四半期報告書-第79期第2四半期(令和4年7月1日-令和4年9月30日)

【提出】
2022/11/11 10:20
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【項目】
38項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染対策を実施し、経済・社会活動の正常化が進む中で、景気は緩やかに持ち直しています。一方で、ウクライナ情勢の長期化や原材料価格の上昇、急激な円安の進行などにより、依然として先行きの不透明な状況が続いております。
国内の情報サービス市場においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)領域への投資意欲は強い傾向にあるものの、国内経済の先行き不透明感もあり、引き続き動向を注視していく必要があります。
このような環境の中、当社は、社会的価値創出企業の実現に向け、2022年4月にBIPROGY株式会社に商号変更しました。新たに定めた「Purpose注1」および「Vision2030注2」のもと、社会的価値の創出を通じて、グループ全体の企業価値を持続的に向上させる、新たなステージに向けて策定した経営方針(2021-2023)に基づく取り組みを行っております。
営業概況としましては、DX関連案件を中心としたシステムサービスが業績を牽引し、売上収益は前年同期比増となりました。利益面では、社内基幹システムの刷新などにより販売費及び一般管理費が増加したものの、増収および収益性の向上により売上総利益が増益となったことなどから、営業利益、調整後営業利益、四半期利益ともに前年同期比で増益となりました。
受注高においては、システムサービスおよびアウトソーシングの拡大により堅調に積み上がり、前年同期比増となりました。
中長期の成長に向けては、お客様の持続的成長に貢献する顧客DXの推進「For Customer」と、各業種・業界のお客様、パートナーと共に社会課題解決を進める社会DXの推進「For Society」という2つの視点を定め、「ビジネスエコシステムⓇ」の拡大に向けた取り組みを行っております。
「For Customer」の取り組みとしては、金融サービスのDX化・経営資源効率化および銀行ビジネス変革の実現に向けて、株式会社紀陽銀行にて、パブリッククラウド上で稼働するフルバンキングシステム「BankVisionⓇ on Azure」が採用され、10月に稼働しております。お客様と地域経済の活性化に貢献できる付加価値型バンキングへの変革を目指し、引き続き伴走してまいります。
加えて、デジタルマネーチャージのプラットフォームサービスである価値交換基盤「dorecaⓇ」の提供を通じた、デジタルマネーの利便性を高める取り組みも推進しています。2022年6月の「au PAYⓇ」および「WebMoneyⓇプリペイドカード」との連携開始に続き、2022年9月に「楽天ペイⓇ」との連携に合意しました。この連携により、「doreca」を導入する企業から個人へ支払われる経費精算金や保険金などを各デジタルマネーで直接受け取ることができるようになります。
「For Society」の取り組みとしては、当社を含む5事業者は、共同事業者として、資源エネルギー庁の鳥取市における地域マイクログリッド導入プラン作成事業に採択されました。地域で生産した再生可能エネルギーを地産地消しながら、一定規模のエリアに存在する分散型エネルギーシステムを活用する「地域マイクログリッド」は、レジリエンス強化の一つとして期待されています。さまざまなエネルギーマネジメントシステムの構築により得た分散型エネルギー活用の知見を活かして本事業へ取り組み、脱炭素化・レジリエンス強化および地域内経済循環の促進を通じた地域活性化に貢献します。
また、新会社「V-Drive Technologies株式会社」を2022年7月に設立し、自動運転安全性評価のためのプラットフォーム DIVPⓇ注3の提供を開始しました。産学官のオールジャパン体制で叡智を結集したDIVPコンソーシアムとの相互連携により国際標準化を進め、欧州を中心としたグローバル展開を目指しています。当社グループは、1960年代からCAD/CAM注4開発に従事し蓄積した技術力をもとに、今後、自動運転システムの効率的な開発およびその社会受容性の醸成に係る自動運転の安全性評価基盤の確立を支援し、すべての人が安心安全に移動できる社会を目指します。
このような取り組みを通じて、レジリエンス、リジェネラティブ、ゼロエミッションという3つの社会インパクトに向けて、当社グループならではの独自のポジションを築き、持続可能な社会づくりを目指す「デジタルコモンズⓇ」の提供者として、新たなマーケットを創り出します。
当社グループでは、「環境長期ビジョン2050注5」を掲げ、環境経営への取り組みを強化してきました。環境分野のマテリアリティを特定し、カーボンニュートラルやサーキュラー・エコノミーを促進する環境貢献型サービスの提供や、脱炭素社会実現に向けたステークホルダーとの連携・協働を進めています。その取り組みの一環として、経済産業省が公表した「GXリーグ基本構想」に賛同し、2022年4月からGXリーグの実装に向けた詳細設計の議論と実証活動に参加しています。また、当社グループのユニアデックス株式会社が取り組む「資源循環デジタルプラットフォーム実証事業」が2022年9月に東京都環境局のモデル事業として採択されました。さらに、バリューチェーン全体で環境・社会に配慮した製品・サービスの提供を推進し、社会やお客様に対する事業を通じた幅広い環境貢献を目指しています。
以上のように、経営方針(2021-2023)の達成に向けて、当社グループ一体となって取り組んでまいりました。今後も、様々なステークホルダーとのコミュニケーションを継続し、持続的な企業価値向上を目指し、サステナビリティ経営を推進してまいります。
(注)
1. Purposeについては、当社のウェブページの以下ご参照
https://www.biprogy.com/com/purpose_principles.html
2. Vision2030については、当社のウェブページの以下ご参照
https://www.biprogy.com/com/management_policy.html
3. DIVP:Driving Intelligence Validation Platformの略称で、実現象と一致性の高いシミュレーションモデルに基づいた仮想空間における、さまざまな交通環境下の再現性の高い安全評価を行うためのプラットフォームのこと。
4. CAD/CAM:Computer Aided Design/Computer Aided Manufacturingの略称で、コンピューター支援による設計/製造のこと。
5. 環境長期ビジョン2050については、当社のウェブページの以下ご参照
https://biprogy.disclosure.site/ja/themes/118?response_id=280#280
6. 記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
売上収益・利益の状況
当第2四半期連結累計期間の売上収益は、システムサービスが好調に推移した結果、前年同期に比べ88億67百万円増収の1,547億82百万円(前年同期比6.1%増)となりました。
利益面につきましては、システムサービスの増収や収益性向上による増益効果などにより売上総利益が増益となったことから、社内基幹システム刷新に係る自社用機械化投資等による販売費及び一般管理費の増加分を吸収し、営業利益は前年同期に比べ6億91百万円増益の136億48百万円(前年同期比5.3%増)となりました。また、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、ファンド投資に係る評価益の計上等により金融収益が増加したことから、前年同期に比べ7億38百万円増益の101億12百万円(前年同期比7.9%増)となりました。
なお、当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益※につきましては、前年同期に比べ7億56百万円増益の135億98百万円(前年同期比5.9%増)となりました。
※調整後営業利益は売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
財政状態
当第2四半期連結会計期間末の総資産につきましては、営業債権の減少等により、前連結会計年度末比129億93百万円減少の2,556億53百万円となりました。
負債につきましては営業債務の減少等により、前連結会計年度末比165億47百万円減少の1,214億25百万円となりました。
資本につきましては、1,342億28百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は51.9%と前連結会計年度末比3.9ポイント上昇いたしました。
資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要は、営業活動に関する資金需要として、システムサービスおよびサポートサービスなどの外注費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものがあります。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、新規サービスの開発等に向けた研究開発費です。また、投資活動に関する資金需要として、新たなビジネス創出に向けた、事業会社、スタートアップ、ファンドへの戦略投資、既存ビジネス遂行のための設備投資などがあります。経営方針(2021-2023)においては、投資を重要な施策と位置づけており、先端テクノロジー活用とイノベーションの持続的な創出を目指しつつ、戦略投資を加速させていく計画です。
必要な資金については、既存のICT領域や今後成長が見込まれるサービス型ビジネスから創出されるキャッシュ・フローおよび手許資金等でまかなうことを基本としており、当第2四半期連結累計期間においても、この方針に変更はありません。
また、機動的な資金調達と安定性の確保を狙いとし、従来より、主要取引金融機関と総額105億円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。なお、当第2四半期連累計期間において当該契約に基づく借入実行はありません。
株主還元については業績連動による配分を基本として、キャッシュ・フローの状況や成長に向けた投資とのバランス、経営環境などを総合的に考慮して利益還元方針を定めており、経営方針(2021-2023)においては連結配当性向40%を目処とする利益還元方針を定めております。
キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比35億41百万円減少の451億61百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金につきましては、税引前四半期利益148億85百万円に加え、非現金支出項目である減価償却費及び償却費80億32百万円、営業債権及びその他の債権の減少194億96百万円等の収入加算要素および、営業債務及びその他の債務の減少68億37百万円等の収入減算要素により、151億18百万円の収入(前年同期比33億13百万円収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金につきましては、主に営業用コンピュータ等の有形固定資産の取得による支出12億3百万円、アウトソーシング用ソフトウェアに対する投資を中心とした無形資産の取得による支出63億67百万円、ファンド投資や子会社であるCVCファンドの運用を中心とした投資有価証券の取得による支出15億47百万円等により、91億54百万円の支出(前年同期比35億60百万円支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金につきましては、リース負債の返済による支出43億24百万円、配当金の支払額50億20百万円等により、96億35百万円の支出(前年同期比6億98百万円支出増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
システムサービス
システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上収益は524億58百万円(前年同期比11.3%増)、セグメント利益は182億67百万円(前年同期比27.1%増)となりました。金融機関や小売業、サービス業等、幅広い業種のお客様におけるデジタルトランスフォーメーション案件などが堅調に推移した結果、増収・増益となりました。また、受注高につきましても、デジタルトランスフォーメーション関連案件に対する需要が堅調に推移し、前年同期比で増加しております。引き続き顧客接点強化や業務改革を中心としたデジタルトランスフォーメーション関連ビジネスを積極的に展開し、付加価値の高いサービス提供により収益の拡大を目指してまいります。
サポートサービス
サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上収益は255億83百万円(前年同期比0.3%増)、セグメント利益は82億48百万円(前年同期比1.0%増)と増収・増益となりました。引き続き収益性の維持・改善に取り組んでまいります。
アウトソーシング
アウトソーシングは、情報システムの運用受託やサービス型ビジネス等からなり、売上収益は318億55百万円(前年同期比2.0%増)、セグメント利益は87億8百万円(前年同期比4.8%減)となりました。売上収益は金融機関向けやEC事業者向けのプラットフォームサービスにおける採用拡大や導入サービスの提供等により増収となったものの、前年同期に計上した利益率の高い大型案件の影響により減益となりました。
経営方針(2021-2023)において当セグメントを成長ドライバーと定め、ITアウトソーシングの更なる拡大に加え、お客様のデジタルトランスフォーメーションを推進するサービスの提供や、社会課題の解決に貢献する様々なサービス型ビジネスの拡大に取り組むことで、一層の事業拡大を目指してまいります。
ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上収益は178億57百万円(前年同期比15.8%増)、セグメント利益は17億26百万円(前年同期比28.7%減)となりました。前年同期に比べ増収となったものの、利益率の低い案件が増加したことにより、減益となりました。
ハードウェア
ハードウェアは、機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上収益は221億61百万円(前年同期比1.3%増)、セグメント利益は33億86百万円(前年同期比10.7%減)となりました。売上収益は増収となったものの、前年同期に比べ採算性の高い案件が減少した影響等により、減益となりました。
その他
その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービスおよび設備工事等を含み、売上収益は48億66百万円(前年同期比2.0%増)、セグメント利益は10億84百万円(前年同期比1.5%減)となりました。
(注)セグメント利益は当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計414億22百万円から、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額△278億24百万円を差し引いた135億98百万円が調整後営業利益となります。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は、18億21百万円です。
当第2四半期連結累計期間において、主なサービス・商品等の開発として、新たに以下を製品化し、提供を開始しました。
・内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」の研究成果である自動運転安全性評価のためのプラットフォームDIVP(Driving Intelligence Validation Platform)を製品化(以下、DIVP製品)し提供開始。自動運転車の安全性評価のためには、「目」の役割をもつセンサーの評価と「脳」の働きをもつ車両制御ソフトの評価の両方が必要となる。DIVP製品は、実現象と一致性の高いシミュレーションモデルやさまざまな道路環境に合わせたシナリオの作成など、一気通貫で自動運転に関する安全性評価を実現する。新会社「V-Drive Technologies株式会社」を設立し、DIVP製品を提供する。