有価証券報告書-第82期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度において、当社グループは「ドラゴンボール」シリーズ、「ワンピース」、「プリキュア」シリーズといった主力作品群からの安定的な収益の確保・拡大を図るとともに、海外事業、特に北米・中南米での劇場上映権販売や中国を中心とした映像配信権の販売に引き続き注力したものの、国内でのアプリゲーム等ゲーム化権の販売が前年同期ほどの勢いには至らなかったことや、新型コロナウイルスの感染拡大で劇場作品の公開が延期になったこと等がありました。
この結果、当連結会計年度における売上高は548億19百万円(前連結会計年度比1.6%減)、利益については、収益性の高い海外での映像販売事業や商品化権販売事業が増収となったこと等から、営業利益は160億94百万円(同2.2%増)、経常利益は164億55百万円(同1.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は114億37百万円(同0.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります(セグメント間取引金額を含む)。
なお、セグメント損益は、営業利益及び営業損失ベースの数値であります。
[映像製作・販売事業]
劇場アニメ部門では、2019年3月に「映画プリキュアミラクルユニバース」、4月に「東映まんがまつり」、8月に劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」、10月に「映画スター☆トゥインクルプリキュア」、2020年2月に「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」を公開しました。新型コロナウイルスの影響による「映画プリキュアミラクルリープ」の公開延期(当初2020年3月20日公開予定、公開時期未定)の影響があったものの、劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」の大ヒットがあったことから、前連結会計年度と比較して若干の減収に留まりました。
テレビアニメ部門では、「ワンピース」、「スター☆トゥインクルプリキュア」(2020年2月より「ヒーリングっど♥プリキュア」)、「ゲゲゲの鬼太郎」、「おしりたんてい」の4作品を放映しました。ゲーム向け音声製作や催事イベント向け映像製作が好調に稼働したものの、前連結会計年度に比べ放映本数が減少したことから、ほぼ横ばいとなりました。
コンテンツ部門では、前連結会計年度にあった「ワンピース」等複数タイトルのブルーレイ・DVD販売の反動減等から、大幅な減収となりました。
海外映像部門では、前連結会計年度に計上した北米向け映像配信権販売における複数年契約の反動減等があったものの、「ドラゴンボール超 ブロリー」の劇場上映権の販売が北米・中南米で好調に稼働したことやサウジアラビア向けTVシリーズの新規納品に加え、中国向け大口映像配信権の販売本数が増加したことから、増収となりました。
その他部門では、国内での映像配信権の販売が好調に稼動したことから、増収となりました。
この結果、映像製作・販売事業全体では、売上高は199億25百万円(前連結会計年度比2.0%増)、セグメント利益は45億33百万円(同9.3%増)と増収増益となりました。
[版権事業]
国内版権部門では、アプリゲーム『ドラゴンボール レジェンズ』や劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」の劇場公開に向けたタイアップ・キャンペーン向け許諾が好調に稼動したものの、前連結会計年度にあった複数作品の遊技機大口契約の反動減があったことや、アプリゲーム『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』が好調であった前連結会計年度には至らなかったこと等により、減収となりました。
海外版権部門では、前連結会計年度に好調であった家庭用ゲーム『ドラゴンボール ファイターズ』の反動減等があったものの、全世界で「ドラゴンボール」シリーズの商品化権販売が、最低保証金の計上もあり好調に推移したことから、増収となりました。
この結果、版権事業全体では、売上高は297億51百万円(前連結会計年度比1.5%減)、セグメント利益は収益性の高い海外での商品化権販売が好調であったことから145億3百万円(同1.0%増)と減収増益となりました。
[商品販売事業]
商品販売部門では、劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」の劇場公開に向けたタイアップ・キャンペーン向けノベルティグッズや『麦わらストア』が好調であった一方、前年同期好調の『プリキュアプリティストア』の勢いが減じたことや、「ドラゴンボール超 ブロリー」関連の商品販売の反動減等があったことから、前連結会計年度と比較して大幅な減収となりました。
この結果、売上高は44億1百万円(前連結会計年度比14.8%減)、セグメント損失は7百万円(前連結会計年度は、1億29百万円のセグメント利益)となりました。
[その他事業]
その他部門では、採算性を重視した催事イベントやキャラクターショー等を展開しました。「おしりたんてい」のキャラクターショーが好調に推移した一方、前連結会計年度にあった「ドラゴンボール」等の大型催事関連に相当するものがなかったことから、減収となりました。
この結果、売上高は9億11百万円(前連結会計年度比6.1%減)、セグメント損失は26百万円(前連結会計年度は、42百万円のセグメント損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ61億9百万円増加し、323億95百万円となりました。
その要因は以下のとおりであります。
なお、連結貸借対照表に掲記されている現金及び預金勘定399億84百万円との差異は、預入期間3ヶ月超の定期預金75億89百万円等であります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動の結果得られた資金は、105億64百万円(前連結会計年度は105億8百万円の獲得)となりました。資金の増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益164億26百万円、売上債権の減少24億8百万円、資金の減少の主な内訳は、たな卸資産の増加22億65百万円、仕入債務の減少17億73百万円、法人税等の支払額51億83百万円であります。なお、減価償却費6億96百万円は、資金流出の発生しない費用であるため、キャッシュ・フロー計算書では資金増の要因となっております。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動の結果使用した資金は、11億34百万円(前連結会計年度は38億85百万円の使用)となりました。資金の増加の主な内訳は、貸付金の回収による収入30億41百万円、定期預金の払戻による収入89億円、資金の減少の主な内訳は、投資有価証券の取得による支出13億26百万円、貸付けによる支出31億8百万円、定期預金の預入による支出82億94百万円であります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動の結果使用した資金は、31億55百万円(前連結会計年度は21億48百万円の使用)となりました。これは、主に配当の支払によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ 受注製作事業実績
当社グループは、映像製作・販売事業において、劇場アニメ作品・テレビアニメ作品の受注製作を行っており、当連結会計年度の製作実績及び受注実績を示すと次のとおりであります。
a.製作実績
(注) 1. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2. アニメ作品製作について、作業の一部を外注に依存しております。
(主な外注先:㈱TENH ANIMTATION MAGIC、㈱青二プロダクション、㈱スタジオディーン)
なお、当連結会計年度における外注費は5,425百万円であります。
b.受注実績
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ロ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3. 東映グループ(除く東映㈱及び当社の子会社)に対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
4. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前期末比55億27百万円増の940億19百万円となりました。
流動資産については、現金及び預金が55億29百万円、仕掛品が21億65百万円それぞれ増加し、受取手形及び売掛金が24億60百万円、流動資産のその他が2億84百万円それぞれ減少いたしました。
その結果、流動資産合計は前期末比50億66百万円増の600億81百万円となりました。
固定資産については、投資有価証券が2億10百万円、投資その他の資産のその他が5億44百万円それぞれ増加し、建物及び構築物1億61百万円、有形固定資産のその他が1億27百万円それぞれ減少いたしました。
その結果、固定資産合計は前期末比4億61百万円増の339億37百万円となりました。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前期末比19億61百万円減の193億26百万円となりました。
流動負債については、支払手形及び買掛金が18億61百万円、未払法人税等が3億94百万円それぞれ減少いたしました。
その結果、流動負債合計は、前期末比21億69百万円減の167億1百万円となりました。
固定負債については、固定負債のその他が2億83百万円増加し、役員退職慰労引当金が1億73百万円減少いたしました。
その結果、固定負債合計は、前期末比2億8百万円増の26億24百万円となりました。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は、前期末比74億88百万円増の746億92百万円となりました。
株主資本については、利益剰余金が前期に係る剰余金の配当により28億64百万円減少し、親会社株主に帰属する当期純利益により114億37百万円増加したことに加え、「役員報酬BIP信託」の導入等に伴い、自己株式が1億50百万円増加いたしました。
その結果、株主資本は、前期末比84億22百万円増の736億69百万円となりました。
その他の包括利益累計額については、その他有価証券評価差額金が7億92百万円、為替換算調整勘定が円高の影響により1億42百万円それぞれ減少いたしました。
その結果、その他の包括利益累計額は、前期末比9億34百万円減の10億23百万円となりました。
(b) 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、映像製作・販売事業において増収であったものの、版権事業、商品販売事業において減収となったことにより、前期比8億81百万円減の548億19百万円となりました。
各セグメントの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績等の状況」、海外部門の売上高につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の「セグメント情報等 関連情報」をご参照ください。
(売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前期比15億4百万円減の313億58百万円となりました。
減収に伴い売上原価も減少しましたが、収益性の高い海外での映像販売事業や商品化権販売事業が増収となったこと等により、原価率は59.0%から57.2%となりました。
その結果、当連結会計年度の売上総利益は、前期比6億22百万円増の234億61百万円となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、劇場アニメ作品公開に係る広告宣伝費の増加や、アーカイブ資産保全に係る業務委託費の増加等により、前期比2億69百万円増の73億67百万円となりました。
その結果、当連結会計年度の営業利益は、前期比3億52百万円増の160億94百万円となりました。
また、売上高営業利益率は28.3%から29.4%となりました。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度の営業外損益は、持分法投資損益が利益から損失に転じたことや為替差損が増加したこと等により、営業外損益の純額では、前期比1億62百万円の減となりました。
その結果、当連結会計年度の経常利益は、前期比1億90百万円増の164億55百万円となりました。
また、売上高経常利益率は29.2%から30.0%となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別損益は、投資有価証券評価損が減少したこと等により、特別損益の純額では、前期比1億38百万円の増となりました。
その結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前期比3億29百万円増の164億26百万円となりました。
(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等合計は、前期比2億66百万円増の49億88百万円となりました。また、税効果会計適用後の法人税等の負担率は30.4%となりました。
その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比62百万円増の114億37百万円となりました。
当連結会計年度は、事業内容では、前連結会計年度から引き続いて、売上高、利益に占める国内外のアプリゲーム化権、中国向けの大口映像配信権の割合が大きい状況にあります。
また、作品でも、「ドラゴンボール」シリーズ、「ワンピース」の2タイトルの売上高、利益に占める割合が大きな状況も続いております。
特定の事業内容、作品への比重の拡大に加え、当社グループを取り巻く事業環境も大きく変化しています。
製作現場においては「働き方改革」推進での残業時間削減や労働生産性の再検討、CG・デジタル作画をはじめとしたアニメーション製作技術の急速な進化への対応等、さまざまな課題が山積するなか、人気作品・コンテンツの開発競争は更に激化しています。
また、ビジネス面では、コンテンツのデジタル化が進展する中、スマートデバイスの普及による映像配信やアプリゲーム市場の拡大等、今後とも、アニメーションを収益化する機会は、世界的に拡大すると予想されています。
これらの変化に対応し、中長期での持続的な成長・発展を目指すべく、当社グループは、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)対処すべき課題」に記載した方針に基づき、各種課題に取組んでいきます。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの分析)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますが、営業活動によるキャッシュ・フローの収入から、投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは、94億30百万円(前連結会計年度は66億23百万円)となりました。投資有価証券の取得による支出が増加したものの、定期預金の預入による支出が減少するとともに、定期預金の払戻による収入が増加したことで、投資活動によるキャッシュ・フロー支出が減少したことが主な要因です。
なお、翌連結会計年度において、重要な資本的支出の予定はございません。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
アニメーションビジネスは、先行投資型ビジネスであり、製作段階で、多額の製作資金を投入し、その後、完成した作品の映像著作権をベースに、各種事業を展開し、製作資金を回収していくのが基本的なスキームです。作品によって、回収に要する期間はさまざまであり、複数の作品が、一定の成績に達しない場合、営業活動から創出される資金が減少することも想定されますが、新規作品の企画製作は、当社グループが成長・発展していくために欠かせないものです。
そのため、当社グループは、運転資金、設備投資資金はもとより、新規作品の企画製作費用についても、充分な資金流動性を確保し、堅固な財務体質を維持することに努めております。
また、各子会社の余剰資金につきましては、配当金により当社へ集約することを基本に考えておりますが、将来におけるより効率的な資金運用に向けた施策として、キャッシュ・マネジメント・システムにより、一部の海外子会社より資金を集約しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、貸倒引当金の計上、退職給付に係る負債の計上、役員退職慰労引当金の計上、役員株式給付引当金の計上等について見積り計算を行っております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果が見積りと異なる場合があります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響について、連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、2020年6月以降緩やかに回復基調に進むものと仮定し、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度において、当社グループは「ドラゴンボール」シリーズ、「ワンピース」、「プリキュア」シリーズといった主力作品群からの安定的な収益の確保・拡大を図るとともに、海外事業、特に北米・中南米での劇場上映権販売や中国を中心とした映像配信権の販売に引き続き注力したものの、国内でのアプリゲーム等ゲーム化権の販売が前年同期ほどの勢いには至らなかったことや、新型コロナウイルスの感染拡大で劇場作品の公開が延期になったこと等がありました。
この結果、当連結会計年度における売上高は548億19百万円(前連結会計年度比1.6%減)、利益については、収益性の高い海外での映像販売事業や商品化権販売事業が増収となったこと等から、営業利益は160億94百万円(同2.2%増)、経常利益は164億55百万円(同1.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は114億37百万円(同0.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります(セグメント間取引金額を含む)。
なお、セグメント損益は、営業利益及び営業損失ベースの数値であります。
[映像製作・販売事業]
劇場アニメ部門では、2019年3月に「映画プリキュアミラクルユニバース」、4月に「東映まんがまつり」、8月に劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」、10月に「映画スター☆トゥインクルプリキュア」、2020年2月に「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」を公開しました。新型コロナウイルスの影響による「映画プリキュアミラクルリープ」の公開延期(当初2020年3月20日公開予定、公開時期未定)の影響があったものの、劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」の大ヒットがあったことから、前連結会計年度と比較して若干の減収に留まりました。
テレビアニメ部門では、「ワンピース」、「スター☆トゥインクルプリキュア」(2020年2月より「ヒーリングっど♥プリキュア」)、「ゲゲゲの鬼太郎」、「おしりたんてい」の4作品を放映しました。ゲーム向け音声製作や催事イベント向け映像製作が好調に稼働したものの、前連結会計年度に比べ放映本数が減少したことから、ほぼ横ばいとなりました。
コンテンツ部門では、前連結会計年度にあった「ワンピース」等複数タイトルのブルーレイ・DVD販売の反動減等から、大幅な減収となりました。
海外映像部門では、前連結会計年度に計上した北米向け映像配信権販売における複数年契約の反動減等があったものの、「ドラゴンボール超 ブロリー」の劇場上映権の販売が北米・中南米で好調に稼働したことやサウジアラビア向けTVシリーズの新規納品に加え、中国向け大口映像配信権の販売本数が増加したことから、増収となりました。
その他部門では、国内での映像配信権の販売が好調に稼動したことから、増収となりました。
この結果、映像製作・販売事業全体では、売上高は199億25百万円(前連結会計年度比2.0%増)、セグメント利益は45億33百万円(同9.3%増)と増収増益となりました。
[版権事業]
国内版権部門では、アプリゲーム『ドラゴンボール レジェンズ』や劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」の劇場公開に向けたタイアップ・キャンペーン向け許諾が好調に稼動したものの、前連結会計年度にあった複数作品の遊技機大口契約の反動減があったことや、アプリゲーム『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』が好調であった前連結会計年度には至らなかったこと等により、減収となりました。
海外版権部門では、前連結会計年度に好調であった家庭用ゲーム『ドラゴンボール ファイターズ』の反動減等があったものの、全世界で「ドラゴンボール」シリーズの商品化権販売が、最低保証金の計上もあり好調に推移したことから、増収となりました。
この結果、版権事業全体では、売上高は297億51百万円(前連結会計年度比1.5%減)、セグメント利益は収益性の高い海外での商品化権販売が好調であったことから145億3百万円(同1.0%増)と減収増益となりました。
[商品販売事業]
商品販売部門では、劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」の劇場公開に向けたタイアップ・キャンペーン向けノベルティグッズや『麦わらストア』が好調であった一方、前年同期好調の『プリキュアプリティストア』の勢いが減じたことや、「ドラゴンボール超 ブロリー」関連の商品販売の反動減等があったことから、前連結会計年度と比較して大幅な減収となりました。
この結果、売上高は44億1百万円(前連結会計年度比14.8%減)、セグメント損失は7百万円(前連結会計年度は、1億29百万円のセグメント利益)となりました。
[その他事業]
その他部門では、採算性を重視した催事イベントやキャラクターショー等を展開しました。「おしりたんてい」のキャラクターショーが好調に推移した一方、前連結会計年度にあった「ドラゴンボール」等の大型催事関連に相当するものがなかったことから、減収となりました。
この結果、売上高は9億11百万円(前連結会計年度比6.1%減)、セグメント損失は26百万円(前連結会計年度は、42百万円のセグメント損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ61億9百万円増加し、323億95百万円となりました。
その要因は以下のとおりであります。
なお、連結貸借対照表に掲記されている現金及び預金勘定399億84百万円との差異は、預入期間3ヶ月超の定期預金75億89百万円等であります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動の結果得られた資金は、105億64百万円(前連結会計年度は105億8百万円の獲得)となりました。資金の増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益164億26百万円、売上債権の減少24億8百万円、資金の減少の主な内訳は、たな卸資産の増加22億65百万円、仕入債務の減少17億73百万円、法人税等の支払額51億83百万円であります。なお、減価償却費6億96百万円は、資金流出の発生しない費用であるため、キャッシュ・フロー計算書では資金増の要因となっております。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動の結果使用した資金は、11億34百万円(前連結会計年度は38億85百万円の使用)となりました。資金の増加の主な内訳は、貸付金の回収による収入30億41百万円、定期預金の払戻による収入89億円、資金の減少の主な内訳は、投資有価証券の取得による支出13億26百万円、貸付けによる支出31億8百万円、定期預金の預入による支出82億94百万円であります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動の結果使用した資金は、31億55百万円(前連結会計年度は21億48百万円の使用)となりました。これは、主に配当の支払によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ 受注製作事業実績
当社グループは、映像製作・販売事業において、劇場アニメ作品・テレビアニメ作品の受注製作を行っており、当連結会計年度の製作実績及び受注実績を示すと次のとおりであります。
a.製作実績
区分 | 製作高(百万円) | 前年同期比(%) | |
劇場アニメ作品 | 2,348 | 120.6 | % |
テレビアニメ作品 | 4,102 | 84.1 | % |
合計 | 6,450 | 94.5 | % |
(注) 1. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2. アニメ作品製作について、作業の一部を外注に依存しております。
(主な外注先:㈱TENH ANIMTATION MAGIC、㈱青二プロダクション、㈱スタジオディーン)
なお、当連結会計年度における外注費は5,425百万円であります。
b.受注実績
区分 | 本数 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) | ||
劇場アニメ作品 | 7 | 799 | 226.1 | % | 546 | 103.7 | % |
テレビアニメ作品 | 266 | 3,419 | 305.5 | % | 3,205 | 303.1 | % |
合計 | 273 | 4,218 | 286.5 | % | 3,752 | 236.7 | % |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ロ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
映像製作・販売事業 | 19,920 | 102.0 |
版権事業 | 29,585 | 98.5 |
商品販売事業 | 4,401 | 85.2 |
その他事業 | 911 | 94.1 |
合計 | 54,819 | 98.4 |
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
㈱バンダイナムコエンターテインメント | 13,010 | 23.4 | 13,697 | 25.0 |
東映㈱ | 3,387 | 6.1 | 2,542 | 4.6 |
3. 東映グループ(除く東映㈱及び当社の子会社)に対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
東映グループ | 291 | 0.5 | 285 | 0.5 |
4. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前期末比55億27百万円増の940億19百万円となりました。
流動資産については、現金及び預金が55億29百万円、仕掛品が21億65百万円それぞれ増加し、受取手形及び売掛金が24億60百万円、流動資産のその他が2億84百万円それぞれ減少いたしました。
その結果、流動資産合計は前期末比50億66百万円増の600億81百万円となりました。
固定資産については、投資有価証券が2億10百万円、投資その他の資産のその他が5億44百万円それぞれ増加し、建物及び構築物1億61百万円、有形固定資産のその他が1億27百万円それぞれ減少いたしました。
その結果、固定資産合計は前期末比4億61百万円増の339億37百万円となりました。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前期末比19億61百万円減の193億26百万円となりました。
流動負債については、支払手形及び買掛金が18億61百万円、未払法人税等が3億94百万円それぞれ減少いたしました。
その結果、流動負債合計は、前期末比21億69百万円減の167億1百万円となりました。
固定負債については、固定負債のその他が2億83百万円増加し、役員退職慰労引当金が1億73百万円減少いたしました。
その結果、固定負債合計は、前期末比2億8百万円増の26億24百万円となりました。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は、前期末比74億88百万円増の746億92百万円となりました。
株主資本については、利益剰余金が前期に係る剰余金の配当により28億64百万円減少し、親会社株主に帰属する当期純利益により114億37百万円増加したことに加え、「役員報酬BIP信託」の導入等に伴い、自己株式が1億50百万円増加いたしました。
その結果、株主資本は、前期末比84億22百万円増の736億69百万円となりました。
その他の包括利益累計額については、その他有価証券評価差額金が7億92百万円、為替換算調整勘定が円高の影響により1億42百万円それぞれ減少いたしました。
その結果、その他の包括利益累計額は、前期末比9億34百万円減の10億23百万円となりました。
(b) 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、映像製作・販売事業において増収であったものの、版権事業、商品販売事業において減収となったことにより、前期比8億81百万円減の548億19百万円となりました。
各セグメントの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績等の状況」、海外部門の売上高につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の「セグメント情報等 関連情報」をご参照ください。
(売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前期比15億4百万円減の313億58百万円となりました。
減収に伴い売上原価も減少しましたが、収益性の高い海外での映像販売事業や商品化権販売事業が増収となったこと等により、原価率は59.0%から57.2%となりました。
その結果、当連結会計年度の売上総利益は、前期比6億22百万円増の234億61百万円となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、劇場アニメ作品公開に係る広告宣伝費の増加や、アーカイブ資産保全に係る業務委託費の増加等により、前期比2億69百万円増の73億67百万円となりました。
その結果、当連結会計年度の営業利益は、前期比3億52百万円増の160億94百万円となりました。
また、売上高営業利益率は28.3%から29.4%となりました。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度の営業外損益は、持分法投資損益が利益から損失に転じたことや為替差損が増加したこと等により、営業外損益の純額では、前期比1億62百万円の減となりました。
その結果、当連結会計年度の経常利益は、前期比1億90百万円増の164億55百万円となりました。
また、売上高経常利益率は29.2%から30.0%となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別損益は、投資有価証券評価損が減少したこと等により、特別損益の純額では、前期比1億38百万円の増となりました。
その結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前期比3億29百万円増の164億26百万円となりました。
(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等合計は、前期比2億66百万円増の49億88百万円となりました。また、税効果会計適用後の法人税等の負担率は30.4%となりました。
その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比62百万円増の114億37百万円となりました。
当連結会計年度は、事業内容では、前連結会計年度から引き続いて、売上高、利益に占める国内外のアプリゲーム化権、中国向けの大口映像配信権の割合が大きい状況にあります。
また、作品でも、「ドラゴンボール」シリーズ、「ワンピース」の2タイトルの売上高、利益に占める割合が大きな状況も続いております。
特定の事業内容、作品への比重の拡大に加え、当社グループを取り巻く事業環境も大きく変化しています。
製作現場においては「働き方改革」推進での残業時間削減や労働生産性の再検討、CG・デジタル作画をはじめとしたアニメーション製作技術の急速な進化への対応等、さまざまな課題が山積するなか、人気作品・コンテンツの開発競争は更に激化しています。
また、ビジネス面では、コンテンツのデジタル化が進展する中、スマートデバイスの普及による映像配信やアプリゲーム市場の拡大等、今後とも、アニメーションを収益化する機会は、世界的に拡大すると予想されています。
これらの変化に対応し、中長期での持続的な成長・発展を目指すべく、当社グループは、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)対処すべき課題」に記載した方針に基づき、各種課題に取組んでいきます。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの分析)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますが、営業活動によるキャッシュ・フローの収入から、投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは、94億30百万円(前連結会計年度は66億23百万円)となりました。投資有価証券の取得による支出が増加したものの、定期預金の預入による支出が減少するとともに、定期預金の払戻による収入が増加したことで、投資活動によるキャッシュ・フロー支出が減少したことが主な要因です。
なお、翌連結会計年度において、重要な資本的支出の予定はございません。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
アニメーションビジネスは、先行投資型ビジネスであり、製作段階で、多額の製作資金を投入し、その後、完成した作品の映像著作権をベースに、各種事業を展開し、製作資金を回収していくのが基本的なスキームです。作品によって、回収に要する期間はさまざまであり、複数の作品が、一定の成績に達しない場合、営業活動から創出される資金が減少することも想定されますが、新規作品の企画製作は、当社グループが成長・発展していくために欠かせないものです。
そのため、当社グループは、運転資金、設備投資資金はもとより、新規作品の企画製作費用についても、充分な資金流動性を確保し、堅固な財務体質を維持することに努めております。
また、各子会社の余剰資金につきましては、配当金により当社へ集約することを基本に考えておりますが、将来におけるより効率的な資金運用に向けた施策として、キャッシュ・マネジメント・システムにより、一部の海外子会社より資金を集約しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、貸倒引当金の計上、退職給付に係る負債の計上、役員退職慰労引当金の計上、役員株式給付引当金の計上等について見積り計算を行っております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果が見積りと異なる場合があります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響について、連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、2020年6月以降緩やかに回復基調に進むものと仮定し、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。