四半期報告書-第74期第2四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/11/15 16:20
【資料】
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【項目】
46項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期における医療用医薬品市場は、2021年4月に初めて実施された中間年における薬価改定の影響を受けましたが、新型コロナウイルスのワクチン接種の普及等により患者様の受診抑制の状況は回復基調にあり、市場はプラス成長となりました。一方で、昨年度より医療機関において新型コロナウイルス感染症拡大による影響が継続していることに加え、一部の後発医薬品メーカーの品質問題、GMP違反等により、製品の回収・出荷調整が相次いだこともあり、医療機関との価格交渉については非常に厳しい状況で推移しました。
当社グループは、①患者様、医療機関、在宅医療・介護に携わる専門職等の課題解決と利便性向上のため、初診受付サービスや薬局本部システム「ミザル」をはじめとする顧客支援システムの開発・提案、②災害時においても医薬品等を安定供給するという社会的使命を果たすための物流機能の強化、③後発医薬品数量シェア目標80%時代において独自の検証により品質を担保した後発医薬品の安定供給、の3点を重要施策として取り組んでおります。
顧客支援システムについては、初期導入費用に加え、その利益の大部分を占めるお得意先より月々いただく課金額が着実に増え、当社グループの利益の底上げに大きく寄与しております。特に初診受付サービスにおいては9月に1カ月あたりの受付数が過去最高で70,000人を超え、利用者数は順調に増加しております。また、コロナ禍において接触機会を低減する薬局本部システム「ミザル」や診療予約システムなど、時代が求めるシステムの提供にも積極的に取り組むとともに、音声認識システムについては新たなシステムの構築に向けて医療機関との実証実験を行っております。オンライン診療・服薬指導システム「KAITOS」につきましては引き続き全社を挙げて取り組んでおりますが、新型コロナウイルスの自宅療養患者を対象にオンライン診療の活用が促進されるなどオンライン診療への期待が高まる一方で、オンライン診療自体の普及がなかなか進まないという課題があります。当社グループでは、医療機関検索サイト「病院なび」の中に患者様向けオンライン診療検索ページを新たに設置するなど、患者様のニーズを掘り起こし受診しやすい環境を整えることで、オンライン診療の普及促進に貢献してまいります。
物流機能については、2022年の稼働を目指し石川県金沢市にTBC北陸の建設を進めております。また、2020年9月に東京都大田区平和島で稼働したTBCダイナベースでは、ノー検品の推進やお得意先への商品の直送体制を強化するなど、ローコストで効率的な配送体制の構築に取り組んでおります。また、TBCダイナベースと、都内唯一の注射剤製造工場である共創未来ファーマ品川工場、品川区八潮に位置する検査薬・医療機器に特化した物流センターTBC WILL品川の各施設の機能および好立地を活かし、治験物流をはじめとする新たなビジネスにも挑戦してまいります。
新型コロナウイルス感染症への取り組みについては、行政からの要請に応じ、ワクチンや針・シリンジ、治療薬の配送に注力いたしました。6月21日より開始した職域接種につきましては、9月1日までに7,400名の社員およびその家族が2回の接種を完了しております。
また、2022年4月4日に移行が予定されている東京証券取引所の新市場区分につきましては、「プライム市場」を選択することを決議し、所定の手続きに基づき選択申請を行い、受理されております。
当第2四半期の連結業績は、売上高620,845百万円(前年同期比4.2%増)、営業利益1,863百万円(前年同期比45.6%増)、経常利益4,802百万円(前年同期比13.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益3,271百万円(前年同期比79.7%増)となりました。
なお、当社連結子会社である九州東邦株式会社は2021年11月9日に、独立行政法人国立病院機構本部を発注者とする、独立行政法人国立病院機構または独立行政法人労働者健康安全機構が運営する「九州エリア」に所在する病院が調達する医薬品の入札に関し、独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会による立入検査を受けました。当社は、九州東邦株式会社とともに、この度の事態を厳粛かつ真摯に受け止め、公正取引委員会の検査に全面的に協力しております。
セグメントの業績の概略は以下のとおりです。なお、第1四半期連結会計期間より、株式会社ネグジット総研、株式会社e健康ショップ、株式会社eヘルスケアの3社を新たに連結子会社とするとともに事業セグメントの区分方法を見直しております。従来の「治験施設支援事業」と「情報機器販売事業」に上記3社を新たに加え「その他周辺事業」とし、報告セグメントは、「医薬品卸売事業」、「調剤薬局事業」、「医薬品製造販売事業」、「その他周辺事業」の4区分となります。
医薬品卸売事業においては、新型コロナウイルス関連製品の配送に加え、医薬品の自主回収、出荷調整が相次いだことで、営業・配送現場の負担が増加していましたが、社内システムの機能強化により、現場の作業負担の軽減とお得意先へのタイムリーな情報提供が可能となりました。価格交渉においては製品価値と流通コストに見合った適切な価格提示につとめ、リモートディテーリングサービス、オンライン診療・服薬指導システム「KAITOS」、初診受付サービス、診療予約システムといった接触機会の低減に貢献する顧客支援システム・サービスの提案活動も積極的に行いました。また、神戸医師協同組合が運営する医薬品販売事業を東邦薬品株式会社が承継することを決定するなど、事業基盤の強化に努めました。
当第2四半期の医薬品卸売事業の売上高は596,983百万円(前年同期比4.2%増)、セグメント利益(営業利益)は1,130百万円(前年同期比38.7%減)となりました。
調剤薬局事業においては、調剤報酬の方向性に対応した店舗運営と、顧客支援システムの活用による業務の効率化や標準化、経費の削減・見直しなど収益性向上のための取り組みを推進しました。また、かかりつけ薬局・薬剤師としての機能を発揮するため、オンライン服薬指導の体制強化やSNSを活用した服薬フォローの推進、物販の拡充などに取り組んだほか、行政からの要請に従い抗原検査キットの取り扱いも開始しました。その結果、売上高は45,450百万円(前年同期比0.8%増)、セグメント利益(営業利益)は1,317百万円(前年同期比72.6%増)となりました。
医薬品製造販売事業においては、最新の品質・分析器の導入など製品の品質管理への取り組みを一層強化しました。製品ラインナップの拡充への取り組みでは、今年8月にジェネリック医薬品1成分2品目を新たに発売したほか、1成分1品目の製造販売承認を取得し、2021年9月末時点でのジェネリック医薬品の販売製品は85成分204品目となりました。その結果、売上高は4,028百万円(前年同期比1.5%増)、セグメント利益は312百万円(前年同期比27.3%減)となりました。
その他周辺事業においては、売上高は2,672百万円、セグメント利益は100百万円となりました。
(注)セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
(2)財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて3.0%増加し、501,589百万円となりました。これは、現金及び預金が8,286百万円、受取手形及び売掛金が3,372百万円それぞれ増加し、その他のうち返品資産が5,129百万円新規で発生したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて1.0%減少し、194,341百万円となりました。これは、有形固定資産が1,790百万円減少したこと等によります。
この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて1.9%増加し、695,931百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて2.9%増加し、387,682百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が4,891百万円増加し、その他のうち返金負債が5,328百万円新規で発生したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて2.3%減少し、67,498百万円となりました。これは、長期借入金が1,333百万円減少したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて2.1%増加し、455,181百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1.4%増加し、240,749百万円となりました。これは、利益剰余金が2,430百万円、その他有価証券評価差額金が830百万円それぞれ増加したこと等によります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し8,241百万円増加しました。その結果、当第2四半期連結累計期間末の資金残高は97,124百万円(前年同期比10,834百万円増加)となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、11,593百万円(営業活動によるキャッシュ・フローが前年同期比3,519百万円増加)となりました。これは、資金増加要因として、税金等調整前四半期純利益5,071百万円を計上、減価償却費3,262百万円、仕入債務の増加額4,890百万円、未払消費税等の増加額1,062百万円がありましたが、資金減少要因として、売上債権の増加額3,456百万円、法人税等の支払額1,441百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、1,445百万円(投資活動によるキャッシュ・フローが前年同期比1,423百万円増加)となりました。これは、資金増加要因として、投資有価証券の売却及び償還による収入857百万円がありましたが、資金減少要因として、有形固定資産の取得による支出1,304百万円、無形固定資産の取得による支出545百万円、投資有価証券の取得による支出701百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、2,202百万円(財務活動によるキャッシュ・フローが前年同期比3,173百万円減少)となりました。これは、資金減少要因として、長期借入金の返済による支出1,333百万円、配当金の支払額1,057百万円があったこと等によるものであります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。