四半期報告書-第76期第2四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)

【提出】
2019/11/12 11:04
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【項目】
32項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、国際情勢を巡る緊張の増大が世界経済に与える影響が懸念されたものの、雇用・所得環境の改善が続く中で、引き続き緩やかな景気回復基調にありました。
国内の情報サービス市場においては、情報システム投資が堅調に推移しておりますが、異業種からの参入による競争は激しくなると見込まれ、当社を取り巻く環境は依然として厳しい状況であると認識しております。
このような環境の中、日本ユニシスグループは、「顧客・パートナーと共に社会を豊かにする価値を提供し、社会課題を解決する企業」として、業種・業態の垣根を越え、さまざまな企業をつなぐビジネスエコシステムを創る中核となり、デジタルトランスフォーメーション注1を実現するプラットフォームの提供企業となることを目指した中期経営計画「Foresight in sight® 2020」(2018-2020年度)を策定し、重点施策に取り組んでおります。
中期経営計画で定めた4つの注力領域においては、対応する社会課題により、それぞれの領域の垣根を越えてクロスファンクショナルに活動しております。主な取り組みとして、MaaS注2分野においては、大津市および京阪バス株式会社と「持続可能なまちづくり」の実現に向けたMaaS推進協定を締結し、実用化に向けて進めております。2019年11月には、大津市内および比叡山にて、観光案内、ルート検索、クーポン、企画乗車券購入機能などが一体となった観光MaaSアプリ「ことことなび」を試験的に展開する予定です。また、新潟市においてもMaaS検討推進プロジェクトに参画し、実証実験に向けた準備を進めている等、各地でMaaSの取り組みを拡大しております。
次に、キャッシュレスの推進によるスマートな消費社会の実現に向けた取り組みとして、子会社であるキャナルペイメントサービス株式会社によるJCB既存加盟店へのQR・バーコード決済導入が引き続き拡大しております。また、株式会社ジェーシービーが展開するSmartCodeTM注3に対しても、参画を発表しているイシュアとのゲートウェイ接続を順次実施しており、QR・バーコード決済の普及を促進しております。
また、当社が2018年3月から運営している「VR でマイホームをつくる」をコンセプトとしたバーチャル住宅展示場「MY HOME MARKET®」注4は、新たに株式会社ウッドフレンズの住宅販売に採用され、採用社数が合計6社となり、順調にサービスを拡大しております。同サービスは、2019年6月に経済産業省によるIT導入補助金の助成対象となりハウスメーカーにおけるサービス採用の追い風となっているほか、同年10月には「2019年度グッドデザイン賞」を受賞する等、消費者の住宅購入のスタイルを変えるデザインとして高い評価を得ております。今後、さらに普及拡大を進めていくことで、ユーザーに寄り添った住まいづくりとハウスメーカーの働き方改革の推進の両面に、より一層貢献してまいります。
IoTビジネスプラットフォーム注5における取り組みでは、人間の認識・判断を再現する空間認識プラットフォームである「BRaVS(ブラーブス) LibraryTM」および「BRaVS PlatformTM」をリリースいたしました。BRaVS注6は東北電力株式会社で実証を行っている火力発電所の設備パトロールの自動化におけるAI技術や、株式会社日本海コンサルタントと共同研究をしている橋梁点検における劣化要因や健全性の判定を行う画像診断のAI技術として活用されております。橋梁点検におけるAI技術の活用については、石川県産業創出支援機構(ISICO)による事業化促進支援事業に採択され、2020年夏に向け、システムの事業化を進めてまいります。
一方、ICTコアビジネスでは、幅広い業種でシステム更改需要に伴うSI型ビジネス案件や製品販売などが堅調に積み上がっております。また、働き方改革の推進等の生産性向上への取り組みに加え、システムエンジニアの稼働率が高いレベルで推移した結果、収益性が向上しております。引き続き、システム開発や運用における生産性向上に向けた取り組みを推進してまいります。
以上のように、中期経営計画「Foresight in sight 2020」の達成に向けて日本ユニシスグループ一体となって取り組んでおります。
(注) 1. デジタルトランスフォーメーション:企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
2. MaaS(Mobility as a Service):運営主体を問わず、情報通信技術を活用することにより自家用車以外の全ての交通手段による移動を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念。クルマの「所有から利用」への動きが進む中、モビリティのサービス化の動きが加速してる。
3. SmartCode:株式会社ジェーシービーが提供する、一般社団法人キャッシュレス推進協議会の規格に準拠したQRコード・バーコード決済スキーム。
4. MY HOME MARKET:当社が展開する、スマートフォンなどのデジタルデバイスからVR上でモデルハウスを疑似体験することで理想の家づくりをサポートするサービス。
5. IoTビジネスプラットフォーム:日本ユニシスグループが提供するセンサーやカメラなどのデバイスによるデータ収集からデータ解析、機械学習までを一貫して管理するプラットフォーム。
6.BRaVS:当社が提供する人間の認識・判断を再現する空間認識プラットフォーム。画像情報に加えて、4Dデータ(距離・空間+時間)やその他の付加情報(「地域」・「季節」・「時間帯」・「気温」・「音」等)を深層学習に組み込むことで、より人間に近い総合的な認識・判断を可能にし、これまで実用化が難しかった領域で物体の認識・検出や異常検知など、高い精度の判別を実現する。
7.記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
売上高の状況
当第2四半期連結累計期間の売上高合計は、システムサービス、ソフトウェア、ハードウェア販売等が堅調に推移した結果、前年同期に比べ159億4百万円増加の1,497億26百万円(前年同期比11.9%増加)となりました。
営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益の状況
当第2四半期連結累計期間の売上総利益は、システムサービスやアウトソーシングの増収に伴う利益増加や、収益性の改善等により、前年同期に比べ35億64百万円増加の373億88百万円(前年同期比10.5%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、研究開発費が増加したことなどにより、前年同期に比べ6億61百万円増加の263億68百万円(前年同期比2.6%増)となりました。
この結果、営業利益は前年同期に比べ29億2百万円増加の110億20百万円(前年同期比35.8%増)、経常利益は前年同期に比べ31億15百万円増加の116億56百万円(前年同期比36.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期に比べ17億36百万円増加の79億28百万円(前年同期比28.1%増)となりました。
財政状態
当第2四半期連結会計期間末の総資産につきましては、前連結会計年度末比54億28百万円減少の2,059億93百万円
となりました。流動資産は、仕掛品が17億63百万円、商品及び製品が14億67百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が112億17百万円減少したこと等により、50億74百万円減少の1,231億95百万円となりました。固定資産は注力領域およびICTコア領域のアウトソーシングサービス関連を中心に41億2百万円を投資した一方、減価償却費54億36百万円を計上したこと等から、3億53百万円減少の827億98百万円となりました。なお投資有価証券については、注力領域の強化・拡大を目的として、スタートアップや、ファンドへの戦略投資や、保有する上場株式の株価上昇等により、前連結会計年度末比で11億16百万円増加いたしました。なお保有意義の見直しによる保有株式の一部売却は当期も継続して実施しております。 負債につきましては、支払手形及び買掛金が67億36百万円減少したこと等により、前連結会計年度末比101億25百万円減少の846億80百万円となりました。 純資産につきましては、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加の一方、配当金の支払等により、前連結会
計年度末比46億97百万円増加の1,213億12百万円となりました。この結果、自己資本比率は57.9%と前連結会計年度末比3.7ポイント増加いたしました。
資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要は、営業活動に関する資金需要として、システムサービスおよびサポートサービスの外注
費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用によるも
のがあります。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、新規サービスの開発等に向けた研究開発費です。ま
た投資活動に関する資金需要として、注力領域のビジネス拡大に向けた、事業会社、スタートアップ、ファンドへの
戦略投資、ICTコア領域の既存ビジネス遂行のための設備投資などがあります。 中期経営計画においては、投資戦略を重要な施策の一つとしており、2021年3月期までの3カ年で600億円程度の投
資規模を想定しています。これらの投資については、各事業の進展や定量目標の達成状況を見ながら、各投資領域に
機動的に資金を配分していく考えです。 必要な資金については、ICTコア領域や今後成長が見込まれる注力領域のビジネスから創出されるキャッシュ・フ
ローおよび手許資金などでまかなうことを基本としております。
また、機動的な資金調達と安定性の確保を狙いとし、主要取引金融機関と総額105億円の貸出コミットメントライ
ン契約を締結しております。なお、当第2四半期連結累計期間において当該契約に基づく借入実行はありません。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
システムサービス
システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上高は476億15百万円(前年同期比12.8%増)、セグメント利益は147億69百万円(前年同期比25.0%増)となりました。デジタルトランスフォーメーション関連の小型案件の積み上げのほか、金融機関、流通業、サービス業向けなど幅広い業種において既存システムの更改案件も発生しており、増収・増益となりました。引き続き生産性を高め、付加価値の高いビジネスの拡大と更なる収益性向上に取り組んでまいります。
サポートサービス
サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上高は268億11百万円(前年同期比2.6%増)、セグメント利益は74億98百万円(前年同期比3.5%増)となりました。ソフトウェア、ハードウェアの増収に伴い、幅広い業種向けに小口契約が安定的に推移していることから、増収・増益となりました。前期に開始したサポート拠点の統廃合も計画通り進行中であり、引き続きコスト削減に努め、収益性の維持・改善を図ってまいります。
アウトソーシング
アウトソーシングは、情報システムの運用受託等からなり、売上高は263億12百万円(前年同期比6.6%増)、セグ
メント利益は67億2百万円(前年同期比11.3%増)となりました。当第2四半期連結累計期間においては、ICT機器の運用サービス等の中小型案件の積み上げにより、増収・増益となりました。引き続き従来型のアウトソーシングサービスに加え、QR・バーコード決済サービスや、エネルギーマネジメント領域、MaaS領域でのプラットフォーム展開等、サービス型・手数料型ビジネスの拡大に取り組むことで、更なる事業拡大を目指してまいります。
ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上高は171億73百万円(前年同期比10.4%増)、セグメント利益は35億9百万円(前年同期比8.6%減)となりました。当第2四半期連結累計期間においては、売上高は増加しておりますが、他社製のソフトウェア販売が多かったことなどにより、セグメント利益は減益となっております。当セグメントにおいては、顧客接点系フロント領域のソリューション販売等に注力し、収益確保に取り組んでまいります。
ハードウェア
ハードウェアは機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上高は272億78百万円(前年
同期比31.1%増)、セグメント利益は39億34百万円(前年同期比4.1%増)となりました。AI関連機器の大型案件があっ
たことや、プロモーション活動の強化などにより小型製品の需要を取り込んだことから、増収増益となっております。
その他
その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービスおよび設備工事等を含み、売上高は
45億35百万円(前年同期比2.4%増)、セグメント利益は9億75百万円(前年同期比13.6%減)となりました。
(注) セグメント利益は四半期連結損益計算書の営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計373億88百万円から研究開発費、のれんの償却額、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額△263億68百万円を差し引いた110億20百万円が四半期連結損益計算書の営業利益となります。また、上記金額には消費税等を含んでおりません。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、期首残高に比べ11億27百万円増加の283億28百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金につきましては、税金等調整前当期純利益113億29百万円(前年同期比30億61百万円増加)に加え、売上債権の減少113億64百万円、非現金支出項目である減価償却費54億36百万円などの収入加算要素および、仕入債務の減少68億38百万円、たな卸資産の増加32億25百万円等の収入減算要素により、126億3百万円の収入(前年同期比20億20百万円の収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金につきましては、主に営業用コンピュータ等の有形固定資産の取得による支出14億66百万円(前年同期比2億54百万円支出減)、アウトソーシング用ソフトウェアに対する投資を中心とした無形固定資産の取得による支出26億35百万円(前年同期比56百万円支出減)、中期経営計画で定めた注力領域の強化・拡大を目的として実施した、ファンド投資や子会社であるCVCファンドの運用を中心とした投資有価証券の取得による支出7億61百万円(前年同期比6億94百万円支出減)等により、52億69百万円の支出(前年同期比7億74百万円支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金につきましては、長期借入金の返済による支出22億77百万円(前年同期比4億43百万円支出減)、配当金の支払による支出30億7百万円(増配により、前年同期比10億2百万円支出増)等により、62億6百万円の支出(前年同期比4億38百万円支出増)となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は、21億34百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。