有価証券報告書-第68期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済およびわが国経済は、昨年度以降引き続き継続する新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動が大きく制限され、消費需要の低下、生産活動の停滞という未曾有の事態が長期化いたしました。後半にはワクチン接種の進行とそれに伴う特需等で一部活発化しましたが、ここへきて3回目の緊急事態宣言が発出されるなど、依然として先行きは不透明な状況にあります。
医療機器、医薬品業界におきましては、感染症拡大以降、受診自粛や外来診療抑制は継続する状況のなか、オンライン診療に関する規制緩和が進み、在宅医療への動きが加速されました。また、COVID-19ワクチン関連では、国内における必要数の確保が急がれ、国産ワクチンの開発も進行いたしました。
このような状況においても、当社グループは引き続き国内におけるシェア拡大と海外売上の拡大および生産コストの低減に取り組み、ユーザー目線にたった製品の開発を進め、業績の向上に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度は感染症拡大の影響による外来診療抑制、施術延期、営業自粛等により、特に医療関連事業に属する循環器内科、整形外科などの一部の診療科製品、および医薬関連事業における抗菌剤やかぜ薬等の需要減少に伴う受託件数の減少などにより売上伸長の頭を抑えられる格好となりましたが、一方で比較的感染症の影響を受けにくい透析関連製品が堅調に推移したこと、ワクチン関連の医薬容器やシリンジ、注射針等の医療器具、手袋・マスク等の衛生管理製品の需要増加等もあり、売上高は前期比2.9%増加の4,555億59百万円となりました。
利益面におきましては、主力製品のダイアライザが比較的堅調に推移したことに加え、北米および中南米での感染症防護製品の特需による利益増や製造原価の低減等によって全体として売上総利益が改善したこと、移動制限等でリモート会議などが促進され、旅費交通費や販売促進費等の経費支出が抑制されたことなどにより、営業利益は前期比4.6%増加の276億27百万円となりました。また、前年度は29億99百万円の為替差損を計上しておりましたが、当第4四半期に為替レートが円安方向に推移したことにより当連結会計年度は8億57百万円の為替差益を計上しました。これにより経常利益は前期比12.2%増加の262億69百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、係争案件に関する損害賠償金、2月の福島県沖を震源とする地震によるニプロファーマ鏡石工場の災害による損失、子会社の固定資産減損損失や関連会社株式の減損、子会社の貸付金にかかる貸倒引当金繰入などの特別損失を大きく計上いたしましたが、一方で米国統括会社における連結納税の開始や、中国のダイアライザ製造子会社の収益力向上により、繰越欠損金の評価性引当額に対する繰延税金資産の資産性再評価によって法人税等調整額が大きく減少したことにより、142億9百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失122億81百万円)となりました。
当期におけるセグメント別の概況は以下のとおりであります。
<医療関連事業>国内販売におきましては、引き続き感染症拡大の影響により厳しい市場環境が続いております。そのような状況の中、メディカル営業部門では、外来、入院患者の減少、および手術件数の減少により、バスキュラー関連製品や輸液関連製品が低調な推移となりました。一方、心臓外科関連製品や、透析関連製品は引き続き堅調に推移しました。また、手袋・マスク等の衛生材料の需要が増加しており、さらにワクチン接種用の針、シリンジの特需もあり注射針類も好調に推移しました。医薬営業部門では、新型コロナウイルスの影響で風邪関連製品は復調の兆しがみえない状況ですが、抗菌薬は前期実績を徐々に上回ってきており、併せてデクスメデトミジンをはじめとした重点製品や6月・12月の追補収載品も順調にシェア拡大しております。引き続き安定供給に努め、シェア拡大を図ってまいります。
海外販売におきましては、変異コロナウイルスにより再度世界的な感染症拡大の影響が続いておりますが、その一方で世界各地においてワクチン接種も開始され、徐々に中止されておりました入札も再開されるなど営業活動が正常化してきております。欧州ではデジタルツールによる積極的な販売活動を行い、北米におきましてはバスキュラー商品の販売組織構築を行いました。また、COVID-19ワクチン用シリンジの販売拡大も世界各地において実施してまいりました。新たな主力事業の1つである自社透析センターについては、従来から拡大を続ける中南米、今後もさらなる拡大が見込まれるアジア地域の中国・タイにおいて開設拡大を実施いたしました。引き続き、新興国を中心に質の高い治療を通じた地域医療貢献に努めてまいります。
販売拠点については、中国市場の販売拡大に注力した販売拠点増強、人員増強を継続しております。また、中国に続き、アジア市場、特にアセアン諸国の市場の販売拡大を目的としてシンガポールを中心に販売拠点増強、人員増強を実施いたします。今後もこれらの活動を継続し、医療現場のニーズに迅速に対応することにより、顧客満足の向上に努め、販売強化・管理強化の両輪で迅速に販売拡大に繋げてまいります。
海外生産拠点におきましては、インド工場でダイアライザの新規生産ラインの準備を進めておりますが、再度の感染拡大により稼働開始の見通しが困難な状況が継続しております。その他生産拠点におきましては、製品品種により若干の売上減少も見られたものの概ね通常通りの稼働となっており、引続き品質維持に努め、安定供給、コスト削減に取り組んでおります。
この結果、当事業の売上高は3,476億48百万円(前期比3.5%増)、セグメント利益(営業利益)は394億15百万円(前期比8.7%増)となりました。
<医薬関連事業>医薬関連事業におきましては、各製造拠点におけるクオリティカルチャーの醸成や品質保証体制の強化を通じて、品質向上のための継続的な取り組みを図ってまいりました。また、積極的な製造能力の増強に注力するとともに、様々な医薬品剤形を製造する体制を構築しております。さらに、治験薬の製造や医薬品包装容器や投与システムからの開発、製造が可能である特徴を活かした提案型の営業活動を積極的に行った結果、複数の新規受託製造品目の出荷を開始することができました。また、当期は一部の製品で顧客から受注数量が大幅に増加した製品があり、該当ラインの増産体制を整え、安定的な製造を行ったため、該当製品による売上高の伸長がありました。一方で昨年来の新型コロナウイルス感染症の影響により、一部の製品の生産数量が減少したこと、また、令和3年2月13日の福島県沖地震で、ニプロファーマ鏡石工場が被災したため、一時的に出荷数量が減少したことにより、当期の売上高に影響を及ぼしました。
この結果、当事業の売上高は685億64百万円(前期比2.5%減)、セグメント利益(営業利益)は100億72百万円(前期比23.7%減)となりました。
<ファーマパッケージング事業>ファーマパッケージング事業におきましては、世界的な感染症拡大の中、アンプルやバイアルといった基礎的な医薬用容器のシェア拡大に加え、高機能商品である滅菌済ガラスシリンジや高付加価値バイアルなどのブランド品の販売に注力しました。また各製造拠点においては、コロナ禍の厳しい環境の下、操業の維持に努めることで、需要増に応じるとともに安定供給の実現に尽力いたしました。
国内においては、ガラス生地管、バイアル、ゴム栓等の医薬用容器関連商品に加え、医療機器関連ではCOVID-19抗原検査キット用スポンジスワブの出荷が好調に推移しました。
海外においては、COVID-19ワクチン需要が堅調であったことから、欧米市場を中心にガラス生地管のほか、バイアルおよび滅菌済ガラスシリンジが大きく伸長しました。また中国では大手ワクチンメーカーにCOVID-19用バイアルが採用されたのを機に販売が急増することとなりました。
この結果、当事業の売上高は386億55百万円(前期比6.7%増)、セグメント利益(営業利益)は19億92百万円(前期比195.0%増)となりました。
<その他事業>その他事業におきましては、不動産賃貸等による売上高が6億91百万円(前期比297.1%増)、セグメント利益(営業利益)は3億76百万円(前期比112.8%増)となりました。
また、財政状態におきましては、当連結会計年度末の資産合計は8,543億96百万円(前期比2.7%増)、負債合計は6,803億43百万円(前期比1.4%増)、純資産合計は1,740億53百万円(前期比7.9%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当社グループは医療関連、医薬関連、ファーマパッケージングの各事業の積極的な営業活動による現金及び現金同等物の収入と市場からの資金調達等により得た収入で、将来の当社グループの発展へ重点を置いた積極的な手元資金の運用に努めてまいりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローが660億93百万円の収入超過(前期比77.5%増)、投資活動によるキャッシュ・フローが450億71百万円の支出超過(前期は582億72百万円の支出超過)、財務活動によるキャッシュ・フローが220億62百万円の支出超過(前期は45億66百万円の支出超過)となり、現金及び現金同等物の期末残高は858億21百万円(前期比4.8%減)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローにおける収入の主な科目は、減価償却費398億49百万円、税金等調整前当期純利益175億19百万円であり、支出の主な科目は、たな卸資産の増加額が128億50百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローにおける支出の主な科目は、固定資産の取得による支出が511億82百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローにおける収入の主な科目は、社債の発行による収入が492億72百万円、長期借入れによる収入が470億80百万円であり、支出の主な科目は長期借入金の返済による支出が653億99百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、製造原価によって算出しております。
2 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(b) 受注実績
当社グループは、見込生産形態を採っておりますので、該当事項はありません。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
売上高は前連結会計年度に比べ130億42百万円増加し、4,555億59百万円(前期比2.9%増)となりました。これは主に、国内販売が前期比1.1%、海外販売が5.8%とそれぞれ増加したことによるものです。この結果、各セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、医療関連事業が76.3%、医薬関連事業が15.0%、ファーマパッケージング事業が8.5%、その他が0.2%となりました。
(営業利益)
営業利益は前連結会計年度に比べ12億6百万円増加し、276億27百万円(前期比4.6%増)となりました。これは主に、売上高の増加に加え、旅費交通費や販売促進費等の経費支出が抑制されたことによるものであります。
(経常利益)
営業外収益は前連結会計年度に比べ4億9百万円増加し、55億33百万円(前期比8.0%増)、営業外費用は前連結会計年度に比べ12億35百万円減少し、68億91百万円(前期比15.2%減)となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ28億51百万円増加し、262億69百万円(前期比12.2%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、損害賠償金、災害による損失および貸倒引当金繰入などの特別損失を計上いたしましたが、142億9百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失122億81百万円)となりました。
なお、セグメントごとの経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は8,543億96百万円で、前連結会計年度末に比べ225億31百万円の増加となりました。このうち流動資産は116億61百万円の減少、固定資産は341億92百万円の増加となりました。流動資産の減少の主な要因は、受取手形及び売掛金が119億41百万円減少したことによるものであり、固定資産の増加の主な要因は、有形固定資産のリース資産(純額)が158億49百万円増加したことによるものであります。
(負債の部)
負債合計は6,803億43百万円で、前連結会計年度末に比べ97億15百万円の増加となりました。このうち流動負債は179億2百万円の減少、固定負債は276億17百万円の増加となりました。流動負債の減少の主な要因は、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債が250億円減少したことによるものであり、固定負債の増加の主な要因は、社債が484億円増加したことによるものであります。
(純資産の部)
純資産合計は1,740億53百万円で、前連結会計年度末に比べ128億16百万円の増加となりました。このうち株主資本は126億36百万円の増加、その他の包括利益累計額は3億95百万円の減少となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。なお、当社グループの設備投資額は,令和3年3月期の実績は327億円、令和4年3月期は495億円を予定しております。また、株主還元については、連結純利益75%と単体純利益25%の合計額を配当の基礎となる利益額とし、令和4年3月期はその36%を配当原資とする予定です。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結することで、資金の流動性を確保しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウィルス感染症に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 (追加情報)」に記載しております。
(のれんの減損処理)
当社グループは、のれんに関して効果の発現する期間を見積り、その期間で定額法により償却しておりますが、その資産性の評価について検討した結果、当初想定したキャッシュ・フローが見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、キャッシュ・フローが減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済およびわが国経済は、昨年度以降引き続き継続する新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動が大きく制限され、消費需要の低下、生産活動の停滞という未曾有の事態が長期化いたしました。後半にはワクチン接種の進行とそれに伴う特需等で一部活発化しましたが、ここへきて3回目の緊急事態宣言が発出されるなど、依然として先行きは不透明な状況にあります。
医療機器、医薬品業界におきましては、感染症拡大以降、受診自粛や外来診療抑制は継続する状況のなか、オンライン診療に関する規制緩和が進み、在宅医療への動きが加速されました。また、COVID-19ワクチン関連では、国内における必要数の確保が急がれ、国産ワクチンの開発も進行いたしました。
このような状況においても、当社グループは引き続き国内におけるシェア拡大と海外売上の拡大および生産コストの低減に取り組み、ユーザー目線にたった製品の開発を進め、業績の向上に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度は感染症拡大の影響による外来診療抑制、施術延期、営業自粛等により、特に医療関連事業に属する循環器内科、整形外科などの一部の診療科製品、および医薬関連事業における抗菌剤やかぜ薬等の需要減少に伴う受託件数の減少などにより売上伸長の頭を抑えられる格好となりましたが、一方で比較的感染症の影響を受けにくい透析関連製品が堅調に推移したこと、ワクチン関連の医薬容器やシリンジ、注射針等の医療器具、手袋・マスク等の衛生管理製品の需要増加等もあり、売上高は前期比2.9%増加の4,555億59百万円となりました。
利益面におきましては、主力製品のダイアライザが比較的堅調に推移したことに加え、北米および中南米での感染症防護製品の特需による利益増や製造原価の低減等によって全体として売上総利益が改善したこと、移動制限等でリモート会議などが促進され、旅費交通費や販売促進費等の経費支出が抑制されたことなどにより、営業利益は前期比4.6%増加の276億27百万円となりました。また、前年度は29億99百万円の為替差損を計上しておりましたが、当第4四半期に為替レートが円安方向に推移したことにより当連結会計年度は8億57百万円の為替差益を計上しました。これにより経常利益は前期比12.2%増加の262億69百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、係争案件に関する損害賠償金、2月の福島県沖を震源とする地震によるニプロファーマ鏡石工場の災害による損失、子会社の固定資産減損損失や関連会社株式の減損、子会社の貸付金にかかる貸倒引当金繰入などの特別損失を大きく計上いたしましたが、一方で米国統括会社における連結納税の開始や、中国のダイアライザ製造子会社の収益力向上により、繰越欠損金の評価性引当額に対する繰延税金資産の資産性再評価によって法人税等調整額が大きく減少したことにより、142億9百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失122億81百万円)となりました。
当期におけるセグメント別の概況は以下のとおりであります。
<医療関連事業>国内販売におきましては、引き続き感染症拡大の影響により厳しい市場環境が続いております。そのような状況の中、メディカル営業部門では、外来、入院患者の減少、および手術件数の減少により、バスキュラー関連製品や輸液関連製品が低調な推移となりました。一方、心臓外科関連製品や、透析関連製品は引き続き堅調に推移しました。また、手袋・マスク等の衛生材料の需要が増加しており、さらにワクチン接種用の針、シリンジの特需もあり注射針類も好調に推移しました。医薬営業部門では、新型コロナウイルスの影響で風邪関連製品は復調の兆しがみえない状況ですが、抗菌薬は前期実績を徐々に上回ってきており、併せてデクスメデトミジンをはじめとした重点製品や6月・12月の追補収載品も順調にシェア拡大しております。引き続き安定供給に努め、シェア拡大を図ってまいります。
海外販売におきましては、変異コロナウイルスにより再度世界的な感染症拡大の影響が続いておりますが、その一方で世界各地においてワクチン接種も開始され、徐々に中止されておりました入札も再開されるなど営業活動が正常化してきております。欧州ではデジタルツールによる積極的な販売活動を行い、北米におきましてはバスキュラー商品の販売組織構築を行いました。また、COVID-19ワクチン用シリンジの販売拡大も世界各地において実施してまいりました。新たな主力事業の1つである自社透析センターについては、従来から拡大を続ける中南米、今後もさらなる拡大が見込まれるアジア地域の中国・タイにおいて開設拡大を実施いたしました。引き続き、新興国を中心に質の高い治療を通じた地域医療貢献に努めてまいります。
販売拠点については、中国市場の販売拡大に注力した販売拠点増強、人員増強を継続しております。また、中国に続き、アジア市場、特にアセアン諸国の市場の販売拡大を目的としてシンガポールを中心に販売拠点増強、人員増強を実施いたします。今後もこれらの活動を継続し、医療現場のニーズに迅速に対応することにより、顧客満足の向上に努め、販売強化・管理強化の両輪で迅速に販売拡大に繋げてまいります。
海外生産拠点におきましては、インド工場でダイアライザの新規生産ラインの準備を進めておりますが、再度の感染拡大により稼働開始の見通しが困難な状況が継続しております。その他生産拠点におきましては、製品品種により若干の売上減少も見られたものの概ね通常通りの稼働となっており、引続き品質維持に努め、安定供給、コスト削減に取り組んでおります。
この結果、当事業の売上高は3,476億48百万円(前期比3.5%増)、セグメント利益(営業利益)は394億15百万円(前期比8.7%増)となりました。
<医薬関連事業>医薬関連事業におきましては、各製造拠点におけるクオリティカルチャーの醸成や品質保証体制の強化を通じて、品質向上のための継続的な取り組みを図ってまいりました。また、積極的な製造能力の増強に注力するとともに、様々な医薬品剤形を製造する体制を構築しております。さらに、治験薬の製造や医薬品包装容器や投与システムからの開発、製造が可能である特徴を活かした提案型の営業活動を積極的に行った結果、複数の新規受託製造品目の出荷を開始することができました。また、当期は一部の製品で顧客から受注数量が大幅に増加した製品があり、該当ラインの増産体制を整え、安定的な製造を行ったため、該当製品による売上高の伸長がありました。一方で昨年来の新型コロナウイルス感染症の影響により、一部の製品の生産数量が減少したこと、また、令和3年2月13日の福島県沖地震で、ニプロファーマ鏡石工場が被災したため、一時的に出荷数量が減少したことにより、当期の売上高に影響を及ぼしました。
この結果、当事業の売上高は685億64百万円(前期比2.5%減)、セグメント利益(営業利益)は100億72百万円(前期比23.7%減)となりました。
<ファーマパッケージング事業>ファーマパッケージング事業におきましては、世界的な感染症拡大の中、アンプルやバイアルといった基礎的な医薬用容器のシェア拡大に加え、高機能商品である滅菌済ガラスシリンジや高付加価値バイアルなどのブランド品の販売に注力しました。また各製造拠点においては、コロナ禍の厳しい環境の下、操業の維持に努めることで、需要増に応じるとともに安定供給の実現に尽力いたしました。
国内においては、ガラス生地管、バイアル、ゴム栓等の医薬用容器関連商品に加え、医療機器関連ではCOVID-19抗原検査キット用スポンジスワブの出荷が好調に推移しました。
海外においては、COVID-19ワクチン需要が堅調であったことから、欧米市場を中心にガラス生地管のほか、バイアルおよび滅菌済ガラスシリンジが大きく伸長しました。また中国では大手ワクチンメーカーにCOVID-19用バイアルが採用されたのを機に販売が急増することとなりました。
この結果、当事業の売上高は386億55百万円(前期比6.7%増)、セグメント利益(営業利益)は19億92百万円(前期比195.0%増)となりました。
<その他事業>その他事業におきましては、不動産賃貸等による売上高が6億91百万円(前期比297.1%増)、セグメント利益(営業利益)は3億76百万円(前期比112.8%増)となりました。
また、財政状態におきましては、当連結会計年度末の資産合計は8,543億96百万円(前期比2.7%増)、負債合計は6,803億43百万円(前期比1.4%増)、純資産合計は1,740億53百万円(前期比7.9%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当社グループは医療関連、医薬関連、ファーマパッケージングの各事業の積極的な営業活動による現金及び現金同等物の収入と市場からの資金調達等により得た収入で、将来の当社グループの発展へ重点を置いた積極的な手元資金の運用に努めてまいりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローが660億93百万円の収入超過(前期比77.5%増)、投資活動によるキャッシュ・フローが450億71百万円の支出超過(前期は582億72百万円の支出超過)、財務活動によるキャッシュ・フローが220億62百万円の支出超過(前期は45億66百万円の支出超過)となり、現金及び現金同等物の期末残高は858億21百万円(前期比4.8%減)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローにおける収入の主な科目は、減価償却費398億49百万円、税金等調整前当期純利益175億19百万円であり、支出の主な科目は、たな卸資産の増加額が128億50百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローにおける支出の主な科目は、固定資産の取得による支出が511億82百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローにおける収入の主な科目は、社債の発行による収入が492億72百万円、長期借入れによる収入が470億80百万円であり、支出の主な科目は長期借入金の返済による支出が653億99百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 対前期増減率(%) |
| 医療関連 | 165,822 | 1.3 |
| 医薬関連 | 127,070 | △0.2 |
| ファーマパッケージング | 30,651 | 7.3 |
| 合計 | 323,544 | 1.3 |
(注) 1 金額は、製造原価によって算出しております。
2 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(b) 受注実績
当社グループは、見込生産形態を採っておりますので、該当事項はありません。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 対前期増減率(%) |
| 医療関連 | 347,648 | 3.5 |
| 医薬関連 | 68,564 | △2.5 |
| ファーマパッケージング | 38,655 | 6.7 |
| その他 | 691 | 297.1 |
| 合計 | 455,559 | 2.9 |
(注) 1 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
売上高は前連結会計年度に比べ130億42百万円増加し、4,555億59百万円(前期比2.9%増)となりました。これは主に、国内販売が前期比1.1%、海外販売が5.8%とそれぞれ増加したことによるものです。この結果、各セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、医療関連事業が76.3%、医薬関連事業が15.0%、ファーマパッケージング事業が8.5%、その他が0.2%となりました。
(営業利益)
営業利益は前連結会計年度に比べ12億6百万円増加し、276億27百万円(前期比4.6%増)となりました。これは主に、売上高の増加に加え、旅費交通費や販売促進費等の経費支出が抑制されたことによるものであります。
(経常利益)
営業外収益は前連結会計年度に比べ4億9百万円増加し、55億33百万円(前期比8.0%増)、営業外費用は前連結会計年度に比べ12億35百万円減少し、68億91百万円(前期比15.2%減)となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ28億51百万円増加し、262億69百万円(前期比12.2%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、損害賠償金、災害による損失および貸倒引当金繰入などの特別損失を計上いたしましたが、142億9百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失122億81百万円)となりました。
なお、セグメントごとの経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は8,543億96百万円で、前連結会計年度末に比べ225億31百万円の増加となりました。このうち流動資産は116億61百万円の減少、固定資産は341億92百万円の増加となりました。流動資産の減少の主な要因は、受取手形及び売掛金が119億41百万円減少したことによるものであり、固定資産の増加の主な要因は、有形固定資産のリース資産(純額)が158億49百万円増加したことによるものであります。
(負債の部)
負債合計は6,803億43百万円で、前連結会計年度末に比べ97億15百万円の増加となりました。このうち流動負債は179億2百万円の減少、固定負債は276億17百万円の増加となりました。流動負債の減少の主な要因は、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債が250億円減少したことによるものであり、固定負債の増加の主な要因は、社債が484億円増加したことによるものであります。
(純資産の部)
純資産合計は1,740億53百万円で、前連結会計年度末に比べ128億16百万円の増加となりました。このうち株主資本は126億36百万円の増加、その他の包括利益累計額は3億95百万円の減少となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。なお、当社グループの設備投資額は,令和3年3月期の実績は327億円、令和4年3月期は495億円を予定しております。また、株主還元については、連結純利益75%と単体純利益25%の合計額を配当の基礎となる利益額とし、令和4年3月期はその36%を配当原資とする予定です。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結することで、資金の流動性を確保しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウィルス感染症に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 (追加情報)」に記載しております。
(のれんの減損処理)
当社グループは、のれんに関して効果の発現する期間を見積り、その期間で定額法により償却しておりますが、その資産性の評価について検討した結果、当初想定したキャッシュ・フローが見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、キャッシュ・フローが減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。