有価証券報告書-第22期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、金融商品取引業、暗号資産交換業、有価証券の投資事業を主要な事業として、前連結会計年度において「日本」・「米国」・「クリプトアセット事業」・「投資事業」の4つの報告セグメントとしていました。
当連結会計年度より、当社グループが進めてきた事業ポートフォリオの最適化に伴い報告セグメントを刷新し、「証券事業」・「クリプトアセット事業」・「アセットマネジメント・ウェルスマネジメント事業(以下、「AM・WM事業」)」・「投資事業」の4つの報告セグメントに変更しました。
また、グループ経営体制の一層の強化を目的として、2026年2月28日付で当社連結子会社である1000745629 ONTARIO INC.(カナダ法人 3iQ Digital Holdings Inc.の株式を96.8%(完全希薄化後ベースで94.7%)保有する中間持株会社)の株式を当社連結子会社であるCoincheck Group N.V.に譲渡しました。この組織再編に伴い、従来「AM・WM事業」に含まれていた3iQ Digital Holdings Inc.及びそのすべての子会社を「クリプトアセット事業」へ異動しました。これに伴い、前連結会計年度についても、この変更を反映した報告セグメントに再表示しています。
なお、報告セグメントの詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6セグメント情報」をご参照下さい。
(連結) (単位:百万円)
当連結会計年度は、AM・WM事業セグメントでファンド運用にかかる成功報酬が増加したことなどにより、受入手数料が37,102百万円(前連結会計年度比15.4%増)となりました。一方で、クリプトアセット事業セグメントで暗号資産取引が減少したことにより、トレーディング損益が10,276百万円(同13.3%減)となりました。また、証券事業セグメントで受取利息が増加したことなどにより、金融収益が28,690百万円(同10.9%増)となりました。さらに、クリプトアセット事業セグメントでステーキング収益を計上したことなどにより、売上収益は2,748百万円(売上原価は1,804百万円)となりました。加えて、クリプトアセット事業セグメントで運用するファンドから得られたステーキング関連の収益を計上したことなどにより、その他の営業収益は4,791百万円(同22.3%増)となりました。その結果、営業収益は83,606百万円(同13.3%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、証券事業セグメントやAM・WM事業セグメントなどで増加した結果、64,632百万円(同5.4%増)となりました。
その他の収益費用(純額)は、主にAM・WM事業セグメント及び証券事業セグメントにおいて収益が増加した結果、4,321百万円(前連結会計年度は12,215百万円の損失)となりました。なお、前連結会計年度はCoincheck Group N.V.のDe-SPAC上場にかかる一過性の株式報酬費用(上場関連費用)が含まれています。
持分法による投資利益は、主にAM・WMセグメントにおいてWestfield Capital Management Company, L.P.(以下、「Westfield」)の持分法適用化に伴い利益が増加した結果、2,963百万円(同52.5%増)となりました。
以上の結果、税引前当期利益は15,758百万円(前連結会計年度は4,626百万円の損失)となり、継続事業からの当期利益は10,643百万円(前連結会計年度は8,011百万円の損失)となりました。
なお、前連結会計年度において、Monex Boom Securities (H.K.) Limited他2社にかかる利益が非継続事業からの当期利益として表示されています。
各セグメントの詳細は「セグメント別の状況」でご説明します。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
(証券事業) (単位:百万円)
証券事業セグメントは、主にTradeStation Securities, Inc.及びマネックス証券株式会社(持分法適用会社)で構成されております。
TradeStation Securities, Inc.においてはアクティブトレーダー層を主要な顧客層としており、当該顧客層の取引量増加が収益に貢献する傾向にあります。また、顧客の預り金を運用することで金融収益を獲得しています。さらに、米ドルの対円レート(期中平均)は前連結会計年度比で0.9%円高となったことから、業績はその影響を受けています。
当連結会計年度におけるDARTs(Daily Average Revenue Tradesの略称で、1営業日当たりの収益を伴う約定もしくは取引の件数)は238,365件(前連結会計年度比5.9%増)となりました。株式取引手数料の増加などにより、委託手数料は米ドルベースで1.6%増加し、オプションの取引量の増加などにより、その他の受入手数料は米ドルベースで8.8%増加しました。その結果、受入手数料は米ドルベースでは4.5%増加し、円換算後では25,794百万円(同3.5%増)となりました。また、金融収益は、顧客預り金からの金利収益は減少したものの、有価証券貸借取引の関連収益が増加したことにより米ドルベースでは6.5%増加し、円換算後では27,707百万円(同5.5%増)となりました。以上のことから、営業収益は米ドルベースで5.9%増加し、円換算後で54,462百万円(同4.9%増)となり、過去最高を記録しました。
金融費用は有価証券貸借取引の関連費用が増加したことにより7,740百万円(同14.5%増)となり、金融収支は米ドルベースで3.3%の増加、円換算後では19,967百万円(同2.4%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、一部顧客の先物オプション取引における証拠金不足に伴う費用の計上や、情報料などが増加した結果、米ドルベースで5.8%増加、円換算後では38,247百万円(同4.8%増)となりました。
その他の収益費用(純額)は、保有銘柄の評価益を計上したことなどにより1,453百万円の利益(前連結会計年度は85百万円の利益)となりました。
持分法による投資利益は、マネックス証券株式会社にかかるもので、1,982百万円(同1.5%減)となりました。これには、同社にて計上した不正アクセス関連の補償費用及び米株システムリプレイスに伴うデータ移行費用に対する当社持分相当額(約51%)の影響が含まれています。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は、11,718百万円(同9.4%増)となりました。
(クリプトアセット事業) (単位:百万円)
クリプトアセット事業セグメントは、主にCoincheck Group N.V.、コインチェック株式会社及び3iQ Digital Holdings Inc.(以下、「3iQ」)で構成されています。
Coincheck Group N.V.はコインチェック株式会社の完全親会社であり、2024年12月に米国NASDAQに上場しました。また、コインチェック株式会社においては、日本を拠点としてビットコインをはじめとする暗号資産を取扱う販売所及び取引所の運営を主要事業としており、業績は主に販売所の売買動向の影響を受けます。さらに、3iQにおいては、傘下の子会社を通じた暗号資産ETFの運用を主要事業としており、業績は運用残高や運用パフォーマンスの影響を受ける傾向にあります。
当連結会計年度におけるコインチェック株式会社の取引所暗号資産売買代金は4兆1,294億円(前連結会計年度比21.3%減)、販売所暗号資産売買代金は3,126億円(同7.4%減)となりました。
こうした中、販売所取引が減少したことによりトレーディング損益は10,276百万円(同13.3%減)となりました。一方で、コインチェック株式会社においてステーキング収益を計上したことにより、売上収益は2,528百万円(売上原価は1,613百万円)となりました。また、3iQの運用ファンドから得られたステーキング関連の収益を計上したことにより、その他の営業収益は882百万円(同167.7%増)となりました。以上のことから、営業収益は17,592百万円(同9.7%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度におけるCoincheck Group N.V.のDe-SPAC上場にかかる一過性の専門家報酬4,531百万円が剥落したものの、M&Aによる連結範囲の拡大などに伴う人件費の増加や、事務委託費の増加などにより、16,754百万円(同0.7%増)となりました。
その他の収益費用(純額)は、423百万円の利益(前連結会計年度は12,288百万円の損失)となりました。なお、前連結会計年度はCoincheck Group N.V.の上場関連費用13,714百万円が含まれています。
以上の結果、セグメント損失(税引前損失)は539百万円(前連結会計年度は12,948百万円のセグメント損失)となりました。
※当社の連結財務諸表において、子会社であるCoincheck Group, N.V.の連結子会社が行う暗号資産交換業におけるトレーディング損益は、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」だけでなく、IFRS第9号「金融資産の分類と測定」も適用されると判断し、暗号資産の販売価額と購入価額の純額を収益として計上(以下「純額表示」という。)しています。しかし、Coincheck Group N.V.の米国NASDAQ上場申請プロセスにおいて、当該収益にはIFRS第15号のみが適用され、結果として両者を総額で表示(以下「総額表示」という。)する必要があるとの結論に達しております。一方、当社の連結財務諸表においては、報告主体が異なることに加え、以下の理由により引き続き純額表示を継続する方針です。当社は、純額表示はIFRSに準拠していると考えており、また、これまで純額表示で連結財務諸表を提出してきたことを踏まえると、総額表示に変更することは、却って日本の資本市場参加者を混乱させる恐れがあると考えています。従って、日本の資本市場参加者の意思決定に資する情報の提供及び有価証券報告書又は半期報告書の提出という目的においては、継続して純額表示を行うことにより、より有用な情報を提供することができると考えています。現行の会計方針は日本の会計基準(実務対応報告第38号「資金決済法における暗号資産の会計処理等に関する当面の取扱い」)と整合的であり、日本において連結子会社で暗号資産交換業を営んでいる他のIFRS適用企業においても純額表示が採用されています。このため、当社は、日本の資本市場においては、純額表示を継続することが同業他社との財務情報の比較可能性を確保することにつながり、日本の資本市場における財務諸表利用者にとってより有用であると考えております。なお、仮に当社が、2025年3月期における連結財務諸表においてCoincheck Group N.V.の連結財務諸表における収益と費用を総額で表示した場合、関連する収益は383,205百万円、費用は369,852百万円となり、総額表示によった場合、純額表示と比べて連結ベースで収益が369,852百万円、費用が369,852百万円多く計上されることになります。但し、収益と費用を純額表示と総額表示のどちらによって表示した場合であっても、2025年3月期の連結ベースの当期利益及び期末時点の資本合計の金額に影響はありません。
(アセットマネジメント・ウェルスマネジメント事業) (単位:百万円)
AM・WM事業セグメントは、主にマネックス・アセットマネジメント株式会社(以下、「MAM」)、Westfield及びマネックスPB株式会社(以下、「MPB」)で構成されています。なお、Westfieldは2025年4月に持分法適用会社化しました。
MAMにおいては、ロボアドバイザーサービス「ON COMPASSシリーズ」をはじめとして、その他公募ファンドや機関投資家向けの私募ファンドの運用を主要事業としています。また、Westfieldにおいては、時価総額を問わず幅広い米国の成長株式を対象とした資産運用を、さらにMPBにおいては、富裕層顧客向けのプライベートバンキングサービスをそれぞれ主要事業としています。従って、AM・WM事業セグメントの業績は運用残高や運用パフォーマンスの影響を受ける傾向にあります。
当連結会計年度におけるMAMの運用残高は1兆1,854億円(前連結会計年度比71.2%増)、Westfieldの運用残高は24,694百万米ドルで、決算時レートによる円換算後では3兆7,291億円となりました。
こうした中、MAMが運用するマネックス・アクティビスト・ファンドの運用パフォーマンスの好調に伴う成功報酬や運用報酬が増加したことにより、受入手数料は7,725百万円(同123.5%増)となりました。その結果、営業収益は7,735百万円(同123.0%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、業績連動賞与などによる人件費や運用残高の増加に伴う支払手数料などが増加した結果、4,595百万円(同45.1%増)となりました。
その他の収益費用(純額)は、Westfieldにかかる条件付対価(アーンアウト)の公正価値評価益を計上したことなどにより、2,139百万円の利益(前連結会計年度は16百万円の損失)となりました。
持分法による投資利益は、Westfieldにかかるものです。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は6,135百万円(前連結会計年度は281百万円の利益)となりました。
(投資事業) (単位:百万円)
投資事業セグメントは、主にマネックスベンチャーズ株式会社、MV1号投資事業有限責任組合、MV2号投資事業有限責任組合、アンカバードマネックスアフリカ投資事業組合で構成されています。
当連結会計年度は、保有する複数の銘柄の評価損益及び売却損益を計上したことにより、金融収益は123百万円(前連結会計年度は△560百万円)となり、営業収益は190百万円(前連結会計年度は△509百万円)となりました。
販売費及び一般管理費は、103百万円(同19.4%減)となりました。
持分法による投資利益は、主にアンカバードマネックスアフリカ投資事業組合にかかるものです。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は184百万円(前連結会計年度は697百万円のセグメント損失)となりました。
② 財政状態の状況
(連結) (単位:百万円)
当連結会計年度の資産合計は、棚卸資産、有価証券投資などが減少したものの、持分法投資、有価証券担保貸付金などが増加した結果、746,768百万円(前連結会計年度末比37,127百万円増)となりました。また、負債合計は、受入保証金、その他の負債などが減少した一方、預り金、社債及び借入金などが増加した結果、616,798百万円(同33,412百万円増)となりました。
資本合計は、配当金の支払、子会社の追加取得などにより減少したものの、当期利益などにより増加した結果、129,970百万円(同3,716百万円増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(連結) (単位:百万円)
当連結会計年度のキャッシュ・フローは営業活動による収入17,806百万円(前連結会計年度は13,300百万円の収入)、投資活動による支出14,571百万円(同32,178百万円の支出)及び財務活動による支出5,008百万円(同25,191百万円の支出)でした。この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物は52,786百万円(前連結会計年度末比681百万円減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により取得した資金は、17,806百万円となりました。
受入保証金及び預り金の増減により12,146百万円、利息の支払額により9,238百万円の資金を支出する一方、金銭の信託の増減により16,342百万円、利息及び配当金の受取額により31,827百万円の資金を取得しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、14,571百万円となりました。
有価証券投資等の売却及び償還による収入により8,511百万円の資金を取得する一方、無形資産の取得による支出により4,445百万円、関連会社の取得による支出により15,848百万円の資金を使用しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により使用した資金は、5,008百万円となりました。
社債の発行による収入により6,486百万円、長期借入債務の調達による収入により12,907百万円の資金を取得する一方、社債の償還による支出により10,225百万円、配当金の支払額により10,199百万円、非支配持分からの子会社持分取得による支出により4,900百万円の資金を使用しました。
④ 生産、受注及び販売の実績
金融商品取引業を営む会社を中心とする企業集団であるため、「生産、受注及び販売の実績」は該当する情報がないので記載していません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
私たちは今、未来を決定づける重要な転換点に立っています。昨年度までに、伝統的金融資産からクリプトア セットに至るまでを網羅する、世界でも類を見ない強固な事業基盤を着実に構築しました。特にアセットマネジメント事業の強化は、ストック収益により市場環境に左右されにくい安定的な収益構造を築くうえで、経営上きわめて重要な戦略です。進化したポートフォリオにグローバルの知見とAI等の先進技術を掛け合わせ、ROE15%の早期達成を明確な目標として掲げます。変化を恐れぬ挑戦を続け、持続的な企業価値の向上に邁進してまいります。
2026年3月期は、証券事業の堅調な推移に加え、アセットマネジメント事業の大幅成長が寄与し、親会社の所有者に帰属する当期利益は109億円と前年を上回る着地となりました。
証券事業では、米国TradeStationが過去最高収益を記録し、グループの収益基盤を力強く支えています。国内のマネックス証券においても、NTTドコモとの連携が数字に結実しました。2026年1月には過去最高の月間口座開設数を更新し、4月には預かり資産が11兆円を突破するなど、着実に成長しています。
アセットマネジメント事業は、運用残高の成長に加え、マネックス・アクティビスト・ファンドの成功報酬やWestfield社の利益貢献により、セグメント利益(税引前利益)は61億円と大幅増益を達成しました。証券・クリプトに続く「第3の柱」として確立された同事業は、今後も高収益な成長エンジンとしてグループのROE向上を牽引していく見込みです。
クリプトアセット事業では、収益源の多角化が進んでいます。「ステーキング収益」が販売所取引の下振れをカバーしたほか、3iQ社の集約により、機関投資家向け運用と個人向けプラットフォームを掛け合わせた新たな市場開拓の土台が整いました。さらに2026年6月には、コインチェックグループはKDDI社との資本業務提携を開始しました。この強力なパートナーシップにより、投資家のみならず、あらゆる生活者の皆様へデジタル資産の世界をより広く開放してまいります。
当社は、規律ある資本政策と戦略的成長を両立し、ROE15%の達成とさらなる企業価値の向上に邁進してまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
当社グループの事業活動における主な資金使途としては、有価証券担保貸付金に関するものの他、M&A及び事業投資等があります。これらの資金需要に対して、市場環境や長短のバランスを考慮し、社債による直接金融、シンジケートローン及び銀行借入等による間接金融により資金を調達しております。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
(資本の財源)
当連結会計年度末の資本合計は1,300億円であり、固定的な資産1,283億円を上回っています。差額については子会社の自己資本維持に関する規制対応の他、以下の原資とする予定です。
1.将来の事業投資に備える内部留保
2.株主還元(配当金及び自己株式取得)
(重要な資本的支出の予定)
重要な資本的支出の予定は、証券子会社における設備投資であり、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
(資金の流動性)
当社グループでは、経営に必要な資金を大手金融機関をはじめとする複数の金融機関からの借入、インターバンク市場からの調達、また資本市場における社債の発行により調達し、一時的な余資は流動性の高い短期金融資産で運用しています。当社グループでは資金繰り状況及び見通しの把握を随時行っており、かつ、複数の金融機関との間で当座借越契約、コミットメントライン契約等を締結していることで、十分な流動性を確保しています。なお、債務の期日別の残高については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.金融リスク管理」に記載のとおりです。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループは、グローバルなオンライン金融機関グループとして事業展開を推進する中で、財務情報の国際的な比較可能性を向上させるため、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって、のれんの減損テストにおける使用価値の算定等重要な判断や見積りを行っていますが、これらの見積りは実際の結果と異なる場合があります。当社が採用した重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」、同「22.無形資産」に記載のとおりです。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、金融商品取引業、暗号資産交換業、有価証券の投資事業を主要な事業として、前連結会計年度において「日本」・「米国」・「クリプトアセット事業」・「投資事業」の4つの報告セグメントとしていました。
当連結会計年度より、当社グループが進めてきた事業ポートフォリオの最適化に伴い報告セグメントを刷新し、「証券事業」・「クリプトアセット事業」・「アセットマネジメント・ウェルスマネジメント事業(以下、「AM・WM事業」)」・「投資事業」の4つの報告セグメントに変更しました。
また、グループ経営体制の一層の強化を目的として、2026年2月28日付で当社連結子会社である1000745629 ONTARIO INC.(カナダ法人 3iQ Digital Holdings Inc.の株式を96.8%(完全希薄化後ベースで94.7%)保有する中間持株会社)の株式を当社連結子会社であるCoincheck Group N.V.に譲渡しました。この組織再編に伴い、従来「AM・WM事業」に含まれていた3iQ Digital Holdings Inc.及びそのすべての子会社を「クリプトアセット事業」へ異動しました。これに伴い、前連結会計年度についても、この変更を反映した報告セグメントに再表示しています。
なお、報告セグメントの詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6セグメント情報」をご参照下さい。
(連結) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2025年3月期) | 当連結会計年度 (2026年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 継続事業 | ||||
| 受入手数料 | 32,151 | 37,102 | 4,951 | 15.4%増 |
| トレーディング損益 | 11,854 | 10,276 | △1,578 | 13.3%減 |
| 金融収益 | 25,864 | 28,690 | 2,826 | 10.9%増 |
| 売上収益 | 27 | 2,748 | 2,720 | - |
| その他の営業収益 | 3,917 | 4,791 | 874 | 22.3%増 |
| 営業収益 | 73,814 | 83,606 | 9,792 | 13.3%増 |
| 金融費用 | 6,819 | 8,696 | 1,877 | 27.5%増 |
| 売上原価 | 24 | 1,804 | 1,780 | - |
| 販売費及び一般管理費 | 61,325 | 64,632 | 3,306 | 5.4%増 |
| その他の収益費用(純額)(△) | △12,215 | 4,321 | 16,535 | - |
| 持分法による投資利益又は損失(△) | 1,943 | 2,963 | 1,020 | 52.5%増 |
| 税引前当期利益又は損失(△) | △4,626 | 15,758 | 20,384 | - |
| 法人所得税費用 | 3,385 | 5,114 | 1,729 | 51.1%増 |
| 継続事業からの当期利益又は損失(△)(A) | △8,011 | 10,643 | 18,654 | - |
| 非継続事業 | ||||
| 非継続事業からの当期利益又は損失(△)(B) | 813 | - | △813 | - |
| 当期利益又は損失(△)(A)+(B) | △7,197 | 10,643 | 17,841 | - |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益又は損失(△) | △5,067 | 10,914 | 15,981 | - |
当連結会計年度は、AM・WM事業セグメントでファンド運用にかかる成功報酬が増加したことなどにより、受入手数料が37,102百万円(前連結会計年度比15.4%増)となりました。一方で、クリプトアセット事業セグメントで暗号資産取引が減少したことにより、トレーディング損益が10,276百万円(同13.3%減)となりました。また、証券事業セグメントで受取利息が増加したことなどにより、金融収益が28,690百万円(同10.9%増)となりました。さらに、クリプトアセット事業セグメントでステーキング収益を計上したことなどにより、売上収益は2,748百万円(売上原価は1,804百万円)となりました。加えて、クリプトアセット事業セグメントで運用するファンドから得られたステーキング関連の収益を計上したことなどにより、その他の営業収益は4,791百万円(同22.3%増)となりました。その結果、営業収益は83,606百万円(同13.3%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、証券事業セグメントやAM・WM事業セグメントなどで増加した結果、64,632百万円(同5.4%増)となりました。
その他の収益費用(純額)は、主にAM・WM事業セグメント及び証券事業セグメントにおいて収益が増加した結果、4,321百万円(前連結会計年度は12,215百万円の損失)となりました。なお、前連結会計年度はCoincheck Group N.V.のDe-SPAC上場にかかる一過性の株式報酬費用(上場関連費用)が含まれています。
持分法による投資利益は、主にAM・WMセグメントにおいてWestfield Capital Management Company, L.P.(以下、「Westfield」)の持分法適用化に伴い利益が増加した結果、2,963百万円(同52.5%増)となりました。
以上の結果、税引前当期利益は15,758百万円(前連結会計年度は4,626百万円の損失)となり、継続事業からの当期利益は10,643百万円(前連結会計年度は8,011百万円の損失)となりました。
なお、前連結会計年度において、Monex Boom Securities (H.K.) Limited他2社にかかる利益が非継続事業からの当期利益として表示されています。
各セグメントの詳細は「セグメント別の状況」でご説明します。
セグメント別の状況は以下のとおりです。
(証券事業) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2025年3月期) | 当連結会計年度 (2026年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 24,921 | 25,794 | 873 | 3.5%増 |
| 金融収益 | 26,265 | 27,707 | 1,443 | 5.5%増 |
| 売上収益 | 27 | 220 | 193 | 700.8%増 |
| その他の営業収益 | 689 | 741 | 52 | 7.5%増 |
| 営業収益 | 51,902 | 54,462 | 2,560 | 4.9%増 |
| 金融費用 | 6,762 | 7,740 | 978 | 14.5%増 |
| 売上原価 | 24 | 191 | 167 | 700.8%増 |
| 販売費及び一般管理費 | 36,501 | 38,247 | 1,745 | 4.8%増 |
| その他の収益費用(純額)(△) | 85 | 1,453 | 1,368 | - |
| 持分法による投資利益又は損失(△) | 2,013 | 1,982 | △31 | 1.5%減 |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | 10,713 | 11,718 | 1,005 | 9.4%増 |
証券事業セグメントは、主にTradeStation Securities, Inc.及びマネックス証券株式会社(持分法適用会社)で構成されております。
TradeStation Securities, Inc.においてはアクティブトレーダー層を主要な顧客層としており、当該顧客層の取引量増加が収益に貢献する傾向にあります。また、顧客の預り金を運用することで金融収益を獲得しています。さらに、米ドルの対円レート(期中平均)は前連結会計年度比で0.9%円高となったことから、業績はその影響を受けています。
当連結会計年度におけるDARTs(Daily Average Revenue Tradesの略称で、1営業日当たりの収益を伴う約定もしくは取引の件数)は238,365件(前連結会計年度比5.9%増)となりました。株式取引手数料の増加などにより、委託手数料は米ドルベースで1.6%増加し、オプションの取引量の増加などにより、その他の受入手数料は米ドルベースで8.8%増加しました。その結果、受入手数料は米ドルベースでは4.5%増加し、円換算後では25,794百万円(同3.5%増)となりました。また、金融収益は、顧客預り金からの金利収益は減少したものの、有価証券貸借取引の関連収益が増加したことにより米ドルベースでは6.5%増加し、円換算後では27,707百万円(同5.5%増)となりました。以上のことから、営業収益は米ドルベースで5.9%増加し、円換算後で54,462百万円(同4.9%増)となり、過去最高を記録しました。
金融費用は有価証券貸借取引の関連費用が増加したことにより7,740百万円(同14.5%増)となり、金融収支は米ドルベースで3.3%の増加、円換算後では19,967百万円(同2.4%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、一部顧客の先物オプション取引における証拠金不足に伴う費用の計上や、情報料などが増加した結果、米ドルベースで5.8%増加、円換算後では38,247百万円(同4.8%増)となりました。
その他の収益費用(純額)は、保有銘柄の評価益を計上したことなどにより1,453百万円の利益(前連結会計年度は85百万円の利益)となりました。
持分法による投資利益は、マネックス証券株式会社にかかるもので、1,982百万円(同1.5%減)となりました。これには、同社にて計上した不正アクセス関連の補償費用及び米株システムリプレイスに伴うデータ移行費用に対する当社持分相当額(約51%)の影響が含まれています。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は、11,718百万円(同9.4%増)となりました。
(クリプトアセット事業) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2025年3月期) | 当連結会計年度 (2026年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 3,773 | 3,583 | △190 | 5.0%減 |
| トレーディング損益 | 11,854 | 10,276 | △1,578 | 13.3%減 |
| 金融収益 | 86 | 323 | 238 | 276.8%増 |
| 売上収益 | - | 2,528 | 2,528 | - |
| その他の営業収益 | 329 | 882 | 553 | 167.7%増 |
| 営業収益 | 16,042 | 17,592 | 1,550 | 9.7%増 |
| 金融費用 | 60 | 168 | 108 | 180.3%増 |
| 売上原価 | - | 1,613 | 1,613 | - |
| 販売費及び一般管理費 | 16,643 | 16,754 | 112 | 0.7%増 |
| その他の収益費用(純額)(△) | △12,288 | 423 | 12,711 | - |
| 持分法による投資利益又は損失(△) | - | △18 | △18 | - |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | △12,948 | △539 | 12,410 | - |
クリプトアセット事業セグメントは、主にCoincheck Group N.V.、コインチェック株式会社及び3iQ Digital Holdings Inc.(以下、「3iQ」)で構成されています。
Coincheck Group N.V.はコインチェック株式会社の完全親会社であり、2024年12月に米国NASDAQに上場しました。また、コインチェック株式会社においては、日本を拠点としてビットコインをはじめとする暗号資産を取扱う販売所及び取引所の運営を主要事業としており、業績は主に販売所の売買動向の影響を受けます。さらに、3iQにおいては、傘下の子会社を通じた暗号資産ETFの運用を主要事業としており、業績は運用残高や運用パフォーマンスの影響を受ける傾向にあります。
当連結会計年度におけるコインチェック株式会社の取引所暗号資産売買代金は4兆1,294億円(前連結会計年度比21.3%減)、販売所暗号資産売買代金は3,126億円(同7.4%減)となりました。
こうした中、販売所取引が減少したことによりトレーディング損益は10,276百万円(同13.3%減)となりました。一方で、コインチェック株式会社においてステーキング収益を計上したことにより、売上収益は2,528百万円(売上原価は1,613百万円)となりました。また、3iQの運用ファンドから得られたステーキング関連の収益を計上したことにより、その他の営業収益は882百万円(同167.7%増)となりました。以上のことから、営業収益は17,592百万円(同9.7%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度におけるCoincheck Group N.V.のDe-SPAC上場にかかる一過性の専門家報酬4,531百万円が剥落したものの、M&Aによる連結範囲の拡大などに伴う人件費の増加や、事務委託費の増加などにより、16,754百万円(同0.7%増)となりました。
その他の収益費用(純額)は、423百万円の利益(前連結会計年度は12,288百万円の損失)となりました。なお、前連結会計年度はCoincheck Group N.V.の上場関連費用13,714百万円が含まれています。
以上の結果、セグメント損失(税引前損失)は539百万円(前連結会計年度は12,948百万円のセグメント損失)となりました。
※当社の連結財務諸表において、子会社であるCoincheck Group, N.V.の連結子会社が行う暗号資産交換業におけるトレーディング損益は、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」だけでなく、IFRS第9号「金融資産の分類と測定」も適用されると判断し、暗号資産の販売価額と購入価額の純額を収益として計上(以下「純額表示」という。)しています。しかし、Coincheck Group N.V.の米国NASDAQ上場申請プロセスにおいて、当該収益にはIFRS第15号のみが適用され、結果として両者を総額で表示(以下「総額表示」という。)する必要があるとの結論に達しております。一方、当社の連結財務諸表においては、報告主体が異なることに加え、以下の理由により引き続き純額表示を継続する方針です。当社は、純額表示はIFRSに準拠していると考えており、また、これまで純額表示で連結財務諸表を提出してきたことを踏まえると、総額表示に変更することは、却って日本の資本市場参加者を混乱させる恐れがあると考えています。従って、日本の資本市場参加者の意思決定に資する情報の提供及び有価証券報告書又は半期報告書の提出という目的においては、継続して純額表示を行うことにより、より有用な情報を提供することができると考えています。現行の会計方針は日本の会計基準(実務対応報告第38号「資金決済法における暗号資産の会計処理等に関する当面の取扱い」)と整合的であり、日本において連結子会社で暗号資産交換業を営んでいる他のIFRS適用企業においても純額表示が採用されています。このため、当社は、日本の資本市場においては、純額表示を継続することが同業他社との財務情報の比較可能性を確保することにつながり、日本の資本市場における財務諸表利用者にとってより有用であると考えております。なお、仮に当社が、2025年3月期における連結財務諸表においてCoincheck Group N.V.の連結財務諸表における収益と費用を総額で表示した場合、関連する収益は383,205百万円、費用は369,852百万円となり、総額表示によった場合、純額表示と比べて連結ベースで収益が369,852百万円、費用が369,852百万円多く計上されることになります。但し、収益と費用を純額表示と総額表示のどちらによって表示した場合であっても、2025年3月期の連結ベースの当期利益及び期末時点の資本合計の金額に影響はありません。
(アセットマネジメント・ウェルスマネジメント事業) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2025年3月期) | 当連結会計年度 (2026年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 受入手数料 | 3,457 | 7,725 | 4,268 | 123.5%増 |
| その他の営業収益 | 11 | 11 | △1 | 5.9%減 |
| 営業収益 | 3,468 | 7,735 | 4,267 | 123.0%増 |
| 金融費用 | 5 | 3 | △1 | 31.1%減 |
| 販売費及び一般管理費 | 3,166 | 4,595 | 1,429 | 45.1%増 |
| その他の収益費用(純額)(△) | △16 | 2,139 | 2,156 | - |
| 持分法による投資利益又は損失(△) | - | 858 | 858 | - |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | 281 | 6,135 | 5,854 | - |
AM・WM事業セグメントは、主にマネックス・アセットマネジメント株式会社(以下、「MAM」)、Westfield及びマネックスPB株式会社(以下、「MPB」)で構成されています。なお、Westfieldは2025年4月に持分法適用会社化しました。
MAMにおいては、ロボアドバイザーサービス「ON COMPASSシリーズ」をはじめとして、その他公募ファンドや機関投資家向けの私募ファンドの運用を主要事業としています。また、Westfieldにおいては、時価総額を問わず幅広い米国の成長株式を対象とした資産運用を、さらにMPBにおいては、富裕層顧客向けのプライベートバンキングサービスをそれぞれ主要事業としています。従って、AM・WM事業セグメントの業績は運用残高や運用パフォーマンスの影響を受ける傾向にあります。
当連結会計年度におけるMAMの運用残高は1兆1,854億円(前連結会計年度比71.2%増)、Westfieldの運用残高は24,694百万米ドルで、決算時レートによる円換算後では3兆7,291億円となりました。
こうした中、MAMが運用するマネックス・アクティビスト・ファンドの運用パフォーマンスの好調に伴う成功報酬や運用報酬が増加したことにより、受入手数料は7,725百万円(同123.5%増)となりました。その結果、営業収益は7,735百万円(同123.0%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、業績連動賞与などによる人件費や運用残高の増加に伴う支払手数料などが増加した結果、4,595百万円(同45.1%増)となりました。
その他の収益費用(純額)は、Westfieldにかかる条件付対価(アーンアウト)の公正価値評価益を計上したことなどにより、2,139百万円の利益(前連結会計年度は16百万円の損失)となりました。
持分法による投資利益は、Westfieldにかかるものです。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は6,135百万円(前連結会計年度は281百万円の利益)となりました。
(投資事業) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2025年3月期) | 当連結会計年度 (2026年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 金融収益 | △560 | 123 | 682 | - |
| その他の営業収益 | 51 | 68 | 17 | 33.3%増 |
| 営業収益 | △509 | 190 | 699 | - |
| 金融費用 | - | 63 | 63 | - |
| 販売費及び一般管理費 | 128 | 103 | △25 | 19.4%減 |
| その他の収益費用(純額)(△) | △0 | 0 | 1 | - |
| 持分法による投資利益又は損失(△) | △60 | 159 | 219 | - |
| セグメント利益又は損失(△) (税引前利益又は損失(△)) | △697 | 184 | 881 | - |
投資事業セグメントは、主にマネックスベンチャーズ株式会社、MV1号投資事業有限責任組合、MV2号投資事業有限責任組合、アンカバードマネックスアフリカ投資事業組合で構成されています。
当連結会計年度は、保有する複数の銘柄の評価損益及び売却損益を計上したことにより、金融収益は123百万円(前連結会計年度は△560百万円)となり、営業収益は190百万円(前連結会計年度は△509百万円)となりました。
販売費及び一般管理費は、103百万円(同19.4%減)となりました。
持分法による投資利益は、主にアンカバードマネックスアフリカ投資事業組合にかかるものです。
以上の結果、セグメント利益(税引前利益)は184百万円(前連結会計年度は697百万円のセグメント損失)となりました。
② 財政状態の状況
(連結) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2025年3月末) | 当連結会計年度 (2026年3月末) | 増減 | |
| 資産合計 | 709,641 | 746,768 | 37,127 |
| 負債合計 | 583,387 | 616,798 | 33,412 |
| 資本合計 | 126,254 | 129,970 | 3,716 |
| 親会社の所有者に帰属する持分 | 123,984 | 126,397 | 2,412 |
当連結会計年度の資産合計は、棚卸資産、有価証券投資などが減少したものの、持分法投資、有価証券担保貸付金などが増加した結果、746,768百万円(前連結会計年度末比37,127百万円増)となりました。また、負債合計は、受入保証金、その他の負債などが減少した一方、預り金、社債及び借入金などが増加した結果、616,798百万円(同33,412百万円増)となりました。
資本合計は、配当金の支払、子会社の追加取得などにより減少したものの、当期利益などにより増加した結果、129,970百万円(同3,716百万円増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(連結) (単位:百万円)
| 前連結会計年度 (2025年3月期) | 当連結会計年度 (2026年3月期) | 増減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 13,300 | 17,806 | 4,506 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △32,178 | △14,571 | 17,607 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △25,191 | △5,008 | 20,184 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 53,467 | 52,786 | △681 |
当連結会計年度のキャッシュ・フローは営業活動による収入17,806百万円(前連結会計年度は13,300百万円の収入)、投資活動による支出14,571百万円(同32,178百万円の支出)及び財務活動による支出5,008百万円(同25,191百万円の支出)でした。この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物は52,786百万円(前連結会計年度末比681百万円減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により取得した資金は、17,806百万円となりました。
受入保証金及び預り金の増減により12,146百万円、利息の支払額により9,238百万円の資金を支出する一方、金銭の信託の増減により16,342百万円、利息及び配当金の受取額により31,827百万円の資金を取得しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、14,571百万円となりました。
有価証券投資等の売却及び償還による収入により8,511百万円の資金を取得する一方、無形資産の取得による支出により4,445百万円、関連会社の取得による支出により15,848百万円の資金を使用しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により使用した資金は、5,008百万円となりました。
社債の発行による収入により6,486百万円、長期借入債務の調達による収入により12,907百万円の資金を取得する一方、社債の償還による支出により10,225百万円、配当金の支払額により10,199百万円、非支配持分からの子会社持分取得による支出により4,900百万円の資金を使用しました。
④ 生産、受注及び販売の実績
金融商品取引業を営む会社を中心とする企業集団であるため、「生産、受注及び販売の実績」は該当する情報がないので記載していません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
私たちは今、未来を決定づける重要な転換点に立っています。昨年度までに、伝統的金融資産からクリプトア セットに至るまでを網羅する、世界でも類を見ない強固な事業基盤を着実に構築しました。特にアセットマネジメント事業の強化は、ストック収益により市場環境に左右されにくい安定的な収益構造を築くうえで、経営上きわめて重要な戦略です。進化したポートフォリオにグローバルの知見とAI等の先進技術を掛け合わせ、ROE15%の早期達成を明確な目標として掲げます。変化を恐れぬ挑戦を続け、持続的な企業価値の向上に邁進してまいります。
2026年3月期は、証券事業の堅調な推移に加え、アセットマネジメント事業の大幅成長が寄与し、親会社の所有者に帰属する当期利益は109億円と前年を上回る着地となりました。
証券事業では、米国TradeStationが過去最高収益を記録し、グループの収益基盤を力強く支えています。国内のマネックス証券においても、NTTドコモとの連携が数字に結実しました。2026年1月には過去最高の月間口座開設数を更新し、4月には預かり資産が11兆円を突破するなど、着実に成長しています。
アセットマネジメント事業は、運用残高の成長に加え、マネックス・アクティビスト・ファンドの成功報酬やWestfield社の利益貢献により、セグメント利益(税引前利益)は61億円と大幅増益を達成しました。証券・クリプトに続く「第3の柱」として確立された同事業は、今後も高収益な成長エンジンとしてグループのROE向上を牽引していく見込みです。
クリプトアセット事業では、収益源の多角化が進んでいます。「ステーキング収益」が販売所取引の下振れをカバーしたほか、3iQ社の集約により、機関投資家向け運用と個人向けプラットフォームを掛け合わせた新たな市場開拓の土台が整いました。さらに2026年6月には、コインチェックグループはKDDI社との資本業務提携を開始しました。この強力なパートナーシップにより、投資家のみならず、あらゆる生活者の皆様へデジタル資産の世界をより広く開放してまいります。
当社は、規律ある資本政策と戦略的成長を両立し、ROE15%の達成とさらなる企業価値の向上に邁進してまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
当社グループの事業活動における主な資金使途としては、有価証券担保貸付金に関するものの他、M&A及び事業投資等があります。これらの資金需要に対して、市場環境や長短のバランスを考慮し、社債による直接金融、シンジケートローン及び銀行借入等による間接金融により資金を調達しております。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
(資本の財源)
当連結会計年度末の資本合計は1,300億円であり、固定的な資産1,283億円を上回っています。差額については子会社の自己資本維持に関する規制対応の他、以下の原資とする予定です。
1.将来の事業投資に備える内部留保
2.株主還元(配当金及び自己株式取得)
(重要な資本的支出の予定)
重要な資本的支出の予定は、証券子会社における設備投資であり、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
(資金の流動性)
当社グループでは、経営に必要な資金を大手金融機関をはじめとする複数の金融機関からの借入、インターバンク市場からの調達、また資本市場における社債の発行により調達し、一時的な余資は流動性の高い短期金融資産で運用しています。当社グループでは資金繰り状況及び見通しの把握を随時行っており、かつ、複数の金融機関との間で当座借越契約、コミットメントライン契約等を締結していることで、十分な流動性を確保しています。なお、債務の期日別の残高については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.金融リスク管理」に記載のとおりです。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループは、グローバルなオンライン金融機関グループとして事業展開を推進する中で、財務情報の国際的な比較可能性を向上させるため、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって、のれんの減損テストにおける使用価値の算定等重要な判断や見積りを行っていますが、これらの見積りは実際の結果と異なる場合があります。当社が採用した重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」、同「22.無形資産」に記載のとおりです。