有価証券報告書-第76期(2023/04/01-2024/03/31)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における医療用医薬品市場は、2023年4月に中間年の薬価改定が実施されるなど、引き続き医療費抑制策の推進による影響を受けたほか、医療用医薬品の供給状況において一部製品の出荷調整が継続するなど、先行き不透明な状況が続きました。当社グループにおいては、コロナ検査試薬や検査キットの売上が前年度に比べて大きく減少したものの、コロナ関連製品全体の売上については当初想定していたほどの減少には至らず、スペシャリティ医薬品をはじめとする取扱卸を限定する製品の売上が引き続き伸長したことや、一部の製薬メーカーによる流通体制の変更などにより、売上・利益とも前年度を上回る結果となりました。
また、当社グループは、2023年5月に2024年3月期から2026年3月期までの3年間の中期経営計画2023-2025「次代を創る」を新たに策定し、(1)事業変革、(2)成長投資・収益性向上、(3)サステナビリティ経営、(4)資本効率の改善と株主還元の向上、の4つを基本方針として掲げ、積極的なアライアンスやDXの推進などにより持続的成長と企業価値向上のための具体的施策に取り組んでおります。
事業変革においては、「卸売事業の変革」を推進すべく、2023年7月に東邦薬品株式会社において営業部門を中心とした大幅な組織変更を行い、地域に根ざした取り組みを推進するための二次医療圏をベースとした営業体制に再編すべく検討を加速しております。変革の大きなテーマに医薬と検査薬の融合を掲げ、医薬MSと検査薬MSによる共同プロモーション等を推進するとともに、事業拠点の統廃合やMSとEMSの役割の明確化による営業と配送の効率化にも取り組みました。また、積極的なアライアンスにより、最先端技術と当社独自の顧客支援システムをはじめとする様々な機能との融合による新たな付加価値創造を図るため、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と連携研究ラボを設立し、ユニバーサルメディカルアクセスの構築を目的とした共同研究をスタートさせたほか、オンライン医療事業や臨床開発デジタルソリューション事業等を展開する株式会社MICINと資本業務提携を行い、6つの分科会から構成されるプロジェクトチームを立ち上げ、一部の事業では協業を開始しております。
成長投資・収益性向上のための取り組みについては、今後、市場成長が期待される再生医療等製品の取り扱いを開始するとともに、適正流通にむけた体制を構築するため、東邦薬品株式会社内に再生医療管理室を新設いたしました。また、投資案件の財務視点、事業戦略視点での妥当性や収益性、成長性、リスク等を検証することで規律ある投資を実行するため、取締役会の諮問機関として「投資委員会」を設置いたしました。
サステナビリティの推進については、短期および中長期的なCO2排出量削減目標を策定し、その達成に向けて物流センターや事業所において再生可能エネルギー由来の電力プランへの切り替え、太陽光パネルの設置やEV車の導入を進めております。また、2024年3月からはノボ ノルディスク ファーマ株式会社が日本で初めて試験運用を開始する、使用済みプレフィルド型ペン型注入器のリサイクルプロジェクト「ReMedTM 使用済み医療機器に、新たな使命を。」に東邦薬品株式会社ならびに当社グループ薬局15店舗が参画し、プラスチック廃棄物(フットプリント)の削減に貢献しております。
資本政策においては、政策保有株式の継続的な縮減や、2回の自己株式取得(各60億円、合計120億円)を実施し、2回目に取得した株式についてはその全株を消却するなど、資本効率の改善と株主還元の向上に取り組みました。
また、これらの中期経営計画の取り組みを加速し、その実効性を高めるため、重要な経営戦略や事業戦略等について議論・検討を行う「経営戦略委員会」を取締役会の諮問機関として設置することを決定いたしました。さらに、2024年3月には東邦ホールディングス株式会社の組織を再編し、経営戦略本部と物流・システム企画本部を新設し、具体的施策の取り組み強化を図っております。
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,476,712百万円(前期比6.1%増)、営業利益19,331百万円(前期比18.1%増)、経常利益21,787百万円(前期比13.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益20,657百万円(前期比51.5%増)となりました。
なお、当連結会計年度より、従来営業外収益として計上していた情報提供料収入等を売上高に含めることといたしました。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の情報提供料収入等についても売上高に組替えを行っております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
医薬品卸売事業においては、解熱鎮痛薬や鎮咳薬、去痰薬、麻しんワクチン等の需給ひっ迫による出荷調整への対応に努めました。スペシャリティ医薬品をはじめとする、取扱卸を限定する製品の売上は引き続き順調に伸長しており、一部の製薬メーカーによる流通体制の変更も売上に寄与いたしました。医療機関との価格交渉においては個々の製品価値と流通コストに見合った単品単価交渉に継続して努め、顧客支援システムについては動画やリモートディテーリングを活用したプロモーションの強化、ドラッグストアを中心とした『ENIFvoice』シリーズの導入促進、『ENIF』から『FutureENIF』への切り替えの推進、『病院なびホームページサービス』の提案強化等に取り組みました。これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高1,424,488百万円(前期比6.3%増)、セグメント利益(営業利益)19,453百万円(前期比39.0%増)となりました。
調剤薬局事業においては、中期経営計画の重要施策である「調剤薬局事業の変革」を実践すべく、事業会社の再編や採算性を重視した新規開局と閉局を行うとともに、在宅専門診療所との連携強化に取り組みました。また、デジタル化への対応を進めるため、処方箋送信機能と電子お薬手帳を備えたポータルアプリ『共創未来 薬局けんこうナビ』の提供を開始いたしました。当連結会計年度の経営成績は患者さまの受診抑制の回復に伴い処方箋応需枚数が増加した一方で、地域支援体制加算の経過措置が終了したことなどにより技術料が減少し、売上高は93,789百万円(前期比1.6%増)、セグメント利益(営業利益)は1,546百万円(前期比36.4%減)となりました。
医薬品製造販売事業においては、自社で構築した独自の検証システムに基づく徹底した品質管理と、計画的な生産・調達体制の構築により、高品質・高付加価値な医薬品の安定供給に取り組みました。また、共創未来ファーマ株式会社が販売するジェネリック医薬品が200床以上の大病院において1,000軒を超える採用をいただくまでになりました。これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高10,593百万円(前期比6.5%増)、セグメント利益(営業利益)755百万円(前期比12.6%減)となりました。
その他周辺事業における当連結会計年度の経営成績は、売上高6,147百万円(前期比7.4%減)、セグメント利益(営業利益)448百万円(前期比27.9%減)となりました。
(注)1.EMSとは、配送担当者のことであります。
2.ユニバーサルメディカルアクセスとは、医療・介護者のスキルの多寡に関わらず、誰もが不安なく質の高い医療・介護を提供できる仕組みであります。また、住む場所に関わらず、災害・緊急時でも、必要十分な医療・介護にアクセスできる、究極の医療アクセシビリティのことであります。
3.リモートディテーリングとは、医療従事者に専門担当者がオンライン経由で情報を提供することであります。
4.セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績及び受注実績
当社グループの生産実績及び受注実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
② 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 医薬品卸売事業(百万円) | 1,328,828 | 105.1 |
| 調剤薬局事業(百万円) | 14,585 | 103.1 |
| 医薬品製造販売事業(百万円) | 7,618 | 105.0 |
| その他周辺事業(百万円) | 1,246 | 67.5 |
| 合計(百万円) | 1,352,278 | 105.0 |
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 医薬品卸売事業(百万円) | 1,375,794 | 106.4 |
| 調剤薬局事業(百万円) | 93,774 | 101.6 |
| 医薬品製造販売事業(百万円) | 2,442 | 116.0 |
| その他周辺事業(百万円) | 4,701 | 94.3 |
| 合計(百万円) | 1,476,712 | 106.1 |
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における「主な相手先別販売実績」については、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先はありませんので記載を省略しております。
(2) 財政状態
① 総資産
当連結会計年度末における当社グループの総資産は、前連結会計年度末に比べて58,138百万円増加し、773,427百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて64,368百万円増加し、597,888万円となりました。これは、現金及び預金が46,769百万円、売掛金が22,234百万円それぞれ増加し、商品及び製品が4,110百万円減少したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて6,230百万円減少し、175,538百万円となりました。これは、有形固定資産が2,792万円、投資有価証券が2,391百万円それぞれ減少したこと等によります。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
医薬品卸売事業のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて35,439百万円増加し、598,277百万円となりました。これは、CMS預け金及び売掛金がそれぞれ増加し、商品及び製品が減少したこと等によります。
調剤薬局事業のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて917百万円増加し、56,763百万円となりました。これは、CMS預け金が増加したこと等によります。
医薬品製造販売事業のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて1,215百万円増加し、19,338百万円となりました。これは、CMS預け金が増加したこと等によります。
その他周辺事業のセグメント資産は、前連結会計年度末に比べて162百万円減少し、5,408百万円となりました。
② 負債
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて51,617百万円増加し、523,990百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて31,116百万円増加し、471,305百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が52,931百万円増加し、1年内償還予定の社債が20,003百万円減少したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて20,501百万円増加し、52,684百万円となりました。これは、社債が22,092百万円増加したこと等によります。
③ 純資産
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて6,520百万円増加し、249,437百万円となりました。これは、利益剰余金が18,215百万円増加した一方、資本剰余金が3,933百万円減少、自己株式が7,800百万円増加したこと等によります。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し46,833百万円増加しました。その結果、当連結会計年度末の資金残高は128,673百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は、59,934百万円(営業活動によるキャッシュ・フローが前期比59,943百万円増加)となりました。これは資金増加要因として、税金等調整前当期純利益30,783百万円を計上、減価償却費6,244百万円、仕入債務の増加額51,410百万円がありましたが、資金減少要因として、売上債権の増加額20,356百万円、法人税等の支払額7,773百万円があったこと等によるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果獲得した資金は、9,091百万円(投資活動によるキャッシュ・フローが前期比4,775百万円増加)となりました。これは資金増加要因として、投資有価証券の売却及び償還による収入13,233百万円がありましたが、資金減少要因として、有形固定資産の取得による支出2,505百万円、投資有価証券の取得による支出2,113百万円があったこと等によるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果支出した資金は、22,195百万円(財務活動によるキャッシュ・フローが前期比9,135百万円減少)となりました。これは、資金増加要因として、社債の発行による収入22,110百万円がありましたが、資金減少要因として、長期借入金の返済による支出9,622百万円、社債の償還による支出20,000百万円、自己株式の取得による支出12,002百万円、配当金の支払額2,235百万円があったこと等によるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの主要な資金需要は、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達にて対応していくこととしております。
手許の運転資金につきましては、当社及び一部の連結子会社等においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社に集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。また、突発的な資金需要に対しては、迅速かつ確実に資金を調達できるようコミットメントライン契約を締結しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
① 市場価格のないその他有価証券の評価
当社グループは、市場価格のないその他有価証券は移動平均法による原価法を採用し、その評価は1株当たり純資産額と取得価額とを比較して1株当たり純資産額が50%を下回っている場合に減損処理の要否を検討しております。減損処理の要否を検討するに当たっては、投資先から事業計画等を入手し、これまでの実績等を勘案してその実質価額が合理的な期間内に回復可能であるか判断しております。
なお、将来の超過収益力等を反映した価額を実質価額とすることが合理的と判断される場合には、当該金額を純資産額に代えて減損処理の要否を検討しております。減損処理の要否を検討するに当たっては、投資先から事業計画等を入手し、これまでの実績等を勘案して、超過収益力等の毀損が生じていないか、または当社グループの投資価値回復計画を作成し、実質価額が取得価額に比して50%超下回るものの、実行可能で合理的な投資価値回復計画があり回復可能性が十分な証拠によって裏付けられるかにより判断しております。
従って、事業計画等が達成されない場合、投資有価証券の減損処理を実施し当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
市場価格のないその他有価証券の評価のうち、市場価格のない非連結子会社株式の評価は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 独占禁止法関連損失引当金
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
③ 繰延税金資産の回収可能性の判断
当社グループは、繰延税金資産について四半期毎に回収可能性を検討し、回収可能性がないと考えられる金額に対しては評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断は、業績を踏まえた将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の企業分類が分類2、分類3に該当する会社は、繰延税金資産の回収可能性を判断する際に、課税所得見込額やタックス・プランニングは予測不能な前提条件の変化など見積り特有な不確実性があるため、見積可能期間は3年でスケジューリングを行っております。
将来の課税所得見込額は業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、繰延税金資産の見直しを行うため法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。
④ 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損処理を実施することとしております。回収可能価額の算定において用いられる資産グループごとの割引前将来キャッシュ・フローは事業計画に基づいて見積りを実施しており、当該事業計画は予測不能な前提条件の変化など見積り特有な不確実性があるため長期的な売上成長率を見込まずに作成しております。固定資産の回収可能価額の評価にあたっては、見積った将来キャッシュ・フローに貨幣の時間価値等を考慮した割引率を用いて算出した割引後将来キャッシュフローもしくは正味売却価額を用いております。
これらの主要な仮定について、市場環境の変化等により見直しが必要となる場合、固定資産の減損が発生し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
⑤ 貸倒引当金の見積り
当社グループは、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については過去3年間の貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
相手先の財政状態が悪化しその支払能力が低下した場合、追加引当処理が必要となり、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。