四半期報告書-第74期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/14 10:10
【資料】
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【項目】
46項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期は新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展等により経済活動の回復がみられ、医療用医薬品市場においても、2021年4月の中間年における薬価改定の影響を受けたものの、患者さまの受診抑制は改善傾向にあり前年同期に比べプラス成長となりました。一方、新たな変異株の出現により、感染症の再拡大に伴う医療提供体制への影響が懸念され、先行き不透明な状況が継続しております。
当社グループは、①患者様、医療機関、在宅医療・介護に携わる専門職等の課題解決と利便性向上のため、初診受付サービスや薬局本部システム「ミザル」をはじめとする顧客支援システムの開発・提案、②災害時においても医薬品等を安定供給するという社会的使命を果たすための物流機能の強化、③後発医薬品数量シェア目標80%時代において独自の検証により品質を担保した後発医薬品の安定供給、の3点を重要施策として取り組んでおります。
また、再生医療等製品やバイオ医薬品、遺伝子治療医薬品など成長分野への経営資源の投下による新たな収益モデルの構築を進めております。その一環として、千葉大学と共同で脂肪細胞を用いた遺伝子治療用細胞医薬品の開発を進めるセルジェンテック株式会社、ならびに、慶應義塾大学医学部発の再生医療ベンチャーで、iPS 細胞由来角膜内皮代替細胞を用いた水疱性角膜症の新たな治療法の開発に取り組む株式会社セルージョンに出資いたしました。当社グループは今後も先端技術を有する製薬・ベンチャー企業への出資を通じて、その社会実装へ向けた事業開発を支援するとともに、原材料の輸送、治験物流、卸物流などの流通課題にも全面的に協力してまいります。
新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、医療提供体制の維持に貢献するため、新型コロナウイルス関連製品の配送・提供に注力するとともに、全社を挙げて感染防止策に取り組んでおります。また、職域接種については7,400名の社員・家族等を対象に2回のワクチン接種を実施しておりますが、現在3回目の追加接種に向けた準備を進めております。
2022年4月4日に移行が予定されている東京証券取引所の新市場区分につきましては、2022年1月11日に日本取引所グループ(JPX)より公表されております通り、「プライム市場」への移行が決定しております。
当第3四半期累計の連結業績は、売上高950,219百万円(前年同期比3.6%増)、営業利益5,549百万円(前年同期比68.3%増)、経常利益9,887百万円(前年同期比31.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益6,910百万円(前年同期比74.0%増)となりました。
なお、当社連結子会社である九州東邦株式会社は2021年11月9日に、独立行政法人国立病院機構本部を発注者とする、独立行政法人国立病院機構または独立行政法人労働者健康安全機構が運営する「九州エリア」に所在する病院が調達する医薬品の入札に関し、独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会による立入検査を受けました。当社は、九州東邦株式会社とともに、この度の事態を厳粛かつ真摯に受け止め、公正取引委員会の検査に全面的に協力しております。
セグメントの業績の概略は以下のとおりです。なお、第1四半期連結会計期間より、株式会社ネグジット総研、株式会社e健康ショップ、株式会社eヘルスケアの3社を新たに連結子会社とするとともに事業セグメントの区分方法を見直しております。従来の「治験施設支援事業」と「情報機器販売事業」に上記3社を新たに加え「その他周辺事業」とし、報告セグメントは、「医薬品卸売事業」、「調剤薬局事業」、「医薬品製造販売事業」、「その他周辺事業」の4区分となります。
医薬品卸売事業においては、独占禁止法違反による入札指名停止の影響を受けたものの、スペシャリティ医薬品をはじめとする、取扱卸を限定した製品の売上が順調に伸長しました。また、ワクチンをはじめとする新型コロナウイルス関連製品の配送や、一部の後発医薬品メーカーのGMP違反に端を発した製品の回収・出荷調整の対応に注力するとともに、価格交渉においては製品価値と流通コストに見合った適切な価格提示に努めました。さらに、リモートディテーリングサービス、オンライン診療・服薬指導システム「KAITOS」、初診受付サービス、薬局本部システム「ミザル」といった接触機会の低減や患者様・当社双方の利便性向上に貢献する顧客支援システム・サービスの提案活動にも引き続き取り組みました。この結果、当第3四半期累計の医薬品卸売事業の売上高は913,790百万円(前年同期比3.6%増)、セグメント利益(営業利益)は3,648百万円(前年同期比10.0%増)となりました。
調剤薬局事業においては、調剤報酬の方向性に対応した店舗運営と、顧客支援システムの活用による業務の効率化や標準化、経費の削減・見直しなど収益性向上のための取り組みを推進するとともに、オンライン服薬指導の体制強化、SNSを活用した服薬フォローの推進、物販の拡充など患者サービスの向上に努めました。また、改正薬機法の施行により、2021年8月より特定機能を有する薬局として地域連携薬局及び専門医療機関連携薬局の認定制度が開始されており、認定の獲得に向けた対応を進めております。さらに、新型コロナウイルス感染症の早期収束に向け、引き続き各店舗における感染症対策の徹底を図るとともに、抗原検査キットの取り扱いも行いました。その結果、売上高は68,910百万円(前年同期比0.8%増)、セグメント利益(営業利益)は2,280百万円(前年同期比30.8%増)となりました。
医薬品製造販売事業においては、製品の品質管理への取り組みを引き続き推進いたしました。製品ラインナップの拡充への取り組みでは、2021年12月にジェネリック医薬品3成分5品目を新たに発売し、2021年12月末時点でのジェネリック医薬品の販売製品は88成分209品目となりました。その結果、売上高は6,703百万円(前年同期比9.3%増)、セグメント利益(営業利益)は691百万円(前年同期比8.5%増)となりました。
その他周辺事業においては、売上高は4,154百万円、セグメント利益(営業利益)は308百万円となりました。
(注)セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
(2)財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて12.1%増加し、545,650百万円となりました。これは、現金及び預金が17,696百万円、受取手形及び売掛金が25,649百万円、商品及び製品が9,131百万円それぞれ増加し、その他のうち返品資産が5,477百万円新規で発生したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて5.3%減少し、185,809百万円となりました。これは、有形固定資産が2,191百万円、投資有価証券が7,799百万円それぞれ減少したこと等によります。
この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて7.1%増加し、731,459百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて13.6%増加し、428,137百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が46,778百万円増加し、その他のうち返金負債が5,699百万円新規で発生したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて6.0%減少し、64,943百万円となりました。これは、長期借入金が1,989百万円、その他のうち繰延税金負債が1,891百万円それぞれ減少したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて10.6%増加し、493,081百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて0.4%増加し、238,378百万円となりました。これは、利益剰余金が5,011百万円増加し、その他有価証券評価差額金が4,129百万円減少したこと等によります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった九州東邦㈱の宮崎営業所の新設につきましては、2021年12月に完了しております。