四半期報告書-第75期第1四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)

【提出】
2022/08/12 9:23
【資料】
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【項目】
45項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第1四半期における医療用医薬品市場は、2022年4月に実施された診療報酬改定において、薬剤費ベースで6.69%の薬価基準の引き下げが行われるなど、引き続き医療費抑制策の影響を受けましたが、がん治療薬などの新薬やスペシャリティ医薬品の伸長、患者様の受診抑制の改善などによりプラス成長となりました。一方、新型コロナウイルス感染症については、行動制限の緩和など、社会経済活動の正常化に向けた動きがあるものの、感染の再拡大による医療提供体制への影響が懸念され、当該市場は引き続き先行き不透明な状況にあります。このような状況において、当社グループは引き続き、従業員やその家族、お得意先、患者様等の安全のため、感染防止に最大限努めるとともに、医療提供体制の維持に貢献すべくワクチンや針・シリンジ、治療薬等の新型コロナウイルス関連製品の配送に注力いたしました。
顧客支援システムにつきましては、医薬品発注・情報端末機「ENIF」のWEB版である「FutureENIF-WEB(フューチャーエニフウェブ)」を今年5月に新たにリリースいたしました。パソコンだけでなくタブレットからも発注が可能となったことから特に在宅医療の現場での活用が期待されております。また、初診受付サービスにつきましては6月の1カ月あたりの受付数が過去最高の73,000人を超えるなど利用者数は順調に拡大しており、当社グループの利益の底上げに寄与しております。
物流機能につきましては、医療用医薬品等の北陸エリアにおける物流の要として、北陸エリア唯一の医療用医薬品物流センター「TBC北陸」(石川県金沢市)が2022年5月6日より全面稼働いたしました。納品時の検品を省略することで、お得意先と当社の双方の業務を効率化するとともに、コロナ禍における接触機会の低減にも寄与するノー検品システムを導入しているほか、マルチオーダーピックによる庫内作業の効率化を実現したセンターとなっております。また、新型コロナウイルス感染症用ワクチンをはじめとした、冷凍領域での厳密な温度管理が求められる医薬品が増えていることを受けて、-25℃~+4℃の幅広い領域での輸送に対応した定温搬送装置「サルム FZ」を新たに開発いたしました。本製品は、温度・装置の状態が本体内蔵の記録装置に記録されるため、製品の品質が担保されていることを証明できることから、製品の返品・再販売が可能となり、高額なスペシャリティ医薬品等の廃棄リスクを大幅に低減することが期待されております。
収益性の改善と企業価値向上のための取り組みにつきましては、グループ経営の最適化と組織のスリム化による生産性の向上を目的に、営業拠点の統廃合をはじめとした組織および人事の大幅な見直しを行いました。また、機動的な経営体制構築のため、今年6月には取締役の人数を見直しこれまでの14名から9名に減員いたしました。そのうち、1名を女性、社外取締役の人数を3名としております。今後もコーポレート・ガバナンスの充実を重要な課題の一つとして取り組んでまいります。
当第1四半期の連結業績は、売上高323,397百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益1,397百万円(前年同期比120.0%増)、経常利益3,142百万円(前年同期比39.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益2,061百万円(前年同期比19.1%増)となりました。
セグメントの業績の概略は以下のとおりです。
医薬品卸売事業においては、スペシャリティ医薬品をはじめとする、取扱卸を限定する製品の売上が順調に拡大し、売上に大きく寄与いたしました。また、顧客支援システムの提案活動にも引き続き積極的に取り組みました。特に、コロナ禍においてメーカー様の医療機関への訪問が制限される中、リモートディテーリングサービスの需要がますます高まっており、接続率や新規納入軒数、新患獲得数、リモート接続後のセールスなどをご評価いただいたメーカー様から継続してご利用いただいていることに加え、多くの引き合いをいただいております。医療機関との価格交渉においては、今年1月に改定された「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」に基づき、個々の製品価値と流通コストに見合った価格提示に努めました。これらの取り組みの結果、当第1四半期の医薬品卸売事業の売上高は311,792百万円(前年同期比4.8%増)、セグメント利益(営業利益)は1,281百万円(前年同期比131.0%増)となりました。
調剤薬局事業においては、かかりつけ薬剤師の育成や、オンライン服薬指導の強化、物販の拡充など患者サービスの充実に取り組みました。また、顧客支援システムの活用による業務の合理化・標準化や経費の全面的な見直しによる収益性向上にも引き続き取り組みましたが、今年4月に実施された調剤報酬改定の影響を受け、売上高は22,223百万円(前年同期比1.4%減)、セグメント利益(営業利益)は133百万円(前年同期比61.9%減)となりました。
医薬品製造販売事業においては、自社で構築した独自の検証システムに基づく徹底した品質管理と、計画的な生産体制の構築により、高品質・高付加価値な医薬品の安定供給に取り組みました。また今年6月の薬価追補収載においてジェネリック医薬品2成分3品目を新たに発売し、2022年6月末時点でのジェネリック医薬品の販売製品は88成分206品目となりました。その結果、売上高は2,485百万円(前年同期比27.6%増)、セグメント利益は288百万円(前年同期比47.2%増)となりました。
その他周辺事業においては、売上高は1,508百万円(前年同期比18.6%増)、セグメント利益(営業利益)は94百万円となりました。
(注)セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
(2)財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて1.3%増加し、519,927百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が4,759百万円、商品及び製品が818百万円それぞれ増加したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて0.5%増加し、190,130百万円となりました。これは、投資有価証券が1,743百万円増加し、有形固定資産が1,027百万円減少したこと等によります。
この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて1.1%増加し、710,058百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて6.4%増加し、428,430百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が7,017百万円、1年内償還予定の社債が20,018百万円それぞれ増加したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて35.0%減少し、37,884百万円となりました。これは、社債が20,023百万円減少したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて1.1%増加し、466,314百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1.0%増加し、243,743百万円となりました。これは、利益剰余金が975百万円、その他有価証券評価差額金が1,478百万円それぞれ増加したこと等によります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった設備投資については、以下の通り完了しております。
・提出会社の北陸物流センター「TBC北陸」新設のための建物及び設備 2022年5月
・㈱セイエルの鳥取営業所移転のための土地、建物 2022年4月