四半期報告書-第76期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/02/12 11:57
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【項目】
31項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、国際情勢や海外経済の動向、国内の消費税引き上げに伴う消費者動向への影響が懸念されたものの、雇用・所得環境の改善が続く中で、引き続き緩やかな景気回復基調にありました。
国内の情報サービス市場においては、情報システム投資が堅調に推移しておりますが、異業種からの参入による競争は激しくなると見込まれ、当社を取り巻く環境は依然として厳しい状況であると認識しております。
このような環境の中、日本ユニシスグループは、「顧客・パートナーと共に社会を豊かにする価値を提供し、社会課題を解決する企業」として、業種・業態の垣根を越え、さまざまな企業をつなぐビジネスエコシステムを創る中核となり、デジタルトランスフォーメーション注1を実現するプラットフォームの提供企業となることを目指した中期経営計画「Foresight in sight® 2020」(2018-2020年度)を策定し、重点施策に取り組んでおります。
中期経営計画で定めた4つの注力領域においては、対応する社会課題により、それぞれの領域の垣根を越えてクロスファンクショナルに活動しております。主な取り組みとして、エネルギーマネジメントの分野において、昨年度、関西電力株式会社と共同で実施したブロックチェーン技術を活用した太陽光発電等の電力直接取引の実証研究をさらに高度化させ、発電によって生じた「環境価値」の売買価格の決定や「RE100」企業向けに環境価値取引ができるシステムの実証研究を2019年12月より開始いたしました。本実証研究を通じて、環境価値取引にかかる知見を得るとともに今後はRE100に加盟する企業と連携を進めていくことで、エネルギーを効率的に活用する社会の実現に貢献してまいります。
また、当社が2018年3月から運営している「VR でマイホームをつくる」をコンセプトとしたバーチャル住宅展示場「MY HOME MARKET®」注2は、新たに楽天市場への出店を開始いたしました。楽天市場への出店により、利便性がより多くの消費者に認知され、住宅購入のスタイルが変化していくことを期待しております。
その他の注力領域ビジネスでは、金融業務の顧客接点を強化するフロント系Webシステムの刷新を始めとした、デジタルトランスフォーメーション関連のビジネスが積み上がっており、カーシェアやドライブレコーダーを中心としたモビリティ関連ビジネスも堅調に推移しております。
一方、ICTコアビジネスでは、金融や製造業など幅広い業種のSI型ビジネス案件やITインフラ向けの製品販売が堅調に積み上がっており、システムエンジニアの稼働率は引き続き高い水準で推移しております。案件のリスクを慎重に見極めつつ、知財の共有やリユースなど、システム開発や運用における生産性向上に向けた取り組みを継続してまいります。
また、投資面においては、2019年11月にAIアルゴリズム開発、ビッグデータ分析に強みを持つ株式会社ALBERTと資本業務提携を結びました。今後、流通事業や輸送・エネルギー事業等のインフラ領域を起点として、日本ユニシスグループの既存顧客や潜在顧客に対して、AIや分析技術を活用した新規事業及びプロダクト開発の共同提案を進めてまいります。
風土改革に関しては、業種・業界の枠にとらわれず多様な価値を持つステークホルダーをつなぎビジネスエコシステムを創出するため、ダイバーシティ推進を進めていますが、女性社員の人財パイプライン構築を目的とした研修・OJT等の育成プログラムやテレワーク等による多様で柔軟な働き方の推進、法定を上回る短時間勤務や産休・育休ワークショップ等による両立支援の取り組みが評価され、「女性が輝く先進企業表彰」注3において「内閣府特命担当大臣(男女共同参画)表彰」を受賞いたしました。
今後も、女性活躍をはじめとするダイバーシティをより一層推進し、多様な「個」が活かされる風土の醸成を進めてまいります。
以上のように、中期経営計画「Foresight in sight 2020」の達成に向けて日本ユニシスグループ一体となって取り組んでおります。
(注)1. デジタルトランスフォーメーション:企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
2. MY HOME MARKET:当社が展開する、スマートフォンなどのデジタルデバイスからVR上でモデルハウスを疑似体験することで理想の家づくりをサポートするサービス。
3. 女性が輝く先進企業表彰:女性が活躍できる職場環境の整備を推進するため、役員・管理職への女性の登用に関する方針、取り組み及び実績並びにそれらの情報開示において顕著な功績があった企業を表彰するもので、「女性が輝く社会」の実現に寄与することを目的とし、2014 年に創設されている。
4. 記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
売上高の状況
当第3四半期連結累計期間の売上高合計は、システムサービス、ソフトウェア、ハードウェア販売等が堅調に推移
した結果、前年同期に比べ200億14百万円増加の2,189億1百万円(前年同期比10.1%増加)となりました。
営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益の状況
当第3四半期連結累計期間の売上総利益は、システムサービスやアウトソーシングの増収に伴う利益増加や、収益
性の改善等により、前年同期に比べ55億39百万円増加の558億54百万円(前年同期比11.0%増)となりました。 販売費及び一般管理費は、研究開発費が増加したことなどにより、前年同期に比べ11億34百万円増加の393億49百万円(前年同期比3.0%増)となりました。 この結果、営業利益は前年同期に比べ44億4百万円増加の165億4百万円(前年同期比36.4%増)、経常利益は前年
同期に比べ47億65百万円増加の173億57百万円(前年同期比37.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同
期に比べ28億57百万円増加の118億82百万円(前年同期比31.7%増)となりました。
財政状態
当第3四半期連結会計期間末の総資産につきましては、前連結会計年度末比74億60百万円減少の2,039億60百万円
となりました。流動資産は、商品及び製品が42億8百万円、仕掛品が31億84百万円増加した一方、受取手形及び売掛
金が202億8百万円減少したこと等により、96億71百万円減少の1,185億98百万円となりました。固定資産は減価償却費81億40百万円を計上した一方で、注力領域およびICTコア領域のアウトソーシングサービス関連を中心に63億67百万円の設備投資を行ったことや、注力領域の強化・拡大を目的としたスタートアップ、ファンド等への戦略投資により、投資有価証券が32億2百万円増加したことなどから、前連結会計年度末比22億10百万円増加の853億61百万円となりました。なお保有意義の見直しによる保有株式の一部売却は当期も継続して実施しております。
負債につきましては、支払手形及び買掛金が84億82百万円減少したこと等により、前連結会計年度末比123億94百
万円減少の824億12百万円となりました。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加の一方、配当金の支払等により、前連結会
計年度末比49億33百万円増加の1,215億48百万円となりました。この結果、自己資本比率は58.7%と前連結会計年度末
比4.5ポイント上昇いたしました。
資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要は、営業活動に関する資金需要として、システムサービスおよびサポートサービスの外注
費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用によるも
のがあります。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、新規サービスの開発等に向けた研究開発費です。ま
た投資活動に関する資金需要として、注力領域のビジネス拡大に向けた、事業会社、スタートアップ、ファンドへの
戦略投資、ICTコア領域の既存ビジネス遂行のための設備投資などがあります。 中期経営計画においては、投資戦略を重要な施策の一つとしており、2021年3月期までの3カ年で600億円程度の投
資規模を想定しています。これらの投資については、各事業の進展や定量目標の達成状況を見ながら、各投資領域に
機動的に資金を配分していく考えです。 必要な資金については、ICTコア領域や今後成長が見込まれる注力領域のビジネスから創出されるキャッシュ・フ
ローおよび手許資金などでまかなうことを基本としております。
また、機動的な資金調達と安定性の確保を狙いとし、主要取引金融機関と総額105億円の貸出コミットメントライ
ン契約を締結しております。なお、当第3四半期連結累計期間において当該契約に基づく借入実行はありません。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
システムサービス
システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上高は710億35百万円(前年同期比10.7%増)、セグメント利益は223億95百万円(前年同期比22.7%増)となりました。デジタルトランスフォーメーション関連の中小型案件の積み上げのほか、金融機関、サービス業向けなど幅広い業種において既存システムの更改案件も発生しており、増収・増益となりました。引き続き、付加価値の高いビジネスの拡大と更なる収益性向上に取り組んでまいります。
サポートサービス サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上高は405億67百万円(前年同期比3.3%増)、セグメント利益は117億52百万円(前年同期比4.6%増)となりました。ソフトウェア、ハードウェアの増収に伴い、付帯する保守サービスの売上も着実に積み上がっており、増収・増益となりました。前期に開始したサポート拠点の統廃合も計画通り進行中であり、引き続きコスト削減に努め、収益性の維持・改善を図ってまいります。
アウトソーシング アウトソーシングは、情報システムの運用受託等からなり、売上高は395億38百万円(前年同期比5.9%増)、セグメント利益は100億8百万円(前年同期比9.3%増)となりました。ICT機器の運用サービス等の中小型案件の積み上げにより、増収・増益となりました。引き続き従来型のアウトソーシングサービスに加え、QR・バーコード決済サービスや、エネルギーマネジメント領域、MaaS領域でのプラットフォーム展開等、サービス型・手数料型ビジネスの拡大に取り組むことで、更なる事業拡大を目指してまいります。
ソフトウェア ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上高は232億73百万円(前年同期比13.0%増)、セグメント利益は45億7百万円(前年同期比2.4%増)となりました。第2四半期累計期間までは比較的に収益性の低い製品の販売が多く増収・減益となっていましたが、第3四半期において収益性の高い大型案件の計上があったことから、増収・増益となりました。
ハードウェア ハードウェアは、機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上高は379億8百万円(前年同期比22.6%増)、セグメント利益は57億55百万円(前年同期比3.9%増)となりました。第1四半期にAI関連機器の大型案件を計上したことに加え、PC・タブレットなどの小型製品の需要が旺盛だったことから、増収・増益となっております。
その他
その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービスおよび設備工事等を含み、売上高は65億78百万円(前年同期比0.0%減)、セグメント利益は14億34百万円(前年同期比16.7%減)となりました。
(注) セグメント利益は四半期連結損益計算書の営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計558億54百万円から研究開発費、のれんの償却額、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額△393億49百万円を差し引いた165億4百万円が四半期連結損益計算書の営業利益となります。また、上記金額には消費税等を含んでおりません。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は、33億1百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。