有価証券報告書-第123期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/26 9:00
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当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、株式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」に記載しております。
(2) 経営成績
経営を取り巻く経済環境
当連結会計年度の世界経済は、オミクロン株による新型コロナウイルス感染症拡大や、欧米でのインフレの進行、中国のロックダウンの実施と終了、半導体や部材の不足とその後の緩やかな回復、為替レートの大幅な変動等、経済活動は一進一退の状況となりました。
このような経済情勢の中で、当社のメイン市場であるオフィスにおいても、リモートワークをはじめとする新しい働き方の定着により、オフィスの出社率が引き続き低調に推移し、プリンティング需要は限定的な回復にとどまりました。また、輸送コストや部材不足、ICT*商材の調達については改善傾向が見られたものの、金融業界の経営への不安や、欧米でのインフレに対する金融引き締めによる景気後退の懸念等、世界経済は依然として不透明な状況です。
主要通貨の平均為替レートは、対米ドルが 135.49円(前連結会計年度に比べ 23.13円の円安)、対ユーロが 140.91円(同 10.36円の円安)となりました。
*ICT(Information and Communication Technology):情報通信技術
当連結会計年度の業績
当社グループは、第20次中期経営計画(以下、20次中計)期間の2年間で「“はたらく”の生産性を革新するデジタルサービスの会社への変革」の実現を目指しました。
20次中計の最終年度となる当連結会計年度は、2021年4月より移行した社内カンパニー制のもと、各ビジネスユニットの自律的な事業運営を進め、それぞれの市場で起こる変化に迅速に対応しながら、体質強化に向けた取り組みを加速しました。デジタルサービスの会社を支える人材の育成や、基幹システムの刷新への取り組み等、変革に邁進し全社一丸となってデジタルサービスの成長実現に努めました。
当連結会計年度の連結売上高は、前連結会計年度に比べ 21.4%増加し、21,341億円となりました。(為替影響を除くと 12.4%の増加)。オフィスプリンティング事業では部材逼迫や、中国におけるロックダウンにより工場稼働率が低下する等、製品供給に遅れが生じましたが、外部要因に対する生産諸施策の展開により当連結会計年度末に向けて供給が改善し、エッジデバイス*の販売が増加しました。ノンハードウエア売上高は前連結会計年度に比べて増加したものの、想定よりも緩やかな回復にとどまりました。オフィスサービス事業においても、ICT商材不足等による販売活動への影響が発生していましたが、ICT商材に依存しないサービス・ソリューションの展開や、欧米での買収効果、また 2022年9月に実施した株式会社PFU(以下、PFU)の連結子会社化、円安の影響等により増収となりました。
地域別では、日本において、オフィスプリンティング事業の売上高はA3複合機の販売台数の増加により、前連結会計年度に比べ増加しました。また、オフィスサービス事業では部材不足により当社製品やICT商材の供給の遅延の影響を受ける中、電子帳簿保存法改正対応等、ICT商材に依存しない中小企業向けサービスが堅調に推移し、売上高の増加に貢献しました。加えて、PFUの買収効果等もあり、前連結会計年度に比べ 14.0%の増加となりました。米州においては、当連結会計年度末に向けてA4複合機等の供給不足が改善したことでA3複合機を含めた一括商談の納入が進み、オフィスプリンティング事業のエッジデバイスの売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。オフィスサービス事業では、マネージドサービスを提供している既存顧客への新たなサービス・ソリューションを強化し、コミュニケーションサービス領域でCenero,LLC.(以下、Cenero)の買収もあり、売上高が増加しました。また、商用印刷事業では、ハードウエア、ノンハードウエアともに販売が回復しました。加えて、円安の影響もあり、前連結会計年度比 35.4%の増加となりました(為替影響を除くと 13.0%の増加)。欧州・中東・アフリカにおいてもオフィスプリンティング事業ではA4複合機等の供給が改善しエッジデバイスの売上高が増加しました。また、ノンハードウエアも前連結会計年度から回復し、売上高が増加しました。オフィスサービス事業では、買収効果やパッケージ販売等により引き続き堅調に推移しました。加えて、円安の影響もあり、前連結会計年度に比べ 21.4%の増加となりました(為替影響を除くと 12.6%の増加)。その他地域においては、中国でのロックダウンによる行動制限の影響、またその後の政策変更による新型コロナウイルス感染症の拡大により一時、販売が停滞しましたが、円安の影響もあり前連結会計年度比 14.7%の増加となりました(為替影響を除くと 2.6%の増加)。
以上の結果、海外売上高全体では前連結会計年度に比べ 26.3%の増加となりました。なお、為替変動による影響を除いた試算では、海外売上高は前連結会計年度に比べ 11.3%の増加となりました。
売上総利益は、前連結会計年度に比べ 19.7%増加し 7,454億円となりました。売上高の増加による利益の増加のほか、物価やエネルギーコストの上昇、部材不足による仕入原価高騰に対し、各ビジネスユニットでの価格転嫁を含めたプライシングコントロール(売価政策)により利益を確保したことに加え、継続的な開発・生産の体質強化や円安の影響により利益が改善し、前連結会計年度に比べ増益となりました。
販売費及び一般管理費は、販売の増加や事業成長に伴う経費の増加に加え、PFUの買収や円安の影響等により前連結会計年度に比べ 14.6%増加し 6,881億円となりました。
その他の収益は、前連結会計年度に比べ増加しました。前連結会計年度に米国子会社の土地売却益等の収益を計上し、当連結会計年度では日本の土地売却益等の収益を計上しました。
以上の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べて 386億円増加し 787億円となりました。
金融収益及び金融費用は、支払利息の増加や為替差損の増加により、前連結会計年度に比べ金融収支が悪化しました。持分法による投資損益は、持分法適用会社の業績改善により前連結会計年度に比べ増加しました。
税引前利益は 813億円となり、前連結会計年度に比べて 369億円増加しました。
法人所得税費用は税引前利益が増加したこと等により、前連結会計年度に比べて 119億円増加しました。
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は 543億円となり、前連結会計年度に比べて 239億円増加しました。
当期包括利益は、当期利益や在外営業活動体の換算差額の増加等により、1,017億円となりました。
* エッジデバイス:文字・写真・音声・動画等のさまざまな情報の出入り口となる複合機やカメラをはじめとしたデータ処理機能を持つネットワーク機器
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。 (単位:百万円)
前連結会計年度
自 2021年4月1日至 2022年3月31日
当連結会計年度
自 2022年4月1日至 2023年3月31日
増減
金額(%)金額(%)金額(%)
デジタルサービス売上高計1,428,192100.01,650,414100.0222,22215.6
外部顧客向け1,428,1921,650,414222,22215.6
営業損益16,2091.128,2841.712,07574.5
デジタルプロダクツ売上高計377,447100.0440,376100.062,92916.7
外部顧客向け24,46626,7022,2369.1
営業損益41,53411.031,5777.2△9,957△24.0
グラフィック
コミュニケーションズ
売上高計187,082100.0234,843100.047,76125.5
外部顧客向け187,082234,84347,76125.5
営業損益△466△0.214,5786.215,044-
インダストリアル
ソリューションズ
売上高計102,059100.0116,335100.014,27614.0
外部顧客向け99,497113,57214,07514.1
営業損益1,5041.53,1502.71,646109.4
その他売上高計35,554100.0127,752100.092,198259.3
外部顧客向け19,350108,64989,299461.5
営業損益△15,521△43.7△3,245△2.512,276-


a. デジタルサービス
当連結会計年度のデジタルサービスの売上高は、前連結会計年度に比べ 15.6%増加し 16,504億円となりました(為替影響を除くと 7.2%の増加)。
オフィスサービス事業は、ICT商材不足により営業活動や関連したサービスの販売に影響が出たものの継続的に成長しました。
国内においては電子帳簿保存法改正やインボイス制度対応等ICT商材に依存しないソリューションの本格導入、教育による提案力強化を行い、特にシステム導入後の運用代行、仮想化集約、セキュリティ関連サービスを中心にスクラムシリーズの販売が堅調に推移しました。
2022年4月、サイボウズ株式会社(以下、サイボウズ)とデジタルサービス事業に関する業務提携に合意しました。2022年10月、サイボウズとの戦略的協業に基づき共同開発したクラウド型の業務改善プラットフォーム「RICOH kintone plus」の販売を開始しました。「RICOH kintone plus」は、当社の共創プラットフォーム「RICOH Smart Integration」や複合機との連携が可能です。さらに、2022年12月にサイボウズと資本提携契約を締結し、デジタルサービス分野の強化に取り組んでいます。
米州においては、セキュリティ対策サービスが引き続き堅調に推移しました。コミュニケーションサービスを展開する米国のCenero社の買収を完了し、オフィスサービス事業の提案力強化を進めました。
欧州においては、パッケージ型ソリューションの販売や買収したITサービス会社のシナジー創出により売上高を伸ばしました。イギリスのPure AV社、デンマークのAVC社、フランスのCorelia SAS社の3社を買収、社内ではオフィスサービスを担うシステムエンジニアやセールスの育成を進め、オフィスサービス事業の基盤強化、販売・サポート体制を拡充しています。
オフィスプリンティング事業においても、部材逼迫や中国におけるロックダウン等による製品供給遅れの影響を受けましたが、当連結会計年度末にかけてA4複合機等の供給不足が改善し、A3複合機を含めた一括商談時の納入が進む等、エッジデバイスの売上高が前連結会計年度に比べ増加しました。また、ノンハードウエアの売上高は想定よりも緩やかな回復となりました。加えて、海上運賃等のコスト上昇があったものの、価格転嫁を含むプライシングコントロール(売価政策)や保守サービス体制の改革等の利益改善策を実施しました。
その結果、セグメントとしてのデジタルサービス全体の営業利益は前連結会計年度から 120億円増加し、282億円となりました。
b. デジタルプロダクツ
当連結会計年度ではデジタルサービスを支えるエッジデバイスの製品群を強化しました。紙文書をデジタル化するデバイスとして、2023年2月、お客様のDX(デジタルトランスフォーメーション)とサステナビリティの両面で価値を提供するA3フルカラー複合機「RICOH IM C6010/C5510/C4510/C3510/C3010/C2510/C2010」を発売しました。働き方の変化や法改正に伴い、注文書や請求書等、文書の電子化が推し進められるなか、複合機はアナログである紙とデジタルをつなぐエッジデバイスとなっています。本製品は、エッジデバイスとしての機能強化を図り、名刺や領収書などの小サイズ原稿を含めた多様な紙文書を電子化することができます。さらに、省資源・省エネルギー化によりライフサイクル全体での環境負荷を削減し、お客様の事業活動での環境負荷低減に貢献します。
映像・音声のデジタル化では、2022年6月、WEB会議での臨場感をより高めるためのエッジデバイスとして、360°カメラ搭載一体型マイクスピーカー「RICOH Meeting 360 V1」を発売しました。また2022年11月、タッチ機能搭載の軽量ハンドアウト型ディスプレイ「RICOH Portable Monitor 150BW/150」を発売しました。
これらのエッジデバイスは、共創プラットフォーム(RICOH Smart Integration)を介し、さまざまなアプリケーションと連携することで、お客様のワークフロー全体の効率化や新たな価値創造を実現します。
デジタルプロダクツの売上高は、前連結会計年度に比べ 9.1%増加し 267億円となりました(為替影響を除くと 2.1%の増加)。またセグメント間売上高を含む売上高では 16.7%増加の 4,403億円となりました。部材不足や中国での新型コロナウイルス感染症対応でのロックダウンや感染者増加により、工場の稼働に影響が出たものの、柔軟な生産施策を展開し、生産が回復したことで前連結会計年度と比べて増収となりました。営業利益は、当連結会計年度度末にかけて一時的にA4複合機の出荷割合が増加したことによる利益率低下や、継続する部材価格高騰等に対し、ものづくり体質強化による原価改善活動等により利益を確保しました。デジタルプロダクツ全体の営業利益は前連結会計年度に比べ 99億円減少し 315億円となりましたが、前連結会計年度に計上した米国子会社の土地売却益等を含めた一過性要因を除くと、営業利益は実質的に横ばいとなります。
c. グラフィックコミュニケーションズ
当連結会計年度の商用印刷事業では、2022年7月、デジタルフルカラー広幅複合機「RICOH IM CW2200/CW2200H/CW1200/CW1200H」を発売しました。フルカラーやモノクロの高速出力はもとより、スキャンスピードが大幅に向上しました。図面の印刷や図面情報の伝達等の生産性を大きく向上させ業務の効率化を促進します。
また、2022年9月、印刷業の現場に向け、印刷の色合わせ・色調整作業を効率化する新たなソリューションとして、カラーマネジメントソリューション「RICOH Auto Color Adjuster」を発売しました。
当連結会計年度のグラフィックコミュニケーションズの売上高は、前連結会計年度に比べ 25.5%増加し 2,348億円となりました(為替影響を除くと 11.3%の増加)。商用印刷事業では、欧米の経済活動の回復により売上高が増加しました。部材不足の影響を受けましたが代替部品を市場調達する等、生産数量の確保に努めプロダクションプリンターの販売が増加しました。ノンハードウエアは堅調に推移し、新型コロナウイルス感染症拡大以前の水準まで回復しました。産業印刷事業では、主力市場である中国でロックダウンの影響を受けましたがインクジェットヘッドの売上高は好調に推移しました。グラフィックコミュニケーションズ全体の営業利益は、商用印刷事業において代替部品調達による原価上昇が利益を圧迫しましたが、開発・生産・サービス活動の改善と円安により前連結会計年度に比べ 150億円増加し 145億円となりました。
d. インダストリアルソリューションズ
当連結会計年度のサーマル事業では、当社のサーマル印字技術「ラベルレスサーマル」が、複数の大手コンビニエンスストアで採用されました。。「ラベルレスサーマル」は、当社が開発したサーマルインクを包装材であるフィルムに部分コーティングし、コーティング部にサーマルヘッドやレーザー装置で熱を加えることにより直接印字するものです。「ラベルレスサーマル」の導入により、商品名や原材料などの情報が天面の包装資材に直接印字できるため、これまでパッケージに貼り付けられていた紙ラベルが不要となり、環境負荷低減に貢献します。さらに製造工程においても、紙ラベルの貼り付け作業や消耗品であるインクリボンの交換の手間が不要になり、小売・流通業界など幅広い分野で生産性の向上を実現します。
産業プロダクツ事業では、2022年9月、生産現場や物流現場において、狭小スペースや多様なレイアウト、荷物形状に対応して物品の搬送を行う無人搬送車「RICOH AGV* 3000」を発売しました。現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)に貢献します。
当連結会計年度のインダストリアルソリューションズの売上高は、前連結会計年度に比べ 14.1%増加し 1,135億円となりました(為替影響を除くと 5.2%の増加)。サーマル事業ではエネルギー価格や原材料価格・輸送費等のコストアップが継続しましたが、価格転嫁を含めたプライシングコントロールを機動的に実施して影響を吸収しました。また、剥離紙を使用しないラベルの販売や、欧米での物流・流通需要が拡大し増収となりました。産業プロダクツ事業では、中国のロックダウンによる自動車関連顧客の減産影響等を受け、減収となりました。インダストリアルソリューションズ全体の営業利益は、プライシングコントロール等で利益の確保の効果もあり、前連結会計年度に比べ 16億円増加し 31億円となりました。
なお、当連結会計年度よりエレクトロニクス事業についてデジタルプロダクツへ事業区分変更を行いました。これに伴い、エレクトロニクス事業の業績は当連結会計年度及び前連結会計年度共にデジタルプロダクツに含めております。
* AGV(Automated Guided Vehicle):床面のテープを認識しながら走行する無人搬送車のこと
e. その他
2022年9月にPFUの株式を取得し、連結子会社化しました。PFUは、近年加速する紙文書のデジタル化において、入り口となる業務用スキャナで世界No.1のシェアと顧客基盤を有しています。業務用スキャナの強化により、既存の複合機では読み取りが難しい特殊なドキュメントへの対応が可能となります。これにより、オフィス領域にとどまらず、医療機関や公的機関の窓口業務、金融機関や企業のバックヤードにおける各種書類の処理業務等、より専門的な領域に対して価値提供が可能になります。また、国内ではクラウド構築やマネージドセキュリティサービスを展開しており、当社のITマネジメントサービス能力の増強につながります。お互いの得意分野を補完・強化することでシナジーを生み出し、デジタルサービスの会社へ向け成長を加速させる取り組みを進めています。
Smart Vision事業では、スパイダープラス株式会社とともに、建設業界のDX加速を目的に、協業を開始しました。
当連結会計年度のその他の売上高は、前連結会計年度に比べ 461.5%増加し 1,086億円となりました(為替影響を除くと 454.5%の増加)。PFUの買収等により売上高が増加しました。また、創薬支援事業ではElixirgen Scientific Inc.への追加投資を実施、社会インフラの点検サービスでは実証実験や案件開拓等の事業化に向けた活動推進等、新規事業の創出に取り組んでいます。
これらの活動を含めた新規事業創出のための先行投資により、営業損益は 32億円(損失)となりましたが、PFUの買収やカメラ事業の収益改善による貢献により前連結会計年度に比べ 122億円改善しました。
(注) 事業セグメントとしてのデジタルサービスはオフィスサービス事業及びオフィスプリンティングの販売を主とした事業に限定した事業セグメントであり、当社グループが目指す「はたらく場をつなぎ、はたらく人の想像力を支えるデジタルサービスの会社」への変革、として掲げるデジタルサービスすべてを網羅しているものではありません。当社グループが「デジタルサービスの会社」として掲げる「デジタルサービス」は、事業セグメントではデジタルサービスの他、すべてのセグメントの事業内容に含まれております。
生産、受注及び販売の実績は、以下のとおりです。
① 生産実績
前連結会計年度及び当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、以下のとおりです。
事業の種類別セグメントの名称前連結会計年度
(自2021年4月1日 至2022年3月31日)
(百万円)
当連結会計年度
(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
(百万円)
前連結会計年度比
(%)
デジタルサービス---
デジタルプロダクツ323,573398,32423.1
グラフィック
コミュニケーションズ
143,192163,19314.0
インダストリアル
ソリューションズ
99,178114,53015.5
その他19,021106,063457.6
合計584,964782,11033.7

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。また、サービスに係る生産実績は含まれておらず、製造に係る生産実績としております。
2 PFUの生産実績はその他セグメントに計上されております。
3 当連結会計年度よりインダストリアルソリューションズのエレクトロニクス事業について、デジタルプロダクツへ事業区分変更を行いました。この変更に関して、前連結会計年度についても遡及適用した数値で表示しております。
② 受注実績
当社グループは見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。
③ 販売実績
前連結会計年度及び当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、以下のとおりです。
事業の種類別セグメントの名称前連結会計年度
(自2021年4月1日 至2022年3月31日)
(百万円)
当連結会計年度
(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
(百万円)
前連結会計年度比
(%)
デジタルサービス1,428,1921,650,41415.6
デジタルプロダクツ24,46626,7029.1
グラフィック
コミュニケーションズ
187,082234,84325.5
インダストリアル
ソリューションズ
99,497113,57214.1
その他19,350108,649461.5
合計1,758,5872,134,18021.4

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%以上の主要な相手先はありませんので、記載を省略しております。
3 PFUの売上高はその他セグメントに計上されております。
4 当連結会計年度よりインダストリアルソリューションズのエレクトロニクス事業について、デジタルプロダクツへ事業区分変更を行いました。この変更に関して、前連結会計年度についても遡及適用した数値で表示しております。

(3) 財政状態
資産合計は、前連結会計年度末に比べ 2,967億円増加し 21,499億円となりました。PFU等の買収に加え、前連結会計年度末と比較して為替レートが円安となったことから海外資産の換算差額が発生し、資産が増加しました。為替影響を除いた試算では 2,210億円の増加となりました。当連結会計年度の主要通貨の期末日レートは、対米ドルが 133.53円(前連結会計年度に比べ 11.14円の円安)、対ユーロが 145.72円(同 9.02円の円安)となりました。
資産の部は、当連結会計年度末にかけての売上高の増加等により、営業債権及びその他の債権が 792億円増加しました。また、販売在庫の増加、安全在庫の確保、買収や円安等により棚卸資産が 818億円増加しました。さらに、PFUや欧米でのサービス事業会社の買収、円安等によりのれん及び無形資産が 1,069億円増加しました。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ 2,444億円増加し 11,918億円となりました。負債の部では、仕入の増加により営業債務及びその他の債務が 438億円増加しました。また、シンジケートローン等による資金調達を実施し、流動負債と非流動負債をあわせ社債及び借入金が 1,275億円増加しました。
資本合計は、前連結会計年度末から 522億円増加し、9,580億円となりました。株主還元策として 300億円の自己株式取得を行い、取得した自己株式の消却を実施しました。これにより資本が減少しましたが、一方で、円安により在外営業活動体の換算差額が 407億円増加しました。
親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末に比べ 295億円増加し 9,315億円となりました。親会社所有者帰属持分比率は自己株式取得等の資本政策や新規借入の実施等により前連結会計年度末に比べ 5.4ポイント減少し 43.3%となりましたが、引き続き安全な水準を維持しています。
(4) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 157億円減少し 667億円の収入となりました。当期利益は前連結会計年度に比べ大幅に増加したものの、棚卸資産や当連結会計年度の販売の増加により営業債権及びその他の債権が増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が 745億円増加し 1,339億円の支出となりました。当連結会計年度においては、PFUを始めとした積極的な買収投資や出資により現金支出が増加しました。
以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計となるフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 903億円減少し 672億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が 1,671億円減少し 354億円の収入となりました。300億円の自己株式の取得を実施し現金支出が増加しましたが、借入等の資金調達を実施し現金収入が増加しました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ 231億円減少し 2,108億円となりました。
リコーグループでは、事業投資によって創出した営業キャッシュ・フローは、さらなる成長に向けた投資と株主還元に対して計画的に活用していきます。資本政策の詳細ついては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 当社の中期展望 ◆成長を支える資本政策」をご覧ください。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2019年3月期2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期
親会社所有者帰属持分比率34.2 %32.1 %48.7 %48.7 %43.3 %
時価ベースの
親会社所有者帰属持分比率
30.8 %20.1 %42.8 %36.5 %28.1 %
債務償還年数11.4 年9.1 年1.8 年2.9 年5.4 年
インタレスト・カバレッジ・レシオ17.3 倍25.5 倍47.1 倍26.9 倍13.2 倍

親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
債務償還年数:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/支払利息
※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち社債及び借入金を対象としております。
当社グループの流動性と資金源泉は次のとおりです。
現金及び資産負債総合管理

事業発展に充分な資金流動性を確保し、堅固な財務体質を維持することが当社グループの方針です。この方針に従って、当社グループはここ数年、連結子会社が保有する流動性資金残高の効率的運用に努めてまいりました。その方策のひとつとして実施しているのが、各地域及びグローバルにおけるキャッシュマネジメントシステムの推進です。各地域にキャッシュマネジメントの要として設置している金融子会社を中心に地域内外のグループ企業間で手元流動性を有効活用するグループ内の資金融通の制度を構築、推進しております。この一環として、グローバルキャッシュプーリングシステムを導入し、グローバルベースでの更なる資金効率向上を実現しました。
また、当社グループは資産並びに負債の管理においてデリバティブを締結しております。為替変動が外貨建て資産と負債に与える潜在的な悪影響をヘッジするため、為替予約等を設定しております。当社グループはリスクの低減を目的として、定められた方針に従ってデリバティブを利用しております。自己売買、あるいは投機目的でデリバティブを利用しておらず、またレバレッジを効かせたデリバティブ取引も行っておりません。
資金源泉

当社グループは主に手元資金及び現金同等物、様々な信用枠及び社債の発行を組み合わせて資金を調達しております。流動性と資金源泉の必要額を判断する際、連結キャッシュ・フロー計算書の現金及び現金同等物の残高、並びに営業活動によるキャッシュ・フローを重視しております。
当連結会計年度末において、現金及び現金同等物の残高は 2,108億円、信用枠は 3,762億円であり、そのうち未使用残高は 3,462億円でありました。当社は 1,500億円(信用枠 3,762億円の一部)のコミットメント・ラインを金融機関との間に設定しております。これらは信用枠の範囲内で、各国市場の金利で金融機関から借入が可能です。
当社及び一部の連結子会社は、銀行借入及び社債の発行により資金を調達しております。また、当社グループはグローバルでキャッシュマネジメントシステムを活用してグループ資金を効率的に管理しております。
当社は大手格付機関(スタンダード・アンド・プアーズ・レーティング・サービス(以下「S&P」)、及び格付投資情報センター(以下「R&I」))から格付を取得しております。2023年6月20日現在、当社の格付はS&Pが長期BBB及び短期A-2、R&Iが長期A+及び短期a-1となっております。
必要資金及び契約債務

当社グループは現金及び現金同等物、営業活動により創出が見込まれる資金、並びに借入金・社債等の調達資金で少なくとも翌連結会計年度の必要資金を充分賄えると予想しております。お客様の需要が変動し、営業キャッシュ・フローが減少した場合でも、現在の手元資金、及び当社グループが満足できる信用格付けを持つ金融機関に設定している信用枠で少なくとも翌連結会計年度中は事業用資金を充分賄えると考えております。さらに、足元の業務にとって必要な資金、及び事業拡大並びに新規プロジェクトの開発に関連する投資に対し、充分な資金を金融市場又は資本市場から調達できると考えております。各国の経済動向等による金利の変動は、当社グループの流動性に悪影響を及ぼす可能性がありますが、手元の現金及び現金同等物は充分であり、営業活動からも持続的にキャッシュ・フローが創出されキャッシュマネジメントシステムを活用していることから、こうした影響はあまり大きくないと考えております。