有価証券報告書-第15期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は、金融商品取引業、仮想通貨交換業、有価証券の投資事業を主要な事業としています。
当連結会計年度より、コインチェック株式会社のグループ入りに加え、マネックスベンチャーズ株式会社を中心とした有価証券の投資事業も拡大していることから、当社グループの企業活動に即した適切な開示を行うために、従来の「日本」・「米国」・「アジア・パシフィック」の3つの報告セグメントから、「日本」・「米国」・「アジア・パシフィック」・「クリプトアセット事業」・「投資事業」の5つの報告セグメントに変更しています。なお、報告セグメントの詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」をご参照下さい。また、前連結会計年度は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しています。
(連結) (単位:百万円)
当連結会計年度は、日本セグメントで委託手数料が減少したことなどにより受入手数料が25,741百万円(前連結会計年度比11.8%減)となりました。また日本セグメントでFX収益が増加したことやコインチェック株式会社を連結の範囲に含めたことなどによりトレーディング損益が6,461百万円(同67.2%増)となりました。米国セグメントで受取利息が増加したものの、投資セグメントで前連結会計年度は有価証券の売却益を計上したことなどから金融収益が19,242百万円(同0.6%減)となりました。その結果、営業収益は52,175百万円(同2.7%減)となり、収益合計は53,480百万円(同1.4%減)となりました。
販売費及び一般管理費はコインチェック株式会社を連結の範囲に含めたことなどにより44,690百万円(同12.1%増)となり、費用合計は51,690百万円(同13.4%増)となりました。
以上の結果、税引前利益が1,790百万円(同79.3%減)となりました。また、法人所得税費用が761百万円(同62.9%減)となっていますが、前連結会計年度は米国セグメントにおいて、税制改革法の成立により連邦法人税の最高税率を引き下げることが決定されたことに伴う法人所得税費用の減少額929百万円が含まれています。
当期利益は1,029百万円(同84.4%減)となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,181百万円(同82.4%減)となりました。
各セグメントの詳細は「セグメント別の状況」でご説明します。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
(日本) (単位:百万円)
日本セグメントは、主にマネックス証券株式会社で構成されています。日本セグメントにおいては中長期での資産形成を志向する個人投資家を主要な顧客層としており、株式市場での個人投資家の売買動向に影響を受けます。
当連結会計年度の日本経済は、労働市場の改善が継続したことや訪日外国人観光客によるインバウンド消費の好調などから底堅く推移しましたが、当連結会計年度後半は米中貿易問題の影響などにより一部企業の業績が大きく鈍化するなどやや弱含みました。日本の株式市場では、日経平均株価は2018年10月初旬にバブル崩壊後の高値となる24,000円台をつけるなど堅調に推移しましたが、その後は世界的な景気停滞への懸念などから一時は19,000円程度まで下落し、2019年3月末時点で日経平均株価は21,205円となりました。
当連結会計年度における東京、名古屋二市場の株式等(株式、ETF及びREIT)の1営業日平均個人売買代金は1兆1,241億円となり、個人投資家の売買が手控えられた影響もあり前連結会計年度比で13.2%減少しました。
このような環境の下、日本セグメントにおいては、当連結会計年度の株式等の1営業日平均委託売買代金は581億円(前連結会計年度比15.2%減)と前連結会計年度比で減少したこと、また信用取引手数料を引き下げたことにより委託手数料が減少し、受入手数料が13,301百万円(同21.6%減)となりました。一方で、信用取引残高の増加により金融収益が9,808百万円(同1.7%増)となりました。また、FX収益が増加したことによりトレーディング損益が4,535百万円(同17.3%増)となりました。その他の営業収益が86百万円(同88.3%減)となっていますが、前連結会計年度には新証券基幹システムのライセンス供与610百万円が含まれています。その結果、営業収益は27,729百万円(同11.1%減)となりました。
金融費用は1,990百万円(同8.6%減)となり、金融収支は7,818百万円(同4.8%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、システム関連費用などが増加したものの、広告宣伝費などの減少の結果、23,013百万円(同1.7%減)となりました。
その他の収益費用(純額)が1,552百万円の損失(前連結会計年度は91百万円の利益)となっていますが、当連結会計年度は日本株取引ツール「トレードステーション」に関する固定資産の減損損失1,788百万円が含まれています。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は1,247百万円(前連結会計年度比78.5%減)となりました。
(米国) (単位:百万円)
米国セグメントは、主にTradeStation Securities, Inc.で構成されています。米国セグメントにおいてはアクティブトレーダー層を主要な顧客層としており、市場のボラティリティ(値動きの度合い)が上昇すると取引量が増加し収益に貢献する傾向にあります。また、顧客の預り金を運用することで金融収益を獲得していることから、金利が上昇すると収益に貢献する傾向にあります。
当連結会計年度の米国経済は、労働市場の好調な推移などから景気の牽引役である個人消費が好調に推移したことなどにより概ね堅調に推移しました。好調な経済状況を受け連邦準備制度理事会(FRB)は2018年12月に2018年に入って4回目となるフェデラル・ファンド金利の誘導目標の引き上げを行いました。しかし、その後は米国経済に弱含みの兆候が見られるとFRBは方針を転換し今後しばらくの間金融引き締めを行わない姿勢を表明しました。米国の株式市場では、NYダウ平均やナスダック総合指数などは2018年10月に史上最高値を更新しましたが、米国経済や世界経済への悲観的な見方が強まり株価は急落しました。その後はFRBの方針変更なども追い風となり株価は徐々に値を戻しNYダウ平均は2019年3月末時点で25,928ドルまで上昇しました。
市場のボラティリティをもとに算出されるVIX指数は、株価の急落を受け2018年10月以降大きく上昇し、前連結会計年度比では31.7%上昇しました。
また、米ドルの対円レート(期中平均)は前連結会計年度比で大きな変動はありません。
このような環境の下、米国セグメントにおいては、市場のボラティリティが上昇したことにより、当連結会計年度のDARTs(Daily Average Revenue Tradesの略称で、1営業日当たりの収益を伴う約定もしくは取引の件数)は78,989件(前連結会計年度比12.0%増)となり、委託手数料は5.9%増加しました。その結果、受入手数料は12,014百万円(同1.3%増)となりました。また、金融収益は、短期金利の上昇による受取利息の増加、有価証券貸借取引収益の増加などにより9,221百万円(同32.8%増)となりました。その結果、営業収益は22,798百万円(同14.0%増)となりました。
金融費用は有価証券貸借取引費用の増加により3,214百万円(同26.8%増)となり、金融収支は6,007百万円(同36.2%増)となりました。
販売費及び一般管理費は株式取引増加による支払手数料の増加や人件費の増加などの結果、17,250百万円(同4.6%増)となりました。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は1,978百万円(同602.6%増)となりました。
(アジア・パシフィック) (単位:百万円)
アジア・パシフィックセグメントは、主に香港拠点のMonex Boom Securities(H.K.) Limited(以下「マネックスBoom証券」)、豪州拠点のMonex Securities Australia Pty Ltd(以下「マネックスオーストラリア証券」)で構成されています。
当連結会計年度の香港経済は、米中貿易問題の影響による中国経済鈍化への懸念から弱含む場面がありましたが中国政府が金融緩和や財政拡大などの景気刺激策を行うと徐々に持ち直しました。香港の株式市場では、香港ハンセン指数は、一時25,000ポイントを割り込む水準まで下落しましたが、2019年3月末時点で29,051ポイントとなりました。
また、香港ドルの対円レート(期中平均)は前連結会計年度比で大きな変動はありません。
このような環境の下、マネックスBoom証券の株式委託売買代金が減少したことから受入手数料が406百万円(前連結会計年度比27.1%減)となりました。また、金融収益が301百万円(同32.8%増)となり、営業収益は829百万円(同11.6%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、マネックスオーストラリア証券で人件費や広告宣伝費が増加したものの、マネックスBoom証券で株式取引減少により支払手数料が減少したことなどにより883百万円(同4.2%減)となりました。
その他の収益費用(純額)が4百万円の損失(前連結会計年度は278百万円の損失)となっています。なお、前連結会計年度はマネックスBoom証券でその他の金融資産(貸付金)に関する減損損失291百万円を計上したことによるものです。
持分法による投資利益は30百万円(前連結会計年度比30.7%減)となっていますが、これは、中国本土で事業展開するジョイントベンチャーに関するものです。
以上の結果、セグメント損失(税引前損失)は48百万円(前連結会計年度は225百万円のセグメント損失)となりました。
なお、マネックスBoom証券グループの税引前利益は83百万円(前連結会計年度は144百万円の税引前損失)です。
(クリプトアセット事業) (単位:百万円)
クリプトアセット事業セグメントは、コインチェック株式会社で構成されています。コインチェック株式会社は新規口座開設及びサービスの一部を停止していましたが、2018年10月に新規口座開設及び一部取扱仮想通貨の取引を再開し、2018年11月末で全取扱仮想通貨の取引が可能となりました。また、同社は2019年1月11日に仮想通貨交換業の登録が完了しました。なお、2018年4月にコインチェック株式会社を連結の範囲に含めたため、前連結会計年度との対比は行っていません。
当連結会計年度は、出金・送金手数料などにより受入手数料が186百万円となりました。また、仮想通貨の売買損益等によりトレーディング損益が1,929百万円となり、営業収益は2,116百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、人件費や事務委託費などにより4,766百万円となりました。
その他の収益費用(純額)が957百万円の利益となっていますが、これには未払金で計上している条件付対価の公正価値の変動による評価益960百万円が含まれています。
以上の結果、セグメント損失(税引前損失)は1,732百万円となりました。
(投資事業) (単位:百万円)
投資事業セグメントは、主にマネックスベンチャーズ株式会社、MV1号投資事業有限責任組合で構成されています。
当連結会計年度は、主に保有銘柄の評価額上昇による評価益などにより金融収益が414百万円(前連結会計年度比85.1%減)となり、営業収益は414百万円(同85.1%減)となりました。なお、前連結会計年度の金融収益は、保有銘柄の売却による売却益を計上したことによるものです。
販売費及び一般管理費は23百万円(同58.0%増)となりました。
持分法による投資損失は8百万円(前連結会計年度は25百万円の利益)となりました。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は382百万円(前連結会計年度比86.3%減)となりました。
② 財政状態の状況
(連結) (単位:百万円)
当連結会計年度の資産合計は、信用取引資産などが減少したものの、現金及び現金同等物、預託金及び金銭の信託、有価証券担保貸付金などが増加した結果、1,027,849百万円(前連結会計年度末比54,329百万円増)となりました。また、負債合計は、預り金、有価証券担保借入金などが増加した結果、947,707百万円(同54,680百万円増)となりました。
資本合計は、当期利益、その他の包括利益などにより増加したものの、自己株式の取得、配当金の支払などにより減少した結果、80,142百万円(同351百万円減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(連結) (単位:百万円)
当連結会計年度のキャッシュ・フローは営業活動による収入53,834百万円(前連結会計年度は38,701百万円の支出)、投資活動による収入22,763百万円(同5,872百万円の支出)及び財務活動による支出5,909百万円(同49,870百万円の収入)でした。この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物は150,926百万円(前連結会計年度末比69,470百万円増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により取得した資金は、53,834百万円となりました。
預託金及び金銭の信託の増減により13,459百万円、受入保証金及び預り金の増減により8,699百万円の資金を使用する一方、信用取引資産及び信用取引負債の増減により56,498百万円、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減により2,334百万円の資金を取得しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により取得した資金は、22,763百万円となりました。
無形資産の取得により6,265百万円の資金を使用する一方、子会社の取得により30,695百万円の資金を取得しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により使用した資金は、5,909百万円となりました。
長期借入債務の調達により58,924百万円、社債の発行により28,016百万円の資金を取得する一方、短期借入債務の収支により40,816百万円、社債の償還により26,557百万円、長期借入債務の返済により22,005百万円、自己株式の取得により2,000百万円、配当金の支払により2,408百万円の資金を使用しました。
④ 生産、受注及び販売の実績
金融商品取引業を営む会社を中心とする企業集団であるため、「生産、受注及び販売の実績」は該当する情報がないので記載していません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループは、グローバルなオンライン金融機関グループとして事業展開を推進する中で、財務情報の国際的な比較可能性を向上させるため、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。
当社は、連結財務諸表を作成するに当たり重要な判断や見積りを行っています。これらの見積りは実際の結果と異なる場合があります。当社が採用した重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 経営成績等の状況
2019年3月期は、2018年4月のコインチェック株式会社のグループ入りにより、これまでの日本セグメント、米国セグメント、アジア・パシフィックセグメントの3事業セグメントから、クリプトアセット事業セグメントを新設するとともに、日本セグメントから投資事業セグメントを独立させ、5事業セグメントに変更しました。日本セグメントの収益は個人投資家の取引低迷などにより、前年度を下回りましたが、米国セグメントは収益性が向上し、稼ぎ頭のセグメントに成長いたしました。一方、クリプトアセット事業セグメントで損失を計上したことから、連結では前期比で減収減益という結果になりました。
日本セグメントは、マネックス証券のFX取引において、2018年11月にFX PLUSのスプレッド縮小により取引量が大幅に上昇し、FX関連収益が増加しましたが、株式取引は低調だったため、減収となりました。一方、費用は、マーケティングの効率化により広告宣伝費が3割減となり、販売費及び一般管理費全体の減少につながりました。また、収益実績に基づき保有資産を再評価し、日本株取引ツール「トレードステーション」の減損損失を計上(今後もツールのサービス提供は継続)したため、セグメント利益は12億円(前期比78%減)となりました。
米国セグメントは、手数料体系の簡略化、ブランドの刷新により顧客層を広げ、稼働口座数が順調に増加しました。預かり資産増および金利上昇に伴う金融収支の増加に加え、ボラティリティ上昇の結果、取引量が拡大、委託手数料が増加し、増収に結びつきました。取引量拡大による支払手数料や稼働口座数等の増加による業績連動賞与の増加による販売費及び一般管理費の増加を吸収し、増収増益となり、セグメント利益は20億円(前期比603%増)となりました。米国の収益性は向上しており、セグメントの稼ぎ頭として当社グループの利益を牽引するまでに成長しています。
アジア・パシフィックセグメントは、香港のオンライン証券事業は安定的に営業利益を計上していますが、グローバルな事業拡大を企図した豪州のオンライン証券事業において費用が先行したため、セグメント損失48百万円を計上しています。
クリプトアセット事業セグメントは、コインチェック株式会社においてお客様に安心してお取引いただける取引環境の構築に努め、2019年1月には仮想通貨交換業登録が完了しましたが、仮想通貨取引低迷により収益が振るわず、また、内部管理等の態勢整備やサイバーセキュリティへの投資などの負担増により、セグメント損失17億円を計上しました。
投資事業セグメントは、保有株式評価益および売却益の計上により、セグメント利益4億円を計上しています。
以上の結果、2019年3月期の親会社の所有者に帰属する当期利益は、12億円となりました。
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載のとおり、資本効率に関する目標としてROE10%を最低水準と考えています。
当社グループの2019年3月期におけるROEは1.5%であり、資本コストとの対比で最低の目標水準と考えているROE10%に到達していません。資本コストを上回るROEの達成は当社グル―プの課題であり、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 事業上及び財務上の対処すべき課題 ① 資本コストを上回るROEの達成」に記載のとおり取り組んでまいります。
また上記以外に、2019年4月25日に公表しました「2019年3月期 決算説明資料」の「マネジメントによる現状認識」等もご参照下さい。
(b) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資本の財源)
2019年3月末の財政状態計算書
(注)固定的な資産は、有形固定資産、無形資産、持分法投資、有価証券投資(公正価値ヒエラルキーがレベル3のものに限る)です。
当連結会計年度末の資本は801億円であり、固定的な資産539億円を上回っています。差額の263億円については以下の原資とする予定です。
1.海外含む証券子会社における自己資本の維持に関する規制への対応
2.将来の事業投資に備える内部留保
3.株主還元(配当金及び自己株式取得)
(重要な資本的支出の予定)
重要な資本的支出の予定は、証券子会社における設備投資であり、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
(資金の流動性)
当社グループでは、経営に必要な資金を大手金融機関をはじめとする多数の金融機関からの借入、インターバンク市場からの調達、また、資本市場における社債の発行により調達し、一時的な余資は流動性の高い短期金融資産で運用しています。当社グループでは資金繰り状況及び見通しの把握を随時行っており、かつ、多数の金融機関との間で当座借越契約、コミットメントライン契約等を締結していることで、十分な流動性を確保しています。なお、債務の期日別の残高については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.金融リスク管理」に記載のとおりです。
(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。
前連結会計年度
① のれんの償却
日本基準では合理的に見積もられたのれんの効果が及ぶ期間にわたって定額法によりのれんを償却しますが、IFRSでは企業結合により発生したのれんは、償却せずに毎期減損テストを行います。また日本基準で負債として認識し、毎期規則的に償却していた負ののれんは、IFRSでは移行日において利益剰余金に振替えています。IFRSにおいてのれんを償却しないことにより、IFRSにおける連結損益計算書の「税引前利益」は、日本基準に比べて1,189百万円増加しています。
② 特別法上の準備金
日本基準における金融商品取引責任準備金は、報告日において存在していない将来起こりうる損失に対して認識しており、IFRSでの負債の認識要件を満たしていないためIFRSでは認識していません。日本基準で計上した金融商品取引責任準備金の繰入をIFRS上で取消したことにより、IFRSにおける連結損益計算書の「税引前利益」は、日本基準に比べて4百万円増加しています。
③ 非上場の持分金融商品
日本基準では、非上場の持分金融商品を原則として取得原価で測定していますが、IFRSでは原則として公正価値により測定しています。日本基準で認識しなかったその他の包括利益をIFRSにおいて計上したことにより、IFRSにおける連結包括利益計算書の「税引後その他の包括利益」は、日本基準に比べて561百万円減少しています。
当連結会計年度
① のれんの償却
日本基準では合理的に見積もられたのれんの効果が及ぶ期間にわたって定額法によりのれんを償却しますが、IFRSでは企業結合により発生したのれんは、償却せずに毎期減損テストを行います。また日本基準で負債として認識し、毎期規則的に償却していた負ののれんは、IFRSでは移行日において利益剰余金に振替えています。IFRSにおいてのれんを償却しないことにより、IFRSにおける連結損益計算書の「税引前利益」は、日本基準に比べて1,189百万円増加しています。
② 特別法上の準備金
日本基準における金融商品取引責任準備金は、報告日において存在していない将来起こりうる損失に対して認識しており、IFRSでの負債の認識要件を満たしていないためIFRSでは認識していません。日本基準で計上した金融商品取引責任準備金の戻入をIFRS上で取消したことにより、IFRSにおける連結損益計算書の「税引前利益」は、日本基準に比べて37百万円減少しています。
③ 仮想通貨
日本基準では利用者から預託を受けた仮想通貨は資産として認識し、同時に、利用者に対する返還義務を負債として認識します。IFRSでは仮想通貨の取引等に係る基準は存在しませんが、当社グループでは、IFRSに基づいて、最も適切と考える方法を採用しており、利用者から預託を受けた仮想通貨は資産として認識しておらず、対応する負債についても認識していません。この結果、IFRSにおける連結財政状態計算書の「資産合計」及び「負債合計」は、日本基準に比べそれぞれ54,009百万円減少しています。
④ 金融商品の評価
日本基準では「その他有価証券」に分類される有価証券について、時価のあるものは時価評価を行い、時価を把握することが極めて困難と認められるものは取得原価で評価します。時価が著しく下落した場合又は実質価額が著しく下落した場合を除き、評価に係る損益は計上されません。IFRSではすべての金融商品について公正価値評価を行い、「純損益を通じて公正価値測定する金融資産」に分類される金融商品の公正価値の変動は純損益として認識し、「その他の包括利益を通じて公正価値測定する金融資産」の公正価値の変動はその他の包括利益として認識します。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は、金融商品取引業、仮想通貨交換業、有価証券の投資事業を主要な事業としています。
当連結会計年度より、コインチェック株式会社のグループ入りに加え、マネックスベンチャーズ株式会社を中心とした有価証券の投資事業も拡大していることから、当社グループの企業活動に即した適切な開示を行うために、従来の「日本」・「米国」・「アジア・パシフィック」の3つの報告セグメントから、「日本」・「米国」・「アジア・パシフィック」・「クリプトアセット事業」・「投資事業」の5つの報告セグメントに変更しています。なお、報告セグメントの詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」をご参照下さい。また、前連結会計年度は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しています。
(連結) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2018年3月期) | 当連結会計年度 (2019年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 29,196 | 25,741 | △3,455 | 11.8%減 |
| トレーディング損益 | 3,865 | 6,461 | 2,596 | 67.2%増 |
| 金融収益 | 19,349 | 19,242 | △107 | 0.6%減 |
| その他の営業収益 | 1,225 | 731 | △495 | 40.4%減 |
| 営業収益 | 53,635 | 52,175 | △1,460 | 2.7%減 |
| 収益合計 | 54,223 | 53,480 | △743 | 1.4%減 |
| 金融費用 | 4,480 | 4,758 | 278 | 6.2%増 |
| 販売費及び一般管理費 | 39,853 | 44,690 | 4,836 | 12.1%増 |
| 費用合計 | 45,592 | 51,690 | 6,099 | 13.4%増 |
| 税引前利益 | 8,631 | 1,790 | △6,841 | 79.3%減 |
| 法人所得税費用 | 2,052 | 761 | △1,291 | 62.9%減 |
| 当期利益 | 6,579 | 1,029 | △5,551 | 84.4%減 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 6,730 | 1,181 | △5,549 | 82.4%減 |
当連結会計年度は、日本セグメントで委託手数料が減少したことなどにより受入手数料が25,741百万円(前連結会計年度比11.8%減)となりました。また日本セグメントでFX収益が増加したことやコインチェック株式会社を連結の範囲に含めたことなどによりトレーディング損益が6,461百万円(同67.2%増)となりました。米国セグメントで受取利息が増加したものの、投資セグメントで前連結会計年度は有価証券の売却益を計上したことなどから金融収益が19,242百万円(同0.6%減)となりました。その結果、営業収益は52,175百万円(同2.7%減)となり、収益合計は53,480百万円(同1.4%減)となりました。
販売費及び一般管理費はコインチェック株式会社を連結の範囲に含めたことなどにより44,690百万円(同12.1%増)となり、費用合計は51,690百万円(同13.4%増)となりました。
以上の結果、税引前利益が1,790百万円(同79.3%減)となりました。また、法人所得税費用が761百万円(同62.9%減)となっていますが、前連結会計年度は米国セグメントにおいて、税制改革法の成立により連邦法人税の最高税率を引き下げることが決定されたことに伴う法人所得税費用の減少額929百万円が含まれています。
当期利益は1,029百万円(同84.4%減)となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,181百万円(同82.4%減)となりました。
各セグメントの詳細は「セグメント別の状況」でご説明します。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
(日本) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2018年3月期) | 当連結会計年度 (2019年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 16,968 | 13,301 | △3,667 | 21.6%減 |
| トレーディング損益 | 3,865 | 4,535 | 670 | 17.3%増 |
| 金融収益 | 9,640 | 9,808 | 168 | 1.7%増 |
| その他の営業収益 | 732 | 86 | △646 | 88.3%減 |
| 営業収益 | 31,205 | 27,729 | △3,476 | 11.1%減 |
| 金融費用 | 2,177 | 1,990 | △187 | 8.6%減 |
| 販売費及び一般管理費 | 23,420 | 23,013 | △407 | 1.7%減 |
| その他の収益費用(純額) | 91 | △1,552 | △1,643 | - |
| 持分法による投資利益又は損失(△) | 100 | 73 | △27 | 27.4%減 |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | 5,799 | 1,247 | △4,552 | 78.5%減 |
日本セグメントは、主にマネックス証券株式会社で構成されています。日本セグメントにおいては中長期での資産形成を志向する個人投資家を主要な顧客層としており、株式市場での個人投資家の売買動向に影響を受けます。
当連結会計年度の日本経済は、労働市場の改善が継続したことや訪日外国人観光客によるインバウンド消費の好調などから底堅く推移しましたが、当連結会計年度後半は米中貿易問題の影響などにより一部企業の業績が大きく鈍化するなどやや弱含みました。日本の株式市場では、日経平均株価は2018年10月初旬にバブル崩壊後の高値となる24,000円台をつけるなど堅調に推移しましたが、その後は世界的な景気停滞への懸念などから一時は19,000円程度まで下落し、2019年3月末時点で日経平均株価は21,205円となりました。
当連結会計年度における東京、名古屋二市場の株式等(株式、ETF及びREIT)の1営業日平均個人売買代金は1兆1,241億円となり、個人投資家の売買が手控えられた影響もあり前連結会計年度比で13.2%減少しました。
このような環境の下、日本セグメントにおいては、当連結会計年度の株式等の1営業日平均委託売買代金は581億円(前連結会計年度比15.2%減)と前連結会計年度比で減少したこと、また信用取引手数料を引き下げたことにより委託手数料が減少し、受入手数料が13,301百万円(同21.6%減)となりました。一方で、信用取引残高の増加により金融収益が9,808百万円(同1.7%増)となりました。また、FX収益が増加したことによりトレーディング損益が4,535百万円(同17.3%増)となりました。その他の営業収益が86百万円(同88.3%減)となっていますが、前連結会計年度には新証券基幹システムのライセンス供与610百万円が含まれています。その結果、営業収益は27,729百万円(同11.1%減)となりました。
金融費用は1,990百万円(同8.6%減)となり、金融収支は7,818百万円(同4.8%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、システム関連費用などが増加したものの、広告宣伝費などの減少の結果、23,013百万円(同1.7%減)となりました。
その他の収益費用(純額)が1,552百万円の損失(前連結会計年度は91百万円の利益)となっていますが、当連結会計年度は日本株取引ツール「トレードステーション」に関する固定資産の減損損失1,788百万円が含まれています。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は1,247百万円(前連結会計年度比78.5%減)となりました。
(米国) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2018年3月期) | 当連結会計年度 (2019年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 11,858 | 12,014 | 156 | 1.3%増 |
| 金融収益 | 6,946 | 9,221 | 2,275 | 32.8%増 |
| 売上収益 | 56 | 282 | 226 | 402.6%増 |
| その他の営業収益 | 1,141 | 1,282 | 140 | 12.3%増 |
| 営業収益 | 20,002 | 22,798 | 2,797 | 14.0%増 |
| 金融費用 | 2,535 | 3,214 | 679 | 26.8%増 |
| 売上原価 | 49 | 245 | 197 | 403.0%増 |
| 販売費及び一般管理費 | 16,487 | 17,250 | 763 | 4.6%増 |
| その他の収益費用(純額) | △649 | △111 | 538 | - |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | 281 | 1,978 | 1,696 | 602.6%増 |
米国セグメントは、主にTradeStation Securities, Inc.で構成されています。米国セグメントにおいてはアクティブトレーダー層を主要な顧客層としており、市場のボラティリティ(値動きの度合い)が上昇すると取引量が増加し収益に貢献する傾向にあります。また、顧客の預り金を運用することで金融収益を獲得していることから、金利が上昇すると収益に貢献する傾向にあります。
当連結会計年度の米国経済は、労働市場の好調な推移などから景気の牽引役である個人消費が好調に推移したことなどにより概ね堅調に推移しました。好調な経済状況を受け連邦準備制度理事会(FRB)は2018年12月に2018年に入って4回目となるフェデラル・ファンド金利の誘導目標の引き上げを行いました。しかし、その後は米国経済に弱含みの兆候が見られるとFRBは方針を転換し今後しばらくの間金融引き締めを行わない姿勢を表明しました。米国の株式市場では、NYダウ平均やナスダック総合指数などは2018年10月に史上最高値を更新しましたが、米国経済や世界経済への悲観的な見方が強まり株価は急落しました。その後はFRBの方針変更なども追い風となり株価は徐々に値を戻しNYダウ平均は2019年3月末時点で25,928ドルまで上昇しました。
市場のボラティリティをもとに算出されるVIX指数は、株価の急落を受け2018年10月以降大きく上昇し、前連結会計年度比では31.7%上昇しました。
また、米ドルの対円レート(期中平均)は前連結会計年度比で大きな変動はありません。
このような環境の下、米国セグメントにおいては、市場のボラティリティが上昇したことにより、当連結会計年度のDARTs(Daily Average Revenue Tradesの略称で、1営業日当たりの収益を伴う約定もしくは取引の件数)は78,989件(前連結会計年度比12.0%増)となり、委託手数料は5.9%増加しました。その結果、受入手数料は12,014百万円(同1.3%増)となりました。また、金融収益は、短期金利の上昇による受取利息の増加、有価証券貸借取引収益の増加などにより9,221百万円(同32.8%増)となりました。その結果、営業収益は22,798百万円(同14.0%増)となりました。
金融費用は有価証券貸借取引費用の増加により3,214百万円(同26.8%増)となり、金融収支は6,007百万円(同36.2%増)となりました。
販売費及び一般管理費は株式取引増加による支払手数料の増加や人件費の増加などの結果、17,250百万円(同4.6%増)となりました。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は1,978百万円(同602.6%増)となりました。
(アジア・パシフィック) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2018年3月期) | 当連結会計年度 (2019年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 557 | 406 | △151 | 27.1%減 |
| トレーディング損益 | 0 | △3 | △3 | - |
| 金融収益 | 227 | 301 | 74 | 32.8%増 |
| その他の営業収益 | 155 | 126 | △30 | 19.1%減 |
| 営業収益 | 939 | 829 | △109 | 11.6%減 |
| 金融費用 | 8 | 22 | 14 | 174.5%増 |
| 販売費及び一般管理費 | 922 | 883 | △39 | 4.2%減 |
| その他の収益費用(純額) | △278 | △4 | 274 | - |
| 持分法による投資利益又は損失(△) | 44 | 30 | △14 | 30.7%減 |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | △225 | △48 | 176 | - |
アジア・パシフィックセグメントは、主に香港拠点のMonex Boom Securities(H.K.) Limited(以下「マネックスBoom証券」)、豪州拠点のMonex Securities Australia Pty Ltd(以下「マネックスオーストラリア証券」)で構成されています。
当連結会計年度の香港経済は、米中貿易問題の影響による中国経済鈍化への懸念から弱含む場面がありましたが中国政府が金融緩和や財政拡大などの景気刺激策を行うと徐々に持ち直しました。香港の株式市場では、香港ハンセン指数は、一時25,000ポイントを割り込む水準まで下落しましたが、2019年3月末時点で29,051ポイントとなりました。
また、香港ドルの対円レート(期中平均)は前連結会計年度比で大きな変動はありません。
このような環境の下、マネックスBoom証券の株式委託売買代金が減少したことから受入手数料が406百万円(前連結会計年度比27.1%減)となりました。また、金融収益が301百万円(同32.8%増)となり、営業収益は829百万円(同11.6%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、マネックスオーストラリア証券で人件費や広告宣伝費が増加したものの、マネックスBoom証券で株式取引減少により支払手数料が減少したことなどにより883百万円(同4.2%減)となりました。
その他の収益費用(純額)が4百万円の損失(前連結会計年度は278百万円の損失)となっています。なお、前連結会計年度はマネックスBoom証券でその他の金融資産(貸付金)に関する減損損失291百万円を計上したことによるものです。
持分法による投資利益は30百万円(前連結会計年度比30.7%減)となっていますが、これは、中国本土で事業展開するジョイントベンチャーに関するものです。
以上の結果、セグメント損失(税引前損失)は48百万円(前連結会計年度は225百万円のセグメント損失)となりました。
なお、マネックスBoom証券グループの税引前利益は83百万円(前連結会計年度は144百万円の税引前損失)です。
(クリプトアセット事業) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2018年3月期) | 当連結会計年度 (2019年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | - | 186 | 186 | - |
| トレーディング損益 | - | 1,929 | 1,929 | - |
| 営業収益 | - | 2,116 | 2,116 | - |
| 金融費用 | - | 39 | 39 | - |
| 販売費及び一般管理費 | - | 4,766 | 4,766 | - |
| その他の収益費用(純額) | - | 957 | 957 | - |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | - | △1,732 | △1,732 | - |
クリプトアセット事業セグメントは、コインチェック株式会社で構成されています。コインチェック株式会社は新規口座開設及びサービスの一部を停止していましたが、2018年10月に新規口座開設及び一部取扱仮想通貨の取引を再開し、2018年11月末で全取扱仮想通貨の取引が可能となりました。また、同社は2019年1月11日に仮想通貨交換業の登録が完了しました。なお、2018年4月にコインチェック株式会社を連結の範囲に含めたため、前連結会計年度との対比は行っていません。
当連結会計年度は、出金・送金手数料などにより受入手数料が186百万円となりました。また、仮想通貨の売買損益等によりトレーディング損益が1,929百万円となり、営業収益は2,116百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、人件費や事務委託費などにより4,766百万円となりました。
その他の収益費用(純額)が957百万円の利益となっていますが、これには未払金で計上している条件付対価の公正価値の変動による評価益960百万円が含まれています。
以上の結果、セグメント損失(税引前損失)は1,732百万円となりました。
(投資事業) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2018年3月期) | 当連結会計年度 (2019年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 金融収益 | 2,772 | 414 | △2,357 | 85.1%減 |
| 営業収益 | 2,772 | 414 | △2,357 | 85.1%減 |
| 販売費及び一般管理費 | 15 | 23 | 9 | 58.0%増 |
| その他の収益費用(純額) | 1 | △1 | △1 | - |
| 持分法による投資利益又は損失(△) | 25 | △8 | △33 | - |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | 2,782 | 382 | △2,400 | 86.3%減 |
投資事業セグメントは、主にマネックスベンチャーズ株式会社、MV1号投資事業有限責任組合で構成されています。
当連結会計年度は、主に保有銘柄の評価額上昇による評価益などにより金融収益が414百万円(前連結会計年度比85.1%減)となり、営業収益は414百万円(同85.1%減)となりました。なお、前連結会計年度の金融収益は、保有銘柄の売却による売却益を計上したことによるものです。
販売費及び一般管理費は23百万円(同58.0%増)となりました。
持分法による投資損失は8百万円(前連結会計年度は25百万円の利益)となりました。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は382百万円(前連結会計年度比86.3%減)となりました。
② 財政状態の状況
(連結) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2018年3月末) | 当連結会計年度 (2019年3月末) | 増減 | |
| 資産合計 | 973,520 | 1,027,849 | 54,329 |
| 負債合計 | 893,027 | 947,707 | 54,680 |
| 資本合計 | 80,493 | 80,142 | △351 |
| 親会社の所有者に帰属する持分 | 80,329 | 78,994 | △1,335 |
当連結会計年度の資産合計は、信用取引資産などが減少したものの、現金及び現金同等物、預託金及び金銭の信託、有価証券担保貸付金などが増加した結果、1,027,849百万円(前連結会計年度末比54,329百万円増)となりました。また、負債合計は、預り金、有価証券担保借入金などが増加した結果、947,707百万円(同54,680百万円増)となりました。
資本合計は、当期利益、その他の包括利益などにより増加したものの、自己株式の取得、配当金の支払などにより減少した結果、80,142百万円(同351百万円減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(連結) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2018年3月期) | 当連結会計年度 (2019年3月期) | 増減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △38,701 | 53,834 | 92,535 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △5,872 | 22,763 | 28,635 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 49,870 | △5,909 | △55,779 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 81,456 | 150,926 | 69,470 |
当連結会計年度のキャッシュ・フローは営業活動による収入53,834百万円(前連結会計年度は38,701百万円の支出)、投資活動による収入22,763百万円(同5,872百万円の支出)及び財務活動による支出5,909百万円(同49,870百万円の収入)でした。この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物は150,926百万円(前連結会計年度末比69,470百万円増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により取得した資金は、53,834百万円となりました。
預託金及び金銭の信託の増減により13,459百万円、受入保証金及び預り金の増減により8,699百万円の資金を使用する一方、信用取引資産及び信用取引負債の増減により56,498百万円、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減により2,334百万円の資金を取得しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により取得した資金は、22,763百万円となりました。
無形資産の取得により6,265百万円の資金を使用する一方、子会社の取得により30,695百万円の資金を取得しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により使用した資金は、5,909百万円となりました。
長期借入債務の調達により58,924百万円、社債の発行により28,016百万円の資金を取得する一方、短期借入債務の収支により40,816百万円、社債の償還により26,557百万円、長期借入債務の返済により22,005百万円、自己株式の取得により2,000百万円、配当金の支払により2,408百万円の資金を使用しました。
④ 生産、受注及び販売の実績
金融商品取引業を営む会社を中心とする企業集団であるため、「生産、受注及び販売の実績」は該当する情報がないので記載していません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループは、グローバルなオンライン金融機関グループとして事業展開を推進する中で、財務情報の国際的な比較可能性を向上させるため、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。
当社は、連結財務諸表を作成するに当たり重要な判断や見積りを行っています。これらの見積りは実際の結果と異なる場合があります。当社が採用した重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 経営成績等の状況
2019年3月期は、2018年4月のコインチェック株式会社のグループ入りにより、これまでの日本セグメント、米国セグメント、アジア・パシフィックセグメントの3事業セグメントから、クリプトアセット事業セグメントを新設するとともに、日本セグメントから投資事業セグメントを独立させ、5事業セグメントに変更しました。日本セグメントの収益は個人投資家の取引低迷などにより、前年度を下回りましたが、米国セグメントは収益性が向上し、稼ぎ頭のセグメントに成長いたしました。一方、クリプトアセット事業セグメントで損失を計上したことから、連結では前期比で減収減益という結果になりました。
日本セグメントは、マネックス証券のFX取引において、2018年11月にFX PLUSのスプレッド縮小により取引量が大幅に上昇し、FX関連収益が増加しましたが、株式取引は低調だったため、減収となりました。一方、費用は、マーケティングの効率化により広告宣伝費が3割減となり、販売費及び一般管理費全体の減少につながりました。また、収益実績に基づき保有資産を再評価し、日本株取引ツール「トレードステーション」の減損損失を計上(今後もツールのサービス提供は継続)したため、セグメント利益は12億円(前期比78%減)となりました。
米国セグメントは、手数料体系の簡略化、ブランドの刷新により顧客層を広げ、稼働口座数が順調に増加しました。預かり資産増および金利上昇に伴う金融収支の増加に加え、ボラティリティ上昇の結果、取引量が拡大、委託手数料が増加し、増収に結びつきました。取引量拡大による支払手数料や稼働口座数等の増加による業績連動賞与の増加による販売費及び一般管理費の増加を吸収し、増収増益となり、セグメント利益は20億円(前期比603%増)となりました。米国の収益性は向上しており、セグメントの稼ぎ頭として当社グループの利益を牽引するまでに成長しています。
アジア・パシフィックセグメントは、香港のオンライン証券事業は安定的に営業利益を計上していますが、グローバルな事業拡大を企図した豪州のオンライン証券事業において費用が先行したため、セグメント損失48百万円を計上しています。
クリプトアセット事業セグメントは、コインチェック株式会社においてお客様に安心してお取引いただける取引環境の構築に努め、2019年1月には仮想通貨交換業登録が完了しましたが、仮想通貨取引低迷により収益が振るわず、また、内部管理等の態勢整備やサイバーセキュリティへの投資などの負担増により、セグメント損失17億円を計上しました。
投資事業セグメントは、保有株式評価益および売却益の計上により、セグメント利益4億円を計上しています。
以上の結果、2019年3月期の親会社の所有者に帰属する当期利益は、12億円となりました。
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載のとおり、資本効率に関する目標としてROE10%を最低水準と考えています。
当社グループの2019年3月期におけるROEは1.5%であり、資本コストとの対比で最低の目標水準と考えているROE10%に到達していません。資本コストを上回るROEの達成は当社グル―プの課題であり、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 事業上及び財務上の対処すべき課題 ① 資本コストを上回るROEの達成」に記載のとおり取り組んでまいります。
また上記以外に、2019年4月25日に公表しました「2019年3月期 決算説明資料」の「マネジメントによる現状認識」等もご参照下さい。
(b) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(資本の財源)
2019年3月末の財政状態計算書
| 資産 10,279億円 | 負債 9,477億円 | ||
| 主な資産は金融商品取引業 に関連するもの 7,641億円 | 主な負債は金融商品取引業 に関連するもの 9,400億円 | ||
| その他 557億円 | |||
| 現金及び現金同等物 1,541億円 | その他 77億円 | ||
| 資本 801億円 | |||
| 固定的な資産(注) 539億円 |
(注)固定的な資産は、有形固定資産、無形資産、持分法投資、有価証券投資(公正価値ヒエラルキーがレベル3のものに限る)です。
当連結会計年度末の資本は801億円であり、固定的な資産539億円を上回っています。差額の263億円については以下の原資とする予定です。
1.海外含む証券子会社における自己資本の維持に関する規制への対応
2.将来の事業投資に備える内部留保
3.株主還元(配当金及び自己株式取得)
(重要な資本的支出の予定)
重要な資本的支出の予定は、証券子会社における設備投資であり、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
(資金の流動性)
当社グループでは、経営に必要な資金を大手金融機関をはじめとする多数の金融機関からの借入、インターバンク市場からの調達、また、資本市場における社債の発行により調達し、一時的な余資は流動性の高い短期金融資産で運用しています。当社グループでは資金繰り状況及び見通しの把握を随時行っており、かつ、多数の金融機関との間で当座借越契約、コミットメントライン契約等を締結していることで、十分な流動性を確保しています。なお、債務の期日別の残高については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.金融リスク管理」に記載のとおりです。
(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。
前連結会計年度
① のれんの償却
日本基準では合理的に見積もられたのれんの効果が及ぶ期間にわたって定額法によりのれんを償却しますが、IFRSでは企業結合により発生したのれんは、償却せずに毎期減損テストを行います。また日本基準で負債として認識し、毎期規則的に償却していた負ののれんは、IFRSでは移行日において利益剰余金に振替えています。IFRSにおいてのれんを償却しないことにより、IFRSにおける連結損益計算書の「税引前利益」は、日本基準に比べて1,189百万円増加しています。
② 特別法上の準備金
日本基準における金融商品取引責任準備金は、報告日において存在していない将来起こりうる損失に対して認識しており、IFRSでの負債の認識要件を満たしていないためIFRSでは認識していません。日本基準で計上した金融商品取引責任準備金の繰入をIFRS上で取消したことにより、IFRSにおける連結損益計算書の「税引前利益」は、日本基準に比べて4百万円増加しています。
③ 非上場の持分金融商品
日本基準では、非上場の持分金融商品を原則として取得原価で測定していますが、IFRSでは原則として公正価値により測定しています。日本基準で認識しなかったその他の包括利益をIFRSにおいて計上したことにより、IFRSにおける連結包括利益計算書の「税引後その他の包括利益」は、日本基準に比べて561百万円減少しています。
当連結会計年度
① のれんの償却
日本基準では合理的に見積もられたのれんの効果が及ぶ期間にわたって定額法によりのれんを償却しますが、IFRSでは企業結合により発生したのれんは、償却せずに毎期減損テストを行います。また日本基準で負債として認識し、毎期規則的に償却していた負ののれんは、IFRSでは移行日において利益剰余金に振替えています。IFRSにおいてのれんを償却しないことにより、IFRSにおける連結損益計算書の「税引前利益」は、日本基準に比べて1,189百万円増加しています。
② 特別法上の準備金
日本基準における金融商品取引責任準備金は、報告日において存在していない将来起こりうる損失に対して認識しており、IFRSでの負債の認識要件を満たしていないためIFRSでは認識していません。日本基準で計上した金融商品取引責任準備金の戻入をIFRS上で取消したことにより、IFRSにおける連結損益計算書の「税引前利益」は、日本基準に比べて37百万円減少しています。
③ 仮想通貨
日本基準では利用者から預託を受けた仮想通貨は資産として認識し、同時に、利用者に対する返還義務を負債として認識します。IFRSでは仮想通貨の取引等に係る基準は存在しませんが、当社グループでは、IFRSに基づいて、最も適切と考える方法を採用しており、利用者から預託を受けた仮想通貨は資産として認識しておらず、対応する負債についても認識していません。この結果、IFRSにおける連結財政状態計算書の「資産合計」及び「負債合計」は、日本基準に比べそれぞれ54,009百万円減少しています。
④ 金融商品の評価
日本基準では「その他有価証券」に分類される有価証券について、時価のあるものは時価評価を行い、時価を把握することが極めて困難と認められるものは取得原価で評価します。時価が著しく下落した場合又は実質価額が著しく下落した場合を除き、評価に係る損益は計上されません。IFRSではすべての金融商品について公正価値評価を行い、「純損益を通じて公正価値測定する金融資産」に分類される金融商品の公正価値の変動は純損益として認識し、「その他の包括利益を通じて公正価値測定する金融資産」の公正価値の変動はその他の包括利益として認識します。