半期報告書-第77期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2024/11/14 13:41
【資料】
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【項目】
44項目
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当中間連結会計期間における医療用医薬品市場は、2024年4月に実施された薬価改定において薬剤費ベースで4.67%の薬価基準の引き下げが行われ、新型コロナウイルス治療薬の公費負担の終了等に伴う新型コロナウイルス関連製品の売上減少があったものの、がん治療薬をはじめとする新薬やスペシャリティ製品、ワクチン等の伸長により、プラス成長となりました。
当社グループにおいては2023年からの3カ年を期間とする中期経営計画2023-2025「次代を創る」を策定し、(1)事業変革、(2)成長投資・収益性向上、(3)サステナビリティ経営、(4)資本効率の改善と株主還元の向上、の4つを基本方針として掲げ、積極的なアライアンスやDXの推進などにより持続的成長と企業価値向上のための具体的施策を推進しております。
事業変革においては、2026年4月のスタートを目指す二次医療圏を軸とした「チーム制」への移行に向けて、引き続き医薬MSと検査薬MSによる共同施策を推進するとともに、営業・物流部門における組織変更・人事異動を7月に実施しました。また、「地域ヘルスケアデザインの構築」及び「顧客支援ビジネスの進化」を目指し、薬局向けICT事業を展開する株式会社ファルモと業務提携を行いました。ファルモ社の、調剤薬局向け対物業務DXトータルソリューション「Everyシリーズ」と当社の在庫管理システム等の顧客支援システムを連携し、双方のサービス強化・拡大につなげるとともに、地域医療DXに貢献する新たな製品の開発を進めてまいります。さらに、ドローン・ロボットを活用したDXソリューションを開発・提供するブルーイノベーション株式会社と戦略的業務提携を締結し、大規模災害時の被災地や遠隔地・アクセス困難な地域への医薬品・医療機器の安定的な配送体制の構築に向けて検討を開始いたしました。
成長投資・収益性向上への取り組みについては、今後の医薬品市場の主流となるスペシャリティ製品の伸長を見据え、医薬品の定温容器をはじめとした物流機器の製造・販売等を行うワコン株式会社と資本業務提携を行いました。厳格な温度・品質管理が求められるスペシャリティ製品の配送に向けて、新たな定温輸送商品の共同開発や、同社の既存輸送商品の新用途の開発を進めることで、気温上昇等の近年の異常気象においても品質を保持する温度管理物流体制を一層強化してまいります。
サステナビリティ経営については、7月に「購買管理室」を新設し、当社グループの購買活動における課題解決に取り組むとともに、サプライチェーン全体における共存共栄関係構築のための「パートナーシップ構築宣言」に当社グループ12社が参画いたしました。また、8月には、当社グループのコンプライアンス、リスクマネジメントを含めたガバナンスのより一層の強化を図るべく、取締役会の諮問機関として「ガバナンス強化特別委員会」を設置いたしました。本委員会は客観的かつ専門的立場から、内部統制組織に係る検証及びガバナンスに係る助言・提言を行うべく、当社から独立したメンバー3名で構成されており、当社グループは本委員会からの助言・提言を踏まえ、更なるガバナンスの向上に努めていく所存です。
資本効率の改善と株主還元の向上については、「DOE2%を見据え安定的に向上」との配当方針に沿って、今年度の年間配当金を前年度より10円増配し50円(中間・期末各25円)としておりましたが、さらに11月8日の取締役会において、期末配当については期初予想の1株当たり25円から15円増配の40円とし、年間配当金は前年度より25円増配の65円とすることを決定いたしました。また、8月に150億円の自己株式の取得を行うことを発表し、取得した株式は全て消却することとしております。
さらに、中期経営計画の取り組みを加速させ、より実効性を高めることを目的として本年4月に設置した経営戦略委員会は、利益成長戦略の検証作業を経て、「次代」のあるべき姿の明確な定義、及び、それに向けての最適事業ポートフォリオの構築、その結果としての政策保有株式等の資産保有方針及びキャピタル・アロケーションの中期的な方針を策定いたしました。詳細につきましては、11月8日に開示しました「経営戦略委員会の検証結果に基づき策定した実行計画のお知らせ」をご参照ください。
当中間連結会計期間の連結業績は、売上高754,974百万円(前年同期比2.7%増)、営業利益7,380百万円(前年同期比13.7%増)、経常利益8,596百万円(前年同期比8.2%増)、親会社株主に帰属する中間純利益5,383百万円(前年同期比38.7%減)となりました。
セグメントの業績の概略は以下のとおりです。
医薬品卸売事業においては、新型コロナウイルス関連製品の売上が前年同期に比べ減少したものの、当初想定していたほどの減少には至らず、スペシャリティ医薬品をはじめとする、取扱卸を限定する製品の売上が引き続き堅調に伸長しました。医療機関との価格交渉においては、2024年3月に改訂された流通改善ガイドラインを遵守すべく、個々の製品価値と流通コストに見合った単品単価交渉に引き続き取り組むとともに、特に医療上の必要性の高い医薬品については別枠での交渉に努めました。顧客支援システムについては簡易版ミザルの提案強化、ENIFからFutureENIFへの切り替えの推進、病院なびホームページサービスの提案等に取り組みました。これらの取り組みの結果、当中間連結会計期間の医薬品卸売事業の売上高は728,733百万円(前年同期比2.7%増)、セグメント利益(営業利益)は8,005百万円(前年同期比17.5%増)となりました。
調剤薬局事業においては、中期経営計画の重要施策である「調剤薬局事業の変革」を実践すべく、2024年3月末時点で27社あった調剤薬局事業会社を、今年7月1日時点で17社にまで再編いたしました。また、薬局DXを推進すべく、マイナ保険証の利用促進やオンライン服薬指導の促進等に取り組みました。さらに6月1日に施行された調剤報酬改定への対応を進めることで技術料の向上にも取り組みましたが、事業会社の統合に伴う一時費用の発生などにより、当中間連結会計期間の業績は、売上高は47,111百万円(前年同期比1.1%増)、セグメント損失(営業損失)は18百万円となりました。
医薬品製造販売事業においては、自社で構築した独自の検証システムに基づく徹底した品質管理と、計画的な生産体制の構築により、高品質・高付加価値な医薬品の安定供給に取り組みました。当中間連結会計期間の業績は売上高5,592百万円(前年同期比8.3%増)、セグメント利益442百万円(前年同期比1.4%増)となりました。
その他周辺事業においては、売上高は3,209百万円(前年同期比7.8%増)、セグメント利益(営業利益)は203百万円(前年同期比45.1%増)となりました。
(注)セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
(2)財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて1.6%減少し、588,234百万円となりました。これは、商品及び製品が8,358百万円増加し、現金及び預金が24,743百万円減少したこと等によります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて4.0%増加し、182,476百万円となりました。これは、投資その他の資産のその他のうち投資有価証券が5,305百万円増加したこと等によります。
この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて0.4%減少し、770,711百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて1.8%減少し、462,815百万円となりました。これは、未払法人税等が3,299百万円、その他のうち未払消費税等が3,019百万円それぞれ減少したこと等によります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて14.1%減少し、45,251百万円となりました。これは、社債が8,944百万円減少したこと等によります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて3.0%減少し、508,066百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて5.3%増加し、262,644百万円となりました。これは、利益剰余金が4,317百万円、その他有価証券評価差額金が2,644百万円それぞれ増加し、自己株式が4,884百万円減少したこと等によります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し24,747百万円減少しました。その結果、当中間連結会計期間末の資金残高は103,925百万円(前年同期比29,590百万円減少)となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は、10,744百万円(営業活動によるキャッシュ・フローが前年同期比64,677百万円減少)となりました。これは、資金増加要因として、税金等調整前中間純利益8,541百万円を計上、減価償却費2,817百万円がありましたが、資金減少要因として、売上債権の増加額2,853百万円、棚卸資産の増加額8,167百万円、未払消費税等の減少額3,019百万円、法人税等の支払額6,739百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、4,590百万円(投資活動によるキャッシュ・フローが前年同期比8,105百万円減少)となりました。これは、資金減少要因として、有形固定資産の取得による支出2,241百万円、投資有価証券の取得による支出1,155百万円、関係会社株式の取得による支出934百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、10,187百万円(財務活動によるキャッシュ・フローが前年同期比4,411百万円減少)となりました。これは、資金減少要因として、短期借入金の純減少額881百万円、自己株式取得のための預託金の増加額4,795百万円、自己株式の取得による支出2,707百万円、配当金の支払額1,381百万円があったこと等によるものであります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は232百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった提出会社の世田谷事業所の移転に伴う改修工事につきましては、2024年7月に完了しております。