有価証券報告書-第67期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 13:07
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【項目】
156項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期の財政状態の概況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、719億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ33億2百万円減少いたし
ました。これは主に現金及び預金が38億23百万円、無形固定資産が3億1百万円増加したものの、受取手形及び売
掛金が34億90百万円、商品及び製品が15億55百万円、原材料が8億32百万円、未収入金が10億53百万円、投資有価
証券が4億36百万円減少したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、224億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億93百万円減少いた
しました。これは主に支払手形及び買掛金が1億70百万円、電子記録債務が11億52百万円減少したこと等によるも
のであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、495億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億8百万円減少い
たしました。これは主に利益剰余金が1億24百万円増加したものの、自己株式が15億73百万円増加したこと、その
他有価証券評価差額金が2億68百万円、為替換算調整勘定が2億39百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は68.0%(前連結会計年度末は67.6%)となりました。
当連結会計年度における経営環境は、米中貿易摩擦の長期化や中国経済の下振れによる世界経済の減速に加
え、第4四半期には新型コロナウィルスの影響により世界的に経済活動が抑制されました。このため、エレクトロ
ニクス業界では市況の減速が続きました。
このような状況のもと、当社グループ(当社及び連結子会社)は、主要分野である産業機器関連・自動車電装
機器関連・娯楽機器関連いずれも前期比で減収となりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、連結売上高 1,016億27百万円(前期比12.7%減)、営業利
益 16億11百万円(前期比34.0%減)、経常利益 17億71百万円(前期比23.0%減)、親会社株主に帰属する当期純
利益 12億36百万円(前期比15.3%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
電子部品事業
電子部品事業におきましては、売上高は824億45百万円(前期比11.6%減)となりました。
1)集積回路
国内において、自動車電装機器関連、娯楽機器関連、産業機器関連が低調に推移いたしました。 海外においては、自動車電装機器関連、OA機器関連、産業機器関連が低調に推移いたしました。 以上の結果、集積回路の売上高は389億69百万円(前期比11.5%減)となりました。
2)半導体素子
国内において、自動車電装機器関連、産業機器関連が低調に推移いたしました。 海外においては、自動車電装機器関連は堅調に推移いたしましたが、産業機器関連、娯楽機器関連、通信機器
関連は低調に推移いたしました。
以上の結果、半導体素子の売上高は108億35百万円(前期比16.3%減)となりました。
3)回路部品
国内において、娯楽機器関連は堅調に推移いたしましたが、自動車電装機器関連、産業機器関連は低調に推移
いたしました。 海外においては、産業機器関連、自動車電装機器関連が低調に推移いたしました。
以上の結果、回路部品の売上高は150億80百万円(前期比8.3%減)となりました。
4)LCD等
国内において、産業機器関連、娯楽機器関連は低調に推移いたしましたが、自動車電装機器関連が堅調に推移
いたしました。 海外においては、自動車電装機器関連、産業機器関連が前年並みとなりました。 以上の結果、LCD等の売上高は34億92百万円(前期比2.7%増)となりました。
5)その他電子部品
国内においては、産業機器関連、娯楽機器関連が低調に推移いたしました。 海外においては、自動車電装機器関連、産業機器関連が低調に推移いたしました。 以上の結果、その他電子部品の売上高は140億67百万円(前期比14.1%減)となりました。
アッセンブリ事業
アッセンブリ製品
国内において、娯楽機器関連が低調に推移いたしました。 海外においては、娯楽機器関連、産業機器関連が低調に推移いたしました。 以上の結果、アッセンブリ製品の売上高は150億71百万円(前期比21.8%減)となりました。
その他の事業(電子機器及びマイクロコンピュータのソフトウェア受託開発)
国内において、ソフトウェア受託開発は、自動車電装機器関連向けに堅調に推移いたしました。 以上の結果、電子機器及びマイクロコンピュータのソフトウェア受託開発の売上高は41億10百万円(前期比
5.0%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が18億74
百万円(前期比18.4%減)となり、仕入債務の減少、法人税等の支払、自己株式の取得、配当金の支払等による支出があったものの、売上債権の減少、未収入金の減少、たな卸資産の減少、投資有価証券の売却による収入があったことにより、前連結会計年度末に比べ37億99百万円増加し、当連結会計年度末においては239億24百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、66億43百万円(前期比1.8%減)となりました。これは主に仕入債務の減少
11億64百万円、法人税等の支払5億27百万円による支出等があったものの、税金等調整前当期純利益が18億74百
万円、売上債権の減少33億12百万円、未収入金の減少10億43百万円、たな卸資産の減少22億47百万円による収入
等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、45百万円(前期1億2百万円の使用)となりました。これは主に投資有価証
券の取得による1億10百万円、有形固定資産の取得による96百万円、無形固定資産の取得による3億98百万円の
支出等があったものの、投資有価証券の売却による4億67百万円、保険積立金の解約等による2億54百万円の収
入等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、26億78百万円(前期比12.8%減)となりました。これは主に自己株式の取得
15億83百万円、配当金の支払11億9百万円の支出等があったことによるものであります。
③ 仕入、受注及び販売の実績
a. 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
電子部品事業(百万円)72,88087.6
アッセンブリ事業(百万円)12,88191.8
その他の事業(百万円)3,149105.9
合計(百万円)88,91288.7

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当社グループは商社機能として、受注、販売活動を行っており、サプライチェーンの重要な役割として商品供給の納期確保のため、顧客の所要などに基づく手配も行っております。なお、受注から売上計上までの期間は短く完了しており、当連結会計年度における商品受注状況は以下のとおりとなります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
電子部品事業90,66594.716,584123.2
アッセンブリ事業15,21479.71,84294.7
その他の事業3,29591.051282.0
合計109,17592.118,939118.2

(注)1.受注高および受注残高は、連結消去後の金額となります。
2.受注高および受注残高には、消費税は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
電子部品事業(百万円)82,44588.4
アッセンブリ事業(百万円)15,07178.2
その他の事業(百万円)4,110105.0
合計(百万円)101,62787.3

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度等は、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合が、
100分の10未満のため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態は前述のとおりであり、総資産に占める固定資産比率は、まだ低水準を保っております。これは商社特有のコンパクトな経営に徹した結果でありますが、反面引き続き流動資産比率が高くキャッシュ水準と自己資本比率の高水準化をもたらしている原因ともいえます。これらの事象を鑑み当社は前期に引き続き自社株買いを実施しました。
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては商社として必要な適切な資本コストとROEを考えております。当社は別途発表した中期計画のなかでROEの現状目標数値5%を設定いたしました。当連結会計年度におけるROEは2.5%(前年同期2.8%)となりました。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は前述の通りであり、売上に関しては、産業機器関連、自動車電装機器関連、娯楽機器関連、いずれも前期比で減収となりました。
売上総利益率は9.1%から9.6%と0.5ポイントアップいたしました。販管費は前期比で約56百万円増、対売上比で7.0%から8.0%へアップとなりました。結果、営業利益は額で8億31百万円の減となり、営業利益率でも2.1%から1.6%へ大幅減となりました。これは景気の減速による売上減を主要因として限界損益に近づいたところに将来への投資のための研究開発費および人件費増が加わったことによります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
(電子部品事業)
売上高は、米中貿易摩擦問題や年度後半に発生した新型コロナウィルス感染拡大の影響による中国向け市場の冷え込みから自動車電装機器関連・産業機器関連・OA機器関連が低調に推移したこと等により、前期比11.6%減の824億45百万円になりました。
セグメント利益も、同理由により前期比20.8%減の31億64百万円になりました。
セグメント資産は、電子部品事業の売上債権やたな卸資産の減少等により、前連結会計年度末に比べ54億14百万円減少し、302億45百万円になりました。
次期以降につきましては、娯楽機器関連が遊戯参加人口の減少に伴う市場の縮小傾向により、多くは見込めない状況にありますが、産業分野、医療・介護分野において、IoTソリューションの拡販活動をさらに実施してまいります。
(アッセンブリ事業)
売上高は、国内・海外ともに娯楽機器関連が、業界における環境への取組みにより、リユース及びリサイクルの定着化が加速したことで、新規部材の販売が低調に推移したことが影響し、前期比21.8%減の150億71百万円になりました。
セグメント利益も、同理由により前期比46.7%減の1億22百万円になりました。
セグメント資産は、アッセンブリ事業の売上債権や原材料の減少等により、前連結会計年度末に比べ34億17百万円減少し、78億32百万円になりました。
次期以降につきましては、娯楽機器関連が遊戯参加人口の減少に伴う市場の縮小傾向により、多くを見込めない状況にありますが、産業分野、医療分野、車載分野のマーケット拡販活動を強化して成長を目指して行きます。
(その他の事業)
売上高は、国内の自動車電装顧客向けソフトウェア受託開発が好調に推移したことにより前期比5.0%増の41億10百万円になりました。
セグメント利益も、同理由により前期比70.1%増の3億38百万円になりました。
セグメント資産は、その他の事業の売上債権の増加等により、前連結会計年度末に比べ1億23百万円増加し、17億3百万円になりました。
当連結会計年度においては、第4四半期に新型コロナウイルスの影響を受けましたが、次期の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の抑制から、当社グループの主要マーケットである産業機器関連、自動車電装機器関連、娯楽機器関連は更なる景気の悪化が懸念され、大きな影響を受けることが予想されます。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性につきましては、自社株買いを行うと共に、当連結会計年度は、売上債権の減少、未収入金の減少、たな卸資産の減少、投資有価証券の売却による収入等により、現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ37億99百万円増加し、239億24百万円となりました。現状の資本とキャッシュを考慮すると余裕が無いとはいえませんが、現状の業界動向の中で今後の成長性とサステナビリティを両立させかつ株主還元を念頭において機動的な資本政策を展開してまいります。
③ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要となる事項については、状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積りを行っております。なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大による影響は、不確実性が大きく、将来の事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報に基づき作成しております。
また、当社グループは繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得に基づき回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに基づくため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少が生じた場合は、繰延税金資産が取崩され、税金費用が計上される可能性があります。