訂正有価証券報告書-第67期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済およびわが国経済は、米中通商問題や英国のEU離脱問題等により先行き不透明感が拡大するなか緩やかな回復基調で推移してまいりました。しかし昨年10月からの消費税増税の影響がまさに表面化するという矢先に発生した新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響は、世界経済に深刻な打撃を与え、先行きは極めて不透明な状態となりました。
医療機器、医薬品業界におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大以降、受診自粛や外来診療抑制による市場縮小の一方、感染症に有用な医療消耗品の需要増加、新型コロナウイルス感染症治療に薬効があるとみられる薬剤および人工呼吸器等の増産要請や、ワクチン開発の動きなど活発化している一面もあります。
このような状況においても、当社グループは引き続き国内におけるシェア拡大と海外売上の拡大および生産コストの低減に取り組み、ユーザー目線に立った製品の開発を進め、業績の向上に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、第4四半期に一部診療抑制等の影響をうけたものの、引き続き主要事業の医療関連事業、医薬関連事業の堅調な推移により、グループ全体では前期比3.8%増加の4,425億16百万円となりました。利益面におきましては、昨年10月の薬価改定の影響や、ユーロ、人民元を中心とした為替の影響もありましたが、主要製品の販売が引き続き好調に推移したことに加え、ROEを基準とする業績連動賞与の支給額の影響により、営業利益は前期比10.9%増加の264億20百万円となりました。経常利益に関しては、29億99百万円の為替差損の計上もありましたが、営業利益の増加により前期比4.4%増加の234億17百万円となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純損失に関しましては、新型コロナウイルスの感染拡大による経済失速懸念を受けての株式市況の悪化による投資有価証券評価損298億92百万円の計上に加え、一部の事業における将来計画の見直しによるのれんの減損損失および固定資産減損損失56億55百万円などの特別損失を計上したため、前期比244億18百万円の減益となる122億81百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益121億36百万円)となりました。
当期におけるセグメント別の概況は以下のとおりであります。
<医療関連事業>国内販売におきましては、医療費抑制策に加えて、企業間競争が激化し、市場環境は厳しいものとなりました。そのような状況の中、メディカル営業部門では、注射・輸液関連製品、経腸栄養関連製品、検査関連製品、透析関連製品、バスキュラー関連製品、心臓外科(CVS)関連製品の全分野において、一時的に低調な時期もありましたが総じて堅調に推移しました。医薬営業部門では、デクスメデトミジン塩酸塩注射液の「集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静」に対する効能・効果、用法・用量の追加承認に伴い、大学・基幹病院で先発品からの切り替えの動きが活発化し、シェアが拡大しました。経口・外用剤では医薬品卸との連携効果に伴い調剤薬局を中心に伸長いたしました。しかし、期初に発生した抗菌剤の原薬問題の影響による供給制限や、昨年10月の薬価改定に伴う買い控えと新型コロナウイルスの影響による診療抑制で小幅な伸長となりました。再生医療関連では、脊髄損傷の治療用再生医療等製品「ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞(販売名:ステミラック®注)の供給を昨年5月より開始しています。
海外販売におきましては、世界各地での積極的な販売活動を継続し、ダイアライザ・透析装置をはじめとする主力商品の売上を順調に伸ばしました。本年1月にUAEのドバイで開催された中東・アフリカ最大の医療機器展示会であるアラブヘルスに参加し、同地域でのニプロブランドの浸透を図りました。各国で進めている自社透析センターの開設については、第4四半期も、南アフリカ、グアテマラ、エクアドル、インドで開設、今後も中南米を始めインド、アジア、アフリカでも開設を進めます。さらに、チリではトレーニングセンターの開設を行いました。今後も各地で質の高い治療を提供するとともに、不足している医療技術者の育成の場となるトレーニングセンターの開設を推進してまいります。また、昨年12月に米国にて、Dimesol 社からの透析液生産事業買収に続き、本年1月には透析装置のメンテナンスサービスを行うH&S Technical Service Inc.を買収いたしました。これにより、米国食品医薬品局(FDA)より販売承認を取得した透析装置の上市に向けて、万全のサービス体制を整えることができ、ダイアライザ等透析関連製品のさらなる販売拡大を図ります。販売拠点についても、昨年末のバングラデシュのJMIマーケティング社の買収にて、同国全土をカバーする直販体制を確立いたしました。これからもこれらの活動を継続し、医療現場のニーズに迅速に呼応することで、顧客満足の向上に努め、販売の拡大に繋げてまいります。
海外生産拠点につきましては、昨今の世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国での非常事態宣言により、中国工場、インド工場での一時的な操業停止が有りましたが、他拠点におきましては各地の行政機関との交渉・許可のもと、人員・原材料確保に努め生産活動を継続してまいりました。ダイアライザの生産体制の強化については、インド工場では2020年から2021年にかけて稼働する新規3ラインの導入を進めています。中国合肥工場で計画していた生産ラインの新設に関しては、現地の需要状況、カントリーリスク回避を鑑み、ベトナム工場への2022年新設を計画しています。今後も拡大が予想される需要に応えるべく、引き続きダイアライザを代表とする透析関連製品等の生産体制の強化を進めてまいります。
この結果、当事業の売上高は3,357億67百万円(前期比2.6%増)、セグメント利益(営業利益)は362億49百万円(前期比1.3%減)となりました。
<医薬関連事業>医薬関連事業におきましては、顧客企業の多様なニーズに的確に応じることで、医薬品の製造受託および処方設計も含めた開発受託を推進してまいりました。当社グループで製造が可能な経口剤、注射剤、外用剤等の全ての剤形ならびに、抗生物質、ステロイド、抗がん剤といった各種高薬理活性製剤における製造受託の提案、さらに、治験薬の製造、検査包装の受託営業にも注力いたしました。また、当社が開発および生産体制を有する医薬品包装容器や投与システムの使用、セット化包装の提案などの開発提案型の営業についても積極的に行ってまいりました。
また、医薬品製造部門においては、ニプロファーマ㈱は、前期に取得した埼玉県春日部市と川越市の医薬品製造工場に加え、昨年4月に田辺製薬吉城工場㈱の全株式を取得し、ニプロファーマ飛騨工場㈱として操業を開始したことも、売上高、利益の増加に寄与いたしました。さらに、ベトナム工場において、前期から受託製造を開始した製品が本格製造となり、売上高および利益に貢献いたしました。
この結果、当事業の売上高は703億57百万円(前期比10.8%増)、セグメント利益(営業利益)は131億96百万円(前期比23.8%増)となりました。
<ファーマパッケージング事業>ファーマパッケージング事業におきましては、ワンストップソリューションによるガラス部材とその他部材の組み合わせによる高機能、高付加価値商品の販売活動を行いました。製造においては、バイオ製剤市場の拡大によりさらなる品質への要求が厳格化するなか、信頼性の向上と製造コストの低減を実現するため、引き続き生産設備の見直し、カメラ検査機の導入による自動化・省人化を図るとともに、安定供給に努めてまいりました。
海外販売においては、世界的にガラス生地管の需要が高まり、フランス・アメリカ・インドでガラス生地管の売上が増加いたしました。医薬用容器の販売については、ドイツ工場製の滅菌済みシリンジの販売が大きく牽引いたしました。引き続き高成長が見込まれる滅菌済みシリンジ市場に対し、ワクチン製剤、バイオ製剤等の高品質セグメントへ参入するため生産能力の増強を行い、付加価値の向上とコストダウンを図ってまいります。また中国では、グローバル基準の医薬用容器が大手ワクチンメーカーに採用となり、納入を開始しました。
国内販売においては、びわこ工場で商用生産を開始したゴム栓の販売、医療機器関連は投与キット、シリンジ等が好調に推移しました。また一部顧客事情により納入遅延の影響を受けておりましたバイアルも回復してまいりました。びわこ工場においては、引き続き品質向上、徹底した効率化、合理化を推進し、ユーザーニーズに応えてまいります。
この結果、当事業の売上高は362億17百万円(前期比1.9%増)、セグメント利益(営業利益)は6億75百万円(前期比13.2%減)となりました。
<その他事業>その他事業におきましては、不動産賃貸による売上高が1億74百万円(前期比461.3%増)、セグメント利益(営業利益)は1億76百万円(前期比20.7%増)となりました。
また、財政状態におきましては、当連結会計年度末の資産合計は8,318億65百万円(前期比1.6%減)、負債合計は6,706億28百万円(前期比0.5%減)、純資産合計は1,612億37百万円(前期比6.2%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当社グループは医療関連、医薬関連、ファーマパッケージングの各事業の積極的な営業活動による現金及び現金同等物の収入と市場からの資金調達等により得た収入で、将来の当社グループの発展へ重点を置いた積極的な手元資金の運用に努めてまいりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローが372億46百万円の収入超過(前期比10.0%減)、投資活動によるキャッシュ・フローが582億72百万円の支出超過(前期は647億12百万円の支出超過)、財務活動によるキャッシュ・フローが45億66百万円の支出超過(前期は126億46百万円の収入超過)となり、現金及び現金同等物の期末残高は901億54百万円(前期比25.1%減)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローにおける収入の主な科目は、減価償却費386億82百万円、投資有価証券評価損298億92百万円であり、支出の主な科目は、たな卸資産の増加額が152億41百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローにおける支出の主な科目は、固定資産の取得による支出が579億43百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローにおける収入の主な科目は、長期借入れによる収入が618億90百万円であり、支出の主な科目は長期借入金の返済による支出が960億52百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、製造原価によって算出しております。
2 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(b) 受注実績
当社グループは、見込生産形態を採っておりますので、該当事項はありません。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
売上高は前連結会計年度に比べ161億16百万円増加し、4,425億16百万円(前期比3.8%増)となりました。これは主に、国内販売が前期比2.6%、海外販売が5.7%とそれぞれ増加したことによるものです。この結果、各セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、医療関連事業が75.9%、医薬関連事業が15.9%、ファーマパッケージング事業が8.2%、その他が0.0%となりました。
(営業利益)
営業利益は前連結会計年度に比べ25億93百万円増加し、264億20百万円(前期比10.9%増)となりました。これは主に、売上高の増加に加え、ROEを基準とする業績連動賞与の支給額の影響によるものであります。
(経常利益)
営業外収益は前連結会計年度に比べ2億46百万円減少し、51億23百万円(前期比4.6%減)、営業外費用は前連結会計年度に比べ13億60百万円増加し、81億26百万円(前期比20.1%増)となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ9億86百万円増加し、234億17百万円(前期比4.4%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
親会社株主に帰属する当期純損失は、法人税等が79億23百万円減少しましたが、投資有証評価損298億92百万円および減損損失56億55百万円の計上したため、122億81百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益121億36百万円)となりました。
なお、セグメントごとの経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は8,318億65百万円で、前連結会計年度末に比べ139億55百万円の減少となりました。このうち流動資産は99億23百万円の減少、固定資産は40億32百万円の減少となりました。流動資産の減少の主な要因は、現金及び預金が335億12百万円減少したことによるものであり、固定資産の減少の主な要因は、投資有価証券が220億72百万円減少したことによるものであります。
(負債の部)
負債合計は6,706億28百万円で、前連結会計年度末に比べ33億62百万円の減少となりました。このうち流動負債は151億26百万円の増加、固定負債は184億88百万円の減少となりました。流動負債の増加の主な要因は、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債が250億円増加したことによるものであり、固定負債の減少の主な要因は、転換社債型新株予約権付社債が250億円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
純資産合計は1,612億37百万円で、前連結会計年度末に比べ105億93百万円の減少となりました。このうち株主資本は159億46百万円の減少、その他の包括利益累計額は32億42百万円の増加となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。なお、当社グループの設備投資額は,令和2年3月期の実績は578億円、令和3年3月期は787億円を予定しております。また、株主還元については、連結純利益75%と単体純利益25%の合計額を配当の基礎となる利益額とし、令和3年3月期はその37%を配当原資とする予定です。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結することで、資金の流動性を確保しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウィルス感染症に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 (追加情報)」に記載しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、キャッシュ・フローが減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(のれんの減損処理)
当社グループは、のれんに関して効果の発現する期間を見積り、その期間で定額法により償却しておりますが、その資産性の評価について検討した結果、当初想定したキャッシュ・フローが見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。
(退職給付費用)
退職給付費用および債務の計算は、その計算の際に使われた仮定により異なります。これらの仮定には、割引率、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率などの要因が含まれております。これらの仮定と実際の結果との差額は発生した連結会計年度に債務認識しております。当社は使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により、当社グループの退職給付費用および債務に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済およびわが国経済は、米中通商問題や英国のEU離脱問題等により先行き不透明感が拡大するなか緩やかな回復基調で推移してまいりました。しかし昨年10月からの消費税増税の影響がまさに表面化するという矢先に発生した新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響は、世界経済に深刻な打撃を与え、先行きは極めて不透明な状態となりました。
医療機器、医薬品業界におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大以降、受診自粛や外来診療抑制による市場縮小の一方、感染症に有用な医療消耗品の需要増加、新型コロナウイルス感染症治療に薬効があるとみられる薬剤および人工呼吸器等の増産要請や、ワクチン開発の動きなど活発化している一面もあります。
このような状況においても、当社グループは引き続き国内におけるシェア拡大と海外売上の拡大および生産コストの低減に取り組み、ユーザー目線に立った製品の開発を進め、業績の向上に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、第4四半期に一部診療抑制等の影響をうけたものの、引き続き主要事業の医療関連事業、医薬関連事業の堅調な推移により、グループ全体では前期比3.8%増加の4,425億16百万円となりました。利益面におきましては、昨年10月の薬価改定の影響や、ユーロ、人民元を中心とした為替の影響もありましたが、主要製品の販売が引き続き好調に推移したことに加え、ROEを基準とする業績連動賞与の支給額の影響により、営業利益は前期比10.9%増加の264億20百万円となりました。経常利益に関しては、29億99百万円の為替差損の計上もありましたが、営業利益の増加により前期比4.4%増加の234億17百万円となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純損失に関しましては、新型コロナウイルスの感染拡大による経済失速懸念を受けての株式市況の悪化による投資有価証券評価損298億92百万円の計上に加え、一部の事業における将来計画の見直しによるのれんの減損損失および固定資産減損損失56億55百万円などの特別損失を計上したため、前期比244億18百万円の減益となる122億81百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益121億36百万円)となりました。
当期におけるセグメント別の概況は以下のとおりであります。
<医療関連事業>国内販売におきましては、医療費抑制策に加えて、企業間競争が激化し、市場環境は厳しいものとなりました。そのような状況の中、メディカル営業部門では、注射・輸液関連製品、経腸栄養関連製品、検査関連製品、透析関連製品、バスキュラー関連製品、心臓外科(CVS)関連製品の全分野において、一時的に低調な時期もありましたが総じて堅調に推移しました。医薬営業部門では、デクスメデトミジン塩酸塩注射液の「集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静」に対する効能・効果、用法・用量の追加承認に伴い、大学・基幹病院で先発品からの切り替えの動きが活発化し、シェアが拡大しました。経口・外用剤では医薬品卸との連携効果に伴い調剤薬局を中心に伸長いたしました。しかし、期初に発生した抗菌剤の原薬問題の影響による供給制限や、昨年10月の薬価改定に伴う買い控えと新型コロナウイルスの影響による診療抑制で小幅な伸長となりました。再生医療関連では、脊髄損傷の治療用再生医療等製品「ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞(販売名:ステミラック®注)の供給を昨年5月より開始しています。
海外販売におきましては、世界各地での積極的な販売活動を継続し、ダイアライザ・透析装置をはじめとする主力商品の売上を順調に伸ばしました。本年1月にUAEのドバイで開催された中東・アフリカ最大の医療機器展示会であるアラブヘルスに参加し、同地域でのニプロブランドの浸透を図りました。各国で進めている自社透析センターの開設については、第4四半期も、南アフリカ、グアテマラ、エクアドル、インドで開設、今後も中南米を始めインド、アジア、アフリカでも開設を進めます。さらに、チリではトレーニングセンターの開設を行いました。今後も各地で質の高い治療を提供するとともに、不足している医療技術者の育成の場となるトレーニングセンターの開設を推進してまいります。また、昨年12月に米国にて、Dimesol 社からの透析液生産事業買収に続き、本年1月には透析装置のメンテナンスサービスを行うH&S Technical Service Inc.を買収いたしました。これにより、米国食品医薬品局(FDA)より販売承認を取得した透析装置の上市に向けて、万全のサービス体制を整えることができ、ダイアライザ等透析関連製品のさらなる販売拡大を図ります。販売拠点についても、昨年末のバングラデシュのJMIマーケティング社の買収にて、同国全土をカバーする直販体制を確立いたしました。これからもこれらの活動を継続し、医療現場のニーズに迅速に呼応することで、顧客満足の向上に努め、販売の拡大に繋げてまいります。
海外生産拠点につきましては、昨今の世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国での非常事態宣言により、中国工場、インド工場での一時的な操業停止が有りましたが、他拠点におきましては各地の行政機関との交渉・許可のもと、人員・原材料確保に努め生産活動を継続してまいりました。ダイアライザの生産体制の強化については、インド工場では2020年から2021年にかけて稼働する新規3ラインの導入を進めています。中国合肥工場で計画していた生産ラインの新設に関しては、現地の需要状況、カントリーリスク回避を鑑み、ベトナム工場への2022年新設を計画しています。今後も拡大が予想される需要に応えるべく、引き続きダイアライザを代表とする透析関連製品等の生産体制の強化を進めてまいります。
この結果、当事業の売上高は3,357億67百万円(前期比2.6%増)、セグメント利益(営業利益)は362億49百万円(前期比1.3%減)となりました。
<医薬関連事業>医薬関連事業におきましては、顧客企業の多様なニーズに的確に応じることで、医薬品の製造受託および処方設計も含めた開発受託を推進してまいりました。当社グループで製造が可能な経口剤、注射剤、外用剤等の全ての剤形ならびに、抗生物質、ステロイド、抗がん剤といった各種高薬理活性製剤における製造受託の提案、さらに、治験薬の製造、検査包装の受託営業にも注力いたしました。また、当社が開発および生産体制を有する医薬品包装容器や投与システムの使用、セット化包装の提案などの開発提案型の営業についても積極的に行ってまいりました。
また、医薬品製造部門においては、ニプロファーマ㈱は、前期に取得した埼玉県春日部市と川越市の医薬品製造工場に加え、昨年4月に田辺製薬吉城工場㈱の全株式を取得し、ニプロファーマ飛騨工場㈱として操業を開始したことも、売上高、利益の増加に寄与いたしました。さらに、ベトナム工場において、前期から受託製造を開始した製品が本格製造となり、売上高および利益に貢献いたしました。
この結果、当事業の売上高は703億57百万円(前期比10.8%増)、セグメント利益(営業利益)は131億96百万円(前期比23.8%増)となりました。
<ファーマパッケージング事業>ファーマパッケージング事業におきましては、ワンストップソリューションによるガラス部材とその他部材の組み合わせによる高機能、高付加価値商品の販売活動を行いました。製造においては、バイオ製剤市場の拡大によりさらなる品質への要求が厳格化するなか、信頼性の向上と製造コストの低減を実現するため、引き続き生産設備の見直し、カメラ検査機の導入による自動化・省人化を図るとともに、安定供給に努めてまいりました。
海外販売においては、世界的にガラス生地管の需要が高まり、フランス・アメリカ・インドでガラス生地管の売上が増加いたしました。医薬用容器の販売については、ドイツ工場製の滅菌済みシリンジの販売が大きく牽引いたしました。引き続き高成長が見込まれる滅菌済みシリンジ市場に対し、ワクチン製剤、バイオ製剤等の高品質セグメントへ参入するため生産能力の増強を行い、付加価値の向上とコストダウンを図ってまいります。また中国では、グローバル基準の医薬用容器が大手ワクチンメーカーに採用となり、納入を開始しました。
国内販売においては、びわこ工場で商用生産を開始したゴム栓の販売、医療機器関連は投与キット、シリンジ等が好調に推移しました。また一部顧客事情により納入遅延の影響を受けておりましたバイアルも回復してまいりました。びわこ工場においては、引き続き品質向上、徹底した効率化、合理化を推進し、ユーザーニーズに応えてまいります。
この結果、当事業の売上高は362億17百万円(前期比1.9%増)、セグメント利益(営業利益)は6億75百万円(前期比13.2%減)となりました。
<その他事業>その他事業におきましては、不動産賃貸による売上高が1億74百万円(前期比461.3%増)、セグメント利益(営業利益)は1億76百万円(前期比20.7%増)となりました。
また、財政状態におきましては、当連結会計年度末の資産合計は8,318億65百万円(前期比1.6%減)、負債合計は6,706億28百万円(前期比0.5%減)、純資産合計は1,612億37百万円(前期比6.2%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当社グループは医療関連、医薬関連、ファーマパッケージングの各事業の積極的な営業活動による現金及び現金同等物の収入と市場からの資金調達等により得た収入で、将来の当社グループの発展へ重点を置いた積極的な手元資金の運用に努めてまいりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローが372億46百万円の収入超過(前期比10.0%減)、投資活動によるキャッシュ・フローが582億72百万円の支出超過(前期は647億12百万円の支出超過)、財務活動によるキャッシュ・フローが45億66百万円の支出超過(前期は126億46百万円の収入超過)となり、現金及び現金同等物の期末残高は901億54百万円(前期比25.1%減)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローにおける収入の主な科目は、減価償却費386億82百万円、投資有価証券評価損298億92百万円であり、支出の主な科目は、たな卸資産の増加額が152億41百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローにおける支出の主な科目は、固定資産の取得による支出が579億43百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローにおける収入の主な科目は、長期借入れによる収入が618億90百万円であり、支出の主な科目は長期借入金の返済による支出が960億52百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 対前期増減率(%) |
| 医療関連 | 163,625 | 6.7 |
| 医薬関連 | 127,281 | 4.2 |
| ファーマパッケージング | 28,578 | 7.5 |
| 合計 | 319,485 | 5.7 |
(注) 1 金額は、製造原価によって算出しております。
2 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(b) 受注実績
当社グループは、見込生産形態を採っておりますので、該当事項はありません。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 対前期増減率(%) |
| 医療関連 | 335,767 | 2.6 |
| 医薬関連 | 70,357 | 10.8 |
| ファーマパッケージング | 36,217 | 1.9 |
| その他 | 174 | 461.3 |
| 合計 | 442,516 | 3.8 |
(注) 1 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
売上高は前連結会計年度に比べ161億16百万円増加し、4,425億16百万円(前期比3.8%増)となりました。これは主に、国内販売が前期比2.6%、海外販売が5.7%とそれぞれ増加したことによるものです。この結果、各セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、医療関連事業が75.9%、医薬関連事業が15.9%、ファーマパッケージング事業が8.2%、その他が0.0%となりました。
(営業利益)
営業利益は前連結会計年度に比べ25億93百万円増加し、264億20百万円(前期比10.9%増)となりました。これは主に、売上高の増加に加え、ROEを基準とする業績連動賞与の支給額の影響によるものであります。
(経常利益)
営業外収益は前連結会計年度に比べ2億46百万円減少し、51億23百万円(前期比4.6%減)、営業外費用は前連結会計年度に比べ13億60百万円増加し、81億26百万円(前期比20.1%増)となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ9億86百万円増加し、234億17百万円(前期比4.4%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
親会社株主に帰属する当期純損失は、法人税等が79億23百万円減少しましたが、投資有証評価損298億92百万円および減損損失56億55百万円の計上したため、122億81百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益121億36百万円)となりました。
なお、セグメントごとの経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は8,318億65百万円で、前連結会計年度末に比べ139億55百万円の減少となりました。このうち流動資産は99億23百万円の減少、固定資産は40億32百万円の減少となりました。流動資産の減少の主な要因は、現金及び預金が335億12百万円減少したことによるものであり、固定資産の減少の主な要因は、投資有価証券が220億72百万円減少したことによるものであります。
(負債の部)
負債合計は6,706億28百万円で、前連結会計年度末に比べ33億62百万円の減少となりました。このうち流動負債は151億26百万円の増加、固定負債は184億88百万円の減少となりました。流動負債の増加の主な要因は、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債が250億円増加したことによるものであり、固定負債の減少の主な要因は、転換社債型新株予約権付社債が250億円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
純資産合計は1,612億37百万円で、前連結会計年度末に比べ105億93百万円の減少となりました。このうち株主資本は159億46百万円の減少、その他の包括利益累計額は32億42百万円の増加となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。なお、当社グループの設備投資額は,令和2年3月期の実績は578億円、令和3年3月期は787億円を予定しております。また、株主還元については、連結純利益75%と単体純利益25%の合計額を配当の基礎となる利益額とし、令和3年3月期はその37%を配当原資とする予定です。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結することで、資金の流動性を確保しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウィルス感染症に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 (追加情報)」に記載しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、キャッシュ・フローが減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(のれんの減損処理)
当社グループは、のれんに関して効果の発現する期間を見積り、その期間で定額法により償却しておりますが、その資産性の評価について検討した結果、当初想定したキャッシュ・フローが見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。
(退職給付費用)
退職給付費用および債務の計算は、その計算の際に使われた仮定により異なります。これらの仮定には、割引率、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率などの要因が含まれております。これらの仮定と実際の結果との差額は発生した連結会計年度に債務認識しております。当社は使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により、当社グループの退職給付費用および債務に影響を与える可能性があります。