有価証券報告書-第97期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/22 16:14
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【項目】
133項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 経営成績の分析
① 概要
平成27年度の連結業績に関しましては、百貨店事業、スーパーマーケット事業、イズミヤ事業といった主力事業が好調に推移したことで、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに過去最高となりました。
全体の概況としては、百貨店事業において、都市部の店舗が、外商顧客を中心とした国内富裕層に加えて、インバウンドの消費を取り込んだことにより、好調に推移いたしました。スーパーマーケット事業やイズミヤ事業においては、新規出店や既存店の改装による売上規模の拡大に加えて、スケールメリットを活かし、製造や調達、物流などの共通化によりコスト削減を行うなど、収益力の強化を図りました。それらの結果、当社グループの連結売上高は、915,690百万円、前期比108.4%、営業利益は、23,825百万円、前期比111.5%、経常利益は、23,060百万円、前期比108.7%となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、投資有価証券売却益を計上するなど9,251百万円の特別利益を計上いたしましたが、店舗等閉鎖損失や固定資産の減損損失など7,937百万円の特別損失を計上した結果、14,053百万円、前期比121.3%となりました。
② 売上高
売上高は、915,690百万円(前期比108.4%)となり、前期に比べ70,870百万円増加しました。
百貨店事業においては、株式会社阪急阪神百貨店では、阪急うめだ本店が、9階の「祝祭広場」を中心に各階イベントスペースでの生活情報発信の強化や、WEB・SNSを活用した広域へのアプローチにより商圏拡大を推し進めています。グランドオープンから4年目を迎え、さらなる競争力強化のために、昨年9月には阪急メンズ大阪、11月にはハンドバッグ売場、3月には3階・4階の婦人服・婦人靴売場の大規模リニューアルを行い、いずれも順調な滑り出しとなりました。その結果、阪急メンズ大阪を含めた阪急うめだ本店の売上高は218,358百万円、前期比で110.4%となりました。
阪神梅田本店では、昨年2月に建て替え工事が本格的にスタートし、売場面積が約4割縮小しましたが、全館統一での特色あるプロモーションの強化や、顧客施策を強化した結果、売上高は58,919百万円、前期比82.3%と、売場面積減少の影響を最小限に止めました。
一方、支店においては、都市型店舗である博多阪急と阪急メンズ東京が前期に引き続き順調に売上高を伸ばしました。また、郊外型店舗では、昨年3月に千里阪急と川西阪急が、店舗毎のマーケットに合わせたリニューアルを行った効果もあり、堅調に推移しています。
以上の結果、セグメント売上高は431,178百万円(前期比102.4%)となりました。
スーパーマーケット事業においては、食品スーパーの「阪急オアシス」を運営する株式会社阪食では、「みんなで創るあなたの市場」をスローガンに掲げ、当連結会計年度も11月に箕面船場店(大阪府)、12月に甲陽園店(兵庫県)など計5店舗を新規出店し、既存店舗を9店舗改装いたしました。これにより、「専門性」や「ライブ感」「情報発信性」を充実させた、成長戦略の柱と位置づける「高質食品専門館」(平成28年3月末現在で全81店舗中58店舗)を拡大展開することで営業力強化を図り、売上高を伸ばしました。
また、食品製造子会社では、100円パン事業を展開する株式会社阪急ベーカリーが高槻市に新工場を拡大移設し、惣菜事業を展開する株式会社阪急デリカが第2工場を増設するなど、今後のグループ食品事業の、「製造」「卸売」「小売」の垂直統合を強め、さらなる事業規模の拡大を見据えたインフラ基盤の整備を行いました。
以上の結果、セグメント売上高は118,326百万円(前期比108.9%)となりました。
イズミヤ事業においては、イズミヤ株式会社では、食品事業をコアとした個店強化と利益の最大化を追求し、各施策に取り組んでまいりました。株式会社阪食との共同調達や、惣菜製造工場の共用による製造コスト削減を進めたほか、5月に法円坂店(大阪府)、10月には千本中立売店(京都府)、11月には西日本最大級の大型商業施設「ららぽーとEXPOCITY」内に、ららぽーとEXPOCITY店(大阪府)を出店いたしました。
一方で、営業赤字が続いていた小山店(栃木県)を8月に、西岸和田店(大阪府)を12月に閉店いたしました。
既存店舗については、6月に新大宮店(奈良県)の全面改装を行い、新たな食品プロトタイプ店舗を構築いたしました。さらに、店舗の運営体制を本部主導体制から店舗主導体制に移行し、地域特性や顧客ニーズに対応した販売・販促施策を行うことで顧客満足度を高め、集客力の高い店舗体制の確立を目指しております。
以上の結果、セグメント売上高は318,575百万円(前期比117.7%)となりました。なお、イズミヤ事業の当連結会計年度業績の比較となる前連結会計年度業績は、経営統合後の平成26年6月1日から平成27年3月31日の業績となります。
その他事業においては、株式会社家族亭では、顧客特性に合わせたメニューを開発するなど、営業力の強化を図り、増収増益となりました。また、株式会社大井開発では、「阪急大井町ガーデンズ」がホテル部門、商業施設部門ともに好調に推移し、特にホテル部門において、アワーズイン阪急シングル館及びツイン館の2館を合わせた客室稼働率が96.6%と、年間を通じて高い水準で推移いたしました。一方、パン専門店を展開する株式会社阪急B&Cプランニングでは、当連結会計年度は10店舗を新たに出店し、平成28年3月末現在において42店舗となり、着実に売上を伸ばしました。
以上の結果、セグメント売上高は47,609百万円、前期比107.2%となりました。
③ 売上総利益
売上総利益は、266,363百万円(前期比110.3%)と前連結会計年度に比べ24,946百万円増加いたしました。イズミヤ株式会社や株式会社阪食の新規出店・店舗改装による売上増加などが主な要因です。
④ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、242,538百万円(前期比110.2%)と前連結会計年度に比べ22,479百万円増加いたしました。イズミヤ株式会社や株式会社阪食の人件費や運搬費の増加などが主な要因です。
⑤ 営業利益
営業利益は、23,825百万円(前期比111.5%)と前連結会計年度に比べ2,466百万円増加しました。スーパーマーケット事業やイズミヤ事業における、新規出店や既存店の改装による売上規模の拡大に加えて、製造・調達・物流などの共通化によるコストの削減等が主な要因です。
⑥ 営業外損益
営業外損益は、764百万円の費用となり、前期の139百万円の費用から625百万円費用が増加いたしました。
⑦ 経常利益
経常利益は、23,060百万円(前期比108.7%)となり、前連結会計年度に比べ1,841百万円増加いたしました。
⑧ 特別損益
特別損益は、1,313百万円の利益となりました(前連結会計年度は3,636百万円の損失)。これは、特別利益について、前連結会計年度は負ののれん発生益など合計10,846百万円を計上したことに対して、当連結会計年度は投資有価証券売却益など合計9,251百万円を計上したこと、また、特別損失について、前連結会計年度は店舗等閉鎖損失など合計14,483百万円を計上したことに対して、当連結会計年度は店舗等閉鎖損失や固定資産の減損損失など合計7,937百万円を計上したことによるものです。
⑨ 税金等調整前当期純利益
上記の結果、税金等調整前当期純利益は、24,374百万円(前期比138.6%)と、前連結会計年度に比べ6,792百万円増加いたました。
⑩ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、14,053百万円(前期比121.3%)と、前連結会計年度に比べ2,466百万円増加いたしました。自己資本当期純利益率は5.6%(前連結会計年度実績は5.4%)、1株当たり当期純利益は113円93銭(前連結会計年度実績98円06銭)、潜在株式調整後1株当たり当期純利益は113円39銭(前連結会計年度実績97円64銭)となりました。
(2) 財政状態の分析
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の資産合計は、597,041百万円(前期末比34,835百万円減)となりました。これは、当社が保有する株式の一部売却などにより投資有価証券が29,573百万円減少したことなどによるものです。
負債合計は、344,454百万円(前期末比35,764百万円減)となりました。これは、長期借入金・社債(1年内返済予定の長期借入金・社債を含む)、コマーシャル・ペーパーなどを合計で24,163百万円返済したほか、保有株式の一部売却などにより繰延税金負債が6,053百万円、店舗閉鎖等に伴い店舗等閉鎖損失引当金が4,912百万円、設備投資に係る支払等により未払金が3,467百万円、それぞれ減少したことなどによるものです。
純資産合計は、252,587百万円(前期末比928百万円増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより利益剰余金が10,104百万円増加した一方、保有株式の一部売却などによりその他有価証券評価差額金が9,449百万円減少したことなどによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の「現金及び現金同等物の期末残高」は、48,492百万円(前期末比4,157百万円増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、24,539百万円の収入(前期比929百万円の収入減)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入が24,373百万円あった一方、有形固定資産・無形固定資産の取得による支出が合わせて21,053百万円あったことなどにより、5,852百万円の収入(前連結会計年度は49,162百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の返済が25,240百万円あったことなどにより、26,207百万円の支出(前連結会計年度は24,161百万円の収入)となりました。
当社グループのインタレスト・カバレッジ・レシオ(営業活動によるキャッシュ・フロー/利息の支払額)は19.8倍(前連結会計年度は20.1倍)、キャッシュ・フロー対有利子負債比率(有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー)は5.6倍(前連結会計年度は6.2倍)となりました。これは主に、有利子負債の返済により、有利子負債残高と支払利息が減少したためです。