四半期報告書-第78期第2四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

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2021/11/11 9:04
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38項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、第1四半期連結会計期間よりIFRSを適用しており、前第2四半期連結累計期間及び前連結会計年度の数値もIFRSに組替えて比較分析を行っております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症におけるワクチン接種が進展し、経済活動の早期回復が期待されていますが、依然として先行きの不透明な状況が続いております。
国内の情報サービス市場においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)領域への投資意欲は強い傾向にあるものの、一部業種では情報システム投資の先送りが続いており、引き続き動向を注視していく必要があると認識しております。
このような環境の中、日本ユニシスグループは、新たに定めた「Purpose注1」および「Vision2030注2」のもと、社会的価値の創出を通じて、当社グループ全体の企業価値を持続的に向上させる新たなステージに向けて策定された経営方針(2021-2023)に基づく取り組みを行っております。
営業概況としましては、DX関連案件の拡大により、システムサービスが業績を牽引し、売上収益は前年同期比増となりました。アウトソーシングビジネスにおいては、EC向けプラットフォームサービスの提供や金融機関向けプラットフォームサービスの拡大などにより、増収増益となりました。また、お客様のDX推進に貢献する企業DX型アウトソーシングにおいては、小売を中心に中小型案件が伸長しています。
受注高、受注残高においては、システムサービス、アウトソーシングともに様々な業種にて活況であったことから、前年同期比増となりました。DX領域への投資意欲は強く、下期においても堅調に推移するものと見込んでおり、通期目標の達成に向け、着実に受注に繋げていくよう営業活動を強化してまいります。
中長期の成長に向けては、お客様の持続的成長に貢献する顧客DXの推進「For Customer」と、様々な業種・業界のお客様、パートナーと共に社会課題解決を進める社会DXの推進「For Society」という2つの視点を定め、ビジネスエコシステムの拡大に向けた取り組みを行っております。
For Customerの取り組みとして、地域経済の発展と活性化に向けて、各地においてMaaS実証実験や地域データを活用したプラットフォームの提供など様々な取り組みを推進しています。そのような中、地域金融機関向けオープン勘定系システム「BankVision®」の新たな採用が決まり、採用行を順調に増やしております。引き続き、イノベーションを促進する重要な担い手である地域金融機関や自治体・団体の皆様に向けて、地域の経済発展と活性化に寄与するサービスの提供を進めてまいります。
また、テクノロジーの進化により、生活者との接点は様々な形で広がりを見せており、当社グループは様々な業界で顧客体験価値の強化に繋がるサービスを提供しています。そのような中、経済産業省は中小企業・小規模事業者向けに自社課題やニーズに合ったITツールの導入を補助する制度「IT導入補助金2021」を開始しました。当社グループが提供するサービスにおいては、OMO注3に対応したEC向けプラットフォームサービス「DIGITAL’ATELIER®(デジタラトリエ)」や、ライブコマースサービス「Live kit™」、バーチャル住宅展示場「MY HOME MARKET®」など様々なサービスが対象ITツールに認定されました。これらサービスの提供を通じてお客様の持続的成長に貢献してまいります。
For Societyの取り組みとしては、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)注4に複数参画し活動を進めております。SIP第2期「自動運転」においては、安全性評価プラットフォーム「DIVP注5」の構築に取り組んでおり、臨海副都心地域の環境を仮想空間上で再現したシミュレーションモデルの使用体験を2021年11月から予定しています。今後は、より実務に近い運用を想定した評価プログラムを実施し、社会実装を進めてまいります。
また、脱炭素の実現に向けた取り組みとして、経済産業省からの委託を受け継続実施している「非化石証書トラッキング委託事業」を通じた環境価値ビジネスの推進に加えて、再生可能エネルギーの拡大に寄与する様々な取り組みを進めています。そのような中、センコー株式会社・エフビットコミュニケーションズ株式会社・当社の3社による太陽光発電PPAモデル注6における再生可能エネルギー活用最大化に向けたスキームを構築することになりました。電力小売クラウドソリューション Enability®(エナビリティ)シリーズである「Enability CIS」を利用し、再生可能エネルギー比率向上と太陽光余剰電力の電力小売有効活用を目指します。
このように様々な業種・業界のお客様、パートナーと共に社会課題解決を進める社会DXの推進に貢献した活動を継続してまいります。
サステナビリティの取り組みとしては、Vision2030で示した10年先の未来を見据え、進む方向性の実現に向けたマテリアリティを策定いたしました。また、RE100注7への対応として、豊洲本社の再生可能エネルギー調達率を段階的に増やし、今年度中に10%とすることを目指しております。戦略投資においては、ENECHANGE株式会社が運営参画するJapan Energy Capital合同会社を通じ、海外エネルギーベンチャー企業への投資に特化した「脱炭素テックファンド」へ参画しました。その他、風土改革、社内DXの取り組みも引き続き推進し、事業成長のさらなる加速に繋げてまいります。
以上のように、経営方針(2021-2023)の達成に向けて、日本ユニシスグループ一体となって取り組んでおります。今後も、様々なステークホルダーとのコミュニケーションを継続し、持続的な企業価値向上を目指し、サステナビリティ経営を推進してまいります。
(注) 1. Purposeについては、当社ウェブページの以下ご参照。
https://www.unisys.co.jp/com/purpose_principles.html
2. Vision2030については、当社ウェブページの以下ご参照。
https://www.unisys.co.jp/com/management_policy.html
3. OMO:Online Merges with Offline(オンラインとオフラインの融合)の略称で、インターネット上(オンライン)とリアル店舗(オフライン)を連携させ、顧客目線に沿ったシームレスな顧客体験を提供するためのマーケティング手法。
4. 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP):内閣府総合科学技術・イノベーション会議が科学技術イノベーション実現のために創設した国家プロジェクトのこと。
5. DIVP:Driving Intelligence Validation Platformの略称で、実現象と一致性の高いシミュレーションモデルに基づいた仮想空間における、さまざまな交通環境下の再現性の高い安全性評価を行うためのプラットフォームのこと。
6. 太陽光発電PPAモデル:PPAとはPower Purchase Agreementの略称で、事業者の屋根上に太陽光発電システムを無償で設置し、発電した電力を需要家が購入するビジネスモデルのこと。
7. RE100:企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブのこと。
8. 記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。

売上収益・利益の状況
当第2四半期連結累計期間の売上収益は、システムサービス、アウトソーシングサービスが好調に推移した結果、前年同期に比べ9億23百万円増収の1,459億14百万円(前年同期比0.6%増)となりました。
利益面につきましては、新規案件の創出に向けたシステム販売支援費の増加や、サイバーセキュリティ対応等の自社用機械化投資等で販管費が増加したものの、システムサービス、アウトソーシングサービスの増収等に伴い、売上総利益が増益となったこと等により、営業利益は前年同期に比べ11億43百万円増加の129億56百万円(前年同期比9.7%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期に比べ13億61百万円増加の93億73百万円(前年同期比17.0%増)となりました。
なお、当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益※につきましては、前年同期に比べ10億15百万円増加の128億41百万円(前年同期比8.6%増)となりました。
※調整後営業利益は売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
財政状態
当第2四半期連結会計期間末の総資産につきましては、営業債権の減少等により、前連結会計年度末比104億76百万円減少の2,435億59百万円となりました。
負債につきましては、営業債務の減少等により、前連結会計年度末比174億52百万円減少の1,225億96百万円となりました。
資本につきましては、1,209億63百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は49.0%と前連結会計年度末比4.8ポイント上昇いたしました。
資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要は、営業活動に関する資金需要として、システムサービスおよびサポートサービスなどの外注費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものがあります。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、新規サービスの開発等に向けた研究開発費です。また投資活動に関する資金需要として、新たなビジネス創出に向けた、事業会社、スタートアップ、ファンドへの戦略投資、既存ビジネス遂行のための設備投資などがあります。経営方針(2021-2023)においては、投資を重要な施策と位置づけており、先端テクノロジー活用とイノベーションの持続的な創出を目指しつつ、戦略投資を加速させていく計画です。
必要な資金については、既存のICT領域や今後成長が見込まれるサービス型ビジネスから創出されるキャッシュ・フローおよび手許資金等でまかなうことを基本としており、当年度においても、この方針に変更はありません。
また、機動的な資金調達と安定性の確保を狙いとし、従来より、主要取引金融機関と総額105億円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。なお、当第2四半期連結累計期間において当該契約に基づく借入実行はありません。
株主還元については業績連動による配分を基本として、キャッシュ・フローの状況や成長に向けた投資とのバランス、経営環境などを総合的に考慮して利益還元方針を定めており、経営方針(2021-2023)においては連結配当性向40%を目処とする利益還元方針を定めております。
キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比26億94百万円減少の435億86百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金につきましては、税引前四半期利益139億5百万円に加え、非現金支出項目である減価償却費及び償却費83億61百万円、営業債権及びその他の債権の減少99億36百万円等の収入加算要素および、営業債務及びその他の債務の減少70億42百万円等の収入減算要素により、118億5百万円の収入(前年同期比99億71百万円収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金につきましては、主に営業用コンピュータ等の有形固定資産の取得による支出9億
89百万円、アウトソーシング用ソフトウェアに対する投資を中心とした無形資産の取得による支出36億53百万円、ファンド投資や子会社であるCVCファンドの運用を中心とした投資有価証券の取得による支出11億72百万円等により、55億94百万円の支出(前年同期比9億33百万円支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金につきましては、リース負債の返済による支出44億24百万円、配当金の支払額35億12百万円等により、89億37百万円の支出(前年同期比15億90百万円支出減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
システムサービス
システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上収益は471億19百万円(前年同期比5.6%増)、セグメント利益は143億69百万円(前年同期比9.3%増)となりました。小売業や金融機関向けデジタルトランスフォーメーション案件などが堅調に推移しているほか、BankVision累計12行目の開発がスタートし売上収益が増加したことに加え、これまで取り組んできた生産性向上施策の効果もあり、増益となっております。また受注高につきましても、デジタルトランスフォーメーション関連案件に対する需要が堅調に推移し、前年同期比で増加しております。引き続き顧客接点強化や業務改革を中心としたデジタルトランスフォーメーション関連ビジネスを軸に、収益性の高いサービス提供に努めてまいります。

サポートサービス
サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上収益は254億96百万円(前年同期比2.8%減)、セグメント利益は81億67百万円(前年同期比1.6%増)となりました。売上収益は若干の減少となりましたが、利益は収益性の改善により増益となっております。引き続き収益性の維持・改善に取り組んでまいります。
アウトソーシング
アウトソーシングは、情報システムの運用受託やサービス型ビジネス等からなり、売上収益は312億40百万円(前年同期比6.6%増)、セグメント利益は91億46百万円(前年同期比21.0%増)となりました。EC向けプラットフォームサービスの提供や、金融機関向けの新しいプラットフォームサービスの拡大等により、増収・増益となりました。経営方針(2021-2023)において当セグメントを成長ドライバーと定め、ITアウトソーシングの更なる拡大に加え、お客様のデジタルトランスフォーメーションを推進するサービスの提供や、社会課題の解決に貢献する様々なサービス型ビジネスの拡大に取り組むことで、一層の事業拡大を目指してまいります。
ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上収益は154億21百万円(前年同期比2.4%増)、セグメント利益は24億22百万円(前年同期比24.7%減)となりました。売上収益は微増となったものの、前年同期に利益率の高いソフトウェアの計上があったこと等により、減益となっております。
ハードウェア
ハードウェアは、機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上収益は218億67百万円(前年同期比9.3%減)、セグメント利益は37億93百万円(前年同期比8.1%減)となりました。前年同期にGIGAスクール構想関連等の大型案件の計上があった影響により、減収・減益となりました。
その他
その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービスおよび設備工事等を含み、売上収益は47億70百万円(前年同期比15.8%減)、セグメント利益は11億1百万円(前年同期比11.1%減)となりました。
(注)セグメント利益は当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計390億00百万円から、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額△261億58百万円を差し引いた128億41百万円(前年同期比8.6%増)が調整後営業利益となります。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は、18億65百万円です。
当第2四半期連結累計期間において、新技術に関する以下の研究開発を新たに開始しました。
・分野や業界を横断する複雑化した社会システム全体の見取り図となる産業アーキテクチャの研究開発
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した社会課題解決、経済活動活発化等につながる、人の行動変容を導く技術の研究開発に加え、施策立案者の意思決定の質をあげるデータ活用基盤の研究開発にも一層注力しております。