有価証券報告書-第20期(2023/04/01-2024/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は、金融商品取引業、暗号資産交換業、有価証券の投資事業を主要な事業として、「日本」・「米国」・「クリプトアセット事業」・「アジア・パシフィック」・「投資事業」の5つの報告セグメントとしています。
当社は2023年10月4日付で、当社、当社の子会社であるマネックス証券株式会社及び株式会社NTTドコモの三社間で資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」といいます。)を締結しました。本業務資本提携契約に基づき、2024年1月4日付で当社はマネックス証券株式会社の単独株式移転により設立された中間持株会社の株式を株式会社NTTドコモに一部譲渡し、中間持株会社は株式会社NTTドコモを割当先とする第三者割当増資を完了しました。これにより、中間持株会社(ドコモマネックスホールディングス株式会社)に対する議決権所有割合は、当社が約51%、株式会社NTTドコモが約49%となりますが、実質支配力基準に基づきマネックス証券株式会社と中間持株会社は株式会社NTTドコモの連結子会社となり、当社においては持分法適用会社となりました。
これに伴い、当連結会計年度において、マネックス証券株式会社の事業に関わる損益を非継続事業に分類するとともに、前連結会計年度についても同様の形で再表示しています。
なお、報告セグメントの詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6セグメント情報」をご参照下さい。
(連結) (単位:百万円)
・継続事業
税引前利益は25,237百万円(前連結会計年度は966百万円)となり、継続事業からの当期利益は17,162百万円(前連結会計年度は751百万円)となりました。
・営業収益
米国セグメントでの委託手数料の増加及び日本セグメントでのその他の受入手数料の増加などにより、受入手数料は27,159百万円(前連結会計年度比13.0%増)となりました。また、クリプトアセット事業セグメントで暗号資産の販売所取引の増加したことなどにより、トレーディング損益は8,380百万円(同50.5%増)となり、米国セグメントで受取利息が増加したことなどにより、金融収益は26,182百万円(同28.8%増)となりました。
・収益合計
その他の収益が16,860百万円となっていますが、当連結会計年度にはドコモマネックスホールディングス株式会社の株式についての公正価値評価益が含まれております。持分法による投資利益は、主に日本セグメントにかかるものです。
・費用合計
販売費及び一般管理費は、クリプトアセット事業セグメントで減少した一方、日本セグメント及び米国セグメントで増加した結果、50,303百万円(同6.6%増)となり、費用合計は59,736百万円(同5.5%増)となりました。
・非継続事業
非継続事業からの当期利益は、当社における連結除外以前のマネックス証券株式会社にかかる利益となります。従って、前連結会計年度は年度通期12か月分の利益が含まれている一方、当連結会計年度は第3四半期までの9か月分の利益のみが含まれます。また、当連結会計年度にはドコモマネックスホールディングス株式会社の株式についての売却益が含まれております。
各セグメントの詳細は「セグメント別の状況」でご説明します。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
(日本) (単位:百万円)
日本セグメントは、主にマネックスグループ株式会社とマネックス・アセットマネジメント株式会社で構成されています。なお、従来、マネックス証券株式会社は日本セグメントに含まれていましたが、当連結会計年度からの非継続事業への分類及びこれに伴う前連結会計年度の再表示の結果、日本セグメントにマネックス証券株式会社は含まれていません。
当連結会計年度の日本経済は、通期で製造業は小幅に非製造業は大きく景況感が改善しました。好調な企業業績から最終利益を上方修正する企業が多く、とりわけ非製造業がインバウンド需要の拡大など恩恵を受けました。しかし製造業では当年度末にかけて自動車産業で工場の稼働停止などをうけ景況感は伸び悩みました。物価は、前年度からのコストプッシュのインフレが当年度前半では継続していましたが、当年度後半にかけてピークアウトし日本ではターゲットである2%台に落ち着きました。また、春闘では前年を上回る5%台の賃上げ率が発表されました。それらを経て2024年3月の日銀会合にて17年ぶりにマイナス金利解除とイールドカーブコントロールの撤廃が決定されました。一方でドル円は、通期で円安に推移しました。第3四半期には日米金利差の縮小期待が伺われ、一時140円台に推移するも、当年度末では151円台まで戻しています。株式市場は2024年2月にバブル期の最高値を約34年ぶりに更新し、勢いそのままに翌3月に初の4万円台をつけ、当年度末時点では40,369円となりました。
こうした中、投資信託関連収益の増加及び仲介報酬手数料の増加などにより、受入手数料は2,771百万円(同169.9%増)となりました。また、金融収益は、為替変動の影響を受け2,352百万円(同28.9%減)となり、その他の営業収益は4,506百万円(同11.8%増)となりました。以上の結果、営業収益は9,629百万円(同15.1%増)となりました。
金融費用は2,392百万円(同22.6%減)となり、金融収支は△40百万円(前連結会計年度は217百万円)となりました。
販売費及び一般管理費は、M&Aに伴う専門家報酬の増加、ベースアップ等による人件費の増加、取引活況に伴う支払手数料の増加などの結果、7,505百万円(同48.2%増)となりました。
その他の収益費用(純額)が16,524百万円の利益(同765.5%増)となっていますが、前連結会計年度には円安による為替差益等が含まれており、当連結会計年度にはドコモマネックスホールディングス株式会社の株式についての公正価値評価益が含まれております。
持分法による投資利益は、主に2024年1月からのドコモマネックスホールディングス株式会社にかかるものです。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は16,760百万円(同706.6%増)となりました。
(米国) (単位:百万円)
米国セグメントは、主にTradeStation Securities, Inc.で構成されています。米国セグメントにおいてはアクティブトレーダー層を主要な顧客層としており、市場のボラティリティ(値動きの度合い)の上昇および稼働口座数増加にともなう取引量増加が収益に貢献する傾向にあります。また、顧客の預り金を運用することで金融収益を獲得していることから、金利が上昇すると収益に貢献する傾向にあります。
当連結会計年度の米国経済は、好調な労働市場に支えられた旺盛な個人消費により堅調に推移しました。FRBは、インフレ抑制を目的として2022年3月より金融引き締めを実施してきましたが、インフレ鈍化の傾向を受け、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げを最後に5会合連続で政策金利の据え置きを決定しました。政策金利見通しでは2024年の複数回の利下げが示唆されており、市場では金融引き締め局面が終了したとの見方が広がりました。一方、当連結会計年度後半には、米国消費者物価指数(CPI)や雇用統計など各種経済指標が市場予想を上回る結果が続き、好調な雇用情勢と根強いインフレを背景に早期利下げ観測が後退する展開となりました。こうした中、一時5.0%台まで到達した米長期金利は年末にかけて3.8%程度まで大幅に低下しましたが、早期利下げ観測の後退にしたがって再び上昇基調にあります。株式市場は、ソフトランディングと利下げ期待を背景に堅調に推移しました。特に生成AIの普及に脚光が集まるなど、大手ハイテク株が市場を牽引する相場となりました。前年度末時点で33,274ドルだったNYダウ平均は史上最高値を更新し、当年度末時点では39,807ドルとなりました。
なお、米ドルの対円レート(期中平均)は前連結会計年度比で7.3%円安となったことから、米国セグメントの業績はその影響を受けています。
このような環境の下、米国セグメントにおいては、当連結会計年度のDARTs(Daily Average Revenue Tradesの略称で、1営業日当たりの収益を伴う約定もしくは取引の件数)は208,610件(前連結会計年度比2.5%減)となりましたが、先物の取引量が増加した結果、委託手数料は米ドルベースで2.0%増加しました。また、株式及びオプションの取引量は減少したものの、不稼働口座手数料の改定もあり、その他の受入手数料は米ドルベースで0.1%増加しました。その結果、受入手数料は米ドルベースでは1.2%増加し、円換算後では23,176百万円(同8.6%増)となりました。また、金融収益は、金利上昇により米ドルベースでは33.9%増加し、円換算後では23,978百万円(同43.6%増)となりました。以上のことから、営業収益は米ドルベースで14.3%増加、円換算後で48,182百万円(同22.7%増)となり、過去最高を記録しました。
金融費用は6,241百万円(同44.8%増)となり、金融収支は米ドルベースで33.5%の増加、円換算後では17,737百万円(同43.2%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、支払手数料が増加したものの、アクティブトレーダーにフォーカスする戦略への転換に伴い広告宣伝費が減少した結果、米ドルベースで0.7%減少し、円換算後では35,352百万円(同6.6%増)となりました。
その他の収益費用(純額)は595百万円の損失(前連結会計年度は1,554百万円の損失)となっていますが、前連結会計年度には戦略転換に伴う一時費用1,551百万円が含まれています。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は、5,674百万円(前連結会計年度は227百万円のセグメント損失)となり、過去最高を記録しました。
(クリプトアセット事業) (単位:百万円)
クリプトアセット事業セグメントは、主にコインチェック株式会社で構成されています。
当連結会計年度の暗号資産市場は米国におけるビットコイン現物ETFの承認を受けて大きく上昇しました。2023年6月にブラックロックなどがビットコイン現物ETFを申請してからは、SECによる審査延期によって下落する場面もありましたが、各社で申請内容の改善が繰り返される中で期待買いが継続しました。2024年1月、ついに米国でビットコイン現物ETFが成立し、直後は事実売りが強まりましたが、現物ETFへの資金流入によってビットコインを中心に価格が高騰しました。株式市場においても米国における利下げ開始やソフトランディングへの期待で史上最高値の更新が続き、このようなリスクオンムードの中、ビットコインは1,000万円を上抜けて史上最高値を更新しました。イーサリアムも現物ETFや大型アップグレードへの期待で史上最高値を更新し、一部ではミームコインと呼ばれるアルトコインの投機的な売買も活発になりました。
このような環境の下、コインチェック株式会社においては、当連結会計年度における取引所暗号資産売買代金は2兆9,786億円となり、前連結会計年度比で12.9%増加しました。販売所暗号資産売買代金は2,346億円となり、前連結会計年度比で49.3%増加しました。
こうした中、前連結会計年度にはIEOの収益が含まれているため、受入手数料が729百万円(前連結会計年度比30.9%減)と減少したものの、ビットコイン及びアルトコインの販売所取引が増加したことによりトレーディング損益は8,380百万円(同50.5%増)となりました。一方、NFTの販売収益の減少により売上収益は248百万円(同74.2%減)となりました。以上のことから、営業収益は9,356百万円(同23.4%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、広告宣伝費及び専門家報酬が減少したことにより6,758百万円(同16.5%減)となりました。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は2,838百万円(前連結会計年度は876百万円のセグメント損失)となりました。
(アジア・パシフィック) (単位:百万円)
アジア・パシフィックセグメントは、主に香港拠点のMonex Boom Securities(H.K.) Limited(以下「マネックスBoom証券」)で構成されています。
当連結会計年度の香港経済は、家計所得の上昇や政府支援策が下支えとなった個人消費主導で堅調な成長を示しております。中国本土及び世界各国からの観光客が回復したことによりサービス輸出も力強い回復を見せました。一方で株式市場は緊張が続く米中関係への懸念や中国経済への懸念から軟調に推移しましたが、年明け以降は中国経済指標の反転を受けて底打ちの兆しを示しております。ハンセン指数は前年度末時点の20,400ポイントから2024年1月に一時15,000ポイント割れとなったものの、当年度末時点では16,541ポイントとなりました。
また、香港ドルの対円レート(期中平均)は前連結会計年度比で7.5%円安となったことから、アジア・パシフィックセグメントの業績はその影響を受けています。
このような環境の下、委託手数料が減少したことにより、受入手数料が493百万円(前連結会計年度比21.8%減)となりました。また、銀行の実効金利が上昇したことから金融収益が400百万円(同88.3%増)となりました。その他の営業収益は188百万円(同28.1%減)となり、営業収益は1,080百万円(同2.1%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、人件費及び広告宣伝費が減少したことにより1,057百万円(同12.3%減)となりました。
以上の結果、セグメント損失(税引前損失)は91百万円(前連結会計年度は158百万円のセグメント損失)となりました。
(投資事業) (単位:百万円)
投資事業セグメントは、主にマネックスベンチャーズ株式会社、MV1号投資事業有限責任組合、MV2号投資事業有限責任組合、東京ウェルネスインパクト投資事業有限責任組合で構成されています。
当連結会計年度は、複数の保有銘柄の評価損益や売却損益により、金融収益が287百万円(前連結会計年度比59.2%減)となり、営業収益は287百万円(同59.2%減)となりました。
金融費用は主にMV1号投資事業有限責任組合等の持分損益を計上したことから183百万円(同53.8%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、108百万円(同18.6%増)となりました。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は13百万円(同93.8%減)となりました。
② 財政状態の状況
(連結) (単位:百万円)
当連結会計年度において、マネックス証券株式会社を連結子会社から除外したことに伴い、マネックス証券株式会社の事業に関わる資産及び負債が減少しました。
資産合計は金銭の信託や信用取引資産などが減少した結果、761,642百万円(前連結会計年度比742,467百万円減)となりました。また、負債合計は預り金や受入保証金などが減少した結果、628,519百万円(同774,836百万円減)となりました。
資本合計は配当金の支払などにより減少したものの、当期利益などにより増加した結果、133,123百万円(同32,369百万円増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(連結) (単位:百万円)
当連結会計年度のキャッシュ・フローは営業活動による収入8,055百万円(前連結会計年度は30,977百万円の支出)、投資活動による支出86,353百万円(同21,873百万円の支出)及び財務活動による支出5,106百万円(同34,156百万円の支出)でした。この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物は97,935百万円(前連結会計年度末比77,224百万円減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により取得した資金は、8,055百万円となりました。
有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減により33,260百万円、短期差入保証金の増減により15,224百万円の資金を支出する一方、受入保証金及び預り金の増減により71,578百万円の資金を取得しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、86,353百万円となりました。
定期預金の払戻による収入により9,909百万円の資金を取得する一方、子会社売却による支出77,339百万円、定期預金の預入による支出により11,960百万円、無形資産の取得により5,836百万円の資金を使用しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により使用した資金は、5,106百万円となりました。
長期借入債務の調達による収入により28,160百万円、社債発行による収入により7,788百万円の資金を取得する一方、長期借入債務の返済による支出20,361百万円、社債の償還による支出により8,500百万円、短期借入債務の収支により6,988百万円の資金を使用しました。
④ 生産、受注及び販売の実績
金融商品取引業を営む会社を中心とする企業集団であるため、「生産、受注及び販売の実績」は該当する情報がないので記載していません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、2024年1月より株式会社NTTドコモ及びマネックス証券株式会社との資本業務提携を開始し、従来の枠組みでは得難い大きな成長機会を掴むことができました。この提携により株式売却益188億円および持分法の適用に伴う公正価値評価益158億円(共に税金及び税効果考慮前)も計上しています。また、株式会社イオン銀行からマネックス証券株式会社への投資信託保有口座の移管も2024年1月に完了し、株式会社イオン銀行との金融商品仲介を通じた包括提携も始まりました。このようなパートナー企業との提携を通じて、顧客基盤と預かり資産を積み上げ、収益構造の強化に成功しました。
米国セグメントでは、アクティブトレーダー層にフォーカスして顧客獲得を目指す戦略のもと、顧客の取引が堅調に推移する中、顧客預り金からの金利収益が大幅に増加し、営業収益及び当期利益がともに過去最高となりました。
クリプトアセット事業セグメントでは、2023年末から暗号資産市場が回復し、取引量が前年を上回ったことで増収となりました。こうした中、固定費を削減し、市場環境に合わせて広告宣伝費を柔軟にコントロールした結果、早期黒字化を達成しました。
このように、市場環境の回復と各グループ会社の事業戦略推進が奏功し、主要事業群が収益基盤を拡大した結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は313億円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
当社グループの事業活動における主な資金使途としては、有価証券担保貸付金に関するものの他、M&A及び事業投資等があります。これらの資金需要に対して、市場環境や長短のバランスを考慮し、社債による直接金融、シンジケートローン及び銀行借入等による間接金融により資金を調達しております。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
(資本の財源)
2024年3月末の財政状態計算書
(注)固定的な資産は、有形固定資産、無形資産、持分法投資、有価証券投資(公正価値ヒエラルキーがレベル3のものに限る)です。
当連結会計年度末の資本合計は1,331億円であり、固定的な資産957億円を上回っています。差額については以下の原資とする予定です。
1.証券子会社における自己資本の維持に関する規制への対応
2.将来の事業投資に備える内部留保
3.株主還元(配当金及び自己株式取得)
(重要な資本的支出の予定)
重要な資本的支出の予定は、証券子会社における設備投資であり、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
(資金の流動性)
当社グループでは、経営に必要な資金を大手金融機関をはじめとする複数の金融機関からの借入、インターバンク市場からの調達、また資本市場における社債の発行により調達し、一時的な余資は流動性の高い短期金融資産で運用しています。当社グループでは資金繰り状況及び見通しの把握を随時行っており、かつ、複数の金融機関との間で当座借越契約、コミットメントライン契約等を締結していることで、十分な流動性を確保しています。なお、債務の期日別の残高については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.金融リスク管理」に記載のとおりです。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループは、グローバルなオンライン金融機関グループとして事業展開を推進する中で、財務情報の国際的な比較可能性を向上させるため、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって、のれんの減損テストにおける使用価値の算定等重要な判断や見積りを行っていますが、これらの見積りは実際の結果と異なる場合があります。当社が採用した重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」、同「22.無形資産」に記載のとおりです。
④ その他
当社の連結財務諸表において、子会社であるコインチェック株式会社の暗号資産販売所の収益は、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」だけでなく、IFRS第9号「金融資産の分類と測定」も適用されると判断し、暗号資産の販売価額と購入価額の純額を収益として計上(以下「純額表示」という。)しています。しかし、2024 年 5月8日「当社連結子会社 Coincheck Group B.V.の Thunder Bridge Capital Partners IV, Inc.との De-SPAC による ナスダック上場の登録申請書類公表等に関するお知らせ」等でお知らせした通り、米国におけるナスダック上場の申請プロセスにおいて、登録申請書類の一部であるコインチェック株式会社の財務諸表においては同取引には IFRS第15号のみが適用され、結果として両者を総額で表示(以下「総額表示」という。)する必要があるとの結論に達しました。一方、当社の連結財務諸表においては、報告主体が異なることに加え、以下の理由により引き続き純額表示を継続する方針です。
当社は、純額表示はIFRSに準拠していると考えており、また、これまで純額表示で連結財務諸表を提出してきたことを踏まえると、総額表示に変更することは、却って日本の資本市場参加者を混乱させる恐れがあると考えています。従って、日本の資本市場参加者の意思決定に資する情報の提供及び有価証券報告書の提出という目的においては、継続して純額表示を行うことにより、より有用な情報を提供することができると考えています。
現行の会計方針は日本の会計基準(実務対応報告第38号「資金決済法における暗号資産の会計処理等に関する当面の取扱い」)と整合的であり、日本において連結子会社で暗号資産交換業を営んでいる他のIFRS適用企業においても純額表示が採用されています。このため、当社は、日本の資本市場においては、純額表示を継続することが同業他社との財務情報の比較可能性を確保することにつながり、日本の資本市場における財務諸表利用者にとってより有用であると考えております。
なお、仮に当社が、2023年3月期における連結財務諸表においてコインチェック株式会社の暗号資産販売所の収益と費用を総額で表示した場合、関連する収益は176,924百万円、費用は177,643百万円となり、総額表示によった場合、純額表示と比べて連結ベースで収益が169,340百万円、費用が169,340百万円多く計上されることになります。2024年3月期における連結財務諸表においてコインチェック株式会社の暗号資産販売所の収益と費用を総額で表示した場合の関連する収益、費用の金額及び純額表示と比べたときの連結ベースでの収益と費用の増加額は算定中です。但し、収益と費用を純額表示と総額表示のどちらによって表示した場合であっても、2023年3月期および2024年3月期の連結ベースの当期純利益および期末時点の純資産の金額に影響はありません。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は、金融商品取引業、暗号資産交換業、有価証券の投資事業を主要な事業として、「日本」・「米国」・「クリプトアセット事業」・「アジア・パシフィック」・「投資事業」の5つの報告セグメントとしています。
当社は2023年10月4日付で、当社、当社の子会社であるマネックス証券株式会社及び株式会社NTTドコモの三社間で資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」といいます。)を締結しました。本業務資本提携契約に基づき、2024年1月4日付で当社はマネックス証券株式会社の単独株式移転により設立された中間持株会社の株式を株式会社NTTドコモに一部譲渡し、中間持株会社は株式会社NTTドコモを割当先とする第三者割当増資を完了しました。これにより、中間持株会社(ドコモマネックスホールディングス株式会社)に対する議決権所有割合は、当社が約51%、株式会社NTTドコモが約49%となりますが、実質支配力基準に基づきマネックス証券株式会社と中間持株会社は株式会社NTTドコモの連結子会社となり、当社においては持分法適用会社となりました。
これに伴い、当連結会計年度において、マネックス証券株式会社の事業に関わる損益を非継続事業に分類するとともに、前連結会計年度についても同様の形で再表示しています。
なお、報告セグメントの詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6セグメント情報」をご参照下さい。
(連結) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2023年3月期) | 当連結会計年度 (2024年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 継続事業 | ||||
| 受入手数料 | 24,033 | 27,159 | 3,126 | 13.0%増 |
| トレーディング損益 | 5,566 | 8,380 | 2,813 | 50.5%増 |
| 金融収益 | 20,320 | 26,182 | 5,862 | 28.8%増 |
| 売上収益 | 960 | 253 | △708 | 73.7%減 |
| その他の営業収益 | 4,961 | 4,823 | △138 | 2.8%減 |
| 営業収益 | 55,841 | 66,796 | 10,956 | 19.6%増 |
| その他の収益 | 1,390 | 16,860 | 15,470 | - |
| 持分法による投資利益 | - | 473 | 473 | - |
| 収益合計 | 57,567 | 84,973 | 27,406 | 47.6%増 |
| 金融費用 | 7,184 | 8,056 | 871 | 12.1%増 |
| 売上原価 | 210 | 127 | △83 | 39.6%減 |
| 販売費及び一般管理費 | 47,201 | 50,303 | 3,102 | 6.6%増 |
| 費用合計 | 56,601 | 59,736 | 3,135 | 5.5%増 |
| 税引前利益 | 966 | 25,237 | 24,271 | - |
| 法人所得税費用 | 215 | 8,074 | 7,859 | - |
| 継続事業からの当期利益(A) | 751 | 17,162 | 16,412 | - |
| 非継続事業 | ||||
| 非継続事業からの当期利益(B) | 2,573 | 14,312 | 11,739 | 456.2%増 |
| 当期利益(A)+(B) | 3,324 | 31,475 | 28,151 | 846.8%増 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 3,392 | 31,293 | 27,901 | 822.5%増 |
・継続事業
税引前利益は25,237百万円(前連結会計年度は966百万円)となり、継続事業からの当期利益は17,162百万円(前連結会計年度は751百万円)となりました。
・営業収益
米国セグメントでの委託手数料の増加及び日本セグメントでのその他の受入手数料の増加などにより、受入手数料は27,159百万円(前連結会計年度比13.0%増)となりました。また、クリプトアセット事業セグメントで暗号資産の販売所取引の増加したことなどにより、トレーディング損益は8,380百万円(同50.5%増)となり、米国セグメントで受取利息が増加したことなどにより、金融収益は26,182百万円(同28.8%増)となりました。
・収益合計
その他の収益が16,860百万円となっていますが、当連結会計年度にはドコモマネックスホールディングス株式会社の株式についての公正価値評価益が含まれております。持分法による投資利益は、主に日本セグメントにかかるものです。
・費用合計
販売費及び一般管理費は、クリプトアセット事業セグメントで減少した一方、日本セグメント及び米国セグメントで増加した結果、50,303百万円(同6.6%増)となり、費用合計は59,736百万円(同5.5%増)となりました。
・非継続事業
非継続事業からの当期利益は、当社における連結除外以前のマネックス証券株式会社にかかる利益となります。従って、前連結会計年度は年度通期12か月分の利益が含まれている一方、当連結会計年度は第3四半期までの9か月分の利益のみが含まれます。また、当連結会計年度にはドコモマネックスホールディングス株式会社の株式についての売却益が含まれております。
各セグメントの詳細は「セグメント別の状況」でご説明します。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
(日本) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2023年3月期) | 当連結会計年度 (2024年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 1,027 | 2,771 | 1,744 | 169.9%増 |
| 金融収益 | 3,310 | 2,352 | △957 | 28.9%減 |
| その他の営業収益 | 4,032 | 4,506 | 474 | 11.8%増 |
| 営業収益 | 8,368 | 9,629 | 1,261 | 15.1%増 |
| 金融費用 | 3,092 | 2,392 | △700 | 22.6%減 |
| 販売費及び一般管理費 | 5,065 | 7,505 | 2,440 | 48.2%増 |
| その他の収益費用(純額) | 1,909 | 16,524 | 14,615 | 765.5%増 |
| 持分法による投資利益又は損失(△) | △42 | 505 | 547 | - |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | 2,078 | 16,760 | 14,683 | 706.6%増 |
日本セグメントは、主にマネックスグループ株式会社とマネックス・アセットマネジメント株式会社で構成されています。なお、従来、マネックス証券株式会社は日本セグメントに含まれていましたが、当連結会計年度からの非継続事業への分類及びこれに伴う前連結会計年度の再表示の結果、日本セグメントにマネックス証券株式会社は含まれていません。
当連結会計年度の日本経済は、通期で製造業は小幅に非製造業は大きく景況感が改善しました。好調な企業業績から最終利益を上方修正する企業が多く、とりわけ非製造業がインバウンド需要の拡大など恩恵を受けました。しかし製造業では当年度末にかけて自動車産業で工場の稼働停止などをうけ景況感は伸び悩みました。物価は、前年度からのコストプッシュのインフレが当年度前半では継続していましたが、当年度後半にかけてピークアウトし日本ではターゲットである2%台に落ち着きました。また、春闘では前年を上回る5%台の賃上げ率が発表されました。それらを経て2024年3月の日銀会合にて17年ぶりにマイナス金利解除とイールドカーブコントロールの撤廃が決定されました。一方でドル円は、通期で円安に推移しました。第3四半期には日米金利差の縮小期待が伺われ、一時140円台に推移するも、当年度末では151円台まで戻しています。株式市場は2024年2月にバブル期の最高値を約34年ぶりに更新し、勢いそのままに翌3月に初の4万円台をつけ、当年度末時点では40,369円となりました。
こうした中、投資信託関連収益の増加及び仲介報酬手数料の増加などにより、受入手数料は2,771百万円(同169.9%増)となりました。また、金融収益は、為替変動の影響を受け2,352百万円(同28.9%減)となり、その他の営業収益は4,506百万円(同11.8%増)となりました。以上の結果、営業収益は9,629百万円(同15.1%増)となりました。
金融費用は2,392百万円(同22.6%減)となり、金融収支は△40百万円(前連結会計年度は217百万円)となりました。
販売費及び一般管理費は、M&Aに伴う専門家報酬の増加、ベースアップ等による人件費の増加、取引活況に伴う支払手数料の増加などの結果、7,505百万円(同48.2%増)となりました。
その他の収益費用(純額)が16,524百万円の利益(同765.5%増)となっていますが、前連結会計年度には円安による為替差益等が含まれており、当連結会計年度にはドコモマネックスホールディングス株式会社の株式についての公正価値評価益が含まれております。
持分法による投資利益は、主に2024年1月からのドコモマネックスホールディングス株式会社にかかるものです。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は16,760百万円(同706.6%増)となりました。
(米国) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2023年3月期) | 当連結会計年度 (2024年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 21,335 | 23,176 | 1,842 | 8.6%増 |
| 金融収益 | 16,693 | 23,978 | 7,285 | 43.6%増 |
| 売上収益 | 534 | 368 | △166 | 31.0%減 |
| その他の営業収益 | 715 | 660 | △56 | 7.8%減 |
| 営業収益 | 39,276 | 48,182 | 8,905 | 22.7%増 |
| 金融費用 | 4,309 | 6,241 | 1,931 | 44.8%増 |
| 売上原価 | 464 | 321 | △143 | 30.9%減 |
| 販売費及び一般管理費 | 33,176 | 35,352 | 2,176 | 6.6%増 |
| その他の収益費用(純額) | △1,554 | △595 | 959 | - |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | △227 | 5,674 | 5,901 | - |
米国セグメントは、主にTradeStation Securities, Inc.で構成されています。米国セグメントにおいてはアクティブトレーダー層を主要な顧客層としており、市場のボラティリティ(値動きの度合い)の上昇および稼働口座数増加にともなう取引量増加が収益に貢献する傾向にあります。また、顧客の預り金を運用することで金融収益を獲得していることから、金利が上昇すると収益に貢献する傾向にあります。
当連結会計年度の米国経済は、好調な労働市場に支えられた旺盛な個人消費により堅調に推移しました。FRBは、インフレ抑制を目的として2022年3月より金融引き締めを実施してきましたが、インフレ鈍化の傾向を受け、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げを最後に5会合連続で政策金利の据え置きを決定しました。政策金利見通しでは2024年の複数回の利下げが示唆されており、市場では金融引き締め局面が終了したとの見方が広がりました。一方、当連結会計年度後半には、米国消費者物価指数(CPI)や雇用統計など各種経済指標が市場予想を上回る結果が続き、好調な雇用情勢と根強いインフレを背景に早期利下げ観測が後退する展開となりました。こうした中、一時5.0%台まで到達した米長期金利は年末にかけて3.8%程度まで大幅に低下しましたが、早期利下げ観測の後退にしたがって再び上昇基調にあります。株式市場は、ソフトランディングと利下げ期待を背景に堅調に推移しました。特に生成AIの普及に脚光が集まるなど、大手ハイテク株が市場を牽引する相場となりました。前年度末時点で33,274ドルだったNYダウ平均は史上最高値を更新し、当年度末時点では39,807ドルとなりました。
なお、米ドルの対円レート(期中平均)は前連結会計年度比で7.3%円安となったことから、米国セグメントの業績はその影響を受けています。
このような環境の下、米国セグメントにおいては、当連結会計年度のDARTs(Daily Average Revenue Tradesの略称で、1営業日当たりの収益を伴う約定もしくは取引の件数)は208,610件(前連結会計年度比2.5%減)となりましたが、先物の取引量が増加した結果、委託手数料は米ドルベースで2.0%増加しました。また、株式及びオプションの取引量は減少したものの、不稼働口座手数料の改定もあり、その他の受入手数料は米ドルベースで0.1%増加しました。その結果、受入手数料は米ドルベースでは1.2%増加し、円換算後では23,176百万円(同8.6%増)となりました。また、金融収益は、金利上昇により米ドルベースでは33.9%増加し、円換算後では23,978百万円(同43.6%増)となりました。以上のことから、営業収益は米ドルベースで14.3%増加、円換算後で48,182百万円(同22.7%増)となり、過去最高を記録しました。
金融費用は6,241百万円(同44.8%増)となり、金融収支は米ドルベースで33.5%の増加、円換算後では17,737百万円(同43.2%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、支払手数料が増加したものの、アクティブトレーダーにフォーカスする戦略への転換に伴い広告宣伝費が減少した結果、米ドルベースで0.7%減少し、円換算後では35,352百万円(同6.6%増)となりました。
その他の収益費用(純額)は595百万円の損失(前連結会計年度は1,554百万円の損失)となっていますが、前連結会計年度には戦略転換に伴う一時費用1,551百万円が含まれています。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は、5,674百万円(前連結会計年度は227百万円のセグメント損失)となり、過去最高を記録しました。
(クリプトアセット事業) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2023年3月期) | 当連結会計年度 (2024年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 1,055 | 729 | △326 | 30.9%減 |
| トレーディング損益 | 5,567 | 8,380 | 2,813 | 50.5%増 |
| 売上収益 | 962 | 248 | △714 | 74.2%減 |
| 営業収益 | 7,583 | 9,356 | 1,773 | 23.4%増 |
| 金融費用 | 3 | 4 | 1 | 31.0%増 |
| 売上原価 | 210 | 121 | △89 | 42.5%減 |
| 販売費及び一般管理費 | 8,090 | 6,758 | △1,332 | 16.5%減 |
| その他の収益費用(純額) | △155 | 365 | 520 | - |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | △876 | 2,838 | 3,714 | - |
クリプトアセット事業セグメントは、主にコインチェック株式会社で構成されています。
当連結会計年度の暗号資産市場は米国におけるビットコイン現物ETFの承認を受けて大きく上昇しました。2023年6月にブラックロックなどがビットコイン現物ETFを申請してからは、SECによる審査延期によって下落する場面もありましたが、各社で申請内容の改善が繰り返される中で期待買いが継続しました。2024年1月、ついに米国でビットコイン現物ETFが成立し、直後は事実売りが強まりましたが、現物ETFへの資金流入によってビットコインを中心に価格が高騰しました。株式市場においても米国における利下げ開始やソフトランディングへの期待で史上最高値の更新が続き、このようなリスクオンムードの中、ビットコインは1,000万円を上抜けて史上最高値を更新しました。イーサリアムも現物ETFや大型アップグレードへの期待で史上最高値を更新し、一部ではミームコインと呼ばれるアルトコインの投機的な売買も活発になりました。
このような環境の下、コインチェック株式会社においては、当連結会計年度における取引所暗号資産売買代金は2兆9,786億円となり、前連結会計年度比で12.9%増加しました。販売所暗号資産売買代金は2,346億円となり、前連結会計年度比で49.3%増加しました。
こうした中、前連結会計年度にはIEOの収益が含まれているため、受入手数料が729百万円(前連結会計年度比30.9%減)と減少したものの、ビットコイン及びアルトコインの販売所取引が増加したことによりトレーディング損益は8,380百万円(同50.5%増)となりました。一方、NFTの販売収益の減少により売上収益は248百万円(同74.2%減)となりました。以上のことから、営業収益は9,356百万円(同23.4%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、広告宣伝費及び専門家報酬が減少したことにより6,758百万円(同16.5%減)となりました。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は2,838百万円(前連結会計年度は876百万円のセグメント損失)となりました。
(アジア・パシフィック) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2023年3月期) | 当連結会計年度 (2024年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 630 | 493 | △138 | 21.8%減 |
| トレーディング損益 | △0 | △0 | 0 | - |
| 金融収益 | 212 | 400 | 188 | 88.3%増 |
| その他の営業収益 | 261 | 188 | △73 | 28.1%減 |
| 営業収益 | 1,103 | 1,080 | △23 | 2.1%減 |
| 金融費用 | 50 | 141 | 91 | 182.7%増 |
| 販売費及び一般管理費 | 1,205 | 1,057 | △148 | 12.3%減 |
| その他の収益費用(純額) | △45 | 31 | 75 | - |
| 持分法による投資利益又は損失(△) | 38 | △4 | △42 | - |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | △158 | △91 | 67 | - |
アジア・パシフィックセグメントは、主に香港拠点のMonex Boom Securities(H.K.) Limited(以下「マネックスBoom証券」)で構成されています。
当連結会計年度の香港経済は、家計所得の上昇や政府支援策が下支えとなった個人消費主導で堅調な成長を示しております。中国本土及び世界各国からの観光客が回復したことによりサービス輸出も力強い回復を見せました。一方で株式市場は緊張が続く米中関係への懸念や中国経済への懸念から軟調に推移しましたが、年明け以降は中国経済指標の反転を受けて底打ちの兆しを示しております。ハンセン指数は前年度末時点の20,400ポイントから2024年1月に一時15,000ポイント割れとなったものの、当年度末時点では16,541ポイントとなりました。
また、香港ドルの対円レート(期中平均)は前連結会計年度比で7.5%円安となったことから、アジア・パシフィックセグメントの業績はその影響を受けています。
このような環境の下、委託手数料が減少したことにより、受入手数料が493百万円(前連結会計年度比21.8%減)となりました。また、銀行の実効金利が上昇したことから金融収益が400百万円(同88.3%増)となりました。その他の営業収益は188百万円(同28.1%減)となり、営業収益は1,080百万円(同2.1%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、人件費及び広告宣伝費が減少したことにより1,057百万円(同12.3%減)となりました。
以上の結果、セグメント損失(税引前損失)は91百万円(前連結会計年度は158百万円のセグメント損失)となりました。
(投資事業) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2023年3月期) | 当連結会計年度 (2024年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 金融収益 | 705 | 287 | △418 | 59.2%減 |
| 営業収益 | 705 | 287 | △418 | 59.2%減 |
| 金融費用 | 397 | 183 | △214 | 53.8%減 |
| 販売費及び一般管理費 | 91 | 108 | 17 | 18.6%増 |
| その他の収益費用(純額) | 4 | 45 | 41 | - |
| 持分法による投資利益又は損失(△) | △5 | △28 | △23 | - |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | 216 | 13 | △203 | 93.8%減 |
投資事業セグメントは、主にマネックスベンチャーズ株式会社、MV1号投資事業有限責任組合、MV2号投資事業有限責任組合、東京ウェルネスインパクト投資事業有限責任組合で構成されています。
当連結会計年度は、複数の保有銘柄の評価損益や売却損益により、金融収益が287百万円(前連結会計年度比59.2%減)となり、営業収益は287百万円(同59.2%減)となりました。
金融費用は主にMV1号投資事業有限責任組合等の持分損益を計上したことから183百万円(同53.8%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、108百万円(同18.6%増)となりました。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は13百万円(同93.8%減)となりました。
② 財政状態の状況
(連結) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2023年3月末) | 当連結会計年度 (2024年3月末) | 増減 | |
| 資産合計 | 1,504,110 | 761,642 | △742,467 |
| 負債合計 | 1,403,355 | 628,519 | △774,836 |
| 資本合計 | 100,754 | 133,123 | 32,369 |
| 親会社の所有者に帰属する持分 | 99,641 | 131,712 | 32,071 |
当連結会計年度において、マネックス証券株式会社を連結子会社から除外したことに伴い、マネックス証券株式会社の事業に関わる資産及び負債が減少しました。
資産合計は金銭の信託や信用取引資産などが減少した結果、761,642百万円(前連結会計年度比742,467百万円減)となりました。また、負債合計は預り金や受入保証金などが減少した結果、628,519百万円(同774,836百万円減)となりました。
資本合計は配当金の支払などにより減少したものの、当期利益などにより増加した結果、133,123百万円(同32,369百万円増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(連結) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2023年3月期) | 当連結会計年度 (2024年3月期) | 増減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △30,977 | 8,055 | 39,032 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △21,873 | △86,353 | △64,480 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △34,156 | △5,106 | 29,050 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 175,159 | 97,935 | △77,224 |
当連結会計年度のキャッシュ・フローは営業活動による収入8,055百万円(前連結会計年度は30,977百万円の支出)、投資活動による支出86,353百万円(同21,873百万円の支出)及び財務活動による支出5,106百万円(同34,156百万円の支出)でした。この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物は97,935百万円(前連結会計年度末比77,224百万円減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により取得した資金は、8,055百万円となりました。
有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減により33,260百万円、短期差入保証金の増減により15,224百万円の資金を支出する一方、受入保証金及び預り金の増減により71,578百万円の資金を取得しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、86,353百万円となりました。
定期預金の払戻による収入により9,909百万円の資金を取得する一方、子会社売却による支出77,339百万円、定期預金の預入による支出により11,960百万円、無形資産の取得により5,836百万円の資金を使用しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により使用した資金は、5,106百万円となりました。
長期借入債務の調達による収入により28,160百万円、社債発行による収入により7,788百万円の資金を取得する一方、長期借入債務の返済による支出20,361百万円、社債の償還による支出により8,500百万円、短期借入債務の収支により6,988百万円の資金を使用しました。
④ 生産、受注及び販売の実績
金融商品取引業を営む会社を中心とする企業集団であるため、「生産、受注及び販売の実績」は該当する情報がないので記載していません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、2024年1月より株式会社NTTドコモ及びマネックス証券株式会社との資本業務提携を開始し、従来の枠組みでは得難い大きな成長機会を掴むことができました。この提携により株式売却益188億円および持分法の適用に伴う公正価値評価益158億円(共に税金及び税効果考慮前)も計上しています。また、株式会社イオン銀行からマネックス証券株式会社への投資信託保有口座の移管も2024年1月に完了し、株式会社イオン銀行との金融商品仲介を通じた包括提携も始まりました。このようなパートナー企業との提携を通じて、顧客基盤と預かり資産を積み上げ、収益構造の強化に成功しました。
米国セグメントでは、アクティブトレーダー層にフォーカスして顧客獲得を目指す戦略のもと、顧客の取引が堅調に推移する中、顧客預り金からの金利収益が大幅に増加し、営業収益及び当期利益がともに過去最高となりました。
クリプトアセット事業セグメントでは、2023年末から暗号資産市場が回復し、取引量が前年を上回ったことで増収となりました。こうした中、固定費を削減し、市場環境に合わせて広告宣伝費を柔軟にコントロールした結果、早期黒字化を達成しました。
このように、市場環境の回復と各グループ会社の事業戦略推進が奏功し、主要事業群が収益基盤を拡大した結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は313億円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
当社グループの事業活動における主な資金使途としては、有価証券担保貸付金に関するものの他、M&A及び事業投資等があります。これらの資金需要に対して、市場環境や長短のバランスを考慮し、社債による直接金融、シンジケートローン及び銀行借入等による間接金融により資金を調達しております。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
(資本の財源)
2024年3月末の財政状態計算書
| 資産 7,616億円 | 負債 6,285億円 | ||
| 主な資産は金融商品取引業及び暗号資産交換業に関連するもの 5,516億円 | 主な負債は金融商品取引業及び暗号資産交換業に関連するもの 5,963億円 | ||
| その他 164億円 | |||
| 現金及び現金同等物 979億円 | その他 322億円 | ||
| 資本 1,331億円 | |||
| 固定的な資産(注) 957億円 |
(注)固定的な資産は、有形固定資産、無形資産、持分法投資、有価証券投資(公正価値ヒエラルキーがレベル3のものに限る)です。
当連結会計年度末の資本合計は1,331億円であり、固定的な資産957億円を上回っています。差額については以下の原資とする予定です。
1.証券子会社における自己資本の維持に関する規制への対応
2.将来の事業投資に備える内部留保
3.株主還元(配当金及び自己株式取得)
(重要な資本的支出の予定)
重要な資本的支出の予定は、証券子会社における設備投資であり、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
(資金の流動性)
当社グループでは、経営に必要な資金を大手金融機関をはじめとする複数の金融機関からの借入、インターバンク市場からの調達、また資本市場における社債の発行により調達し、一時的な余資は流動性の高い短期金融資産で運用しています。当社グループでは資金繰り状況及び見通しの把握を随時行っており、かつ、複数の金融機関との間で当座借越契約、コミットメントライン契約等を締結していることで、十分な流動性を確保しています。なお、債務の期日別の残高については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.金融リスク管理」に記載のとおりです。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループは、グローバルなオンライン金融機関グループとして事業展開を推進する中で、財務情報の国際的な比較可能性を向上させるため、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって、のれんの減損テストにおける使用価値の算定等重要な判断や見積りを行っていますが、これらの見積りは実際の結果と異なる場合があります。当社が採用した重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」、同「22.無形資産」に記載のとおりです。
④ その他
当社の連結財務諸表において、子会社であるコインチェック株式会社の暗号資産販売所の収益は、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」だけでなく、IFRS第9号「金融資産の分類と測定」も適用されると判断し、暗号資産の販売価額と購入価額の純額を収益として計上(以下「純額表示」という。)しています。しかし、2024 年 5月8日「当社連結子会社 Coincheck Group B.V.の Thunder Bridge Capital Partners IV, Inc.との De-SPAC による ナスダック上場の登録申請書類公表等に関するお知らせ」等でお知らせした通り、米国におけるナスダック上場の申請プロセスにおいて、登録申請書類の一部であるコインチェック株式会社の財務諸表においては同取引には IFRS第15号のみが適用され、結果として両者を総額で表示(以下「総額表示」という。)する必要があるとの結論に達しました。一方、当社の連結財務諸表においては、報告主体が異なることに加え、以下の理由により引き続き純額表示を継続する方針です。
当社は、純額表示はIFRSに準拠していると考えており、また、これまで純額表示で連結財務諸表を提出してきたことを踏まえると、総額表示に変更することは、却って日本の資本市場参加者を混乱させる恐れがあると考えています。従って、日本の資本市場参加者の意思決定に資する情報の提供及び有価証券報告書の提出という目的においては、継続して純額表示を行うことにより、より有用な情報を提供することができると考えています。
現行の会計方針は日本の会計基準(実務対応報告第38号「資金決済法における暗号資産の会計処理等に関する当面の取扱い」)と整合的であり、日本において連結子会社で暗号資産交換業を営んでいる他のIFRS適用企業においても純額表示が採用されています。このため、当社は、日本の資本市場においては、純額表示を継続することが同業他社との財務情報の比較可能性を確保することにつながり、日本の資本市場における財務諸表利用者にとってより有用であると考えております。
なお、仮に当社が、2023年3月期における連結財務諸表においてコインチェック株式会社の暗号資産販売所の収益と費用を総額で表示した場合、関連する収益は176,924百万円、費用は177,643百万円となり、総額表示によった場合、純額表示と比べて連結ベースで収益が169,340百万円、費用が169,340百万円多く計上されることになります。2024年3月期における連結財務諸表においてコインチェック株式会社の暗号資産販売所の収益と費用を総額で表示した場合の関連する収益、費用の金額及び純額表示と比べたときの連結ベースでの収益と費用の増加額は算定中です。但し、収益と費用を純額表示と総額表示のどちらによって表示した場合であっても、2023年3月期および2024年3月期の連結ベースの当期純利益および期末時点の純資産の金額に影響はありません。