四半期報告書-第78期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/10 13:50
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39項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、第1四半期連結会計期間よりIFRSを適用しており、前第3四半期連結累計期間及び前連結会計年度の数値もIFRSに組替えて比較分析を行っております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症におけるワクチン接種が進展し、経済活動は厳しい状況が徐々に緩和されつつあったものの、変異株による感染再拡大の影響により、依然として先行きの不透明な状況が続いております。
国内の情報サービス市場においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)領域への投資意欲は強い傾向にあるものの、一部業種では情報システム投資の先送りが続いており、引き続き動向を注視していく必要があると認識しております。
このような環境の中、日本ユニシスグループは、新たに定めた「Purpose注1」および「Vision2030注2」のもと、社会的価値の創出を通じて、当社グループ全体の企業価値を持続的に向上させる新たなステージに向けて策定された経営方針(2021-2023)に基づく取り組みを行っております。
営業概況としましては、DX関連の中小型案件の増加によりシステムサービスやアウトソーシングビジネスは引き続き好調であるなか、前年同期にハードウェアの大型案件の計上があったことから、売上収益は前年同期並みとなりました。利益面では、システムサービスやアウトソーシングビジネスの増収に伴い、前年同期比で増益となりました。
受注高、受注残高においては、ともに前年同期比増となりました。金融機関向け案件や中小型のシステムサービス案件が活況であり、堅調に積み上がっております。引き続き、通期目標の達成に向け、着実に受注に繋げるよう、日々の活動を強化してまいります。
中長期の成長に向けては、お客様の持続的成長に貢献する顧客DXの推進「For Customer」と、様々な業種・業界のお客様、パートナーと共に社会課題解決を進める社会DXの推進「For Society」という2つの視点を定め、ビジネスエコシステム®の拡大に向けた取り組みを行っております。
For Customerの取り組みとしては、複数の家具メーカーと連携した「VR注3モデルルームサービス」を東急不動産株式会社とともに提供しているなか、超高解像度ヘッドマウントディスプレイの活用として海外でも最先端の事例となる「VRモデルルームxR注4体験サービス」を2021年10月から提供しています。「物件完成後のイメージを、実際に近い環境で体験したい」という顧客ニーズが高まっているなか、現実世界と仮想世界を融合させる「xR」技術を活用することで、仮想空間に設置された家具などに加えて実際に周囲にいる人を表現し、リアルな空間体験を実現しております。
また、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社と当社にて、建物設備管理におけるデジタルツイン注5の活用に関する検証を始めとした共創を、2021年12月より開始しました。建物の故障などの状態をセンサーで取得し、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社のデータ利活用基盤のひとつである「Smart Data Platform for City」と、当社のファシリティマネジメントソリューション「ARCHIBUS(アーキバス)」を連携して、取得した情報をバーチャルな世界で表示します。さまざまな機器から取得したデータをリアルタイムで建物設備管理業務に活用することで、ファシリティマネジメント業務の効率化や新たな価値の創出を目指しています。
このように当社は先端テクノロジーを基軸とした研究・開発を進め、これらサービスの提供を通じてお客様の持続的成長に貢献してまいります。
For Societyの取り組みとしては、国産木材の流通・利活用を多様な分野の企業共創により推進する「キイノクス®・プロジェクト」を2021年11月に発足しました。このプロジェクトは、2021年10月1日に改正された「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の趣旨に沿ったものであり、木材供給・流通を促進する木材流通プラットフォーム事業と、木材の需要を創り出す木材需要創造事業を中核としています。国産木材の利活用の推進を通じて、SDGsの達成や、2050年に温室効果ガスの排出をゼロにするカーボンニュートラルの推進に貢献してまいります。
その他の取り組みとしては、当社グループでは、すべての人財が活躍できる環境づくりを目指しているなか、これまで継続して実施してきた様々な取り組み・施策が認められ、2021年10月にLGBTなどのセクシュアル・マイノリティが働きやすい職場づくりを目指す任意団体「work with Pride」が策定するPRIDE指標注62021にて、最高評価の「ゴールド」認定を獲得しました。
また社内の取り組みとして、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)セミナーの開催や対話を中心とした若手社員チームによるD&I活動の実施など、さまざまなD&I施策を実行しています。このような人財・組織の風土改革の取り組みを引き続き推進してまいります。
以上のように、経営方針(2021-2023)の達成に向けて、日本ユニシスグループ一体となって取り組んでおります。今後も、様々なステークホルダーとのコミュニケーションを継続し、持続的な企業価値向上を目指し、サステナビリティ経営を推進してまいります。
(注) 1. Purposeについては、当社ウェブページの以下ご参照。
https://www.unisys.co.jp/com/purpose_principles.html
2. Vision2030については、当社ウェブページの以下ご参照。
https://www.unisys.co.jp/com/management_policy.html
3. VR(ブイアール):コンピューターによって創り出された仮想的な空間などを現実であるかのように疑似体験できる仕組みの総称。
4. xR(エックスアール):現実世界には存在しないものや情報を表現・体験できる技術の総称。
5. デジタルツイン:現実の世界から収集した様々なデータを、コンピューター上で再現する技術のこと。
6. PRIDE指標:日本初の職場におけるLGBTなどのセクシュアル・マイノリティへの取り組みの評価指標。
7. 記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
売上収益・利益の状況
当第3四半期連結累計期間の売上収益は、システムサービス、アウトソーシングサービスが好調に推移したものの、ハードウェアが減少した結果、前年同期に比べ1億14百万円減収の2,178億42百万円(前年同期比0.1%減)となりました。
利益面につきましては、新規案件の創出に向けたシステム販売支援費の増加や、サイバーセキュリティ対応等の自社用機械化投資等で販管費が増加したものの、システムサービス、アウトソーシングサービスの増収等に伴い、売上総利益が増益となったこと等により、営業利益は前年同期に比べ12億40百万円増加の187億90百万円(前年同期比7.1%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期に比べ17億35百万円増加の136億41百万円(前年同期比14.6%増)となりました。
なお、当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益※につきましては、前年同期に比べ11億97百万円増加の186億29百万円(前年同期比6.9%増)となりました。
※調整後営業利益は売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
財政状態
当第3四半期連結会計期間末の総資産につきましては、営業債権の減少等により、前連結会計年度末比99億46百万円減少の2,440億88百万円となりました。
負債につきましては、営業債務の減少等により、前連結会計年度末比175億31百万円減少の1,225億17百万円となりました。
資本につきましては、1,215億71百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は49.1%と前連結会計年度末比4.9ポイント上昇いたしました。
資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要は、営業活動に関する資金需要として、システムサービスおよびサポートサービスなどの外注費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものがあります。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、新規サービスの開発等に向けた研究開発費です。また投資活動に関する資金需要として、新たなビジネス創出に向けた、事業会社、スタートアップ、ファンドへの戦略投資、既存ビジネス遂行のための設備投資などがあります。経営方針(2021-2023)においては、投資を重要な施策と位置づけており、先端テクノロジー活用とイノベーションの持続的な創出を目指しつつ、戦略投資を加速させていく計画です。
必要な資金については、既存のICT領域や今後成長が見込まれるサービス型ビジネスから創出されるキャッシュ・フローおよび手許資金等でまかなうことを基本としており、当年度においても、この方針に変更はありません。
また、機動的な資金調達と安定性の確保を狙いとし、従来より、主要取引金融機関と総額105億円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。なお、当第3四半期連結累計期間において当該契約に基づく借入実行はありません。
株主還元については業績連動による配分を基本として、キャッシュ・フローの状況や成長に向けた投資とのバランス、経営環境などを総合的に考慮して利益還元方針を定めており、経営方針(2021-2023)においては連結配当性向40%を目処とする利益還元方針を定めております。
キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比12億4百万円減少の450億76百万円となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金につきましては、税引前四半期利益201億32百万円に加え、非現金支出項目である減価償却費及び償却費124億69百万円、営業債権及びその他の債権の減少140億27百万円等の収入加算要素および、営業債務及びその他の債務の減少80億77百万円等の収入減算要素により、221億23百万円の収入(前年同期比84億86百万円収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金につきましては、主に営業用コンピュータ等の有形固定資産の取得による支出12億
42百万円、アウトソーシング用ソフトウェアに対する投資を中心とした無形資産の取得による支出57億8百万円、ファンド投資や子会社であるCVCファンドの運用を中心とした投資有価証券の取得による支出19億29百万円等により、83億38百万円の支出(前年同期比14億65百万円支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金につきましては、リース負債の返済による支出66億12百万円、配当金の支払額70億19百万円等により、150億25百万円の支出(前年同期比20億85百万円支出減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
システムサービス
システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上収益は723億93百万円(前年同期比8.5%増)、セグメント利益は222億30百万円(前年同期比12.3%増)となりました。金融機関や小売業向けデジタルトランスフォーメーション案件などが堅調に推移しているほか、BankVision累計12行目の開発も予定通り進捗しており、増収・増益となりました。また受注高につきましても、デジタルトランスフォーメーション関連案件に対する需要が堅調に推移し、前年同期比で増加しております。引き続き顧客接点強化や業務改革を中心としたデジタルトランスフォーメーション関連ビジネスを軸に、収益性の高いサービス提供に努めてまいります。
サポートサービス
サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上収益は382億23百万円(前年同期比2.9%減)、セグメント利益は122億63百万円(前年同期比0.7%減)となりました。引き続き収益性の維持・改善に取り組んでまいります。
アウトソーシング
アウトソーシングは、情報システムの運用受託やサービス型ビジネス等からなり、売上収益は470億87百万円(前年同期比7.0%増)、セグメント利益は136億27百万円(前年同期比19.1%増)となりました。EC向けプラットフォームサービスの提供や、金融機関向けの新しいプラットフォームサービスの拡大に加え、当第3四半期においてはBankVisionの累計13行目の初期料金の計上もあり、増収・増益となりました。経営方針(2021-2023)において当セグメントを成長ドライバーと定め、お客様のデジタルトランスフォーメーションを推進するサービスの提供や、社会課題の解決に貢献する様々なサービス型ビジネスの拡大に取り組むことで、一層の事業拡大を目指してまいります。
ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上収益は203億95百万円(前年同期比5.7%減)、セグメント利益は28億62百万円(前年同期比34.0%減)となりました。前年同期に利益率の高いソフトウェアの計上があったこと等により、減収・減益となりました。
ハードウェア
ハードウェアは、機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上収益は326億53百万円(前年同期比14.3%減)、セグメント利益は57億99百万円(前年同期比6.5%減)となりました。前年同期にGIGAスクール構想関連等の大型案件の計上があった影響により、減収・減益となりました。
その他
その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービスおよび設備工事等を含み、売上収益は70億88百万円(前年同期比13.1%減)、セグメント利益は15億75百万円(前年同期比10.7%減)となりました。
(注)セグメント利益は当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計583億59百万円から、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額△397億29百万円を差し引いた186億29百万円(前年同期比6.9%増)が調整後営業利益となります。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は、28億21百万円です。
当第3四半期連結累計期間において、新技術に関する以下の研究開発を新たに開始しました。
・分野や業界を横断する複雑化した社会システム全体の見取り図となる産業アーキテクチャの研究開発
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した社会課題解決、経済活動活発化等につながる、人の行動変容を導く技術の研究開発に加え、施策立案者の意思決定の質をあげるデータ活用基盤の研究開発にも一層注力しております。