有価証券報告書-第74期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 9:38
【資料】
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【項目】
118項目
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要については「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に含めて記載しております。
②生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月 1日
至 平成30年3月31日)
前期比(%)
システムサービス(百万円)90,158+1.6
ソフトウェア(百万円)9,873△8.7
合計(百万円)100,031+0.5

(注)1.ソフトウェアには、ソフトウェア製品マスター制作までの研究開発費に該当する金額を含んでおります。
2.システムサービスの金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等を含んでおりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前期比
(%)
受注残高
(百万円)
前期比
(%)
システムサービス91,598+3.322,256+5.1
サポートサービス53,916△0.345,943+2.4
アウトソーシング57,612+14.8135,823+7.6
ソフトウェア31,466+13.88,691△15.8
ハードウェア53,943+1.95,223△2.9
その他8,419+7.72,780△0.3
合計296,956+5.5220,719+4.7

(注)上記の金額には、消費税等を含んでおりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月 1日
至 平成30年3月31日)
前期比(%)
システムサービス(百万円)90,509+1.0
サポートサービス(百万円)52,821△2.3
アウトソーシング(百万円)48,017+4.6
ソフトウェア(百万円)33,103+11.3
ハードウェア(百万円)54,097△0.0
その他(百万円)8,428△4.3
合計(百万円)286,977+1.7

(注)上記の金額には、消費税等を含んでおりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、第73期有価証券報告書において、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、平成30年3月期の計画を、売上高:連結2,900億円、営業利益:連結160億円、営業利益率:連結5.5%といたしました。
b.経営成績等の状況に関する経営者の視点による認識・分析・検討(事業全体)
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境や企業収益の改善により、引き続き緩やかな景気回復基調にありましたが、英国の欧州連合(EU)離脱問題、米国政権の政策運営、北朝鮮情勢をめぐる地政学リスクの高まりなど、海外の政治経済情勢の不確実性により、先行きが不透明な状況で推移いたしました。一方、国内の情報サービス市場においては、ソフトウェア投資がおおむね横ばいで堅調に推移しておりますが、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に加え、競合他社との一層の競争激化など、当社を取り巻く環境は依然として厳しい状況であると認識しております。
このような環境の中、日本ユニシスグループは、平成28年3月期よりスタートした中期経営計画「Innovative Challenge Plan」の最終年度である当連結会計年度において、成長戦略である「デジタル/ライフイノベーション領域の拡大」、「ビジネスICTプラットフォーム領域の変革」、「企業風土・人財改革」などの重点戦略への取り組みを行ってまいりました。
まず、中期経営計画におけるチャレンジ領域の「デジタルイノベーション」分野については、地域金融機関において、コンサルティング営業や相談対応力の強化、および顧客との対話や提案を行うことを目的として、次世代営業店システム「BANK_FIT-NE®」、営業店窓口業務支援システム「SmileBranch®」の導入を拡大いたしました。引き続き、こうした営業店変革をより一層加速し、地域金融機関と顧客との接点となるフロント業務におけるUI(ユーザーインターフェース)/ UX(ユーザーエクスペリエンス)の分野でのシステム販売を強化してまいります。また、勘定系システムの領域では、日本マイクロソフト株式会社と、国内初となるパブリッククラウドでのフルバンキングシステム稼働に向けた共同プロジェクトを開始いたしました。今後は、「BankVision®」利用行の基盤更改時期などに、順次、Azureを用いたクラウド化の提案を進めるとともに、金融機関の新たな収益機会の創出や、業種・業態の垣根を超えたビジネスエコシステムによる新たな価値創造を目指してまいります。
一方、決済関連事業では、子会社である「キャナルペイメントサービス株式会社」が、大手家電量販店を始めとする、様々な店舗や施設に「支付宝®(Alipay®)」サービスの提供範囲を拡大しております。今後も、政府が訪日外国人数4,000万人を目標に掲げる2020年に向け、訪日外国人のお客さまが、より便利に安心して買い物をするための環境整備を続けてまいります。
次に「ライフイノベーション」分野については、衣類の「ネット宅配&クリーニング保管サービス」向けに「収納サービスプラットフォーム」サービスの提供を開始いたしました。今後、「収納サービスプラットフォーム」を、不動産業、アパレル業、レンタル業、シェアリング業など異業種サービス事業者間のビジネス連携を可能とするサービスプラットフォームとして、広く展開してまいります。また、シェアリングエコノミー領域への取り組みとして、日産自動車株式会社が2018年1月15日から新たに開始したカーシェアリングサービス「日産e-シェアモビ」へ、モビリティサービスプラットフォーム「smart oasis® for Carsharing」を提供しております。便利で安心な移動を実現するため、クルマのEV化やサービス化に対応したIT基盤の構築を加速し、今後も革新的なサービスを創造してまいります。
「ビジネスICTプラットフォーム」分野については、開発手法や業務プロセスの標準化、知財のリユースに加え、導入型ビジネスの拡大を推進しており、従来型のビジネスモデルからサービス型ビジネスへの変革が順調に進んでおります。
「企業風土・人財改革」に関しては、働き方改革の取り組みとして、サテライトオフィスの活用やテレワークの本格運用、残業メリハリ活動や有給休暇取得推進などを実施しております。また、女性活躍推進を始めとするダイバーシティ推進「Diversity Foresight®」の取り組みにより、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)に基づく認定(通称:「えるぼし」認定)の最高位である第3段階の認定を取得いたしました。
以上のように、中期経営計画「Innovative Challenge Plan」の達成に向けて日本ユニシスグループ一体となって取り組んでまいりました。今後は新中期経営計画「Foresight in sight® 2020」の達成に向けて取り組んでまいります。
(注) 1. Azureは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
2. 支付宝、Alipayは、アリババグループの関連会社である、アントフィナンシャルの登録商標です。
3. その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
これらの取り組みを通じて、ビジネスモデルを転換し収益性の向上を図っており、当連結会計年度においては、営業利益率は5.7%と、前期比0.6ポイント上昇、また、親会社株主に帰属する当期純利益については、3期連続で過去最高益を更新しました。
売上高の状況
当連結会計年度の売上高合計は、ソフトウェア、アウトソーシングおよびシステムサービス
売上が堅調に推移した結果、前期に比べ47億27百万円増加の2,869億77百万円(前期比1.7%増)となりました。
営業利益の状況
当連結会計年度の売上総利益は、ソフトウェアを中心に売上総利益が増加した結果、前期に比べ20億75百万円増加の688億3百万円(前期比3.1%増)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、営業支援費等の減少により販売費が5億32百万円減少したものの、事務機械化費等の増加などにより一般管理費は5億89百万円増加し、前期より57百万円増加の524億70百万円(前期比0.1%増)となりました。
この結果、営業利益は前期に比べ20億17百万円増加の163億32百万円(前期比14.1%増)となりました。
経常利益の状況
営業外損益は、環境対策費等の費用や和解金等が減少したことなどにより、損益(純額)は前期より2億22百万円改善し、2億40百万円の損失となりました。
この結果、経常利益は前期に比べ22億39百万円増加の160億92百万円(前期比16.2%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益の状況
特別損益は、減損損失が増加したことから、損益(純額)は前期より2億62百万円減少し、5億61百万円の損失となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ16億87百万円増加の119億49百万円(前期比16.4%増)となりました。
財政状態
当連結会計年度末の総資産につきましては、投資有価証券の増加等により、前期末比59億42百万円増加の1,986億36百万円となりました。
負債につきましては、有利子負債の返済等により、前期末比79億59百万円減少の939億61百万円となりました。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益による増加等により、前期末比139億1百万円増加の1,046億74百万円となりました。
c.資本の財源及び資金の流動性について
財務政策
当社グループの運転資金需要は、システムサービスおよびサポートサービスの外注費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入、賃貸およびアウトソーシング用の営業用コンピュータおよびソフトウェアの購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、研究開発費です。なお、営業支援費および研究開発費は、営業支援および研究開発に携わるシステム・エンジニアの人件費が主要な部分を占めております。これらの運転資金需要は、主に営業活動によるキャッシュ・フローでその支出をまかなっていく方針です。
また、資金調達の安定性と機動性を確保するとともに、資金効率の向上を図るため、取引銀行5行と特定融資枠契約(コミットメントライン)を締結しており、この契約に基づく平成30年3月31日現在の借入未実行残高は105億円です。
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)につきましては、営業活動により得られた資金を営業用コンピュータやアウトソーシング用ソフトウェアなどに対する投資に充当したことに加え、有利子負債を返済したなどから、現金及び現金同等物は期首残高に比べ7億51百万円増加し、期末残高は185億75百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金につきましては、税金等調整前当期純利益155億31百万円(前期比19億77百万円増加)に対し、非現金支出項目である減価償却費102億79百万円、売上債権の減少16億25百万円等の収入加算要素により、269億56百万円の収入(前期比29億66百万円の収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金につきましては、主に営業用コンピュータ等の有形固定資産の取得による支出36億65百万円(前期比23億2百万円支出減)、アウトソーシング用ソフトウェアに対する投資を中心とした無形固定資産の取得による支出69億26百万円(前期比11億33百万円支出減)等により、132億27百万円の支出(前期比26億79百万円支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金につきましては、コマーシャル・ペーパーの償還による支出60億円(前期比120億円支出増)、配当金の支払による支出37億58百万円(前期比2億78百万円支出増)等により、129億77百万円の支出(前期比12億20百万円支出増)となりました。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
システムサービス
システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上高は905億9百万円(前期比1.0%増)、セグメント利益は239億60百万円(前期比2.0%増)となりました。金融機関、流通業、輸送業向け案件の計上等により増収・増益となりました。なお、当連結会計年度においても不採算案件は発生しておらず、これにより3期連続で不採算案件の発生はゼロとなりました。また、新規ビジネス創出に向け、エンジニアの稼働を意図的に抑制する中、システムサービスは増収を確保しており、生産性も改善しております。引き続き生産性を高め、付加価値の高いビジネスの拡大と更なる収益性向上に取り組んでまいります。
サポートサービス
サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上高は528億21百万円(前期比2.3%減)、セグメント利益は151億22百万円(前期比0.7%増)となりました。期間満了の契約があったこと等により減収となったものの、外注費等のコスト削減施策の効果で若干の増益を確保いたしました。クラウドへの移行の流れの中で売上高は縮小傾向にありますが、引き続きコスト削減に努め収益性改善を図ってまいります。
アウトソーシング
アウトソーシングは、情報システムの運用受託等からなり、売上高は480億17百万円(前期比4.6%増)、セグメント利益は107億65百万円(前期比1.2%増)となりました。金融機関向け勘定系システムの新規稼働の他、決済やシェアリングなどのプラットフォームを活用した中小型のサービス型ビジネスの拡大により増収となったものの、前期に収益性の高い案件の計上があった反動から、利益は前期並みに留まっております。受注が積み上がっている金融機関向けビジネスに加え、これまでに獲得したアセットをビジネスプラットフォームとして提供することで、更なるビジネスの拡大を図ります。
ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上高は331億3百万円(前期比11.3%増)、セグメント利益は89億65百万円(前期比27.6%増)となりました。金融機関向け顧客接点系ソリューションなど自社製ソフトウェアの売上が堅調であった他、流通業向けのECソリューションなどの販売もあり、増収・増益となりました。引き続き、顧客接点系フロント領域のソリューション販売等に注力してまいります。
ハードウェア
ハードウェアは、機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上高は540億97百万円(前期比0.0%減)、セグメント利益は79億50百万円(前期比5.9%減)となりました。売上高は前期並みとなったものの、前期に収益性の高い案件の計上があった反動から、利益は減益となっております。サーバー関連を中心にクラウドへの移行が進んでいる一方で、ネットワーク製品に加え、新たなIoT関連のデバイスなど、クラウド化の影響を受けない製品需要は見込まれることから、収益レベルの維持・向上に努めてまいります。
その他
その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービスおよび設備工事等を含み、売上高は84億28百万円(前期比4.3%減)、セグメント利益は20億38百万円(前期比3.7%減)となりました。
(注) セグメント利益は連結財務諸表の営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計688億3百万円から研究開発費、のれんの償却額、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額△524億70百万円を差し引いた163億32百万円が当連結会計年度の営業利益となります。また、上記金額には消費税等を含んでおりません。