四半期報告書-第77期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化しており、依然として厳しい状況が続いております。経済活動の回復が期待されている中、国内外の感染症拡大が懸念されており、先行きの不透明な状況が続いております。
国内の情報サービス市場においては、感染症の収束が見通せない中、情報システム投資の先送りなど、投資動向に影響が生じており、当社を取り巻く環境は厳しい状況にあると認識しております。
このような環境の中、日本ユニシスグループは、「顧客・パートナーと共に社会を豊かにする価値を提供し、社会課題を解決する企業」として、業種・業態の垣根を越え、さまざまな企業をつなぐビジネスエコシステムを創る中核となり、デジタルトランスフォーメーション注1を実現するプラットフォームの提供企業となることを目指し、中期経営計画「Foresight in sight® 2020」(2018-2020年度)の重点施策に継続して取り組んでおります。
営業概況としましては、ICTコア領域ではシステムサービスの売上高が前年同期比で減少となり、中小型案件の投資抑制や先送りの影響が続いておりますが、デジタルトランスフォーメンション関連ビジネス、金融機関の基幹系システムを始めとするアウトソーシング案件などは引き続き堅調な状況を維持しております。
注力領域では、第2四半期に引き続き、金融の顧客接点強化や小売の電子棚札、GIGAスクール構想注2対応ビジネスなどを始めとするデジタルトランスフォーメーション案件が伸長しており、同領域の売上高は前年同期比37.2%増となりました。注力領域の通期目標値に対する進捗率においても前年同期を上回るスピードを維持しております。
手数料型ビジネスについては、カーシェアリングやシェアオフィス向けサービスなどは低調な状況が続いておりますが、バリューカードビジネスやデジタルコードの取扱高は巣ごもり需要等の影響を受け好調に推移しており、QR・バーコード決済の国内取扱高においても引き続き、増加傾向にあります。加えて、エネルギーマネジメント関連などのサービスが着実に拡大しており、手数料型ビジネス全体では前年同期を上回り、注力領域の伸長に貢献しています。
第3四半期は、受注高、受注残高共に改善傾向が続いており、受注高は前年同期比5.3%増の2,137億円、受注残高は前年同期比9.7%増の2,310億円となりました。コロナ禍においても今後の成長に繋がる案件の確保ができており、年度内売上予定の受注残高においても前年同期を上回っております。
今後の業績を牽引していく分野として、コロナ禍においても堅調な業種、業態に引き続き注力してまいります。一例としては、小売業のデジタルトランスフォーメーションとして、店舗業務の効率化や機会損失の削減を実現する、AI ロボットサービス「RASFORTM(ラスフォー)」の提供を開始しました。ロボットが閉店後、無人の店内を自律走行しながら商品棚の画像を撮影し、売価・POP注3 期限・品切れのチェックを行い、人的業務を代行することで、深刻化した人手不足を解決します。ニューノーマル時代における業務のデジタル化ニーズに対応していくことで、小売業の課題解決に貢献してまいります。
また、地球環境への配慮や環境問題への意識が高まる中、社会課題解決に向けた取り組みとして、グループ会社であるユニアデックス株式会社が一般社団法人資源循環ネットワーク、大栄環境株式会社と三者共同で、廃棄物処理・リサイクル業界のデジタルトランスフォーメーション促進を目的として、「資源循環システムズ株式会社」を設立いたしました。該社では、IoT・AI等のデジタル技術の活用により、リサイクル業界固有のサプライチェーンを円滑化することで、脱炭素と循環経済を同時に達成する革新的循環ビジネスの創生を目指しており、SDGs注4実現に積極的に取り組むことにより、持続可能な資源循環型社会の一員としての役割を果たしてまいります。
その他の取り組みとしては、ダイバーシティ推進の一環として雇用の多様化を推進するため、屋外農園「日本ユニシスワクワクふぁーむ」を開園いたしました。本農園では、障がい者雇用を進めており、農作業を通じて心身の健康と就労のやりがいを感じて楽しく仕事を行い、活躍できる環境を整えております。また、農業IoTの実証実験を行うなど、当社のビジネスに繋げる取り組みにも活用してまいります。
また、2020年10月に発行しました「日本ユニシスグループ 統合報告書2020」が、 WICIジャパンが主催する「WICI ジャパン 統合リポート・アウォード」注5において「特別企業賞(ブロンズ・アウォード)」を受賞しました。
今後も当社グループを取り巻く多くのステークホルダーとのコミュニケーションを継続することにより、持続的な企業価値向上に取り組んでまいります。
当社グループは、引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止に努めていくとともに、状況変化の早期把握と適切な対策を実施すべく、モニタリングの徹底、強化を実施してまいります。また、新しい生活様式と働き方への変革を求められる中、働く場所と時間の自由度が高い柔軟な働き方や、契約書電子化などビジネスのデジタル化のための各種施策を継続しております。営業活動では、ウェビナー注6など提案活動をオンラインと組み合わせて対応しており、開発・保守・運用においても、常駐主体の考え方からオンラインを組み合わせたリモート体制へシフトし、新しい働き方・サービス提供に向けた変革を進めております。その他、物流業界の業務効率化・非接触オペレーションを実現するトラック予約・受付サービス「SmartTransport®」など各種サービスの無償提供を通じて、日本経済を支えているさまざまな業界の事業継続を支援してまいります。
以上のように、中期経営計画「Foresight in sight 2020」の達成に向けて日本ユニシスグループ一体となって取り組んでおります。
(注)1. デジタルトランスフォーメーション:企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
2. GIGAスクール構想:児童生徒向けに1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するとともにクラウドの活用を促進し、多様な子供たち一人一人に個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境を全国の学校現場で実現することを目指す文部科学省の取り組み。
3. POP:POP広告と呼ばれる「Point of purchase advertising」(購買時点広告)の頭文字から取った略語で、主に小売店の店頭プロモーションとして展開される、商品名や価格、商品説明を表示した広告媒体のこと。
4. SDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標のこと。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成される。
5.WICI ジャパン 統合リポート・アウォード:無形資産(特に知的資本)の報告・開示について主体的に取り組むWorld Intellectual Capital/Assets Initiative(WICI)が主催する、日本において統合報告(Integrated Reporting)の普及活動を推進する方策として2013年に創設された表彰制度。
6.ウェビナー:ウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を組み合わせた造語であり、インターネット上で行なわれるセミナーを指す。
7. 記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
売上高の状況
当第3四半期連結累計期間の売上高合計は、アウトソーシングサービスが伸長したものの、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、システムサービス、ソフトウェア、ハードウェア販売等が減収となった結果、前年同期に比べ55億88百万円減少の2,133億12百万円(前年同期比2.6%減)となりました。
営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益の状況
当第3四半期連結累計期間の売上総利益は、アウトソーシングの増収に伴う利益増加の一方、システムサービスやソフトウェアの減収に伴う利益減少により、前年同期に比べ1億87百万円減少の556億66百万円(前年同期比0.3%減)となりました。 販売費及び一般管理費は、一般経費が減少した一方、新規事業創出に向けた研究開発費の増加等により、前年同期に比べ68百万円増加の394億17百万円(前年同期比0.2%増)となりました。 この結果、営業利益は前年同期に比べ2億55百万円減少の162億48百万円(前年同期比1.6%減)、経常利益は前年
同期に比べ10億20百万円減少の163億37百万円(前年同期比5.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期に比べ9億92百万円減少の108億90百万円(前年同期比8.4%減)となりました。
財政状態
当第3四半期連結会計期間末の総資産につきましては、前連結会計年度末比93億86百万円減少の2,055億89百万円
となりました。流動資産は、商品及び製品が9億15百万円、仕掛品が29億98百万円増加した一方、受取手形及び売掛
金が216億13百万円減少したこと等により、102億96百万円減少の1,230億円となりました。固定資産は減価償却費80億5百万円を計上した一方で、注力領域およびICTコア領域のアウトソーシングサービス関連を中心に71億51百万円の設備投資を行ったことや、注力領域の強化・拡大を目的としたスタートアップ、ファンド等への戦略投資により、投資有価証券が29億57百万円増加したこと等から、前連結会計年度末比9億9百万円増加の825億88百万円となりました。なお保有意義の見直しによる保有株式の一部売却は当期も継続して実施しております。
負債につきましては、支払手形及び買掛金が50億91百万円減少したこと等により、前連結会計年度末比147億2百
万円減少の776億74百万円となりました。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加の一方、配当金の支払等により、前連結会
計年度末比53億16百万円増加の1,279億14百万円となりました。この結果、自己資本比率は61.2%と前連結会計年度末
比5.2ポイント上昇いたしました。
資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要は、営業活動に関する資金需要として、システムサービスおよびサポートサービスの外注
費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用によるも
のがあります。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、新規サービスの開発等に向けた研究開発費です。ま
た投資活動に関する資金需要として、注力領域のビジネス拡大に向けた、事業会社、スタートアップ、ファンドへの
戦略投資、ICTコア領域の既存ビジネス遂行のための設備投資などがあります。 中期経営計画においては、投資戦略を重要な施策の一つとしており、2021年3月期までの3カ年で600億円程度の投
資規模を想定しています。これらの投資については、各事業の進展や定量目標の達成状況を見ながら、各投資領域に
機動的に資金を配分していく考えです。 必要な資金については、ICTコア領域や今後成長が見込まれる注力領域のビジネスから創出されるキャッシュ・フ
ローおよび手許資金などでまかなうことを基本としており、当年度においてもこの方針に変更はありません。
また、機動的な資金調達と安定性の確保を狙いとし、従来より、主要取引金融機関と総額105億円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。なお、当第3四半期連結累計期間において当該契約に基づく借入実行はありません。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
システムサービス
システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上高は646億24百万円(前年同期比9.0%減)、セグメント利益は201億17百万円(前年同期比10.2%減)となりました。デジタルトランスフォーメーション関連の案件は比較的堅調に推移している一方で、ICTコア領域においては、中小型の既存システムの改修案件を中心に案件は動き出しているものの、戻りが遅いなどの影響もあり、減収・減益となりました。引き続き、顧客接点強化や業務改革を中心としたデジタルトランスフォーメーション関連ビジネスの積極展開を通じた、付加価値の高いビジネスの拡大と、生産性向上施策を継続的に推進することで、収益性の向上を図ってまいります。
サポートサービス サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上高は391億63百万円(前年同期比3.5%減)、セグメント利益は121億97百万円(前年同期比3.8%増)となりました。減収となりましたが、サポート拠点の統廃合などのコスト構造改革施策の効果が現れてきており、セグメント利益は増益となりました。
アウトソーシング アウトソーシングは、情報システムの運用受託等からなり、売上高は439億95百万円(前年同期比11.3%増)、セグメント利益は114億87百万円(前年同期比14.8%増)となりました。金融機関向けの勘定系サービスや、幅広い業種におけるICTアウトソーシングの中小型案件の積み上げにより、増収・増益となりました。収益性も運用効率の改善により引き続き改善しています。ITアウトソーシングの更なる拡大に加え、キャッシュレス関連などのスマート社会実現に向けたサービスや、持続可能なエネルギー社会に向けたエネルギーマネジメントソリューションの提供など、社会課題の解決に貢献する、さまざまなサービス提供型ビジネスの拡大に取り組むことで、一層の事業拡大を目指してまいります。
ソフトウェア ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上高は207億46百万円(前年同期比10.9%減)、セグメント利益は41億35百万円(前年同期比8.2%減)となりました。前年同期に大型案件の計上があったこと等の影響で減収・減益となっております。引き続き、顧客接点系フロント領域のソリューション販売などを強化することで、収益の拡大を図ってまいります。
ハードウェア ハードウェアは、機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上高は366億50百万円(前年同期比3.3%減)、セグメント利益は59億67百万円(前年同期比3.7%増)となりました。小売業向けデジタルトランスフォーメーション関連案件やGIGAスクール構想に関連する案件の計上があったものの、前年同期においてもPC・タブレットなどの小型機器が旺盛だったことや、AI関連機器の大型案件を計上したこと等の影響により減収となりました。セグメント利益については、マージン率の改善により、増益となっております。
その他
その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービスおよび設備工事等を含み、売上高は
81億32百万円(前年同期比23.6%増)、セグメント利益は17億61百万円(前年同期比22.8%増)となりました。
(注) セグメント利益は四半期連結損益計算書の営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計556億66百万円から研究開発費、のれんの償却額、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額△394億17百万円を差し引いた162億48百万円が四半期連結損益計算書の営業利益となります。また、上記金額には消費税等を含んでおりません。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は、37億3百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化しており、依然として厳しい状況が続いております。経済活動の回復が期待されている中、国内外の感染症拡大が懸念されており、先行きの不透明な状況が続いております。
国内の情報サービス市場においては、感染症の収束が見通せない中、情報システム投資の先送りなど、投資動向に影響が生じており、当社を取り巻く環境は厳しい状況にあると認識しております。
このような環境の中、日本ユニシスグループは、「顧客・パートナーと共に社会を豊かにする価値を提供し、社会課題を解決する企業」として、業種・業態の垣根を越え、さまざまな企業をつなぐビジネスエコシステムを創る中核となり、デジタルトランスフォーメーション注1を実現するプラットフォームの提供企業となることを目指し、中期経営計画「Foresight in sight® 2020」(2018-2020年度)の重点施策に継続して取り組んでおります。
営業概況としましては、ICTコア領域ではシステムサービスの売上高が前年同期比で減少となり、中小型案件の投資抑制や先送りの影響が続いておりますが、デジタルトランスフォーメンション関連ビジネス、金融機関の基幹系システムを始めとするアウトソーシング案件などは引き続き堅調な状況を維持しております。
注力領域では、第2四半期に引き続き、金融の顧客接点強化や小売の電子棚札、GIGAスクール構想注2対応ビジネスなどを始めとするデジタルトランスフォーメーション案件が伸長しており、同領域の売上高は前年同期比37.2%増となりました。注力領域の通期目標値に対する進捗率においても前年同期を上回るスピードを維持しております。
手数料型ビジネスについては、カーシェアリングやシェアオフィス向けサービスなどは低調な状況が続いておりますが、バリューカードビジネスやデジタルコードの取扱高は巣ごもり需要等の影響を受け好調に推移しており、QR・バーコード決済の国内取扱高においても引き続き、増加傾向にあります。加えて、エネルギーマネジメント関連などのサービスが着実に拡大しており、手数料型ビジネス全体では前年同期を上回り、注力領域の伸長に貢献しています。
第3四半期は、受注高、受注残高共に改善傾向が続いており、受注高は前年同期比5.3%増の2,137億円、受注残高は前年同期比9.7%増の2,310億円となりました。コロナ禍においても今後の成長に繋がる案件の確保ができており、年度内売上予定の受注残高においても前年同期を上回っております。
今後の業績を牽引していく分野として、コロナ禍においても堅調な業種、業態に引き続き注力してまいります。一例としては、小売業のデジタルトランスフォーメーションとして、店舗業務の効率化や機会損失の削減を実現する、AI ロボットサービス「RASFORTM(ラスフォー)」の提供を開始しました。ロボットが閉店後、無人の店内を自律走行しながら商品棚の画像を撮影し、売価・POP注3 期限・品切れのチェックを行い、人的業務を代行することで、深刻化した人手不足を解決します。ニューノーマル時代における業務のデジタル化ニーズに対応していくことで、小売業の課題解決に貢献してまいります。
また、地球環境への配慮や環境問題への意識が高まる中、社会課題解決に向けた取り組みとして、グループ会社であるユニアデックス株式会社が一般社団法人資源循環ネットワーク、大栄環境株式会社と三者共同で、廃棄物処理・リサイクル業界のデジタルトランスフォーメーション促進を目的として、「資源循環システムズ株式会社」を設立いたしました。該社では、IoT・AI等のデジタル技術の活用により、リサイクル業界固有のサプライチェーンを円滑化することで、脱炭素と循環経済を同時に達成する革新的循環ビジネスの創生を目指しており、SDGs注4実現に積極的に取り組むことにより、持続可能な資源循環型社会の一員としての役割を果たしてまいります。
その他の取り組みとしては、ダイバーシティ推進の一環として雇用の多様化を推進するため、屋外農園「日本ユニシスワクワクふぁーむ」を開園いたしました。本農園では、障がい者雇用を進めており、農作業を通じて心身の健康と就労のやりがいを感じて楽しく仕事を行い、活躍できる環境を整えております。また、農業IoTの実証実験を行うなど、当社のビジネスに繋げる取り組みにも活用してまいります。
また、2020年10月に発行しました「日本ユニシスグループ 統合報告書2020」が、 WICIジャパンが主催する「WICI ジャパン 統合リポート・アウォード」注5において「特別企業賞(ブロンズ・アウォード)」を受賞しました。
今後も当社グループを取り巻く多くのステークホルダーとのコミュニケーションを継続することにより、持続的な企業価値向上に取り組んでまいります。
当社グループは、引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止に努めていくとともに、状況変化の早期把握と適切な対策を実施すべく、モニタリングの徹底、強化を実施してまいります。また、新しい生活様式と働き方への変革を求められる中、働く場所と時間の自由度が高い柔軟な働き方や、契約書電子化などビジネスのデジタル化のための各種施策を継続しております。営業活動では、ウェビナー注6など提案活動をオンラインと組み合わせて対応しており、開発・保守・運用においても、常駐主体の考え方からオンラインを組み合わせたリモート体制へシフトし、新しい働き方・サービス提供に向けた変革を進めております。その他、物流業界の業務効率化・非接触オペレーションを実現するトラック予約・受付サービス「SmartTransport®」など各種サービスの無償提供を通じて、日本経済を支えているさまざまな業界の事業継続を支援してまいります。
以上のように、中期経営計画「Foresight in sight 2020」の達成に向けて日本ユニシスグループ一体となって取り組んでおります。
(注)1. デジタルトランスフォーメーション:企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
2. GIGAスクール構想:児童生徒向けに1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するとともにクラウドの活用を促進し、多様な子供たち一人一人に個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境を全国の学校現場で実現することを目指す文部科学省の取り組み。
3. POP:POP広告と呼ばれる「Point of purchase advertising」(購買時点広告)の頭文字から取った略語で、主に小売店の店頭プロモーションとして展開される、商品名や価格、商品説明を表示した広告媒体のこと。
4. SDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標のこと。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成される。
5.WICI ジャパン 統合リポート・アウォード:無形資産(特に知的資本)の報告・開示について主体的に取り組むWorld Intellectual Capital/Assets Initiative(WICI)が主催する、日本において統合報告(Integrated Reporting)の普及活動を推進する方策として2013年に創設された表彰制度。
6.ウェビナー:ウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を組み合わせた造語であり、インターネット上で行なわれるセミナーを指す。
7. 記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
売上高の状況
当第3四半期連結累計期間の売上高合計は、アウトソーシングサービスが伸長したものの、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、システムサービス、ソフトウェア、ハードウェア販売等が減収となった結果、前年同期に比べ55億88百万円減少の2,133億12百万円(前年同期比2.6%減)となりました。
営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益の状況
当第3四半期連結累計期間の売上総利益は、アウトソーシングの増収に伴う利益増加の一方、システムサービスやソフトウェアの減収に伴う利益減少により、前年同期に比べ1億87百万円減少の556億66百万円(前年同期比0.3%減)となりました。 販売費及び一般管理費は、一般経費が減少した一方、新規事業創出に向けた研究開発費の増加等により、前年同期に比べ68百万円増加の394億17百万円(前年同期比0.2%増)となりました。 この結果、営業利益は前年同期に比べ2億55百万円減少の162億48百万円(前年同期比1.6%減)、経常利益は前年
同期に比べ10億20百万円減少の163億37百万円(前年同期比5.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期に比べ9億92百万円減少の108億90百万円(前年同期比8.4%減)となりました。
財政状態
当第3四半期連結会計期間末の総資産につきましては、前連結会計年度末比93億86百万円減少の2,055億89百万円
となりました。流動資産は、商品及び製品が9億15百万円、仕掛品が29億98百万円増加した一方、受取手形及び売掛
金が216億13百万円減少したこと等により、102億96百万円減少の1,230億円となりました。固定資産は減価償却費80億5百万円を計上した一方で、注力領域およびICTコア領域のアウトソーシングサービス関連を中心に71億51百万円の設備投資を行ったことや、注力領域の強化・拡大を目的としたスタートアップ、ファンド等への戦略投資により、投資有価証券が29億57百万円増加したこと等から、前連結会計年度末比9億9百万円増加の825億88百万円となりました。なお保有意義の見直しによる保有株式の一部売却は当期も継続して実施しております。
負債につきましては、支払手形及び買掛金が50億91百万円減少したこと等により、前連結会計年度末比147億2百
万円減少の776億74百万円となりました。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加の一方、配当金の支払等により、前連結会
計年度末比53億16百万円増加の1,279億14百万円となりました。この結果、自己資本比率は61.2%と前連結会計年度末
比5.2ポイント上昇いたしました。
資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要は、営業活動に関する資金需要として、システムサービスおよびサポートサービスの外注
費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用によるも
のがあります。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、新規サービスの開発等に向けた研究開発費です。ま
た投資活動に関する資金需要として、注力領域のビジネス拡大に向けた、事業会社、スタートアップ、ファンドへの
戦略投資、ICTコア領域の既存ビジネス遂行のための設備投資などがあります。 中期経営計画においては、投資戦略を重要な施策の一つとしており、2021年3月期までの3カ年で600億円程度の投
資規模を想定しています。これらの投資については、各事業の進展や定量目標の達成状況を見ながら、各投資領域に
機動的に資金を配分していく考えです。 必要な資金については、ICTコア領域や今後成長が見込まれる注力領域のビジネスから創出されるキャッシュ・フ
ローおよび手許資金などでまかなうことを基本としており、当年度においてもこの方針に変更はありません。
また、機動的な資金調達と安定性の確保を狙いとし、従来より、主要取引金融機関と総額105億円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。なお、当第3四半期連結累計期間において当該契約に基づく借入実行はありません。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
システムサービス
システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上高は646億24百万円(前年同期比9.0%減)、セグメント利益は201億17百万円(前年同期比10.2%減)となりました。デジタルトランスフォーメーション関連の案件は比較的堅調に推移している一方で、ICTコア領域においては、中小型の既存システムの改修案件を中心に案件は動き出しているものの、戻りが遅いなどの影響もあり、減収・減益となりました。引き続き、顧客接点強化や業務改革を中心としたデジタルトランスフォーメーション関連ビジネスの積極展開を通じた、付加価値の高いビジネスの拡大と、生産性向上施策を継続的に推進することで、収益性の向上を図ってまいります。
サポートサービス サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上高は391億63百万円(前年同期比3.5%減)、セグメント利益は121億97百万円(前年同期比3.8%増)となりました。減収となりましたが、サポート拠点の統廃合などのコスト構造改革施策の効果が現れてきており、セグメント利益は増益となりました。
アウトソーシング アウトソーシングは、情報システムの運用受託等からなり、売上高は439億95百万円(前年同期比11.3%増)、セグメント利益は114億87百万円(前年同期比14.8%増)となりました。金融機関向けの勘定系サービスや、幅広い業種におけるICTアウトソーシングの中小型案件の積み上げにより、増収・増益となりました。収益性も運用効率の改善により引き続き改善しています。ITアウトソーシングの更なる拡大に加え、キャッシュレス関連などのスマート社会実現に向けたサービスや、持続可能なエネルギー社会に向けたエネルギーマネジメントソリューションの提供など、社会課題の解決に貢献する、さまざまなサービス提供型ビジネスの拡大に取り組むことで、一層の事業拡大を目指してまいります。
ソフトウェア ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上高は207億46百万円(前年同期比10.9%減)、セグメント利益は41億35百万円(前年同期比8.2%減)となりました。前年同期に大型案件の計上があったこと等の影響で減収・減益となっております。引き続き、顧客接点系フロント領域のソリューション販売などを強化することで、収益の拡大を図ってまいります。
ハードウェア ハードウェアは、機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上高は366億50百万円(前年同期比3.3%減)、セグメント利益は59億67百万円(前年同期比3.7%増)となりました。小売業向けデジタルトランスフォーメーション関連案件やGIGAスクール構想に関連する案件の計上があったものの、前年同期においてもPC・タブレットなどの小型機器が旺盛だったことや、AI関連機器の大型案件を計上したこと等の影響により減収となりました。セグメント利益については、マージン率の改善により、増益となっております。
その他
その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービスおよび設備工事等を含み、売上高は
81億32百万円(前年同期比23.6%増)、セグメント利益は17億61百万円(前年同期比22.8%増)となりました。
(注) セグメント利益は四半期連結損益計算書の営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計556億66百万円から研究開発費、のれんの償却額、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額△394億17百万円を差し引いた162億48百万円が四半期連結損益計算書の営業利益となります。また、上記金額には消費税等を含んでおりません。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は、37億3百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。