四半期報告書-第77期第2四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化しており、依然として厳しい状況が続いております。経済活動の回復が随所に見られておりますが、国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動の影響などにより、先行きの不透明な状況が続いております。
国内の情報サービス市場においては、感染症の収束長期化により、情報システム投資の先送りなど、投資動向に影響が生じており、当社を取り巻く環境は厳しい状況にあると認識しております。
このような環境の中、日本ユニシスグループは、「顧客・パートナーと共に社会を豊かにする価値を提供し、社会課題を解決する企業」として、業種・業態の垣根を越え、さまざまな企業をつなぐビジネスエコシステムを創る中核となり、デジタルトランスフォーメーション注1を実現するプラットフォームの提供企業となることを目指し、中期経営計画「Foresight in sight® 2020」(2018-2020年度)の重点施策に継続して取り組んでおります。
営業概況としましては、ICTコア領域にて製品販売、中小型案件の投資抑制や先送りなどの影響を受けた一方で、注力領域の売上高は大きく伸長し、前年同期比46.9%増となりました。第2四半期も第1四半期に増して、デジタルトランスフォーメーション関連のお客様の投資意欲は高く、引き合いの強い状況が続いており、注力領域の通期目標値に対して前年同期を上回るスピードで進捗しております。
注力領域では、これまで取り組んできている金融機関における顧客接点の強化に加え、小売の電子棚札などのリアル店舗の業務変革、コロナ情勢により加速した働き方改革に関するソリューションの導入や教育現場のオンライン化などのデジタルトランスフォーメーションが伸長し、同領域は順調に成長しております。電子棚札は、大手量販店への導入を順次進めております。センター処理により価格や棚札デザインの即時反映が可能となり、季節商品の入替などで生じる変更作業にかかっていた作業時間の大幅な削減に貢献しております。また、センターからリアルタイムに価格を変更することによる競争力の強化も実現しております。
手数料型ビジネスについては、インバウンド関連やカーシェアリングはコロナ禍による影響が続いておりますが、QR・バーコード決済は、国際系決済取扱高の減収分を国内決済がカバーし、前年同期並みの水準となっております。また、デジタルコードの取扱高も好調で、デジタルマネー・クーポンの利用が浸透してきております。その他、ドライブレコーダーやエネルギーマネジメント、収納サービスの拡大とコロナ禍の巣ごもり消費の影響によるバリューカード事業の回復が手数料型ビジネスの売上の拡大に寄与しています。
第2四半期は社会全体が、新型コロナウイルス感染拡大防止と経済活動の両立を模索している中で、受注高、受注残高共に第1四半期から大きく改善し、受注高は前年同期比2.5%増の1,417億円、受注残高は前年同期比5.9%増の2,278億円となりました。前年同期以上の受注残高を達成することができ、コロナ禍の中でも今後の成長余力となる案件の確保ができております。また、年度内受注残高においても前年同期並みに回復しております。今後も、注力領域における小売業界やGIGAスクール構想注2対応ビジネスをはじめ、デジタルトランスフォーメーション案件のさらなる獲得を目指してまいります。
下期の業績を牽引していく分野として、小売業は、消費者の日々の暮らしに必要不可欠な業種であり、コロナ禍においても、基幹系システムの刷新など、複数の新規・更改案件の受注を頂いております。その他にも、小売店舗の業務変革を支援するAIを活用した自動発注サービスなどデジタルトランスフォーメーション案件の受注が広がりを見せております。需要予測に基づくAI自動発注サービス「AI-Order Foresight(エーアイ・オーダー・フォーサイト)TM」は、販売実績や気象情報などの各種データから適切な発注数を自動決定することで、経験やスキルに依存しない店舗運営を実現し、機会ロス・廃棄ロス削減に貢献します。今後もこれらのお客様のデジタルトランスフォーメーションに繋がる案件を着実に展開し、拡大させてまいります。
サステナビリティ注3への取り組みにおいては、日常の買い物を通じて、社会貢献に参画できるソーシャルアクションプラットフォーム「BE+CAUS(ビーコーズ)TM」の提供を開始しました。社会課題解決への意識の高まりの中、小売各社が手を取り合い、様々なステークホルダーを巻き込み、社会課題解決に取り組む、SDGsの大きなムーブメントを作っていきたいと考えております。
また、食品ロス削減への取り組みとして、前述の「AI-Order Foresight」では、サプライチェーンの過剰在庫を削減し、食品廃棄ロスによる環境問題の解決に貢献しております。
さらに、CO2削減、気候変動対策として、これまで取り組みを続けてきた非化石証書を始めとする環境価値取引の普及拡大に加え、当社グループの「環境長期ビジョン2050」を策定し、RE100注4に加盟いたしました。2050年までにゼロエミッション社会の実現を目指してまいります。
当社グループでは、事業を通じてさまざまなステークホルダーとともに社会課題を解決し、将来にわたり持続可能な社会づくりへの貢献と当社グループの持続的成長を目指して、サステナビリティ経営を推進してまいります。
(注) 1. デジタルトランスフォーメーション:企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
2. GIGAスクール構想:児童生徒向けに1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するとともにクラウドの活用を促進し、多様な子供たち一人一人に個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境を全国の学校現場で実現することを目指す文部科学省の取り組み。
3. サステナビリティ:「持続可能性」を意味し、自然環境や人間社会などが長期にわたって機能やシステムを失わずに、良好な状態を維持させようとする考え方。日本ユニシスグループは、企業理念にもとづき、存在意義である「顧客・パートナーと共に社会を豊かにする価値を提供し、社会課題を解決する企業」として、環境・社会の課題に真摯に取り組み、社会の持続的な発展に貢献することを通じ、サステナブルな企業を目指している。
4. RE100:企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブのこと。
5. 記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
売上高の状況
当第2四半期連結累計期間の売上高は、アウトーソーシングサービスが伸長したものの、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、システムサービス、ソフトウェア、ハードウェア販売等が減収となった結果、前年同期に比べ51億54百万円減少の1,445億71百万円(前年同期比3.4%減少)となりました。
営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益の状況
当第2四半期連結累計期間の売上総利益は、アウトソーシングの増収に伴う利益増加や、収益性の改善等により、前年同期に比べ3億34百万円増加の377億23百万円(前年同期比0.9%増加)となりました。
販売費及び一般管理費は、新規事業創出に向けた研究開発費の増加等があった一方、一般経費が減少等により、前年同期に比べ2億12百万円減少の261億55百万円(前年同期比0.8%減少)となりました。
この結果、営業利益は前年同期に比べ5億47百万円増加の115億67百万円(前年同期比5.0%増加)となりました。経常利益は偶発損失引当金戻入益の減少や、受取配当金の減少により、前年同期に比べ1億23百万円減少の115億33百万円(前年同期比1.1%減少)、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期に比べ3億62百万円減少の75億66百万円(前年同期比4.6%減少)となりました。
財政状態
当第2四半期連結会計期間末の総資産につきましては、前連結会計年度末比36億68百万円減少の2,113億7百万円となりました。流動資産は、現金及び預金が65億82百万円、仕掛品が14億61百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が119億64百万円減少したこと等により、43億82百万円減少の1,289億14百万円となりました。固定資産は注力領域およびICTコア領域のアウトソーシングサービス関連を中心に44億3百万円を投資した一方、減価償却費53億25百万円を計上したこと等から、7億13百万円増加の823億92百万円となりました。なお、投資有価証券については、注力領域の強化・拡大を目的として、スタートアップや、ファンドへの戦略投資や、保有する上場株式の株価上昇等により、前連結会計年度末比で18億67百万円増加いたしました。また、保有意義の見直しによる保有株式の一部売却は当期も継続して実施しております。 負債につきましては、支払手形及び買掛金が21億87百万円減少したこと等により、前連結会計年度末比85億21百万円減少の838億55百万円となりました。 純資産につきましては、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加の一方、配当金の支払等により、前連結会
計年度末比48億53百万円増加の1,274億51百万円となりました。この結果、自己資本比率は59.3%と前連結会計年度末比3.3ポイント上昇いたしました。
資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要は、営業活動に関する資金需要として、システムサービスおよびサポートサービスの外注費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用によるものがあります。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、新規サービスの開発等に向けた研究開発費です。また投資活動に関する資金需要として、注力領域のビジネス拡大に向けた、事業会社、スタートアップ、ファンドへの戦略投資、ICTコア領域の既存ビジネス遂行のための設備投資などがあります。
中期経営計画においては、投資戦略を重要な施策の一つとしており、2021年3月期までの3カ年で600億円程度の投資規模を想定しています。これらの投資については、各事業の進展や定量目標の達成状況を見ながら、各投資領域に機動的に資金を配分していく考えです。
必要な資金については、ICTコア領域や今後成長が見込まれる注力領域のビジネスから創出されるキャッシュ・フローおよび手許資金などでまかなうことを基本としており、当年度においてもこの方針に変更はありません。
また、機動的な資金調達と安定性の確保を狙いとし、従来より、主要取引金融機関と総額105億円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。なお、当第2四半期連結累計期間において当該契約に基づく借入実行はありません。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
システムサービス
システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上高は434億77百万円(前年同期比8.7%減)、セグメント利益は133億44百万円(前年同期比9.6%減)となりました。デジタルトランスフォーメーション関連の案件は着実に積み上がっているものの、事業環境が厳しい業種のお客様における投資抑制や、ICTコア領域の中小型案件の先送りなどにより、減収・減益となりました。引き続き顧客接点強化や業務改革を中心としたデジタルトランスフォーメーション関連ビジネスの積極展開を通じた付加価値の高いビジネスの拡大と、生産性向上施策を継続的に推進することで、収益性の向上を図ってまいります。
サポートサービス
サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上高は260億88百万円(前年同期比2.7%減)、セグメント利益は79億30百万円(前年同期比5.8%増)となりました。減収となりましたが、サポート拠点の統廃合などのコスト構造改革施策の効果が現れてきており、セグメント利益は増益となりました。
アウトソーシング
アウトソーシングは、情報システムの運用受託等からなり、売上高は292億98百万円(前年同期比11.3%増)、セグメント利益は75億91百万円(前年同期比13.3%増)となりました。次世代オープン勘定系システム「BankVision」の11行目が稼働したことや、その他の金融機関における勘定系サービスや幅広い業種におけるITアウトソーシングの中小型案件が着実に積み上がっていることから増収・増益となりました。ITアウトソーシングの更なる拡大に加え、キャッシュレス関連などのスマート社会実現に向けたサービスや、持続可能なエネルギー社会に向けたエネルギーマネジメントソリューションの提供など、社会課題の解決に貢献するさまざまなサービス提供型ビジネスの拡大に取り組むことで、一層の事業拡大を目指してまいります。
ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上高は154億45百万円(前年同期比10.1%減)、セグメント利益は34億53百万円(前年同期比1.6%減)となりました。減収となったものの、前年同期は収益性の低い案件の比率が当期と比較して高かったことから、セグメント利益は微減にとどまっています。引き続き、顧客接点系フロント領域のソリューション販売などを強化することで、収益の拡大を図ってまいります。
ハードウェア
ハードウェアは機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上高は246億21百万円(前年同期比9.7%減)、セグメント利益は41億65百万円(前年同期比5.9%増)となりました。小売業向けのデジタルトランスフォーメーション案件やGIGAスクール構想に関連する案件の計上があったものの、前年同期においても、PCやタブレット等の小型機器の需要が旺盛だったことや、AI関連の大型機器販売案件の計上があったこと等の影響により減収となりましたが、マージン率の改善によりセグメント利益は増益となりました。
その他
その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービスおよび設備工事等を含み、売上高は56億40百万円(前年同期比24.4%増)、セグメント利益は12億37百万円(前年同期比26.9%増)となりました。
(注)セグメント利益は四半期連結損益計算書の営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計377億23百万円から研究開発費、のれんの償却額、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額△261億55百万円を差し引いた115億67百万円が四半期連結損益計算書の営業利益となります。また、上記金額には消費税等を含んでおりません。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、期首残高に比べ65億82百万円増加の398億69百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金につきましては、税金等調整前四半期純利益110億64百万円(前年同期比2億65百万円減少)に加え、売上債権の減少119億56百万円や非現金支出項目である減価償却費53億25百万円等の収入加算要素および、仕入債務の減少21億83百万円等の収入減算要素により、180億91百万円の収入(前年同期比54億87百万円の収入増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金につきましては、主に営業用コンピュータ等の有形固定資産の取得による支出12億23百万円(前年同期比2億43百万円支出減少)、アウトソーシング用ソフトウェアに対する投資を中心とした無形固定資産の取得による支出31億80百万円(前年同期比5億44百万円支出増加)、中期経営計画で定めた注力領域の強化・拡大を目的として実施した、ファンド投資や子会社であるCVCファンドの運用を中心とした投資有価証券の取得による支出7億46百万円(前年同期比14百万円支出減少)等により、50億1百万円の支出(前年同期比2億67百万円支出減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金につきましては、長期借入金の返済による支出22億2百万円(前年同期比75百万円支出減少)、配当金の支払額37億64百万円(前年同期比7億56百万円支出増加)等により、64億98百万円の支出(前年同期比2億92百万円支出増加)となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は、24億21百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化しており、依然として厳しい状況が続いております。経済活動の回復が随所に見られておりますが、国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動の影響などにより、先行きの不透明な状況が続いております。
国内の情報サービス市場においては、感染症の収束長期化により、情報システム投資の先送りなど、投資動向に影響が生じており、当社を取り巻く環境は厳しい状況にあると認識しております。
このような環境の中、日本ユニシスグループは、「顧客・パートナーと共に社会を豊かにする価値を提供し、社会課題を解決する企業」として、業種・業態の垣根を越え、さまざまな企業をつなぐビジネスエコシステムを創る中核となり、デジタルトランスフォーメーション注1を実現するプラットフォームの提供企業となることを目指し、中期経営計画「Foresight in sight® 2020」(2018-2020年度)の重点施策に継続して取り組んでおります。
営業概況としましては、ICTコア領域にて製品販売、中小型案件の投資抑制や先送りなどの影響を受けた一方で、注力領域の売上高は大きく伸長し、前年同期比46.9%増となりました。第2四半期も第1四半期に増して、デジタルトランスフォーメーション関連のお客様の投資意欲は高く、引き合いの強い状況が続いており、注力領域の通期目標値に対して前年同期を上回るスピードで進捗しております。
注力領域では、これまで取り組んできている金融機関における顧客接点の強化に加え、小売の電子棚札などのリアル店舗の業務変革、コロナ情勢により加速した働き方改革に関するソリューションの導入や教育現場のオンライン化などのデジタルトランスフォーメーションが伸長し、同領域は順調に成長しております。電子棚札は、大手量販店への導入を順次進めております。センター処理により価格や棚札デザインの即時反映が可能となり、季節商品の入替などで生じる変更作業にかかっていた作業時間の大幅な削減に貢献しております。また、センターからリアルタイムに価格を変更することによる競争力の強化も実現しております。
手数料型ビジネスについては、インバウンド関連やカーシェアリングはコロナ禍による影響が続いておりますが、QR・バーコード決済は、国際系決済取扱高の減収分を国内決済がカバーし、前年同期並みの水準となっております。また、デジタルコードの取扱高も好調で、デジタルマネー・クーポンの利用が浸透してきております。その他、ドライブレコーダーやエネルギーマネジメント、収納サービスの拡大とコロナ禍の巣ごもり消費の影響によるバリューカード事業の回復が手数料型ビジネスの売上の拡大に寄与しています。
第2四半期は社会全体が、新型コロナウイルス感染拡大防止と経済活動の両立を模索している中で、受注高、受注残高共に第1四半期から大きく改善し、受注高は前年同期比2.5%増の1,417億円、受注残高は前年同期比5.9%増の2,278億円となりました。前年同期以上の受注残高を達成することができ、コロナ禍の中でも今後の成長余力となる案件の確保ができております。また、年度内受注残高においても前年同期並みに回復しております。今後も、注力領域における小売業界やGIGAスクール構想注2対応ビジネスをはじめ、デジタルトランスフォーメーション案件のさらなる獲得を目指してまいります。
下期の業績を牽引していく分野として、小売業は、消費者の日々の暮らしに必要不可欠な業種であり、コロナ禍においても、基幹系システムの刷新など、複数の新規・更改案件の受注を頂いております。その他にも、小売店舗の業務変革を支援するAIを活用した自動発注サービスなどデジタルトランスフォーメーション案件の受注が広がりを見せております。需要予測に基づくAI自動発注サービス「AI-Order Foresight(エーアイ・オーダー・フォーサイト)TM」は、販売実績や気象情報などの各種データから適切な発注数を自動決定することで、経験やスキルに依存しない店舗運営を実現し、機会ロス・廃棄ロス削減に貢献します。今後もこれらのお客様のデジタルトランスフォーメーションに繋がる案件を着実に展開し、拡大させてまいります。
サステナビリティ注3への取り組みにおいては、日常の買い物を通じて、社会貢献に参画できるソーシャルアクションプラットフォーム「BE+CAUS(ビーコーズ)TM」の提供を開始しました。社会課題解決への意識の高まりの中、小売各社が手を取り合い、様々なステークホルダーを巻き込み、社会課題解決に取り組む、SDGsの大きなムーブメントを作っていきたいと考えております。
また、食品ロス削減への取り組みとして、前述の「AI-Order Foresight」では、サプライチェーンの過剰在庫を削減し、食品廃棄ロスによる環境問題の解決に貢献しております。
さらに、CO2削減、気候変動対策として、これまで取り組みを続けてきた非化石証書を始めとする環境価値取引の普及拡大に加え、当社グループの「環境長期ビジョン2050」を策定し、RE100注4に加盟いたしました。2050年までにゼロエミッション社会の実現を目指してまいります。
当社グループでは、事業を通じてさまざまなステークホルダーとともに社会課題を解決し、将来にわたり持続可能な社会づくりへの貢献と当社グループの持続的成長を目指して、サステナビリティ経営を推進してまいります。
(注) 1. デジタルトランスフォーメーション:企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
2. GIGAスクール構想:児童生徒向けに1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するとともにクラウドの活用を促進し、多様な子供たち一人一人に個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境を全国の学校現場で実現することを目指す文部科学省の取り組み。
3. サステナビリティ:「持続可能性」を意味し、自然環境や人間社会などが長期にわたって機能やシステムを失わずに、良好な状態を維持させようとする考え方。日本ユニシスグループは、企業理念にもとづき、存在意義である「顧客・パートナーと共に社会を豊かにする価値を提供し、社会課題を解決する企業」として、環境・社会の課題に真摯に取り組み、社会の持続的な発展に貢献することを通じ、サステナブルな企業を目指している。
4. RE100:企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブのこと。
5. 記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
売上高の状況
当第2四半期連結累計期間の売上高は、アウトーソーシングサービスが伸長したものの、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、システムサービス、ソフトウェア、ハードウェア販売等が減収となった結果、前年同期に比べ51億54百万円減少の1,445億71百万円(前年同期比3.4%減少)となりました。
営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益の状況
当第2四半期連結累計期間の売上総利益は、アウトソーシングの増収に伴う利益増加や、収益性の改善等により、前年同期に比べ3億34百万円増加の377億23百万円(前年同期比0.9%増加)となりました。
販売費及び一般管理費は、新規事業創出に向けた研究開発費の増加等があった一方、一般経費が減少等により、前年同期に比べ2億12百万円減少の261億55百万円(前年同期比0.8%減少)となりました。
この結果、営業利益は前年同期に比べ5億47百万円増加の115億67百万円(前年同期比5.0%増加)となりました。経常利益は偶発損失引当金戻入益の減少や、受取配当金の減少により、前年同期に比べ1億23百万円減少の115億33百万円(前年同期比1.1%減少)、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期に比べ3億62百万円減少の75億66百万円(前年同期比4.6%減少)となりました。
財政状態
当第2四半期連結会計期間末の総資産につきましては、前連結会計年度末比36億68百万円減少の2,113億7百万円となりました。流動資産は、現金及び預金が65億82百万円、仕掛品が14億61百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が119億64百万円減少したこと等により、43億82百万円減少の1,289億14百万円となりました。固定資産は注力領域およびICTコア領域のアウトソーシングサービス関連を中心に44億3百万円を投資した一方、減価償却費53億25百万円を計上したこと等から、7億13百万円増加の823億92百万円となりました。なお、投資有価証券については、注力領域の強化・拡大を目的として、スタートアップや、ファンドへの戦略投資や、保有する上場株式の株価上昇等により、前連結会計年度末比で18億67百万円増加いたしました。また、保有意義の見直しによる保有株式の一部売却は当期も継続して実施しております。 負債につきましては、支払手形及び買掛金が21億87百万円減少したこと等により、前連結会計年度末比85億21百万円減少の838億55百万円となりました。 純資産につきましては、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加の一方、配当金の支払等により、前連結会
計年度末比48億53百万円増加の1,274億51百万円となりました。この結果、自己資本比率は59.3%と前連結会計年度末比3.3ポイント上昇いたしました。
資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要は、営業活動に関する資金需要として、システムサービスおよびサポートサービスの外注費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用によるものがあります。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、新規サービスの開発等に向けた研究開発費です。また投資活動に関する資金需要として、注力領域のビジネス拡大に向けた、事業会社、スタートアップ、ファンドへの戦略投資、ICTコア領域の既存ビジネス遂行のための設備投資などがあります。
中期経営計画においては、投資戦略を重要な施策の一つとしており、2021年3月期までの3カ年で600億円程度の投資規模を想定しています。これらの投資については、各事業の進展や定量目標の達成状況を見ながら、各投資領域に機動的に資金を配分していく考えです。
必要な資金については、ICTコア領域や今後成長が見込まれる注力領域のビジネスから創出されるキャッシュ・フローおよび手許資金などでまかなうことを基本としており、当年度においてもこの方針に変更はありません。
また、機動的な資金調達と安定性の確保を狙いとし、従来より、主要取引金融機関と総額105億円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。なお、当第2四半期連結累計期間において当該契約に基づく借入実行はありません。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
システムサービス
システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上高は434億77百万円(前年同期比8.7%減)、セグメント利益は133億44百万円(前年同期比9.6%減)となりました。デジタルトランスフォーメーション関連の案件は着実に積み上がっているものの、事業環境が厳しい業種のお客様における投資抑制や、ICTコア領域の中小型案件の先送りなどにより、減収・減益となりました。引き続き顧客接点強化や業務改革を中心としたデジタルトランスフォーメーション関連ビジネスの積極展開を通じた付加価値の高いビジネスの拡大と、生産性向上施策を継続的に推進することで、収益性の向上を図ってまいります。
サポートサービス
サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上高は260億88百万円(前年同期比2.7%減)、セグメント利益は79億30百万円(前年同期比5.8%増)となりました。減収となりましたが、サポート拠点の統廃合などのコスト構造改革施策の効果が現れてきており、セグメント利益は増益となりました。
アウトソーシング
アウトソーシングは、情報システムの運用受託等からなり、売上高は292億98百万円(前年同期比11.3%増)、セグメント利益は75億91百万円(前年同期比13.3%増)となりました。次世代オープン勘定系システム「BankVision」の11行目が稼働したことや、その他の金融機関における勘定系サービスや幅広い業種におけるITアウトソーシングの中小型案件が着実に積み上がっていることから増収・増益となりました。ITアウトソーシングの更なる拡大に加え、キャッシュレス関連などのスマート社会実現に向けたサービスや、持続可能なエネルギー社会に向けたエネルギーマネジメントソリューションの提供など、社会課題の解決に貢献するさまざまなサービス提供型ビジネスの拡大に取り組むことで、一層の事業拡大を目指してまいります。
ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上高は154億45百万円(前年同期比10.1%減)、セグメント利益は34億53百万円(前年同期比1.6%減)となりました。減収となったものの、前年同期は収益性の低い案件の比率が当期と比較して高かったことから、セグメント利益は微減にとどまっています。引き続き、顧客接点系フロント領域のソリューション販売などを強化することで、収益の拡大を図ってまいります。
ハードウェア
ハードウェアは機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上高は246億21百万円(前年同期比9.7%減)、セグメント利益は41億65百万円(前年同期比5.9%増)となりました。小売業向けのデジタルトランスフォーメーション案件やGIGAスクール構想に関連する案件の計上があったものの、前年同期においても、PCやタブレット等の小型機器の需要が旺盛だったことや、AI関連の大型機器販売案件の計上があったこと等の影響により減収となりましたが、マージン率の改善によりセグメント利益は増益となりました。
その他
その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービスおよび設備工事等を含み、売上高は56億40百万円(前年同期比24.4%増)、セグメント利益は12億37百万円(前年同期比26.9%増)となりました。
(注)セグメント利益は四半期連結損益計算書の営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計377億23百万円から研究開発費、のれんの償却額、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額△261億55百万円を差し引いた115億67百万円が四半期連結損益計算書の営業利益となります。また、上記金額には消費税等を含んでおりません。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、期首残高に比べ65億82百万円増加の398億69百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金につきましては、税金等調整前四半期純利益110億64百万円(前年同期比2億65百万円減少)に加え、売上債権の減少119億56百万円や非現金支出項目である減価償却費53億25百万円等の収入加算要素および、仕入債務の減少21億83百万円等の収入減算要素により、180億91百万円の収入(前年同期比54億87百万円の収入増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金につきましては、主に営業用コンピュータ等の有形固定資産の取得による支出12億23百万円(前年同期比2億43百万円支出減少)、アウトソーシング用ソフトウェアに対する投資を中心とした無形固定資産の取得による支出31億80百万円(前年同期比5億44百万円支出増加)、中期経営計画で定めた注力領域の強化・拡大を目的として実施した、ファンド投資や子会社であるCVCファンドの運用を中心とした投資有価証券の取得による支出7億46百万円(前年同期比14百万円支出減少)等により、50億1百万円の支出(前年同期比2億67百万円支出減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金につきましては、長期借入金の返済による支出22億2百万円(前年同期比75百万円支出減少)、配当金の支払額37億64百万円(前年同期比7億56百万円支出増加)等により、64億98百万円の支出(前年同期比2億92百万円支出増加)となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は、24億21百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。