四半期報告書-第80期第2四半期(2023/07/01-2023/09/30)

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2023/11/10 13:07
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37項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、個人消費や企業の設備投資の持ち直し等により、穏やかな回復基調が続きました。
情報サービス産業においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)領域を中心に企業の強い投資意欲が継続しております。日銀短観の9月調査では、今期のソフトウェア投資計画は前期比増加が見込まれています。
一方で、世界的な金融引き締めや中国経済の先行き懸念など海外景気の下振れが、今後国内景気を下押しするリスクがあり、企業の投資意欲に影響を及ぼす可能性があります。
このような環境下、当社グループが目指す「Vision2030注1」の実現に向けて、「経営方針(2021-2023)注2」に基づく取り組みを推進しています。基本方針としては、お客様の持続的成長に貢献する顧客DXの推進「For Customer」と、各業種・業界のお客様、パートナーと共に社会課題解決を進める社会DXの推進「For Society」を定めています。さらに、価値創出力を強化するための「風土改革」を推進しています。
当社グループは、幅広い業種・業界でのシステム開発やソリューション提供によって得た知見のほか、ビジネス構想力とエンジニアリング力を有しています。さらに、幅広い業種・業界のお客様との信頼関係やパートナーとの関係性を強みとしています。これらの強みを活かし、お客様、パートナーと共に社会課題解決に取り組み、経済的価値に加え、社会的価値の創出を目指しています。
当第2四半期連結累計期間におきましても、「For Customer」および「For Society」の視点で、当社グループの強みを活かした取り組みが拡大しています。
金融分野において、数十年にわたるノウハウを結集したソリューションでは、サービス化や高付加価値化に取り組んできた結果、着実に利用が拡大しています。
例えば、トップシェアを持つ国際系領域では、外国人労働者の増加等により外国送金業務が増えている背景のもと、大幅な負荷軽減を可能とするワークフローサービス「SurFIN®」にてISO20022にいち早く対応し、多くの金融機関に採用されています。また、高齢化社会を背景に拡大している信託市場では、豊富な知見から高いシェアを獲得している総合信託業務管理システム「TrustPORT®」の機能拡充やサービス化(SaaS)により、新規参入企業などの採用が続いています。市場系領域では、国内金融機関でトップシェアの総合資金証券管理システム「Siatol®シリーズ」のSaaS型への切り替えが進み、システム運用にかかる労力の削減や制度改正へのスピーディーな対応を実現しています。今後も、当社グループの知見を活かして、金融業界に求められる様々な社会要請に、お客様とともに取り組んでまいります。
流通分野では、小売業向けの知見を活かしたMDシステム「CoreCenter® for Retail」が大手食品スーパーで新規採用されました。また、電子棚札では食品スーパーでの採用も拡大し、リアルタイムの値札表示の変更だけではなく、賞味期限間近の商品を自動通知する機能などにより、人手不足が課題となっている店舗業務の大幅な効率化につながるため、多くの引き合いをいただいています。
製造分野では、当社グループが長年培ってきたCAD、CG技術を活かして、2022年に設立した子会社V-Drive Technologiesが手掛ける「自動運転シミュレーションプラットフォーム(DIVP®注3)」の引き合いが拡大し、車両開発における安全性向上にむけた検証が進んでいます。国内外での自動運転車の社会実装が進む中で、自動車メーカーやサプライヤ―、大学、自治体とともに、交通事故や運転手不足・高齢化等の社会課題解決につながる自動運転社会の実現に貢献してまいります。
公共分野では、分散型パーソナルデータ連携基盤「Dot to Dot®」を用いて、地域の生活者や様々な業種業態の企業をつないで価値を創り上げる地域共創プラットフォームへの取り組みが進んでいます。例えば、ヘルスケア領域では、従来から柏の葉スマートシティ等で知見を培っており、大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンにおいても活用予定です。万博閉幕後は大阪スーパーシティフィールド等での事業化を検討しており、当社グループは、今後も地域のパーソナライズドヘルスケアサービスの社会実装を目指してまいります。
「経営方針(2021-2023)」では、社会の期待や要請に対する対応力を高めていくことで、ステークホルダーの皆様から信頼され、期待され続ける企業グループになることを目指しています。社会課題解決の実現に向けて、推進していく社員自らがイニシアティブをとって社会に働きかけ、さまざまなステークホルダーを巻き込み、解決に向けてチャレンジしていけるよう、当社グループでは、さらなる風土改革を推進してまいります。
その一環として、2023年4月にグループ人財戦略の立案・推進を行う組織として、人的資本マネジメント部を新設しました。HRプラットフォームを構築し、ROLESを軸とした人財の見える化に取り組んでいます。今後も、「Vision2030」の実現を支える組織・人財改革への取り組みを強化します。
2023年度は「経営方針(2021-2023)」の最終年度となり、これらの取り組みを、より一層加速してまいります。
(注)
1. Vision2030については、当社ウェブページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/com/management_policy.html
2. 経営方針(2021-2023)については、当社ウェブページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/com/management_policy.html#h2anchor2
3. DIVP:Driving Intelligence Validation Platformの略称で、実現象と一致性の高いシミュレーションモデルに
基づいた仮想空間における、さまざまな交通環境下で再現性の高い安全評価を行うためのプラットフォームのこ
と。DIVPは、学校法人幾徳学園の登録商標です。
4. 記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
売上収益・利益の状況
当第2四半期連結累計期間の売上収益は、システムサービスやアウトソーシング、およびハードウェア販売が堅調に推移した結果、前年同期に比べ181億95百万円増収の1,729億78百万円(前年同期比11.8%増)となりました。
利益面につきましては、システムサービスおよびハードウェア販売の増収などにより売上総利益が増益となったことから、人件費や研究開発費を中心とした販売費及び一般管理費の増加分を吸収し、営業利益は、前年同期に比べ29億87百万円増益の166億35百万円(前年同期比21.9%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期に比べ27億14百万円増益の128億26百万円(前年同期比26.8%増)となりました。
なお、当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益※につきましては、前年同期に比べ29億35百万円増益の165億34百万円(前年同期比21.6%増)となりました。
※調整後営業利益は売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
財政状態
当第2四半期連結会計期間末の総資産につきましては、現金及び現金同等物の増加等により、前連結会計年度末比28億82百万円増加の2,832億78百万円となりました。
負債につきましては営業債務の減少等により、前連結会計年度末比87億88百万円減少の1,300億10百万円となりました。
資本につきましては、1,532億68百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は53.5%と前連結会計年度末比3.6ポイント上昇いたしました。
資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要は、営業活動に関する資金需要として、システムサービスおよびサポートサービスなどの外注費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものがあります。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、新規サービスの開発等に向けた研究開発費です。また、投資活動に関する資金需要として、新たなビジネス創出に向けた、事業会社、スタートアップ、ファンドへの戦略投資、既存ビジネス遂行のための設備投資などがあります。経営方針(2021-2023)においては、投資を重要な施策と位置づけており、先端テクノロジー活用とイノベーションの持続的な創出を目指しつつ、戦略投資を加速させていく計画です。
必要な資金については、既存のICT領域や今後成長が見込まれるサービス型ビジネスから創出されるキャッシュ・フローおよび手許資金等でまかなうことを基本としており、当第2四半期連結累計期間においても、この方針に変更はありません。
また、機動的な資金調達と安定性の確保を狙いとし、従来より、主要取引金融機関と総額105億円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。なお、当第2四半期連結累計期間において当該契約に基づく借入実行はありません。
株主還元については業績連動による配分を基本として、キャッシュ・フローの状況や成長に向けた投資とのバランス、経営環境などを総合的に考慮して利益還元方針を定めており、経営方針(2021-2023)においては連結配当性向40%を目処とする利益還元方針を定めております。
キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比113億71百万円増加の550億16百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金につきましては、税引前四半期利益174億46百万円に加え、非現金支出項目である減価償却費及び償却費87億85百万円、営業債権及びその他の債権の減少121億6百万円等の収入加算要素および、営業債務及びその他の債務の減少53億26百万円等の収入減算要素により、219億82百万円の収入(前年同期比68億63百万円収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金につきましては、主に営業用コンピュータ等の有形固定資産の取得による支出10億62百万円、アウトソーシング用ソフトウェアに対する投資を中心とした無形資産の取得による支出56億36百万円、投資有価証券の売却による収入65億47百万円等により、22億60百万円の支出(前年同期比68億93百万円支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金につきましては、リース負債の返済による支出43億63百万円、配当金の支払額40億19百万円等により、84億51百万円の支出(前年同期比11億84百万円支出減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
システムサービス
システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上収益は600億45百万円(前年同期比14.5%増)、セグメント利益は210億34百万円(前年同期比15.1%増)となりました。金融機関や流通業、製造業等、様々なお客様におけるデジタルトランスフォーメーション案件が活況となり、増収増益となりました。高採算案件の増加や、さらなる生産性改善も寄与し、収益性も向上しております。また、受注高につきましても、デジタルトランスフォーメーション関連案件に対する需要が堅調に推移し、前年同期比で増加しております。システムサービスを通じて獲得した知財を活用し、将来のプラットフォームサービスを創出していくことにより、付加価値の高いアウトソーシングサービスへと繋げてまいります。
サポートサービス
サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上収益は265億56百万円(前年同期比3.8%増)、セグメント利益は83億23百万円(前年同期比0.9%増)と増収増益となりました。引き続き収益性の維持・改善に取り組んでまいります。
アウトソーシング
アウトソーシングは、情報システムの運用受託やサービス型ビジネス等からなり、売上収益は372億50百万円(前年同期比16.9%増)、セグメント利益は83億21百万円(前年同期比4.4%減)となりました。リモートワーク関連などの他社クラウドサービスの売上増加や、サービス型ビジネスの利用拡大などにより増収となったものの、昨今の急激なコスト増加への対策に時間を要していることや、地域金融機関向けプラットフォームサービスに係る機能強化のためのコスト費消などにより、減益となりました。今後、他社クラウドサービスを、自社サービスを組み合わせた付加価値の高いマネージドサービスの提供に繋げるとともに、運用効率のさらなる改善や収益性の高いサービス型ビジネスの拡大に取り組むことで、収益性向上を目指してまいります。
ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上収益は173億97百万円(前年同期比2.6%減)、セグメント利益は26億36百万円(前年同期比52.7%増)となりました。前年同期に比べ収益性の低い他社製ソフトウェア案件が減少したことから、減収増益となりました。
ハードウェア
ハードウェアは、機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上収益は263億26百万円(前年同期比18.8%増)、セグメント利益は46億40百万円(前年同期比37.0%増)となりました。PC、ネットワーク機器販売案件等、中小型案件が増加したことや前年同期に比べ採算性の低い案件が減少した影響等により、増収増益となりました。
その他
その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービスおよび設備工事等を含み、売上収益は54億1百万円(前年同期比11.0%増)、セグメント利益は12億40百万円(前年同期比14.4%増)となりました。
(注)セグメント利益は当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計461億97百万円から、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額296億63百万円を差し引いた165億34百万円が調整後営業利益となります。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は、22億79百万円です。
また、当第2四半期連結累計期間において、主なサービス・商品等の開発として、新たに以下を開始しました。
① 当連結会計年度に開発が完了し、商品リリース、サービス開始した開発案件
・持続可能なデータドリブン組織を実現するデータ分析とデータサイエンティスト育成サービス提供。さまざまな業
界で200件を超えるデータ活用プロジェクトの実績を生かしてデータ活用をPoCで終わらせることなく、持続可能な
データドリブン組織の実現を伴走支援する。
・情報管理統制を高めることにより、お客さまの負担を低減し効率的にChatGPTの業務利用が行える環境を構築するサービス「Azure OpenAI ServiceスターターセットPlus」を提供。生成AI技術を業務システムに円滑に組み込むための最善策を提案し、企業のシステム化構想の段階から、生成AI技術を活用したDXの推進を「AIセンター」を中心に支援する。
② 次年度以降の商品リリース、サービス開始に向けた開発案件
・web3.0/NFTをコミュニティへのコミットメントやメンバーシップとするスポーツビジネスにおけるファンマーケティング、地域経済におけるファンを巻き込む商品企画を実現するサービスを企画開発中。潜在的なファンをNFTにより識別し、永続的な関係性を構築する。