iが長期A+及び短期a-1となっております。
| 必要資金及び契約債務 |
当社グループは現金及び現金同等物、並びに営業活動により創出が見込まれる資金で少なくとも翌連結会計年度の必要資金を充分賄えると予想しております。お客様の需要が変動し、営業キャッシュ・フローが減少した場合でも、現在の手元資金、及び当社グループが満足できる信用格付けを持つ金融機関に設定している信用枠で少なくとも翌連結会計年度中は事業用資金を充分賄えると考えております。さらに、足元の業務にとって必要な資金、及び既存事業の拡大並びに新規プロジェクトの開発に関連する投資に対し、充分な資金を金融市場又は資本市場から調達できると考えております。各国の経済動向等による金利の変動は、当社グループの流動性に悪影響を及ぼす可能性がありますが、手元の現金及び現金同等物は充分であり、営業活動からも持続的にキャッシュ・フローが創出されキャッシュマネジメントシステムを活用していることから、こうした影響はあまり大きくないと考えております。